説明

ホールを有する編地の編成方法およびその編地

【課題】ホールの周縁に位置する編目に加わる力を分散し、編糸を切れにくくするホールを有する編地の編成方法とその編地を提供する。
【解決手段】ホール形成部のみ編目を編成することで編目列のウエール方向がホール形成部の中央付近で折り返し、ホール形成部に挟まれる形でホール3が形成される。また編地1の側端部5より編地外部側に向けて移動しながら掛け目を形成し、同じ位置でホール形成部を編成した後、折り返して編地内部側への移動による重ね目の形成と編成を繰り返しながら元の位置に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールを有する編地の編成方法、およびその編地に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横編機を用いて編地を編成する間にホールを同時に編成することが行われている。ホールを用いたものとしてボタンホールがある。例えば特許文献1では、横孔のボタンホールを有する編地とその編成方法が示されている。また、縦孔のボタンホールも存在する。図9に示す編地30は、ボタンホール33の下端部32で2つに分岐し、その分岐を境にそれぞれ別の編糸で折り返し編成している。ボタンに合う大きさの孔が形成された後に、ボタンホール33の上端部34で隣接する編目を重ねて接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2573101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしこのボタンホール33では、ボタンの掛け外しを繰り返すことで、ボタンホール33の下端部32や上端部34とその両端の編目に加わる力が重なり、着用時に外方に引っ張られる力により糸切れが発生する場合がある。この糸切れは、強度不足を起因する問題であり、ボタンホールに限らず、ホールをベルトや紐などを挿通用に使用する場合にも発生する。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ホールの周縁に位置する編目に加わる力を分散し、編糸が切れにくいホールを有する編地の編成方法とその編地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも前後一対の針床を備え、目移しが可能な横編機を用いたホールを有する編地の編成方法において、前記ホールはホールの周囲を少なくとも1以上のウエールからなる編目列で形成したホール形成部を有し、以下の工程で編成される、
ホール形成部を横方向に向けて移動させると共に、移動方向の逆側に増し目と、移動したホール形成部の編目列に続けて新たな編目列を形成することを繰り返し行うことでホール形成部の始端部を形成する工程1、
前記工程1に続けてホール形成部の編目列を繰り返し形成する工程2、
ホール形成部を前記工程1での移動とは逆の方向に向けて移動させながら前記工程1で形成した増し目との重ね目を形成すると共に、移動した編目列に続けて新たな編目列を形成することを繰り返し行うことでホール形成部の終端部を形成しながらホール形成部の始端部と終端部を接合する工程3を、含むことを特徴とする。
【0007】
本発明では、前記工程1の前と、前記工程3の後に、ホール形成部の始端部と終端部の編目列が傾斜するように順次引き返し編成を行うことを特徴とする。
【0008】
また本発明では、複数のホールを形成するために前記工程2の後、工程3の前に工程1〜3を行い、ホール形成部の始端部と終端部を複数個所で接合してホールを形成することを特徴とする。
【0009】
また本発明の編地は、少なくとも前後一対の針床を有した目移しが可能な横編機を用いて無縫製で編成されたホールを有する編地において、ホールの周囲を少なくとも1以上のウエールからなる編目列で形成したホール形成部を用いて形成され、ウエール方向に連続したホール形成部が略中間位置で折り返し、ホールを挟んで対向するホール形成部は編目列のウエール方向が逆向きになると共に、ホール以外では対向するホール形成部の増し目による始端部と編目による終端部が接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ホールの周囲を形成するホール形成部は、その始端部と終端部が複数の重ね目を形成しながら接合されるため、引っ張りの力がホール周縁の編目に加わった際に力が分散されて強度が増す。
