説明

ボタンの表裏判別装置

【課題】外周縁の断面形状が表裏で異なるボタンの表裏を確実に判別することのできるボタンの表裏判別装置を提供する。
【解決手段】ボタンBが載置される載置面Waと、載置面Waに斜光Laを照射する斜光照明装置7と、記斜光Laが載置面Waに照射された際に、載置面上に形成されるボタンBの影が投影されるように、複数の受光素子が配列されて載置面Waに埋設されたイメージセンサ3と、イメージセンサ3の出力電圧を所定の検出レベルと比較することにより、ボタンBの影を検出する検出手段16と、検出レベルを、斜光照明装置7からのイメージセンサ3の各受光素子の距離に応じて斬減するように設定する検出レベル設定手段19と、斜光Laを照射した際に、前記検出手段16で検出された影の長LSさに基づいてボタンBの表裏を判別する制御手段5とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン付けミシンに供給するボタンの表裏を判別するのに好適なボタンの表裏判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工業用ミシンの1種として、縫製物としての布地にボタンを縫い付けることのできるボタン付けミシンが知られている。このようなボタン付けミシンには、縫製効率の向上などの理由により、ボタンをその表面を上方に向けて自動的に供給するボタン供給装置が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、ボタン供給装置には、振動式自動部品整列供給装置としての振動式パーツフィーダが用いられており、この振動式パーツフィーダには、ボタンの表裏を判別するボタンの表裏判別装置が配設されており、ボタンの表面が上を向いた上向きのボタンのみを送出することができるようになっている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
図18は従来のボタン供給装置の要部の一例を示すものであり、従来のボタン供給装置101は、振動式自動部品整列供給装置としての振動式パーツフィーダ102を有しており、この振動式パーツフィーダ102の螺旋状のボタン搬送路103の最上段部には、振動により表裏混合で一列に整列して移送される複数の糸通し孔Baを有するボタンBのうち、凹面を上向きにしたボタンBのみを通過させるボタン選別板104が設けられている。このボタン選別板104は、ボタン搬送路103のボタン移動方向に沿った鋸歯状部位104aを有するもので、この鋸歯状部位104aの上にボタンBを通過させることによって、図19に示すように、凹面が上向きのボタンBをそのまま出口に移送し、図20に示すように、凹面が下向きのボタンBは傾いて振動式パーツフィーダ102の底部に落下させるように形成されている。すなわち、ボタン選別板104は、ボタンBの表裏を判別するボタンの表裏判別装置として機能するものである。
【0005】
また、特許文献3には、ミシンに供給するボタンの上面を撮像して前方画像を取得する撮像手段を備えたボタンの縫着方向設定装置が記載されている。このボタンの縫着方向設定装置は、撮像手段により取得された前方画像と、ボタンについて予め記録された規格画像とに基づいて、ボタンを平面形状における所定の角度に傾けて配置して、ミシンに供給するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平03−086189号公報
【特許文献2】実開昭54−137461号公報
【特許文献3】特公平02−023197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献2に記載の従来のボタン選別板104においては、片面が凹面のボタンBを対象としているため、片面が凹面となっていないボタンの場合、表裏の選別、すなわち、表裏を判別することができないという問題点があった。
【0008】
例えば、ボタン選別板104の鋸歯状部位104aの上に片面が凸面となっているボタンBを通過させると、図21(a)に示すように、凸面を上向きとしたボタンBがそのまま出口に移送されるのは勿論のこと、図21(b)に示すように、凸面を下向きとしたボタンBも傾かずにそのまま出口に移送されてしまい、ボタンBの表裏の選別ができなかった。また、同様に、片面が滑らかに膨出する膨出曲面のボタンBについても表裏の選別ができなかった。
【0009】
そこで、片面が凹面となっていないボタンの表裏を確実に判別することのできるボタンの表裏判別装置が求められている。
【0010】
なお、従来のボタン選別板104においては、ボタンBの種類を変更する場合、ボタン選別板104の取り付けに機械的な調整を必要とし、手間がかかり、使い勝手が悪いという問題点もあった。
【0011】
さらに、特許文献3に記載のボタンの縫着方向設定装置によれば、ボタンの表面に形成された刻印や画像等によって、ボタンの表裏を判別することが可能であるが、例えば、ボタンの両面に刻印や画像が全くないボタンの場合、表裏を判別することができなかった。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、片面が凹面となっていないボタン、あるいは、ボタンの両面に刻印や画像が全くないボタンであっても、ボタン外周縁の断面形状が表裏で異なっているボタンであれば、表裏を確実に判別することのできるボタンの表裏判別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述した目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明のボタンの表裏判別装置の特徴は、縫製物に縫い付けられるボタンの表裏を判別するボタンの表裏判別装置において、ボタンが載置される載置面と、前記載置面に斜光を照射する斜光照明装置と、前記斜光が前記載置面に照射された際に、ボタン直下の前記載置面上に形成されるボタンの影が投影されるように、複数の受光素子が配列されて前記載置面に埋設されたイメージセンサと、前記イメージセンサの出力電圧を所定の検出レベルと比較することにより、ボタンの影を検出する検出手段と、前記検出レベルを、前記斜光照明装置からの前記イメージセンサの各受光素子の距離に応じて斬減するように設定する検出レベル設定手段と、前記斜光を照射した際に、前記検出手段で検出された影の長さに基づいてボタンの表裏を判別する制御手段とを備えた点にある。
【0014】
そして、このような構成を採用したことにより、載置面は、ボタンを容易かつ確実に載置することができる。そして、斜光照明装置は、載置面に載置されたボタンに斜光を容易かつ確実に照射することができる。そして、イメージセンサは、斜光によってボタン直下に形成される影の投影を電気信号に変換して出力することができる。さらに、検出手段および検出レベル設定手段は、イメージセンサからの出力電圧を斜光照明装置からのイメージセンサの各受光素子の距離に応じて斬減するように設定した検出レベルと比較することによりボタンの影を検出するから、ボタンの透過性の有無にかかわらず、斜光によりボタン直下の載置面上に形成されるボタンの影を検出することができる。そして、ボタンの外周縁の断面形状が異なりさえすれば、検出されたボタンの影の長さがボタンの表裏によって異なるので、制御手段は、ボタンの透過性の有無にかかわらず、検出手段で検出したボタンの影の長さに基づいてボタンの表裏を確実かつ容易に判別することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るボタンの表裏判別装置によれば、ボタンの透過性の有無にかかわらず、片面が凹面となっていないボタン、あるいは、ボタンの両面に刻印や画像が全くないボタンであっても、ボタンの外周縁の断面形状が異なりさえすれば、斜光によってボタン直下に形成される影の長さがボタンの表裏によって異なるので、このボタンの影の長さに基づいてボタンの表裏を確実かつ容易に判別することができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態の要部を示すブロック図
【図2】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態の要部を示す模式的正面図
【図3】図2のZ−Z線に沿った模式的平面図
【図4】ボタンの一例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図
【図5】ボタンの他例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図
【図6】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態におけるボタン搬送路の検査位置にボタンが存在しないときの斜光照明とCCDラインセンサとの関係を示すものであり、(a)は斜光による照明状態の模式図、(b)は斜光によるCCDラインセンサの出力特性
【図7】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態におけるボタン搬送路の検査位置にボタンが存在しないときの落射照明とCCDラインセンサとの関係を示すものであり、(a)は落射光による照明状態の模式図、(b)は落射光によるCCDラインセンサ3aの出力特性
【図8】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態におけるボタン搬送路の検査位置にボタンの中央部分が表面を上に向けて存在するときの照明とCCDラインセンサとの関係を示すものであり、(a)は斜光による照明状態の模式的正面図、(b)は光を透過するボタンに対応するように検出レベルを設定した状態における斜光によるCCDラインセンサの出力特性の一例、(c)は落射光による照明状態の模式的正面図、(d)は光を透過するボタンに対応するように検出レベルを設定した状態における落射光によるCCDラインセンサの出力特性の一例
【図9】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態におけるボタン搬送路の検査位置にボタンの中央部分が裏面を上に向けて存在するときの照明とCCDラインセンサとの関係を示すものであり、(a)は斜光による照明状態の模式的正面図、(b)は光を透過するボタンに対応するように検出レベルを設定した状態における斜光によるCCDラインセンサの出力特性の一例、(c)は落射光による照明状態の模式的正面図、(d)は光を透過するボタンに対応するように検出レベルを設定した状態における落射光によるCCDラインセンサの出力特性の一例
【図10】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態における透過性を有するボタンの斜光照明による影の検出レベル設定値としての検出基準電圧による影の長さの検出状態を説明する説明図
【図11】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態における透過性を有するボタンの斜光照明による影の検出レベル設定値としての検出基準電圧を一定としたときの影の長さの非検出状態を説明する説明図
【図12】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態における設定動作の一例を示すフローチャート
【図13】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態における落射照明でのボタンの透過性によるCCDラインセンサの出力電圧と検出基準電圧との関係を示すものであり、(a)は不透明なボタン、(b)は透過性が小さいボタン、(c)は透過性が大きいボタン
【図14】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態における斜光照明でのボタンの透過性によるCCDラインセンサの出力電圧と検出基準電圧との関係を示すものであり、(a)は不透明なボタン、(b)は透過性が小さいボタン、(c)は透過性が大きいボタン
【図15】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態におけるボタンの表裏判別動作図
【図16】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態における落射照明によるボタン形状イメージ図
