説明

ボイラ

【課題】 スラッジ排出のためのブロー量を低減し、省エネルギーを実現することである。
【解決手段】 缶体10と、この缶体10の底部に接続されボイラ水を缶体10外へ排水する排水路11と、この排水路11に設けた排水弁9と、この排水弁9を制御する制御器18とを備えるボイラにおいて、前記缶体10内底部に堆積するスラッジの有無を検出するスラッジセンサ16を設け、前記制御器18は、前記スラッジセンサ16からの信号に基づきスラッジの有無を判定して前記排水弁9の開閉を制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、缶体内のボイラ水の排出、所謂ブローを行うボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、給水と蒸発とを繰り返すと、ボイラの缶体内の底部にスラッジが堆積する。このスラッジは、通常ブローを定期的に実施することで排出する(特許文献1参照)。ここで、ブローは、つぎの三つを目的として行われる。スラッジ排出(スケール防止のため),腐食性イオンの濃縮管理(腐食防止のため),電気伝導率の管理(キャリオーバ防止のため)。
【0003】
従来のブローは、スラッジの堆積が外から確認できないので、スラッジがあっても無くても定期的に行われていた。このブローは、堆積したスラッジを全量排出しようとして、半ブローや全ブローとなってしまう。その結果、ブロー量が多くなり、無駄に捨てるエネルギーが多くなっていた。前記の半ブローとはボイラ水の半分を排出する操作、全ブローとはボイラ水の全量を排出する操作を意味する。
【0004】
ここで、ブローの従来技術の種類について説明する。ブローは、ボイラ水の排出位置により、表面ブロー(缶底以外で、好ましくは缶体内のボイラ水の上層部からのブロー)と缶底ブローとの2種類があり、排水の連続性によって、連続ブローと間欠ブローとの2種類があり、自動化するか否かにより、手動ブローと自動ブローとの2種類がある。以上より、理論的には、2×2×2で8通りのブローが考えられるが、現実には、表面ブロー&連続ブロー&自動ブローと缶底ブロー&間欠ブロー&手動ブローとが行われている。スラッジの排出のためのブローは、後者の方である。
【0005】
【特許文献1】特開2004−85084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、スラッジ排出のためのブロー量を低減し、省エネルギーを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、缶体と、この缶体の底部に接続されボイラ水を缶体外へ排水する排水路と、この排水路に設けた排水弁と、この排水弁を制御する制御器とを備えるボイラにおいて、前記缶体内底部に堆積するスラッジの有無を検出するスラッジセンサを設け、前記制御器は、前記スラッジセンサからの信号に基づきスラッジの有無を判定して前記排水弁の開閉を制御することを特徴としている。ここにおいて、「スラッジセンサからの信号に基づきスラッジの有無を判定して排水弁の開閉を制御する」とは、少なくともスラッジ有りを判定して前記排水弁を開く制御を含めば良いことを意味する。そして、前記排水弁の閉をどのようにするかは、つぎの3つの態様を含む。第一の態様は、前記スラッジセンサの信号に基づき、スラッジ無しを判定して前記排水弁を閉じるものである。第二の態様は、前記スラッジセンサの信号に基づき、スラッジ有りを判定した時点から所定時間経過後に前記排水弁を閉じるものである。第三の態様は、前記缶体内のボイラ水が全量または半分などの所定量を排出したことを検出して閉じるものである。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、スラッジの存在を検出してからブローを行うので、スラッジの排出のためのブロー量を低減でき、省エネルギーを実現できる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記缶体の底部の壁面を前記排水路の接続部へ向かって下方に傾斜する傾斜面として形成したことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明による効果に加えて、スラッジが傾斜面に沿って前記排水路近くの前記缶体底部に集まるので、一層少ないブロー量でスラッジを排出でき、さらに省エネルギーを実現できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、スラッジの排出のためのブロー量を低減でき、省エネルギーを実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この実施の形態は、缶体の底部からブローを行うボイラに好適に実施される。このボイラは、好ましくは、蒸気を生成する蒸気ボイラとするが、これに限定されるものではなく、温水を生成するボイラにも適用される。
