ボトム衣類および水着
【課題】着用するとき、前面部と後面部とをきれいに合わせることが容易にできるボトム衣類および水着を提供する。
【解決手段】本発明のボトム衣類１は、着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部２０と、着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部３０とを有し、前面部２０と後面部３０とは、両側側面連結部４と股５とで連結しており、前面部２０と後面部３０とが両側側面連結部４で連結している２つの側面連結部４は、ウエスト口２側において前面部２０と後面部３０とが開閉自在であるウエスト口側開閉部６と、脚口３側において前面部２０と後面部３０とが開閉自在である脚口側開閉部７と、ウエスト口側開閉部６と脚口側開閉部７との間で前面部２０と後面部３０とが開閉不可である固定部８とをそれぞれ有し、それぞれのウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７において、前面部２０と後面部３０とが重なっており、接着および剥離して開閉できる。
【解決手段】本発明のボトム衣類１は、着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部２０と、着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部３０とを有し、前面部２０と後面部３０とは、両側側面連結部４と股５とで連結しており、前面部２０と後面部３０とが両側側面連結部４で連結している２つの側面連結部４は、ウエスト口２側において前面部２０と後面部３０とが開閉自在であるウエスト口側開閉部６と、脚口３側において前面部２０と後面部３０とが開閉自在である脚口側開閉部７と、ウエスト口側開閉部６と脚口側開閉部７との間で前面部２０と後面部３０とが開閉不可である固定部８とをそれぞれ有し、それぞれのウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７において、前面部２０と後面部３０とが重なっており、接着および剥離して開閉できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、容易に着脱できるボトム衣類、とくに水着に関する。
【背景技術】
【０００２】
ボトム衣類には、着用者の腰を通すウエスト口および着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口が備えられている。通常のボトム衣類では、肢体の不自由な人や高齢者が自分でボトム衣類を着用することが、または介添人が肢体の不自由な人や高齢者にボトム衣類を着用させることが難しい場合がある。そこで、肢体の不自由な人や高齢者が自分でボトム衣類を容易に着用できるようにした、または介添人が肢体の不自由な人や高齢者にボトム衣類を着用させることが容易にできるようにした、種々の衣類が従来から販売されている。たとえば、パンツの左右両脇が、上から下にわたって切り離されて前面部と後面部とに分かれており、該両部が内股部で縫合されていて、前面部と後面部との各左右両端には,接着テープが横または縦の方向にそれぞれ対になって、前面部と後面部との１部が互いに接合できるように設けられているパンツが従来技術として知られている（たとえば、特許文献１）。
【０００３】
特許文献１に記載のパンツでは、パンツの両脇が上から下にわたって切り離されており、前面部と後面部とに分かれている部分から脚を入れた後、接着テープで前面部と後面部とをつなぎ合わせることによって、パンツを容易にはく、またははかせることができるようになっている。また、接着テープを外すことによってパンツを容易に脱ぐ、または脱がせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】実用新案出願公開昭６２−１７４５２２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１に記載されているような従来の着用容易なパンツでは、パンツ着用のために前面部と後面部とをつなぎ合わせるとき、前面部のウエスト口側から臀部付近にかけての端部および側面と後面のウエスト口側から臀部付近にかけての端部および側面とをきれいに合わせることが難しい場合がある。伸縮性を有した素材を使ったパンツの場合、引っ張った生地が元に戻ろうとするため、きれいに合わせることがとくに難しい場合がある。また、接着テープで前面部と後面部とを接着テープを使用してつなぎ合わせたとき、つなぎ合わせた部分が蛇行してしまい、見た目が悪くなる場合がある。とくに、伸縮性を有した素材を使ったパンツの場合、引っ張った生地が元に戻ろうとするため、つなぎ合わせる部分を蛇行させないで、前面部と後面部とをつなぎ合わせることがとくに難しい。
【０００６】
