ボタン認識装置およびボタン認識方法
【課題】ボタンの表裏や外形の判別精度の向上を図ることにより、ミシンによって仕上がりよく縫製物にボタンを縫い付けることができ、かつボタンの状態の判定時間の短縮化を図る。
【解決手段】白色の照射光11をボタン2の上面に照射し、青色の調整光12をボタン2の下面に照射した状態で、ボタン2の上面から撮像することにより、照射光11の反射光および調整光12の透過光を受光すると同時にボタン2の背景から調整光12を受光して撮像データを取得し、撮像データから調整光12と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、撮像データから調整光12と異なる1色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、調整光輝度データから非調整光輝度データを減算して調整光データを作成し、調整光データを二値化、反転させて輪郭データを作成し、撮像データと輪郭データとの論理積演算を行って合成画像データを作成し、合成画像データとボタン2の表裏それぞれの規格画像データとを比較して、ボタン2の状態を判定する。
【解決手段】白色の照射光11をボタン2の上面に照射し、青色の調整光12をボタン2の下面に照射した状態で、ボタン2の上面から撮像することにより、照射光11の反射光および調整光12の透過光を受光すると同時にボタン2の背景から調整光12を受光して撮像データを取得し、撮像データから調整光12と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、撮像データから調整光12と異なる1色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、調整光輝度データから非調整光輝度データを減算して調整光データを作成し、調整光データを二値化、反転させて輪郭データを作成し、撮像データと輪郭データとの論理積演算を行って合成画像データを作成し、合成画像データとボタン2の表裏それぞれの規格画像データとを比較して、ボタン2の状態を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン認識装置およびボタン認識方法に係り、特に、ボタンの構成情報を取得し、ボタンの表裏、不良、異種等の状態を判定するボタン認識装置およびボタン認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動ボタン縫い付け装置によってボタンを縫製物に縫い付けるにあたり、ボタンの表裏を判別するボタン認識装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ボタンの表裏を検知するためのボタン検知装置を備えた自動ボタン縫着装置が記載されている。このボタン検知装置は、ボタンつまみ足が上昇する際に、このボタンつまみ足によって保持されたボタンの上面に係合可能な位置に進退自在に配置され、ボタンの上面における縁部と中央部に係合可能なボタン検知手段と、このボタン検知手段の上下変位によってボタンの表裏を判別する判別手段とを有している。
【0004】
この自動ボタン検知装置は、例えば、ボタン検知手段として、ボタン有無検知レバーおよびボタン表裏検知レバーを備えている。このような自動ボタン検知装置は、ボタン供給アームによってボタンつまみ足にボタンが供給された後、ボタンつまみ足が上昇する際に、ボタンの縁部によってボタン有無検知レバーが押し上げられたか否かにより、ボタンつまみ足におけるボタンの有無を検知するようになっている。また、自動ボタン検知装置は、ボタンの表面における中央部は窪んでおり、裏面における中央部は平面状であるというボタンの形状を利用して、ボタンつまみ足が上昇する際に、ボタンの中央部によってボタン表裏検知レバーが押し上げられたか否かにより、ボタンの表裏を判別するようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、ボタン収納部および移動経路に所定の振動を発生させることにより、ボタン収納部に収納されたボタンを、ボタンの表裏選別後にボタン排出口から順次排出させるボタン供給部を備えたボタン供給装置が記載されており、このボタン供給装置は、移動経路の途中においてボタン選別機構を備えている。そして、このボタン選別機構においては、通常のボタンは、表面が窪んでおり裏面が平面状であるという形状を利用して、裏面が下側を向いているボタンは通過させるが、表面が下側を向いているボタンは、ボタン収納部における下方に落下させるようになっている。これにより、ボタン供給装置は、ボタンの表裏を判別し、表面が上側を向いているボタンのみをボタン排出口から順次排出するようになっている。
【0006】
さらに、特許文献3には、ミシンに供給するボタンの上面を撮像して前方画像を取得する撮像手段を備えたボタンの縫着方向設定装置が記載されている。このボタンの縫着方向設定装置は、撮像手段により取得された前方画像と、ボタンについて予め記録された規格画像とに基づいて、ボタンを平面形状における所定の角度に傾けて配置して、ミシンに供給するようになっている。
【0007】
また、特許文献3にも記載があるように、従来のボタン供給装置は、ボタンの糸通し孔に係止される係止ピンを有するボタン搬送部が設けられ、このボタン搬送部は、係止ピン上に載置されたボタンの上面からボタンを回転させながら係止ピン上に押し当ててボタンの糸通し孔に係止ピンを係止させることにより、ボタンを平面形状における所定の角度に傾けた状態で保持して、ミシンに供給するようになっている。
【0008】
【特許文献1】特許第2659073号公報
【特許文献2】特許第2648042号公報
【特許文献3】特公平2−023197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前述の特許文献1に記載の自動ボタン検知装置および特許文献2に記載のボタン供給装置によれば、ボタンの表裏の判別を、ボタンの表面における中央部が窪み、裏面が平面状であるというボタンの中央部分の凹凸形状の相違を利用して行うため、例えば、表裏の判別を前記中央部分の凹凸形状ではなく表面に形成された刻印や画像等によってのみ判別可能なボタンについては、表裏を判別することができなかった。このため、前述の従来の自動ボタン検知装置およびボタン供給装置は、例えば、表裏の面形状が同じような多種多様なボタンの表裏判別に対応することができないという問題を有していた。
【0010】
さらに、特許文献3に記載のボタンの縫着方向設定装置によれば、ボタンの表面に形成された刻印や画像等によっても、ボタンの表裏を判別することが可能であるが、例えば、ボタンが透明または半透明の材料によって構成されている場合には、撮像手段によって撮像されたボタンの前方画像においてボタン部分と背景部分との境界が不明確となり、予め記録された規格画像と比較するために十分な前方画像を取得することができない場合があった。このため、このボタンの縫着方向設定装置は、例えば透明、半透明の材料によって形成されているような多種多様なボタンの判別に対応することができないという問題を有していた。
【0011】
また、従来のボタン供給装置は、ボタンを係止ピンに係止させる際に、製造精度の悪いボタンを排除することができなかった。例えば、糸通し孔の形成位置の精度が悪いボタンがボタン搬送部上に載置された場合、係止ピンが糸通し孔に係止されないまま回転装置によってボタンが係止ピン上に押し当てられてしまい、係止ピンが折れてしまうおそれがあるという問題を有していた。
【0012】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ボタンが透明または半透明の材料によって構成されている場合でも、ボタンの表裏や外形の判別精度の向上を図ることができ、ひいてはミシンによって仕上がりよく縫製物にボタンを縫い付けることができるとともに、ボタンの状態の判定時間の短縮化を図ることが可能なボタン認識装置およびボタン認識方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、ボタン付けミシンに対してボタンを供給するボタン供給経路に配置され、前記ボタンの一方の面に向かって照射光を照射する照射光照射装置と、前記ボタンを挟んで前記照射光照射装置に対向して配置され、赤、緑および青の三原色のうち前記照射光と異なるいずれかの色からなる調整光を前記ボタンの他方の面に照射する調整光照射装置と、前記ボタンにおける前記一方の面に対向して配置され、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光とを受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光することにより、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する撮像装置と、前記撮像データから、前記調整光と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、前記撮像データから前記三原色のうち前記調整光と異なる1色の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光の輝度成分を減少させた前記ボタン部分と前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成する二値化反転手段、および前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段を有する画像処理装置と、前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する判定装置とを備えた点にある。
【0014】
この請求項1に記載の発明によれば、照射光をボタンの一方の面に照射すると同時に、調整光をボタンの他方の面に照射した状態で、ボタンの一方の面を1回撮像することにより、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景から調整光を受光して、ボタン部分とボタンの背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタンの凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタンのシルエットが映し出されることとなる。これにより、ボタン認識装置は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタンの凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタンの外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項1に記載のボタン認識装置において、前記照射光照射装置が、前記照射光を発光する照射光照明装置で構成されており、前記調整光照射装置は、前記照射光照明装置から照射された照射光のうち前記三原色のいずれかの色の光を反射させて、前記調整光を照射する光調整部材により構成されている点にある。
【0016】
この請求項2に記載の発明によれば、照射光照射装置としての照射光照明装置を用い、調整光照射装置としての光調整部材は、前記照射光照明装置から照射された照射光を反射させることにより調整光を照射するので、1つの照明装置によって照射光と調整光を照射することができる。これにより、ボタン認識装置の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項2に記載のボタン認識装置において、前記光調整部材が、前記三原色のいずれかの色の光を透過させるバンドパスフィルタを備えた点にある。
【0018】
この請求項3に記載の発明によれば、バンドパスフィルタによって照射光を発光する照射光照明装置から照射された照射光のうち所定の波長の照射光のみを透過し、他の波長の照射光を反射または吸収することにより、調整光を照射光と異なる色にすることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項2に記載のボタン認識装置において、前記光調整部材として、前記三原色のいずれかの色の光を反射するダイクロイックミラーを用いる点にある。
【0020】
この請求項4に記載の発明によれば、ダイクロイックミラーによって照射光照明装置から照射された照射光のうち所定の波長の照射光のみを反射し、他の波長の照射光を吸収することにより、調整光を照射光と異なる色にすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項1に記載のボタン認識装置において、前記調整光照射装置が、赤、緑および青の三原色のいずれかの色のみを発光する調整光照明装置で構成されており、前記照射光照射装置が、前記調整光照明装置から照射される前記調整光から白色の光を励起、反射して前記照射光を照射する励起部材により構成されている点にある。
【0022】
この請求項5に記載の発明によれば、調整光照射装置として三原色のいずれかの色の光を発光する調整光照明装置を用い、照射光照射装置としての励起部材は、調整光照明装置から照射される調整光を励起、反射して白色の照射光を照射するので、1つの照明装置によって照射光と調整光とを照射することができる。これにより、ボタン認識装置の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項5に記載のボタン認識装置において、前記励起部材が、前記照射光を励起する蛍光性を有する部材により構成されている点にある。
【0024】
この請求項6に記載の発明によれば、蛍光性を有する部材によって調整光照明装置から照射された調整光を励起することにより、照射光を調整光と異なる色にすることができる。
【0025】
請求項7に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、ボタン付けミシンに対してボタンを供給するボタン供給経路に配置され、前記ボタンの一方の面に向かって赤、緑および青の三原色のいずれかの色からなる照射光を照射する照射光照射装置と、前記ボタンを挟んで前記照射光照射装置に対向して配置され、前記照射光と異なる色からなる調整光を前記ボタンの他方の面に照射する調整光照射装置と、前記ボタンにおける前記一方の面に対向して配置され、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光とを受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光することにより、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する撮像装置と、前記撮像データから、前記照射光と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、前記撮像データから前記三原色のうち前記照射光と異なる色の光を抽出して調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光の輝度成分を減少させた前記ボタン部分と前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成する二値化反転手段、および前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段を有する画像処理装置と、前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する判定装置とを備えた点にある。
【0026】
この請求項7に記載の発明によれば、照射光をボタンの一方の面に照射すると同時に、調整光をボタンの他方の面に照射した状態で、ボタンの一方の面を1回撮像することにより、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景から調整光を受光して、ボタン部分とボタンの背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタンの凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタンのシルエットが映し出されることとなる。これにより、ボタン認識装置は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタンの凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタンの外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明に係るボタン認識装置は、請求項7に記載のボタン認識装置において、前記照射光照射装置が、赤、緑、および青色の三原色のいずれかの色を発光する照明装置で構成されており、前記調整光照射装置が、前記照明装置から照射される前記照射光から白色の光を励起、反射し、この光を前記調整光として前記ボタンの他方の面に照射する励起部材により構成されている点にある。
