説明

ボツリヌス神経毒を含む治療薬

【課題】 ボツリヌス神経毒を含む治療薬の提供
【解決手段】 本発明はA、B、C、D、E、FまたはG型のボツリヌス菌のボツリヌス神経毒の1種類またはこれらの神経毒の2種以上の混合物を含有する医薬製剤に関する。本発明の製剤は神経毒あるいは神経毒の混合物が、これら神経毒と一緒にボツリヌス神経毒複合体を自然に形成する複合体化性蛋白質を含有していないことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボツリヌス菌(Clostridium botulinum) のボツリヌス神経毒を含有し、該神経毒が複合体中に自然に存在する複合体化性蛋白質を含有していない医薬製剤に関する。これに直接的に関連する本発明の基礎となる知見は遊離の神経毒が患者の複合体に対立して中和抗体を誘発しないかまたは明らかに減少した量でしか誘発しないということである。更に本発明はボツリヌス菌のボツリヌス神経毒を神経系疾病を治療するための薬剤を製造するために用いることである。本発明の別の観点は美容治療のためにボツリヌス菌のボツリヌス神経毒を用いることである。
【背景技術】
【0002】
A型のボツリヌス菌毒複合体(Mr 900,000 )は種々のジストニーの治療に久しく使用されている。現時点ではこれら複合体を含有する二種類の異なる製剤が眼瞼痙攣、反側顔面痙縮および痙性斜頸の治療のために認められている:BOTOX(R) およびDYSPORT(R) 。神経系の別の疾病(痙攣、片頭痛、腰痛、頸部症候群、過流涎)の治療は現時点では診療試験されている。更にこれらの製剤は発汗過多および顕著な皺襞形成の様な美容適応症の場合にも使用される。通例の(B、C、D、E、F、G型)のボツリヌス菌毒複合体もこれらの治療に適している。現時点ではB〜G型の毒素供給体を含有する市販品は未だ存在しない。
【0003】
ボツリヌス菌毒複合体はクロストリジウム属蛋白質の混合物で構成されている。これは色々な分子量の血球凝集素、非毒性の非血球凝集性蛋白質(Mr =約120,000)および神経毒(Mr =約150,000)である。これらは、食品中毒の際に経口毒性の原因である酸安定性複合体を形成する。純粋な神経毒と反対にこの複合体は胃腸域の侵食性媒体に対して耐久性があり、血液循環またはリンパ系を通して目標の細胞に達しそしてそこで伝達物質開放の阻止を解除する神経毒の内部吸収を可能とする。更にこのものは横筋の入ったおよび平滑筋肉組織を機能不全にさせそして色々な成長性機能を消耗させる。中毒患者は呼吸する筋肉組織の機能不全で死亡する。純粋の神経毒は胃腸域で分解しそしてそれ故に内部吸収されないので、このものは摂取後に有毒でない。腸管外適用した場合、神経毒および複合体の治療効果は相違せず、複合体は組織中でその構成成分に分解しそして触媒毒だけが目標の細胞中に摂取される。
【0004】
治療用途のためには複合体は、今日の従来技術に従ってジストニーまたは痙攣筋肉に直接的に注射され、そこにおいて神経毒は生理的pHにおいて複合体から放出されそして所望の薬理効果を引き起こす。複合体は極めて僅かな投与量でしか投与されないにも係わらず(該当する筋肉の適応症および大きさ次第で1〜25ng)、著しい患者数の場合に繰り返し注射した後に、神経毒に対しても適応する特異な中和抗体が形成される。直接的な影響は、抗体陽性患者が複合体にもはや反応しないことである。しかしながら彼らは、治療に未だ使用されたことのない他の種類の毒で治療することができる。患者があらゆる種類の毒で試験されそしてそれらに対して抗体が形成された場合には、ボツリヌス毒性複合体(如何なる種類も同じ)を更に適用することはもはや有効ではない。この場合、抗体価を高めるための複合体の投与は、もはや効果が達成されないので、複合体を更に適用することがもはや意味をなさない点までを考慮するべきである。抗体価が言うに値する程に低下するまでに何年も経過し、その結果これらの患者は長期に渡って(ボツリヌス性神経毒で)治療しない(治療できない)。
【0005】