【0011】
また本発明によれば、ホール形成部の始端部と終端部に連続する編目列を、順次引き返し編成を行うことで、編地から分岐するホール形成部が滑らかに曲がり、編目の突っ張りを防ぐことができる。
【0012】
さらに本発明によれば、編地の側端部から突出した編地にホールを2個以上並べることができる。新しいデザインのボタンホールが形成でき、またベルトや紐などの挿通用に使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1として示すホールを有する編地1の概略図である。
【図2】本発明の実施例1として示すホールを有する編地1の編成図である。
【図3】図2に続く本発明の実施例1として示すホールを有する編地1の編成図である。
【図4】図3に続く本発明の実施例1として示すホールを有する編地1の編成図である。
【図5】本発明の実施例2として示すホールを有する編地10の概略図である。
【図6】本発明の実施例2として示すホールを有する編地10の編成図である。
【図7】本発明の実施例3として示すホールを有する編地20の概略図である。
【図8】本発明の実施例3として示すホールを有する編地20の編成概略図である。
【図9】従来のボタンホールを有する編地30の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例1〜3のホールを有する編地の説明を行う。編成に使用する横編機は、前後一対の針床を備えた2枚ベッド横編機で、1本置きの針を用いて編成する。図示はしていないが、筒状編地としてのカーディガンにホールが形成できる。単層編地であれば空針を設定せず連続する編針を用いて編成しても良い。また横編機は、後針床が前針床に対してラッキングが可能で、針床の上方に複数の給糸口を有する。説明の便宜上、編成される編地はすべて平編みとし、編成図では針数を実際の編成よりも少なくしている。勿論、編地は平編み以外の組織を用いて編成しても良い。なお、本実施例で示すホール3,13,23は、ボタンホールであるが、ベルトや紐状のファッションアイテムなどを挿通するホールとしても適用できる。
【0015】
また後述する図2〜4,図6の編成図は、以下の内容で示す。図中の左欄の「S(T)+数字」は工程番号を示す。また、図中の右欄のA〜Sは前針床(以下、FB)およびa〜sは後針床(以下、BB)の編針を、○は旧編目を、●は各工程で編成される新たな編目を、◎は重ね目を、V字は掛け目もしくはタック目を示し、各編成工程で編成動作を行った部分は実線で示す。さらに、図中の中欄における左右方向の矢印は編成方向を、上下、斜め方向の矢印は目移しを行うことを示し、紙面下側にある操作が先に行われる。なお上下、斜め方向が組み合わされた矢印は、その途中の工程は省略する。
【0016】
図1は、実施例1として示すホール3を有する編地1の概略図である。本実施例のホール3を有する編地1は、図中、下側から上側に向けて矢印の示す方向に編成する。編地1の右側の側端部5から分岐したホール形成部1aは編地外部に突出して折り返す。少なくとも1以上のウエールからなる編目列で形成したホール形成部1aは、ホール3を挟んで対向する編目のウエール方向が逆向きとなる。またホール3以外では、対向するホール形成部1aの始端部8と終端部9が増し目となる掛け目と編目で接合する。増し目は掛け目でも良いし、割増やしや捻れ目による編目でも良い。ホール形成部1aが折り返して複数箇所で接合され、引っ張りの力がホール3に加わった際にも、力が分散されて強度が増す。
【0017】
図1で示すホール形成部1aは、矢印の数が示すように、ホール形成部1a以外の編目が編成を休止する間に単独で多数の編目を編成することで、編地外部に突出した形状となる。ホール形成部1aはウエール方向の中央付近で折り返し、ホール3は、少なくとも1以上のウエールからなる編目列で形成したホール形成部1aに挟まれる形となる。
【0018】
編地1の編成工程を、図2〜4の編成図で説明する。なお、図中には編地1の側端部5の位置を実線で示している。後述するS1〜S6の工程では、引き返し編成によりホール形成部1aの始端部8を形成する前の編目列を傾斜させ、連続して形成する編目列の曲がりを滑らかにして、編目の突っ張りを抑える。図2のS0はホール形成部1aの始端部8を形成する前の編地1bの編成を示し、FBの編針K,I,G,E,C,Aに編目を形成する。
