説明

ホールカッター

【解決手段】刃筒の端部外周に複数のチップ台3と複数のチップ取付凹部4とを刃筒の回転方向へ交互に並設した。各チップ取付凹部4において刃筒の回転方向Xで相対向する各チップ台3の両側面のうち刃筒の回転向きXFに対する反対向きXB側の側面である取付面6にチップ刃12を取着して、各チップ刃12を刃筒の回転方向Xへ互いに間隔をあけて並設した。そのチップ台3の取付面6とその取付面6に面するチップ刃12の取付面15との間に形成した係止部(係止凹部9及び係止凸部16)でチップ刃12をチップ台3に係止した状態でチップ刃12をチップ台3に対し雌雄ねじ機構(雌ねじ孔7及び雄ねじ部材22)により螺着した。
【効果】ホールカッターにおいてチップ台3に対するチップ刃12の取着及び交換や位置決めを容易にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホールカッターにおいてチップ刃の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1では、刃筒の端部外周に複数のチップ台と複数のチップ取付凹部とが刃筒の回転方向へ交互に並設され、この各チップ取付凹部でチップ台の取付面にチップ刃が取着されて刃筒の回転方向へ互いに等間隔をあけて並設されている。
【特許文献1】特開2003−236716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、チップ刃がチップ台に対しろう付けにより取着されているため、チップ台に対するチップ刃の取着及び交換や位置決めが面倒であった。
この発明は、ホールカッターにおいてチップ台に対するチップ刃の取着及び交換や位置決めを容易にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
後記実施形態の図面(図1、図2、図3(a)、図4及び図5に示す第1実施形態、図3(b)及び図6に示す第2実施形態、図3(c)及び図7に示す第3実施形態、図3(d)及び図8に示す第4実施形態、図3(e)及び図9に示す第5実施形態、図3(f)及び図10に示す第6実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
【0005】
請求項1の発明にかかるホールカッターは、下記のように構成されている。
このホールカッターにおいては、回転軸1に設けた刃筒2の端部外周に複数のチップ台3と複数のチップ取付凹部4とを刃筒2の回転方向Xへ交互に並設し、この各チップ取付凹部4において刃筒2の回転方向Xで相対向する各チップ台3の両側面のうち刃筒2の回転向きXFに対する反対向きXB側の側面である取付面6にチップ刃12を取着して、各チップ刃12を刃筒2の回転方向Xへ互いに間隔をあけて並設している。そのチップ台3の取付面6とそのチップ台3の取付面6に面するチップ刃12の取付面15との間に形成した凹凸状の係止部9,16でチップ刃12をチップ台3に係止した状態でこのチップ刃12をチップ台3に対し雌雄ねじ機構7,22により螺着してチップ刃12の取付面16をチップ台3の取付面6に圧接し、刃筒2の回転向きXFに対する反対向きXBへチップ刃12に生じる力をこれらの取付面6,16により受けるとともに、刃筒2の回転中心線2aの方向Yへチップ刃12に生じる力をこの係止部9,16により受けるようにした。
【0006】
請求項1の発明では、チップ台3に対するチップ刃12の螺着構造により、チップ台3に対するチップ刃12の取着及び交換を容易にすることができるとともに、チップ台3に対するチップ刃12の係止構造により、チップ台3に対するチップ刃12の位置決めを容易にすることができる。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記係止部9,16は、前記刃筒2のチップ台3の取付面6とチップ刃12の取付面15との間のうち、チップ台3の端面8から突出するチップ刃12の刃部14に対し前記雌雄ねじ機構7,22を挟んで刃筒2の回転中心線2aの方向Yで反対側になる部分に形成されている。請求項2の発明では、係止部9,16を容易に形成することができる。
【0008】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記チップ台3の取付面6に係止部として係止凹部9を形成するとともに、前記チップ刃12の取付面15に係止部として係止凸部16を形成し、このチップ刃12の係止凸部16をチップ台3の係止凹部9に係入した。請求項3の発明では、係止部としての係止凹部9及び係止凸部16を容易に形成することができる。
