説明

ホームネットワークにおけるアクセス制御方法およびこれを用いるホームゲートウェイ装置

【課題】 ホームネットワークに接続されたホーム機器を、当該ホームネットワークで利用する複数のサービスシステムで共有可能とする、ホームネットワークにおけるアクセス制御方法およびこれを用いるホームゲートウェイ装置を提供する。
【解決手段】 HGWは、予め設定された属性情報ごとに、対応するAPプログラム情報毎の、対応するDRVプログラム情報を使用するホーム機器10の使用可否を示すホーム機器管理テーブルを保持し、APプログラム情報を起動したときに、当該APプログラムに対応する属性情報のホーム機器管理テーブルに基づいて、当該APプログラムにより現在使用可能なホーム機器10の情報を取得してこれにより使用可能機器表示情報を生成してユーザ端末70に送信し、これに応答して送信された使用対象のホーム機器10の動作を制御するドライブプログラムと、起動されたアプリケーションプログラムとを連携して実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームネットワークにおけるアクセス制御方法およびこれを用いるホームゲートウェイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭内に配置されたホームゲートウェイ(以下、「HGW」と称する。)により、ホーム機器を広域ネットワークに連携させるためのホームICT(Information and Communications Technology)技術がある。
【0003】
このホームICT技術を利用することにより、非特許文献1または非特許文献2に記載されたような、様々なサービスを利用することが可能になる。
【0004】
非特許文献1には、1台のサービスゲートウェイに、ガス機器、照明機器、香り発生装置、VOD(ビデオ・オン・デマンド)機器、ハードディスクレコーダ(HDR)など多様な機器を制御するためのソフトウェアをそれぞれダウンロードし、それらを集中制御により総合的にコントロールして、ユーザの好みに合わせた入浴方法や浴室空間をカスタマイズする技術が記載されている。
【0005】
また非特許文献2には、ホームサービスを実現する複数のソフトウェアをデータセンタから1台のHGWに配布し、複数のホームサービスを多重化して1つのプラットフォームに提供してアクセス制御を行う技術が記載されている。
【0006】
これらの技術を利用することにより、家庭内にサービスごとに専用のHGWを設置する必要がなく、1台のHGWで複数のサービスを利用することができるため、HGWの設置場所を小さくすることができる、操作性や利便性が高くなる、通信安全性が高くなる等の利益を得ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】2006年11月27日報道発表資料:浴室で五感トータルにうったえる“New浴Program”の実験開始、URL=http://www.ntt.co.jp/news/news06/0611/061127a.html, 2011年2月3日検索
【非特許文献2】2005年8月5日報道発表資料:生活シーンに応じて進化するガス機器を中心とした総合生活支援サービスの実験開始、URL=http://www.ntt.co.jp/news/news05/0508/050805.html, 2011年2月3日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記非特許文献1や非特許文献2に記載の技術では、サービスごとに必要な数量、型番のホーム機器が予め固定的に設置されていることが必要であり、これにより複数のサービスを同時に利用することは可能である。
【0009】
しかし、複数のサービスにおいて同一のホーム機器を利用する場合、例えばHGWにより提供されるA社のサービスとB社のサービスとの両方で固定カメラ装置を利用する場合、家庭内に2台の固定カメラ装置を設置する必要があり、システムの構築が煩雑であるとともにリソースに無駄が生じ、非効率的であるという問題があった。
【0010】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、ホームネットワークに接続されたホーム機器を、当該ホームネットワークで利用する複数のサービスシステムで共有可能とする、ホームネットワークにおけるアクセス制御方法およびこれを用いるホームゲートウェイ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明のホームネットワークにおけるアクセス制御方法は、ホーム機器が接続されたホームネットワークに接続されたホームゲートウェイ装置が、前記ホーム機器を利用した処理を実行するためのアプリケーションプログラム情報と、このアプリケーションプログラム情報で使用するホーム機器が有する、ネットワーク通信を実行するための機能毎またはプロトコル毎に予め設定された属性情報とを格納し、前記ホーム機器の動作を制御するためのドライバプログラム情報と、このドライバプログラム情報に対応する前記属性情報とを格納し、前記属性情報ごとに、対応するアプリケーションプログラム情報毎の、対応するドライバプログラム情報を使用するホーム機器の使用可否を示すホーム機器管理テーブルを保持し、前記アプリケーションプログラム情報を起動したときに、当該アプリケーションプログラムに対応する属性情報の前記ホーム機器管理テーブルに基づいて、当該アプリケーションプログラムにより現在使用可能なホーム機器の情報を取得してこれにより使用可能機器表示情報を生成して接続されたユーザ端末に送信し、また、前記使用可能機器表示情報を送信したことにより前記ユーザ端末から送信された使用対象のホーム機器の情報を取得し、取得された使用対象のホーム機器の動作を制御するドライブプログラムと、前記起動されたアプリケーションプログラムとを連携して実行させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のホームゲートウェイ装置は、ホーム機器が接続されたホームネットワークに接続されたホームゲートウェイ装置において、前記ホーム機器を利用した処理を実行するためのアプリケーションプログラム情報と、このアプリケーションプログラム情報で使用するホーム機器が有する、ネットワーク通信を実行するための機能毎またはプロトコル毎に予め設定された属性情報とを格納するアプリケーション情報格納部と、前記ホーム機器の動作を制御するためのドライバプログラム情報と、このドライバプログラム情報に対応する前記属性情報とを格納するドライバ情報格納部と、前記属性情報ごとに、対応するアプリケーションプログラム情報毎の、対応するドライバプログラム情報を使用するホーム機器の使用可否を示すホーム機器管理テーブルを保持するホーム機器管理テーブル保持部と、前記アプリケーションプログラム情報が起動されたときに、前記ホーム機器管理テーブル保持部に保持された、当該アプリケーションプログラムに対応する属性情報のホーム機器管理テーブルに基づいて、当該アプリケーションプログラムにより現在使用可能なホーム機器の情報を取得してこれにより使用可能機器表示情報を生成して接続されたユーザ端末に送信し、また、前記使用可能機器表示情報を送信したことにより前記ユーザ端末から送信された使用対象のホーム機器の情報を取得するユーザインタフェース処理部と、前記ユーザインタフェース処理部により取得された使用対象のホーム機器の動作を制御するドライブプログラムと、前記起動されたアプリケーションプログラムとを連携して実行させる連携制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のホームネットワークにおけるアクセス制御方法およびこれを用いるホームゲートウェイ装置によれば、ホームネットワークに接続されたホーム機器を、当該ホームネットワークで利用する複数のサービスシステムで共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態によるホームゲートウェイ装置を利用したホームネットワークシステムの構成を示す全体図である。
【図2】本発明の一実施形態によるホームゲートウェイ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態によるホームゲートウェイ装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態によるホームゲートウェイ装置によるホーム機器管理テーブルの更新処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態によるホームゲートウェイ装置に保持されるホーム機器管理テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態によるホームゲートウェイ装置に格納されたAPプログラムと、AP属性と、DRV属性と、DRVプログラムとの関係示す説明図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるホームゲートウェイ装置に保持されるホーム機器管理テーブルの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈一実施形態によるHGWを利用したホームネットワークシステムの構成〉
本発明の一実施形態によるHGWを利用したホームネットワークシステムの構成について、図1を参照して説明する。
【0016】