【0019】
S1では、給糸口を紙面右方向に移動させ、FBの編針A,C,E,Gに編目を形成する。S2では、FBの編針Kにタック目と編針I,G,E,C,Aに編目を形成する。S3は、FBの編針A,C,Eに編目を形成する。さらにS4では、左方向にFBの編針Iにタック目と編針G,E,C,Aに編目を形成する。S3とS4と同様の編成を1回ずつ行った後、S5では、FBの編針Aに編目を形成する。さらにS6では、左方向にFBの編針Eにタック目と編針C,Aに編目を形成する。
【0020】
図1の編地1に、前記S1〜S6の工程による徐々に編目を減らす傾斜部7aを示した。また編成図では示していないが、ホール形成部1aの終端部9を形成後、編地1では引き返し編成にて傾斜部7bを形成する。(後述するS21以降)徐々に編目を増やす傾斜部7bは、傾斜部7aと対称に形成する。傾斜部7bは傾斜部7aと同様に、連続して形成する編目列の曲がりを滑らかにし、編目の突っ張りを抑えることができる。
【0021】
図3のS7では、FBの編針A,C,E,G,I,Kに編目を形成する。この編成でS2から形成したタック目にも編目を形成している。S8では、FBの編針G,Kに係止する編目をBBの編針g,kに目移しした後、左方向に向けてBBの編針k,gとFBの編針Eに編目を形成する。このS8以降、編地1の側端部5近傍で、ホール形成部1aを除く編地1bの編成は休止し、ホール形成部1a単独の編成が続く。S9では、FBの編針Cにタック目と編針E,Iに編目を形成する。S8とS9で袋組織を形成する。S7では、FBの編針C,E,G,I,Kに編目を形成して5目のウエールからなる編目列でホール形成部1aを形成したが、5目に限らず1目以上であれば良い。但し、編目数が少ない場合には、強度アップのために後述する増し目の形成を3目以上としたほうが良い。
【0022】
S10では、FBの編針E,Iに係止する編目をFBの編針G,Kに、BBの編針g,kに係止する編目をBBの編針i,mに目移しした後、左方向に向けてBBの編針m,iとFBの編針Gに編目を形成する。S11では、S10での移動方向と逆側のFBの編針Eに増し目となる掛け目と、移動した編目を係止する編針G,Kに編目を形成する。ホール形成部1aを構成する編目列を、横方向に向けて移動させると共に、移動により形成された空針に掛け目と、移動した編目列に続けて新たな編目列を形成している。引き続きS10とS11の編成を2回繰り返し、S12はその繰り返した後の状態を示す。S12は、FBの編針Iに掛け目と編針K,Oに編目を形成する。S11から形成した掛け目は、移動の回数分となる3目の増し目となる。形成する増し目は3目に限らず、2目以上であれば良い。なお増し目の数が増えるほど力が分散し、強度がアップする。
【0023】
S13では、BBの編針q,mに編目を形成する。S14では、FBの編針K,Oに編目を形成する。S13とS14の編成では、ホール形成部1aを構成する編目列の編成を行う。袋組織を形成することで強度アップを図り、両側から同じ様に見えることで見栄えも良くしている。ホール3の大きさはこのS13とS14の工程を繰り返す回数で調整するが、ここでは10回の繰り返しを行う。ホール形成部1aの側端部5から編地外部に突出したホール3が形成できる。
【0024】
図4のS15では、FBの編針K,Oに係止する編目をFBの編針I,Mに、BBの編針m,qに係止する編目をBBの編針k,oに目移しする。その目移しによりFBの編針Iでは、掛け目と編目との重ね目が形成される。ホール形成部1aの始端部8を形成した際とは逆の方向に移動すると共に、ホール形成部1aの終端部9を形成しながら、増し目によるホール形成部1aの始端部8と接合する。S16では、左方向に向けてBBの編針o,kとFBの編針Iに編目を形成する。ホール形成部1aの始端部8と終端部9の一部が接合する。S17では、FBの編針I,Mに編目を形成する。続いてS15〜S17と同様の編成を1回繰り返すことで、重ね目の形成と上記接合が行われる。
【0025】
S18では、FBの編針G,Kに係止する編目をFBの編針E,Iに、BBの編針i,mに係止する編目をBBの編針g,kに目移しする。FBの編針Eでは、