【0013】
(実施の形態1)
この発明の実施の形態1は、缶体と、この缶体の底部に接続されボイラ水(缶水と称することができる。)を缶体外へ排水する排水路と、この排水路に設けた排水弁(ブロー弁と称することができる。)と、この排水弁を制御する制御器とを備えるボイラにおいて、前記缶体内底部に堆積するスラッジの有無を検出するスラッジセンサを設け、前記制御器は、前記スラッジセンサからの信号に基づきスラッジの有無を判定して前記排水弁の開閉を制御するボイラを特徴とする。
【0014】
この実施の形態1においては、前記缶体にスラッジが堆積すると、この堆積の有無を前記スラッジセンサにより検出する。前記制御器は、前記スラッジセンサからの信号に基づきスラッジ有りと判定すると前記排水弁を開き、ボイラ水を排出(ブロー)する。その結果、前記排水路を通して、前記缶体内の底部に蓄積したスラッジが排水とともに、前記缶体外へ排出される。このように、前記スラッジセンサによってスラッジの存在を確認した後、前記排水弁を開くブローを行うので、不必要なブロー(ブローの回数)を抑制できる。また、前記スラッジセンサによりスラッジ無しの信号を受けることにより、または前記排水弁を開いてから(または、スラッジ有りと判定してから)所定時間後に前記排水弁を閉じることにより、1回当たりのブロー量を低減できる。
【0015】
ここで、前記実施の形態1の構成要素につき説明する。前記缶体は、どのような構成の缶体であってもよいが、好ましくは、底部の壁面(内壁面)を前記排水路の接続部へ向かって下方に傾斜する傾斜面として形成した缶体とする。これにより、スラッジが缶内で生成して沈降する場合、傾斜面を伝って、排水口に集まるため、下部ヘッダ底面が平坦である場合に比べて、排水口付近の狭い領域にスラッジが集中することになり、ボイラ水を排出する際には、スラッジを排出するのに必要な水の量が少なくて済む。そして、前記排水弁を開いてボイラ水を排出する際に、缶体底部に堆積したスラッジを速やかに排出することができる。その結果、スラッジを排出するためのブロー量を低減できる。
【0016】
前記缶体は、上部ヘッダ(管寄せ)と下部ヘッダとの間に多数の水管を接続した缶体とすることができるが、この場合、所謂丸型(形)缶体のようにヘッダ形状をリング(ドーナツ)とする第一の形態と、所謂角型(形)缶体のようにヘッダ形状を蒲鉾(直方体)状
とする形態とがある。前記第一の形態における下部ヘッダは、その底壁をリング状のままで、一方向へ傾斜する傾斜面とし、この傾斜面の低い方の端部に排水口を形成することができる。この構成によれば、ヘッダ内径150mm以下とするという小型貫流ボイラの規格を満たすことができる。しかしながら、下部ヘッダをリング(ドーナツ)状に形成することなく、ほぼ中央部に向けて下方に傾斜する傾斜面として、ほぼ中央部に排水口を形成することができる。この場合、前記底壁は、前記排水口へ向けて下方に傾斜形成される傾斜面は、好ましくは、逆円錐状に形成して、その逆円錐のほぼ中央に前記排水口が形成される。また、前記第二の形態における下部ヘッダは、底壁のほぼ中央部が最も低くなるように傾斜面が形成され、最も低い部分に排水口が形成される。
【0017】
前記排水路は、前記缶体の底壁に形成した排水口に接続される。この排水口は、前記缶体の底壁の最も底の(低い)部分に形成されているので、前記底壁に堆積したスラッジが傾斜部に沿って低い部分に集まり、前記排出口から容易に排出される。
【0018】
前記排水弁は、電気的に制御される電磁弁またはモータ弁で構成される。この排水弁の開閉は、開閉の二段階のものとするが、多段開閉式、連続的に開度が調整可能な弁とすることもできる。
【0019】