本発明の課題は、前面部と後面部とをきれいに合わせて容易に着脱できるボトム衣類、とくに水着を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明は、着用者の腰を通すウエスト口と着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口とを備えたボトム衣類であって、着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部と、着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部とを有し、前面部と後面部とは、ボトム衣類の両側部と股とで連結しており、前面部と後面部とが両側部で連結している２つの連結部は、該連結部のウエスト口側において前面部と後面部とが開閉自在であるウエスト口側開閉部と、該連結部の脚口側において前面部と後面部とが開閉自在である脚口側開閉部と、該ウエスト口側開閉部と該脚口側開閉部との間で前面部と後面部とが開閉不可である固定部とをそれぞれ有し、それぞれのウエスト口側開閉部および脚口側開閉部において、前面部と後面部とが重なっており、前面部と後面部とが重なっている部分が接着および剥離して開閉でき、ウエスト口側開閉部および脚口側開閉部に、面ファスナが設けられ、面ファスナが、着用者の腰部および大腿部の大きさに応じて調整可能である。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、前面部と後面部とをきれいに合わせて容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】図１は、本発明の一実施形態における水着の正面図である。
【図２】図２は、本発明の一実施形態における水着の斜視図である。
【図３】図３は、本発明の一実施形態における水着のウエスト口側開閉部を説明するための図である。
【図４】図４は、本発明の一実施形態における水着のウエスト口側開閉部を説明するための図である。
【図５】図５は、本発明の一実施形態における水着の脚口側開閉部を説明するための図である。
【図６】図６は、本発明の一実施形態における水着の着用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
図１〜５を参照して、本発明の一実施形態における水着１を説明する。この水着１は、着用者の少なくとも下腹部、臀部および大腿部を覆う水着であり、肢体の不自由な人や高齢者が自分で容易に着脱できるような、または介添人が肢体の不自由な人や高齢者にボトム衣類を容易に着脱させることができるような構成を有している。
【００１１】
水着１は、着用者の腰を通すウエスト口２および着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口３を備え、着用者の前面、すなわち着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部２０と、着用者の背面、すなわち着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部３０とを有する。前面部２０と後面部３０とは、両側部４と股５とで連結している。前面部２０および後面部３０の素材は、ポリエステルやナイロンなどにポリウレタンなどを混合させた伸縮性を有する素材や、編み方により伸縮性を有するようにした素材などであることが好ましい。
【００１２】
水着１の両側部４で前面部２０と後面部３０とが連結している連結部４のうち、ウエスト口２側の部分６と脚口３側の部分７とでは、前面部２０と後面部３０とが開閉自在である。水着１のウエスト口２側の開閉自在な部分６を以下、ウエスト口側開閉部６と呼び、水着１の脚口３側の開閉自在な部分７を以下、脚口側開閉部７と呼ぶ。ウエスト口側開閉部６と脚口側開閉部７との間の部分は、前面部２０と後面部３０とが開放不可に連結している。開放不可に連結しているこの部分を以下、固定部８と呼ぶ。また、ウエスト口側開閉部６と固定部８との境界である固定部８のウエスト口２側の端を以下、固定部上端９と呼び、脚口側開閉部７と固定部８との境界である固定部８の脚口３側の端を以下、固定部下端１０と呼ぶ。
【００１３】
固定部上端９は、好ましくは、臀部突出点１１（臀部における背面側にもっとも突出している位置）よりもウエスト口２側に寄った位置にあり、より好ましくは、臀部突出点１１から３〜５ｃｍウエスト口２側に寄った位置にある。固定部上端９が、臀部突出点１１から５ｃｍよりも大きくウエスト口２側に寄っている場合、着用者の腹部および臀部の凹凸に水着１を合わせることができないおそれがある。また、固定部上端９が、臀部突出点１１よりも脚口３側に寄っている場合、すなわち、臀部突出点１１よりも下側にある場合、水着１を着用するとき、ウエスト口側開閉部６がうまく閉まらないおそれがある。
【００１４】