掛け目と編目との重ね目が形成される。S19では、左方向に向けてBBの編針k,gとFBの編針Eに編目を形成する。S20では、FBの編針E,Iに編目を形成する。S21では、BBの編針g,kに係止する編目をFBの編針G,Kに目移しした後、FBの編針K,I,G,E,C,Aに編目を形成する。
【0026】
S10〜S12では、ホール形成部1aの始端部8を形成している。ホール形成部1aを構成する編目列は、編地1の側端部5より編地外部側への横方向に向けて移動しながら増し目と編目を形成する。また、S13とS14の繰り返しによってホール3の周縁部の編目列を形成する。さらにS15〜S20では、ホール形成部1aが、折り返して編地内部側への移動と編成を繰り返す。ホール形成部1aは終端部9を形成しながら元の位置に戻り、その終端部9が始端部8と接合することでホール3を形成する。
【0027】
図5は、本発明の実施例2として示すホール13を有する編地10の概略図である。また図6は、本発明の実施例2として示すホール13を有する編地10の編成図である。図5、図6を用い、ホール形成部11aの始端部18とホール13の位置が実施例1よりも更に内部側にある編地10の編成方法を説明する。実施例1では、図1で示すホール形成部1aが側端部5に隣接する位置からホール3を形成している。しかしながら実施例2では、ホール形成部11aは側端部15に隣接する編地10bより内部側の位置から始端部18を形成してホール13を形成している。
【0028】
実施例2でのホール形成部11aは、側端部15側の編地10bの終端編目14と重ね目を形成して接合しながら編地外部側に向けて移動する。実施例1と同様にホール13の周縁部の編目列を形成した後、折り返して元の位置に戻る際に、側端部15に隣接する編地10cの始端編目17に続けるための増し目を形成する。ホール形成部11aの始端部18と終端部19の接合を、編地内部側から始めることができ、図5に示すようにホール13を編地10の内部側に簡単に形成することができる。
【0029】
図6の編成図では、分岐を開始する位置からの編成をT1〜T9で示す。なお、
図中には編地10の側端部15の位置を示している。T1は、右方向にFBの編針A,C,E,G,I,K,M,O,Qに編目を形成する。編針A,Cに係止する編目は編地10aを、編針E,G,I,Kに係止する編目はホール形成部11aを、編針M,O,Qに係止する編目は編地10bを示す。T2では、FBの編針E,G,I,Kに係止する編目をFBの編針G,I,K,Mに目移しした後、FBの編針Q,O,K,I,Gに新たな編目と空針となった編針Eに掛け目を形成する。
【0030】
T3は、T2と同様にホール形成部11aを構成するFBの編針G,I,K,Mに係止する編目をFBの編針I,K,M,Oに目移しした後、空針となったFBの編針Gに掛け目と編針I,K,M,Oに編目を形成する。更にT3と同様の編成を2回繰り返すことで、ホール形成部11aの一部が側端部15から外部に突出する。この繰り返しをしない又は1回行えば、編地10からの突出がないホール13が形成できる。ホール形成部11aを更に内部に設定しても良い。T4は、FBの編針S,Q,O,Mに編目を形成し、T5は、FBの編針M,O,Q,Sに編目を形成する。このT4とT5の工程を繰り返す回数でボタンホール13の大きさを調整する。本実施例では10回だが、糸の太さやループ長に合わせて回数を変更すれば良い。
【0031】
T6は、ホール形成部11aを構成するFBの編針M,O,Q,Sに係止する編目をFBの編針K,M,O,Qに目移しした後、FBの編針Q,O,M,Kに編目を形成する。目移しの際に形成された編針Kの重ね目は解消され、ホール形成部11aの始端部18と終端部19が接合する。T7は、編地10cに続ける編目を形成する為にBBの編針pに掛け目とFBの編針O,M,K,Iに編目を形成する。T8は、T7と同様の編成を2回繰り返した後、FBの編針K,I,G,E,C,Aに編目を形成する。T9は、BBの編針l,n,pに係止する掛け目をFBの編針M,O,Qに目移しした後、FBの編針A,C,E,G,I,K,M,O,Qに編目を形成する。この内、編針M,O,Qに係止する編目は、編地10cの始端編目17となる。
【0032】
図7は、本発明の実施例3として示すホール23を有する編地20の概略図である。また図8は、本発明の実施例3として示すホール23を有する編地20の編成概略図である。図7、図8を用い、ホール23を2個形成した編地20の編成方法を説明する。ホール形成部21aにより図1に示すホール3を2個形成したもので、それぞれが1つのホールとすれば同じ編成工程となる。また、側端部25より突出しているホール23間の接合部分の長さやホール23の大きさなども、他の実施例と同様に簡単に調整できる。またホールの追加も更に可能で、新しいデザインのボタンホールなどが形成できる。
