説明

ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)アダプタとして用いるための装置

【課題】米国における強化(enhanced)911(E911)規制にしたがって緊急発呼元を突き止めるため、または世界中におけるその他の管轄区域において緊急発呼元を突き止める。
【解決手段】ワイヤレス位置検出システムは、ボイス・オーバー・インターネット−プロトコル(VoIP)アダプタに接続されたワイヤレス・デバイスの地理的位置検出を含む。VoIPアダプタは、ワイヤレス送受信機またはワイヤレス位置判定受信機を含むことができ、VoIPアダプタに接続されたワイヤレス・デバイスの位置検出を容易にする。ワイヤレス送受信機または位置判定受信機は、位置情報を緊急通信指令係に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互引用
本願は、2006年12月28日に出願し"Emergency Wireless Location System Including a Wireless Transceiver"(ワイヤレス送受信機を含む緊急ワイヤレス位置検出システム)と題する米国特許出願第11/648,818号(弁理士整理番号TPI−0837)の優先権を主張する。その内容は、ここで引用したことにより、その全体が本願にも含まれるものとする。
【0002】
本願に記載する主題は、2006年12月28日に出願し"Emergency Wireless Location System including a Location Determining Receiver"(位置判定受信機を含む緊急ワイヤレス位置検出システム)と題する同時係属中の米国特許出願第11/648,774号(弁理士整理番号TPI-0842)に記載されている主題と関係がある。この出願の内容は、ここで引用したことにより、その全体が本願にも含まれるものとする。
技術分野
本発明は、一般的には、ワイヤレス通信デバイスの位置を検出し、位置を緊急オペレータまたは公衆サービス応答ポイント(PSAP:Public Service Answering Point)に送信する方法および装置に関する。更に特定すれば、本発明は、ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル電話アダプタに接続された通信デバイスの位置を検出し、その位置を緊急サービス・オペレータまたは許可されているサービスに送信する方法および装置に関するが、それが全てではない。本発明は、米国における強化(enhanced)911(E911)規制にしたがって緊急発呼元を突き止めるため、または世界中におけるその他の管轄区域において緊急発呼元を突き止めるために用いることができる。
【背景技術】
【0003】
A.ワイヤレス位置検出
無線周波数(RF)エネルギを発信するデバイスの物理的位置を判定するプロセスは、地理的位置検出(geolocation)として知られている。RF発信元の地理的位置検出には多くの技法が存在する。慣例的な地理的位置検出技法の1つに、到達時間差(TDOA)として知られているものがある。伝統的に、TDOAによる地理的位置検出は、異なる既知の位置にある複数のセンサにおいて、RF発信元の信号を同時に捕獲することによって行われている。複数のセンサのいずれの一対間におけるTDOAであっても、TDOAは、RFエネルギがその発生源地点から2つのセンサの各々まで伝搬するのに要する時間差である。既知の位置において二次元で2つのセンサ間におけるTDOAを測定すると、双曲線が得られ、2つのセンサが双曲線の焦点と一致する。この双曲線から、RFエネルギが発散していった元の複数の位置が求められる。他のセンサ対から複数の双曲線を導き出すと、RFエネルギが発散した元の唯一の位置が求められる。二次元のTDOAによるRFエミッタの地理的位置検出には、最低でも3箇所の別個の地理的位置においてセンサによって信号を受信する必要がある。各センサ対は、可能RFエネルギ源として、双曲線を生成する。三次元のTDOAによるRFエミッタの地理的位置検出には、最低でも4箇所の別個の地理的位置においてセンサによって信号を受信する必要がある。各センサ対は、可能なRFエネルギ源として、双曲面を平面のように生成する。
【0004】
ワイヤレス位置検出システムに関する初期の業績が、1994年7月5日付けの米国特許第5,327,144号"Cellular Telephone Location System"(セルラ電話機位置検出システム)(特許文献1)に記載されている。これは、到達時間差(TDOA)技法を用いてセルラ電話機の位置を検出するシステムを開示する。’144特許は、アップリンク到達時間差(U−TDOA)セルラ電話機位置検出システムと呼ぶことができるものについて記載している。記載されたシステムは、1つ以上のセルラ電話機からの制御チャネル送信を監視し、中央処理または局ベース処理を用いて電話機の地理的位置を計算するように構成されている。例えば、逆制御チャネル信号検出のために採用することができる局ベース処理では、セル・サイト(即ち、信号収集システム)において、以下のようにして相互相関を実行する。基準信号と見なすことができる各「強い」信号毎に、個々の第1セル・サイトにおいて個々の制御チャネル上で受信されると、その強い信号を最初に、セルラ・システム自体が用いるような、信号デコーダに印加する。このデコーダは、セルラ信号を復調して元のディジタル・ビット・ストリームを生成する。元のディジタル・ビット・ストリームとは、当該セルラ信号を生成するために変調されたものである。次に、このディジタル・ビット・ストリームをセル・サイト・システムによって変調して、セルラ電話機によって最初に送信されたときの、元の信号波形を再現する。第1セル・サイトにおいて、この再現された信号波形の受信信号に対する相互相関を求める。相互相関によって、ピークが求められ、ピーク上の所定点からの正確な到達時間を計算することができる。次に、第1セル・サイト・システムは復調したディジタル・ビット・ストリームおよび到達時刻を中央サイトに通信線を通じて送出する。すると、中央サイトは復調ディジタル・ビット・ストリームおよび正確な到達時刻を、同様にセルラ送信を受信した可能性が高い他のセル・サイトに配布する。これらその他の第2、第3、第4等のセル・サイトの各々において、セル・サイト・システムによってディジタル・ビット・ストリームを変調して、セルラ電話機によって最初に送信されたときの、元の信号波形を再現する。この再現された信号波形の、同じ時間間隔に各セル・サイトにおいて受信された信号に対する相互相関を求める。この相互相関では、ピークが求められる場合も、求められない場合もある。ピークが求められた場合、正確な到達時刻(TOA)を、ピーク上の所定点から計算することができる。次に、このTOAを中央サイトに送り、個々のセル・サイト対に対する遅延差、即ち、TDOAを計算することができる。この方法により、セル・サイト・システムは非常に弱い信号受信からTOA情報を抽出することが可能となる。ここで、弱い信号はノイズ・レベルよりも上でも下でもよい。この方法は、サンプリング期間毎に各セル・サイトにおいて受信される強い信号毎に、十分な対のセル・サイトに繰り返し適用される。次に、信号毎の遅延対の結果を、位置計算アルゴリズムに送り出す。