特異な抗体の形成は2つのファクターによって促進される。その一つは複合体に固定された神経毒が長期間に渡って組織中に残留し、組織内を移動する免疫細胞を抗体形成のために活性化させ得る。しかしながら長期間の滞留は目的細胞中への摂取量を増加させることはない。何故ならば中毒化した目的細胞はもはや毒を摂取することができないからである。複合体からゆっくり放出される神経毒も免疫学的にいっそう有効である。もう一つは複合体中に含まれる蛋白質が免疫応答性を強化する。血球凝集素はレクチン、要するに、特定の糖類に対しての高い親和力に特徴のある蛋白質である。糖類構造にレクチンが結合しているために、レクチンが免疫的に刺激する。例えば、レクチンのコンカナバリンA、フィトヘマグルチニンおよびアメリカヤマゴボウマイトジェンがT−およびB−リンパ球を活性化することが判明している。場合によっては膜状糖類に結合するボツリヌス毒複合体の血液凝集素も同様に免疫補助薬として機能しそして抗体形成およびそれ故治療拒否に寄与し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故に本発明の課題は、上述の疾病および障害に対しての替わりの治療法を開発することである。特に本発明者は、既に中和抗体を形成した患者を治療することができる適する作用効果を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題の解決法として、A型のボツリヌス毒複合体よりなる二つの慣用の製剤のBOTOX(R) およびDYSPORT(R) の代替え物としておよびまた従来技術で開示されている通例の種類の複合体(B、C、D、E、F、G)の代替え物として、純粋の神経毒(AあるいはB、C、D、E、FまたはG型)だけを含有しそして血球凝集素および他の異質蛋白質を含んでいない新規の薬剤を開発することであった。該薬剤は小さい分子量であるために、免疫細胞が血球凝集素によって遮断され活性化される前に、該剤が摂取される標的の細胞に迅速に拡散する。本発明者は抗原性の研究において、あらゆる種類の純粋の神経毒がA型の市販の調剤およびB〜G型の複合体と反対に抗体を全く生じないかまたは非常に僅かしか生じないことを発見した。開発されたこの新規の薬剤(A、B、C、D、E、F、G型の純粋な神経毒)を治療に使用した場合に、繰り返し適用した後でも抗体に起因する治療拒否をもたらさないことを発見した。更に、純粋の神経毒はただちに生物学的に利用できるので、ボツリムヌス毒複合体の適用後に、例えばBOTOX(R) およびDYSPORT(R) での治療後に、対応する種類に対しての抗体価が発揮され(いわゆる第二の非応答体)、市販の毒素の投与が病気の軽減をもはやもたらさないことからBOTOX(R) およびDYSPORT(R) での更なる治療をもはや行い得ない患者の治療にも適していることが判った。
【0008】
本発明で提案した医薬品は、ボツリヌス毒に対して、特にA型のそれに対しての抗体価を有する患者の場合に治療薬として適している。本発明の薬剤(純粋な神経毒または複数の純粋な神経毒の混合物)は、50mU/mLより大きくない、好ましくは30mU/mLより大きくない、殊に20mU/mLより大きくない、特に10mU/mLより大きくない、中でも特に5mU/mLより大きくない抗体価を有する患者の場合に特に適している。この場合、1mU/mLの抗体は、10Uの毒素を中和するのと同じ量の抗体である。
【0009】
他方、本発明の薬剤は、ボツリヌス神経毒で予めに全く治療していないかまたは長期間の間既に治療していない患者は始めの抗体価が低いかまたは0と同じであるので、かゝる患者に有利に使用することができる。本発明の長所は、患者の力価が本発明の純粋な毒で治療することによって増加しないかまたは場合によっては全く本質的でない程度にしか増加しないことにある。換言すれば本発明の治療薬は、その効力を喪失することなしに長期間にわたって投与することができる。
【0010】
C型ボツリヌス毒で治療する際の抗体の適用も、高分子量の毒性複合体の替わりに純粋な神経毒を投与することによって回避される。複合体蛋白質から完全に分離された神経毒は直ちに生物学的に使用できそして運動終板の神経末端に直接的に結合することができる。
【0011】
従って本発明の一つの態様は、A、B、C、D、E、FまたはG型のボツリヌス菌のボツリヌス神経毒の少なくとも1種類(またはこれらの神経毒の2種以上の混合物)を含有し、ただし全ての神経毒が自然には複合体の状態で存在する複合体化性蛋白質を含まない医薬製剤に関する。
【0012】
特に有利な実施態様は、医薬製剤が、患者の神経毒あるいは神経毒の混合物が中和抗体を誘発しないかまたは複合体に比較して減少した量でしか誘発しないことを特徴とする。