図1は、本実施形態によるホームネットワークシステム1の全体図であり、家庭A内に設置されたn台のホーム機器10−1、10−2…10−nと、HGW20とが、ホームネットワーク(以下、「HNW」と称する。)30を介して接続されている。また、このHGW20は外部の広域ネットワーク(以下、「WAN」と称する。)40に接続され、このWAN40にはOSAP(OSGi Service Aggregation Platform)サーバ50およびHSP(HomeICT Service Provider)サーバ60が接続され、HSPサーバ60にはさらにユーザ端末70が接続されている。
【0017】
ホーム機器10−1〜10−nは、家庭A内に設置された家電機器である。
【0018】
HGW20は、家庭A内のWAN40側に設置されたルータ(図示せず)の配下に設置されるかまたはブロードバンドルータに組み込まれたプログラムにより構成され、図2に示すように、OS21上のJVM(Java Virtual Machine)22により処理が行われるOSGiフレームワーク23が実装され、WAN40に接続されたWAN側接続部24と、このWAN側接続部24に接続されたアプリケーション(以下、「AP」と称する。)処理部25と、HNW30に接続されたHNW側接続部26と、このHNW側接続部26に接続されたドライバ(以下、「DRV」と称する。)処理部27と、AP処理部25とDRV処理部27とに接続されたパーミッション制御部28とを有する。本実施形態において、AP処理部25、DRV処理部27、およびパーミッション制御部28の動作は、OSGiフレームワーク23上で実行される。
【0019】
OSGiフレームワーク23は、HNW30上で様々なOSGiサービスを利用するためのAPプログラム、DRVプログラムのダウンロード、起動、停止、再起動、アンインストール等のプログラムのライフサイクルの管理と、これらのプログラムにより提供されるOSGiサービスの管理とを行う。OSGiサービスは、OSGiフレームワーク23上で動作する他のプログラムから利用可能なAPI(Application Program Interface)であり、一般にUNIX等でシステムサービス、システムコール等と呼ばれるものである。
【0020】
WAN側接続部24は、WAN40との通信を行う。
【0021】
AP処理部25は、AP情報管理部251と、AP情報格納部252と、AP実行部253とを有する。
【0022】
AP情報管理部251は、当該HGW20に、HNW30内のホーム機器10−1〜10−nを利用したサービス処理を実行するためのAPプログラム情報と、このAPプログラム情報で使用するホーム機器が有すべき属性を示すAP属性とからなるAP情報をインストールしたときに、これらのAP情報をAP情報格納部252に格納するとともに、当該AP属性をパーミッション制御部28に送出する。
【0023】
このAP属性は、ネットワーク通信を実行するために予め設定された技術仕様を含む機能毎の項目、例えばUPnP(Universal Plug and Play)、WOL(Wake On LAN)、DMP(Digital Media Player)、DMR(Digital Media Recorder)、またはプロトコル毎の項目により設定されるものであり、APプログラムと併せて1つのサービスの提供が実現される。また、JavaにおいてはAPプログラム情報がインスタンスメソッド、AP属性がインスタンス変数として構成される。
【0024】
AP情報格納部252は、AP情報管理部251の処理により、AP情報を格納する。
【0025】
AP実行部253は、AP情報格納部252に格納されたAP情報に基づいて、後述するDRV処理部27に格納されるDRV情報を用いて処理を実行する。
【0026】
HNW側接続部26は、HNW30との通信を行う。
【0027】
DRV処理部27は、DRV情報管理部271と、DRV情報格納部272と、DRV実行部273とを有する。
【0028】
DRV情報管理部271は、当該HGW20に、ホームHNW30内のホーム機器10−1〜10−nの動作を制御するためのDRVプログラム情報と、このDRVプログラム情報に対応するホーム機器が有している属性を示すDRV属性とからなるDRV情報をインストールしたときに、このDRV情報と、当該DRV情報に対応するホーム機器の識別情報とを紐付けてDRV情報格納部272に格納するとともに、当該DRV属性と対応するホーム機器の識別情報とをパーミッション制御部28に送出する。このDRV属性は、AP属性と同様の項目で設定されるものである。
【0029】
このDRV情報のうち、1つのDRV属性には複数のDRVプログラム情報が対応可能であり、DRVプログラム情報とホーム機器の識別情報とは1対1で対応付けられている。このような対応付けでDRV情報が構成されることにより、ホーム機器毎に異なる複数のDRVプログラム情報を一のDRV属性として吸収し、後述するパーミッション制御部28においてAPプログラムに対して統一されたインタフェースとして提供することができる。また、JavaにおいてはDRVプログラム情報がインスタンスメソッド、DRV属性がインスタンス変数として構成される。