固定部下端１０は、好ましくは、大腿前部突出点１２（大腿部の大腿二頭筋のもっとも前側に突出している位置）よりも脚口３側に寄った位置にあり、より好ましくは、大腿前部突出点１２から０〜５ｃｍ脚口３側に寄った位置にある。固定部下端１０が、大腿前部突出点１２から５ｃｍよりも大きく脚口３側に寄っている場合、着用者の左右大腿部それぞれの凹凸に水着１を合わせられないおそれがある。また、固定部下端１０が、臀部突出点１１よりもウエスト口２側に寄っている場合、すなわち、臀部突出点１１よりも上側にある場合、水着１を着用するとき、脚口側開閉部７がうまく閉まらないおそれがある。
【００１５】
ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７では、前面部２０の上に後面部３０が重なっている。図３に示すように、ウエスト口側開閉部６の後面部３０と重なる前面部２０の領域の外側の面には、上前面側接着部２１が設けられ、ウエスト口側開閉部６の前面部２０と重なる後面部３０の領域の内側（着用者側）の面には、上後面側接着部３１が設けられている。上前面側接着部２１および上後面側接着部３１は、接着および剥離が可能である面ファスナからなる。これにより、ウエスト口２で着用者にフィットするように着用者の腰の大きさに応じて水着１のウエスト口２の大きさを調整することができる。なお、前面部２０と後面部３０とが重なっている部分を接着および剥離可能にすることができれば、当該手段は面ファスナに限定されない。
【００１６】
上前面側接着部２１の胴周り方向の幅は、ウエスト口２から脚口３の方向に進むにしたがって小さくなるのが好ましい。これにより、ウエスト口２の大きさを調節できる調節量を確保しながら、上前面側接着部２１の大きさを小さくすることができ、着用者の水着１の着心地を良好にすることができる。上後面側接着部３１は、ウエスト口２から脚口３の方向に延びる矩形形状を有することが好ましい。
【００１７】
上面側接着部２１の素材は、羽毛もしくは輪奈を折り出したストレッチ性を有する生地であることが好ましい。これにより、上前面側接着部２１は、面ファスナとしての機能を有するとともに、柔らかく、ストレッチ性を有する。したがって、着用者の水着１の着心地を良好にすることができる。
【００１８】
なお、ウエスト口側開閉部６の後面部３０と重なる前面部２０の領域の内側の面に、上前面側接着部２１を設け、ウエスト口側開閉部６の前面部２０と重なる後面部３０の領域の外側の面に、上後面側接着部３１を設けてもよい。この場合、ウエスト口側開閉部６では、後面部３０の上に前面部２０が重なる。この場合は、上後面側接着部３１の胴周り方向の幅は、ウエスト口２から脚口３の方向に進むにしたがって小さくなるのが好ましく、上前面側接着部２１は、ウエスト口２から脚口３の方向に延びる矩形形状を有することが好ましい。また、この場合は、上後面側接着部３１の素材が、羽毛もしくは輪奈を折り出したストレッチ性を有する生地であることが好ましい。
【００１９】
図３に示す実施形態では、ウエスト口側開閉部６の前面部２０の外側の面のうち、ウエスト口２近傍に、２つのスナップ４１が胴周り方向に並んで設けられている。なお、胴周り方向に並んで設けるスナップ４１の数は２つに限定されず、３つ以上にしてもよい。また、ウエスト口２側の前面部２０と開閉自在に重なる後面部３０の領域の内側の面のうち、ウエスト口２近傍に、スナップ４２が設けられている。なお、ウエスト口２近傍に設ける連結具はスナップ４１，４２に限定されず、スナップ、ホック、トッグル、ボタンおよびボタンホール、紐および紐用ループならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも１つの連結具を設けてもよい。
【００２０】
着用中に、ウエスト口側開閉部６が開放されると、着用者から水着１が脱げてしまうおそれがあるので、面ファスナに比べて、前面部２０と後面部３０とを強固に連結させることができるスナップ４１，４２などの連結具をウエスト口２近傍に設けるのは好ましい。しかし、面ファスナのみで、前面部２０と後面部３０とを十分強固に連結させることができれば、ウエスト口側開閉部６にスナップ４１，４２などの連結具を設けなくてもよい。
【００２１】
水着を着用する場合、図３に示すようにウエスト口側開閉部６を開放して水着１を着用した後、図４に示すように着用者の腰にウエスト口２がフィットする位置にある前面部２０のスナップを後面部３０のスナップ４２と嵌合させ、上後面側接着部を上前面側接着部２１に接着させる。これにより、スナップ４２と固定部上端９との間に、前面部２０と後面部３０との間の隙間が生じるのを抑制することができる。また、固定部８により、前面部２０は、後面部３０に対して水着１の縦方向（ウエスト口２から脚口３の方向）にずれることができないので、図４に示すように、前面部２０のウエスト口２側の端部１３の位置と後面部３０のウエスト口２側の端部１４の位置とを容易にほぼ一致させることができる。すなわち、前面部２０のウエスト口２側の端部１３と後面部３０のウエスト口２側の端部１４とをきれいに合わせることができる。