【0005】
以上に記載した種類のワイヤレス位置検出システム(WLS)の一例を図1に示す。図示のように、このシステムは、4つの主要なサブシステム、即ち、信号収集システム(SCS)10、TDOA位置検出プロセッサ(TLP)12、アプリケーション・プロセッサ(AP)14、およびネットワーク動作コンソール(NOC)16を含む。各SCSは、制御チャネルおよび音声チャネル双方においてワイヤレス送信機が送信するRF信号を受信することを責務とする。一般に、SCS(ここでは、LMU、即ち、位置測定ユニットと呼ぶ場合もある)は、好ましくは、ワイヤレス電気通信事業者のセル・サイトに設置することが好ましく、したがって基地局と並列に動作する。各TLP12は、SCS10のネットワークを管理し、位置計算に用いることができるディジタル信号処理(DSP)資源の集中的集団(pool)を設けることを責務とする。SCS10およびTLP12は、一緒に動作してワイヤレス送信機の位置を決定する。SCS10およびTLP12は、双方共、かなりの量のDSP資源を内蔵しており、これらのシステムにおけるソフトウェアは動的に動作して、処理時間、通信時間、整列時間、およびコストについてのトレードオフに基づいて、個々の処理機能をいつ実行すべきかを決定することができる。各TLP12は、主にWLSを実現する全体的なコストを低減するために、中央に存在する。加えて、WLSは複数のSCS領域を含むことができ、その各々が複数のSCS10を備えている。例えば、「SCS領域1」は、SCS10Aおよび10Bを含み、これらはそれぞれのセル・サイトに位置し、これらのセル・サイトにある基地局とアンテナを共有する。端数T1/E1ラインを最大T1/E1ラインにインターフェースするために間引き/挿入ユニット(drop and insert unit)11Aおよび11Bが用いられており、ディジタル・アクセスおよび制御システム(DACS)13Aに結合されている。このDACS13Aおよび別のDACS13Bは、SCS10A、10B等と複数のTLP12A、12B等との間の通信のために、以下で更に詳しく説明する仕方で用いられる。図示のように、TLPは通例一括配置され、イーサネット・ネットワーク(バックボーン)および第2の冗長イーサネット・ネットワークを通じて相互接続されている。また、イーサネット・ネットワークには、複数のAP14Aおよび14B、複数のNOC16Aおよび16B、ならびに端末サーバ15も結合されている。ルータ19Aおよび19Bが、1つのWLSを1つ以上の別のワイヤレス位置検出システムに結合するために用いられる。
【0006】
1999年のワイヤレス通信および公衆安全法による必要性から、ワイヤレス・デバイスの位置を検出するための地理的位置検出技法は増々重要になりつつまる。ワイヤレス・デバイスは、固定した位置にはいない場合があるので、緊急通信指令係に位置情報を提供することに対しては、類のない課題を突きつけている。強化911即ちE911は、9−1−1緊急通話システムの一機構として開発され、実在の住所を発呼側の電話番号と自動的に関連付ける。したがって、ワイヤレス・デバイスは、固定位置になくても、位置を検出することができる。
【0007】
E911位置検出技法は、E911フェーズIIに合わせて非ネットワークベース位置検出選択肢を含むことができる。これらは、通例、同期タイミング、軌道データ(エフェメリス)、および捕獲データ(コード位相およびドプラ範囲)を含む、陸側サーバからのデータで増強されたナビスタ汎地球測位システム(GPS)を使用する。これは、元々米国特許第4,445,118号(Taylor, et al)に記載されている。
【0008】
加えて、一般にはE9−1−1フェーズIIの精度を送り出すことができないその他のワイヤレス位置検出技法も、ワイヤレス・デバイスの位置検出のために、電気通信事業者のネットワークにおいて展開される場合もある。例えば、これらのワイヤレス位置検出技法には、強化観察到達時間差(EOTD)、高度順方向リンク三角測量(AFLT)、および強化セル−ID(ECID)のような、順方向チャネル技法も含むことができ、ワイヤレス・デバイスが順方向チャネル・タイミングおよび/または信号強度を収集し、担当移動体位置検出センタ(SMLC)またはその他の陸側サーバに、位置計算のために中継する。加えて、2004年4月6日付け米国特許第6,717,547号"Position location using broadcast television signals and mobile telephone signals"(ブロードキャスト・テレビジョン信号および移動体電話信号を用いた位置検出)および2003年2月18日付け米国特許第6,522,297号"Position location using ghost canceling reference television signals"(ゴースト相殺基準テレビジョン信号を用いた位置検出)に記載されているHDTVベースRosum TV-GPSシステム、ならびにLORAN(LOng RAnge Navigation)のような、非ワイヤレス通信ネットワーク技法も、ワイヤレス・デバイスの位置を検出するために展開することができる。
【0009】
更に、セルベース位置検出技法も、ワイヤレス・デバイスの位置を検出するために用いることもできる。ワイヤレス電気通信業者のネットワークにおいては、セルベース位置検出技法が本来備わっており、ワイヤレスの位置を展開する(develop)ために用いられている場合もある。これらの技法は、FCC E9−1−1フェーズI技法としても知られており、担当セル、担当セクタ(セルがセクタ化されている場合)、または(タイミング進み、1/2往復時間、または経路損失推定値に基づく)距離測定(ranging)を備えたセル/セクタに基づいて、位置を求めることができる。
B.ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル
今日、ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)市場が、従前の電話サービスに対する低価格化の代用品として、増々普及しつつある。ボイス・オーバー・インターネット・プロトコルは、位置情報を緊急通信指令係に提供する際に、ワイヤレス・デバイスと同様の課題を抱えている。何故なら、ボイス・オーバー・インターネット・プロトコルのアダプタおよびボイス・オーバー・インターネット・プロトコルのネットワークは、9−1−1ネットワークと直接相互接続されていないからである。現在、緊急サービス番号が商用VoIPサービスからダイアルされると、VoIPプロバイダがこのような通話をどのように扱うかに応じて、通話を電気通信事業者が指定する応答ポイントに接続するか、または発呼者の課金またはサービス提供住所と関連のある応答ポイント応答ポイントにおける非緊急番号に接続することもあり得る。VoIPアダプタは、十分な帯域幅を有するインターネット接続部であればいずれにでも差し込むことができるので、発呼元は実際にはサービス提供住所から数百マイルまたは数千マイルも離れている場合もあり、それでも通話が応答ポイントに問題なく到達すれば、実際の発信位置ではなく、発呼元の課金またはサービス提供住所と関連のある応答ポイントとなることができる。