【0030】
DRV情報格納部272は、DRV情報管理部271の処理により、DRV情報と対応するホーム機器の識別情報とを格納する。
【0031】
DRV実行部273は、AP処理部25のAP実行部253の指示により、DRV情報格納部272に格納されたDRV情報に基づいて処理を実行する。
【0032】
パーミッション制御部28は、ホーム機器管理テーブル保持部281と、テーブル管理部282と、ユーザインタフェース(以下、「UI」と称する。)処理部283と、連携制御部284とを有する。
【0033】
ホーム機器管理テーブル保持部281は、AP処理部25によるAPプログラムの実行状態、およびホーム機器10−1〜10−nの使用状態から、各AP属性に一致もしくは包含するDRV属性ごとに、対応するAPプログラム毎のホーム機器の使用の可否情報を格納したホーム機器管理テーブルを保持する。
【0034】
テーブル管理部282は、AP処理部25から送出される情報、およびDRV処理部27から送出される情報に基づいて、ホーム機器管理テーブル保持部281に保持されたホーム機器管理テーブルに格納された情報を最新情報に更新する。また、WAN40側に接続されたユーザ端末70または当該HNW30に接続されたホーム機器としてのユーザ端末から所定のホームICTサービスの利用要求を取得したときに、当該サービスにおいて使用可能なホーム機器の識別情報をホーム機器管理テーブル保持部281から取得する。
【0035】
UI処理部283は、テーブル管理部282により取得された、所定のホームICTサービスで現在使用可能なホーム機器の識別情報を表示させるための使用可能機器表示情報を生成して検索要求の送信元のユーザ端末に送信し、この使用可能機器表示情報を表示させたことによりユーザの操作により指定された使用対象のホーム機器の識別情報を取得し、連携制御部284に通知する。
【0036】
連携制御部284は、UI処理部283からの通知に基づき、要求されたサービスに対応するAPプログラムと、使用対象として指定されたホーム機器に対応するDRVプログラムとを連携して実行させる。
【0037】
HNW30は、家庭内ネットワークであり、TCP/IPをベースとしたLAN(Local Area Network)が用いられることが多いが、他の物理層、プロトコルによるネットワークで構築することも可能である。
【0038】
WAN40は、NGN(Next Generation Network)やインターネット、または相互接続装置を介して構成された携帯電話網等により構成される広域ネットワークである。
【0039】
OSAPサーバ50は、OSGiサービスの利用時にHGWで実行されるAP情報およびDRV情報を保持し、日次更新やオペレータの指示による即時更新時にこれらをHGW20に送信し提供する。
【0040】
HSPサーバ60は、ホームICTサービスを提供するサービス事業主体により管理され、ホームICTサービスを利用する際に自サーバ上で実行されるAPプログラムを保持する。
【0041】
ユーザ端末70は、ユーザにより操作される携帯端末やPC等であり、HSPサーバ60、WAN40を介して家庭A内のHGW20に接続され、ホームICTサービスを利用して遠隔から家庭A内のホーム機器10−1〜10−nの動作を制御する。
【0042】
〈一実施形態によるHGWを利用したホームネットワークシステムの動作〉
次に、本実施形態によるホームネットワークシステム1において、(a)家庭A内のHNW30に新たなホーム機器を接続するときの動作、(b)ホームICTサービスを利用して遠隔のユーザ端末からホーム機器の動作を制御するときの動作、および(c)家庭A内のHNW30からホーム機器を取り外すときの動作について説明する。
【0043】
本実施形態において家庭A内のHGW20では、OSAPサーバ50から提供されるAPプログラム情報およびAP属性を含むAP情報がインストールされ、このAP情報が、AP処理部25のAP情報管理部251の制御によりAP情報格納部252に格納され、このAP属性がパーミッション制御部28のホーム機器管理テーブル保持部281に保持されている。またOSAPサーバ50から提供されるDRVプログラム情報およびDRV属性を含むDRV情報がインストールされ、このDRV属性と、対応するホーム機器の識別情報とが、DRV処理部27のDRV情報管理部271の制御によりDRV情報格納部272に格納されるとともに、パーミッション制御部28のホーム機器管理テーブル保持部281に保持されている。
【0044】
(a)家庭A内のHNW30に新たなホーム機器を接続するときの動作