【0028】
この請求項8に記載の発明によれば、照射光照射装置として三原色のいずれかの色の光を発光する照射光照明装置を用い、調整光照射装置としての励起部材は、前記照射光照明装置から照射される照射光を励起、反射して白色の調整光を照射するので、1つの照明装置によって照射光と調整光とを照射することができる。これにより、ボタン認識装置の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明に係るボタン認識方法の特徴は、照射光をボタンの一方の面に向かって照射するとともに、赤、緑および青の三原色のいずれかの色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射した状態で、前記ボタンの一方の面から撮像することにより、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる前記ボタンの撮像データを取得し、前記撮像データから前記調整光と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、前記撮像データから、前記三原色のうち前記調整光と異なる色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光による輝度成分を減少させた前記ボタン部分と、前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成し、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成し、前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成する演算処理を行い、前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する点にある。
【0030】
この請求項9に記載の発明によれば、照射光をボタンの一方の面に照射するとともに調整光をボタンの他方の面に照射した状態で、ボタンの一方の面を1回撮像することにより、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景から調整光を受光して、ボタン部分と背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタンの凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタンのシルエットが映し出されることとなる。これにより、ボタン認識方法によれば、前記撮像データを演算処理することによって、ボタンの凹凸形状、色彩、模様等の構成情報を検出することができるとともに、ボタンの外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の構成情報を計測することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明に係るボタン認識方法の特徴は、赤、緑および青の三原色のいずれかの色の照射光をボタンの一方の面に向かって照射するとともに、前記照射光と異なる色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射した状態で、前記ボタンの一方の面から撮像することにより、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得し、前記撮像データから前記照射光と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、前記撮像データから、前記三原色のうち前記照射光と異なる色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光による輝度成分を減少させた前記ボタン部分と、前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成し、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成し、前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成し、前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する点にある。
【0032】
この請求項10に記載の発明によれば、照射光をボタンの一方の面に照射するとともに調整光をボタンの他方の面に照射した状態で、ボタンの一方の面を1回撮像することにより、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景から調整光を受光して、ボタン部分と背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタンの凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタンのシルエットが映し出されることとなる。これにより、ボタン認識方法によれば、前記撮像データを演算処理することによって、ボタンの凹凸形状、色彩、模様等の構成情報を検出することができるとともに、ボタンの外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の構成情報を計測することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上述べたように、本発明に係るボタン認識装置およびボタン認識方法によれば、照射光による反射光、調整光による透過光、およびボタンの背景からの調整光からなるボタン部分と背景部分とにより構成された撮像データを用いてボタンの状態の判定を行うことにより、判定精度の向上を図ることができ、ひいては、ミシンによって縫製物にボタンを仕上がりよく縫い付けることができる。
【0034】
また、本発明に係るボタン認識装置およびボタン認識方法によれば、1回の撮像により、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景からの調整光を受光することができるので、撮像時間を低減することができ、ひいては、ボタンの状態を判定する時間の低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係るボタン認識装置の実施形態を図1から図13を参照して説明する。
【0036】
図1は、本実施形態に係るボタン認識装置を示す概略側面断面図であり、図2は、図1のボタン認識装置の構成を示すブロック図である。
【0037】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るボタン認識装置1には、ボタン2の一方の面(本実施形態においては上面)の画像を取得する撮像装置としてのカメラ3が、ボタン2の上方に配置されている。
【0038】
ボタン2の上方であってボタン2とカメラ3との間には、ボタン2の斜め上方からボタン2の上面に照射光11を照射する照射光照射装置としての照射光照明装置5が配設されている。照射光照明装置5は、リング状の光源6を有しており、光源6は、リング状の光源6における中央部分の孔6aがカメラ3によって撮像されるボタン2の上面の撮像領域に位置するように配置されている。そして、カメラ3は、光源6の孔6aを介して、ボタン2の上面を撮像するようになっている。なお、本実施形態において照射光照明装置5の光源としてリング状の光源6を用いたが、これに限定されるものではなく、線状の光源や点状の光源であってもよい。
【0039】
ボタン2の下方には、ボタン2を挟んで照射光照明装置5に対向して配置され、赤、緑および青の三原色のうち照射光11と異なるいずれかの色からなる調整光12をボタン2の他方の面(本実施形態においては下面)に照射する調整光照射装置として、照射光11のうち三原色のいずれかの1色のみを反射させて、調整光12をボタン2の下面に照射する光調整部材8が配設されている。本実施形態において、光調整部材8は、所定の波長の光を透過するバンドパスフィルタとしての青色半透明膜8aと、青色半透明膜8aの下面に配設され青色半透明膜8aを透過した光を拡散して反射する反射板8bとを備えている。そして、光調整部材8は、青色半透明膜8aと反射板8bとによって照射光照明装置5から照射された照射光11のうち青色の波長の光のみを拡散反射して、調整光12としてボタン2の下面に照射するようになっている。
【0040】
照射光照明装置5の下方であって光調整部材8の上方には、ボタン2を載置する載置台10が配置されており、本実施形態において、この載置台10は、光調整部材8によりボタン2の下方から照射される調整光12を透過可能なガラス板により構成されている。
【0041】
そして、ボタン認識装置1は、照射光照明装置5によってボタン2の上面および光調節部材8に照射光11を照射するとともに、光調整部材8によってボタン2の下面に調整光12を照射した状態で、カメラ3によってボタン2の画像を撮像するようになっている。このとき、カメラ3は、ボタン2の上面から照射光11の反射光11aおよび調整光12の透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景およびボタン2のボタン穴から調整光12を受光することにより、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得するようになっている。この撮像データには、ボタン2の上面において反射した反射光11aおよびボタン2を透過した透過光12aによってボタン2の凹凸や模様が映し出されるとともに、ボタン2の背景およびボタン2のボタン穴から直接受光される調整光12によって、ボタン2のシルエットが映し出されることとなる。
【0042】
ここで、本実施形態においては、青色半透明膜8aの下面に反射板8bが配設されているが、カメラ3によって調整光12を受光するために十分な光を、青色半透明膜8aの反射のみによってボタン2に照射することができる場合には、拡散機能を有する反射板8bを拡散機能を有しないものに変更し、または反射板8bを配設しなくてもよい。また、光調整部材8として青色半透明膜8aに換えて、青色半透明膜8aと反射板8bの両機能を備える青色に着色した拡散板を用いてもよい。また、青色半透明膜8aではなく、赤色や緑色の半透明膜を用いてもよい。さらには、光調整部材8として、特定の波長の照射光のみを反射するダイクロイックミラーを用いてもよい。
【0043】
また、本実施形態において、載置台10は、青色半透明膜8aおよび反射板8bに反射した調整光12を透過するガラス板により構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、透明樹脂等、青色半透明膜8aおよび反射板8bから反射した調整光12を透過可能な透明・半透明な材料によって構成してもよい。さらには、例えば、載置台10を格子状に形成することにより、載置台10を介してカメラ3によりボタン2の調整画像を取得するために十分な調整光12を得ることができれば、載置台10を不透明な材料によって構成してもよい。
【0044】
また、ボタン認識装置1は、ボタン2を搬送する搬送装置13を備えており、搬送装置13は、ボタン2をカメラ3の下方に搬送し、制御手段16によりボタン2の裏面が上方を向いているという判定結果、または、ボタン2が異種または不良であるという判定結果が得られた場合には、除去部14によってボタン2を除去するようになっている。一方、搬送装置13は、制御手段16によりボタン2が異種または不良でなく、ボタン2の表面が上方を向いているという判定結果が得られた場合には、ミシン29における縫い付け位置にボタン2を搬送するようになっている。さらに、搬送装置13は、制御手段16による制御により、撮像・判定対象となる次のボタン2を載置台10の上にセットするようになっている。
【0045】
さらに、ボタン認識装置1は、カメラ3によって撮像されたボタン2の画像について各種の処理を行う画像処理装置15を有している。画像処理装置15は、画像処理装置15の各部を制御する制御手段16と、カメラ3によって撮像されたボタン2の画像を記録する画像メモリ17と、ボタン2の表裏それぞれの規格画像等が予め記録されている第1記録メモリ18と、制御手段16が画像処理を行うための画像データの仮の格納場所であるワークメモリ19とを有している。カメラ3は、アナログ・デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)20を介して制御手段16に接続されており、カメラ3が取得したボタン2の画像の画像データは、A/Dコンバータ20によりデジタル化された後、制御手段16を介して画像メモリ17において記録されるようになっている。
【0046】
また、画像処理装置15は、カメラ3の制御を行うカメラ制御部21、照射光照明装置5の制御を行う照明制御部22、および搬送装置13を制御する搬送制御部23を有している。
【0047】
画像処理装置15の制御手段16は、調整光12と同一色の光(本実施形態においては青色)のみを抽出して調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段と、撮像データから、赤、青、緑の三原色のうち調整光12と異なる色の光(本実施形態においては赤色)を抽出して非調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段として機能するようになっている。また制御手段16は、調整光輝度データから非調整光輝度データを減算して、反射光による輝度成分を減少させたボタン部分と調整光12による背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段と、調整光データを二値化し、さらに反転させて、ボタン2の輪郭データを作成する二値化反転手段、および撮像データと輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段として機能するようになっている。さらに、制御手段16は、合成画像データおよび予め記憶されたボタン2の表裏それぞれの規格画像データを比較することによりボタン2における表裏、異種、不良等の状態を判定する判定装置として機能するようになっている。
【0048】
画像処理装置15は、カメラ3によってボタン2の画像を取得するために照射光照明装置5やカメラ3を制御する処理や、制御手段16が前述の第1・第2輝度データ作成手段、減算手段、二値化反転手段、合成画像データ作成手段、および判定装置として処理を行うための画像処理プログラム25を有しており、画像処理プログラム25は画像処理装置15における第2記録メモリ26に記録されている。
【0049】
そして、画像処理装置15は、制御手段16によって第2記録メモリ26から画像処理プログラム25を読み出して、各制御部21、22、23に制御情報を出力し、各制御部21、22、23を介して搬送装置13によりボタン2を搬送し、照射光照明装置5によりボタン2に照射光11を照射し、カメラ3によりボタン2を撮像するようになっている。また、画像処理装置15は、制御手段16における前記各手段によって前記各データを作成して、ボタン2の状態を判定するようになっている。
【0050】
その後、制御手段16は、インターフェース(I/F)28を介してミシン29の各部を制御するミシン制御部30に、ボタン2の構成情報および状態の判定結果を出力するようになっている。ミシン制御部30は、制御手段16から入力したボタン2の構成情報および状態の判定結果に基づいて、ミシン29の各部を制御するようになっている。本実施形態において、ミシン制御部30は、ボタン2の表面が上方を向いているという判定結果を入力した場合には、搬送装置13によって搬送されたボタン2の平面形状における傾きを補正するボタン姿勢補正部31に搬送し、ボタン姿勢補正部31において入力したボタン2の構成情報における平面形状のボタン2の傾きの構成情報に基づいて、平面状におけるボタン2の配置角度を補正した後、ボタン2を縫製物に縫い付けるようになっている。
【0051】