【0010】
つまり、2005年に連邦通信委員会(FCC)はボイス・オーバー・インターネット・プロトコル・プロバイダがE911サービスを彼らの顧客に提供し始めることを要求する命令を通過させた。この仕様において、ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル電話アダプタに接続する通信デバイスの位置を突き止め、その位置を、全世界緊急応答番号または短縮コード[例えば、9−1−1(北アメリカ)、1−1−2(EU)、9−9−9(UK)、0−0−0(オーストラリア)]またはGSMワイヤレス通信指定の1−1−2全世界緊急番号のような緊急サービスに送信する方法および装置を開示する。各国に応じて、警察、消防、救急、民間防衛、およびこれら代替緊急サービス番号の極普通の例として知られている公衆施設の運用に、複数の個別番号を用いることができる。これらの番号のいずれの使用も、実施形態例に予めプログラミングすることができる。命じられたのではない番号を用いる場合、ワイヤレス電気通信事業者との事前の同意が必要となる場合もある。図示の実施形態は、複数のダイアルする数字コード(dialed digit code)および可能な回答サービスの代わりに、9−1−1、および公衆安全応答ポイント(PSAP:Pubic Safety Answering Point)を用いることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
次の摘要は、以下で更に詳細に説明する例示的な実施形態の様々な形態を説明することを意図している。この摘要は、開示する主題の発明的形態を全て網羅することを意図するのではなく、以下で明記する特許請求の範囲の保護範囲を限定することを意図するのでもない。
【0012】
本発明の例示的な一実施形態は、ボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)通話に関連して、緊急サービスを容易にする装置の形態をなす。この装置は、電話機との間で信号を伝達する第1インターフェースと、インターネット・プロトコル(IP)ネットワークとの間で信号を伝達する第2インターフェースとを含むことができる。加えて、この装置は、コンピュータ読み取り可能媒体と、ワイヤレス送受信機と、位置判定受信機と、第1および第2インターフェースとに動作的に結合されているプロセッサを含むことができる。コンピュータ読み取り可能媒体は、プロセッサに、前記電話機による緊急通話の開始を検出させる命令を含むことができる。コンピュータ読み取り可能媒体は、更に、緊急通話の検出に応答して、ワイヤレス送受信機を作動させる命令も含むことができる。これによって、ワイヤレス送受信機は、ワイヤレス通信ネットワーク(例えば、セルラ電話ネットワーク)を通じて緊急通話を実行するために用いることができ、これによってワイヤレス送受信機、したがってVoIPアダプタの位置を、外部ワイヤレス位置検出システムによって判定することが可能になる。加えて、コンピュータ読み取り可能媒体は、更に、位置判定受信機を作動させる命令も含むことができる。位置判定受信機は、緊急通話の検出に応答して、上記インターフェースの位置を判定することができる。次いで、従来のやり方でその位置をPSAPにルーティングすることができる。
【0013】
本明細書に開示する実施形態のその他の形態については、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以上の摘要および以下の詳細な説明は、添付図面と合わせて読むと、一層良く理解できる。本発明を例示する目的で、本発明の構造例を図面に示すが、本発明は、開示する具体的な方法および手段に限定されるのではない。図面において、
【図1】図1は、ワイヤレス位置検出システム(WLS)の実施形態の一例を示す。
【図2】図2は、ボイス・オーバーIP(VoIP)アダプタの例示的実施形態を含む、動作ネットワークの一例を示す。
【図3A】図3Aは、ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正の実施形態例を示す。
【図3B】図3Bは、ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正の実施形態例を示す。
【図3C】図3Cは、ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正の実施形態例を示す。
【図4】図4は、VoIPアダプタの実施形態の一例を示す。
【図5】図5は、実施形態の一例にしたがって緊急通話をルーティングする方法のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2に示すように、電話機100は、例えば、USBケーブル、イーサネット・ケーブル、またはローカル・エリア・ネットワーク(LAN)ラインのような有線リンク、あるいはBluetooth接続のようなワイヤレス・リンクを用いて、VoIPアダプタ105と動作的な通信状態に置くことができる。電話機100は、例えば、1つ以上の典型的なアナログ電話機、1つ以上の携帯用電話機、ならびに1つ以上のコンピュータに接続されているマイクロフォンおよびヘッドセットまたはスピーカを含むことができる。加えて、電話機100およびVoIPアダプタ105は、1つのユニットとすることもでき、例えば、VoIPアダプタ105を電話機100の機構の中に内蔵してもよい。
【0016】
VoIPアダプタ105は、インターフェース、プロセッサ、コンピュータ読み取り可能媒体、ワイヤレス送受信機、位置判定受信機等のような、その内部に実装するコンポーネントを含むことができる。VoIPアダプタ105は、電話機100上で緊急通話がなされたか否か検出することができる。緊急通話が行われたか否か検出した後、VoIPアダプタ105は、非VoIP通話のように、ワイヤレス・ネットワークを通じて通話を実行することができる。次いで、電話機100の位置情報を、緊急サービス・オペレータ(または応答ポイント応答ポイント)、またはワイヤレス・ネットワークを通じて位置情報を有する通話を受け入れることができ適した番号であれば他のどこにでもルーティングすることができる。これについては、以下で更に詳しく説明する。加えて、VoIPアダプタ105は通常はワイヤレス・ネットワークを通じて、VoIP通話として、例えば、ワイヤレス・ネットワークの総合パケット無線サーバース(GPRS)機構を用いて通話を実行することができる。GPRSネットワークまたは他のいずれのワイヤレス・バックホール・システムのVoIPネットワーク110、続いて市内交換電気通信事業者(LEC)との相互接続も、ユーザには透過的とするとよい。実施形態の一例では、ANSI/ETSI J-STD-036 "Enhanced Wireless 9-1-1 Phase 2"およびその続きの改訂版において指定されているように、緊急通話のために、活性化している電話機(phone)およびワイヤレス音声通信音声リンクを通じて行われる緊急通話に対するGPRS機能性(つまり、ディジタルVoIP通話)を使用不能とし、VoIPアダプタ105の位置を自動的に検出し、その位置を緊急サービス・オペレータまたは応答ポイント応答ポイントに伝達するようにするとよい。緊急サービス通話の切断の後、VoIPアダプタ105および有線または無線バックホール107の動作は、発信元の電話機(phone)のために通常動作モードに戻る。多重回線システムでは、この動作全体を通じて、緊急でない音声通信を含む他のディジタル・トラフィックは、有線またはワイヤレス・バックホール107を通じて中断なく進めることができる。