【0013】
本発明の別の実施態様は、神経毒あるいは神経毒の混合物として天然の神経毒あるいは天然の神経毒の混合物を含有する医薬製剤である。
【0014】
更に別の実施態様は、神経毒あるいは神経毒の混合物として組替え神経毒あるいは組替え神経毒の混合物を含有する医薬製剤である。
【0015】
本発明の医薬製剤の別の特に有利な実施態様は、神経毒としてAまたはB型のボツリヌス菌の神経毒あるいは該神経毒の混合物がある製剤である。
【0016】
本発明の他の態様はA、B、C、D、E、FまたはG型のボツリヌス菌のボツリヌス神経毒またはこれらの神経毒の2種以上の混合物を神経系あるいはジストニーの疾病の治療のための薬剤の製造での用途に関する。神経系あるいはジストニーの疾病は、特に有利な実施態様によれば、痙性斜頸および眼瞼痙攣、尖足、反側顔面痙縮、片頭痛、腰痛、頸部症候群または過流涎のような痙攣である。
【0017】
本発明のさらに別の態様は、A、B、C、D、E、FまたはG型のボツリヌス菌のボツリヌス神経毒の1種類またはこれらの神経毒の2種以上の混合物を美容治療のために用いることに関し、この場合美容治療を発汗過多および皺襞形成、特に顔面のそれらの治療に特に有利である。
【0018】
本発明の意味で特に有利なのは、ボツリヌス菌の神経毒を単独でまたは混合状態で、ボツリヌス神経毒複合体、特にAまたはB型ボツリヌス菌の複合体または複数種の複合体、特にAおよびB型ボツリヌス菌の複合体に対しての既に中和抗体を有するもの(好ましくは人間、または動物)の場合(いわゆる第二の非反応体)に上述の神経系疾病を治療するための薬剤を製造するために用いることである。
【0019】
神経毒、その混合物あるいは本発明の医薬製剤は水溶液として、特に水性注射溶液として、また親液性化された製品として存在することができる。
【0020】
A〜Gの自体公知の純粋な神経毒は、文献のリストに記載された刊行物に記載されているプロトコルに従って製造される。二種類の神経毒(AおよびB型)の精製を以下の実施例で説明する:
【実施例】
【0021】
実施例1:純粋の神経毒の単離
A型のボツリヌス菌からの純粋な神経毒を DasGupta & Sathyamoorthy の方法により得る。A型ボツリヌス菌を20Lの発酵槽中で、2%のプロテアーゼ−ペプトン、1%のイースト抽出物、1%のグルコースおよび0.05%のナトリウムチオグリコレートよりなる培地で培養する。72時間の増殖の後に毒素を3NのH2 SO4 の添加によって沈殿させる(最終pH=3.5)。沈殿しそして遠心分離したバイオマスを0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液pH6.0で抽出処理する。
【0022】
硫酸プロトアミンでの沈殿処理によって核酸を分離した後に硫酸アンモニウムの添加によって毒素を沈殿させる。可溶化されそして50mMのリン酸ナトリウムpH6で分離された沈殿物を同じpH値でDEAE−セファデックス(Sephadex)−カラムに結合させそして150mMのNaClで溶解する。次いで、50mMのトリス/HCl−緩衝液pH7.9で平衡状態としたQAE−セファデックス−カラムに通すクロマトグラフィ処理を行なう。毒素をNaCl勾配で溶離する。最後の段階で毒素をSP−セファデックスに通してpH7.0でクロマトグラフィ処理を行なう。その際に結合した毒素がNaCl勾配(0〜300mM)によってカラムから溶出される。精製された毒素をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)で分析しそしてその毒素は95±5%の純度を有している。生物活性はマウスのLD50−検定で測定する。LD50−単位は4.8pg(蛋白質)に相当する。
【0023】
実施例2:ボツリヌス神経毒を含有する完成薬剤の製造
実施例1からの精製された神経毒を用いて、1mL当りに200のマウスLD50−単位、10mgのサッカロースおよび2mgの人血清アルブミンを含有する溶液を製造する。0.5mLの溶液を小ビンに充填しそして凍結乾燥する。凍結乾燥物を生理食塩溶液で戻しそして生物活性を測定する。この小瓶は100±30LD50−単位を含有する。
【0024】
実施例3:純粋な神経毒Bの単離
