説明

ホームセキュリティシステム

【課題】自宅の放射線数値も知得可能なホームセキュリティサービスを安価に提供すること。
【解決手段】 伝送装置401を介して、非常用ボタン407、火災報知器404、および、放射線測定器411が各契約住戸Dそれぞれに配され、さらに、センタ側コンピュータScと、対応側コンピュータSaと、端末装置とを含んだホームセキュリティシステムKであって、伝送装置401は、信号数値入力手段501により入力された緊急信号または放射線数値を住戸Dの識別情報も付加してScに送信し、Scは、送信先のSaが緊急信号を認識可能に変換情報を作成して転送し、放射線数値については、住戸Dに関連づけられた端末装置へメール通知し、Saは、変換情報に基づいて住戸Dの所在地を対応員に通知し急行可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住戸に重大な影響を及ぼす火災その他の非常事態に対して効率的な初動対応を可能とすると共に、自宅まわりの放射線数値を入手できるホームセキュリティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会構造の変化や住環境の変化に対応すべく、いわゆるホームセキュリティシステムを導入する住戸が増えている。ホームセキュリティシステムの導入に際しては複数の警備会社の中から特定の警備会社と契約し、警備会社では、主として、不審者対応や、往訪要請、場合により火災、ガス漏れなどの緊急性の高いものに、警備員がその住戸に駆けつけ対応をおこなうなどする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−277550号公報
【特許文献2】特開平−63857号公報
【特許文献3】特開2006−048303号公報
【特許文献4】特開平11−211532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
まず、警備会社と契約住戸とは独自規格の伝送装置を用いて電話回線を介したネットワークが構築されるため装置費用が高く、結局、サービス価格が高額となってしまうという問題点があった。また、独自装置であるので、警備会社を変更した場合には、その装置を使い回すことができず、この場合も結局サービス価格が高額になってしまうという問題点があった。
【0005】
また、警備会社の保安行為・警備行為の範囲の中に、たとえばガス漏れ対応がなく、別途、ガス会社との間で伝送装置を設ける必要がある場合があるなど効率的でないという問題点があった。
【0006】
また、原発事故が契機となり、公共機関の発表する数値でなく、身の回り、特に、最も滞在時間の多い自宅ないし身の回りの放射線数値を具体的に知りたいという要請がある。しかしながら、自分で測定器を購入し、具体的に適時測定するには限界があり、また、放射線の影響は積算量を勘案すべきであって、住居における定点観測をおこないたいという潜在的な要請もある。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、自宅の放射線数値も知得可能なホームセキュリティサービスを安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のホームセキュリティシステムは、各契約住戸それぞれに配された非常用ボタン、火災報知器、および、放射線測定器と、当該非常用ボタン、火災報知器、および、放射線測定器それぞれに一対一に対応づけられたポートを有する、各契約住戸それぞれに配された伝送装置と、各契約住戸の伝送装置からの情報を電話回線を通じて集中して受信するセンタ側に配置されたセンタ側コンピュータと、センタ側コンピュータからの送信を受けて対応員を住戸へ派遣する各種対応組織側に配置された対応側コンピュータと、センタ側コンピュータから送信されたメールを表示する端末装置であって各契約住戸にかかる住人の有する端末装置と、を含むホームセキュリティシステムであって、伝送装置が、各契約住戸に設置された、非常用ボタン、火災警報機、放射線測定器から、それぞれ、非常事態発生信号、火災発生信号、放射線数値を入力する信号数値入力手段と、信号数値入力手段により入力された信号または数値を、当該住戸の識別情報も付加した情報としてセンタ側コンピュータに送信する情報送信手段と、を備え、センタ側コンピュータが、伝送装置から送信された情報を入力するセンタ側情報入力手段と、センタ側情報入力手段により入力された情報が非常事態発生信号または火災発生信号である場合には、当該信号と当該信号送信元の住戸の所在地とに基づいて各種対応組織側の中から最適な送信先を設定する送信先設定手段と、送信先設定手段により設定された送信先の対応側コンピュータが認識可能に信号および識別情報を変換して変換情報を作成する情報変換手段と、情報変換手段により作成された