【0017】
加えて、VoIPアダプタ105は、並列する通話がVoIP105によってワイヤレス・ネットワークを通じて発信され、外部ワイヤレス位置検出システムを誘起して電話機100の位置推定値を供給する間でも、VoIPネットワーク110を通じた通話を実行することができる。位置情報は、ワイヤレス・ネットワークを通じて、9−1−1オペレータ端末に提供することができる。ワイヤレス・ネットワークには、自動位置識別子(ALI)データベースへの移動体測位センター(MPC)またはゲートウェイ移動体位置検出センター(GMLC)の接続を含む。これらについては、以下で更に詳しく説明する。あるいは、位置情報は、長距離ナビゲーション(LORAN)システムまたはUSAFのNavstar汎地球測位衛星システムのようなGNSS(汎地球ナビゲーション衛星システム)を通じた自己発見位置を含むことができ、パケットに挿入して、VoIPネットワーク110を通じて9−1−1オペレータに送信することもできる。これについては、以下で更に詳しく説明する。
【0018】
VoIPアダプタ105は、例えば、LANラインのような有線ラインまたはワイヤレス・アンテナのようなワイヤレス・リンクを用いて、有線またはワイヤレス・バックホール106を通じて、VoIPネットワーク110と動作的に通信状態に置くことができる。VoIPネットワーク110は、メディア・ゲートウェイ、シグナリング・コントローラ、インターネット・プロトコル(IP)ネットワーク接続などを含むことができ、VoIPネットワーク110が、回線交換網と同様の機能性を備えるようにする。加えて、VoIPネットワーク110は、既存の公衆ネットワークに対するゲートウェイ機能を実行することに加えて、公衆電話交換網(PSTN)が行うのと同じタスクの全てを実行することができる。一実施形態によれば、緊急通話は、電話機100からVoIPネットワーク110にかけることができる。VoIPネットワーク110は、発呼側番号の代わりに、E911疑似ANIを提供することができる。例えば、位置情報は、発呼側番号の代わりにまたはそれに加えて、9−1−1オペレータに提供することができる。
【0019】
VoIPアダプタ105は、例えば、VoIPアダプタ105に取り付けられたワイヤレス・アンテナを用いて、ワイヤレス通信システムの基地送受信局(BTS)115との無線リンクのようなワイヤレス・リンク113を通じて通信状態になることもできる。BTS115は、ワイヤレス電話電気通信事業者が運営する標準的なBTSとすればよい。VoIPアダプタ105が電話機100からの緊急通話を検出すると、VoIPアダプタ105はその通話をBTS115を通じてなされたワイヤレス通話に変換する(covert)。
【0020】
BTS115は、その上に実装した位置検出コンポーネント120を含むことができる。位置検出コンポーネント120は、ネットワークベース位置検出技術を含むことができる。ネットワークベース位置検出技術は、図4に示すように、VoIPアダプタ105の中に実装したワイヤレス送受信機320の位置を、通話端末140に配信するために、陸側サーバ(例えば、GMLCまたはMPC)に提供することができる。加えて、位置検出コンポーネント120は、ネットワークベース位置検出技術も含むことができる。ネットワークベース位置検出技術は、ネットワークで明らかにした位置を、非緊急VoIP通信においても用いるために、例えば、明らかにした位置情報を、電話機100からのVoIP通話のセッション開始プロトコル(SIP)インビテーションの地理的位置検出エレメントの中に入れることによって、逆にVoIPアダプタ105に提供することができる。
【0021】
実施形態の一例によれば、位置検出コンポーネント120は、例えば、アップリンク到達時間差(U−TDOA)を提供することができ、あるいは位置の判定に備えることができる。U−TDOA方法は、例えば、デバイスの位置を計算するにあたって、既存のセル・タワー、無線アンテナ、およびインフラストラクチャを用いて、位置測定ユニット(LMU)として知られている、異なる受信機における信号の到達時間差を用いることができる。例えば、デバイスが信号を送信し、当該デバイスと各受信機との間の伝送経路の長さに比例する時点で、異なる受信機がその信号を受信することが考えられる。U−TDOA方法は、いつそのデバイスが送信するか知る必要はない場合もあり、むしろ、U−TDOA方法はLMUの対間の時間差を基準線測定値として用いることができ、各受信機からのデバイスの可能な距離全てを表すことができる双曲線グラフを生成することができる。3本以上のそのような双曲線の交点から、送信元デバイスの位置を突き止めることができる。加えて、U−TDOAシステムは、50もの受信アンテナからのタイミング・データを用いて、ネットワークベース・システムに対して最高の精度を可能にすることができる。
【0022】
別の実施形態例によれば、位置検出コンポーネント120は、例えば、到達角度(AOA)による位置判定に備えることができる。到達角度(AOA)方法は、多重エレメント・アレイを含むアンテナを用いることができ、各AOAエレメントの正確な位置が正確に分かる。各エレメントは小さく、別個の信号を受信することができるとよい。信号強度、到達時刻、および位相をアレイの各エレメントにおいて測定することにより、送信機から受信機までの見通し線経路(line-of-sight path)を計算することできると考えられる。異なる位置において同じアンテナ構成を有する別の受信機を配置することによって、プロセスを繰り返すことができる。2本の見通し線経路の交点は、送信元デバイスの位置を表すことができる。U−TDOAと同様、AOAは、例えば、既存のセル・タワー上の指向性アンテナ・アレイの構造に加えて、基地局において特殊受信機を必要とする場合がある。
【0023】
加えて、位置検出コンポーネント120は、セル−ID、セルおよびセクタ、セル−セクタ−距離、または順方向リンク−三角測量のような、他の適した技法であればいずれを用いてでも、電話機100の位置判定に備えることもできる。
【0024】
また、位置検出コンポーネント120は、ワイヤレス・ブロードキャスト配信のために情報を提供し、図4に示すようなワイヤレス送受信機320が、例えば、到達時間(TOA)、順方向リンク三角測量(FLT)、高度順方向リンク三角測量(AFLT)、強化順方向リンク三角測量(E−FLT)、観察到達差(OTD)、強化観察到達差(EOTD)、観察到達時間差(O−TDOA)、または補助GPS(A−GPS)を用いて自己の位置検出を行うことも可能にすることができる。