【0033】
図8では、編成は下側から上側に向けて行われる。ホール形成部21aを構成する編目列を、編地外部側に向けて移動させると共に、移動方向の逆側に増し目と、移動した編目列に続けて新たな編目列を形成することを繰り返し行う工程(S1)と、ホール形成部21aを構成する編目列を繰り返し形成する工程(S2)と、ホール形成部21aを構成する編目列を、S1とは逆方向に向けて移動させて前記増し目との重ね目を形成すると共に、移動した編目列に続けて新たな編目列を形成することを繰り返し行う工程(S3)とを示す。
【0034】
実施例1、2でも示した様に、図中、S1の掛け目とその掛け目に対向して上下の関係にあるS3の編目が接合され、S2の同じ位置で、編目列を繰り返し形成してホールが形成される為、S1〜S3のグループが2つ存在する。第一グループの1回目のS1、S2の編成後、第二グループのS1〜S3の編成が行われ、その後第一グループの2回目のS2と1回目のS3が行われる。2回に分けられたS2は、合わせると第二グループのS2と同じ編成コース数となる。なお、S1の点線は掛け目の形成と、S3の太い実線は重ね目を形成したことを示し、矢印は移動方向を、S1〜S3は上記に示した工程を行う位置を示している。
【0035】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1,10,20,30 編地
1a,11a,21a, ホール形成部
3,13,23,33 ホール
5,15,25 側端部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前後一対の針床を備え、目移しが可能な横編機を用いたホールを有する編地の編成方法において、前記ホールはホールの周囲を少なくとも1以上のウエールからなる編目列で形成したホール形成部を有し、以下の工程で編成される、
ホール形成部を横方向に向けて移動させると共に、移動方向の逆側に増し目と、移動したホール形成部の編目列に続けて新たな編目列を形成することを繰り返し行うことでホール形成部の始端部を形成する工程1、
前記工程1に続けてホール形成部の編目列を繰り返し形成する工程2、
ホール形成部を前記工程1での移動とは逆の方向に向けて移動させながら前記工程1で形成した増し目との重ね目を形成すると共に、移動した編目列に続けて新たな編目列を形成することを繰り返し行うことでホール形成部の終端部を形成しながらホール形成部の始端部と終端部を接合する工程3、を含むことを特徴とするホールを有する編地の編成方法。
【請求項2】
前記工程1の前と、前記工程3の後に、ホール形成部の始端部と終端部の編目列が傾斜するように順次引き返し編成を行うことを特徴とする請求項1に記載のホールを有する編地の編成方法。
【請求項3】
複数のホールを形成するために前記工程2の後、工程3の前に工程1〜3を行い、ホール形成部の始端部と終端部を複数個所で接合してホールを形成することを特徴とする請求項1または2に記載のホールを有する編地の編成方法。
【請求項4】
少なくとも前後一対の針床を有した目移しが可能な横編機を用いて無縫製で編成されたホールを有する編地において、
ホールの周囲を少なくとも1以上のウエールからなる編目列で形成したホール形成部を用いて形成され、ウエール方向に連続したホール形成部が略中間位置で折り返し、ホールを挟んで対向するホール形成部は編目列のウエール方向が逆向きになると共に、ホール以外では対向するホール形成部の増し目による始端部と編目による終端部が接合されていることを特徴とするホールを有する編地。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−251257(P2012−251257A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123962(P2011−123962)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000151221)株式会社島精機製作所 (357)
【Fターム(参考)】