変換情報を当該対応側コンピュータへ送信するセンタ側情報送信手段と、センタ側情報入力手段により入力された情報が放射線数値である場合には、当該数値送信元の住戸に予め関連づけられた端末装置のメールアドレスへ放射線数値を含んだ定型文メールを送信するメール送信手段と、を備え、対応側コンピュータが、センタ側情報送信手段により送信された変換情報を入力する対応側情報入力手段と、対応側情報入力手段により入力された変換情報に基づいて当該住戸の所在地を対応員が認識可能に出力する所在地情報出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1にかかる発明は、放置できない重篤な結果を招来する可能性のある、火災対応サービスを含めた警備サービスを安価に享受可能になると共に、自宅の放射線数値も知得可能となる。本発明では、伝送装置の仕様の違いをセンタ側コンピュータが吸収するため、伝送装置に依存することなく、非常時には契約住戸にとって最適な通報先(一般には警備会社、消防署、ガス会社など)が選択され、対応員(警備員、消防署員、保安員)が急行可能となる。
【0010】
警備会社も消防署等も、緊急対応が必要な場合があり業務が重複するところ、本システムは、これまで別物とされていた、警備会社と消防署等の垣根をなくすシステムであるということもできる。
【0011】
なお、本願では、伝送装置とは、NCU(Network Control Unit:網制御装置)を含み、データ端末からのコマンドや制御信号、あるいは電話網からの電流や信号音(ダイヤル・トーン、音など)にしたがって、発着信やダイヤル制御をおこなう装置をいう。センタ側とは、伝送装置からの情報を集中して受信する組織をいう。なお、メール配信については、メール配信装置自体をセンタの所有としなくても良い。
【0012】
対応組織とは、警備会社や消防署、ガス会社に限定されず、緊急の時には人員を住戸へ駆けつけさせることができるように組織化されたものをいい、警察署、交番、派出所、自治会、公民館、水道会社等も含まれるものとする。また、対応員とは、住戸へ派遣される人員をいう。端末装置とは、携帯電話が好適であるが、メールを受信できるPC等であってもよい。また、一契約住戸に対してメールアドレスは複数紐付けされていてもよい。
【0013】
住戸の識別情報とは、電話番号や伝送装置のID、住所(所在地)その他の住戸を一意に特定する情報をいう。最適な送信先とは、警備会社と商号署、ガス会社等との区別が含まれるほか、警備会社であっても、緊急事態に対し、最も早く駆けつけることのできる最適な対応員が所在する警備会社ないし対応組織を意味する。すなわち、直接は契約していなくても駆けつけ可能な組織をいう。また、対応側コンピュータが認識可能に変換するとは、対応側コンピュータが認識可能なプロトコルないし情報授受形式に変換することをいう。
【0014】
また、請求項2に記載のホームセキュリティシステムは、請求項1に記載のホームセキュリティシステムにおいて、放射線測定器が、放射線数値を所定時刻または所定時間間隔で伝送装置へ送出することを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項2にかかる発明は、定期的なメール配信にて放射線数値を通知する。所定時刻とは、8:00,12:00,15:00,17:00,20:00などを挙げることができ、所定時間間隔とはたとえば、3時間毎、または、毎日17:00とすることができる。
【0016】
また、請求項3に記載のホームセキュリティシステムは、請求項1または2に記載のホームセキュリティシステムにおいて、放射線測定器が、所定数値以上の放射線を測定した場合に、当該放射線数値を伝送装置へ送出することを特徴とする。
【0017】
すなわち、請求項3にかかる発明は、急に放射線数値が高くなった場合に、メール配信にて直ちにその情報を通知・受信することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のホームセキュリティシステムによれば、自宅の放射線数値も知得可能なホームセキュリティサービスを安価に提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】警備会社の位置とガス会社の位置とガス会社のサービス提供エリアと、を示した概念図である。
【図2】警備会社Bが、通報7分以内に警備員を急行させることを保障するエリア(点線)と、ガス会社Aが、7分以内に保安員を急行させることが可能なエリアを示した図である。
【図3】ホームセキュリティシステムKの警備とメール通知の流れを概説する説明図である。
【図4】住戸に設置された、放射線測定器、火災報知器、非常用ボタン、非常警告灯、各種メータ、電話、伝送装置等の接続関係を示した概念図である。
【図5】サーバ装置Scのハードウェア構成の一例を説明した説明図である。