B型ポツリヌス菌をA型と同じ培地中で同じ条件のもとで培養し、硫酸アンモニウムで沈殿するまで後処理する。次いで再びDEAE−セファデックス(Sephadex)−カラムでのクロマトグラフィ処理をpH6.0で再び行なう。150mMのNaClでカラムから溶離されるフラクションを精製しそしてリン酸ナトリウムpH7.0で分離し、次いでクトマトグラフィーをQAE−セファデックスに通して行なう。毒素含有フラクションをpH8.5(50mMトリス/HCl:pH8.5)でDEAE−セファデックス−クロマトグラフィに通して再びクロマトグラフィ処理する。
【0025】
次いでB型の高純度のボツリヌス毒が10mMのリン酸ナトリウムpH8.0で平衡状態にしたヒドロキシルアパタイトのクロマトグラフィを通して得られる。結合した同種の毒素を80mMのリン酸ナトリウムpH8.0で抽出処理し、次いで生物活性をLD50−検定で測定する(2〜4×107 のLD50−単位/mg(蛋白質))。
【0026】
実施例4:抗体の検出
20匹の家兎に25UのBOTOX(R) を12週間に渡って14日間隔で皮内注射する(注射回数5回)。3週間後および次いで14日の間隔を置いて血清を採取する。
【0027】
ボツリヌス菌神経毒Aに対する抗体を、均一な神経毒をマイクロプレートの上に固定することによって酵素免疫検定で検出した。神経毒に結合する抗体を第二の酵素マークした抗体によって定量した。
【0028】
結果を表1に示す。最初の投与後既に5週間後に5匹の家兎に抗体が検出できた。11週間後に17匹の家兎(使用した家兎の85%)の血清に神経毒に対する抗体が含まれていた。生物活性試験では、17の血清の内の12は中和抗体を含有していることが判った(表2)。
【0029】
表1:BOTOX(R) で治療した家兎からの血清試料(1:100で希釈)の測定は酵素免疫分析で行なった。OD490nm >0.1が示されている。全てのOD値は予備免疫血清のOD値で補正してある(OD約:0.150):
【0030】
【表1】

【0031】
* この値は予備免疫血清が存在しなかったので補正してない。
【0032】
“−”は光学密度(OD490 )<0.1を意味する。
【0033】
表2:マウス−半隔膜検定(検出限界:0.35mU/mL(抗体))でBOTOX(R) を投与した家兎の血清によって中和(最初の免疫化の11週間後)
【0034】
【表2】

【0035】
n.d: 未測定
実施例5:市販品および純粋な神経毒を用いての抗原性試験
神経毒および血球凝集素および非毒性の非血球凝集性蛋白質よりなる複合体が中和抗体の形成を引き起こすにも係わらず、純粋の神経毒(A型)の免疫的効果を試験した。この目的のために8匹の家兎を毒素複合体で治療しそして12匹の家兎を純粋の毒素で治療した。上述の方法(実施例1参照)に従って25Uのそれぞれの製剤を皮内投与した。重量として測定した神経毒の量は2つの製剤中で、ELISAで検出されたのと同じであった(200pg/投与量)。BOTOX(R) は追加的に複合体蛋白質(約800pg/投与量)を含有している。
【0036】
BOTOX(R) で治療した家兎8匹の内の4匹はELISAで抗体価を示し、一方、純粋な神経毒で治療した12匹の家兎では純粋な神経毒に対しての抗体が検出できなかった。この結果は生物活性試験で確認された。4匹の家兎全てが毒作用を抑制する中和抗体価を有していた(表3)。
【0037】
表3:マウス−半隔膜分析(検出限界:1mU/mL(抗体))でBOTOX(R) を投与した家兎(最初の免疫化の11週間後)血清(1:3希釈)によって中和
【0038】
【表3】

【0039】
実施例6:比較例
この実験ではBOTOX(R) による抗体形成を、DYSPORT(R) によるそれと比較した。この目的のために10匹の家兎をBOTOX(R) (グループ1)、DYSPORT(R) (グループ2)または純粋な神経毒(グループ3)で上述の通り治療する。
【0040】
グループ1および2では家兎の50%より多くが中和抗体価を形成するが、グループ3の家兎の血清は抗体を含有していなかった。
【0041】
実施例7:臨床試験
痙性斜頸のために5年以上にわたってBOTOX(R) で治療した患者(年齢45才)は3mM/mLの血清の抗体価を示した。BOTOX(R) もDYSPORT(R) もこの患者の場合には治療効果が無かった。最後に注射したBOTOX(R) の投与量に等しい145Uの投与量の純粋のボツリヌス神経毒での治療試験では、72時間の間に筋肉の弛緩、頭部保持の正常化および筋肉痛の鎮静がもたらされた。不所望の作用は発生しなかった。