【００２２】
図５に示すように、脚口側開閉部７の後面部３０と重なる前面部２０の領域の外側の面には、下前面側接着部２２が設けられ、脚口側開閉部７の前面部２０と重なる後面部３０の領域の内側（着用者側）の面には、下後面側接着部３２が設けられている。下前面側接着部２２および下後面側接着部３２は、接着および剥離できる面ファスナからなる。なお、前面部２０と後面部３０とが重なっている部分を接着および剥離可能にすることができれば、接着および剥離手段は面ファスナに限定されない。
【００２３】
下前面側接着部２２の胴周り方向の幅は、脚口３からウエスト口２の方向に進むにしたがって小さくなるのが好ましい。これにより、脚口３の大きさを調節できる調節量を確保しながら、下前面側接着部２２の大きさを小さくすることができ、着用者の水着１の着心地を良好にすることができる。上後面側接着部３２は、脚口３からウエスト口２の方向に延びる矩形形状を有することが好ましい。
【００２４】
下前面側接着部２２の素材は、羽毛もしくは輪奈を折り出したストレッチ性を有する生地であることが好ましい。これにより、下前面側接着部２２は、面ファスナとしての機能を有するとともに、柔らかく、ストレッチ性を有する。したがって、着用者の水着１の着心地を良好にすることができる。
【００２５】
なお、脚口側開閉部７の後面部３０と重なる前面部２０の領域の内側の面に、下前面側接着部２２を設け、脚口側開閉部７の前面部２０と開閉自在に重なる後面部３０の領域の外側の面に、下後面側接着部３２を設けてもよい。この場合、脚口側開閉部７では、後面部３０の上に前面部２０が重なる。この場合は、上後面側接着部３２の胴周り方向の幅は、脚口３からウエスト口２の方向に進むにしたがって小さくなるのが好ましく、下前面側接着部２２は、脚口３からウエスト口２の方向に延びる矩形形状を有することが好ましい。また、この場合は、上後面側接着部３２の素材が、羽毛もしくは輪奈を折り出したストレッチ性を有する生地であることが好ましい。
【００２６】
ウエスト口側開閉部６と同様に、脚口側開閉部７にもスナップなどの連結具を設けてもよい。しかし、着用中に、脚口側開閉部７が開放されても、着用者から水着１が脱げてしまうおそれはないので、脚口側開閉部７にもスナップなどの連結具を必ずしも設けてなくてもよい。
【００２７】
固定部８では、もともと前面部２０と後面部３０とが連結されているので、ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７を閉じるとき、後面部３０における臀部の外周方向側にある辺１５が蛇行することは少ない。また、水着１の縦方向の長さに比べて、ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７の縦方向の長さは短いので、ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７の面ファスナを閉じるとき、後面部３０における臀部の外周方向側にある辺１５が蛇行してしまうことが少ない。
【００２８】
次に、介添人が使用者に水着１を着用させる場合の本発明の一実施形態における水着１の着用方法の一例について説明する。
まず、図６に示すように、介添人は、水着１の両側部のウエスト口側開閉部６を開いて前面部２０のウエスト口２側の部分を手前に折り返し、さらに後面部３０のウエスト口２側の部分を後方に折り返す。次に、図６に示すように、両脚の脚口側開閉部７を開いて、前面部２０および後面部３０の脚口３側の部分をウエスト口２側に折り返す。そして、介添人は、折り返されているウエスト口２に使用者の脚を通し、さらに、折り返されている脚口３に使用者の脚を通す。また、介添人は、使用者の腰を折り返されているウエスト口２に通す。ウエスト口２は、ウエスト口側開閉部６を開いて折り返されているので、大きく開いている。また、脚口３も脚口側開閉部７を開いてから折り返しているので、大きく開いている。したがって、介添人は、使用者の腰をウエスト口２に容易に通すことができ、使用者の脚を脚口３に容易に通すことができる。
【００２９】
その後、手前に折り返してある前面部２０のウエスト口側の部分を元に戻して、使用者の腰に水着のウエスト口２がフィットするように、ウエスト口側開閉部６を閉じる。また、折り返されている前面部２０および後面部３０の脚口３側の部分を元に戻して、使用者の脚に水着の脚口３がフィットするように、脚口側開閉部７を閉じる。そして、使用者の水着１の着用が完了する。このようにして、本発明の一実施形態における水着１は、使用者に容易に着用させることができる。
【００３０】