【図6】ホームセキュリティシステムの機能的構成を例示した説明図である。
【図7】携帯電話に表示されるおもな項目を示した本文画面の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
ここでは、火災報知器の作動に基づく初動をガス会社がおこなうものとし、ガス会社Aと警備会社Bを例に挙げ、センタCと契約住戸Dも含めてホームセキュリティシステムを説明する。なお、本システムではガス会社と警備会社の区別をなくすことが可能となるため、これを対応組織と称するが、ガス会社A、対応組織A、警備会社B、対応組織Bも適宜用いるものとする。また、センタCに配置されたサーバ装置をサーバ装置Sc、ガス会社Aと警備会社Bに配置されたサーバ装置をそれぞれサーバ装置SaおよびSbと称することとする。センタCを運営する組織をセンタCと適宜称することとする。
【0021】
なお、対応組織と対応員の待機所(詰所)は同一でない場合もあり、また、対応組織によっては、通報を受けたとき即時に詰所や中継局に転送するため、サーバ装置を複数異なった場所に配置している場合もあるが、ここでは、対応組織と対応員の待機所とは同一であり、サーバ装置も一台であるものとして説明する。
【0022】
(ホームセキュリティシステムのシステム構成)
図1は、警備会社とガス会社の位置とガス会社のサービス提供エリアとを示した概念図である。図において、Aはガス会社Aの位置を、Bは警備会社Bの位置を、●と×は、ガス会社Aのサービス提供エリア内にある住戸位置を示している。このうち、×は警備会社Bと契約した住戸の位置である。
【0023】
警備法上、契約住戸から通報があった場合、警備員は25分以内に現場に到着することが義務づけられている。図2は、警備会社Bが、通報7分以内に警備員を急行させることを保障するエリア(点線)と、ガス会社Aが、7分以内に保安員を急行させることが可能なエリアを示した図である。契約住戸Dに関しては、契約は警備会社Bと行っているものの、実際はガス会社Aの保安員の方が7分以内の急行対応が可能である。
【0024】
本発明のホームセキュリティシステムは、センタCを設置し、ガス会社に警備会社の機能を付加し、警備会社にガス会社の機能を付加することにより、ガス会社側にとっても警備会社側にとっても契約住戸にとっても利点を見いだせるシステムの構築が可能となる。
【0025】
すなわち、本システムによれば、緊急時には、契約している対応組織を意識することなく最も適切に(早く)緊急対応が可能な対応組織が選択され、通常は、サーバリソースをメール配信機能として利用して放射線数値を契約住戸の住人へメール送信する。なお、以降において、本発明のホームセキュリティシステムをホームセキュリティシステムKと適宜表記するものとする。
【0026】
図3は、ホームセキュリティシステムKの「警備」と「メール送信」の流れを概説する説明図である。図4は、住戸に設置された、放射線測定器、火災報知器、非常用ボタン、非常警告灯、各種メータ、電話、伝送装置等の接続関係を示した概念図である。
【0027】
図4に示したように、伝送装置401は、複数のポートを有し、電話402の接続はもちろんのこと、火災警報機404、自動検針機能・ガス警報機能付きのガスメータ405、自動検針機能・漏水警報機能付きの水道メータ406、自動検針機能・漏電警報機能付きの電気メータ408を接続し、また、非常用ボタン407からの配線も引き込み、各種情報を入力し、電話回線409を通じてセンタCなどと接続する。
【0028】
また、住戸の外壁面または住戸屋外には非常警告灯410が備わり、非常用ボタン407の押下に連動して点灯するようになっている。また非常警告灯410はサーバ装置Scからの制御により点灯するようにもしている。
【0029】
さらに、伝送装置401は、屋外(例えば玄関付近)に設置された放射線測定器411を接続する。放射線測定器411は、定期的に、また、所定値以上の放射線が測定された場合に、センタCにその測定値を伝送する。これにより、ホームセキュリティシステムKでは、後述のように、住人の携帯電話またはパソコンに放射線数値が埋め込まれた定型メールが送られるようにしている。
【0030】
図3において矢印で表したように、ホームセキュリティシステムKでは、契約住戸Dから緊急情報の発信(火災発生信号情報、ガス漏れ検知信号情報、漏水発生信号情報、非常事態発生信号情報)があった場合に、一旦サーバ装置Scでその情報種別ないし内容を判別し、最適な通報先を設定して情報変換し、対応員を派遣させるべく対応組織へ転送する。
【0031】
また、測定された放射線測定数値については、サーバ装置Scを介して、住人の携帯電話に「15:00の放射線量は、○○μSvです」という内容の定型メールを送信する。
【0032】