次に、本実施形態に係るボタン認識装置1を用いたボタン認識方法につき、図3を参照して説明する。
【0052】
図3は、本実施形態に係るボタン認識方法の各工程を示すフローチャートである。
【0053】
まず、画像処理装置15における制御手段16は、第2記録メモリ26から画像処理プログラム25を読み出し、搬送制御部23を介して搬送装置13を制御し、搬送装置13によってボタン2を載置台10の上面に搬送する。図3に示すように、ボタン2が載置台10の上面におけるカメラ3に対向する位置に搬送されると、制御手段16は、搬送装置13を停止して、照明制御部22を介して照射光照明装置5を制御し、照射光照明装置5によってボタン2に白色の照射光11を照射する(ST1)。
【0054】
すると、照射光照明装置5からの照射光11の一部は、ボタン2に直接照射されボタン2の上面において反射され、一方、他の照射光11は、載置台10を透過した後、青色半透明膜8aに照射される。この青色半透明膜8aに照射された照射光のうち、青色成分は青色半透明膜8aに反射・透過され、青色半透明膜8aを透過した照射光11の青色成分は、反射板8bによって拡散されて反射した後、再び青色半透明膜8aを透過する。このように、この青色半透明膜8aに反射し、および反射板8bによって反射して青色半透明膜8aを透過する青色成分からなる光は、調整光12としてボタン2の下面に照射される。また、青色半透明膜8aに照射された照射光11のうち、青色成分以外の成分は青色半透明膜8aに吸収される。
【0055】
この状態で、制御手段16は、カメラ制御部21を介してカメラ3を制御し、カメラ3によって、ボタン2の上面から照射光11の反射光11aおよび調整光12の透過光12aとを受光すると同時に、ボタン2の背景およびボタン2のボタン穴から調整光12を受光することにより、ボタン2の上面を撮像してボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得する(ST2)。そして、制御手段16は、前記撮像データをA/Dコンバータ20によってデジタル化した後、画像メモリ17に記録する(ST3)。
【0056】
続いて、制御手段16は、取得したボタン2の撮像データからボタン2の輪郭データを作成し、当該輪郭データとボタン部分の撮像データとを合成した合成画像データを作成する演算処理工程を行う(ST4)。
【0057】
図4に示すように、演算処理工程において、まず、制御手段16は、画像メモリ17から図5(a)(b)に示すようなボタン2の撮像データをとりだし、この撮像データから調整光と同一色の光(本実施形態においては青色(B)成分)のみを抽出して図6(a)(b)に示すような調整光輝度データを作成する(ST41)。なお、上述の図5(a)と図6(a)および後述する図7(a)〜図10(a)に示すボタン2の各画像データにそれぞれ対応して示す図5(b)〜図10(b)は、演算処理によって得られるボタン2の各輝度データの状態の理解を容易にするための原理説明図であり、各画像データにおけるボタン2の上面の中央を横切る直線Aに沿う輝度変化を代表して示したものである。図5(b)によれば、ボタン2の撮像データにより取得されるボタン2の部分(ボタン部分)の輝度量51は、ボタン2の上面から反射光11aと透過光12aとによる輝度成分が含まれているので、背景部分の輝度量52よりも大きくなっている。一方、撮像データから調整光12と同一色のB(青色)成分のみを抽出した調整光輝度データでは、図6(b)に示すように、背景部分の輝度量62は、図5(b)の背景部分の輝度量52と同一であるが、ボタン部分においては、反射光11aによる輝度成分からB成分以外の輝度成分が除去されて、反射光11aのB成分と調整光12による透過光のB成分とによる輝度量61を有することになる。
【0058】
続いて、制御手段16は、前記撮像データから三原色のうち調整光12と異なる色(本実施形態においては赤色(R))成分)を抽出して、図7(a)(b)に示すような非調整光輝度データを作成する(ST42)。この場合、もともと調整光12にはB成分しか存在しないので、図7(b)に示すように、ST42の処理により作成される非調整光輝度データには、ボタン部分から反射される反射光11aのR(赤色)成分による輝度量71しか存在しない。
【0059】
B成分、R成分を抽出する方法としては、ボタン2の画像をBmp画像の撮像データに変換した後、B成分およびR成分を抽出してもよく、また、Raw画像の撮像データから直接B成分、R成分を抽出する等、種々の方法を用いることができる。
【0060】
続いて、画像処理装置15は、ST41において得られた調整光輝度データからST42において得られた非調整光輝度データを減算する。なお、上述のST41において得られる調整光輝度データおよびST42において得られる非調整光輝度データは、いずれも輝度量のみのデータであり、両輝度データを抽出するための色情報は含まれておらず、互いに加減算が可能である。ここで、撮像データにおけるボタン部分の反射光11aには、B成分とR成分とが略同一量含まれている。このため、制御手段16は、ボタン部分の調整光輝度データ61から反射光11aによるB成分の代わりに反射光11aによるR成分からなる非調整光輝度データ71を減算して、図8(a)(b)に示すようなボタン部分から反射光による輝度成分を極端に減少させた輝度量81の部分と調整光12による背景部分の輝度量82の部分とからなる調整光データを作成する(ST43)。このST43の処理により、背景部分に対し、よりコントラスト比の高いボタン2の撮像データを取得することができる。
【0061】
さらに、制御手段16は、図9(a)(b)に示すように調整光データを所定輝度値に対する高低を判別して二値化し(ST44)、さらに図10(a)(b)に示すように反転させて(ST45)、背景部分の輝度量が0となるようなボタン2の二値化された輪郭データを作成する(ST46)。なお、この輪郭データでは、ボタン2のボタン穴の部分も輝度量0となっている。
【0062】
以上のように、制御手段16により実行されるST4の演算処理工程によれば、例えば、ボタン2が半透明の材質で形成されていて、単にボタン2を撮像しただけの撮像データからは、ボタン2の明確な輪郭が判別できない場合であっても、ボタン2の撮像データからボタン2の輪郭を明確に判別することができる輪郭データを作成することができる。
【0063】
そして、制御手段16は、カメラ3により撮像された撮像データと輪郭データとの論理積演算を行い、図11に示すような合成画像データを作成する(ST47)。これにより、輪郭データとボタン部分の撮像データとを合成した合成画像データを作成する演算処理工程を終了する。
【0064】
続いて、制御手段16は、合成画像データを用いて、ボタン2の凹凸形状、色彩、文字や図形等の模様等の構成を検出する検出工程を行う(ST5)。また、制御手段16は、検出工程において、模様の角度から平面形状におけるボタン2の角度を検出することができる。
【0065】
次に、制御手段16は、合成画像データを用いて、ボタン2の外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等のボタン2の構成を計測し、構成情報を取得する計測工程を行う(ST6)。また、制御手段16は、計測工程において、ボタン2の糸通し孔の形成位置から平面形状におけるボタン2の角度を検出することができる。
【0066】
そして、制御手段16は、合成画像データと予め記録されたボタン2の表裏それぞれの規格画像とを比較して(ST7)、合成画像データとボタン2の表面の規格画像との相関値が、予め決定されている一定の相関値よりも高いか否か判別し(ST8)、一定の相関値よりも高いと判断した場合には(ST8においてYes)、撮像対象のボタン2は表面が上方を向いていると判断する(ST9)。さらに、制御手段16は、表面が上方を向いていると判定した場合には、当該ボタン2の合成画像データに基づいて、糸通し孔の形成位置や糸通し孔の外径の構成情報を確認し、縫い付け対象のボタン2と異種であるか、または不良ボタン2であるかを判別する(ST10)。
【0067】
そして、制御手段16は、判定されているボタン2が縫い付け対象のボタンと異種・不良ではないと判断した場合には(ST10においてNo)、ボタン2の状態の判定結果および構成情報を、I/F28を介してミシン制御部30に出力するとともに、搬送装置13によってボタン2をミシン29の縫い付け位置に搬送する(ST11)。ミシン制御部30は、ボタン2の表面が上方に向いており(ST9)、異種・不良ではない(ST10においてNo)旨の情報を入力すると、入力したボタン2の構成情報に基づいてボタン姿勢補正部31によって搬送されたボタン2を回転して所定の角度に向けた後(ST12)、ボタン2を縫製物に縫い付ける作業を行う(ST13)。
【0068】
一方、制御手段16は、合成画像データとボタン2の表面の規格画像との相関値が一定の相関値よりも高くないと判断した場合には(ST8においてNo)、撮像・判定対象のボタン2は裏面が上方を向いていると判定する(ST14)。
【0069】
そして、制御手段16は、ボタン2の裏面が上方に向いている(ST14)、またはボタン2が異種・不良である(ST10においてYes)と判断した場合には、ミシン制御部30にその旨の情報を入力するとともに、除去部32によりボタン2を除去する(ST15)。
【0070】
本実施形態によれば、照射光照明装置5によってボタン2の上面に白色の照射光11を照射し、青色半透明膜8aを介してボタン2の下面に青色の調整光12を照射した状態で、カメラ3によってボタン2の上面を1回撮像することにより、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタンの背景から調整光12を受光して、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光11によってボタン2の凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光12によってボタン2のシルエットが映し出されることとなる。このため、ボタン認識装置1は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタン2の正確な輪郭データを取得してボタン2の凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタン2の外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0071】
したがって、ボタン認識装置1は、照射光11による反射光11a、調整光12による透過光12a、およびボタンの背景からの調整光12からなるボタン部分と背景部分とにより構成された撮像データを用いてボタン2の状態の判定を行うことにより、判定精度の向上を図ることができ、ひいては、ミシン29によって縫製物にボタン2を仕上がりよく縫い付けることができる。
【0072】
また、ボタン認識装置は、1回の撮像により、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景からの調整光12を受光することができるので、撮像時間を低減することができ、ひいては、ボタン2の状態を判定する時間の低減を図ることが可能となる。
【0073】
さらに、ボタン認識装置1は、照射光照明装置5によってボタン2の上面に照射光11を照射するとともに、照射光11の一部を青色半透明膜8aおよび反射板8bに反射させてボタン2の下面に調整光12を照射することができ、1台の照射光照明装置5によって照射光11と調整光12を照射することができる。これにより、ボタン認識装置の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、制御手段16によって、撮像データからR成分を抽出して非調整光輝度データを作成しているが、G成分を抽出して非調整光輝度データを作成してもよい。また、青色半透明膜8aの代わりに緑色または赤色の半透明膜を用いて調整光12を緑色または赤色とした場合には、撮像データからB成分を抽出して非調整輝度データを作成してもよい。
【0075】
続いて、本発明に係るボタン認識装置1の第2の実施形態について、図12を参照して説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0076】
図12は、第2の実施形態に係るボタン認識装置1を示す概略側面断面図である。
【0077】
図12に示すように、第2の実施形態に係るボタン認識装置1は、赤、緑および青の三原色のいずれか1色のみを発光する調整光照射装置として、青色の調整光12をボタン2の下方から照射する調整光照明装置33がボタン2の下方に配設されている。
【0078】
また、ボタン2の上方には、ボタン2の上面を撮像するカメラ3が配設されており、また、カメラ3の下方であってボタン2の斜め上方には、調整光照明装置33から照射される調整光12から白色の光を励起、反射し、この光を照射光11としてボタン2の上面に照射する励起部材として蛍光性を有する蛍光板40が配設されている。また、蛍光板40の上面には、蛍光板40において励起されずに透過した光を反射する反射板41が配設されている。本実施形態においては、調整光照明装置33から照射された青色の調整光12は、蛍光板40において励起されて黄緑色に発光し、この黄緑色に発光した光は、ボタン2の上方から照射光11としてボタン2に照射されるようになっており、蛍光板40において励起されずに透過した光は、反射板41において反射した後、蛍光板40を介してボタン2の上方から照射光11としてボタン2に照射されるようになっている。そして、照射光11は、蛍光板40により励起された黄緑色の光と、蛍光板40により励起されずに反射板41において反射した後、蛍光板40を介して反射した青色の光とが混合した白色若しくは白色の近似色となる。
【0079】
そして、カメラ3は、調整光照明装置33によってボタン2の下方からボタン2の下面に調整光12が照射されるとともに、蛍光板40および反射板41を介してボタン2の上方からボタン2の上面に照射光11が照射された状態で、ボタン2の画像を撮像するようになっている。このときカメラ3は、ボタン2の上面から蛍光板40および反射板41により照射される照射光11の反射光11aおよび調整光照明装置33から照射される調整光12の透過光12aとを受光すると同時に、ボタン2の背景から調整光12を受光することにより、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得するようになっている。これにより、カメラ3は、反射光によってボタン2の上面における色彩や、模様、凹凸を映し出し、調整光12によってボタン2のシルエットを映し出すようになっている。
【0080】
第2の実施形態によれば、調整光照明装置33によってボタン2の下面に青色の調整光12を照射し、蛍光板40および反射板41によりボタン2の上面に白色の照射光11を照射した状態で、カメラ3によってボタン2の上面を1回撮像することにより、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタンの背景から調整光12を受光して、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタン2の凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタン2のシルエットが映し出されることとなる。このため、ボタン認識装置1は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタン2の正確な輪郭データを取得してボタン2の凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタン2の外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0081】
したがって、ボタン認識装置1は、照射光11による反射光11a、調整光12による透過光12a、およびボタン2の背景からの調整光12からなるボタン部分と背景部分とにより構成された撮像データを用いてボタン2の状態の判定を行うことにより、判定精度の向上を図ることができ、ひいては、ミシン29によって縫製物にボタン2を仕上がりよく縫い付けることができる。
【0082】
また、ボタン認識装置は、1回の撮像により、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景からの調整光12を受光することができるので、撮像時間を低減することができ、ひいては、ボタン2の状態を判定する時間の低減を図ることが可能となる。