【0025】
一実施形態では、位置検出コンポーネント120は、強化観察到達時間差(EOTD)を用いて、図4に示すワイヤレス送受信機320が自己の位置検出を行うことを可能にすることができる。EOTDは、デバイスの位置を計算するためには、少なくとも4箇所の異なるセルラ基地局からの信号を用いればよい。E−OTDを用いると、デバイスは、例えば、異なるセルラ・アンテナからの通話の到達時刻を、最小値よりも強い信号で測定することができる。これらの到達時刻(TOA)測定値を陸側サーバに送信し、次いで正規化して、到達時刻を共通クロックに設定することができ、その後到達時間差(TDOA)計算を実行することができる。各基地局からの送信のタイミングの事前知識は、地理的に展開した固定受信機の展開または別の較正技法によって、TOAを正規化できる前に、分からなければならない。基地局の全てがその送信時刻において同期している場合、正規化は不要となり、したがって固定受信機も不要とすることができる。加えて、適切に修正したデバイスであれば、その送信時間中に同期することができる。
【0026】
別の実施形態では、位置検出コンポーネント120は、強化セル識別(E−CID)を用いて、図4に示すワイヤレス送受信機320が自己の位置検出を行うことを可能にすることができる。セル識別(CID)は、制御セル・サイト内にあるデバイスのネットワークの知識を用いて、セクタ情報を伝達するプロセスを含むことができる。このエリアの地理的中心を用いると、展開することができるデバイスの形式には無関係に、ユーザの位置の大まかな推定値を求めることができる。強化セル識別(E−CID)は、ワイヤレス・ネットワークから得られる追加のタイミング進み(TA)および電力測定(PM)情報に沿って、CIDを用いて、位置検出精度を向上させることができる。
【0027】
更に別の実施形態によれば、他の適した位置検出技法およびシステムを用いて、図4に示すワイヤレス送受信機320が自己の位置検出を行うことを可能にすることができる。これらのシステムは、例えば、汎地球ナビゲーション衛星システム(GPSのような)、RosumTV−GPS、および/またはLORANシステムを含むことができる。
【0028】
例えば、補助汎地球測位衛星(A−GPS)受信機は、軌道旋回GPS衛星が送信する信号を受信し処理することができる場合もあり、これを用いても、図4に示すワイヤレス送受信機320が自己の位置検出を行うことを可能にすることができる。A−GPSは、信号がA−GPS受信機に到達する時刻を、空間における送信機の位置の知識と組み合わせて、衛星からデバイスまでの距離を推定する。このような測定を4回以上行うことによって、例えば、TDOAを用いて三角測量を行い、デバイスの正確な位置を計算することができることがある。A−GPSは、正確に分かっている位置にある別個の受信機(それ自体のGPS受信機を有する)を用いることができる。何故なら、衛星位置およびタイミングを収容する典型的なデータベースは非常に大きい場合もあるからである。このサーバは、この情報を移動局に伝達し、移動局の衛星からの推定距離の計算においてそれを役立てることができる。
【0029】
代わりに、例えば、LORAN(長距離ナビゲーション)システムを用いて、図4に示すワイヤレス送受信機320が自己の位置検出を行うことを可能にすることができる。LORANは、低周波無線送信機を用いる地上ナビゲーション・システムを含むことができ、低周波無線送信機は、3つ以上の局から受信した無線信号間の時間間隔を用いることができる。LORANは、少なくとも3つの同期した無線送信機からの信号の受信間における到達時間差(TDOA)の原理に基づくことができる。各送信機対毎に、受信機の位置を双曲線上で決定することができ、受信信号間の時間差は一定である。3つの同期した無線送信局、つまり2対および2本の双曲線によって、受信機の地理的な位置を、双曲線の交点から判定することができる。
【0030】
位置検出コンポーネント120は、無線アクセス・ネットワーク125に接続することができる。無線アクセス・ネットワーク125は、位置検出コンポーネント120から位置情報を受信することができる。無線アクセス・ネットワーク125は、無線ネットワーク・コントローラ、基地局、数個の送信機および/または受信機等を含むことができ、無線アクセス・ネットワーク125がワイヤレス・ネットワークの無線機能性を実行できるようになっている。無線アクセス・ネットワーク125は、例えば、電話機100とワイヤレス電話ネットワークとの間の無線リンクを管理することができる。
【0031】
無線アクセス・ネットワーク125は、更に、音声ネットワーク130を通じた通話端末140への接続、およびデータ・ネットワーク135を通じたMPC/GMLCサーバ145への接続も含むことができる。無線アクセス・ネットワーク125は、電話機100のユーザの音声を送出し、音声ネットワーク130を通じて緊急通話を通話端末140に対して行い、9−1−1オペレータが通話端末140においてその通話を受信することができるようにする。通話端末140は、例えば、応答ポイント応答ポイント(PSAP)受話端末を含むことができる。PSAP受話端末は、緊急時の補助のために9−1−1通話に回答することを責務とすることができる。
【0032】
加えて、無線アクセス・ネットワーク125は、電話機100の位置情報を、データ・ネットワーク135を通じてMPC/GMLSサーバ145に送出することができる。MPC/GMLCサーバ145の移動体測位センタ(MPC)は、符号分割多元接続(CDMA)ワイヤレス・ネットワークまたは時分割多元接続(TDMA)ワイヤレス・ネットワークに用いることができる。加えて、MPC/GMLCサーバ145のゲートウェイ移動機位置検出センター(GMLC)は、移動体用汎地球システム(GSM)通信ワイヤレス・ネットワークに用いることができる。
【0033】
MPC/GMLCサーバ145は、自動位置識別子(ALI)データベース150に接続することができる。MPC/GMLCサーバ145においてデータ・ネットワーク135を通じて受信した位置情報は、ALIデータベース150に転送することができる。ALIデータベース150は、MPC/GMLCサーバ145から受信した位置情報を、その中にインデックスされている住所にマッピングすることができる。ついで、住所をALIデータベース150から通話端末140に送信することができ、しかるべき緊急サービス提供者に住所を発信することができる。
【0034】
加えて、通話は、電力会社、安全保障代理店などのような位置情報を含む通話を受け入れることができるのであれば、他のいずれの適した番号にでも、MPC/GMLCサーバ145のGMLCを通じてルーティングすることができる。例えば、位置に基づくサービス・アプリケーションはMPC/GMLCサーバ145のGMLCを用いて、自律的に明らかにした位置を格納し、電力会社が読み出せるようにすることができる。あるいは、ワイヤレス通話を受信した後に、担当移動体位置検出センター(SMLC)およびワイヤレス通信ネットワークを通じて、位置に基づくサービス・アプリケーションが位置を送信することもできる。