家庭A内のHNW30に新たなホーム機器10が接続されると、このホーム機器10により自身の識別情報を含む登録要求パケットがHNW30内にブロードキャスト送信される。このブロードキャストされる登録要求パケットの内容は当該ホーム機器10で使用されるプロトコルにより定められており、一般的にホーム機器毎に異なる情報で構成される。
【0045】
HNW30内に送信された登録要求パケットはHGW20のHNW側接続部26で受信され、DRV処理部27のDRV情報格納部272に格納された中の、対応するDRVプログラムがDRV実行部273により起動される。
【0046】
そして、登録要求発信元のホーム機器10の識別情報、起動されたDRVプログラムに対応するDRV属性がパーミッション制御部28に送出され、テーブル管理部282の制御により、ホーム機器管理テーブル保持部281に新たに接続されたホーム機器の情報として該当するDRV属性に対応して登録される。
【0047】
(b)ホームICTサービスを利用して遠隔のユーザ端末からホーム機器の動作を制御するときの動作
まず、遠隔のユーザ端末70からHSPサーバ60、WAN40を介してホームICTサービスの利用要求が送信されると、HGW20のWAN側接続部24で受信され(S1)、これに応じてAP処理部25のAP情報格納部252に格納された中の、当該サービスに該当するAPプログラムがAP実行部253により起動される(S2)。
【0048】
AP実行部253でAPプログラムが起動されるとこれをトリガとして、このAPプログラムにより現在使用可能なホーム機器の情報を要求するための使用可能機器情報取得要求が生成され、パーミッション制御部28に送出される(S3)。この使用可能機器情報取得要求には、当該APプログラムのAP属性情報が含まれる。
【0049】
パーミッション制御部28では、AP処理部25から送出された使用可能機器情報取得要求がUI処理部283で取得される。
【0050】
UI処理部283では、取得された使用可能機器情報取得要求に含まれるAP属性に一致もしくは包含されるDRV属性に対応するホーム機器管理テーブルが参照されて、当該DRV属性に属するDRVプログラムに対応するホーム機器10の識別情報が取得される。そしてさらに、ホーム機器管理テーブル保持部281に保持されたホーム機器管理テーブルが参照されて、取得されたホーム機器10の識別情報の使用可否情報が取得される(S4)。
【0051】
ここで、UI処理部283により参照されるホーム機器管理テーブルの一例を、図4に示す。図4は、AP属性aに対応する複数のAPプログラムであるAPプログラム(1)〜(4)を示す行と、このAP属性aに一致ないしは包含されるDRV属性aに属するDRVプログラムに対応するホーム機器10−1(DMP)およびホーム機器10−2(DMR)を示す列とにより、これらの使用可否を示す関係が表で示されており、白抜きの丸印は該当するAPプログラムとホーム機器との組み合わせで現在使用中であることが示され、斜線付の丸印は該当するホーム機器が他のAPプログラムにより排他的に使用されているために当該APプログラムでは使用不可であることが示され、空白箇所は該当するAPプログラムとホーム機器との組み合わせで使用可能であることが示されている。
【0052】
ここでは、APプログラム(2)によりホーム機器10−1(DMP)が排他的な状態で使用中であり、APプログラム(1)、(3)、および(4)においてホーム機器10−1(DMP)が使用不可であることが示され、また、APプログラム(2)によりホーム機器10−2(DMR)も使用中であるが、これは排他的使用ではなく共有可能な状態での使用であるため他のAPプログラム(1)、(3)、および(4)においても使用可能であることが示されている。
【0053】
次にUI処理部283により、当該APプログラムの実行に必要なリソースであるホーム機器がすべて確保可能であるか否かが判定される(S5)。
【0054】
当該APプログラムの実行に必要なホーム機器がすべて確保可能であると判定されると(S5の「Yes」)、UI処理部283により、この取得されたホーム機器10の識別情報を当該ホームICTサービスで使用可能なホーム機器10として表示させるための使用可能機器表示情報が生成される(S6)。
【0055】
例えば、図4のホーム機器管理テーブルに基づいて、APプログラム(1)、(3)、または(4)により使用可能なホーム機器としてホーム機器10−2(DMR)が取得され、これらを画面に表示させるための使用可能機器表示情報が生成される。
【0056】
生成された使用可能機器表示情報はWAN40、HSPサーバ60を介してユーザ端末70に送信され(S7)、表示される。
【0057】
ユーザ端末70に使用可能機器表示情報が表示されたことにより、提示された使用可能なホーム機器10の中からユーザの操作により使用対象としてのホーム機器が選択されると、このホーム機器10の情報がユーザ端末70からHSPサーバ60、WAN40を介してHGW20に送信される。
【0058】