また、サーバ装置Scは、ガスメータ405、水道メータ406、電気メータ408からメータ情報を読み取り、ガス会社、水道会社、電力会社等、必要な送信先にメータ情報を送信する。その後、受信側では、使用量算出、徴収金額算出、印刷、料金徴収管理などがおこなわれる。
【0033】
(サーバ装置Scのハードウェア構成)
図5は、サーバ装置Scのハードウェア構成の一例を説明した説明図である。サーバ装置Scは、そのハードウェア構成として、CPU101と、ROM102と、RAM103と、ハードディスク(HD)104と、グラフィックスカード105と、モニタ106と、キーボード(K/B)107と、マウス(MOUSE)108と、通信部109と、を有する。
【0034】
CPU101は、OSと共にサーバ装置Sc全体を制御し、また、各種のプログラムの処理制御をおこなう。具体的には、たとえば、CPU101は、ハードディスク104に格納されているプログラムにしたがって、通信部109から入力された住戸からの情報を受信し、緊急情報(非常事態発生信号、火災発生信号、ガス漏れ信号等)であれば最適な対応組織(警備会社、ガス会社、消防署等)を選択し、当該対応組織の仕様に合うように情報を変換して通信部109を介して送信する制御をおこなう。
【0035】
また、放射線数値情報であれば、放射線数値を埋め込んだ定型文を測定元の住戸の住人のメールアドレスに送信する制御をおこなう。
【0036】
また、メータ情報であれば、当該住戸を所管する対応組織(ガス会社、水道会社、電力会社)の仕様に合うようにメータ情報を変換する制御をおこなう。このほかCPU101は、ハードディスク104に格納されている作業データをRAM103に一時保存する制御等もおこなう。
【0037】
ROM102は、ブートプログラム等を記憶する。使用の態様によっては、ROM102は、サーバ装置Scの制御プログラムを格納しておいてもよい。RAM103は、CPU101のワークエリアとして使用する。具体的には、ハードディスク104から読み出されたデータの内容やプログラム内容などを一時的に格納する。
【0038】
ハードディスク104は、オペレーティング装置(OS)、アプリケーションプログラム、各種のデータを記憶する。ハードディスクの構成については後述する。
【0039】
グラフィックスカード105は、モニタ106へ出力すべき画像信号を送出する。グラフィックスカード105は、出力すべき画像信号を格納するVRAMと、処理された画像信号をモニタ106へ出力する画像出力インターフェース(画像出力I/F)を備える。画像出力I/Fは、VRAMに展開されたRGB画像データをモニタ106へ出力する。
【0040】
通信部109は、電話回線を介して住戸(伝送装置401)からの情報を受信し、また、メールを送信したり、最適通報先のサーバへ向けて住戸からの緊急情報(非常事態発生信号、ガス漏れ信号等)を転送する。また、メータ情報も送信する。送受信のためのハードウェア構成は、内容の伝送が確実であればその態様は問わないが、たとえば、ネットワークカード、DSU、ターミナルアダプタなどにより構成できる。なお、通信部109は後述する通信プログラム142により制御される。
【0041】
このほか、図示は省略するが、サーバ装置Scは、フレキシブルディスクドライブ装置、CD−ROMドライブ装置、MOドライブ装置等を搭載することも可能である。
【0042】
次に、ハードディスク104に格納されているプログラムないしソフトウェアについて説明する。ハードディスク104は、サーバ装置Sc全体を制御するOS141と、通信データの送受信を司る通信プログラム142と、入力した情報が緊急情報(非常事態発生信号、火災発生信号、ガス漏れ信号等)であるか、放射線数値であるか、メータ情報であるかを判別する判別プログラム143と、判別結果にしたがって、送信先を設定する設定プログラム144と、設定された送信先において情報を認識可能とすべく送信先のサーバ装置の処理プロトコルに沿うように各種情報を変換する変換プログラム145と、送信先の対応組織における対処状況を管理する対処管理プログラム146と、放射線数値についてメール送信をおこなう放射線メール作成送信プログラム147と、送信元の電話番号(または伝送装置401のID)と所在地とを対応させ、その所在地に基づいて第1送信先と第2送信先とを対応づけて格納した対応データベース151と、対応組織側のサーバの通信プロトコルないし仕様を格納した通信プロトコル記憶部152と、住戸の識別情報とメールアドレスと定型文であるメール内容とを対応づけて格納したメールデータベース153と、住戸の識別情報と当該住戸を所管するのがどのガス会社、水道会社、および、電力会社であるかに関する情報とを対応づけて格納した所管情報データベース154と、を備える。
【0043】