【図17】本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態におけるボタンの表裏判別動作の要部を示すフローチャート
【図18】従来のボタン供給装置におけるボタンの表裏判別装置としてのボタン選別板を示す平面図
【図19】図18のボタン選別板による凹面を上向きにしたボタンの表裏判別状態を示す説明図
【図20】図18のボタン選別板による凹面を下向きにしたボタンの表裏判別状態を示す説明図
【図21】図18のボタンの表裏判別装置における片面が凸面のボタンの表裏判別状態を示す説明図であり、(a)は凸面を上向きにしたボタン、(b)は凸面を下向きにしたボタン
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0018】
図1から図3は本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態を示すものであり、図1は要部のブロック図、図2は要部の模式的正面図、図3は図2のZ−Z線に沿った模式的平面図である。
【0019】
本実施形態のボタンの表裏判別装置は、従来公知のボタン付けミシンにおけるボタンをミシンの縫製位置へ搬送する搬送経路途中に設置されるものを例示している。
【0020】
図1に示すように、本実施形態のボタンの表裏判別装置1(以下、単に、表裏判別装置と記す。)は、照明装置2と、イメージセンサ3と、操作パネル4と、制御手段5とを有している。
【0021】
前記照明装置2は、ボタン搬送路Wを照射するためのものである。この照明装置2による照射位置は、ボタン搬送路Wに設けられた検査ステージとなる検査位置IP(図3参照)とされている。
【0022】
ここで、本実施形態のボタン搬送路Wについて図2および図3により説明する。
【0023】
前記ボタン搬送路Wは、ボタンBを図示しないミシンの縫製位置へ搬送する搬送経路途中に設置されている。すなわち、ボタン搬送路Wは、ボタンBの供給位置からミシンの縫製位置に至る搬送経路の一部を構成するものである。
【0024】
図2および図3に示すように、本実施形態のボタン搬送路Wは、平坦な搬送面Waと、この搬送面Waの右端部において搬送面Waに対して直角をなすように上方に向かって延出されたガイド面Wbとにより、全体として断面L字状をなすように形成されている。また、搬送面Waは、水平面に対してガイド面Wbの形成側が下方に位置するように傾斜配置されている。そして、ボタンBは、図示しない搬送アームによって、搬送面Wa上を図3の矢印Aにて示すボタン搬送方向に沿って搬送されるようになっている。この時、ボタンBは、表面および裏面の一方が搬送面Waと接触しつつ搬送されるとともに、外周の一端がガイド面Wbに接触しつつ搬送されるようになっている。
【0025】
すなわち、図2および図3に示す搬送面Waは、ボタンBを載置する載置面として機能し、この搬送面上をボタンBが移動するようになっている。また、ボタンBが載置される搬送面Waは、ボタンBを図示しないミシンの縫製位置へ搬送する搬送経路途中に設けられている。さらに、ガイド面Wbは、搬送面Waに載置されたボタンBの外周の一端を当接させるために、搬送面Waに、搬送面Waに対して直交するように上方に向かって立設されている。また、ガイド面Wbは、ボタンBが搬送経路に沿って搬送される際に、ボタンBの外周の一端がガイド面Wbに接しつつ搬送されるように搬送経路の搬送方向、すなわち、ボタン搬送方向に沿うように形成されている。またさらに、搬送面Waは、水平面に対してガイド面Wbの形成側が下方に位置するように傾斜配置されているので、ガイド面Wbは、ボタンBの一端を位置決めする機能と、搬送面WaからボタンBが脱落するのを防止する機能とを有している。したがって、ガイド面Wbは、ボタンBの搬送経路を容易に確立する機能を有している。
【0026】
なお、ボタン搬送路Wとしては、ボタンBの表裏を判別するだけであればガイド面Wbに接して移動する構成であればよい。例えば、滑り台のように、ボタンBの自重によって落下するものであってもよい。また、搬送面Waの材質としては、透過性を備えていてもよいし、透過性を備えていなくてもよい。但し、ガイド面Wbの材質としては、透過性を備えていない不透明なものであることが好ましい。したがって、搬送路Wを一体形成する場合には、不透明な素材を使用することが好ましい。
【0027】
また、ボタン搬送路Wの下流端には、位置合わせ装置20が配設されている。この位置合わせ装置20は、ボタンBを布地に縫い付けるために糸通し孔Baの位置としての孔位置を決定するためのものである。そのため、ボタンBの孔位置に応じた図示しないピンゲージ上でボタンBを回転させて孔位置を決定している。ここで、孔位置とは、ボタンBを水平面においたときに、ボタンBの中心を原点とする直交座標上における各糸通し孔Baの中心の座標である。そして、位置合わせ装置20は、制御手段5から送出される角度信号に基づいて、ボタンBが最小回転にてピンゲージに合わさるようにボタンBの回転方向を決定し、ボタンBをピンゲージに合わせボタンBの位置合わせを行うことができるようになっている。
【0028】
図1に戻って、本実施形態の照明装置2は、斜光照明装置7と落射照明装置8との2つを有している。
【0029】
前記斜光照明装置7は、少なくともボタンBの表裏の判別に用いるため斜光Laを得るためのものである。この斜光照明装置7は、図示しない光源からの光を面状の発光面7bから平行光に近似した光として出射するライトボックス7aを有している。そして、図2および図3に示すように、ライトボックス7aを検査位置IPの左斜め上方に配置するとともに、その発光面7bをボタン搬送路Wの検査位置IPに向くように、搬送面Waに対して傾斜するように配置することにより、ガイド面Wbによって遮光されることなく、検査位置IPの搬送面Waに対して上方から斜めに照らす光線である斜光Laを確実に照射することができるように構成されている。
【0030】
すなわち、斜光照明装置7は、ボタン搬送路Waを通過するボタンBに斜光Laを照射することができるようになっている。
【0031】
前記落射照明装置8は、少なくともボタンBの直径、糸通し孔Baの孔数および孔ピッチの判別に用いるための落射光Lb(同軸落射光)、すなわち、ボタンBの中心線に沿ってほぼ平行な光を得るためのものである。この落射照明装置8は、斜光照明装置7と同様に、図示しない光源からの光を面状の発光面8bから平行光に近似した光として出射するライトボックス8aを有している。そして、図2および図3に示すように、ライトボックス8aをボタン搬送路Wの検査位置IPの直上に配置するとともに、その発光面8bを搬送面Waに対して平行に配置することにより、ガイド面Wbによって遮光されることなく、検査位置IPの搬送面Waに対して真上から照らす光線である落射光Lbを確実に照射することができるようになっている。
【0032】
したがって、本実施形態の表裏判別装置1においては、載置面としての搬送面Waに載置されたボタンBに対して、斜光Laと落射光Lbとを照射することができるようになっている。
【0033】
前記各ライトボックス7a、8aのそれぞれの光源としては、LED、電球および蛍光灯(蛍光ランプ)などを挙げることができる。本実施形態においてはLEDが用いられている。また、光の色は任意の色から選択することができる。また、光源としては、LED、電球などの点光源、棒状の蛍光ランプなどの直線光源、円板光源、球面光源、長方形光源などから選択することができる。
【0034】
前記斜光照明装置7は、図1に示すように、斜光照明駆動回路10を介して制御手段5と電気的に接続されており、制御手段5から送出される制御指令により、点灯および消灯のタイミングなどの動作制御と、輝度の制御(調整)がなされるようになっている。
【0035】
前記落射照明装置8は、図1に示すように、斜光照明装置7と同様に、落射照明駆動回路11を介して制御手段5と電気的に接続されており、制御手段5から送出される制御指令により、点灯および消灯のタイミングなどの動作制御と、輝度の制御(調整)がなされるようになっている。
【0036】
前記イメージセンサ3は、照明によりボタン直下の載置面上に形成されるボタンBの影が投影されるものであり、図2および図3に示すように、ボタン搬送路Wに設けられた検査位置IPに埋設されている。このイメージセンサ3は、斜光Laと落射光Lbの両者を受光することができるようになっている。
【0037】
すなわち、イメージセンサ3は、斜光Laおよび落射光Lbのそれぞれが載置面に照射された際に、ボタン直下の載置面上に形成されるボタンBの影が投影されるように載置面に埋設されている。具体的には、載置面としての搬送面Waにイメージセンサ3の受光側に位置する上面が面一になるように配設されている。
【0038】
前記イメージセンサ3は、光量の多少によって発生する電荷量が変化する複数の図示しない受光素子(電荷結合素子)を配列することにより形成されており、検査位置IPを通過するボタンBにより遮光される照明の光量の変化、すなわち、各受光素子が受光した光を電気信号に変換し、その蓄積量(光の明暗)を出力するようになっている。このイメージセンサ3としては、複数の受光素子が1列に配列されている一次元センサ(リニアイメージセンサ)であってもよいし、複数の発光素子が全体として平面状をなすように配列された2次元センサ(エリアイメージセンサ)であってもよい。また、イメージセンサ3としては、CCDセンサであってもよいし、CMOSセンサであってもよい。なお、CMOSラインセンサを用いると、低価格化を図ることができる。
【0039】
本実施形態のイメージセンサ3としては、対象物の映像を高分解能で、高速でかつ連続的に計測することができるなどという理由により、CCDラインセンサ3aが用いられている。このCCDラインセンサ3aの受光面には、複数の受光素子が直線状に配列され、CCDラインセンサ3aは、受光素子の配列方向に沿った長尺上に形成されている。そして、このCCDラインセンサ3aは、複数の受光素子の配列方向が図3の矢印Aにて示すボタン搬送方向に対して直交する幅方向である図2および図3の左右方向に向かうように、検査位置IPに配置されている。また、CCDラインセンサ3aの受光面上をボタンBが通過するように構成されている。またさらに、図3に示すように、斜光照明装置7は、ボタン直下の載置面上に形成される影がガイド面Wbの直交方向に向かって形成されるように、CCDラインセンサ3aの長手方向延長線の上方にガイド面Wbに対向して配置されている。
【0040】
したがって、図2および図3に示すように、斜光照明装置7の発光面7bから出射される斜光Laは、ボタンBが存在しない状態においてCCDラインセンサ3aの長尺状の受光面全体を照射することができるようになっている。また、落射照明装置8は、CCDラインセンサ3aの上方に配置されており、その発光面8bから出射される落射光Lbは、ボタンBが存在しない状態においてCCDラインセンサ3a全体を照射することができるようになっている。なお、CCDラインセンサ3aの長さ、詳しくは複数の受光素子の配列長さ(有効長さ)は、ボタンBの直径より大きく形成されている。
【0041】
前記CCDラインセンサ3aは、図1に示すように、CCD駆動回路12を介して制御手段5と電気的に接続されており、制御手段5から送出される制御指令により、動作タイミングなどの動作制御がなされるとともに、各受光素子が受光した光の明暗を電荷の量に光電変換し、これらを順次読み出して電気信号に変換した出力(検出信号:電圧)をCCDラインセンサ3a内に内蔵されたAD変換素子によりAD変換し、各受光素子の長手方向に沿った座標に対応して制御手段5に送出することができるようになっている。
【0042】
前記操作パネル4は、例えば、タッチパネルが用いられており、このタッチパネルは、情報の入力操作に用いる入力手段としての透明なシート状の入力センサの背面に、情報の表示に用いる表示手段としての表示パネルが配設されて構成されている。このようなタッチパネルには、各種の情報の表示に用いる表示部4aおよび各種の情報の入力操作に用いる入力部4bが設けられており、入力部4bには、基準値などの各種の情報の入力を行う入力ボタンや入力および設定の終了に用いる決定ボタンなどの各種の操作ボタンが設けられている。
【0043】
前記操作ボタンとしては、ボタンBの検出に必要な基準値や設定値などを後述する基準データ保持メモリ21に記憶して登録する設定動作の有効と無効、すなわち、ボタン登録を行うか否かを選択する登録ボタン18を挙げることができる。この登録ボタン18が有効、例えばオン操作された場合には、手動あるいは自動にてボタンBの検出に必要な基準値や設定値を基準データ保持メモリ21に記憶して登録する設定動作を実行することができるように、表裏判別装置1の制御が行われるようになっている。ここで、ボタンBの検出に必要な基準値や設定値の登録の自動と手動との選択は、例えば登録モード選択ボタンの操作によって行われるようになっている。