【0009】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記チップ台3の係止凹部9は刃筒2の半径方向Zへ延びて刃筒2の内周面10と外周面11とに開放されている。請求項4の発明では、チップ台3に対するチップ刃12の係止構造を簡単にするとともに、係止凹部9を容易に形成することができる。
【0010】
請求項1から請求項4のうちいずれかの請求項の発明を前提とする請求項5の発明にかかる雌雄ねじ機構においては、前記チップ台3の取付面6に雌ねじ孔7を形成するとともに、前記チップ刃12にはその取付面15へ貫通する支持孔13を形成し、その支持孔13に挿通した雄ねじ部材22をこの雌ねじ孔7に螺合してチップ刃12をチップ台3に締め付けた。請求項5の発明では、チップ台3に対するチップ刃12の螺着構造を簡単にしてチップ台3に対するチップ刃12の取着及び交換を容易にすることができる。
【0011】
請求項5の発明を前提とする請求項6の発明において、前記雌雄ねじ機構は一つの雌ねじ孔7に対する一つの雄ねじ部材22の螺合であって、チップ台3の係止凹部9に対するチップ刃12の係止凸部16の係入により、チップ台3に対しチップ刃12が雌ねじ孔7及び雄ねじ部材22を中心として回動するのを規制している。請求項6の発明では、雌雄ねじ機構を簡単にしてチップ台3に対するチップ刃12の取着及び交換を容易にすることができる。
【0012】
請求項1から請求項6のうちいずれかの請求項の発明を前提とする請求項7の発明において、前記各チップ刃12の刃部14は刃筒2の半径方向Zで段差部20,21を介して複数の分割刃部17,18,19に区画されている。例えば、刃筒2の半径方向Zで互いに隣接する両分割刃部17,18,19においてそれらの刃先17b,17c,18a,19aの端部が刃筒2の回転方向Xで互いに離間するようにそれらの刃先17b,17c,18a,19a間でこの段差部20,21を形成している。請求項7の発明では、各分割刃部17,18,19により切削屑が小さくなり、切削屑の排出機能を高めることができる。
【0013】
請求項7の発明を前提とする第8の発明は下記のように構成されている。
前記各チップ刃12の刃部14は、刃筒2の半径方向Zで段差部20,21を介して三分割され、両側の第一分割刃部17及び第三分割刃部19とそれらの分割刃部17,19間の第二分割刃部18とに区画されている。刃筒2の半径方向Zで互いに隣接する第一分割刃部17と第二分割刃部18とにおいては、第一分割刃部17の刃先17cの端部と第二分割刃部18の刃先18aの端部とが刃筒2の回転方向Xで互いに離間するようにそれらの刃先17c,18a間で段差部20を形成している。刃筒2の半径方向Zで互いに隣接する第二分割刃部18と第三分割刃部19とにおいては、第二分割刃部18の刃先18aの端部と第三分割刃部19の刃先19aの端部とが刃筒2の回転方向Xで互いに離間するようにそれらの刃先18a,19a間で段差部21を形成している。この第一分割刃部17と第二分割刃部18との間の段差部20と、この第二分割刃部18と第三分割刃部19との間の段差部21とは、刃筒2の半径方向Zで第二分割刃部18の刃先18aを挟んで互いに並んでいる。第8の発明では、各チップ刃12の刃部14をコンパクトにまとめることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、ホールカッターにおいてチップ台3に対するチップ刃12の取着及び交換や位置決めを容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず、本発明の第1実施形態にかかるホールカッターについて図1、図2、図3(a)、図4及び図5を参照して説明する。
図1に示すように、回転軸1と一体に設けられた刃筒2の先端部外周に複数(四箇所)のチップ台3と複数(四箇所)のチップ取付凹部4とが刃筒2の回転方向Xへ90度間隔で交互に並設され、この刃筒2の外周には各チップ取付凹部4から回転軸1側へ延びる溝部5が形成されている。図2に示すように、この各チップ取付凹部4において刃筒2の回転方向Xで相対向する各チップ台3の両側面のうち刃筒2の回転向きXFに対する反対向きXB側の側面である取付面6には、一つの雌ねじ孔7が形成され、この各チップ台3の端面8に対しこの雌ねじ孔7を挟んで刃筒2の回転中心線2aの方向Yで反対側になる部分に係止凹部9が形成されている。この係止凹部9は、刃筒2の半径方向Zへ延びて刃筒2の取付面6と内周面10と外周面11とにそれぞれ開放部6a,10a,11aで開放され、この開放部6aに対向する底面9aと、刃筒2の回転中心線2aの方向Yの両側でこの底面9aから刃筒2の回転方向Xへ開放部6aまで延びる側面9b,9cとを有している。
【0016】
図3(a)及び図4に示すチップ刃12においては、表面側と裏面側との間で厚み方向(前後方向A)へ支持孔13が貫設され、上下方向Bの両端部のうち下端部の表面側に形成された刃部14に対しこの支持孔13を挟んで反対側になる上端部の裏面側で取付面15に係止凸部16が形成されている。この係止凸部16は、左右方向Cの両端部間で左右方向Cへ延び、頂面16aと、この頂面16aから前後方向Aへ取付面15まで延びる上下両側面16b,16cとを有している。この刃部14は、左右方向Cで三分割され、右側分割刃部17と中央分割刃部18と左側分割刃部19とを有している。この右側分割刃部17においては、頂部17aからチップ刃12の右側端部まで刃先17bが左右方向Cへ延びるとともに上方へ傾斜し、頂部17aから中央分割刃部18まで刃先17cが左右方向Cへ延びるとともに上方へ傾斜している。この中央分割刃部18においては、刃先17cの左端部と刃先18aの右端部とが前後方向Aで互いに離間するようにその刃先17cの左端部と刃先18aの右端部との間でチップ刃12の上下両端部間にわたり延びる段差部20が形成され、その段差部20から左側分割刃部19まで刃先18aが後方へ傾斜するとともに上方へ傾斜している。この左側分割刃部19においては、刃先18aの左端部と刃先19aの右端部と前後方向Aで互いに離間するようにその刃先18aの左端部と刃先19aの右端部との間で上下両端部間にわたり延びる段差部21が形成され、その段差部21からチップ刃12の左側端部まで刃先19aが左右方向Cへ延びるとともに上方へ傾斜している。この右側分割刃部17の刃先17b,17cと中央分割刃部18の刃先18aと左側分割刃部19の刃先19aとは、正面側から見て互いに略直線的に連続している。
【0017】
図1及び図5に示すように、この各チップ刃12の係止凸部16をこの各チップ台3の係止凹部9に対しそれらの開放部6a,10a,11aから係入してこの各チップ刃12の取付面15をこの各チップ台3の取付面6に当てがった状態で、雌雄ねじ機構として各チップ刃12の支持孔13に一つの雄ねじ部材22を挿通して各チップ台3の雌ねじ孔7に螺合すると、各チップ刃12が各チップ台3に締め付けられてそれらの取付面6,15が互いに圧接され、各チップ刃12が刃筒2の回転方向X(前後方向A)へ互いに等間隔をあけて並設される。その際、係止凸部16の側面16b(係止面)が係止凹部9の側面9b(係止面)に当接するとともに、係止凸部16の側面16c(係止面)が係止凹部9の側面9c(係止面)に当接する。なお、前記両取付面6,15が互いに圧接されるため、係止凸部16の頂面16aと係止凹部9の底面9aとは係止面として必ずしも互いに当接させる必要はない。従って、刃筒2の回転向きXFに対する反対向きXBへチップ刃12に生じる力をこれらの取付面6,15により受け、刃筒2の回転中心線2aの方向Y(上下方向B)へチップ刃12に生じる力をこの係止凹部9及び係止凸部16(前記各係止面16b,16c,9b,9c)により受けるとともに、チップ台3に対しチップ刃12が雌ねじ孔7及び雄ねじ部材22を中心として回動するのをこの係止凹部9及び係止凸部16(前記各係止面16b,16c,9b,9c)により規制する。
【0018】
図3(b)及び図6に示す第2実施形態、図3(c)及び図7に示す第3実施形態、図3(d)及び図8に示す第4実施形態、図3(e)及び図9に示す第5実施形態及び図3(f)及び図10に示す第6実施形態は、それぞれ、第1実施形態の刃部14を変更したものである。第2〜5実施形態では、いずれも、各チップ刃12の刃部14が刃筒2の半径方向Zで段差部20,21を介して複数(二個または三個)の分割刃部17,18,19に区画され、刃筒2の半径方向Zで互いに隣接する両分割刃部17,18,19においてそれらの刃先17b,17c,18a,19aの端部が刃筒2の回転方向Xで互いに離間するようにそれらの刃先17b,17c,18a,19a間で段差部20,21が形成されている。
【0019】
本実施形態は下記の効果を有する。
* チップ台3に対しチップ刃12を簡単な雌雄ねじ機構(雌ねじ孔7及び雄ねじ部材22)により螺着したので、チップ台3に対するチップ刃12の取着及び交換を容易にすることができる。
【0020】