なお、ここに説明したプログラム、DBもしくは記憶部は、サーバ装置Scが実現するホームセキュリティシステムという観点から集約したプログラム集合を説明したに過ぎず、実際のプログラムは多数のコンポーネントやDLLなどにより構成される。後述する機能的構成は、これらのプログラムが単体もしくは複数で、場合によっては他の構成要素と協働して各種実現されるものである。
【0044】
(ホームセキュリティシステムの機能的構成)
次に、ホームセキュリティシステムの機能的構成を、伝送装置401と、サーバ装置Scと、サーバ装置Saと、携帯電話とのそれぞれの機能的構成の観点から説明する。なお、第1通報先であるか、第2通報先であるかの状況に応じた機能的な相違はあるものの、実質的な機能はサーバ装置Saもサーバ装置Sbも同じであるため、ここでは、サーバ装置Saを例示するものとする。
【0045】
図6は、ホームセキュリティシステムの機能的構成を例示した説明図である。以下の説明では、第1通報先が対応組織A(ガス会社A)であり、第2通報先が対応組織B(警備会社B)であるとする。
【0046】
サーバ装置Scは、情報入力部201と、判別部202と、送信先設定部203と、情報変換部204と、情報変換制御部205と、情報送信部206と、対応済情報受信部207と、待機解除・対応要請送信部208と、メール送信部209と、を有する。
【0047】
また、サーバ装置Saは、情報入力部301と、判定部302と、内容出力部303と、算出部304と、印刷部305と、記憶部306と、情報確認入力部307と、対応済情報送信部308と、を有する。
【0048】
伝送装置401は、信号メータ情報入力部501と、情報送信部502と、点灯制御部503と、を有する。
【0049】
次に各機能部を詳述する。
(サーバ装置Scの機能的構成)
情報入力部201は、住戸に設置された伝送装置401から住戸の識別情報と緊急情報、放射線数値、メータ情報等、具体的な情報を入力する。この住戸の識別情報は、一般的には電話番号や伝送装置のIDを意味する。ただし、最終的に所在地情報に置換されるのであればその態様を問わない。情報種別としては、緊急情報(火災発生信号情報、ガス漏れ検知信号情報、漏水発生信号情報、漏電発生信号、不審者出没等の非常事態発生信号情報、その他の要緊急対応信号情報)と、放射線測定器411からの放射線数値と、メータ情報(水道メータ情報、ガスメータ情報、電気メータ情報、その他のメータ情報)と、が存在する。
【0050】
サーバ装置Scと伝送装置401とは電話回線(アナログ、デジタルを問わない)により接続されており、情報が電話回線を通じてサーバ装置Scに送信される。情報入力部201は、たとえば、通信部109と、OS141と、通信プログラム142などによりその機能を実現することができる。
【0051】
判別部202は、情報入力部201により入力された情報に基づいて、当該情報が、緊急情報であるか放射線数値であるかメータ情報であるかを判別する。判別は、伝送装置401のポートの番号情報に基づいておこなうことが可能である。判別部202は、たとえばOS141と、RAM103と、判別プログラム143、などによりその機能を実現することができる。
【0052】
送信先設定部203は、入力した情報が緊急情報と判別された場合には、当該緊急情報にかかる住戸の所在地に基づいて各種対応組織の中から最適な送信先を設定する。このとき、送信先設定部203は、対応データベース151と所管情報データベース154に基づいて、送信元の住所に基づいて第1通報先と第2通報先とを設定する。第1通報先とは一般的には最も短時間に対応員が急行できる対応組織をいう。契約住戸Dは警備会社Bと契約しているが、ここではガス会社Aが、対応員の派遣元となる。なお、第1通報先とは、必ずしも時間に限らず、住宅状況(高層マンション)や火災状況によっては消防車対応が必要となるため、専門性を加味して決定されてもよい。なお、通報された時刻や情報の内容に応じて、第1通報先と、第2通報先を適宜選択可能にしてもよい。また、ここでは、通報先の選択肢は二つとして説明するが、より確実性を高めるために、通報先を三箇所以上設定するようにしてもよい。
【0053】
また、送信先設定部203は、入力した情報が放射線数値と判別された場合には、メールデータベース153に基づいて当該数値の送信元の住戸に予め関連づけられた端末装置のメールアドレスを送信先として設定する。契約住戸Dから、所定時刻に定型メールが携帯電話等に送られることにより、自宅周りの放射線量を確認できるようになる。
【0054】
また、送信先設定部203は、入力した情報がメータ情報と判別された場合には、当該メータ情報にかかる住戸を所管する対応組織を送信先と設定する。このメータ情報は緊急性を要さない自動検針の結果であるので、水道メータのメータ情報であれば、その地域の水道会社を、ガスメータのメータ情報であればその地域の都市ガス局(ここではガス会社A)を、電気メータのメータ情報であればその地域の電力会社を、それぞれ送信先と設定する。このとき、送信先設定部203は、所管情報データベース154の中から、送信元の住所に基づいて送信先を設定する。