HGW20では、ユーザ端末70から送信された、使用対象として選択されたホーム機器10の情報がWAN側接続部24で受信されて(S8)パーミッション制御部28で取得され、テーブル管理部282によりホーム機器管理テーブル保持部281に保持されたホーム機器管理テーブルが更新される(S9)。
【0059】
ホーム機器管理テーブルの更新処理について、図5のフローチャートを参照して詳細に説明する。まず、当該APプログラムによる使用対象として選択されたホーム機器10のうち、他のAPプログラムと共有可能な状態で使用するホーム機器10(リソース)に対し、ホーム機器管理テーブルにおいて共有使用中フラグが立てられる(S91)。例えば、図4のように該当するテーブル内のセルに白抜きの丸印が示される。
【0060】
次に、当該APプログラムによる使用対象として選択されたホーム機器10のうち、他のAPプログラムに対し排他的な状態で使用するホーム機器10(リソース)に対し、ホーム機器管理テーブルにおいて排他使用中フラグが立てられる(S92)。例えば、図4のように該当するテーブル内のセルに白抜きの丸印が示される。
【0061】
次に、ステップS92で排他使用中フラグが立てられたホーム機器10に関し、他のAPプログラムに対しては使用不可とする使用不可フラグが立てられる(S93)。例えば、図4のように該当するテーブル内のセルに斜線付の丸印が示される。
【0062】
以上のステップS91〜S93により、ホーム機器管理テーブルの更新処理が完了する。
【0063】
ホーム機器管理テーブルが更新されると、ステップS2において起動されたAPプログラムと、ステップS8において使用対象として選択されたホーム機器10に対応するDRVプログラムとの間で、メソッドコール、関数呼び出し、スレッド間通信、またはプロセス間通信などを許可する通知が、連携制御部284からAP実行部253およびDRV実行部273に送出され、当該APプログラムとDRVプログラムとが連携して実行される(S10)。
【0064】
このように該当するAPプログラムとDRVプログラムとが連携して実行されることにより、ユーザにより利用要求されたホームICTサービスにより、該当するホーム機器10へのアクセスが可能になる。
【0065】
当該APプログラムの実行が終了される際には(S11の「YES」)、ホーム機器管理テーブル内の使用中、使用不可等の更新情報は元の状態に戻される(S12)。
【0066】
(c)家庭A内のHNW30からホーム機器を取り外すときの動作
HGW20内では、接続されているホーム機器10の存在が定期的に確認されており、接続されていたいずれかのホーム機器がHGW20から取り外された場合には、これが意図する取り外しか意図しない取り外しかに関わらず、これに応じてパーミッション制御部28のテーブル管理部282によりホーム機器管理テーブル保持部281に保持されたホーム機器管理テーブルが更新される。
【0067】
このようにホーム機器管理テーブルが、定期的な確認処理で随時最新の状態に更新されることにより、使用可能な状態から使用不可能な状態に遷移したホーム機器が、使用可能なホーム機器として誤認識されることが防止される。
【0068】
上述した(a)および(c)の動作では、ホーム機器10の接続、取り外しを行う場合について説明したが、OSAPサーバ50からHGW20へのAPプログラム情報、AP属性、DRVプログラム情報、DRV属性の配布、削除についても、同様にパーミッション制御部28のテーブル管理部282によりホーム機器管理テーブル保持部281に保持されたホーム機器管理テーブルが更新される。具体的には、図4に示すようにホーム機器管理テーブルが、各APプログラムが行、各ホーム機器が列により表される場合、APプログラムの増減は行の増減で対応され、ホーム機器の増減は列の増減で対応される。
【0069】
以上の実施形態によれば、複数のインスタンス変数とAPプログラムに対応したインスタンスメソッドと、複数のインスタンス変数とDRVプログラムに対応したインスタンスメソッドとの関係により、個別のプログラムレベルよりも1段階抽象化されて連携の可否が判断されるため、従来のように各APプログラムに対し使用するホーム機器の数分のDRVプログラムおよびホーム機器を用意する必要がなく、図6に示すように複数APプログラム(例えばAPプログラム(1)とAPプログラム(2))により一のDRVプログラム(例えばDRVプログラム(2))およびホーム機器(例えばホーム機器10−2)を利用することが可能になる。そのため、ホーム機器やこれを利用するサービスが多様化してきた場合にも、同種のホーム機器を同一のHGW内に複数設置するなどの無駄を回避することができる。
【0070】
また、同一のDRV属性(例えばUPnP)を有するホーム機器を当該HGWに追加する場合にも、APプログラムごとに対応したDRVプログラムを用意する必要がなく、市販品のDRVプログラムをそのまま利用できるため、ホーム機器の追加処理を簡略化することができる。