【0044】
なお、操作ボタンとしては、登録ボタン18が有効な場合、後述する照明設定の動作制御の開始と終了を選択する照明設定ボタン、後述するレベル設定の動作制御の開始と終了を選択するレベル設定ボタン、後述する落射照明によるレベル設定の動作制御の開始を指示する落射レベル設定ボタン、後述する斜光照明によるレベル設定の動作制御の開始を指示する斜光レベル設定ボタン、後述するサイズ設定の動作制御の開始を指示するサイズ設定ボタン、後述するFデータおよびRデータの設定動作制御の開始と終了を選択するFデータ設定ボタンおよびRデータ設定ボタンなども挙げることができる。
【0045】
前記操作ボタンは、実際の突起物ではなく、タッチパネルの予め設定された位置に絵記号などで表示されているものであり、操作ボタンの表示部4a分を操作者が指などで接触あるいは押下することにより、どの操作ボタンが操作されたかを入力センサで検出して、表示されている操作ボタンの機能が実行されるようになっている。
【0046】
また、操作ボタンの表示は、プルダウンメニューとされており、特定の操作ボタンの操作に関連づけて、入力部4bの操作ボタンの表示や表示部4aの表示内容などの画面を切り換えることができるようになっている。
【0047】
前記操作パネル4は、図1に示すように、制御手段5と電気的に接続されており、入力情報を制御手段5に送出することができるとともに、制御手段5から送出される制御指令により、表示部4aの表示内容などの動作制御を行うことができるようになっている。
【0048】
前記制御手段5は、表裏判別装置1の可動部およびボタンの表裏判別に関わる各種処理の制御を司るためのものであり、図1に示すように、少なくとも各種の演算処理を行う演算部として機能するCPU14と、プログラムやデータを記憶する記憶部として機能するメモリ15とを主として形成されている。また、メモリ15は、適宜な容量のROM、RAMおよびデータの消去と書き込みとを行うことのできるEEPROMやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどにより形成されている。なお、不揮発性メモリとしては、着脱可能なものであってもよい。
【0049】
前記制御手段5のCPU14には、基準信号発生回路17が接続されており、基準信号発生回路17から出力される基準信号(クロック信号:クロック・パルス)により、各部の動作タイミングが制御されるようになっている。
【0050】
前記メモリ15には、少なくとも基準データ保持メモリ21、計測データ保持メモリ22、ワークメモリ23、データ処理部24、動作制御部25が設けられている。
【0051】
前記基準データ保持メモリ21は、基準値や設定値などを記憶するためのものであり、各種の基準値および設定値が記憶されるようになっている。この基準データ保持メモリ21には、不揮発性メモリが割り当てられる。
【0052】
本実施形態の基準データ保持メモリ21には、少なくともボタンBの表裏の判別に用いる基準ボタンデータ、CCDラインセンサ3aによるボタンBの影の検出レベルの設定値である検出レベル設定値、ボタンBの直径の判別に用いる基準ボタン直径データ(基準直径値)、および、ボタンBの糸通し孔Baの判別に用いる基準孔データが記憶されている。この基準孔データとしては、糸通し孔Baの基準孔数、基準孔ピッチを挙げることができる。
【0053】
前記基準ボタンデータとしては、ボタンBの「表」を判別するときに用いるFデータ(F値)と、ボタンBの「裏」を判別するときに用いるRデータ(R値)とを挙げることができる。
【0054】
前記検出レベル設定値としては、照明装置2による斜光Laおよび落射光Lbのそれぞれの照明設定値である輝度、およびCCDラインセンサ3aそれ自体の感度設定値であるセンサ感度を挙げることができる。
【0055】
これら輝度およびセンサ感度は、通常は、初期設定値が用いられている。すなわち、表裏の判別に供するボタンBが光を遮光する不透明な材質で形成されている場合には、検出レベル設定値として初期設定値が用いられるようになっている。
【0056】
また、表裏の判別に供するボタンBが光を透過する透過性の材質で形成されている場合には、光を遮蔽する不透明なボタンBと異なり、CCDラインセンサ3aの各受光素子のうち出力電圧が0V(ボルト)になるものがなく、ボタンの影、ひいてはボタンBを検出することができないことになる。しかしながら、透明なボタンBといえどもその透過率は100%ではないので、検出レベルを上げることで、CCDラインセンサ3aからの出力電圧に応じて、ボタンBの影、ひいてはボタンBを検出することができるようになっている。このボタンBを検出するための検出レベルについては後に詳しく説明する。
【0057】
なお、本実施形態においては、後述する制御手段5による制御により、検出レベルを自動的に設定できるようになっているが、自動的に設定された検出レベルの値をさらに微調整等する場合には、操作パネル4の入力部4aを入力操作する。すなわち、操作パネル4の入力部4bは、検出レベル設定手段の一部として機能するようになっている。
【0058】
前記基準ボタン直径データ(基準直径値)としては、判別対象のボタンBに対応する基準直径値が用いられている。そして、基準孔データとしては、同じく判別対象のボタンBに対応する糸通し孔Baの基準孔数、基準孔ピッチを挙げることができる。
【0059】
なお、基準データ保持メモリ21には、予め種々のボタンBに対応した各種の基準データおよび設定値をそのボタンBの種類と関連させて記憶し、使用するボタンBの種類のものを読み出して用いるようにしてもよい。
【0060】
前記計測データ保持メモリ22は、検出したボタンBの影の長さに基づいて形成あるいは取得した計測データを一時的に記憶するためのものであり、計測データは、検査位置IPを通過するボタン毎、すなわち表裏の判別に供するボタン毎に更新されるようになっている。この計測データ保持メモリ22には、不揮発性メモリが割り当てられる。なお、ボタンBの影の長さの検出については後に詳しく説明する。
【0061】
前記計測データとしては、載置面上に載置されるボタン上方、本実施形態においては不図示の搬送手段により搬送されて検査位置IPを通過するボタンBに斜光Laを照射した際に、ボタン直下の載置面上であるイメージセンサ上、詳しくはCCDラインセンサ3aの受光面に斜光Laの照射方向に向かって形成される影(以下、単に、ボタンBの直下に形成される影と記す。)の長さに基づいて得られる表裏の判別に用いる計測ボタンデータと、検査位置IPを通過するボタンBに落射光Lb照射した際に、ボタン直下の載置面上であるCCDラインセンサ3aの受光面に形成される影、すなわち、ボタンBの直下に形成される影の長さや位置などに基づいて得られる計測ボタン直径データ(計測直径値)、および、計測孔データを挙げることができる。また、計測孔データとしては、計測孔数および計測孔ピッチを挙げることができる。
【0062】
なお、斜光Laによる影の長さ、および、落射光Lbによる影の長さについては後に詳しく説明する。
【0063】
ここで、斜光Laよる影と、落射光Lbよる影とを区別するために、以下、斜光LaよりボタンBの直下に形成される影を斜影、落射光LbによりボタンBの直下に形成される影を陰影と記す。
【0064】
前記ワークメモリ23は、少なくともCPU14による演算データおよび中間データなどを記憶するためのものであり、CPU14による処理動作を行う際には、必要なプログラムやデータを読み込んで記憶するようになっている。このワークメモリ23には、RAMが割り当てられる。
【0065】
前記データ処理部24は、ボタンBの表裏、直径および糸通し孔Baのそれぞれを判別するのに必要なプログラムおよびデータを記憶するためのものであり、このデータ処理部24には、少なくともボタンBの表裏の判別、ボタンBの直径および糸通し孔Baのそれぞれの判別を行うためのデータ処理である計測データと基準データとを比較する比較処理に供するプログラムおよびデータが記憶されている。なお、比較処理については、従来公知のものが用いられているので、その詳しい説明については省略する。このデータ処理部24には、RAMおよび/または不揮発性メモリが割り当てられる。
【0066】
前記動作制御部25は、CPU14が表裏判別装置1の制御を行うためのものであり、少なくとも、ボタンBを検出するための基準値や設定値を基準データ保持メモリ21に記憶して登録する設定動作を行うように、CPU14が照明装置2およびCCDラインセンサ3aなどの動作制御を行うための動作制御プログラムおよびデータが予め記憶されている。
【0067】
前記設定動作を行うための動作制御プログラムおよびデータとしては、検査位置IPを通過するボタンBに斜光Laあるいは落射光Lbを照射することにより、ボタン直下に投影されるボタンBの斜影あるいは陰影を、イメージセンサ3としてのCCDラインセンサ3aからそれぞれ出力される出力電圧を所定の検出レベルとしての検出基準電圧PLと比較することにより検出するとともに、検出基準電圧PLを、検査位置IPにボタンBが存在しない状態で斜光Laあるいは落射光Lbを照射したときにCCDラインセンサ3aからそれぞれ出力される出力電圧に対して所定の一定電位を減じた電圧を自動的に設定するように、CPU14が斜光照明装置7およびCCDラインセンサ3aなどの動作制御を行うための動作制御プログラムおよびデータが予め記憶されている。
【0068】
したがって、本実施形態の表裏判別装置1の制御手段5は、イメージセンサ3の出力電圧を所定の検出レベルと比較することにより、ボタンBの影を検出する検出手段16としても機能するとともに、検出レベルである検出レベル設定値としての検出基準電圧PLを斜光照明装置7からのイメージセンサ3の各受光素子の距離に応じて斬減するように設定する検出レベル設定手段19としても機能するようになっている。勿論、ボタンBの影を検出する検出動作は、制御手段5のCPU14がメモリ15の動作制御部25に記憶されている検出動作に用いる動作制御プログラムおよびデータに基づいて実行することになる。また、実際の検出基準電圧PLの設定動作は、制御手段5のCPU14がメモリ15の動作制御部25に記憶されている設定動作に用いる動作制御プログラムおよびデータに基づいて、照明装置2およびCCDラインセンサ3aなどの動作を制御して実行することになる。
【0069】
また、前記動作制御部25には、少なくとも検出手段16によって検出した斜影長さに基づいてボタンBの表裏を判別する判別動作を行うように、CPU14が斜光照明装置7およびCCDラインセンサ3aなどの動作制御を行うための動作制御プログラムおよびデータが予め記憶されている。
【0070】
すなわち、検査位置IPを通過するボタンBに斜光Laを照射することによりボタン直下に投影されるボタンBの斜影を、イメージセンサ3としてのCCDラインセンサ3aの出力および検出レベルとしての検出基準電圧PLaに基づいてで検出し、検出した斜影の長さに基づいてボタンBの表裏を判別するように、CPU14が斜光照明装置7およびCCDラインセンサ3aなどの動作制御を行うための動作制御プログラムおよびデータが予め記憶されている。
【0071】
したがって、載置面上に載置されるボタン上方から斜光Laを照射した際に、ボタン直下の載置面上に斜光Laの照射方向に向かって形成される斜影を検出し、この検出した斜影の長さに基づいて、ボタンBの外周縁の断面形状の表裏の相違を判別することにより、ボタンBの表裏を判別するように、CPU14が、斜光照明装置7およびCCDラインセンサ3aなどの動作制御を行うための動作制御プログラムおよびデータが予め記憶されている。したがって、制御手段5は、CCDラインセンサ3aの出力に基づいて斜影および斜影の長さを検出し、斜影の長さによって表裏の判別を行うことになる。
【0072】
前記斜影長さとしては、載置面上のボタンBの中心部下方を通って斜光Laの照射方向に向かう直線上の影の長さを用いることが、検出した斜影の長さの表裏の差を容易に判別することができるという意味で好ましい。また、斜影長さとしては、ガイド面Wbの直交方向(図8(c)の左右方向)に沿う斜影長さの最大値を用いることが、ボタンBの表裏の斜影の差が最も大きくなるので、ボタンBの表裏をより容易に判別することができるという意味でより好ましい。