【0055】
送信先設定部203は、たとえば、設定プログラム144と、放射線メール作成送信プログラム147と、OS141と、対応データベース151、メールデータベース153、所管情報データベース154となどによりその機能を実現できる。
【0056】
情報変換部204は、情報入力部201により入力された情報が緊急情報である場合に、その情報を、送信先設定部203により設定された第1通報先(対応組織A)と第2通報先(対応組織B)のそれぞれに配置されたサーバ(サーバ装置Saおよびサーバ装置Sb)側で認識可能に変換する。また、情報変換部204は、情報入力部201により入力された情報がメータ情報である場合に、その情報を、送信先設定部203により設定された所管の対応組織側で認識可能に変換する。すなわち、情報変換部204が存在することにより、個々の対応組織側の受信装置の仕様にそった情報へ変換される(変換情報が作成される)こととなる。
【0057】
換言すると、センタCが介在することにより、伝送装置や送受信プロトコルの相違を吸収することが可能となり、その住戸に設置される伝送装置に依存しないサービスが提供可能となる。なお、情報変換部204では、通信プロトコル記憶部152からサーバ装置Saおよびサーバ装置Sbで認識されるプロトコルを入手する。
【0058】
情報変換制御部205は、緊急情報に関しては、当該変換情報に、さらに、通報先の警備会社が第1通報先であるのか第2通報先であるのかの情報を組み込む。すなわち、優先順位に関する情報を付加する。これにより、第1通報先では、至急対応すべき状態と認識し、第2通報先では、待機班としての準備をすべき状態であると認識できる。すなわち、情報変換部204と情報変換制御部205が存在することにより、警備の確実性が担保されることとなる。
【0059】
情報変換部204は、たとえば、変換プログラム145と、通信プロトコル記憶部152などによりその機能を実現することができる。また、情報変換制御部205は、たとえば、変換プログラム145と、設定プログラム144と、対応データベース151と、所管情報データベース154、通信プログラム142と、OS141などによりその機能を実現することができる。
【0060】
情報送信部206は、情報変換部204により作成された変換情報を、対応組織へ向けて送信する。送信に際しては、データ送受信の確実性を担保し、また、従来のインフラを利用するため電話回線を用いる。
【0061】
情報送信部206は、たとえば、通信プログラム142と、対処管理プログラム146と、OS141と、通信部109などによりその機能を実現することができる。
【0062】
対応済情報受信部207は、対応組織から連絡を受信したまたは対応済みである旨の情報を受信する。待機解除・対応要請送信部208は、情報送信部206から第1通報先へ変換情報を送信してからの時間を計測し、所定の時間内に第1通報先にて対応した旨の連絡(返信)が対応済情報受信部207を介してあった場合には、第2通報先(警備会社B)へ待機解除信号を送信し、所定の時間を経過しても対応した旨の連絡がない場合には、第2通報先へ対応要請信号を送信する。対応要請信号を送出する際には、変換情報に第1通報先である旨の情報を付加して、改めて情報送信部206から送信する対応であってもよい。
【0063】
対応済情報受信部207は、たとえば、対処管理プログラム146と、通信プログラム142などによりその機能を実現することができる。待機解除・対応要請送信部208は、たとえば、対処管理プログラム146と、通信プログラム142と、通信部109と、OS141などによりその機能を実現することができる。
【0064】
メール送信部209は、送信先設定部203により設定されたメールアドレスに対して、情報入力部201で入力した放射線数値を埋め込んだ所定の定型文メールを作成して送信する。この定型文は、メールデータベース153に格納された定型文である。メール送信部209は、たとえば、放射線メール作成送信プログラム147と、通信プログラム142と、メールデータベース153と、通信部109等によりその機能を実現することができる。
【0065】
(サーバ装置Saの機能的構成)
サーバ装置Saの機能的構成について説明する。サーバ装置Saは、上述のごとく、その機能的構成として、情報入力部301と、判定部302と、内容出力部303と、算出部304と、印刷部305と、記憶部306と、情報確認入力部307と、対応済情報送信部308と、を有する。
【0066】
情報入力部301は、サーバ装置Scから、緊急情報とメータ情報の変換情報を受信する。
【0067】
また、判定部302は、情報入力部301により入力された変換情報が緊急情報であるかメータ情報であるかを判定する。