なお、着用者から水着１を脱がす場合は、水着１の両側面連結部４のウエスト口側開閉部６を開いて前面部２０のウエスト口２側の部分を手前に折り返し、後面部３０のウエスト口２側の部分を後方に折り返す。次に、両脚の脚口側開閉部７を開いて、前面部２０および後面部３０の脚口３側の部分をウエスト口２側に折り返してから脱がすようにするのが好ましい。なぜならば、ウエスト口側開閉部６を開いてウエスト口２を折り返すことによって、ウエスト口２を大きく開くことができ、脚口側開閉部７を開いて脚口３を折り返すことによって脚口３を大きく開くことができるからである。すなわち、本発明の一実施形態における水着は、着用者から容易に脱がすこともできる。
【００３１】
以上の一実施形態による水着１は、次のような作用効果を奏する。
（１）着用者の腰を通すウエスト口２と着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口３とを備えた水着１であって、着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部２０と、着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部３０とを有し、前面部２０と後面部３０とは、水着１の両側面連結部４と股５とで連結しており、前面部２０と後面部３０とが両側面連結部４で連結している２つの側面連結部４は、側面連結部４のウエスト口２側において前面部２０と後面部３０とが開閉自在であるウエスト口側開閉部６と、側面連結部４の脚口側３において前面部２０と後面部３０とが開閉自在である脚口側開閉部７と、ウエスト口側開閉部６と該脚口側開閉部７との間で前面部２０と後面部３０とが開閉不可である固定部８とをそれぞれ有し、それぞれのウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７において、前面部２０と後面部３０とが重なっており、前面部２０と後面部３０とが重なっている部分が接着および剥離して開閉できるようにした。これにより、前面部２０と後面部３０とをきれいに合わせて容易に着脱できる。
【００３２】
肢体の不自由な人の中には、一方の足に比べて他方の足の障害が大きいため、左右の足の太さが異なってしまう場合がある。本発明の一実施形態の水着１は、左右の脚口側開閉部７について、それぞれ前面部２０と後面部３０とが着脱可能に重なるようにしてあるので、左右の脚口２の大きさを独立して調節することができる。したがって、一実施形態の水着１によれば、左右の足の太さの異なる肢体の不自由な人の左右の足に、それぞれの脚口２をフィットさせることができる。すなわち、左右の足の太さの異なる人の足にフィットした水着が今までなかったが、本発明の一実施形態における水着１は、左右の足の太さの異なる人の左右の足にそれぞれフィットした水着を提供することができる。
【００３３】
水着は、めくれないようにするために着用者の体に密着しているので、水着が上述の特許文献１に記載されているように左右両側部が上から下にわたって切り離されて前面部と後面部とに分かれている場合、前面部と後面部とをきれいに合わせることがさらに難しくなる。したがって、ボトム衣類が水着の場合、上記形態の構成による効果がとくに大きくなる。
【００３４】
また、水着の場合、着用者の体型にフィットさせる必要がある。本発明の一実施形態の水着１は、ウエスト口側開閉部６と脚口側開閉部７とでは、前面部２０と後面部３０とが着脱可能に重なるようにしてある。したがって、前面部２０と後面部３０との重なり具合を適宜調整することによって、着用者の腹部や臀部の凹凸および着用者の大腿部の凹凸に水着１を合わせることができ、着用者の体型に水着をフィットさせることができる。この点からも、ボトム衣類が水着の場合、上記形態の構成による効果がとくに大きくなる。
【００３５】
さらに、水着の場合、水着が濡れると肌に張り付いて、脱ぎ難いもしくは脱がせ難くなる。しかし、本発明によれば、ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７を開くことによって、水着が濡れると肌に張り付いている場合でも、水着を脱ぎやすくもしくは脱がせやすくすることができる。この点からもボトム衣類が水着の場合、上記形態の構成による効果がとくに大きくなる。
【００３６】
（２）ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７に、面ファスナが設けられているようにした。これにより、前面部２０と後面部３０との重なり具合を適宜調整して、面ファスナを接着させることによって、ウエスト口２および脚口３の大きさを着用者の腰および脚に適切に合わせることができる。すなわち、面ファスナにより着用者の腰部および大腿部の大きさに応じてウエスト口２および脚口３の大きさが調整可能となる。
【００３７】
（３）ウエスト口側開閉部６には、スナップ、ホック、トッグル、ボタンおよびボタンホール、紐および紐用ループならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも１つの連結具がさらに設けられるようにした。これにより、水着１のウエスト口２が、何か別のものに引っかかって開いてしまうのを防止することができる。水着１のウエスト口２が開くと水着１が脱げてしまうおそれがある。