【0073】
前記ボタンBの表裏を判別するための動作制御プログラムおよびデータとしては、斜影長さに基づいて計測ボタンデータを形成し、この計測ボタンデータを基準となる基準ボタンデータと比較することによりボタンBの表裏を判別するように形成されていることが、計測ボタンデータと基準ボタンデータとを比較するという簡単な方法で、ボタンBの表裏を容易に判別することができるし、基準ボタンデータを変更するという簡単な方法で、ボタンBの種類の変更に対応することができるなどという意味で好ましい。その結果、機械的な微調整を不要とすることができる。
【0074】
なお、動作制御部25には、RAMおよび/または不揮発性メモリが割り当てられる。
【0075】
また、本実施形態の動作制御部25には、ボタンBの表裏の判別に加えて、ボタンBの直径および糸通し孔Baの判別を行うために、ボタンBに落射光Lbを斜光Laと交互に照射し、落射光Lbを照射した際に、斜光Laによる斜影の検出と同様に、ボタン直下の載置面上であるCCDラインセンサ3aの受光面上に落射光Lbaの照射方向に向かって形成される陰影を、CCDラインセンサ3aからの出力電圧を検出手段16(制御手段5)により、検出レベル設定手段19(制御手段5)によって設定された所定の検出レベルと比較することにより検出し、検出した陰影の長さ(以下、単に、陰影長さと記す。)や位置などに基づいて、ボタンBの計測ボタン直径データおよびボタンBの糸通し孔Baの計測孔データを取得し、この計測ボタン直径データおよび計測孔データのそれぞれを基準となる基準ボタン直径データおよび基準孔データと比較することによりボタンBの直径および糸通し孔Baを判別するように、CPU14が、斜光照明装置7、落射照明装置8およびCCDラインセンサ3aなどの動作制御を行うための動作制御プログラムおよびデータが予め記憶されている。したがって、制御手段5は、CCDラインセンサ3aの出力に基づいて陰影、陰影の長さおよび位置などを検出することになる。
【0076】
さらに、本実施形態の動作制御部25には、CPU14が、基準信号発生回路17からの基準信号に基づいて斜光照明装置7および落射照明装置8のそれぞれを交互に点灯させるタイミングをCCDラインセンサ3aの動作周期毎になるように制御するための動作制御プログラムおよびデータも記憶されている。
【0077】
すなわち、斜光照明装置7は、基準データ保持メモリ21に記憶された照明設定値(初期設定値あるいは入力部4bにより設定された照明設定値)に基づいて、CPU14が斜光照明駆動回路10を介して出力する駆動信号により、斜光Laの輝度が制御されるようになっている。
【0078】
前記落射照明装置8は斜光照明装置7と同様に、基準データ保持メモリ21に記憶された照明設定値(初期設定値あるいは入力部4bにより設定された照明設定値)に基づいて、CPU14が、落射照明駆動回路11を介して出力する駆動信号により落射光Lbの輝度が制御されるようになっている。
【0079】
また、動作制御部25には、CPU14が、CCDラインセンサ3aからの出力に基づいてボタンBの影の有無、ひいてはボタンBの有無を判別し、ボタンBの表裏などの判別動作の開始・終了を制御するための動作制御プログラムおよびデータも記憶されている。
【0080】
またさらに、動作制御部25には、CPU14が、ボタン表裏判別装置1の初期設定動作を行うためのプログラムおよびそのデータや、CPU14が、図示しないミシン本体およびボタン供給装置のそれぞれの制御部との相互間で動作タイミングやデータなどの送受信を行うためのプログラムおよびデータなども記憶されている。
【0081】
本実施形態の制御手段5は、ミシン本体、ボタン供給装置および位置合わせ装置20のそれぞれの制御部から独立させて個別に設けられている。このため、制御手段5は、各制御部とインターフェースを介して電気的に接続されており、ボタン供給装置の制御部は、制御手段5から出力されるボタンBの表裏および糸通し孔Baのそれぞれの判別結果に基づいて各部の動作制御、例えば、ボタン供給装置を駆動してボタンBをミシン本体の縫製位置に供給したり、あるいはボタンBを供給経路から排除するエラー処理をしたり、位置合わせ装置20を駆動して孔位置を決定したりするようになっている。
【0082】
なお、制御手段5は、ミシン本体およびボタン供給装置の少なくとも一方の制御部の機能の一部を借りて実現してもよい。
【0083】
また、本実施形態のボタン表裏判別装置1においては、ボタンBの外周の一部の欠損、外周縁に接する斜面の一部の欠損などの外観欠陥を判別することも可能である。この外観欠陥は、CCDラインセンサ3aから出力される出力信号の出力パターンの異常の有無により判別することができる。すなわち、本来ボタンBで遮光される影の部分が欠陥によりCCDラインセンサ3aに到達するので、欠陥部分のCCDラインセンサ3aの出力が「High」になる。この場合、基準データ保持メモリ21には、CCDラインセンサ3aによる出力パターンの基準パターンを斜光Laによるものと落射光Lbによるものとの両者について記憶することが肝要である。また、糸通し孔Baの孔径を判別するようにすることもできる。この場合、基準データ保持メモリ21に、基準孔径を記憶することが肝要である。
【0084】
さらに、本実施形態のボタン表裏判別装置1においては、ボタンBの表裏、ボタンBの直径、および、糸通し孔Ba(孔数およびピッチ)の判別を行うように形成されているが、ボタンBの表裏のみを判別するように形成してもよい。すなわち、ボタンBの表裏のみを判別する場合には、落射照明装置8は不要である。
【0085】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0086】
まず、表裏の判別に供するボタンについて図4および図5により説明する。
【0087】
図4はボタンの一例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。また、図5はボタンの他例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【0088】
図4および図5に示すように、ボタンBとしては、糸通し孔Baの数が4つのもの(図4)と、糸通し孔Baの数が2つのもの(図5)とがある。また、ボタンBには表裏がある。例えば、図4(a)および図5(a)のそれぞれに誇張して示すように、外周にほぼ半円状の小さい丸みRaを備えた上面が表面とされ、外周にほぼ半円状の大きい丸みRbを備えた下面が裏面とされている。したがって、ボタンBは、外周縁の断面形状が表裏で異なるものが多い。そして、ボタンBは、ミシンの縫製位置において、裏面が縫製物と対向するように、表面を上向きにして縫着されるものである。すなわち、ボタンBは、「表」が上を向いた状態で布地などの縫製物に縫着されるようになっている。
【0089】
つぎに、照明装置2による照明とCCDラインセンサ3aの出力との関係について説明する。
【0090】
まず、ボタン搬送路Wの検査位置IPにボタンBが存在しない場合について図6および図7により説明する。
【0091】
図6はボタン搬送路の検査位置にボタンが存在しないときの斜光照明とCCDラインセンサとの関係を示すものであり、(a)は斜光による照明状態の模式図、(b)は斜光によるCCDラインセンサの出力特性である。また、図7はボタン搬送路の検査位置にボタンが存在しないときの落射照明とCCDラインセンサとの関係を示すものであり、(a)は落射光による照明状態の模式図、(b)は落射光によるCCDラインセンサの出力特性である。
【0092】
前記ボタン搬送路Wの検査位置IPにボタンBが存在しない状態で斜光Laを照射すると、図6(a)に示すように、斜光Laが検査位置IPに配置されているCCDラインセンサ3aの全体を照らすので、CCDラインセンサ3aの出力はほぼ全域にわたって「High」となる。この時、斜光照明装置7の発光面7bからCCDラインセンサ3aの受光面までの距離がCCDラインセンサ3aの長手方向に沿って異なるが、斜光照明装置7からの光が完全な平行光であれば、発光面7bと受光面との距離に無関係に受光面全域にわたって一定の出力が得られる。しかし、実際には、完全な平行光を得ることが難しいので、発光面7bから受光面までの距離が大きいほど光が拡散され、CCDラインセンサ3aからの出力(電圧)は、図6(b)に示すように、斜光照明装置7に最も近い図6(a)の左端に配置されている受光素子による出力が最大となり、斜光照明装置7に最も離れた図6(a)の右端(ガイド面側)に配置されている受光素子による出力が最小となり、全体としては最大出力と最小出力とを直線で結ぶ斜線状になる。
【0093】
すなわち、CCDラインセンサ3aの出力特性は、図6(b)に示すように、斜光照明装置7に近い部分の出力(電圧)は大きく、斜光照明装置7から離れるにつれて出力が漸減するパターンとなる。
【0094】
前記ボタン搬送路Wの検査位置IPにボタンBが存在しない状態で落射光Lbを照射すると、図7(a)に示すように、落射光LbがCCDラインセンサ3aの全体を上方から照らすので、CCDラインセンサ3aの出力は「High」となる。この時、落射照明装置8の発光面8bからCCDラインセンサ3aの受光面までの距離がCCDラインセンサ3aの長手方向においてほぼ均等なため、CCDラインセンサ3aの出力特性は、図7(b)に示すように、出力が一定のパターンになる。
【0095】
つぎに、ボタン搬送路Wの検査位置IPに透過性を有するボタンBの中央部分が存在する場合について図8から図11により説明する。
【0096】
図8は、ボタン搬送路の検査位置にボタンの中央部分が表面を上に向けて存在するときの照明とCCDラインセンサとの関係を示すものであり、(a)は斜光による照明状態の模式的正面図、(b)は光を透過するボタンに対応するように検出レベルを設定した状態における斜光によるCCDラインセンサの出力特性の一例、(c)は落射光による照明状態の模式的正面図、(d)は光を透過するボタンに対応するように検出レベルを設定した状態における落射光によるCCDラインセンサの出力特性の一例である。図8(b)および図8(d)は、ともに、CCDラインセンサ3aの受光面の長手方向位置を横軸に、ガイド面Wbを右端部とするように示している。なお、後述する図9(b)、図9(d)、図11、図13、図14、図15における横軸も、図8(b)および図8(d)と同様である。
【0097】
図9は、ボタン搬送路の検査位置にボタンの中央部分が裏面を上に向けて存在するときの照明とCCDラインセンサとの関係を示すものであり、(a)は斜光による照明状態の模式的正面図、(b)は光を透過するボタンに対応するように検出レベルを設定した状態における斜光によるCCDラインセンサの出力特性の一例、(c)は落射光による照明状態の模式的正面図、(d)は光を透過するボタンに対応するように検出レベルを設定した状態における落射光によるCCDラインセンサの出力特性の一例である。
【0098】
図10は、透過性を有するボタンの斜光照明による影の検出レベル設定値としての検出基準電圧PLaによる影の長さの検出状態を説明する説明図である。
【0099】
図11は、透過性を有するボタンの斜光照明による影の検出レベル設定値としての検出基準電圧PLaを一定としたときの影の長さの非検出状態を説明する説明図である。
【0100】
図8(b)および図9(b)に示すように、斜光LaによるCCDラインセンサ3aの出力電圧は、ボタンBの外周縁が半円状の丸みR(符号Rは、小さい丸みRaと大きい丸みRbを総称する。)を有するため、この丸みR部分を通過してCCDラインセンサ3aに到達する斜光Laの範囲は大きくなり、斜光Laによる出力電圧の「Low」の長さ、すなわち斜影長さは実際のボタンBの直径Dより小さくなる。
【0101】
図8(d)および図9(d)に示すように、落射光LbによるCCDラインセンサ3aの出力電圧は、ボタンBの表裏が上下いずれの方向を向いていても共に変わらない。
【0102】
なお、光を透過するボタンBの場合には、陰影部分および斜影部分のCCDラインセンサ3aから出力される出力電圧の最小値は共に0Vにならない(図8(b)、図8(d)、図9(b)、図9(d))のに対し、ボタンBが完全に光を透過しない場合には、陰影部分および斜影部分のCCDラインセンサ3aの出力電圧は共に0Vになる(図13(a)、図14(a))。
【0103】