【0083】
さらに、ボタン認識装置1は、調整光照明装置33によってボタン2の下面に調整光12を照射するとともに、調整光12の一部を蛍光板40および反射板41を介してボタン2の上面に照射光11として照射することができ、1台の調整光照明装置33によって照射光11と調整光12を照射することができる。これにより、ボタン認識装置1の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0084】
続いて、本発明に係るボタン認識装置1の第3の実施形態について、図13を用いて説明する。なお、第3の実施形態について第1および第2の実施形態と構成が同一の場合には、同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0085】
図13は、第3の実施形態に係るボタン認識装置1を示す概略側面断面図である。
【0086】
図13に示すように、第3の実施形態に係るボタン認識装置1における照射光照射装置としての照射光照明装置38は、赤、緑および青の三原色のいずれか1色(本実施形態においては青色)の照射光11を照射するようになっている。
【0087】
ボタン2の下方に配設された調整光照射装置37は、照射光11を励起する蛍光性を有する励起部材として蛍光板35を備えている。本実施形態においては、照射光照明装置5から青色の照射光11が照射されると、この照射光11は、蛍光板35によって励起されて黄緑色に発光し、蛍光板35は、この黄緑色に発光した光を調整光12としてボタン2の下面に照射するようになっている。
【0088】
また、調整光照射装置37は、蛍光板35の下面に配設され、蛍光板35において励起されずに透過した光を拡散して反射する拡散板36を備えており、拡散板36は、蛍光板35を透過した光を拡散・反射して蛍光板35を介してボタン2の下面に調整光12として照射するようになっている。そして、調整光12は、蛍光板35により励起された黄緑色の光と、蛍光板35により励起されずに反射した青色の光および拡散板36に反射した光とが混合した白色若しくは白色の近似色となる。
【0089】
そして、カメラ3は、照射光照明装置38によってボタン2に照射光11が照射されるとともに、蛍光板35および拡散板36を介して調整光12が照射された状態で、ボタン2の上面の画像を撮像するようになっている。このとき、カメラ3は、ボタン2の上面から照射光照明装置38により照射される照射光11の反射光11aおよび蛍光板35と拡散板36とから照射される調整光12の透過光12aとを受光すると同時に、ボタン2の背景から調整光12を受光することにより、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得するようになっている。これにより、カメラ3は、反射光によってボタン2の上面における色彩や、模様、凹凸を映し出し、調整光12によってボタン2のシルエットを映し出すようになっている。
【0090】
また、第3の実施形態において、制御手段16は、撮像データから、照射光11と同一色(本実施形態においては青色)の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、撮像データから三原色のうち照射光11と異なる1色(本実施形態においては赤色)の光を抽出して調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段として機能するようになっている。
【0091】
次に、第3の実施形態の作用について説明する。
【0092】
第3の実施形態に係るボタン認識装置1は、制御手段16による制御により青色の照射光11をボタンの上面に照射するとともに、白色の調整光12をボタン2の下面に照射した状態で、ボタン2の上面から1回撮像する。これにより、ボタン認識装置1は、ボタン2の上面から照射光11の反射光11aおよび調整光12の透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景から調整光12を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する。
【0093】
次に、制御手段16は、撮像データから照射光11と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、さらに、撮像データから、三原色のうち照射光11と異なる1色の光を抽出して調整光輝度データを作成する。続いて、制御手段16は、調整光輝度データから非調整光輝度データを減算して、照射光11による反射光の輝度成分を減少させたボタン部分と、調整光12による背景部分とからなる調整光データを作成する。その後、制御手段16は、調整光データを二値化し、さらに反転させて、背景部分の輝度量が0となるような前記ボタンの二値化された輪郭データを作成し、撮像データと輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成する。なお、この輪郭データでは、ボタン2のボタン穴の部分も輝度量0となっている。そして、制御手段16は、合成画像データと予め記憶されたボタン2の表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、ボタン2の状態を判定する。
【0094】
第3の実施形態によれば、照射光照明装置37によってボタン2の上面に青色の照射光11を照射し、蛍光板35および拡散板36によってボタン2の下面に白色の調整光12を照射した状態で、カメラ3によってボタン2の上面を1回撮像することにより、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタンの背景から調整光12を受光して、ボタン部分とボタンの背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、第1および第2の実施形態と同様に照射光11によってボタン2の凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光12によってボタン2のシルエットが映し出されることとなる。このため、ボタン認識装置1は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタン2の正確な輪郭データを取得してボタン2の凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタン2の外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0095】
したがって、ボタン認識装置1は、照射光11による反射光11a、調整光12による透過光12a、およびボタン2の背景からの調整光12からなるボタン部分と背景部分とにより構成された撮像データを用いてボタン2の状態の判定を行うことにより、判定精度の向上を図ることができ、ひいては、ミシン29によって縫製物にボタン2を仕上がりよく縫い付けることができる。
【0096】
また、ボタン認識装置1は、1回の撮像により、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景からの調整光12を受光することができるので、撮像時間を低減することができ、ひいては、ボタン2の状態を判定する時間の低減を図ることが可能となる。
【0097】
さらに、ボタン認識装置1は、照射光照明装置38によってボタン2の上面に照射光11を照射するとともに、照射光の一部を蛍光板35および拡散板36によってボタン2の下面に調整光12として照射することができ、1台の照射光照明装置38によって照射光11と調整光12を照射することができる。これにより、ボタン認識装置1の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0098】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係るボタン認識装置の一実施形態を示す概略側面断面図
【図2】図1のボタン認識装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明に係るボタン認識方法の一実施形態を示すフローチャート
【図4】図3に記載したボタン認識方法における分離工程を示すフローチャート
【図5】(a)(b)は、撮像データおよびその輝度を示す原理説明図
【図6】(a)(b)は、調整光輝度データおよびその輝度を示す原理説明図
【図7】(a)(b)は、非調整光輝度データおよびその輝度を示す原理説明図
【図8】(a)(b)は、調整光データおよびその輝度を示す原理説明図
【図9】(a)(b)は、二値化した調整光データおよびその輝度を示す原理説明図
【図10】(a)(b)は、反転した調整光データおよびその輝度を示す原理説明図
【図11】合成画像データを示す原理説明図
【図12】本発明に係るボタン認識装置の第2の実施形態を示す概略側面断面図
【図13】本発明に係るボタン認識装置の第3の実施形態を示す概略側面断面図
【符号の説明】
【0100】
1 ボタン認識装置
2 ボタン
3 カメラ
5 照射光照明装置
6 光源
6a 孔
8 光調整部材
8a 青色半透明膜
8b 反射板
10 載置台
11 照射光
12 調整光
15 画像処理装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン認識装置およびボタン認識方法に係り、特に、ボタンの構成情報を取得し、ボタンの表裏、不良、異種等の状態を判定するボタン認識装置およびボタン認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動ボタン縫い付け装置によってボタンを縫製物に縫い付けるにあたり、ボタンの表裏を判別するボタン認識装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ボタンの表裏を検知するためのボタン検知装置を備えた自動ボタン縫着装置が記載されている。このボタン検知装置は、ボタンつまみ足が上昇する際に、このボタンつまみ足によって保持されたボタンの上面に係合可能な位置に進退自在に配置され、ボタンの上面における縁部と中央部に係合可能なボタン検知手段と、このボタン検知手段の上下変位によってボタンの表裏を判別する判別手段とを有している。
【0004】
この自動ボタン検知装置は、例えば、ボタン検知手段として、ボタン有無検知レバーおよびボタン表裏検知レバーを備えている。このような自動ボタン検知装置は、ボタン供給アームによってボタンつまみ足にボタンが供給された後、ボタンつまみ足が上昇する際に、ボタンの縁部によってボタン有無検知レバーが押し上げられたか否かにより、ボタンつまみ足におけるボタンの有無を検知するようになっている。また、自動ボタン検知装置は、ボタンの表面における中央部は窪んでおり、裏面における中央部は平面状であるというボタンの形状を利用して、ボタンつまみ足が上昇する際に、ボタンの中央部によってボタン表裏検知レバーが押し上げられたか否かにより、ボタンの表裏を判別するようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、ボタン収納部および移動経路に所定の振動を発生させることにより、ボタン収納部に収納されたボタンを、ボタンの表裏選別後にボタン排出口から順次排出させるボタン供給部を備えたボタン供給装置が記載されており、このボタン供給装置は、移動経路の途中においてボタン選別機構を備えている。そして、このボタン選別機構においては、通常のボタンは、表面が窪んでおり裏面が平面状であるという形状を利用して、裏面が下側を向いているボタンは通過させるが、表面が下側を向いているボタンは、ボタン収納部における下方に落下させるようになっている。これにより、ボタン供給装置は、ボタンの表裏を判別し、表面が上側を向いているボタンのみをボタン排出口から順次排出するようになっている。
【0006】
さらに、特許文献3には、ミシンに供給するボタンの上面を撮像して前方画像を取得する撮像手段を備えたボタンの縫着方向設定装置が記載されている。このボタンの縫着方向設定装置は、撮像手段により取得された前方画像と、ボタンについて予め記録された規格画像とに基づいて、ボタンを平面形状における所定の角度に傾けて配置して、ミシンに供給するようになっている。
【0007】
また、特許文献3にも記載があるように、従来のボタン供給装置は、ボタンの糸通し孔に係止される係止ピンを有するボタン搬送部が設けられ、このボタン搬送部は、係止ピン上に載置されたボタンの上面からボタンを回転させながら係止ピン上に押し当ててボタンの糸通し孔に係止ピンを係止させることにより、ボタンを平面形状における所定の角度に傾けた状態で保持して、ミシンに供給するようになっている。
【0008】
【特許文献1】特許第2659073号公報
【特許文献2】特許第2648042号公報
【特許文献3】特公平2−023197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前述の特許文献1に記載の自動ボタン検知装置および特許文献2に記載のボタン供給装置によれば、ボタンの表裏の判別を、ボタンの表面における中央部が窪み、裏面が平面状であるというボタンの中央部分の凹凸形状の相違を利用して行うため、例えば、表裏の判別を前記中央部分の凹凸形状ではなく表面に形成された刻印や画像等によってのみ判別可能なボタンについては、表裏を判別することができなかった。このため、前述の従来の自動ボタン検知装置およびボタン供給装置は、例えば、表裏の面形状が同じような多種多様なボタンの表裏判別に対応することができないという問題を有していた。
【0010】
さらに、特許文献3に記載のボタンの縫着方向設定装置によれば、ボタンの表面に形成された刻印や画像等によっても、ボタンの表裏を判別することが可能であるが、例えば、ボタンが透明または半透明の材料によって構成されている場合には、撮像手段によって撮像されたボタンの前方画像においてボタン部分と背景部分との境界が不明確となり、予め記録された規格画像と比較するために十分な前方画像を取得することができない場合があった。このため、このボタンの縫着方向設定装置は、例えば透明、半透明の材料によって形成されているような多種多様なボタンの判別に対応することができないという問題を有していた。
【0011】
また、従来のボタン供給装置は、ボタンを係止ピンに係止させる際に、製造精度の悪いボタンを排除することができなかった。例えば、糸通し孔の形成位置の精度が悪いボタンがボタン搬送部上に載置された場合、係止ピンが糸通し孔に係止されないまま回転装置によってボタンが係止ピン上に押し当てられてしまい、係止ピンが折れてしまうおそれがあるという問題を有していた。
【0012】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ボタンが透明または半透明の材料によって構成されている場合でも、ボタンの表裏や外形の判別精度の向上を図ることができ、ひいてはミシンによって仕上がりよく縫製物にボタンを縫い付けることができるとともに、ボタンの状態の判定時間の短縮化を図ることが可能なボタン認識装置およびボタン認識方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、ボタン付けミシンに対してボタンを供給するボタン供給経路に配置され、前記ボタンの一方の面に向かって照射光を照射する照射光照射装置と、前記ボタンを挟んで前記照射光照射装置に対向して配置され、赤、緑および青の三原色のうち前記照射光と異なるいずれかの色からなる調整光を前記ボタンの他方の面に照射する調整光照射装置と、前記ボタンにおける前記一方の面に対向して配置され、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光とを受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光することにより、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する撮像装置と、前記撮像データから、前記調整光と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、前記撮像データから前記三原色のうち前記調整光と異なる1色の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光の輝度成分を減少させた前記ボタン部分と前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成する二値化反転手段、および前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段を有する画像処理装置と、前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する判定装置とを備えた点にある。