【0068】
内容出力部303は、判定部302により、入力された情報が緊急情報であると判定された場合に、その住戸の所在地と異常の内容と第1通報先であることとを対応員が認識可能に出力する。出力形式は、モニタ表示であっても音声表示であってもよい。また、対応組織Aのシステム仕様によっては、対応員が持ち歩くPDAないしページャ、または無線で出力させるようにしてもよい。これにより、対応員は、どの住戸に対してどのような対応をすればよいか認識できる。
【0069】
算出部304は、判定部302により、入力された情報がメータ情報であると判定された場合に、メータ情報に基づいてその住戸における水道、ガス、電気の使用量と徴収金額を算出する。これは、適宜サーバ装置Saに、所管する各住戸と前回までのメータ値とを対応づけて格納しておくことにより算出可能となる。また、水道料は管の径により単価が異なるので、適宜この料金表も格納しておき、徴収金額を算出する。
【0070】
なお、自動検針機能付きの水道メータを対応組織側で購入し、契約者に対して低廉な価格でリースし、徴収金額にリース料を上乗せするようにすることも可能である。これは、単に検針機能付きメータに取り替えると割高であるところ、ホームセキュリティを導入する際には必ず伝送装置の取付けまたは工事が必要となり、この資産を利用するという視点に立てば総じて割安になり、住戸側にとっても業者側にとっても、導入のメリットが生じることとなる。
【0071】
印刷部305は、算出部304により算出された使用量および/または徴収金額を、当該住戸の宛名と共に印刷する。これにより、所管の対応組織側では、作業が自動化され、業務負担が低減することとなる。
【0072】
なお、徴収業務を、対応員がおこなうようにしてもよい。これにより、対応員が、平常時に暇をもてあますことなく、地域パトロールその他の業務(保守・点検)も可能となり、地域に根ざした保安活動が可能となる。
【0073】
記憶部306は、徴収された水道料金および/またはガス料金および/または電気料金を徴収済み情報としてサーバ装置Saに記憶する。記憶部306は、住戸の情報(ID)、前回までのメータ情報、今回のメータ情報、使用量、徴収金額、未収・徴収済などの情報を、関連づけて記憶させておくこともできる。
【0074】
情報確認入力部307は、対応員が、内容出力部303により出力された情報を確認した旨の情報を入力する。これにより、情報が対応員に伝わったことが確認できる。入力の態様は、専用のボタン(確認ボタン)であってもよいし、対応組織内でサーバ装置Saの前にいる所員が確認アイコン等を押下する等してもよい。
【0075】
また、対応済情報送信部308は、情報確認入力部307により情報が入力された場合に、サーバ装置Scに対して対応済である旨の対応済情報を送信する。なお、この対応済情報は、待機解除・対応要請送信部208に入力されることになる。
【0076】
なお、以上の例はサーバ装置Saについての説明であるが、サーバ装置Sbについても同様である。ただし、サーバ装置Sbの場合は、情報入力部301では、異常情報について第2通報先である旨も付加される。
【0077】
(伝送装置・放射線測定器の機能的構成)
次に、伝送装置401の機能的構成について説明する。
信号メータ情報入力部501は、各契約住戸に設置された、放射線測定器411、火災警報機404、非常用ボタン407、ガスメータ405、水道メータ406、電気メータ408から、放射線測定器411からは放射線数値、火災警報機404からは火災発生信号情報、非常用ボタン407からは非常事態発生信号情報、ガスメータ405からはガス漏れ検知信号情報およびメータ情報、水道メータ406からは漏水発生信号情報およびメータ情報、電気メータ408からは漏電発生信号情報およびメータ情報を入力する。
【0078】
情報送信部502は、信号メータ情報入力部501により入力された信号情報、放射線数値、またはメータ情報を、当該住戸の識別情報も付加してセンタ側のサーバ装置Scに送信する。
【0079】
点灯制御部503は、非常用ボタン407が押下された場合に、非常警告灯410を点灯する。また、場合により、情報送信部206からも点灯制御可能とする。
【0080】
放射線測定器411は、定時または一定時間間隔で、もしくは、所定の放射線数値以上の放射線を測定した場合に、放射線数値を伝送装置401に入力し、これがサーバ装置Scにより処理され当該住戸の住人へのメール送信が実行される。図7は、携帯電話に表示されるおもな項目を示した本文画面の例を示した図である。
【0081】