ここで、CCDラインセンサ3aの出力電圧が0Vにならないと、ボタンBの影である陰影および斜影、ひいてはボタンBそのものを判別(検出)することができないことになる。しかしながら、透明なボタンBといえどもその透過率は100%ではない。したがって、ボタンBを通過した光を受光した受光素子による出力電圧、すなわち、陰影部分および斜影部分の出力電圧は、ボタンBが存在しない状態で光を受光した受光素子による出力電圧よりは低くなる。また、透過率が低いほど、出力電圧は0Vに近づくことになる。
【0104】
そこで、ボタンBの透過性の有無(透明および不透明)にかかわらず、ボタンBを判別することができるように、CCDラインセンサ3aによるボタンBの影の検出レベル、詳しくは斜光Laおよび落射光Lbのそれぞれの輝度と、CCDラインセンサ3aそれ自体のセンサ感度との少なくとも1つを操作パネル4の入力部4bへの入力操作により予め設定する。
【0105】
ここで、ボタンBの斜影部分を判別するためには、前記検出基準電圧PLaは、図10に示すように、検査位置IPにボタンBが存在しない状態(図10のボタン無)におけるCCDラインセンサ3aの出力電圧より低く、かつ、CCDラインセンサ3aのボタンBによる射影部分の出力電圧(図10の射影部分電圧)より高く設定する必要がある。したがって、図11に示すように、ボタンBの透過率が大きい場合には、検出基準電圧PLaをより高い電圧に設定する必要がある。しかし、検出基準電圧PLaを一定としたのでは、検出基準電圧PLaが、ボタンBが存在しない状態で斜光照明装置7からの距離に応じて斬減して出力されるCCDラインセンサ3aの右端部分Xの出力電圧に接近し、これ以上検出基準電圧PLaを高くすることができないことになる。そして、このような場合には、図11の細い実線にて示す表が上向きのボタンB(図11のボタン表)の斜影による出力電圧と、図11の細い実線にて示す表が下向きのボタンB(図11のボタン裏)の斜影による出力電圧との違い、すなわち、ボタンBの表裏による斜影長さの違いを検出することができない。
【0106】
そこで、図10に示すように、斜光照明による検出基準電圧PLaを、複数の受光素子が配列されるCCDラインセンサ3aの検出可能範囲全体に渡って、検査位置IPにボタンBが存在しない状態で斜光Laを検査位置に照射したときに、CCDラインセンサ3aから出力される出力電圧から所定の電圧を減じた電圧となるように設定する。すなわち、検出レベル設定手段19は、斜光照明装置7からのCCDラインセンサ3aの各受光素子の距離に応じて斬減するように、検出レベルを設定する。
【0107】
具体的には、検査位置IPにボタンBが存在しない状態で斜光Laを照射したときに、CCDラインセンサ3aから出力される出力電圧の最小値Vn(最小電圧値)と、ボタンBが存在する状態におけるCCDラインセンサ3aの出力電圧の最小値Veとの電圧差(図10の出力電圧差Vn−Ve)に一定の割合、例えば0.85(85%)程度を乗じた電圧Vr(図10の0.85(Vn−Ve))にVe(検査位置IPにボタンBが存在する状態におけるCCDラインセンサ3aの出力電圧の最小値)を加えた電圧(Vr+Ve)を検査位置IPにボタンBが存在しない状態における出力電圧の最小値Vnから減じた差分値Vd(=Vn−(Vr+Ve))を算出する。そして、この差分値Vdを、CCDラインセンサ3aの全検出範囲に適用する。したがって、CCDラインセンサ3aの全検出範囲における任意の検出位置に対応する出力電圧(検査位置IPにボタンBが存在しない状態)を検出電圧Vpとすると、検出位置における検出基準電圧PLaは、PLa=Vp―Vdで表すことができる。なお、全検出範囲は、複数の受光素子の配列長さであり、検出位置は、複数の受光素子のうちのいずれかである。
【0108】
上述したように、ボタンBが存在しない状態で斜光Laを照射したときに、CCDラインセンサ3aから出力される出力電圧Vpは、斜光照明装置7の光源が完全な平行光線でない限り、CCDラインセンサ3aの複数の受光素子の斜光照明装置7対する距離の長さに応じて斬減するが、検出レベル設定手段19により設定される上述の検出基準電圧PLaは、出力電圧Vpと同様にCCDラインセンサ3aの検出位置の斜光照明装置7に対する距離の大きさに応じて、それぞれ異なる値に設定されることになる。
【0109】
上述のように、検出レベル設定手段19が、ボタンBが存在しない状態で斜光Laを照射したときCCDラインセンサ3aから出力される出力電圧Vnから所定の電圧を減じた電圧となるように検出基準電圧PLaを設定するので、検出基準電圧PLaを一定とした場合のように、検出基準電圧PLaが、ボタンBが存在しない状態で斜光照明装置7からの距離に応じて斬減して出力されるCCDラインセンサ3aの出力電圧Vnに接近することがなく、ボタンBの透過率が大きい場合でも、ボタンBの表裏を容易に判定することができる値に検出基準電圧PLaを設定することができる。
【0110】
また、検出レベル設定手段19が、ボタンBが存在しない状態で斜光Laを照射したときCCDラインセンサ3aから出力される出力電圧Vnと、ボタンBが存在する状態におけるCCDラインセンサ3aの出力電圧の最小値Veとの電圧差(Vn−Ve)に一定の割合、例えば0.85(85%)程度を乗じた電圧Vrに基づいて、検出基準電圧PLaを自動的に設定するので、作業者は、入力部4bによる一定の割合の設定(例えば0.85)と、ボタンBが存在しない状態で斜光Laを照射したときCCDラインセンサ3aから出力される出力電圧Vnの基準データメモリ21への記憶とを一度行っておけば、表裏判別の対象となるボタンBが変わっても、表裏判別の対象となるボタンBの良品サンプル用いて、最小値Veの検出を行うのみで、自動的に検出基準電圧PLaを設定することができる。
【0111】
また、落射照明でも斜光照明と同様に、落射照明による検出基準電圧PLbを設定する(図8(d)、図9(d)。そして、図8および図9に示すように、検出手段16は、CCDラインセンサ3aの出力電圧を所定の検出レベルとしての設定した検出基準電圧PL(符号PLは、斜光照明による検出基準電圧PLaおよび落射照明による検出基準電圧PLbを総称する。)と比較、具体的には、ガイド面Wb(出力電圧のパターンの右端)から、CCDラインセンサ3aの出力電圧(出力電圧のパターン)と検出基準電圧PLとの交点までの横軸の距離を、陰影長さLDおよび斜影長さLSF(ボタン表)、LSR(ボタン裏)とする。なお、検出基準電圧PLは、ボタンBが存在しない状態におけるCCDラインセンサ3aの出力電圧のパターンと平行になる。
【0112】
したがって、ボタン搬送路Wの検査位置IPに透過性を具備するボタンBの中央部分が表面を上(搬送面Waと反対側)に向けた状態で存在するときに斜光Laを照射すると、ボタンBの外周がガイド面Wbに案内されているので、図8(a)に示すように、斜光Laの一部、詳しくは斜光照明装置7に近い図8(a)の左側部分を除く部分をボタンBが完全ではないものの遮光する(斜光LaがボタンBの内部を通過するので光量が少なくなる(暗くなる))。したがって、受光素子が受光する電荷量が少なくなり、出力電圧が低くなる。但し、透過性を有しない不透明なボタンBの場合には、完全に遮光する。この時、ボタンBの直下に形成される斜影がCCDラインセンサ3aに投影される。この場合、CCDラインセンサ3aの出力は、図8(b)に示すように、斜光照明装置7に近い部分は光を受光して斜影が形成されないので明るい部分となるから、その出力(電圧)は「High」になり、ボタンBの斜影が形成される部分の出力は「Low」になる。
【0113】
また、図8(a)に示すように、CCDラインセンサ3aの受光面に対向するボタンBの裏面の外周には大きな丸みRbが形成されているので、CCDラインセンサ3aの出力電圧に基づいて検出手段16がボタンBの斜影を検知してその斜影の長さ、例えば、出力電圧が検出基準電圧PLaと交わる箇所までの斜影長さLSFは、図8(a)に示すボタンBの直径Dより小さくなる。
【0114】
なお、このボタン搬送路Wの検査位置IPにボタンBの中央部分が存在する場合、斜影長さLSFは、ガイド面Wbの直交方向に沿うボタンBの斜影長さの最大値となる。このとき、ガイド面Wbには、ボタンBの外周縁の一部が当接しているので、ガイド面Wbは斜影長さLSFを検出する際の基準面として作用し、斜影長さLSFは、ガイド面Wbからガイド面Wbの直交方向に沿う斜影の端部までの距離、例えば、図8(b)に示すように、基準面としてのガイド面Wbから出力電圧が検出基準電圧PLaと交わる箇所までの横軸の長さとして検出される。
【0115】
前記ボタン搬送路Wの検査位置IPにボタンBの中央部分が裏面を上(搬送面Waと反対側)に向けた状態で存在するときに斜光Laを照射すると、ボタンBの外周がガイド面Wbに案内されているので、図9(a)に示すように、斜光Laの一部、詳しくは斜光照明装置7に近い図9(a)の左側部分を除く部分をボタンBが完全ではないものの遮光する(斜光LaがボタンBの内部を通過するので光量が少なくなる(暗くなる))。したがって、受光素子が受光する電荷量が少なくなり、出力電圧が低くなる。但し、透過性を有しない不透明なボタンBの場合には、完全に遮光する。この時、ボタンBの直下に形成される斜影がCCDラインセンサ3aに投影される。この場合、CCDラインセンサ3aの出力は、図9(b)に示すように、斜光照明装置7に近い部分は光を受光して斜影が形成されないので、その出力(電圧)は「High」になり、ボタンBの斜影が形成される部分の出力は「Low」になる。
【0116】
図9(a)に示すように、CCDラインセンサ3aの受光面に対向するボタンBの表面の外周には小さな丸みRaが形成されているので、CCDラインセンサ3aの出力電圧に基づいて検出手段16がボタンBの斜影を検知してその斜影の長さ、例えば、出力電圧が出基準電圧PLaと交わる箇所までの斜影長さLSRは、図9(a)に示すボタンBの直径Dより小さくなる。このときも、ガイド面Wbは、斜影長さLSRを検出する際の基準面として作用し、斜影長さLSRは、ガイド面Wbからガイド面Wbの直交方向に沿う斜影の端部までの距離、例えば、図9(b)に示すように、基準面としてのガイド面Wbから出力電圧が検出基準電圧PLaと交わる箇所までの横軸の長さとして検出される。
【0117】
なお、斜影の位置などは、CCDラインセンサ3aを構成する複数の受光素子の配列方向の位置座標によって容易に取得することができる。
【0118】
すなわち、CCDラインセンサ3aの受光素子の配列方向の右端が、ガイド面Wbよりも右側に配置されている場合には、斜光Laを遮蔽可能な不透明な材質で形成されたガイド面を用いることによりボタンBが存在しない状態において、斜光Laがガイド面Wbによって遮光されるので、ガイド面Wbの直下に位置するCCDラインセンサ3aの受光素子の位置は、常に明暗境界となるので、この明暗境界を座標の原点とすることで、斜影長さを容易に得ることができる。
【0119】
ここで、ボタンBの表面が上を向いた状態の斜影長さLSFと、ボタンBの裏面が上を向いた状態の斜影長さLSRとは、ボタンBの表面の外周の丸みRaが裏面の外周の丸みRbより小さいので、ボタンBの表面が上を向いた状態の斜影長さLSFがボタンBの裏面が上を向いた状態の斜影長さLSRより小さくなる(LSF<LSR)。
【0120】
すなわち、ボタンBの外周縁の断面形状が表裏で異なりさえすれば、斜光によるボタンBの斜影をCCDラインセンサ3aで検出して得られる斜影長さLSF、LSRが表裏で異なることになる。
【0121】
そこで、本実施形態においては、ボタンBの表面が上を向いた状態の斜影長さLSFを基準ボタンデータのうちのFデータとし、ボタンBの裏面が上を向いた状態の斜影長さLSRを基準ボタンデータのうちのRデータとして予め基準データ保持メモリ21に記憶する。
【0122】
なお、FデータおよびRデータとしては、斜影長さの検出誤差を吸収するための所定のマージンを付加するようにしてもよい。
【0123】
また、ボタンBの表裏による斜影長さは、ボタンBの中央部分(中心部)でなくとも異なるが、ボタン搬送方向に沿った位置の特定を短時間で容易かつ確実にできるとともに、ボタンBの表裏のそれぞれにおける斜影の長さ、および、表裏の斜影の長さの差が最も大きくなるので、表裏の判別を容易にできるなどの理由により、ボタンBの中央部分での斜影長さLSF、LSR、すなわち、ボタンBの中心部下方を通って斜光Laの照射方向に向かう直線上の影の長さを表裏の判別に用いることが好ましい。
【0124】