前記スラッジセンサは、前記缶体底部に堆積するスラッジの有無を検出できるセンサであればよく、特定のセンサに限定されない。このスラッジセンサとしては、濁度によりスラッジの有無を検出する濁度センサ,静電容量の変化によりスラッジの有無を検出するセンサ,電気伝導率の変化によりスラッジの有無を検出する電気伝導率センサ,発光部および受光部からなり、前記発光部からの光が水またはスラッジを透過して前記受光部へ到達するかどうかでスラッジの有無を検出する光遮蔽センサーなどが利用可能である。前記スラッジセンサは、好ましくは、前記排水口の前記排水弁にできるだけ近いところに設置する。こうすることにより、少量のスラッジが集められただけで、スラッジの検出が可能になり、排出するのに必要なボイラ水の量も節約できる。
【0020】
前記制御器は、前記スラッジセンサからの信号に基づきスラッジの有無を判定し、前記排水弁の開閉を制御する機能を有するが、前記缶体のボイラ水を加熱する加熱器を制御する加熱制御,前記缶体内の水位を制御する水位制御などのその他の機能を行うように構成することができる。前記スラッジの有無の判定および前記排水弁の開放,すなわちブローの実施は、連続的に行っても良いが、間欠的に,すなわち1日1回など間隔をおいて行うように構成できる。また、間欠的に行う場合、ボイラが運転されていない夜間などの特定の時間に行うように構成することが望ましい。さらに、スラッジの有無判定は連続的に行い、ブローは間欠的に行うように構成することができる。前記排水弁を開いた後の閉じるタイミングは、前述のように、前記スラッジセンサからの信号に基づき、スラッジ無しを判定した時とするが、タイマーにより前記排水弁の開からカウントを開始して設定時間のカウントを終了すると閉じるように構成することができる。前記設定時間は、予め実験によりスラッジの全量または所定量の排出に必要な時間を測定して求める。前記加熱器は、バーナ(燃焼器),電気ヒータ,誘導加熱装置などを含む。
【0021】
この発明は、前記実施の形態1に限定されず、つぎの実施の形態2,3を含む。
(実施の形態2)
前記実施の形態2は、前記実施の形態1において、スラッジ排出に要するブロー量を低減するために、スラッジを溶解・分散状態に保つ作用をなすスラッジ分散剤を前記ボイラ水に加えるスラッジ分散剤投入手段を備えたものである。この実施の形態2においては、このスラッジ分散剤を用いることにより、スラッジになるはずの成分が溶解状態・または小さな粒子に分散された状態となり、スラッジとして堆積するのではなく、浮遊状態のまま、表面ブローにより排出することができる。前記スラッジ分散剤としては、ポリアクリ
ル酸(塩)、ポリマレイン酸(塩)、ホスフィノカルボン酸(塩)等を用いることができる。
【0022】
(実施の形態3)
前記実施の形態3は、前記実施の形態1において、キャリオーバの抑制のために、つぎの二つの手段のいずれか一方または両方を備えることができる。第一の手段は、ボイラ水の電気伝導率を設定値以下に保持する手段であって、前記制御器にボイラ水の電気伝導率を設定値に保持するように前記排水弁を制御して前記表面ブローを行うことにより実現される。蒸気ボイラではボイラ水の濃縮が起こり、ボイラ水の電気伝導率が上昇する。電気伝導率が上昇すると、キャリオーバが起こりやすくなる。このキャリオーバは、ボイラ水の電気伝導率を一定以下に保つために、ブローを行うことにより、防止することができる。第二の手段は、0.4MPa〜0.6MPaを下限値として、前記缶体内圧力がこの下限値以上の設定圧力となるよう加熱制御する手段であり、前記制御器による蒸気圧力制御により実現される。前記缶体内の蒸気圧力が低いとキャリオーバが起こりやすくなる。このキャリオーバは、運転の圧力を高く設定することにより、防止できる。
【0023】
さらに、この実施の形態3においては、キャリーオーバを低減するために、前記ボイラの容量を最大負荷に応じたボイラに選定したり、前記蒸気供給管の途中にアキュームレータを備えて、前記下限値以下となるのを防止するように、圧力低下を吸収するクッションタンクとして機能させることが望ましい。また、前記蒸気使用設備が前記下限値以下の圧力の蒸気を要求する場合には、前記第二の手段を備えた上で、前記蒸気供給管に前記設定圧力を前記要求圧力に低減する減圧弁を備えることができる。
【実施例1】
【0024】
以下、この発明の実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明を実施したボイラの一実施例の概略構成図であり、図2は、同実施例1の要部拡大の概略構成図であり、図3は、同実施例1のブロー制御の動作を説明するフローチャート図である。
【0025】
