説明

ボックスドアの組み立て方法

【課題】組み立ての工程数と共に、組み立て時のビスを介する作業数を削減できつつ、開けたときの意匠性を確保できるボックスドアの組み立て方法を提供すること。
【解決手段】アウタパネル10と、インナパネル20とから成り、ボックス本体2に対してロック可能なロックサブアッシー30を有するボックスドア3の組み立て方法は、アウタパネル10の内側にビスBを介してロックサブアッシー30を組み付け、この組み付けたロックサブアッシー30を覆うようにアウタパネル10の内側に爪26を介してインナパネル20の内側を組み付けることで行われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスドアの組み立て方法に関し、詳しくは、アウタパネルと、インナパネルとから成り、ロックサブアッシーを有するボックスドアの組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンソールボックス本体(ボックス本体)の開口を開閉可能なコンソールドア(ボックスドア)が組み付けられているコンソールボックスが既に知られている。このコンソールボックスは、コンソールドアを開けたときでも閉めたときでも、その意匠性を高めるために、コンソールドアはアウタパネルとインナパネルとの二重構造となっている。ここで、下記特許文献1には、図5〜7に示すように、コンソールドア103にロックサブアッシー130が設けられたコンソールボックス101が開示されている。これにより、コンソールドア103を閉めた状態でロックできるため、車両の走行時においても、コンソールボックス本体内の収容物が飛散することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−201442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、コンソールドア103は、下記の3工程(第1の工程〜第3の工程)を経て組み立てられている。これら3工程を説明すると、まず、作業者は、第1の工程として、インナパネル120の内側に4本のビスbを介してロックサブアッシー130を組み付ける作業を行う(図6参照)。このとき、インナパネル120のピン孔122、122にロックサブアッシー130の一対のピン136、136を貫通させる作業も行っている。次に、作業者は、第2の工程として、第1の工程でロックサブアッシー130を組み付けたインナパネル120を反転させる作業を行う。最後に、作業者は、第3の工程として、第2の工程で反転させたインナパネル120をアウタパネル110の内側に2本のビスbと複数の爪とを介して組み付ける作業を行う(図7参照)。このように2本のビスbを介してインナパネル120をアウタパネル110の内側に組み付けておかないと、コンソールドア103が閉じ状態にあるとき、ロックサブアッシー130を解除することなくコンソールドア103を開けようとすると、複数の爪だけではアウタパネル110とインナパネル120とが剥がれてしまうことを防止するためである。このようにして3工程を経てコンソールドア103は組み立てられている。そのため、組み立ての工程数が多いと共に、組み立て時のビスbを介する作業も2回必要となっていた。また、このようにして組み立てられると、アウタパネル110の内側に組み付けたインナパネル120のビスbの締め付け部が見えるため、コンソールドア103を開けたときの意匠性が悪化することとなっていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、組み立ての工程数と共に、組み立て時のビスを介する作業数を削減できつつ、開けたときの意匠性を確保できるボックスドアの組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、アウタパネルと、インナパネルとから成り、ボックス本体に対してロック可能なロックサブアッシーを有するボックスドアの組み立て方法であって、アウタパネルの内側にビスを介してロックサブアッシーを組み付け、この組み付けたロックサブアッシーを覆うようにアウタパネルの内側に爪を介してインナパネルの内側を組み付けることを特徴とする組み立て方法である。
この組み立て方法によれば、2工程を経てボックスドアは組み立てられている。なお、このように組み立てられていると、組み立て時のビスを介する作業を1回で済ますことができる。そのため、従来技術と比較すると、ボックスドアの組み立ての工程数を3工程から2工程にできると共に、組み立て時のビスを介する作業数も2回から1回にできる。したがって、組み立ての工程数と共に、組み立て時のビスBを介する作業数を削減できる。また、この組み立て方法によれば、爪を介してアウタパネルの内側にインナパネルの内側を組み付けている。そのため、従来技術と異なり、アウタパネルの内側に組み付けたインナパネルにビスの締め付け部が見えることがない。したがって、ボックスドアを開けたときの意匠性を確保できる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボックスドアの組み立て方法であって、ロックサブアッシーには、ボックス本体に形成されたピン穴に対して進退可能なピンを備えており、インナパネルには、ロックサブアッシーのピンを貫通可能なピン孔と、ロックサブアッシーのピンをピン孔に案内可能な傾斜状の案内面とが形成されており、インナパネルをアウタパネルに組み付けるとき、この組み付けと同時に、ロックサブアッシーのピンをバネ力に抗して退行させながらピン孔に案内可能となっていることを特徴とする組み立て方法である。