【００３８】
（４）前面部２０および後面部３０が伸縮性を有する素材からなるようにした。伸縮性を有する素材で構成されたボトム衣類の場合に、前面部と後面部とをきれいに合わせることが難しいので、本発明の一実施形態における水着１のようにボトム衣類が伸縮性を有する素材からなる場合、本発明の一実施形態による効果がとくに大きい。すなわち、本発明は、伸縮性を有する素材で作られたボトム衣類に好適である。
【００３９】
（５）固定部上端９がウエスト口２側に向かい臀部突出点１１より上にあるようにした。これにより、使用者は、使用者の腰周りのもっとも太い部分である下腹部および臀部の外周に合った水着を選択するだけで、使用者の腰および足にフィットした水着を選択することができる。すなわち、従来は、体型にフィットした水着を選択するためには、下腹部および臀部の外周のみならず、腰の太さや足の太さを考慮に入れて水着を選択しなければならなかったが、本発明の一実施形態における水着１では、下腹部および臀部の外周のみを考慮すれば、体型にフィットした水着を選択することができる。
【００４０】
（６）固定部上端９がウエスト口２側に向かい臀部突出点１１より３〜５ｃｍ上にあるようにした。これにより、ウエスト口側開閉部６を適切に閉鎖することによって、着用者の腹部および臀部の凹凸に水着１を合わせることができる。
【００４１】
本発明のボトム衣類は、水着に限定されるものではない。本発明のボトム衣類は、たとえば、セパレートタイプの水着の下衣などの水着における他の形態をはじめ、パンツ、パンティ、ストッキング、ガードル、ショーツ、ボディスーツ、スパッツ、ブリーフ、トランクスなどを含む。また、本発明のボトム衣類は、女性用であるか男性用であるか、インナー用であるかアウター用であるかなどについて限定されない。
【００４２】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態の構成になんら限定されるものではない。
【符号の説明】
【００４３】
１ 水着
２ ウエスト口
３ 脚口
４ 側面連結部
５ 股
６ ウエスト口側開閉部
７ 脚口側開閉部
８ 固定部
９ 固定部上端
１０ 固定部下端
１１ 臀部突出点
１２ 大腿前部突出点
１３，１４ 端部
１５ 後面部における臀部の外周方向側にある辺
２０ 前面部
２１ 上前面側接着部
２２ 下前面側接着部
３０ 後面部
３１ 上後面側接着部
３２ 下後面側接着部
４１，４２ スナップ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、容易に着脱できるボトム衣類、とくに水着に関する。
【背景技術】
【０００２】
ボトム衣類には、着用者の腰を通すウエスト口および着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口が備えられている。通常のボトム衣類では、肢体の不自由な人や高齢者が自分でボトム衣類を着用することが、または介添人が肢体の不自由な人や高齢者にボトム衣類を着用させることが難しい場合がある。そこで、肢体の不自由な人や高齢者が自分でボトム衣類を容易に着用できるようにした、または介添人が肢体の不自由な人や高齢者にボトム衣類を着用させることが容易にできるようにした、種々の衣類が従来から販売されている。たとえば、パンツの左右両脇が、上から下にわたって切り離されて前面部と後面部とに分かれており、該両部が内股部で縫合されていて、前面部と後面部との各左右両端には,接着テープが横または縦の方向にそれぞれ対になって、前面部と後面部との１部が互いに接合できるように設けられているパンツが従来技術として知られている（たとえば、特許文献１）。
【０００３】
特許文献１に記載のパンツでは、パンツの両脇が上から下にわたって切り離されており、前面部と後面部とに分かれている部分から脚を入れた後、接着テープで前面部と後面部とをつなぎ合わせることによって、パンツを容易にはく、またははかせることができるようになっている。また、接着テープを外すことによってパンツを容易に脱ぐ、または脱がせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】実用新案出願公開昭６２−１７４５２２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、特許文献１に記載されているような従来の着用容易なパンツでは、パンツ着用のために前面部と後面部とをつなぎ合わせるとき、前面部のウエスト口側から臀部付近にかけての端部および側面と後面のウエスト口側から臀部付近にかけての端部および側面とをきれいに合わせることが難しい場合がある。伸縮性を有した素材を使ったパンツの場合、引っ張った生地が元に戻ろうとするため、きれいに合わせることがとくに難しい場合がある。また、接着テープで前面部と後面部とを接着テープを使用してつなぎ合わせたとき、つなぎ合わせた部分が蛇行してしまい、見た目が悪くなる場合がある。とくに、伸縮性を有した素材を使ったパンツの場合、引っ張った生地が元に戻ろうとするため、つなぎ合わせる部分を蛇行させないで、前面部と後面部とをつなぎ合わせることがとくに難しい。