* チップ台3に対しチップ刃12を簡単な係止部(係止凹部9及び係止凸部16)により係止したので、チップ台3に対するチップ刃12の位置決めを容易にすることができる。
【0021】
* 係止部としての係止凹部9及び係止凸部16を容易に形成することができる。
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記第1実施形態の係止凹部9の形状を変更する。例えば、その係止凹部9において、開放部10a,11aを閉塞し、開放部6aのみで開放する。
【0022】
・ 前記第1実施形態では係止凹部9をチップ台3に設けるとともに係止凸部16をチップ刃12に設けたが、逆に係止凸部16をチップ台3に設けるとともに係止凹部9をチップ刃12に設ける。
【0023】
・ 前記第1実施形態の雌雄ねじ機構(雌ねじ孔7及び雄ねじ部材22)を二以上設ける。
・ チップ台3の端面8から突出するチップ刃12の刃部14に対し係止部(係止凹部9及び係止凸部16)を挟んで刃筒2の回転中心線2aの方向Yで反対側になる部分で雌雄ねじ機構(雌ねじ孔7及び雄ねじ部材22)を設ける。
【0024】
・ 前記第1実施形態ではチップ台3の取付面6に設けた雌ねじ孔7に雄ねじ部材22を螺合してチップ刃12をチップ台3に固定したが、逆にチップ台3の取付面6に設けた雄ねじ部にナットを螺合してチップ刃12をチップ台3に固定する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は第1実施形態にかかるホールカッターを示す正面図であり、(b)は同じく底面図である。
【図2】(a)は第1実施形態にかかるホールカッターにおいてチップ刃を分離した刃筒を示す一部切欠き部分拡大正面図であり、(b)は同じく一部切欠き部分拡大底面図であり、(c)は(a)のE−E線部分断面図である。
【図3】(a)は第1実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大斜視図であり、(b)は第2実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大斜視図であり、(c)は第3実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大斜視図であり、(d)は第4実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大斜視図であり、(e)は第5実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大斜視図であり、(f)は第6実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大斜視図である。
【図4】(a)は第1実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大正面図であり、(b)は同じく拡大背面図であり、(c)は同じく拡大平面図であり、(d)は同じく拡大底面図であり、(e)は同じく拡大左側図であり、(f)は同じく拡大右側図である。
【図5】(a)は第1実施形態にかかるホールカッターにおいて刃筒にチップ刃を取着した状態を示す一部切欠き部分拡大正面図であり、(b)は同じく一部切欠き部分拡大底面図であり、(c)は(a)のF−F線部分断面図である。
【図6】(a)は第2実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大正面図であり、(b)は同じく拡大背面図であり、(c)は同じく拡大平面図であり、(d)は同じく拡大底面図であり、(e)は同じく拡大左側図であり、(f)は同じく拡大右側図である。
【図7】(a)は第3実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大正面図であり、(b)は同じく拡大背面図であり、(c)は同じく拡大平面図であり、(d)は同じく拡大底面図であり、(e)は同じく拡大左側図であり、(f)は同じく拡大右側図である。
【図8】(a)は第4実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大正面図であり、(b)は同じく拡大背面図であり、(c)は同じく拡大平面図であり、(d)は同じく拡大底面図であり、(e)は同じく拡大左側図であり、(f)は同じく拡大右側図である。