この組み立て方法によれば、2工程目の組み付け作業を行うと、インナパネルの内側に形成されている傾斜状の案内面がロックサブアッシーのピンをバネ力に抗して退行させながらピン孔に案内していくこととなる。やがて、この2工程目の組み付け作業が完了すると、ロックサブアッシーのピンがインナパネルのピン孔に到達するため、ピン孔に到達したロックサブアッシーのピンをバネ力により退行前の状態(進出状態)に戻すことができる。これにより、この2工程目の組み付け作業の完了と同時に、インナパネルのピン孔にロックサブアッシーのピンを貫通させることができる。したがって、従来技術で説明したように、わざわざ、インナパネルのピン孔にロックサブアッシーのピンを貫通させる作業を行う必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の実施例に係るコンソールボックスの全体斜視図である。
【図2】図2は、図1のコンソールボックスにおけるコンソールドアの組み立ての第1の工程を説明する図である。
【図3】図3は、図2の次工程である第2の工程を説明する図である。
【図4】図4は、図3において、上下を逆に見た図である。
【図5】図5は、従来技術に係るコンソールボックスの全体斜視図である。
【図6】図6は、図5のコンソールボックスにおけるコンソールドアの組み立ての第1の工程を説明する図である。
【図7】図7は、図6の次工程である第2の工程と、この第2の工程の次工程である第3の工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜4を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、「ボックス本体」が「コンソールボックス本体2」であり、「ボックスドア」が「コンソールドア3」である例を説明する。
【0010】
図1に示すように、コンソールボックス1は、開口(図示しない)を有し内部に物品を収納可能なコンソールボックス本体2と、このコンソールボックス本体2の開口(図示しない)の蓋を成すコンソールドア3とから構成されている。これらコンソールボックス本体2と、コンソールドア3とのうち、コンソールドア3を詳述していく。なお、コンソールボックス本体2は、公知のものでよいため、その詳細な説明は省略することとする。
【0011】
図2〜3に示すように、コンソールドア3は、アウタパネル10と、インナパネル20とから構成されている。また、このコンソールドア3には、コンソールドア3自身がコンソールボックス本体2の開口(図示しない)を閉じた状態にコンソールドア3自身をロックするロックサブアッシー30が備えられている。以下に、これらアウタパネル10と、インナパネル20と、ロックサブアッシー30とを個別に説明していく。
【0012】
はじめに、アウタパネル10から説明していく。このアウタパネル10は、図2に示すように、コンソールドア3の骨格を成すフレームFを組み付け可能に、且つ、その外側面が意匠面を成すように樹脂部材から構成されている。また、このアウタパネル10には、ヒンジ部材12が組み付けられている。これにより、コンソールボックス本体2の開口(図示しない)を開閉可能にコンソールボックス本体2に対してコンソールドア3を組み付けることができる。
【0013】
また、このアウタパネル10の内側には、後述するインナパネル20の複数の係合爪26を係合可能な複数の係合孔14が形成されている。アウタパネル10は、このように構成されている。
【0014】
次に、インナパネル20を説明する。このインナパネル20は、図3に示すように、その外側面が意匠面を成すように樹脂部材から構成されている。また、このインナパネル20には、後述するロックサブアッシー30の一対のピン36、36を貫通させることができるピン孔22、22が形成されている。
【0015】
また、このインナパネル20の内側には、インナパネル20の内側自身をアウタパネル10の内側に組み付けるとき、この組み付けと同時に、ロックサブアッシー30の一対のピン36、36をそれぞれバネ力に抗して退行させながらピン孔22、22に案内可能な傾斜状の案内面24、24が形成されている。また、このインナパネル20の内側には、上述したアウタパネル10の複数の係合孔14に係合可能な複数の係合爪26が形成されている。インナパネル20は、このように構成されている。
【0016】
最後に、ロックサブアッシー30を説明する。このロックサブアッシー30は、図2に示すように、ロックサブアッシー本体32と、乗員が操作可能なレバー34と、コンソールボックス本体2のピン穴(図示しない)に対して進退可能な一対のピン36、36とから構成されている。そして、このロックサブアッシー30は、乗員によってレバー34が操作されると、コンソールボックス本体2のピン穴(図示しない)に進出した一対のピン36、36がバネ力に抗して退行するように構成されている。
【0017】
このレバー34の操作により、一対のピン36、36がコンソールボックス本体2のピン穴(図示しない)に嵌ったロック状態(ロックサブアッシー30のロック状態)と、一対のピン36、36がコンソールボックス本体2のピン穴(図示しない)から脱したロック解除状態(ロックサブアッシー30のロック解除状態)とに切り替えることができる。ロックサブアッシー30は、このように構成されている。
【0018】
続いて、上述したアウタパネル10と、インナパネル20と、ロックサブアッシー30とからコンソールドア3を組み立てる方法を説明する。まず、作業者は、第1の工程として、アウタパネル10に組み付けられているフレームFの内側に4本のビスBを介してロックサブアッシー30を組み付ける作業を行う(図2参照)。次に、作業者は、第2の工程として、第1の工程で組み付けたロックサブアッシー30を覆うようにアウタパネル10の内側にインナパネル20の内側を組み付ける作業を行う(図3参照)。
【0019】