【0014】
この請求項1に記載の発明によれば、照射光をボタンの一方の面に照射すると同時に、調整光をボタンの他方の面に照射した状態で、ボタンの一方の面を1回撮像することにより、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景から調整光を受光して、ボタン部分とボタンの背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタンの凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタンのシルエットが映し出されることとなる。これにより、ボタン認識装置は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタンの凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタンの外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項1に記載のボタン認識装置において、前記照射光照射装置が、前記照射光を発光する照射光照明装置で構成されており、前記調整光照射装置は、前記照射光照明装置から照射された照射光のうち前記三原色のいずれかの色の光を反射させて、前記調整光を照射する光調整部材により構成されている点にある。
【0016】
この請求項2に記載の発明によれば、照射光照射装置としての照射光照明装置を用い、調整光照射装置としての光調整部材は、前記照射光照明装置から照射された照射光を反射させることにより調整光を照射するので、1つの照明装置によって照射光と調整光を照射することができる。これにより、ボタン認識装置の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項2に記載のボタン認識装置において、前記光調整部材が、前記三原色のいずれかの色の光を透過させるバンドパスフィルタを備えた点にある。
【0018】
この請求項3に記載の発明によれば、バンドパスフィルタによって照射光を発光する照射光照明装置から照射された照射光のうち所定の波長の照射光のみを透過し、他の波長の照射光を反射または吸収することにより、調整光を照射光と異なる色にすることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項2に記載のボタン認識装置において、前記光調整部材として、前記三原色のいずれかの色の光を反射するダイクロイックミラーを用いる点にある。
【0020】
この請求項4に記載の発明によれば、ダイクロイックミラーによって照射光照明装置から照射された照射光のうち所定の波長の照射光のみを反射し、他の波長の照射光を吸収することにより、調整光を照射光と異なる色にすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項1に記載のボタン認識装置において、前記調整光照射装置が、赤、緑および青の三原色のいずれかの色のみを発光する調整光照明装置で構成されており、前記照射光照射装置が、前記調整光照明装置から照射される前記調整光から白色の光を励起、反射して前記照射光を照射する励起部材により構成されている点にある。
【0022】
この請求項5に記載の発明によれば、調整光照射装置として三原色のいずれかの色の光を発光する調整光照明装置を用い、照射光照射装置としての励起部材は、調整光照明装置から照射される調整光を励起、反射して白色の照射光を照射するので、1つの照明装置によって照射光と調整光とを照射することができる。これにより、ボタン認識装置の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0023】
請求項6に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、請求項5に記載のボタン認識装置において、前記励起部材が、前記照射光を励起する蛍光性を有する部材により構成されている点にある。
【0024】
この請求項6に記載の発明によれば、蛍光性を有する部材によって調整光照明装置から照射された調整光を励起することにより、照射光を調整光と異なる色にすることができる。
【0025】
請求項7に記載の発明に係るボタン認識装置の特徴は、ボタン付けミシンに対してボタンを供給するボタン供給経路に配置され、前記ボタンの一方の面に向かって赤、緑および青の三原色のいずれかの色からなる照射光を照射する照射光照射装置と、前記ボタンを挟んで前記照射光照射装置に対向して配置され、前記照射光と異なる色からなる調整光を前記ボタンの他方の面に照射する調整光照射装置と、前記ボタンにおける前記一方の面に対向して配置され、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光とを受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光することにより、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する撮像装置と、前記撮像データから、前記照射光と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、前記撮像データから前記三原色のうち前記照射光と異なる色の光を抽出して調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光の輝度成分を減少させた前記ボタン部分と前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成する二値化反転手段、および前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段を有する画像処理装置と、前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する判定装置とを備えた点にある。
【0026】
この請求項7に記載の発明によれば、照射光をボタンの一方の面に照射すると同時に、調整光をボタンの他方の面に照射した状態で、ボタンの一方の面を1回撮像することにより、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景から調整光を受光して、ボタン部分とボタンの背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタンの凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタンのシルエットが映し出されることとなる。これにより、ボタン認識装置は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタンの凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタンの外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明に係るボタン認識装置は、請求項7に記載のボタン認識装置において、前記照射光照射装置が、赤、緑、および青色の三原色のいずれかの色を発光する照明装置で構成されており、前記調整光照射装置が、前記照明装置から照射される前記照射光から白色の光を励起、反射し、この光を前記調整光として前記ボタンの他方の面に照射する励起部材により構成されている点にある。
【0028】
この請求項8に記載の発明によれば、照射光照射装置として三原色のいずれかの色の光を発光する照射光照明装置を用い、調整光照射装置としての励起部材は、前記照射光照明装置から照射される照射光を励起、反射して白色の調整光を照射するので、1つの照明装置によって照射光と調整光とを照射することができる。これにより、ボタン認識装置の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0029】
請求項9に記載の発明に係るボタン認識方法の特徴は、照射光をボタンの一方の面に向かって照射するとともに、赤、緑および青の三原色のいずれかの色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射した状態で、前記ボタンの一方の面から撮像することにより、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる前記ボタンの撮像データを取得し、前記撮像データから前記調整光と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、前記撮像データから、前記三原色のうち前記調整光と異なる色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光による輝度成分を減少させた前記ボタン部分と、前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成し、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成し、前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成する演算処理を行い、前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する点にある。
【0030】
この請求項9に記載の発明によれば、照射光をボタンの一方の面に照射するとともに調整光をボタンの他方の面に照射した状態で、ボタンの一方の面を1回撮像することにより、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景から調整光を受光して、ボタン部分と背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタンの凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタンのシルエットが映し出されることとなる。これにより、ボタン認識方法によれば、前記撮像データを演算処理することによって、ボタンの凹凸形状、色彩、模様等の構成情報を検出することができるとともに、ボタンの外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の構成情報を計測することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明に係るボタン認識方法の特徴は、赤、緑および青の三原色のいずれかの色の照射光をボタンの一方の面に向かって照射するとともに、前記照射光と異なる色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射した状態で、前記ボタンの一方の面から撮像することにより、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得し、前記撮像データから前記照射光と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、前記撮像データから、前記三原色のうち前記照射光と異なる色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光による輝度成分を減少させた前記ボタン部分と、前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成し、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成し、前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成し、前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する点にある。
【0032】
この請求項10に記載の発明によれば、照射光をボタンの一方の面に照射するとともに調整光をボタンの他方の面に照射した状態で、ボタンの一方の面を1回撮像することにより、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景から調整光を受光して、ボタン部分と背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタンの凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタンのシルエットが映し出されることとなる。これにより、ボタン認識方法によれば、前記撮像データを演算処理することによって、ボタンの凹凸形状、色彩、模様等の構成情報を検出することができるとともに、ボタンの外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の構成情報を計測することができる。
【発明の効果】
【0033】
以上述べたように、本発明に係るボタン認識装置およびボタン認識方法によれば、照射光による反射光、調整光による透過光、およびボタンの背景からの調整光からなるボタン部分と背景部分とにより構成された撮像データを用いてボタンの状態の判定を行うことにより、判定精度の向上を図ることができ、ひいては、ミシンによって縫製物にボタンを仕上がりよく縫い付けることができる。
【0034】
また、本発明に係るボタン認識装置およびボタン認識方法によれば、1回の撮像により、照射光による反射光および調整光による透過光を受光すると同時に、ボタンの背景からの調整光を受光することができるので、撮像時間を低減することができ、ひいては、ボタンの状態を判定する時間の低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係るボタン認識装置の実施形態を図1から図13を参照して説明する。
【0036】
図1は、本実施形態に係るボタン認識装置を示す概略側面断面図であり、図2は、図1のボタン認識装置の構成を示すブロック図である。
【0037】
図1および図2に示すように、本実施形態に係るボタン認識装置1には、ボタン2の一方の面(本実施形態においては上面)の画像を取得する撮像装置としてのカメラ3が、ボタン2の上方に配置されている。
【0038】
ボタン2の上方であってボタン2とカメラ3との間には、ボタン2の斜め上方からボタン2の上面に照射光11を照射する照射光照射装置としての照射光照明装置5が配設されている。照射光照明装置5は、リング状の光源6を有しており、光源6は、リング状の光源6における中央部分の孔6aがカメラ3によって撮像されるボタン2の上面の撮像領域に位置するように配置されている。そして、カメラ3は、光源6の孔6aを介して、ボタン2の上面を撮像するようになっている。なお、本実施形態において照射光照明装置5の光源としてリング状の光源6を用いたが、これに限定されるものではなく、線状の光源や点状の光源であってもよい。
【0039】
ボタン2の下方には、ボタン2を挟んで照射光照明装置5に対向して配置され、赤、緑および青の三原色のうち照射光11と異なるいずれかの色からなる調整光12をボタン2の他方の面(本実施形態においては下面)に照射する調整光照射装置として、照射光11のうち三原色のいずれかの1色のみを反射させて、調整光12をボタン2の下面に照射する光調整部材8が配設されている。本実施形態において、光調整部材8は、所定の波長の光を透過するバンドパスフィルタとしての青色半透明膜8aと、青色半透明膜8aの下面に配設され青色半透明膜8aを透過した光を拡散して反射する反射板8bとを備えている。そして、光調整部材8は、青色半透明膜8aと反射板8bとによって照射光照明装置5から照射された照射光11のうち青色の波長の光のみを拡散反射して、調整光12としてボタン2の下面に照射するようになっている。
【0040】
照射光照明装置5の下方であって光調整部材8の上方には、ボタン2を載置する載置台10が配置されており、本実施形態において、この載置台10は、光調整部材8によりボタン2の下方から照射される調整光12を透過可能なガラス板により構成されている。
【0041】