【0071】
また、上記実施形態で利用するHGWにおいてHNWの帯域を測定し、その測定結果に従って使用可能なホーム機器の数を判断してホーム機器管理テーブルに反映させることにより、さらに利便性を向上させることができる。
【0072】
上記実施形態においては、HGW内において管理するホーム機器管理テーブルにおいて、図4に示すように、該当するAP属性に対応する複数のAPプログラムと、このAP属性に一致ないしは包含されるDRV属性に属するDRVプログラムに対応する複数のホーム機器との間での使用可否を示す場合について説明したが、図7に示すように、複数のAPプログラムと、対応するホーム機器内に記憶された各コンテンツ情報との間での使用可否を示すように拡張して管理されるようにしてもよい。
【0073】
図6のホーム機器管理テーブルでは、APプログラム(2)によりホーム機器10−1(DMP)が排他的に使用中であるとともに、ホーム機器10−2内に記憶されたコンテンツ情報(1)およびコンテンツ情報(2)は他のAPプログラムと共有可能な状態で使用中であり、また、ホーム機器10−2内に記憶されたコンテンツ情報(3)は使用不可状態であることが示されている。
【0074】
このようにホーム機器管理テーブルが拡張されて生成されることで、HGW20のUI処理部283では、前記アプリケーションプログラム情報が起動されたときに、当該アプリケーションプログラムに対応する属性情報のホーム機器管理テーブルに基づいて、当該アプリケーションプログラムにより現在使用可能なホーム機器のコンテンツの識別情報が取得されて使用可能機器表示情報が生成され、ユーザ端末70に送信される。そして、使用可能機器表示情報が送信されたことによりユーザ端末70から送信された使用対象のホーム機器のコンテンツの識別情報が取得され、対応するDRVプログラムと起動されたAPプログラムとが連携されて、使用対象のホーム機器のコンテンツが実行される。
【0075】
図4に示すホーム機器管理テーブルから図6に示すホーム機器管理テーブルへは、HGW20のUI処理部283から各ホーム機器10に送信される情報要求に対して応答として送信される、記憶しているコンテンツ情報を一覧で示すコンテンツリストを用いることにより、拡張が可能になる。
【0076】
また上記実施形態においては、ホーム機器管理テーブルを、図4に示すように該当するAP属性に対応する複数のAPプログラムを示す行と、このAP属性に一致ないしは包含されるDRV属性に属するDRVプログラムに対応するホーム機器を示す列とにより、これらの使用可否を示す関係を表で示す場合について説明したが、HGWのメモリ容量やCPU能力に応じて最適化を行い、プログラム言語PerlやPython、Rubyなどにより使用可能な連想配列や、ハッシュテーブルを用いて効率化するようにしてもよい。
【0077】
また上記実施形態において、図2に示したようにOS−JVM−OSGiフレームワークの階層構造でHGWの基盤が構築されることにより、パーミッション制御部の機能を搭載したプログラムをWAN側の外部のサーバ、例えばOSAPサーバから配布し、上述したホームネットワークシステムで使用するHGWを構成するようにしてもよい。
【0078】
また上記実施形態においてはユーザ端末が外部の広域ネットワーク(WAN)に接続されている場合について説明したが、家庭内のHNWに接続されたホーム機器であるPCや携帯端末をユーザ端末として用い、このユーザ端末からHGWを介してHNW内の他のホーム機器を利用したサービスを要求した際にHGW内でAPプログラムとDRVプログラムとの連携制御が行われ、当該ユーザ端末から他のホーム機器への制御を可能とするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…ホームネットワークシステム
10−1〜10−n…ホーム機器
20…HGW
23…OSGiフレームワーク
24…WAN側接続部
25…AP処理部
26…HNW側接続部
27…DRV処理部
28…パーミッション制御部
30…HNW
40…WAN
50…OSAPサーバ
60…HSPサーバ
70…ユーザ端末
251…AP情報管理部
252…AP情報格納部
253…AP実行部
271…DRV情報管理部
272…DRV情報格納部
273…DRV実行部
281…ホーム機器管理テーブル保持部
282…テーブル管理部
283…UI処理部
284…連携制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーム機器が接続されたホームネットワークに接続されたホームゲートウェイ装置が、
前記ホーム機器を利用した処理を実行するためのアプリケーションプログラム情報と、このアプリケーションプログラム情報で使用するホーム機器が有する、ネットワーク通信を実行するための機能毎またはプロトコル毎に予め設定された属性情報とを格納し、