【０００６】
本発明の課題は、前面部と後面部とをきれいに合わせて容易に着脱できるボトム衣類、とくに水着を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を採用した。
すなわち、本発明は、着用者の腰を通すウエスト口と着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口とを備えたボトム衣類であって、着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部と、着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部とを有し、前面部と後面部とは、ボトム衣類の両側部と股とで連結しており、前面部と後面部とが両側部で連結している２つの連結部は、該連結部のウエスト口側において前面部と後面部とが開閉自在であるウエスト口側開閉部と、該連結部の脚口側において前面部と後面部とが開閉自在である脚口側開閉部と、該ウエスト口側開閉部と該脚口側開閉部との間で前面部と後面部とが開閉不可である固定部とをそれぞれ有し、それぞれのウエスト口側開閉部および脚口側開閉部において、前面部と後面部とが重なっており、前面部と後面部とが重なっている部分が接着および剥離して開閉でき、ウエスト口側開閉部および脚口側開閉部に、面ファスナが設けられ、面ファスナが、着用者の腰部および大腿部の大きさに応じて調整可能である。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、前面部と後面部とをきれいに合わせて容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【０００９】
【図１】図１は、本発明の一実施形態における水着の正面図である。
【図２】図２は、本発明の一実施形態における水着の斜視図である。
【図３】図３は、本発明の一実施形態における水着のウエスト口側開閉部を説明するための図である。
【図４】図４は、本発明の一実施形態における水着のウエスト口側開閉部を説明するための図である。
【図５】図５は、本発明の一実施形態における水着の脚口側開閉部を説明するための図である。
【図６】図６は、本発明の一実施形態における水着の着用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【００１０】
図１〜５を参照して、本発明の一実施形態における水着１を説明する。この水着１は、着用者の少なくとも下腹部、臀部および大腿部を覆う水着であり、肢体の不自由な人や高齢者が自分で容易に着脱できるような、または介添人が肢体の不自由な人や高齢者にボトム衣類を容易に着脱させることができるような構成を有している。
【００１１】
水着１は、着用者の腰を通すウエスト口２および着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口３を備え、着用者の前面、すなわち着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部２０と、着用者の背面、すなわち着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部３０とを有する。前面部２０と後面部３０とは、両側部４と股５とで連結している。前面部２０および後面部３０の素材は、ポリエステルやナイロンなどにポリウレタンなどを混合させた伸縮性を有する素材や、編み方により伸縮性を有するようにした素材などであることが好ましい。
【００１２】
水着１の両側部４で前面部２０と後面部３０とが連結している連結部４のうち、ウエスト口２側の部分６と脚口３側の部分７とでは、前面部２０と後面部３０とが開閉自在である。水着１のウエスト口２側の開閉自在な部分６を以下、ウエスト口側開閉部６と呼び、水着１の脚口３側の開閉自在な部分７を以下、脚口側開閉部７と呼ぶ。ウエスト口側開閉部６と脚口側開閉部７との間の部分は、前面部２０と後面部３０とが開放不可に連結している。開放不可に連結しているこの部分を以下、固定部８と呼ぶ。また、ウエスト口側開閉部６と固定部８との境界である固定部８のウエスト口２側の端を以下、固定部上端９と呼び、脚口側開閉部７と固定部８との境界である固定部８の脚口３側の端を以下、固定部下端１０と呼ぶ。
【００１３】