そして、ボタン認識装置1は、照射光照明装置5によってボタン2の上面および光調節部材8に照射光11を照射するとともに、光調整部材8によってボタン2の下面に調整光12を照射した状態で、カメラ3によってボタン2の画像を撮像するようになっている。このとき、カメラ3は、ボタン2の上面から照射光11の反射光11aおよび調整光12の透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景およびボタン2のボタン穴から調整光12を受光することにより、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得するようになっている。この撮像データには、ボタン2の上面において反射した反射光11aおよびボタン2を透過した透過光12aによってボタン2の凹凸や模様が映し出されるとともに、ボタン2の背景およびボタン2のボタン穴から直接受光される調整光12によって、ボタン2のシルエットが映し出されることとなる。
【0042】
ここで、本実施形態においては、青色半透明膜8aの下面に反射板8bが配設されているが、カメラ3によって調整光12を受光するために十分な光を、青色半透明膜8aの反射のみによってボタン2に照射することができる場合には、拡散機能を有する反射板8bを拡散機能を有しないものに変更し、または反射板8bを配設しなくてもよい。また、光調整部材8として青色半透明膜8aに換えて、青色半透明膜8aと反射板8bの両機能を備える青色に着色した拡散板を用いてもよい。また、青色半透明膜8aではなく、赤色や緑色の半透明膜を用いてもよい。さらには、光調整部材8として、特定の波長の照射光のみを反射するダイクロイックミラーを用いてもよい。
【0043】
また、本実施形態において、載置台10は、青色半透明膜8aおよび反射板8bに反射した調整光12を透過するガラス板により構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、透明樹脂等、青色半透明膜8aおよび反射板8bから反射した調整光12を透過可能な透明・半透明な材料によって構成してもよい。さらには、例えば、載置台10を格子状に形成することにより、載置台10を介してカメラ3によりボタン2の調整画像を取得するために十分な調整光12を得ることができれば、載置台10を不透明な材料によって構成してもよい。
【0044】
また、ボタン認識装置1は、ボタン2を搬送する搬送装置13を備えており、搬送装置13は、ボタン2をカメラ3の下方に搬送し、制御手段16によりボタン2の裏面が上方を向いているという判定結果、または、ボタン2が異種または不良であるという判定結果が得られた場合には、除去部14によってボタン2を除去するようになっている。一方、搬送装置13は、制御手段16によりボタン2が異種または不良でなく、ボタン2の表面が上方を向いているという判定結果が得られた場合には、ミシン29における縫い付け位置にボタン2を搬送するようになっている。さらに、搬送装置13は、制御手段16による制御により、撮像・判定対象となる次のボタン2を載置台10の上にセットするようになっている。
【0045】
さらに、ボタン認識装置1は、カメラ3によって撮像されたボタン2の画像について各種の処理を行う画像処理装置15を有している。画像処理装置15は、画像処理装置15の各部を制御する制御手段16と、カメラ3によって撮像されたボタン2の画像を記録する画像メモリ17と、ボタン2の表裏それぞれの規格画像等が予め記録されている第1記録メモリ18と、制御手段16が画像処理を行うための画像データの仮の格納場所であるワークメモリ19とを有している。カメラ3は、アナログ・デジタルコンバータ(A/Dコンバータ)20を介して制御手段16に接続されており、カメラ3が取得したボタン2の画像の画像データは、A/Dコンバータ20によりデジタル化された後、制御手段16を介して画像メモリ17において記録されるようになっている。
【0046】
また、画像処理装置15は、カメラ3の制御を行うカメラ制御部21、照射光照明装置5の制御を行う照明制御部22、および搬送装置13を制御する搬送制御部23を有している。
【0047】
画像処理装置15の制御手段16は、調整光12と同一色の光(本実施形態においては青色)のみを抽出して調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段と、撮像データから、赤、青、緑の三原色のうち調整光12と異なる色の光(本実施形態においては赤色)を抽出して非調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段として機能するようになっている。また制御手段16は、調整光輝度データから非調整光輝度データを減算して、反射光による輝度成分を減少させたボタン部分と調整光12による背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段と、調整光データを二値化し、さらに反転させて、ボタン2の輪郭データを作成する二値化反転手段、および撮像データと輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段として機能するようになっている。さらに、制御手段16は、合成画像データおよび予め記憶されたボタン2の表裏それぞれの規格画像データを比較することによりボタン2における表裏、異種、不良等の状態を判定する判定装置として機能するようになっている。
【0048】
画像処理装置15は、カメラ3によってボタン2の画像を取得するために照射光照明装置5やカメラ3を制御する処理や、制御手段16が前述の第1・第2輝度データ作成手段、減算手段、二値化反転手段、合成画像データ作成手段、および判定装置として処理を行うための画像処理プログラム25を有しており、画像処理プログラム25は画像処理装置15における第2記録メモリ26に記録されている。
【0049】
そして、画像処理装置15は、制御手段16によって第2記録メモリ26から画像処理プログラム25を読み出して、各制御部21、22、23に制御情報を出力し、各制御部21、22、23を介して搬送装置13によりボタン2を搬送し、照射光照明装置5によりボタン2に照射光11を照射し、カメラ3によりボタン2を撮像するようになっている。また、画像処理装置15は、制御手段16における前記各手段によって前記各データを作成して、ボタン2の状態を判定するようになっている。
【0050】
その後、制御手段16は、インターフェース(I/F)28を介してミシン29の各部を制御するミシン制御部30に、ボタン2の構成情報および状態の判定結果を出力するようになっている。ミシン制御部30は、制御手段16から入力したボタン2の構成情報および状態の判定結果に基づいて、ミシン29の各部を制御するようになっている。本実施形態において、ミシン制御部30は、ボタン2の表面が上方を向いているという判定結果を入力した場合には、搬送装置13によって搬送されたボタン2の平面形状における傾きを補正するボタン姿勢補正部31に搬送し、ボタン姿勢補正部31において入力したボタン2の構成情報における平面形状のボタン2の傾きの構成情報に基づいて、平面状におけるボタン2の配置角度を補正した後、ボタン2を縫製物に縫い付けるようになっている。
【0051】
次に、本実施形態に係るボタン認識装置1を用いたボタン認識方法につき、図3を参照して説明する。
【0052】
図3は、本実施形態に係るボタン認識方法の各工程を示すフローチャートである。
【0053】
まず、画像処理装置15における制御手段16は、第2記録メモリ26から画像処理プログラム25を読み出し、搬送制御部23を介して搬送装置13を制御し、搬送装置13によってボタン2を載置台10の上面に搬送する。図3に示すように、ボタン2が載置台10の上面におけるカメラ3に対向する位置に搬送されると、制御手段16は、搬送装置13を停止して、照明制御部22を介して照射光照明装置5を制御し、照射光照明装置5によってボタン2に白色の照射光11を照射する(ST1)。
【0054】
すると、照射光照明装置5からの照射光11の一部は、ボタン2に直接照射されボタン2の上面において反射され、一方、他の照射光11は、載置台10を透過した後、青色半透明膜8aに照射される。この青色半透明膜8aに照射された照射光のうち、青色成分は青色半透明膜8aに反射・透過され、青色半透明膜8aを透過した照射光11の青色成分は、反射板8bによって拡散されて反射した後、再び青色半透明膜8aを透過する。このように、この青色半透明膜8aに反射し、および反射板8bによって反射して青色半透明膜8aを透過する青色成分からなる光は、調整光12としてボタン2の下面に照射される。また、青色半透明膜8aに照射された照射光11のうち、青色成分以外の成分は青色半透明膜8aに吸収される。
【0055】
この状態で、制御手段16は、カメラ制御部21を介してカメラ3を制御し、カメラ3によって、ボタン2の上面から照射光11の反射光11aおよび調整光12の透過光12aとを受光すると同時に、ボタン2の背景およびボタン2のボタン穴から調整光12を受光することにより、ボタン2の上面を撮像してボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得する(ST2)。そして、制御手段16は、前記撮像データをA/Dコンバータ20によってデジタル化した後、画像メモリ17に記録する(ST3)。
【0056】
続いて、制御手段16は、取得したボタン2の撮像データからボタン2の輪郭データを作成し、当該輪郭データとボタン部分の撮像データとを合成した合成画像データを作成する演算処理工程を行う(ST4)。
【0057】
図4に示すように、演算処理工程において、まず、制御手段16は、画像メモリ17から図5(a)(b)に示すようなボタン2の撮像データをとりだし、この撮像データから調整光と同一色の光(本実施形態においては青色(B)成分)のみを抽出して図6(a)(b)に示すような調整光輝度データを作成する(ST41)。なお、上述の図5(a)と図6(a)および後述する図7(a)〜図10(a)に示すボタン2の各画像データにそれぞれ対応して示す図5(b)〜図10(b)は、演算処理によって得られるボタン2の各輝度データの状態の理解を容易にするための原理説明図であり、各画像データにおけるボタン2の上面の中央を横切る直線Aに沿う輝度変化を代表して示したものである。図5(b)によれば、ボタン2の撮像データにより取得されるボタン2の部分(ボタン部分)の輝度量51は、ボタン2の上面から反射光11aと透過光12aとによる輝度成分が含まれているので、背景部分の輝度量52よりも大きくなっている。一方、撮像データから調整光12と同一色のB(青色)成分のみを抽出した調整光輝度データでは、図6(b)に示すように、背景部分の輝度量62は、図5(b)の背景部分の輝度量52と同一であるが、ボタン部分においては、反射光11aによる輝度成分からB成分以外の輝度成分が除去されて、反射光11aのB成分と調整光12による透過光のB成分とによる輝度量61を有することになる。
【0058】
続いて、制御手段16は、前記撮像データから三原色のうち調整光12と異なる色(本実施形態においては赤色(R))成分)を抽出して、図7(a)(b)に示すような非調整光輝度データを作成する(ST42)。この場合、もともと調整光12にはB成分しか存在しないので、図7(b)に示すように、ST42の処理により作成される非調整光輝度データには、ボタン部分から反射される反射光11aのR(赤色)成分による輝度量71しか存在しない。
【0059】
B成分、R成分を抽出する方法としては、ボタン2の画像をBmp画像の撮像データに変換した後、B成分およびR成分を抽出してもよく、また、Raw画像の撮像データから直接B成分、R成分を抽出する等、種々の方法を用いることができる。
【0060】
続いて、画像処理装置15は、ST41において得られた調整光輝度データからST42において得られた非調整光輝度データを減算する。なお、上述のST41において得られる調整光輝度データおよびST42において得られる非調整光輝度データは、いずれも輝度量のみのデータであり、両輝度データを抽出するための色情報は含まれておらず、互いに加減算が可能である。ここで、撮像データにおけるボタン部分の反射光11aには、B成分とR成分とが略同一量含まれている。このため、制御手段16は、ボタン部分の調整光輝度データ61から反射光11aによるB成分の代わりに反射光11aによるR成分からなる非調整光輝度データ71を減算して、図8(a)(b)に示すようなボタン部分から反射光による輝度成分を極端に減少させた輝度量81の部分と調整光12による背景部分の輝度量82の部分とからなる調整光データを作成する(ST43)。このST43の処理により、背景部分に対し、よりコントラスト比の高いボタン2の撮像データを取得することができる。
【0061】
さらに、制御手段16は、図9(a)(b)に示すように調整光データを所定輝度値に対する高低を判別して二値化し(ST44)、さらに図10(a)(b)に示すように反転させて(ST45)、背景部分の輝度量が0となるようなボタン2の二値化された輪郭データを作成する(ST46)。なお、この輪郭データでは、ボタン2のボタン穴の部分も輝度量0となっている。
【0062】
以上のように、制御手段16により実行されるST4の演算処理工程によれば、例えば、ボタン2が半透明の材質で形成されていて、単にボタン2を撮像しただけの撮像データからは、ボタン2の明確な輪郭が判別できない場合であっても、ボタン2の撮像データからボタン2の輪郭を明確に判別することができる輪郭データを作成することができる。
【0063】
そして、制御手段16は、カメラ3により撮像された撮像データと輪郭データとの論理積演算を行い、図11に示すような合成画像データを作成する(ST47)。これにより、輪郭データとボタン部分の撮像データとを合成した合成画像データを作成する演算処理工程を終了する。
【0064】
続いて、制御手段16は、合成画像データを用いて、ボタン2の凹凸形状、色彩、文字や図形等の模様等の構成を検出する検出工程を行う(ST5)。また、制御手段16は、検出工程において、模様の角度から平面形状におけるボタン2の角度を検出することができる。
【0065】
次に、制御手段16は、合成画像データを用いて、ボタン2の外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等のボタン2の構成を計測し、構成情報を取得する計測工程を行う(ST6)。また、制御手段16は、計測工程において、ボタン2の糸通し孔の形成位置から平面形状におけるボタン2の角度を検出することができる。
【0066】
そして、制御手段16は、合成画像データと予め記録されたボタン2の表裏それぞれの規格画像とを比較して(ST7)、合成画像データとボタン2の表面の規格画像との相関値が、予め決定されている一定の相関値よりも高いか否か判別し(ST8)、一定の相関値よりも高いと判断した場合には(ST8においてYes)、撮像対象のボタン2は表面が上方を向いていると判断する(ST9)。さらに、制御手段16は、表面が上方を向いていると判定した場合には、当該ボタン2の合成画像データに基づいて、糸通し孔の形成位置や糸通し孔の外径の構成情報を確認し、縫い付け対象のボタン2と異種であるか、または不良ボタン2であるかを判別する(ST10)。
【0067】
そして、制御手段16は、判定されているボタン2が縫い付け対象のボタンと異種・不良ではないと判断した場合には(ST10においてNo)、ボタン2の状態の判定結果および構成情報を、I/F28を介してミシン制御部30に出力するとともに、搬送装置13によってボタン2をミシン29の縫い付け位置に搬送する(ST11)。ミシン制御部30は、ボタン2の表面が上方に向いており(ST9)、異種・不良ではない(ST10においてNo)旨の情報を入力すると、入力したボタン2の構成情報に基づいてボタン姿勢補正部31によって搬送されたボタン2を回転して所定の角度に向けた後(ST12)、ボタン2を縫製物に縫い付ける作業を行う(ST13)。
【0068】
一方、制御手段16は、合成画像データとボタン2の表面の規格画像との相関値が一定の相関値よりも高くないと判断した場合には(ST8においてNo)、撮像・判定対象のボタン2は裏面が上方を向いていると判定する(ST14)。
【0069】
そして、制御手段16は、ボタン2の裏面が上方に向いている(ST14)、またはボタン2が異種・不良である(ST10においてYes)と判断した場合には、ミシン制御部30にその旨の情報を入力するとともに、除去部32によりボタン2を除去する(ST15)。
【0070】