以上説明したように、本発明によれば、放射線数値も提供可能なホームセキュリティサービスを提供することができる。なお、実施の態様はこれに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のホームセキュリティシステムでは、発明の構成において、火災発生信号にかえ、漏電発生信号を用いて、電力会社との間で広義の警備システムを構築することも可能である。また、たとえば、冷蔵庫のドアの開閉時間に基づいて、一定時間の不使用状態である場合に、その旨をメール送信することもできる。これによれば、日中に老人しかいない住戸において安否確認をおこなうこともできる。
【符号の説明】
【0083】
104 ハードディスク
109 通信部
141 OS
142 通信プログラム
143 判別プログラム
144 設定プログラム
145 変換プログラム
146 対処管理プログラム
147 放射線メール作成送信プログラム
151 対応データベース
152 通信プロトコル記憶部
153 所管情報データベース
154 メールデータベース
201 情報入力部
202 判別部
203 送信先設定部
204 情報変換部
205 情報変換制御部
206 情報送信部
207 対応済情報受信部
208 待機解除・対応要請送信部
209 メール送信部
301 情報入力部
302 判定部
303 内容出力部
304 算出部
305 印刷部
306 記憶部
307 情報確認入力部
308 対応済情報送信部
401 伝送装置
402 電話
404 火災警報機
405 ガスメータ
406 水道メータ
407 非常用ボタン
408 電気メータ
409 電話回線
410 非常警告灯
411 放射線測定器
501 信号メータ情報入力部
502 情報送信部
503 点灯制御部
A 対応組織(ガス会社)
B 対応組織(警備会社)
C センタ
D 契約住戸
K ホームセキュリティシステム
Sa、Sb、Sc サーバ装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
各契約住戸それぞれに配された非常用ボタン、火災報知器、および、放射線測定器と、
当該非常用ボタン、火災報知器、および、放射線測定器それぞれに一対一に対応づけられたポートを有する、各契約住戸それぞれに配された伝送装置と、
各契約住戸の伝送装置からの情報を電話回線を通じて集中して受信するセンタ側に配置されたセンタ側コンピュータと、
センタ側コンピュータからの送信を受けて対応員を住戸へ派遣する各種対応組織側に配置された対応側コンピュータと、
センタ側コンピュータから送信されたメールを表示する端末装置であって各契約住戸にかかる住人の有する端末装置と、
を含むホームセキュリティシステムであって、
伝送装置は、
各契約住戸に設置された、非常用ボタン、火災警報機、放射線測定器から、それぞれ、非常事態発生信号、火災発生信号、放射線数値を入力する信号数値入力手段と、
信号数値入力手段により入力された信号または数値を、当該住戸の識別情報も付加した情報としてセンタ側コンピュータに送信する情報送信手段と、
を備え、
センタ側コンピュータは、
伝送装置から送信された情報を入力するセンタ側情報入力手段と、
センタ側情報入力手段により入力された情報が非常事態発生信号または火災発生信号である場合には、当該信号と当該信号送信元の住戸の所在地とに基づいて各種対応組織側の中から最適な送信先を設定する送信先設定手段と、
送信先設定手段により設定された送信先の対応側コンピュータが認識可能に信号および識別情報を変換して変換情報を作成する情報変換手段と、
情報変換手段により作成された変換情報を当該対応側コンピュータへ送信するセンタ側情報送信手段と、
センタ側情報入力手段により入力された情報が放射線数値である場合には、当該数値送信元の住戸に予め関連づけられた端末装置のメールアドレスへ放射線数値を含んだ定型文メールを送信するメール送信手段と、
を備え、
対応側コンピュータは、
センタ側情報送信手段により送信された変換情報を入力する対応側情報入力手段と、
対応側情報入力手段により入力された変換情報に基づいて当該住戸の所在地を対応員が認識可能に出力する所在地情報出力手段と、
を備えたことを特徴とするホームセキュリティシステム。
【請求項2】
放射線測定器は、放射線数値を所定時刻または所定時間間隔で伝送装置へ送出することを特徴とする請求項1に記載のホームセキュリティシステム。
【請求項3】
放射線測定器は、所定数値以上の放射線を測定した場合に、当該放射線数値を伝送装置へ送出することを特徴とする請求項1または2に記載のホームセキュリティシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−41452(P2013−41452A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178429(P2011−178429)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(509246264)株式会社セーフティネクスト (2)
【Fターム(参考)】