【0035】
あるいは、VoIPアダプタ105が電話機100からの緊急通話を検出した場合、VoIPアダプタ105はIPネットワークを用いてVoIPネットワーク110を通じて通話を実行することができる。一実施形態によれば、位置情報は、VoIPアダプタ105によって、ワイヤレス・ネットワークを通じて用いることができる既存の強化911(E911)技法を用いて計算することができる。また、位置情報は、以前に判定した位置または汎地球測位衛星(GPS)座標から計算することもできる。位置情報は、次に、電話機100を通じて通話が行われるときに送信されるIPパケットに挿入することができる。例えば、位置情報は、電話機100からのVoIP通話のセッション開始プロトコル(SIP)インビテーションに挿入することができる。位置情報および電話機100のユーザの音声は、次いで通話端末140に転送することができる。次に、位置情報をデコードして、通話端末140がしかるべき緊急サービス提供者に電話機100の位置を通知できるようにする。
【0036】
図3Aは、ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正を示す。一実施形態によれば、電話機100はワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)送受信機200と通信状態に置くことができる。WLAN送受信機200は、ワイヤレス送受信機320を含むVoIPアダプタ105に接続することができる。WLAN送受信機200は、電話機100から報告された位置を受信することができる。次に、電話機100の位置は、ワイヤレス位置検出システムによって位置を「発見する」ことができるワイヤレス送受信機320からのオフセット(offset)を較正することができる。発見した位置は、前述のようにワイヤレス・ネットワークを通じて通話を行うというような、既存のE911技法を用いてワイヤレス送受信機320によって自動的に検出した位置を含むことができる。加えて、発見した位置は、VoIPアダプタ105および/またはワイヤレス送受信機320に格納されている、以前の通話からの位置を含むこともできる。
【0037】
ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正は、それ相応に機能することができる。例えば、高層ビルディングの各階にはWiFiアクセス・ポイントを有することができ、ビルディングはその占有者に電話機100を通じてVoIPを提供することができる。電話機100は、例えば、WiFiハンドセットなどを含むことができる。事故の後、同僚が電話機100を用いて9−1−1にダイアルすることができる。WiFiシステムは、通話発信メッセージを、WLAN送受信機200を通じて、アクセス・ポイントおよび有線ビルディング・ネットワークを経由してVoIPアダプタ105およびワイヤレス送受信機320に搬送することができる。緊急通話は、ダイアルされた桁によって認識され、ワイヤレス送受信機320にルーティングすることができる。次いで、通話を図2に示す通話端末140に接続することができる。ワイヤレス送受信機の発見された位置は、図2に示す通話端末140にルーティングされる前に、VoIPアダプタ105および/またはワイヤレス送受信機320に予め格納されている較正情報によって調節または更新することができる。
【0038】
図3Bは、位置判定が可能なWLANシステムによる、ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正を示す。一実施形態によれば、WLAN送受信機200は、例えば、指向性アンテナから受信した方向および距離を用いて位置を判定することができる。次いで、その位置を、ワイヤレス送受信機320において発見した位置に、較正オフセット(calibrated offset)を用いて適用することができる。発見した位置は、前述のようにワイヤレス・ネットワークを通じて通話を行うというように、既存のE911技法を用いてワイヤレス送受信機320によって自動的に検出された位置を含むことができる。加えて、発見した位置は、VoIPアダプタ105および/またはワイヤレス送受信機320に格納されている、以前の通話からの位置を含むこともできる。
【0039】
ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正は、それ相応に機能することができる。例えば、大学のキャンパスが、指向性アンテナを有するWLANアクセス・ポイントのネットワークを含む場合がある。VoIPアダプタ105を各ビルディング内に配置して、VoIPアダプタ105がVoIPサービスをそのビルディングおよびその他の近隣の位置に提供できるようにする。事故の後、学生が電話機100を用いて9−1−1にダイアルすることができる。WLAN送受信機200は、通話発信メッセージをWLANネットワークを通じて、アクセス・ポイントおよび有線またはワイヤレス・バックホール107を経由してVoIPネットワーク110に搬送することができる。次いで、ダイアルした桁または緊急サービス・インディケータエータによって、緊急通話を認識することができる。次いで、緊急通話をワイヤレス送受信機320にルーティングすることができる。電話機100は、報告した位置を生成することができ、この位置は、WLAN送受信機200における計算オフセット(computed offset)を計算するために用いることができる。例えば、WLAN送受信機200の較正位置は、電話機100からの信号強度または往復時間距離推定値による位置の精緻化によって計算することができる。指向性アンテナがWLAN送受信機200に接続されている場合、位置推定値は、例えば、エリアをアンテナが担当するエリアに限定することによって、更に精緻化することができる。この位置は、電話機100およびWLAN送受信機200からの計算オフセットを生成することができる。加えて、図3Aにおいて説明したように、較正オフセットは、WLAN送受信機200とワイヤレス送受信機320との間で計算することもできる。計算オフセットおよび較正オフセットを、ワイヤレス送受信機320の発見位置と組み合わせると、位置情報を生成することができる。次いで、この位置情報を通話端末140にルーティングすることができる。
【0040】
図3Cは、位置判定が可能なWLANシステムによる、ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正の別の実施形態例を示す。一実施形態によれば、WLANシステムは、較正した電界強度測定値またはRF指紋(fingerprinting)を用いて、電話機100の位置を判定することができる。次いで、この位置を、較正オフセットを用いて、発見した位置に適用することができる。発見した位置は、前述のようにワイヤレス・ネットワークを通じて通話を行うというように、既存のE911技法を用いて、ワイヤレス送受信機320によって自動的に検出された位置を含むことができる。加えて、発見した位置は、ワイヤレス送受信機320に格納されている、以前の通話からの位置も含むことができる。較正オフセットは、WLAN送受信機200とワイヤレス送受信機320との間のオフセットとして計算することができる。これは、先に説明した。