本実施形態によれば、照射光照明装置5によってボタン2の上面に白色の照射光11を照射し、青色半透明膜8aを介してボタン2の下面に青色の調整光12を照射した状態で、カメラ3によってボタン2の上面を1回撮像することにより、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタンの背景から調整光12を受光して、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光11によってボタン2の凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光12によってボタン2のシルエットが映し出されることとなる。このため、ボタン認識装置1は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタン2の正確な輪郭データを取得してボタン2の凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタン2の外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0071】
したがって、ボタン認識装置1は、照射光11による反射光11a、調整光12による透過光12a、およびボタンの背景からの調整光12からなるボタン部分と背景部分とにより構成された撮像データを用いてボタン2の状態の判定を行うことにより、判定精度の向上を図ることができ、ひいては、ミシン29によって縫製物にボタン2を仕上がりよく縫い付けることができる。
【0072】
また、ボタン認識装置は、1回の撮像により、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景からの調整光12を受光することができるので、撮像時間を低減することができ、ひいては、ボタン2の状態を判定する時間の低減を図ることが可能となる。
【0073】
さらに、ボタン認識装置1は、照射光照明装置5によってボタン2の上面に照射光11を照射するとともに、照射光11の一部を青色半透明膜8aおよび反射板8bに反射させてボタン2の下面に調整光12を照射することができ、1台の照射光照明装置5によって照射光11と調整光12を照射することができる。これにより、ボタン認識装置の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、制御手段16によって、撮像データからR成分を抽出して非調整光輝度データを作成しているが、G成分を抽出して非調整光輝度データを作成してもよい。また、青色半透明膜8aの代わりに緑色または赤色の半透明膜を用いて調整光12を緑色または赤色とした場合には、撮像データからB成分を抽出して非調整輝度データを作成してもよい。
【0075】
続いて、本発明に係るボタン認識装置1の第2の実施形態について、図12を参照して説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0076】
図12は、第2の実施形態に係るボタン認識装置1を示す概略側面断面図である。
【0077】
図12に示すように、第2の実施形態に係るボタン認識装置1は、赤、緑および青の三原色のいずれか1色のみを発光する調整光照射装置として、青色の調整光12をボタン2の下方から照射する調整光照明装置33がボタン2の下方に配設されている。
【0078】
また、ボタン2の上方には、ボタン2の上面を撮像するカメラ3が配設されており、また、カメラ3の下方であってボタン2の斜め上方には、調整光照明装置33から照射される調整光12から白色の光を励起、反射し、この光を照射光11としてボタン2の上面に照射する励起部材として蛍光性を有する蛍光板40が配設されている。また、蛍光板40の上面には、蛍光板40において励起されずに透過した光を反射する反射板41が配設されている。本実施形態においては、調整光照明装置33から照射された青色の調整光12は、蛍光板40において励起されて黄緑色に発光し、この黄緑色に発光した光は、ボタン2の上方から照射光11としてボタン2に照射されるようになっており、蛍光板40において励起されずに透過した光は、反射板41において反射した後、蛍光板40を介してボタン2の上方から照射光11としてボタン2に照射されるようになっている。そして、照射光11は、蛍光板40により励起された黄緑色の光と、蛍光板40により励起されずに反射板41において反射した後、蛍光板40を介して反射した青色の光とが混合した白色若しくは白色の近似色となる。
【0079】
そして、カメラ3は、調整光照明装置33によってボタン2の下方からボタン2の下面に調整光12が照射されるとともに、蛍光板40および反射板41を介してボタン2の上方からボタン2の上面に照射光11が照射された状態で、ボタン2の画像を撮像するようになっている。このときカメラ3は、ボタン2の上面から蛍光板40および反射板41により照射される照射光11の反射光11aおよび調整光照明装置33から照射される調整光12の透過光12aとを受光すると同時に、ボタン2の背景から調整光12を受光することにより、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得するようになっている。これにより、カメラ3は、反射光によってボタン2の上面における色彩や、模様、凹凸を映し出し、調整光12によってボタン2のシルエットを映し出すようになっている。
【0080】
第2の実施形態によれば、調整光照明装置33によってボタン2の下面に青色の調整光12を照射し、蛍光板40および反射板41によりボタン2の上面に白色の照射光11を照射した状態で、カメラ3によってボタン2の上面を1回撮像することにより、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタンの背景から調整光12を受光して、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、照射光によってボタン2の凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光によってボタン2のシルエットが映し出されることとなる。このため、ボタン認識装置1は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタン2の正確な輪郭データを取得してボタン2の凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタン2の外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0081】
したがって、ボタン認識装置1は、照射光11による反射光11a、調整光12による透過光12a、およびボタン2の背景からの調整光12からなるボタン部分と背景部分とにより構成された撮像データを用いてボタン2の状態の判定を行うことにより、判定精度の向上を図ることができ、ひいては、ミシン29によって縫製物にボタン2を仕上がりよく縫い付けることができる。
【0082】
また、ボタン認識装置は、1回の撮像により、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景からの調整光12を受光することができるので、撮像時間を低減することができ、ひいては、ボタン2の状態を判定する時間の低減を図ることが可能となる。
【0083】
さらに、ボタン認識装置1は、調整光照明装置33によってボタン2の下面に調整光12を照射するとともに、調整光12の一部を蛍光板40および反射板41を介してボタン2の上面に照射光11として照射することができ、1台の調整光照明装置33によって照射光11と調整光12を照射することができる。これにより、ボタン認識装置1の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0084】
続いて、本発明に係るボタン認識装置1の第3の実施形態について、図13を用いて説明する。なお、第3の実施形態について第1および第2の実施形態と構成が同一の場合には、同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0085】
図13は、第3の実施形態に係るボタン認識装置1を示す概略側面断面図である。
【0086】
図13に示すように、第3の実施形態に係るボタン認識装置1における照射光照射装置としての照射光照明装置38は、赤、緑および青の三原色のいずれか1色(本実施形態においては青色)の照射光11を照射するようになっている。
【0087】
ボタン2の下方に配設された調整光照射装置37は、照射光11を励起する蛍光性を有する励起部材として蛍光板35を備えている。本実施形態においては、照射光照明装置5から青色の照射光11が照射されると、この照射光11は、蛍光板35によって励起されて黄緑色に発光し、蛍光板35は、この黄緑色に発光した光を調整光12としてボタン2の下面に照射するようになっている。
【0088】
また、調整光照射装置37は、蛍光板35の下面に配設され、蛍光板35において励起されずに透過した光を拡散して反射する拡散板36を備えており、拡散板36は、蛍光板35を透過した光を拡散・反射して蛍光板35を介してボタン2の下面に調整光12として照射するようになっている。そして、調整光12は、蛍光板35により励起された黄緑色の光と、蛍光板35により励起されずに反射した青色の光および拡散板36に反射した光とが混合した白色若しくは白色の近似色となる。
【0089】
そして、カメラ3は、照射光照明装置38によってボタン2に照射光11が照射されるとともに、蛍光板35および拡散板36を介して調整光12が照射された状態で、ボタン2の上面の画像を撮像するようになっている。このとき、カメラ3は、ボタン2の上面から照射光照明装置38により照射される照射光11の反射光11aおよび蛍光板35と拡散板36とから照射される調整光12の透過光12aとを受光すると同時に、ボタン2の背景から調整光12を受光することにより、ボタン部分とボタン2の背景部分とからなる撮像データを取得するようになっている。これにより、カメラ3は、反射光によってボタン2の上面における色彩や、模様、凹凸を映し出し、調整光12によってボタン2のシルエットを映し出すようになっている。
【0090】
また、第3の実施形態において、制御手段16は、撮像データから、照射光11と同一色(本実施形態においては青色)の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、撮像データから三原色のうち照射光11と異なる1色(本実施形態においては赤色)の光を抽出して調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段として機能するようになっている。
【0091】
次に、第3の実施形態の作用について説明する。
【0092】
第3の実施形態に係るボタン認識装置1は、制御手段16による制御により青色の照射光11をボタンの上面に照射するとともに、白色の調整光12をボタン2の下面に照射した状態で、ボタン2の上面から1回撮像する。これにより、ボタン認識装置1は、ボタン2の上面から照射光11の反射光11aおよび調整光12の透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景から調整光12を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する。
【0093】
次に、制御手段16は、撮像データから照射光11と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、さらに、撮像データから、三原色のうち照射光11と異なる1色の光を抽出して調整光輝度データを作成する。続いて、制御手段16は、調整光輝度データから非調整光輝度データを減算して、照射光11による反射光の輝度成分を減少させたボタン部分と、調整光12による背景部分とからなる調整光データを作成する。その後、制御手段16は、調整光データを二値化し、さらに反転させて、背景部分の輝度量が0となるような前記ボタンの二値化された輪郭データを作成し、撮像データと輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成する。なお、この輪郭データでは、ボタン2のボタン穴の部分も輝度量0となっている。そして、制御手段16は、合成画像データと予め記憶されたボタン2の表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、ボタン2の状態を判定する。
【0094】
第3の実施形態によれば、照射光照明装置37によってボタン2の上面に青色の照射光11を照射し、蛍光板35および拡散板36によってボタン2の下面に白色の調整光12を照射した状態で、カメラ3によってボタン2の上面を1回撮像することにより、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタンの背景から調整光12を受光して、ボタン部分とボタンの背景部分とからなる撮像データを取得することができる。この撮像データには、第1および第2の実施形態と同様に照射光11によってボタン2の凹凸や模様が映し出されるとともに、調整光12によってボタン2のシルエットが映し出されることとなる。このため、ボタン認識装置1は、前記撮像データを演算処理することによって、ボタン2の正確な輪郭データを取得してボタン2の凹凸形状、色彩、模様等の詳細な構成情報を検出することができるとともに、ボタン2の外径・中心位置、糸通し孔の数・外径・中心位置・形成位置・貫通状態等の詳細な構成情報を計測することができる。
【0095】
したがって、ボタン認識装置1は、照射光11による反射光11a、調整光12による透過光12a、およびボタン2の背景からの調整光12からなるボタン部分と背景部分とにより構成された撮像データを用いてボタン2の状態の判定を行うことにより、判定精度の向上を図ることができ、ひいては、ミシン29によって縫製物にボタン2を仕上がりよく縫い付けることができる。
【0096】
また、ボタン認識装置1は、1回の撮像により、照射光11による反射光11aおよび調整光12による透過光12aを受光すると同時に、ボタン2の背景からの調整光12を受光することができるので、撮像時間を低減することができ、ひいては、ボタン2の状態を判定する時間の低減を図ることが可能となる。
【0097】
さらに、ボタン認識装置1は、照射光照明装置38によってボタン2の上面に照射光11を照射するとともに、照射光の一部を蛍光板35および拡散板36によってボタン2の下面に調整光12として照射することができ、1台の照射光照明装置38によって照射光11と調整光12を照射することができる。これにより、ボタン認識装置1の小型化、コストの低廉化、消費電力の低減化を図ることができる。
【0098】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係るボタン認識装置の一実施形態を示す概略側面断面図
【図2】図1のボタン認識装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明に係るボタン認識方法の一実施形態を示すフローチャート
【図4】図3に記載したボタン認識方法における分離工程を示すフローチャート
【図5】(a)(b)は、撮像データおよびその輝度を示す原理説明図
【図6】(a)(b)は、調整光輝度データおよびその輝度を示す原理説明図
【図7】(a)(b)は、非調整光輝度データおよびその輝度を示す原理説明図
【図8】(a)(b)は、調整光データおよびその輝度を示す原理説明図
【図9】(a)(b)は、二値化した調整光データおよびその輝度を示す原理説明図
【図10】(a)(b)は、反転した調整光データおよびその輝度を示す原理説明図
【図11】合成画像データを示す原理説明図
【図12】本発明に係るボタン認識装置の第2の実施形態を示す概略側面断面図
【図13】本発明に係るボタン認識装置の第3の実施形態を示す概略側面断面図
【符号の説明】
【0100】
1 ボタン認識装置
2 ボタン
3 カメラ
5 照射光照明装置
6 光源
6a 孔
8 光調整部材
8a 青色半透明膜
8b 反射板
10 載置台
11 照射光
12 調整光
15 画像処理装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボタン付けミシンに対してボタンを供給するボタン供給経路に配置され、前記ボタンの一方の面に向かって照射光を照射する照射光照射装置と、
前記ボタンを挟んで前記照射光照射装置に対向して配置され、赤、緑および青の三原色のうち前記照射光と異なるいずれかの色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射する調整光照射装置と、