そして、検査位置IPを通過する表裏の判別に供するボタンBに斜光Laを照射して、そのボタンBの斜影長さを所定の時間間隔で順次CCDラインセンサ3aにより検出し、CCDラインセンサ3aの出力に基づいて斜影長さの最大値(検査位置IPにボタンBの中央部分(中心部)が存在するときの斜影長さ。)を計測ボタンデータとして取得し、この計測ボタンデータを基準ボタンデータのFデータあるいはRデータと比較することにより、表裏の判別に供するボタンBの表裏を判別する。
【0125】
なお、上述のように、ボタンBの表裏を判定するためは、搬送面Wa上にボタンBの中心部下方を通って斜光Laの照射方向に向かう直線上の影の長さを検出すること好ましいが、ボタンBの搬送中のいつの時点で搬送面Wa上にボタンBの中心部下方を通って斜光Laの照射方向に向かう直線上にボタンBの斜影が形成されるかを判別することは、難しい。しかし、搬送面Wa上にボタンBの中心部下方を通って斜光Laの照射方向に向かう直線上に斜影が形成されると、斜影の長さは最大となるから、このように、搬送面Wa上に形成される斜影の長さの最大値を取得することにより、容易に、ボタンBの中心部下方を通って斜光Laの照射方向に向かう直線上の影の長さを検出することができる。
【0126】
前記ボタン搬送路Wの検査位置IPに透過性を具備するボタンBの中央部分が存在する状態で落射光Lbを照射すると、ボタンBの外周がガイド面Wbに案内されているので、図8(c)および図9(c)に示すように、落射光Lbの一部、詳しくは斜光照明装置7に近い図8(c)および図9(c)の左側部分を除く部分をボタンBが完全ではないものの遮光する(斜光LaがボタンBの内部を通過するので光量が少なくなる(暗くなる))。但し、透過性を有しない不透明なボタンBの場合には、完全に遮光する。この時、ボタンBの直下に陰影が形成され、このボタンBの直下に形成される陰影がCCDラインセンサ3aに投影される。この場合、CCDラインセンサ3aの出力特性は、図8(d)および図9(d)に示すように、落射照明装置8に近い部分は光を受光して陰影が形成されないので、その出力(電圧)は「High」になり、ボタンBの陰影が形成される部分の出力は「Low」になる。そして、ボタンBの陰影は、ボタンBをそのまま投影して映し出すので、ボタンBの表裏に関わりなく、CCDラインセンサ3aの出力が「Low」になる陰影長さLDは同じになる。
【0127】
また、このボタン搬送路Wの検査位置IPにボタンBの中央部分が存在する場合、陰影長さLDは、斜影長さLSF、LSRと同様に、ガイド面Wbの直交方向に沿うボタンBの陰影長さLDの最大値となる。このとき、ガイド面Wbには、ボタンBの外周縁の一部が当接しているので、ガイド面Wbは陰影長さLDを検出する際の基準面として作用し、陰影長さLDは、ガイド面Wbからガイド面Wbの直交方向に沿う陰影の端部までの距離として検出される。そして、CCDラインセンサ3aがボタンBの陰影を検知してその出力が出基準電圧PLbと交わる箇所までの陰影長さLDは、ボタンBの直径Dと同じになる(LD=D)。
【0128】
そこで、ボタンBの直径Dを基準ボタン直径データ(基準直径値)として予め基準データ保持メモリ21に記憶する。
【0129】
そして、検査位置IPを通過する表裏の判別に供するボタンBに落射光Lbを照射して、そのボタンBの陰影長さを所定の時間間隔で順次CCDラインセンサ3aにより検出し、CCDラインセンサ3aの出力に基づいて陰影長さの最大値(検査位置IPにボタンBの中央部分が存在するときの陰影長さ。)を計測ボタン直径データ(計測直径値)として取得し、この計測ボタン直径データを基準ボタンデータの基準ボタン直径データ(基準直径値)としてのボタンBの直径Dと比較することにより、表裏の判別に供するボタンBの直径を判別できる。
【0130】
また、図6から図9は、説明の便宜上、搬送面Waを水平にして示してある。
【0131】
つぎに、本実施形態の表裏判別装置1の動作について説明する。
【0132】
本実施形態の表裏判別装置1による動作は、制御手段5のCPU14がメモリ15に記憶されているプログラムおよびデータに基づいて実行する。
【0133】
本実施形態の表裏判別装置1の動作には、ボタンBの表裏の判別動作に先立ってボタンBを判別するための基準値や設定値を自動的に基準データ保持メモリ21に記憶して登録する設定動作と、ボタンBの表裏の判別を行うボタンBの表裏判別動作(以下、単に、判別動作と記す。)とがある。
【0134】
まず、本実施形態の表裏判別装置1における設定動作について説明する。
【0135】
図12は本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態における設定動作の一例を示すフローチャートである。
【0136】
本実施形態の表裏判別装置1における設定動作は、制御手段5のCPU14がメモリ15の動作制御部25に記憶されている動作制御プログラムおよびデータに基づいて各部を制御して自動的に実行する。
【0137】
図12に示すように、本実施形態の表裏判別装置1における設定動作は、まず、S(ステップ、以下、同じ。)1においてボタン登録を行うか否かを判断する。そして、ボタン登録を行う(S1のY:例えば、登録ボタン18をオン操作する。)場合には、つぎのS2に進行し、ボタン登録を行わない(S1のN:例えば、登録ボタン18がオフ。)の場合には、設定動作を終了する。
【0138】
ついで、照明設定を開始する(S2のY)。この照明設定の開始は、例えば、照明設定ボタンをオン操作するにより行う。そして、照明設定は、落射照明装置8による落射照明と斜光照明装置7による斜光照明とを個別に点灯して照明の輝度を上昇させCCDラインセンサ3aの出力電圧を飽和させる。そして、落射照明では、出力電圧が飽和したときの輝度の予め設定されている規定値割合、例えば90%を検出し、その検出値を照明設定値として取得し、この照明設定値を基準データ保持メモリ21に記憶する。また、斜光照明では、照明とCCDラインセンサ3aとの距離が近い部分の出力電圧Vss(図14)が飽和したときの輝度の予め設定されている規定値割合、例えば90%を検出し、その検出値を照明設定値として取得し、この照明設定値を基準データ保持メモリ21に記憶する(S9)。このステップは、照明設定値としての輝度の設定である。なお、照明設定に用いる落射照明での規定値割合と、斜光照明での規定値割合とは、同一でもよいし、異なっていてもよい。また、図12においては、CCDラインセンサ3aを、単に、ラインセンサと記す。
【0139】
ついで、設定した照明設定値により落射照明と斜光照明とを個別に点灯し、ボタンBの無い状態での落射照明および斜光照明によるそれぞれのCCDラインセンサ3aの検出位置における出力電圧VPの全検出範囲にわたる出力電圧である出力電圧データ、すなわち、落射照明データおよび斜光照明データを取得し、基準データ保持メモリ21に記憶する(S10)。ここで、落射照明の場合には、図7(b)および図13に示すように、出力電圧(High:Vp=Vun)は一定であり、斜光照明の場合には、図6(b)および図14に示すように、出力電圧はラインセンサ3aから照明が遠くなるにしたがって低下する。
【0140】
ついで、基準データ保持メモリ21に記憶されている既存の検出レベルの設定値である検出レベル設定値としての検出基準電圧PLをクリアする(S11)。このステップは、基準データ保持メモリ21に記憶した照明設定値(S9)に対応する検出基準電圧PLを設定して記憶するためである。
【0141】
ついで、レベル設定を開始する(S4のY:例えば、レベル設定ボタンをオン操作する。)。このレベル設定は、まず、落射照明によるレベル設定を開始する(S12のY:例えば、落射レベル設定ボタンをオン操作する。)。
【0142】
落射照明によるレベル設定は、落射照明によるボタンBの透過性(透明度)に対応させるために、図示しない搬送アームを駆動して基準となるボタンBを搬送し、落射照明を点灯させて、CCDラインセンサ3aの出力電圧データである落射照明データを取得する。電圧値の変化よりボタンBの直径部分における出力電圧の最小値Vum(図13)が透過性を有するボタンBによる出力電圧である。そして、ボタンBが存在しない状態であるボタン無における出力電圧Vunと、陰影による出力電圧の最小値Vumとの出力電圧差の一定割合、例えば80%を出力電圧Vunから引いた値を落射照明における検出レベル設定値である検出基準電圧PLbとして取得し、基準データ保持メモリ21に記憶する(S14)。この落射照明におけるボタンBの透過性によるCCDラインセンサ3aの出力電圧と検出基準電圧PLbとの関係を図13(a)から図13(c)に示す。なお、図13(a)は不透明なボタン、図13(b)は透過性が小さいボタン、図13(c)は透過性が大きいボタンを示している。
【0143】
ついで、斜光照明によるレベル設定を開始する(S13のY:例えば、落射レベル設定ボタンをオン操作する。)。
【0144】
斜光照明によるレベル設定は、図10を用いて説明した場合と同様に行う。具体的には、まず、基準となるボタンBの大きいアールRbを照明側、すなわちボタン裏(図9(c)参照)としてボタン搬送路Wの搬送面Waに配置した状態で、落射照明の場合と同様に、図示しない搬送アームを駆動してボタンBを搬送し、斜光照明を点灯させて、CCDラインセンサ3aの出力電圧データである斜光照明データを取得する。ここでは、まず、検査位置IPにボタンBが存在する場合における出力電圧の最小値Vse(図14)を取得する。そして、検査位置IPにボタンBが存在しない状態であるボタン無における出力電圧は、照明との距離によって変化するため(図14)、ステップS10で取得したボタン無における出力電圧のデータからボタン無における出力電圧の最小値Vsmを求め、この最小値Vsmと斜影による出力電圧の最小値Vseの出力電圧差(Vsm−Vse)を算出し、この出力電圧差に一定割合、例えば85%を乗じたVr(=0.85(Vsm−Vse))を求める。さらに、このVrに検査位置IPにボタンBが存在する状態におけるCCDラインセンサ3aの出力電圧の最小値Ve(を加えたVr+Veを出力電圧Vsmから引いた値Vdを斜光照明における検出レベル設定値である検出基準電圧PLa(=Vsm−Vd)として取得し、基準データ保持メモリ21に記憶する(S15)。この斜光照明におけるボタンBの透過性によるCCDラインセンサ3aの出力電圧と検出基準電圧PLaとの関係を図14(a)から図14(c)に示す。なお、図14(a)は不透明なボタン、図14(b)は透過性が小さいボタン、図14(c)は透過性が大きいボタンを示しており、図14(a)においては、Vse=Ve=0となる。また、検出基準電圧PLaを設定することにより、検出手段16としても機能する制御手段5は、ボタン直下の斜影を検出することになる。
【0145】
なお、落射照明によるレベル設定(S12)と斜光照明によるレベル設定(S13)の順序は、逆であってもよい。また、レベル設定に用いる落射照明での規定値割合と、斜光照明での規定値割合とは、同一でもよいし、異なっていてもよい。また、上述の説明では、落射照明によるレベル設定は、ボタンBが存在しない状態であるボタン無における出力電圧Vunと、陰影による出力電圧の最小値Vumとの出力電圧差に一定割合を乗じて算出したが、斜光照明によるレベル設定と同様な方法で算出しても良い。但し、この場合は、ボタンBが存在しない状態であるボタン無における出力電圧の最小値は、常に一定であるので、そのままVunを用いることができる。
【0146】
ついで、レベル設定が終了したら(S5のY)、ボタンBの直径Dおよび糸通し孔Baの判別に用いる基準ボタン直径データ(基準直径値)および基準孔データ(基準孔数、基準孔ピッチ)からなるサイズ設定(S6)、ボタンBの「表」の判別に用いる基準ボタンデータであるFデータ設定(S7)、および、ボタンBの「裏」の判別に用いる基準ボタンデータであるRデータ設定(S8:例えば、Rデータ設定ボタンのオン操作)を行う。これらの設定は、前記ステップで設定した落射照明における照明設定値および検出レベル設定値(検出基準電圧PL)を用いて行う。
【0147】
前記サイズ設定(S6のY:例えば、サイズ設定ボタンをオン操作する。)は、搬送アームを駆動して基準となるボタンBを搬送し、落射照明を前記ステップ(S9)で設定した照明設定値を用いて点灯させて、前記ステップ(S14)で設定した検出レベル設定値としての検出基準電圧LPbを用いてボタンBの陰影によるCCDラインセンサ3aの出力電圧データである落射照明データを取得し、その落射照明データに基づいて基準ボタン直径データとしての基準直径値である陰影長さLDおよび基準孔データ(基準孔数、基準孔ピッチ)を取得し、基準データ保持メモリ21に記憶することにより行う(S16)。