図1に示すように、前記実施例1のボイラは、蒸気ボイラ本体(以下、単に本体という。)1と、燃料制御の第一弁2を有し、バーナ(図示省略)へ燃料を供給するための燃料供給路3と、送風機4を有する燃焼用空気供給路5と、軟水器6および給水ポンプ7を有する給水路8と、ブロー(排水)制御用の排水弁である第二弁(ブロー弁と称することができる。)9を有し、前記本体1に設けた缶体10のボイラ水をブローするための排水路11とを備えている。前記第二弁9は、開度調整を行わない開閉弁である。
【0026】
前記缶体10は、上部ヘッダ12と下部ヘッダ13との間に環状に配置される多数の水管14,14,…を接続した所謂丸形缶体として構成している。前記下部ヘッダ13は、前記上部ヘッダ12のようにリング(ドーナツ)状に形成することなく、底壁13Aのほぼ中央に前記排水路11を接続する排水口15を形成し、前記底壁13Aを前記排水口15へ向かって下方に傾斜する傾斜面として形成している。この底壁13Aは、逆円錐状に形成され、その逆円錐のほぼ中央に前記排水口15を形成している。
【0027】
前記排水路11の上端部(前記排水口15と前記第二弁9との間)に前記缶体10の底部に堆積するスラッジの有無を検出するスラッジセンサ16を設けている。このスラッジセンサ16は、濁度によりスラッジの有無を検出する濁度センサとしている。また、前記缶体10内の蒸気圧力を検出する圧力センサ17を設けている。
【0028】
そして、前記スラッジセンサ16および前記圧力センサ17などからの信号を入力して、前記第一弁2,前記第二弁9,前記送風機4,前記給水ポンプ7などを制御する制御器18を備えている。前記制御器18は、前記スラッジセンサ16からの信号に基づき前記
第二弁9を制御するブロー制御プログラムと、前記圧力センサ17などの信号に基づき前記第一弁2,前記送風機4などを制御することにより前記バーナの燃焼を制御する周知の燃焼制御プログラム,前記給水ポンプ7などを制御することにより前記缶体10内の水位を制御する周知の水位制御プログラムなどを実行可能に構成されている。
【0029】
前記ブロー制御プログラムは、その概要を図3に示すように、前記スラッジセンサ16からの信号に基づき、スラッジ有りを判定すると、前記第二弁9を開き、スラッジ無しが判定されると前記第二弁9を閉じるように構成されている。この実施例1では、前記軟水器6を備えていて、スラッジの発生量が少ないので、スラッジの有無の判定および前記第二弁9の開閉制御を一日一回、夜間に行うなど間欠的に行うことが望ましい。この場合、スラッジの有無判定だけは、連続的に行い、前記第二弁9の開閉のみ間欠的に行うように構成することもできる。
【0030】
図1において、前記缶体10にて生成された蒸気は、給蒸を制御する第三弁19を備える蒸気供給路20を通して蒸気使用設備21へ供給される。
【0031】
前記構成の実施例1の動作を図面に従い説明する。図3を参照して、ステップS1(以下、ステップSNを単にSNという。)にて、ボイラの運転が開始され、S2にて、前記制御器18は、前記スラッジセンサ16からの信号に基づき、スラッジの有無を判定する。
【0032】
ボイラの運転により、前記缶体10への給水と前記缶体10から蒸気使用設備(図示省略)への給蒸が繰り返されると、前記缶体10の底部の下部ヘッダ13にはスラッジが堆積してくる。このスラッジは、前記底壁13Aが傾斜しているので、スラッジは傾斜に沿って低い部分(すなわち排出口15付近)に集まって溜まる。スラッジの堆積量がある量に達すると、前記スラッジセンサ16からの信号に基づき、濁度が設定値以上となると、前記制御器18がスラッジ有りを判定する。
【0033】
すると、前記S2において、YESが判定され、S3へ移行して、前記第二弁(排水弁)9を開く。その結果、前記缶体10内のボイラ水が前記排水路11を通して勢いよく排出される。このボイラ水の排出に伴い、前記下部ヘッダ13に堆積したスラッジがボイラ水とともに排出されることになる。
【0034】
前記スラッジセンサ16によりスラッジが検出されなくなると、前記制御器18は、S4にてYESを判定し、S5へ移行して、前記第二弁9を閉じ、ブローを終了する。
【0035】