このとき、アウタパネル10の複数の係合孔14にインナパネル20の複数の係合爪26を係合させている。この第2の工程の組み付け作業を行うと、既に説明したように、インナパネル20の内側に形成されている傾斜状の案内面24、24がロックサブアッシー30の一対のピン36、36をバネ力に抗してそれぞれ退行させながらピン孔22、22に案内していくこととなる。
【0020】
やがて、この第2の工程の組み付け作業が完了すると、ロックサブアッシー30の一対のピン36、36がインナパネル20のピン孔22、22に到達するため、ピン孔22、22に到達したロックサブアッシー30の一対のピン36、36をバネ力により退行前の状態(進出状態)に戻すことができる。
【0021】
これにより、この第2の工程の組み付け作業の完了と同時に、インナパネル20のピン孔22、22にロックサブアッシー30の一対のピン36、36を貫通させることができる。このようにして2工程を経てコンソールドア3は組み立てられている。なお、このように組み立てられていると、組み立て時のビスBを介する作業を1回で済ますことができる。
【0022】
本発明の実施例に係るコンソールドア3の組み立ては、上述したような方法によって行われている。この組み立て方法によれば、アウタパネル10に組み付けられているフレームFの内側にビスBを介してロックサブアッシー30を組み付ける第1の工程の作業を行った後に、第1の工程で組み付けたロックサブアッシー30を覆うようにアウタパネル10の内側にインナパネル20の内側を組み付ける第2の工程の作業を行っている。この第2の工程において、アウタパネル10の複数の係合孔14にインナパネル20の複数の係合爪26を係合させている。このようにして2工程を経てコンソールドア3は組み立てられている。なお、このように組み立てられていると、組み立て時のビスBを介する作業を1回で済ますことができる。そのため、従来技術と比較すると、コンソールドア3の組み立ての工程数を3工程から2工程にできると共に、組み立て時のビスBを介する作業数も2回から1回にできる。したがって、組み立ての工程数と共に、組み立て時のビスBを介する作業数を削減できる。また、この組み立て方法によれば、複数の係合爪26を介してアウタパネル10の内側にインナパネル20の内側を組み付けている。そのため、従来技術と異なり、アウタパネル10の内側に組み付けたインナパネル20にビスの締め付け部が見えることがない。したがって、コンソールドア3を開けたときの意匠性を確保できる。また、この組み立て方法によれば、計4本のビスBを必要としている。一方、従来技術の組み立て方法によれば、計6本のビスbを必要としている。そのため、組み立てに必要なビスBの数を2本削減できる。
【0023】
また、この組み立て方法によれば、この第2の工程の組み付け作業を行うと、インナパネル20の内側に形成されている傾斜状の案内面24、24がロックサブアッシー30の一対のピン36、36をバネ力に抗してそれぞれ退行させながらピン孔22、22に案内していくこととなる。やがて、この第2の工程の組み付け作業が完了すると、ロックサブアッシー30の一対のピン36、36がインナパネル20のピン孔22、22に到達するため、ピン孔22、22に到達したロックサブアッシー30の一対のピン36、36をバネ力により退行前の状態(進出状態)に戻すことができる。これにより、この第2の工程の組み付け作業の完了と同時に、インナパネル20のピン孔22、22にロックサブアッシー30の一対のピン36、36を貫通させることができる。したがって、従来技術で説明したように、わざわざ、インナパネル120のピン孔122、122にロックサブアッシー130の一対のピン136、136を貫通させる作業を行う必要がない。
【0024】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、「ボックス本体」が「コンソールボックス本体2」であり、「ボックスドア」が「コンソールドア3」である例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「ボックス本体」が「グローブボックス本体」であり、「ボックスドア」が「グローブボックスドア」であっても構わない。
【符号の説明】
【0025】
2 コンソールボックス本体
3 ボックスドア
10 アウタパネル
20 インナパネル
22 ピン孔
24 案内面
26 係合爪
30 ロックサブアッシー
36 ピン




【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネルと、インナパネルとから成り、ボックス本体に対してロック可能なロックサブアッシーを有するボックスドアの組み立て方法であって、
アウタパネルの内側にビスを介してロックサブアッシーを組み付け、
この組み付けたロックサブアッシーを覆うようにアウタパネルの内側に爪を介してインナパネルの内側を組み付けることを特徴とするボックスドアの組み立て方法。
【請求項2】
請求項1に記載のボックスドアの組み立て方法であって、
ロックサブアッシーには、ボックス本体に形成されたピン穴に対して進退可能なピンを備えており、
インナパネルには、ロックサブアッシーのピンを貫通可能なピン孔と、ロックサブアッシーのピンをピン孔に案内可能な傾斜状の案内面とが形成されており、
インナパネルをアウタパネルに組み付けるとき、この組み付けと同時に、ロックサブアッシーのピンをバネ力に抗して退行させながらピン孔に案内可能となっていることを特徴とするボックスドアの組み立て方法。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112154(P2013−112154A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259873(P2011−259873)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】