【0148】
前記Fデータ設定(S7のY:例えば、Fデータ設定ボタンをオン操作する。)は、搬送アームを駆動して基準となるボタンBをボタン表(大きいアールRaを搬送面Waに対向するように載置)にして搬送し、斜光照明を前記ステップ(S10)で設定した照明設定値を用いて点灯させて、前記ステップ(S15)で設定した検出レベル設定値としての検出基準電圧LPaを用いてボタンBの斜影の検出と、ボタンBの斜影によるCCDラインセンサ3aの出力電圧データである斜光照明データを取得し、その斜光照明データに基づいてFデータである斜影長さLSFを取得し、基準データ保持メモリ21に記憶することにより行う(S17)。
【0149】
前記ボタンBの裏の判別に用いる基準データの設定(S8のY:例えば、Rデータ設定ボタンをオン操作する。)は、搬送アームを駆動して基準となるボタンBを搬送し、斜光照明を前記ステップ(S10)で設定した照明設定値を用いて点灯させて、前記ステップ(S15)で設定した検出レベル設定値(検出基準電圧PLa)を用いてボタンBの斜影によるCCDラインセンサ3aの出力電圧データである斜光照明データを取得し、その斜光照明データに基づいてRデータである斜影長さLSRを取得し、基準データ保持メモリ21に記憶することにより行う(S18)。
【0150】
なお、基準データの設定は、操作パネル4からの入力操作により行うこともできる。また、基準ボタンデータ、基準ボタン直径データおよび基準孔データとして、設計値あるいは理論値(マージンを設定してもよい。)を用いることもできる。
【0151】
つぎに、本実施形態の表裏判別装置における判別動作について説明する。
【0152】
まず、本実施形態の表裏判別装置1により実施されるボタンBの表裏判別方法(以下、単に、表裏判別方法と記す。)の概略について説明する。
【0153】
本実施形態の表裏判別方法は、載置面上に載置されるボタン上方から斜光Laを照射した際に、イメージセンサ3と検出手段16により検出された斜影の長さに基づいて、ボタンBの外周縁の断面形状の相違を判別することにより、ボタンBの表裏を判別するようになっている。この斜影長さは、載置面上のボタンBの中心部下方を通って斜光Laの照射方向に向かう直線上の斜影長さであることが好ましい。
【0154】
具体的には、ボタン搬送路Wに設けられた載置面としての搬送面Waを通過するボタンBに斜光Laを照射し、この斜光Laの一部をボタンBが遮光することによりボタンBの直下に形成されるボタンBの斜影長さを、検出手段16により、CCDラインセンサ3aからの出力電圧を斜光照明装置7からのCCDラインセンサ3aの各受光素子の距離に応じて斬減するように設定した検出レベルとしての検出基準電圧PLaと比較することにより検出し、検出したボタンBの斜影長さに基づいてボタンBの表裏を判別するようになっている。
【0155】
また、本実施形態の表裏判別方法においては、イメージセンサ3と検出手段16により検出されるボタンBの斜影長さを、ボタンBの中心部下方を通って斜光Laの照射方向に向かう直線上の影の長さとし、この斜影長さに基づいて計測ボタンデータを形成し、この計測ボタンデータを基準となる基準ボタンデータと比較することによりボタンBの表裏を判別するようになっている。
【0156】
さらに、本実施形態の表裏判別方法においては、ボタンBに落射光Lbを斜光Laと交互に照射し、この落射光Lbの一部をボタンBが遮光することによりボタンの直下に形成されるボタンBの陰影をCCDラインセンサ3aと検出手段16で検出し、検出したボタンBの陰影長さや位置などに基づいて、少なくともボタンBの計測ボタン直径データ、ボタンBの糸通し孔Baの計測孔データを取得し、この計測ボタン直径データおよび計測孔データのそれぞれを基準となる基準ボタン直径データおよび基準孔データと比較することによりボタンBの直径および糸通し孔を判別するようになっている。
【0157】
ここで、本実施形態の表裏判別装置における判別動作について、図15に示すボタンの表裏判別動作図により詳しく説明する。
【0158】
図15は本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態におけるボタンの表裏判別動作図である。なお、図15に示す4列のうちの左端列は、ボタン搬送路Wの検査位置IPに対するボタンBの搬送状態を示し、左端列の1つ右隣は落射光LbによるCCDラインセンサ3aの出力特性である落射照明データを示し、左端列の2つ右隣は表面を上に向けた状態における斜光LaによるCCDラインセンサ3aの出力特性である斜光照明データを示し、右端列は表面を上に向けた状態における斜光LaによるCCDラインセンサ3aの出力特性である斜光照明データを示す。また、出力特性についての横軸および縦軸の説明については図6から図9と同様なので省略し、出力パターンのみを図示する。
【0159】
本実施形態の表裏判別装置1において、ボタンBの判別は、照明装置2を駆動して斜光Laと落射光Lbを交互に検査位置IPに照射することにより開始する。勿論、ボタンBの搬送方向の先頭部分が検査位置IPの直前に到達したことを図示しないセンサにより検出して、照明装置2を駆動するようにしてもよい。
【0160】
そして、搬送面Waを搬送されるボタンBは、図示しない搬送手段により等速で図11の矢印Aにて示すボタン搬送方向に沿って移動を開始する。搬送手段については、例えば、CCDラインセンサ3aを挟んで両側にベルトコンベアを配置し、これを駆動させてボタンBを搬送することができる。
【0161】
図15(a)では、検査位置IPにボタンBが到達せずに、CCDラインセンサ3aがボタンBを検出していない状態(CCDラインセンサ3aからの出力が「High」)である。そして、動作制御部25は判別動作を終了と判断している。そのためデータ処理部24は待機状態にある。
【0162】
ついで、図15(b)にてボタンBの端部を検出し、動作制御部25は、ボタンBの表裏を判別する判別動作開始と判断する。そして、動作制御部25は、判別動作開始のため、計測データ保持メモリ22のデータと、基準データ保持メモリ21のデータである基準ボタンデータ(Fデータ、Rデータ)、基準ボタン外径データ、基準孔データ(基準孔数、基準孔ピッチ)との比較を開始する。
【0163】
図15(b)から図15(h)は、ボタンBの検出の一部であり、図15(h)以降もボタンBが検出されなくなるまで動作制御部25は判別動作を開始とし、データ処理部24は計測データと基準データとの比較を実行する。
【0164】
そして、ボタンBが検査位置IPを通過してボタンBの検出がなくなり、動作制御部25が判別動作終了と判断した場合、制御手段5部は、ボタンBの表裏、直径D、孔数、孔ピッチのそれぞれの判別結果をミシン本体およびボタン供給装置の少なくとも一方の制御部に出力する。
【0165】
前記ボタンBの表裏判別については、前述したように、斜光LaによるCCDラインセンサ3aからの出力に基づいて取得した斜影長さをFデータあるいはRデータと比較して、Fデータと一致する場合には、表裏を「表」、すなわち、ボタンBの表面が上を向いた上向きと判別し、Rデータと一致する場合には、表裏を「裏」、すなわち、ボタンBの表面が搬送面Waと対向する下を向いた下向きと判別する。勿論、斜影長さがFデータと一致しない場合に「裏」と判別し、Rデータと一致しない場合に「表」と判別するようにしてもよい。
【0166】
前記ボタンBの直径Dの判別については、前述したように落射光LbによるCCDラインセンサ3aの出力に基づいて取得した計測直径値を基準直径値と比較し、基準直径値と異なる場合、正常なボタンBでないと判別する。
【0167】
前記ボタンBの糸通し孔Baの判別については、落射光LbによるCCDラインセンサ3aからの出力とボタンBの搬送速度により実行する。
【0168】
すなわち、ボタンBの表裏がどの様な向きに搬送されてもCCDラインセンサ3aは同時に3つ以上の糸通し孔Baを検出しない。
【0169】
すなわち、図15(e)から図15(g)に示すように、糸通し孔Baの検出開始位置と検出終了位置が分かり、ボタンBの搬送速度が一定であれば、各糸通し孔Baのボタン上における位置が算出できる。また、孔径の最大値が分かれば糸通し孔Baの中心が計算でき、搬送速度よりボタン上の糸通し孔Baの孔位置が算出できる。この孔位置が分かるため、孔ピッチおよび孔数も判別できる。
【0170】
すなわち、検査位置IPを通過する表裏の判別に供するボタンBに落射光Lbを照射して、そのボタンBの陰影を所定の時間間隔で順次CCDラインセンサ3aにより検出し、CCDラインセンサ3aの出力に基づいて陰影に含まれる糸通し孔Baによる「High」の位置およびその長さに基づいて計測孔データ(計測孔数、計測孔ピッチ)を取得し、この計測孔データを基準孔データと比較することにより、表裏の判別に供するボタンBの糸通し孔Ba(孔数、孔ピッチ)を判別できる。
【0171】
なお、表裏の判別に供するボタンBの表裏、直径、孔数および孔ピッチのすべてが基準と同一である場合には、その判別結果としてボタンBが正常であることをあらわす正常信号をミシン本体およびボタン供給装置の少なくとも一方の制御部に出力する。
【0172】
また、表裏の判別に供するボタンBの表裏、直径、孔数および孔ピッチの何れか1つでも基準と異なる場合には、そのボタンBを排除する排除信号をボタン供給装置の制御部に出力し、不図示の排除機構により排除するとよい。
【0173】
さらに、判別に供するボタンBの孔位置を判別(検出)して、ボタンBの孔位置の位置合わせを行うための角度信号を、位置合わせ装置20に対して直接的あるいはミシン制御部を介して間接的に送出する。そして、位置合わせ装置20は、角度信号に応じてボタンBの孔位置を決定するように駆動する。
【0174】
そして、表裏の判別に供するボタンBの判別が終了、すなわち、判別結果の出力が終了したら、計測データ保持メモリ22のデータをクリアして待機する。これにより、つぎの表裏の判別に供するボタンBの判別に備える。
【0175】
ここで、落射光Lbによるボタン形状イメージ図を図16に示す。
【0176】
図16は、ボタンBが検査位置IPのCCDラインセンサ3a上を移動し時間軸上に落射光LbによるCCDラインセンサ3aからの出力の明暗切替えポイントを点で表し、その点を結びボタン形状イメージとしたものである。
【0177】
実際のCCDラインセンサ3aは、図16に示す表示時間間隔よりも時間間隔を狭く詳細にボタンデータを検出するが、図16では説明の便宜上時間ポイントを省略して図示してある。
【0178】
図16に示すように、ボタンBは搬送面Waを等速で移動するため、時間に速度を乗じたものが搬送方向に沿った長さ(直径)となる。また、CCDラインセンサ3aによるボタンBの検出開始時点を「0」とする基準位置とした場合、搬送方向の座標が求まる。そして、CCDラインセンサ3aの出力の座標(ボタンBの搬送方向に対して直交する方向に配列されている受光素子の座標)とあわせて検出した位置を取得できる。
【0179】
つぎに、本実施形態の表裏判別装置における判別動作について、図17に示すフローチャートにより詳しく説明する。
【0180】
図17は本発明に係るボタンの表裏判別装置の実施形態におけるボタンの表裏判別動作の要部を示すフローチャートである。
【0181】
本実施形態の表裏判別装置1による判別動作は、制御手段5のCPU14がメモリ15に記憶されているプログラムおよびデータに基づいて実行する。
【0182】
図17に示すように、本実施形態の表裏判別方法は、まず、S(ステップ、以下、同じ)51−S54において、ボタンBの検出を行う。このボタンBの検出は、斜光照明装置7による斜光照明を点灯(落射照明は消灯する。)してデータ読込(CCDラインセンサ3aが検出したデータ(出力)の受信)を行い、ボタン未検出(S52のN:CCDラインセンサ3aからの出力が「High」のまま)の場合には、落射照明装置8による落射照明を点灯(斜光照明は消灯)してデータ読込を行う。そして、ボタンBを検出(S52のYおよびS54のY)するまでS51−S54を繰り返す。なお、図17においては、CCDラインセンサを、単に、ラインセンサと記す。
【0183】
ここで、落射照明を用いない場合には、図17の破線にて示すにように、斜光照明のみによりS51、S52をこの順に繰り返す(図17の破線矢印にて示すS52のN)。
【0184】
ついで、ボタンBを検出(S52のY、S54のY:CCDラインセンサ3aからの出力が「High」から変化)すると、S55において、検出開始時間T1をメモリ15の計測データ保持メモリ22に記憶する。また、検出回数Iと、以前の読込データをクリアする。