この実施例1によれば、前記スラッジセンサ16からの信号により、スラッジ有りを判定して前記第二弁9を開くので、スラッジが堆積していないのにブローを行うことを防止でき、ブローの回数を低減できる。また、前記スラッジセンサ16からの信号により、スラッジ無しを判定して前記第二弁9を閉じるので、1回当たりのブロー量を低減できる。こうして、堆積したスラッジを効果的に排出するためのブロー量を必要最低限とすることができる。その結果、従来の手動による全ブローや半ブローと比較して、ブロー量を低減でき、無駄に熱を捨てることが抑制されるので、省エネルギーとなる。
【0036】
また、この実施例1では、前記底壁13Aを前記排水口15へ向けて傾斜する傾斜面としているので、前述のようにスラッジは傾斜に沿って低い部分(すなわち排出口15付近)に集まって溜まる。その結果、ブロー開始から終了までの時間が短縮され、ブロー量をさらに低減できる。
【実施例2】
【0037】
つぎに、この発明の実施例2を説明する。この実施例2は、図4に示すように、前記缶体10の下部ヘッダ13をリング状に形成している点で、前記実施例1と異なる。その他の構成は、前記実施例1と同様であるので、同じ構成要素には、同じ符号を付して説明を省略する。図4において、前記下部ヘッダ13の底壁13Aをリング状のままで、一方向へ傾斜する傾斜面とし、この傾斜面の低い方の端部に排水口15を形成している。この実施例2のボイラは、ヘッダ内径150mm以下とするという小型貫流ボイラの規格を満たすものとしている。
【実施例3】
【0038】
つぎに、この発明の実施例3を説明する。この実施例3は、図5に示すように、前記表面ブローを行うことでボイラ水の電気伝導率を設定値以下に保持してキャリオーバを抑制するキャリオーバ抑制手段を備えている点で、前記実施例1と構成を異にする。このキャリオーバ抑制手段は、周知の構成であるが、前記上部ヘッダ12に気液分離器22を接続し、この気液分離器22に接続された降水管23に、第二の排水弁としての第四弁24を備える第二の排水路25を接続したハード的構成としている。そして、前記キャリオーバ抑制手段のソフト的構成は、前記制御器18による連続ブローのプログラムからなる。このプログラムは、前記缶体10内の電気伝導率を検出する電気伝導率センサ26からの信号に基づき、ボイラ水の電気伝導率が設定値以下となるように前記第四弁24の開閉を制御するものである。その他の構成は、前記実施例1と同様であるので、同じ構成要素には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0039】
本発明は、前記実施例1〜3に限定されるものではない。たとえば、前記スラッジセンサ16の種類および前記缶体10の構造は、前記実施例1〜3に限定されず、種々変更可能である。また、スラッジセンサ16の取付位置は、前記排水路11に限定されず、前記底壁13Aの前記排水口15付近(たとえば、図2の矢視Xの位置)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明を実施したボイラの実施例1の概略構成図である。
【図2】同実施例1の要部拡大の概略構成図である。
【図3】同実施例1のブロー制御の動作を説明するフローチャート図である
【図4】この発明を実施したボイラの実施例2の概略構成を示す断面図である。
【図5】この発明を実施したボイラの実施例3の概略構成図である。
【符号の説明】
【0041】
9 第二弁(排水弁)
10 缶体
11 排水路
13A 底壁
16 スラッジセンサ
18 制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体と、この缶体の底部に接続されボイラ水を缶体外へ排水する排水路と、この排水路に設けた排水弁と、この排水弁を制御する制御器とを備えるボイラにおいて、
前記缶体内底部に堆積するスラッジの有無を検出するスラッジセンサを設け、
前記制御器は、前記スラッジセンサからの信号に基づきスラッジの有無を判定して前記排水弁の開閉を制御することを特徴とするボイラ。
【請求項2】
前記缶体の底部の壁面を前記排水路の接続部へ向かって下方に傾斜する傾斜面として形成したことを特徴とする請求項1に記載のボイラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−192110(P2009−192110A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31276(P2008−31276)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)