【0042】
実施例8:臨床試験
患者(年齢52才)を大脳マヒ(Cerebralparesee) のためにBOTOX(R) で3年間治療した。彼は1mU/mL(血清)の抗体価を示し、それ故に治療は中断しなければならなかった。200Uの純粋神経毒の注射は有効な治療を可能とした。
【0043】
文献
DasGupta, B.R. & Sathyamoorthy, V.(1984)、A 型ボツリヌス神経毒の精製およびアミノ酸組成物; Toxicon 22(3) 、p. 415-424
De Jongh, K.S.,Schwartkoff, C.L.& Howden, M.E.H. (1989) 、 D型ボツリヌス菌神経毒の精製および検出;Toxicon 27(2),p.221-228
Schmidt, J.J.&Siegel, L.S.(1986)、高性能イオン交換クトマトグラフィによるE 型ボツリヌス神経毒の精製; Analyt. Biochemistry 156, p.213-219
Nukina, M.,Mochida,Y.,Sakaguchi,S & Sakaguchi,G.(1988),G型ボツリヌス菌プロゲニトア- 毒素の精製; Zbl.Bakt.Hyg.A 268, p 220-227
Terajima, J.,Syuto,B.,Ochanda,J.O.& Kubo,S.(1985) 、C 型ボツリヌス菌6813により生産された神経毒の精製および特徴; Infection and Immunity 48 (2),p 312-317
Wadsworth, J.D.F., Desai,M.,Tranter,H.S.等(1990)、F 型ボツリヌス神経毒: Largescale Purification and Characterization of its Binding to Rat Cerebrocortical Synaptosomes; Biochem.J.269, p.123-128

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A、B、C、D、E、FまたはG型のボツリヌス菌のボツリヌス神経毒またはこれらの神経毒の2種以上の混合物の使用方法において、美容治療のため、またはボツリヌス神経毒複合体に対して既に中和抗体を有する動物または人の患者の神経系のジストニーまたは疾病の治療のための薬剤を製造するために、該神経毒あるいは神経毒の混合物が、これらボツリヌス神経毒と複合体を自然に形成する複合体化性蛋白質を含有していないことを特徴とする、上記方法。
【請求項2】
被治療者がAまたはB型のボツリヌス菌の神経毒複合体あるいはAおよびB型のボツリヌス菌の神経毒複合体に対して既に中和抗体を持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
美容治療を発汗過多症の治療のために行なう請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
美容治療を皺襞形成の治療のために行なう請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
美容治療を顔面の皺襞形成の治療のために行なう請求項4に記載の方法。
【請求項6】
神経系あるいはジストニーの疾病が痙性斜頸および眼瞼痙攣、尖足、反側顔面痙縮、片頭痛、腰痛、頸部症候群または過流涎のような痙攣である請求項1または2に記載の方法。

【公開番号】特開2007−238627(P2007−238627A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130686(P2007−130686)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【分割の表示】特願2001−501237(P2001−501237)の分割
【原出願日】平成12年5月26日(2000.5.26)
【出願人】(397045220)メルツ・ファルマ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト・アウフ・アクティーン (31)
【Fターム(参考)】