【0185】
ついで、S56において、斜光照明を点灯して斜光LaによるCCDラインセンサ3aが検出した斜光照明データ(図15参照)をメモリ15、詳しくは、ワークメモリ23に記憶し、斜光照明を消灯する。
【0186】
ついで、S57において、落射照明を点灯して落射光LbによるCCDラインセンサ3aが検出した落射照明データ(図15、図16参照)をメモリ15、詳しくは、ワークメモリ23に記憶し、落射照明を消灯する。
【0187】
ついで、S58において、少なくとも斜光照明による斜影長さDRと、落射照明による左右外径陰影長さFRLおよびFRR(図15参照)と、落射照明による糸通し孔Baの孔位置の開始と終わりとなる第1立上がり位置FF1および第1立下がり位置FR1(図15参照)、落射照明による異なる糸通し孔Baの孔位置の開始と終わりとなる第2立上がり位置FF2および第2立下がり位置FR2(図15参照)のそれぞれを、検出回数Iをアドレスとしてメモリ15、詳しくは計測データ保持メモリ22に記憶する。なお、図15に示すように、糸通し孔Baは、最大2つが同時に検出され、3つ以上が同時に検出されることはない。但し、位置は異なる。
【0188】
ついで、S59において、ボタンBの検出を終了したか否かを判断し、終了しない(CCDラインセンサ3aからの出力が「High」に復帰しない:S59のN)場合には、S60に進行して検出回数Iに1を加算して、ボタンBの検出が終了するまでボタンBが所定距離移動する毎にS56−S60の処理を繰り返す。
【0189】
前記ボタンBの検出を終了した(CCDラインセンサ3aからの出力が「High」に復帰:S59のY)場合には、S61に進行して、ボタンBの検出終了時間T2をメモリ15、詳しくはワークメモリ23に記憶して、検出時間T(T2−T1)を算出する。そして、検出時間Tに予め設定されているボタン搬送速度Vを乗算してボタンBの縦方向(ボタンBの搬送方向と平行で、CCDラインセンサ3aの長手方向に対して直交する方向:図15に示すボタンの上下方向)の外径FLを算出する。この外径FLは、縦方向の計測直径値(計測ボタンデータ)である。なお、S58におけるDR、FRL、FF1、FR1、FF2、FR2およびFRRは、いずれもガイド面Wbから表裏の判別に供するボタンBの横方向(CCDラインセンサ3aの長手方向に平行で、ボタンBの搬送方向に対して直交する方向:図15に示すボタンの左右方向)の長さである。
【0190】
ついで、S62において、斜光Laによる斜影長さDRの最大値MAX(DR(I))を求め、この最大値MAX(DR(I))から表裏の判別に供するボタンBの計測ボタンデータとなる斜影長さLS(LS=MAX(DR(I)))を求める。また、落射光Lbによる陰影長さFRの最大値MAX(FR(I))を求め、この最大値MAX(FR(I))から表裏の判別に供するボタンBの横方向の計測直径値(計測ボタン直径データ)となる陰影長さLD(LD=MAX(FRL(I)−FRR(I)))を求める(図15参照)。そして、斜影長さLSと陰影長さLDを求めたら、つぎのS63に進行する。
【0191】
ついで、S63において、ボタンBの横方向の外径である陰影長さLDと縦方向の外径FLとを比較して一致すれば(S63のY)、つぎのS64に進行する。また、比較結果が一致しない場合(S63のN)には、S67に進行してボタンBを排除する。このS63は、ボタンBがいびつであるか否かを判断する工程である。なお、ボタンBの排除は、ボタンBが規定値外であることをあらわす信号を制御手段5から図示しないミシン本体およびボタン供給装置の少なくとも一方の制御部に送出し、この信号を受けた制御部により実行されることになる。
【0192】
ついで、S64において、ボタンBの横方向の外径である陰影長さLDと基準データ保持メモリ22に記憶されている基準ボタン直径データである基準直径値F1、すなわちボタンBの直径Dとを比較して一致すれば(S64のY)、つぎのS65に進行する。また、比較結果が一致しない場合(S64のN)には、つぎのS67に進行してボタンBを排除する。
【0193】
なお、縦方向の外径FLと横方向の外径LDとによりボタンBの中心の位置を判別することができる。また、立ち下がり位置および数から糸通し孔Baの孔数、孔ピッチを検出し、基準孔データと比較することにより、孔数、孔ピッチを判別することができる。また、検出した斜光照明データを基準データ保持メモリ21に予め記憶した基準となる斜光照明データと比較したり、検出した射光照明データを基準データ保持メモリ21に予め記憶した基準となる落射照明データと比較したりすることにより、ボタンBの外周の欠損の判別を行うこともできる。なお、糸通し孔Baの孔位置および孔径を判別することもできる。また、糸通し孔Baの孔位置を判別した場合、ボタンBの孔位置の位置合わせを行うための角度信号が、位置合わせ装置20に対して直接的あるいはミシン制御部を介して間接的に送出される。そして、位置合わせ装置20は、角度信号に応じてボタンBの孔位置を決定するように駆動することになる。
【0194】
ついで、S65において、ボタンBの表裏の判別を実行する。すなわち、ボタンBの斜影長さLSと基準データ保持メモリ22に記憶されている基準ボタンデータとを比較して一致すれば(S65のY)、ボタンBの表裏を「表」と判別し、つぎのS66に進行する。
【0195】
具体的には、取得した斜影長LSを基準ボタンデータのうちのFデータ(斜影長さLSF)と比較して一致すれば、ボタンBの表裏を「表」と判別する。そして、ボタンBが「表」であることをあらわす信号を制御手段5から図示しないミシン本体およびボタン供給装置の少なくとも一方の制御部に送出し、この信号を受けた制御部によりミシン本体へのボタンBの搬送が実行されることになる。
【0196】
前記S65における比較結果が一致しない場合(S65のN)には、つぎのS67に進行してボタンBを排除する。
【0197】
前記S66におけるボタンBの判別およびS67におけるボタンBの排除により、ボタンBの選別が終了する。そして、ボタンBの選別が終了すると、S51に戻って、つぎのボタンBの判別と選別を開始することになる。
【0198】
このような構成からなる本実施形態の表裏判別装置1によれば、載置面としての搬送面Waは、ボタンBを容易かつ確実に載置することができる。そして、斜光照明装置7は、搬送面Waに載置されたボタンBに斜光Laを容易かつ確実に照射することができる。そして、イメージセンサ3としてのCCDラインセンサ3aは、斜光Laによってボタン直下に形成される影の投影を電気信号に変換して出力することができる。さらに、検出手段16および検出レベル設定手段19は、CCDラインセンサ3aからの出力電圧を斜光照明装置4からのCCDラインセンサ3aの各受光素子の距離に応じて斬減するように設定した検出レベルと比較することによりボタンBの影を検出するから、ボタンBの透過性の有無にかかわらず、斜光Laによりボタン直下の搬送面上に形成されるボタンBの斜影を容易かつ確実に検出することができる。そして、ボタンBの外周縁の断面形状が異なりさえすれば、検出されたボタンBの斜影長さLSがボタンBの表裏によって異なるので、制御手段5は、ボタンBの透過性の有無にかかわらず、検出したボタンBの斜影長さLSに基づいてボタンBの表裏を確実活容易に判別することができる。
【0199】
したがって、本実施形態の表裏判別装置1によれば、ボタンBの透過性の有無にかかわらず、片面が凹面となっていないボタンB、あるいは、ボタンBの両面に刻印や画像が全くないボタンBであっても、ボタンBの外周縁の断面形状が異なりさえすれば、斜光Laによってボタン直下の搬送面上に形成される斜影長さLSがボタンBの表裏によって異なるので、このボタンBの斜影長さLSに基づいてボタンBの表裏を確実かつ容易に判別することができる。
【0200】
さらに、本実施形態の表裏判別装置1によれば、ガイド面Wbは、ボタンBが搬送経路に沿って搬送される際に、ボタンBの外周の一端がガイド面Wbに接しつつ搬送されるように搬送経路の搬送方向であるボタン搬送方向に沿うように形成され、制御手段5は、ボタンBが搬送面上をボタン搬送方向に沿って搬送されて搬送面Waの検査位置IPを通過する際に、検出手段16で検出した斜影長さLSの最大値に基づいて、ボタンBの表裏を判別するように形成されているから、ボタンBの搬送を中断することなく、表裏の判別を行うことができるので、ボタンBの表裏の判別を自動的かつ効率よく行うことができる。また、ボタンのB外周の一端がガイド面Wbに接しつつ搬送面上を搬送されるので、ボタンBの搬送経路を容易に確立することができるとともに、イメージセンサ3から出力される出力電圧のパターンの基準位置、すなわち、検出手段16により検出される斜影長さLSの基準位置を容易に確立することができる。
【0201】
また、本実施形態の表裏判別装置1によれば、ボタン直下の搬送面Wa上に斜光照明装置7による斜光の照射方向に向かって形成される斜影長さLSに基づいて、ボタンBの表裏を判定しているから、ボタンBの搬送面上に斜影の形成のためのスペースを設ける必要がなく、斜光照明の照射方向と反対側のボタンBの直下より外側に形成される斜影の長さに基づいて表裏を判定する場合と比較して、ボタンBの搬送面の幅を小さくすることができ、ボタンBの搬送経路をよりコンパクトに構成することができる。
【0202】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ボタンBのガイド面WbをボタンBの搬送方向に沿うように構成しているが、ボタンBの表裏判定時にボタンBの搬送面上にボタンBの搬送方向と直交するように上昇立設されるガイド面を有するガイド機構を設け、表裏判定時にこのガイド面にボタンBを当接させてボタンBの搬送を一旦停止させて表裏を判定し、表裏の判定結果が「表」である場合は、ガイド面を搬送面下方に下降させてボタンBを搬送可能とし、判定結果が「裏」である場合は、ガイド面の面方向が搬送方向に向かって若干傾くようにガイド機構を回転させてボタンBが搬送経路から離脱するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0203】
1 表裏判別装置
2 照明装置
3 イメージセンサ
3a CCDラインセンサ
4 操作パネル
4a 表示部
4b 入力部
5 制御手段
7 斜光照明装置
8 落射照明装置
7a、8a ライトボックス
7b、8b 発光面
14 CPU
15 メモリ
16 検出手段
19 検出レベル設定手段
21 基準データ保持メモリ
22 計測データ保持メモリ
24 データ処理部
25 動作制御部
B ボタン
Ba 糸通し孔
R (ボタンの外周縁の半円状の)丸み
Ra (小さい)丸み
Rb (大きい)丸み
PL (検出レベル設定値としての)検出基準電圧
PLa (斜光照明による)検出基準電圧
PLb (落射照明による)検出基準電圧
D (ボタンの)直径
IP 検査位置
L (CCDラインセンサの)長さ
La 斜光
Lb 落射光
LS 斜影長さ
LSF (表面が上向きのときの)斜影長さ
LSR (裏面が上向きのときの)斜影長さ
LD 陰影長さ
W ボタン搬送路
Wa 搬送面
Wb ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製物に縫い付けられるボタンの表裏を判別するボタンの表裏判別装置において、
ボタンが載置される載置面と、
前記載置面に斜光を照射する斜光照明装置と、
前記斜光が前記載置面に照射された際に、ボタン直下の前記載置面上に形成されるボタンの影が投影されるように、複数の受光素子が配列されて前記載置面に埋設されたイメージセンサと、
前記イメージセンサの出力電圧を所定の検出レベルと比較することにより、ボタンの影を検出する検出手段と、
前記検出レベルを、前記斜光照明装置からの前記イメージセンサの各受光素子の距離に応じて斬減するように設定する検出レベル設定手段と、
前記斜光を照射した際に、前記検出手段で検出されたボタンの影の長さに基づいてボタンの表裏を判別する制御手段とを備えたことを特徴とするボタンの表裏判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−220945(P2010−220945A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74020(P2009−74020)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】