前記ボタンにおける前記一方の面に対向して配置され、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光することにより、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する撮像装置と、
前記撮像データから、前記調整光と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、前記撮像データから前記三原色のうち前記調整光と異なる色の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光の輝度成分を減少させた前記ボタン部分と前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成する二値化反転手段、および前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段とを有する画像処理装置と、
前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する判定装置と、
を備えたことを特徴とするボタン認識装置。
【請求項2】
前記照射光照射装置は、前記照射光を発光する照射光照明装置で構成されており、
前記調整光照射装置は、前記照射光照明装置から照射された照射光のうち前記三原色のいずれか1色の光を反射させて、前記調整光を前記ボタンの他方の面に照射する光調整部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のボタン認識装置。
【請求項3】
前記光調整部材は、前記三原色のいずれかの色の光を透過させるバンドパスフィルタを備えたことを特徴とする請求項2に記載のボタン認識装置。
【請求項4】
前記光調整部材として、前記三原色のいずれかの色の光のみを反射するダイクロイックミラーを用いることを特徴とする請求項2に記載のボタン認識装置。
【請求項5】
前記調整光照射装置は、前記三原色のいずれの色の光を発光する調整光照明装置で構成されており、
前記照射光照射装置は、前記調整光照明装置から照射される前記調整光から白色の光を励起、反射し、この光を前記照射光として前記ボタンの一方の面に照射する励起部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のボタン認識装置。
【請求項6】
前記励起部材は、前記調整光を励起する蛍光性を有する部材により構成されていることを特徴とする請求項5に記載のボタン認識装置。
【請求項7】
ボタン付けミシンに対してボタンを供給するボタン供給経路に配置され、前記ボタンの一方の面に向かって赤、緑および青の三原色のいずれかの色からなる照射光を照射する照射光照射装置と、
前記ボタンを挟んで前記照射光照射装置に対向して配置され、前記照射光と異なる色からなる調整光を前記ボタンの他方の面に照射する調整光照射装置と、
前記ボタンにおける前記一方の面に対向して配置され、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光とを受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光することにより、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する撮像装置と、
前記撮像データから、前記照射光と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、前記撮像データから前記三原色のうち前記照射光と異なる色の光を抽出して調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光の輝度成分を減少させた前記ボタン部分と前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成する二値化反転手段、および前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段とを有する画像処理装置と、
前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する判定装置と、
を備えたことを特徴とするボタン認識装置。
【請求項8】
前記照射光照射装置は、赤、緑、および青色の三原色のいずれかの色の光を発光する照射光照明装置で構成されており、
前記調整光照射装置は、前記照射光照明装置から照射される前記照射光から白色の光を励起、反射し、この光を前記調整光として前記ボタンの他方の面に照射する励起部材により構成されていることを特徴とする請求項7に記載のボタン認識装置。
【請求項9】
照射光をボタンの一方の面に向かって照射するとともに、赤、緑および青の三原色のいずれかの色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射した状態で、前記ボタンの一方の面から撮像することにより、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得し、
前記撮像データから前記調整光と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、
前記撮像データから、前記三原色のうち前記調整光と異なる色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、
前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光による輝度成分を減少させた前記ボタン部分と、前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成し、
前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成し、
前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成し、
前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定することを特徴とするボタン認識方法。
【請求項10】
赤、緑および青の三原色のいずれかの色の照射光をボタンの一方の面に向かって照射するとともに、前記照射光と異なる色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射した状態で、前記ボタンの一方の面から撮像することにより、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得し、
前記撮像データから前記照射光と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、
前記撮像データから、前記三原色のうち前記照射光と異なる色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、
前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光による輝度成分を減少させた前記ボタン部分と、前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成し、
前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成し、
前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成し、
前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定することを特徴とするボタン認識方法。
【請求項1】
ボタン付けミシンに対してボタンを供給するボタン供給経路に配置され、前記ボタンの一方の面に向かって照射光を照射する照射光照射装置と、
前記ボタンを挟んで前記照射光照射装置に対向して配置され、赤、緑および青の三原色のうち前記照射光と異なるいずれかの色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射する調整光照射装置と、
前記ボタンにおける前記一方の面に対向して配置され、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光することにより、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する撮像装置と、
前記撮像データから、前記調整光と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、前記撮像データから前記三原色のうち前記調整光と異なる色の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光の輝度成分を減少させた前記ボタン部分と前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成する二値化反転手段、および前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段とを有する画像処理装置と、
前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する判定装置と、
を備えたことを特徴とするボタン認識装置。
【請求項2】
前記照射光照射装置は、前記照射光を発光する照射光照明装置で構成されており、
前記調整光照射装置は、前記照射光照明装置から照射された照射光のうち前記三原色のいずれか1色の光を反射させて、前記調整光を前記ボタンの他方の面に照射する光調整部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のボタン認識装置。
【請求項3】
前記光調整部材は、前記三原色のいずれかの色の光を透過させるバンドパスフィルタを備えたことを特徴とする請求項2に記載のボタン認識装置。
【請求項4】
前記光調整部材として、前記三原色のいずれかの色の光のみを反射するダイクロイックミラーを用いることを特徴とする請求項2に記載のボタン認識装置。
【請求項5】
前記調整光照射装置は、前記三原色のいずれの色の光を発光する調整光照明装置で構成されており、
前記照射光照射装置は、前記調整光照明装置から照射される前記調整光から白色の光を励起、反射し、この光を前記照射光として前記ボタンの一方の面に照射する励起部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のボタン認識装置。
【請求項6】
前記励起部材は、前記調整光を励起する蛍光性を有する部材により構成されていることを特徴とする請求項5に記載のボタン認識装置。
【請求項7】
ボタン付けミシンに対してボタンを供給するボタン供給経路に配置され、前記ボタンの一方の面に向かって赤、緑および青の三原色のいずれかの色からなる照射光を照射する照射光照射装置と、
前記ボタンを挟んで前記照射光照射装置に対向して配置され、前記照射光と異なる色からなる調整光を前記ボタンの他方の面に照射する調整光照射装置と、
前記ボタンにおける前記一方の面に対向して配置され、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光とを受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光することにより、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得する撮像装置と、
前記撮像データから、前記照射光と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成する第1輝度データ作成手段、前記撮像データから前記三原色のうち前記照射光と異なる色の光を抽出して調整光輝度データを作成する第2輝度データ作成手段、前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光の輝度成分を減少させた前記ボタン部分と前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成する減算手段、前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成する二値化反転手段、および前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行い合成画像データを作成する合成画像データ作成手段とを有する画像処理装置と、
前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定する判定装置と、
を備えたことを特徴とするボタン認識装置。
【請求項8】
前記照射光照射装置は、赤、緑、および青色の三原色のいずれかの色の光を発光する照射光照明装置で構成されており、
前記調整光照射装置は、前記照射光照明装置から照射される前記照射光から白色の光を励起、反射し、この光を前記調整光として前記ボタンの他方の面に照射する励起部材により構成されていることを特徴とする請求項7に記載のボタン認識装置。
【請求項9】
照射光をボタンの一方の面に向かって照射するとともに、赤、緑および青の三原色のいずれかの色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射した状態で、前記ボタンの一方の面から撮像することにより、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得し、
前記撮像データから前記調整光と同一色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、
前記撮像データから、前記三原色のうち前記調整光と異なる色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、
前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光による輝度成分を減少させた前記ボタン部分と、前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成し、
前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成し、
前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成し、
前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定することを特徴とするボタン認識方法。
【請求項10】
赤、緑および青の三原色のいずれかの色の照射光をボタンの一方の面に向かって照射するとともに、前記照射光と異なる色の調整光を前記ボタンの他方の面に照射した状態で、前記ボタンの一方の面から撮像することにより、前記ボタンの一方の面から前記照射光の反射光および前記調整光の透過光を受光すると同時に、前記ボタンの背景から前記調整光を受光して、ボタン部分と前記ボタンの背景部分とからなる撮像データを取得し、
前記撮像データから前記照射光と同一色の光を抽出して非調整光輝度データを作成し、
前記撮像データから、前記三原色のうち前記照射光と異なる色の光を抽出して調整光輝度データを作成し、
前記調整光輝度データから前記非調整光輝度データを減算して、前記反射光による輝度成分を減少させた前記ボタン部分と、前記調整光による前記背景部分とからなる調整光データを作成し、
前記調整光データを二値化し、さらに反転させて、前記ボタンの輪郭データを作成し、
前記撮像データと前記輪郭データとの論理積演算を行って前記合成画像データを作成し、
前記合成画像データと予め記憶されたボタンの表裏それぞれの規格画像データとを比較することにより、前記ボタンの状態を判定することを特徴とするボタン認識方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図12】
【図13】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図12】
【図13】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−131178(P2010−131178A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309709(P2008−309709)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]