【図9】(a)は第5実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大正面図であり、(b)は同じく拡大背面図であり、(c)は同じく拡大平面図であり、(d)は同じく拡大底面図であり、(e)は同じく拡大左側図であり、(f)は同じく拡大右側図である。
【図10】(a)は第6実施形態にかかるホールカッターの刃筒から分離したチップ刃を示す拡大正面図であり、(b)は同じく拡大背面図であり、(c)は同じく拡大平面図であり、(d)は同じく拡大底面図であり、(e)は同じく拡大左側図であり、(f)は同じく拡大右側図である。
【符号の説明】
【0026】
1…回転軸、2…刃筒、2a…刃筒の回転中心線、3…チップ台、4…チップ取付凹部、6…チップ台の取付面、7…雌雄ねじ機構の雌ねじ孔、8…チップ台の端面、9…チップ台の係止部としての係止凹部、10…刃筒の内周面、11…刃筒の外周面、12…チップ刃、13…チップ刃の支持孔、14…チップ刃の刃部、15…チップ刃の取付面、16…チップ刃の係止部としての係止凸部、22…雌雄ねじ機構の雄ねじ部材、X…刃筒の回転方向、XF…刃筒の回転向き、XB…刃筒の回転向きに対する反対向き、Y…刃筒の回転中心線の方向、Z…刃筒の半径方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に設けた刃筒の端部外周に複数のチップ台と複数のチップ取付凹部とを刃筒の回転方向へ交互に並設し、この各チップ取付凹部において刃筒の回転方向で相対向する各チップ台の両側面のうち刃筒の回転向きに対する反対向き側の側面である取付面にチップ刃を取着して、各チップ刃を刃筒の回転方向へ互いに間隔をあけて並設したホールカッターにおいて、そのチップ台の取付面とそのチップ台の取付面に面するチップ刃の取付面との間に形成した凹凸状の係止部でチップ刃をチップ台に係止した状態でこのチップ刃をチップ台に対し雌雄ねじ機構により螺着してチップ刃の取付面をチップ台の取付面に圧接し、刃筒の回転向きに対する反対向きへチップ刃に生じる力をこれらの取付面により受けるとともに、刃筒の回転中心線の方向へチップ刃に生じる力をこの係止部により受けるようにしたことを特徴とするホールカッター。
【請求項2】
前記係止部は、前記刃筒のチップ台の取付面とチップ刃の取付面との間のうち、チップ台の端面から突出するチップ刃の刃部に対し前記雌雄ねじ機構を挟んで刃筒の回転中心線の方向で反対側になる部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホールカッター。
【請求項3】
前記チップ台の取付面に係止凹部を形成するとともに、前記チップ刃の取付面に係止凸部を形成し、このチップ刃の係止凸部をチップ台の係止凹部に係入したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のホールカッター。
【請求項4】
前記チップ台の係止凹部は刃筒の半径方向へ延びて刃筒の内周面と外周面とに開放されていることを特徴とする請求項3に記載のホールカッター。
【請求項5】
前記雌雄ねじ機構においては、チップ台の取付面に雌ねじ孔を形成するとともに、前記チップ刃にはその取付面へ貫通する支持孔を形成し、その支持孔に挿通した雄ねじ部材をこの雌ねじ孔に螺合してチップ刃をチップ台に締め付けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれかの請求項に記載のホールカッター。
【請求項6】
前記雌雄ねじ機構は一つの雌ねじ孔に対する一つの雄ねじ部材の螺合であって、チップ台の係止凹部に対するチップ刃の係止凸部の係入により、チップ台に対しチップ刃が雌ねじ孔及び雄ねじ部材を中心として回動するのを規制していることを特徴とする請求項5に記載のホールカッター。
【請求項7】
前記各チップ刃の刃部は刃筒の半径方向で段差部を介して複数の分割刃部に区画されていることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれかの請求項に記載のホールカッター。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−272852(P2008−272852A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117365(P2007−117365)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000205052)大見工業株式会社 (27)
【Fターム(参考)】