【0041】
ワイヤレスに拡大したVoIPシステムの較正は、それ相応に機能することができる。例えば、多数の建屋がある大型工場がWLANアクセス・ポイントのネットワークを含む場合がある。ネットワークは、種々の建屋の音声/データ・ネットワークを相互接続する複数のアクセス・ポイントと複数のVoIPアダプタ105とから成る配列を、公衆テレフォニ/データ・ネットワークにマッピングする格子を用いて、幅広く較正されている場合がある。事故の後、従業員が9−1−1にダイアルすることができる。WiFiシステムは、通話発信メッセージングをWLANネットワークを通じて、WLAN送受信機200および有線またはワイヤレス・バックホール107を経由してVoIPネットワーク110に搬送することができる。緊急通話は、ダイアルした桁または緊急サービス・インディケータによって認識することができる。次いで、緊急通話をワイヤレス送受信機320にルーティングすることができる。較正したWLAN送受信機200の位置は、建屋および階数を含む大まかな位置を呈示することができる。RF格子マッピングから収集したRFデータを用いて、電話機100の位置推定値を更に、計算オフセットによって精緻化することができる。計算オフセットは、電話機100とWLAN送受信機200との間で、RF格子マップを用いて計算することができる。一旦計算したなら、計算オフセットおよび較正オフセット、即ち、WLAN送受信機200とワイヤレス送受信機320との間のオフセットを、ワイヤレス送受信機320の発見位置と組み合わせることができる。次いで、位置情報を通話端末140にルーティングすることができる。
【0042】
図4は、VoIPアダプタ105の実施形態の一例を示す。図4に示すように、VoIPアダプタ105は、第1インターフェース305、プロセッサ310、コンピュータ読み取り可能媒体315、ワイヤレス送受信機320、位置判定受信機325、および第2インターフェース330を含むことができる。第1インターフェース305は、電話機100のユーザおよび緊急通話の他端における9−1−1オペレータの音声のような、信号を電話機100に伝達し更に電話機100から伝達することができる。第1インターフェース305は、プロセッサ310に動作的に結合することができる。プロセッサ310は、例えば、典型的なコンピュータ・プロセッサを含むことができる。また、プロセッサ310はコンピュータ読み取り可能媒体315に結合することもできる。コンピュータ読み取り可能媒体315は、例えば、ランダム・アクセス・メモリ、リード・オンリ・メモリ、ストレージ・ドライブなどを含むことができる。コンピュータ読み取り可能媒体315は、電話機100のユーザによる緊急通話の開始をプロセッサ310に検出させる命令を含むことができる。また、コンピュータ読み取り可能媒体315は、ワイヤレス送受信機320および/または位置判定受信機325を作動させる命令も含むことができる。例えば、緊急通話を検出した場合、プロセッサ310はコンピュータ読み取り可能315からの追加の命令を要求することができる。これら追加の命令は、プロセッサ310がワイヤレス送受信機320および/または位置判定受信機325を作動させるために用いることができる。加えて、コンピュータ読み取り可能媒体315は、今後の使用のために、VoIPアダプタ105の位置情報を格納することもできる。
【0043】
プロセッサ310は、ワイヤレス送受信機320に結合することができる。緊急通話がプロセッサ310によって検出されたときにワイヤレス送受信機320を作動させ、ワイヤレス送受信機320の送信によってワイヤレス送受信機320の位置をネットワークベース位置検出手段によって検出することが可能となり、電話機100の位置情報を計算し、図2に示す通話端末140に配信できるようにする。例えば、ワイヤレス送受信機320は、ワイヤレス・バイパス回路を含むことができ、ワイヤレス・バイパス回路がVoIP緊急通話を、ワイヤレス・ネットワーク上の緊急通話に変換する。加えて、電話機100の位置情報を計算し、GPRSまたはSMSのような無線リンクを含むことができるワイヤレス・リンク113を通じて、またはGMLC/MPCサーバ145から図2に示すVoIPネットワーク110への接続137を通じてのいずれかで、VoIPアダプタ105に配信することができる。位置が今後の使用のためにVoIPアダプタ105に配信されると、VoIPアダプタ105を、ワイヤレス送受信機320のID(例えば、MIN(移動体識別番号)、IMSI(国際移動体局ID)、ESN(電子連番)、IMEI(国際移動体機器固体情報))または加入者の電話番号によって明らかにされた位置と相関付けることができる。図2に示すVoIPネットワーク110は、適正な経路設定(routing)を確保するために、しかるべきVoIP加入者に対応するワイヤレス送受信機320のIDの相関データベースを維持しなければならないようにするとよい。電力会社または安全保障会社のような、位置情報を受け入れるその他の適した番号に通話をルーティングする場合、ワイヤレス・ネットワーク提供者は、例えば、停電が発生したりまたはVoIPアダプタ105への接続に障害が生じ、ワイヤレス送受信機320がバッテリ・バックアップ(例えば、ラップトップ・バッテリまたはUPS)を利用することができるとき、ワイヤレス送受信機320にワイヤレス・ネットワークを利用することを許可することができる。
【0044】
加えて、プロセッサ310をワイヤレス送受信機320および位置判定受信機325に結合することもできる。位置判定受信機325は、プロセッサ310によって通話が検出されたときに作動させることができる。位置判定受信機325は、その通話において直ちに使用するために位置を明らかにすること、および/または今後の使用のために位置を保持することができる。この発見した位置は、較正および/または計算した位置オフセットを用いて修正し、VoIPアダプタ105に格納されている情報に基づいて、報告可能な位置を明示することができる。緊急通話が行われた場合(例えば、緊急オペレータに対して)、プロセッサ310によって緊急通話が検出されたときに、ワイヤレス送受信機320が、図2に示す通話端末140への配信のために、電話機100の報告可能な位置情報を提供するように、ワイヤレス送受信機320を作動させることができる。例えば、ワイヤレス送受信機320はワイヤレス・バイパス回路を含むことができ、ワイヤレス・バイパス回路がVoIP緊急通話をワイヤレス・ネットワーク上の緊急通話に変換する。この例では、較正および/または計算した位置オフセットからのあらゆる修正を含む位置判定受信機325からの発見位置を、MPC/GMLCサーバ145およびALIデータベース150に送り、最終的に、図2に示す通話端末140を用いて緊急オペレータに配信することができる。
【0045】