前記ホーム機器の動作を制御するためのドライバプログラム情報と、このドライバプログラム情報に対応する前記属性情報とを格納し、
前記属性情報ごとに、対応するアプリケーションプログラム情報毎の、対応するドライバプログラム情報を使用するホーム機器の使用可否を示すホーム機器管理テーブルを保持し、
前記アプリケーションプログラム情報を起動したときに、当該アプリケーションプログラムに対応する属性情報の前記ホーム機器管理テーブルに基づいて、当該アプリケーションプログラムにより現在使用可能なホーム機器の情報を取得してこれにより使用可能機器表示情報を生成して接続されたユーザ端末に送信し、また、前記使用可能機器表示情報を送信したことにより前記ユーザ端末から送信された使用対象のホーム機器の情報を取得し、
取得された使用対象のホーム機器の動作を制御するドライブプログラムと、前記起動されたアプリケーションプログラムとを連携して実行させる
ことを特徴とするホームネットワークにおけるアクセス制御方法。
【請求項2】
前記ユーザ端末は、前記ホームネットワークまたは外部の広域ネットワークに接続され、
前記ホームゲートウェイ装置は、前記アプリケーションプログラム情報を、前記ユーザ端末から送信される要求に応じて起動する
ことを特徴とする請求項1に記載のホームネットワークにおけるアクセス制御方法。
【請求項3】
前記ホーム機器には複数のコンテンツ情報が記憶されており、
前記ホームゲートウェイ装置は、
さらに前記ホーム機器に記憶されているコンテンツ情報を一覧で示すコンテンツリストを前記ホーム機器から取得し、
対応するアプリケーションプログラム情報毎の、対応するドライバプログラム情報を使用するホーム機器に記憶されたコンテンツ情報ごとの使用可否を示すホーム機器管理テーブルを保持し、
前記アプリケーションプログラム情報を起動したときに、当該アプリケーションプログラムに対応する属性情報の前記ホーム機器管理テーブルに基づいて、当該アプリケーションプログラムにより現在使用可能なホーム機器のコンテンツの識別情報を取得してこれにより使用可能機器表示情報を生成して接続されたユーザ端末に送信し、また、前記使用可能機器表示情報を送信したことにより前記ユーザ端末から送信された使用対象のホーム機器のコンテンツの識別情報を取得し、
取得された使用対象のホーム機器の動作を制御するドライブプログラムと、前記起動されたアプリケーションプログラムとを連携して、前記使用対象のホーム機器のコンテンツを実行させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のホームネットワークにおけるアクセス制御方法。
【請求項4】
ホーム機器が接続されたホームネットワークに接続されたホームゲートウェイ装置において、
前記ホーム機器を利用した処理を実行するためのアプリケーションプログラム情報と、このアプリケーションプログラム情報で使用するホーム機器が有する、ネットワーク通信を実行するための機能毎またはプロトコル毎に予め設定された属性情報とを格納するアプリケーション情報格納部と、
前記ホーム機器の動作を制御するためのドライバプログラム情報と、このドライバプログラム情報に対応する前記属性情報とを格納するドライバ情報格納部と、
前記属性情報ごとに、対応するアプリケーションプログラム情報毎の、対応するドライバプログラム情報を使用するホーム機器の使用可否を示すホーム機器管理テーブルを保持するホーム機器管理テーブル保持部と、
前記アプリケーションプログラム情報が起動されたときに、前記ホーム機器管理テーブル保持部に保持された、当該アプリケーションプログラムに対応する属性情報のホーム機器管理テーブルに基づいて、当該アプリケーションプログラムにより現在使用可能なホーム機器の情報を取得してこれにより使用可能機器表示情報を生成して接続されたユーザ端末に送信し、また、前記使用可能機器表示情報を送信したことにより前記ユーザ端末から送信された使用対象のホーム機器の情報を取得するユーザインタフェース処理部と、
前記ユーザインタフェース処理部により取得された使用対象のホーム機器の動作を制御するドライブプログラムと、前記起動されたアプリケーションプログラムとを連携して実行させる連携制御部と
を備えることを特徴とするホームゲートウェイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238943(P2012−238943A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105018(P2011−105018)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.UNIX
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】