あるいは、プロセッサ310を位置判定受信機325に結合することもできる。位置判定受信機325は、例えば、先に説明した、TV−GPS受信機またはLORAN受信機のような、汎地球測位衛星(GPS)受信機を含むことができる。位置情報は、例えば、補助GPS処理を用いて、位置判定受信機325によって受信することができる。例えば、GPS受信機は基準ネットワークへのアクセスを有することができる補助サーバと通信することができる。GPS受信機および補助サーバは、電話機100の位置情報を素早く生成するために資源を共有することができる。VoIPアダプタ105が位置判定受信機325を含む場合、VoIPアダプタ105は、電話機100からの通話をVoIP通話として実行することができる。こうして、前述のようなセッション開始プロトコル(SIP)のようなフィールドに挿入したパケットを用いて、図2に示すVoIPネットワーク110を通じて位置情報を通話端末140に供給することができる。あるいは、前述したようなワイヤレス・ネットワークの総合パケット無線サービス(GPRS)機構を用いてセルラ・ネットワークを通じて、図2に示す通話端末140に位置情報を供給してもよい。
【0046】
また、プロセッサ310を第2インターフェース330に結合してもよい。第2インターフェース330は、ユーザの音声および会話の他端における音声のような信号を図2に示すVoIPネットワーク110、またはインターネット・プロトコル(IP)ネットワークとの間で伝達することもできる。
【0047】
図5は、実施形態の一例にしたがって緊急通話をルーティングする方法を示す。405において、電話機とインターネット・プロトコル(IPネットワーク)との間にインターフェースを設けることができる。インターフェースは、例えば、VoIPアダプタを含むことができる。加えて、電話機は、例えば、1つ以上の典型的なアナログ電話機、1つ以上の携帯用電話機(phone)、ならびに1つ以上のコンピュータに接続されているマイクロフォンおよびヘッドセットまたはスピーカを含むことができる。加えて、電話機およびインターフェースは、1つのユニットとしてもよく、例えば、VoIPアダプタを電話機の機構に内蔵してもよい。
【0048】
410において、インターフェースは、電話機を通じて緊急通話が行われたか否か検出することができる。緊急通話が検出された場合、415において、インターフェースの中にあるプロセッサによってワイヤレス送受信機を作動させることができる。ワイヤレス送受信機は、例えば、VoIP緊急通話をワイヤレス・ネットワーク上の緊急通話に変換するワイヤレス・バイパス回路を含むことができる。
【0049】
415においてワイヤレス送受信機を作動させた後、420においてワイヤレス位置検出システムによってインターフェースの位置を検出することができる。例えば、425において、ワイヤレス・ネットワーク上で緊急通話を実行することによって、インターフェースの位置を検出することができる。緊急通話の経路設定は、例えば、430において通話を非VoIP通話としてルーティングすることを含み、非VoIP通話は、VoIPネットワークを迂回し、この通話をワイヤレス・ネットワーク上の典型的なワイヤレス電話呼として送信することを含むことができる。通話を非VoIP通話として実行する場合、440においてワイヤレス・ネットワークを通じて、通話および位置情報をPSAP通話端末受話器(taker)のような緊急通話端末にルーティングすることができる。通話をルーティングするには、緊急サービス・ルーティング・キー(ESRK)および/または緊急サービス・ルーティング番号(ESRD)を用いることができる。これらは、当業者には周知の典型的なワイヤレスE911通話経路設定と同様であると考えられる。
【0050】
450において通話番号の代わりにE911疑似ANIを用いて、インターネット・プロトコル(IP)ネットワーク上のVoIPとして緊急通話を実行することによっても、420においてインターフェースの位置を検出することができる。例えば、455において、位置情報を、電話呼から送信されるIPパケットに挿入することができる。位置情報は、例えば、指定ビットをセッション開始プロトコル(SIP)フィールドに含むことができる。455において挿入された位置情報は、460においてPSAP受話端末のような緊急通話端末にルーティングすることができる。一実施形態では、専用接続を介して、SIPフィールドの中にある情報を用いてしかるべきセンターに通話を給送するローカル・エリア交換電気通信事業者(LEC)選択ルータを通じて、通話をPSAPにルーティングすることができる。この接続により、報告された位置を含む顧客情報を変換し、VoIPネットワークのプロビジョニング・センタを通じてALIデータベースに転送することができ、発呼元番号および位置および/または住所がPSAPに利用可能になる前に、その妥当性を判断することができる。あるいは、通話番号の代わりにE911疑似ANIを有するIPネットワークを通じて、通話を通話端末に接続することもできる。加えて、ワイヤレス・ネットワーク上で並列な通話を開始して位置情報または位置推定を通話端末に提供することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの位置において、緊急サービスを容易にすることにおいてボイス・オーバー・インターネット・プロトコル(VoIP)アダプタとして用いるための装置であって、
電話機との間で信号を伝達する第1インターフェースと、
インターネット・プロトコル(IP)ネットワークとの間で信号を伝達する第2インターフェースと、
前記第1および第2インターフェースに動作的に結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに動作的に結合されており、前記プロセッサに、前記電話機によるユーザの緊急通話の開始を検出させ、位置情報を自動的に入手し、前記位置情報を緊急サービス・オペレータに提供させる命令を含むコンピュータ読み取り可能媒体とを含み、前記命令は、(i)前記装置がオンになったときに、位置情報を自動的に入手するための命令および、(ii)前記緊急通話が検出されたときに、位置情報を自動的に入手するための命令のうち少なくとも1つを含み、前記位置情報を緊急サービス・オペレータに提供するための命令は、発呼元番号の代わりに疑似ANIを用いて、IPネットワークを通じて前記緊急通話をPSAP(公衆サービス応答ポイント)に接続するための命令を含み、前記位置情報を緊急サービス・オペレータに提供するための命令は、さらに、較正オフセットおよび計算オフセットのうちの少なくとも1つを含む位置情報を提供するための命令を含む、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−51726(P2013−51726A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242935(P2012−242935)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2009−544057(P2009−544057)の分割
【原出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.GSM
3.BLUETOOTH
【出願人】(500532540)トゥルーポジション・インコーポレーテッド (48)
【Fターム(参考)】