固定部上端９は、好ましくは、臀部突出点１１（臀部における背面側にもっとも突出している位置）よりもウエスト口２側に寄った位置にあり、より好ましくは、臀部突出点１１から３〜５ｃｍウエスト口２側に寄った位置にある。固定部上端９が、臀部突出点１１から５ｃｍよりも大きくウエスト口２側に寄っている場合、着用者の腹部および臀部の凹凸に水着１を合わせることができないおそれがある。また、固定部上端９が、臀部突出点１１よりも脚口３側に寄っている場合、すなわち、臀部突出点１１よりも下側にある場合、水着１を着用するとき、ウエスト口側開閉部６がうまく閉まらないおそれがある。
【００１４】
固定部下端１０は、好ましくは、大腿前部突出点１２（大腿部の大腿二頭筋のもっとも前側に突出している位置）よりも脚口３側に寄った位置にあり、より好ましくは、大腿前部突出点１２から０〜５ｃｍ脚口３側に寄った位置にある。固定部下端１０が、大腿前部突出点１２から５ｃｍよりも大きく脚口３側に寄っている場合、着用者の左右大腿部それぞれの凹凸に水着１を合わせられないおそれがある。また、固定部下端１０が、臀部突出点１１よりもウエスト口２側に寄っている場合、すなわち、臀部突出点１１よりも上側にある場合、水着１を着用するとき、脚口側開閉部７がうまく閉まらないおそれがある。
【００１５】
ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７では、前面部２０の上に後面部３０が重なっている。図３に示すように、ウエスト口側開閉部６の後面部３０と重なる前面部２０の領域の外側の面には、上前面側接着部２１が設けられ、ウエスト口側開閉部６の前面部２０と重なる後面部３０の領域の内側（着用者側）の面には、上後面側接着部３１が設けられている。上前面側接着部２１および上後面側接着部３１は、接着および剥離が可能である面ファスナからなる。これにより、ウエスト口２で着用者にフィットするように着用者の腰の大きさに応じて水着１のウエスト口２の大きさを調整することができる。なお、前面部２０と後面部３０とが重なっている部分を接着および剥離可能にすることができれば、当該手段は面ファスナに限定されない。
【００１６】
上前面側接着部２１の胴周り方向の幅は、ウエスト口２から脚口３の方向に進むにしたがって小さくなるのが好ましい。これにより、ウエスト口２の大きさを調節できる調節量を確保しながら、上前面側接着部２１の大きさを小さくすることができ、着用者の水着１の着心地を良好にすることができる。上後面側接着部３１は、ウエスト口２から脚口３の方向に延びる矩形形状を有することが好ましい。
【００１７】
上面側接着部２１の素材は、羽毛もしくは輪奈を折り出したストレッチ性を有する生地であることが好ましい。これにより、上前面側接着部２１は、面ファスナとしての機能を有するとともに、柔らかく、ストレッチ性を有する。したがって、着用者の水着１の着心地を良好にすることができる。
【００１８】
なお、ウエスト口側開閉部６の後面部３０と重なる前面部２０の領域の内側の面に、上前面側接着部２１を設け、ウエスト口側開閉部６の前面部２０と重なる後面部３０の領域の外側の面に、上後面側接着部３１を設けてもよい。この場合、ウエスト口側開閉部６では、後面部３０の上に前面部２０が重なる。この場合は、上後面側接着部３１の胴周り方向の幅は、ウエスト口２から脚口３の方向に進むにしたがって小さくなるのが好ましく、上前面側接着部２１は、ウエスト口２から脚口３の方向に延びる矩形形状を有することが好ましい。また、この場合は、上後面側接着部３１の素材が、羽毛もしくは輪奈を折り出したストレッチ性を有する生地であることが好ましい。
【００１９】
図３に示す実施形態では、ウエスト口側開閉部６の前面部２０の外側の面のうち、ウエスト口２近傍に、２つのスナップ４１が胴周り方向に並んで設けられている。なお、胴周り方向に並んで設けるスナップ４１の数は２つに限定されず、３つ以上にしてもよい。また、ウエスト口２側の前面部２０と開閉自在に重なる後面部３０の領域の内側の面のうち、ウエスト口２近傍に、スナップ４２が設けられている。なお、ウエスト口２近傍に設ける連結具はスナップ４１，４２に限定されず、スナップ、ホック、トッグル、ボタンおよびボタンホール、紐および紐用ループならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも１つの連結具を設けてもよい。
【００２０】
着用中に、ウエスト口側開閉部６が開放されると、着用者から水着１が脱げてしまうおそれがあるので、面ファスナに比べて、前面部２０と後面部３０とを強固に連結させることができるスナップ４１，４２などの連結具をウエスト口２近傍に設けるのは好ましい。しかし、面ファスナのみで、前面部２０と後面部３０とを十分強固に連結させることができれば、ウエスト口側開閉部６にスナップ４１，４２などの連結具を設けなくてもよい。
【００２１】
水着を着用する場合、図３に示すようにウエスト口側開閉部６を開放して水着１を着用した後、図４に示すように着用者の腰にウエスト口２がフィットする位置にある前面部２０のスナップを後面部３０のスナップ４２と嵌合させ、上後面側接着部を上前面側接着部２１に接着させる。これにより、スナップ４２と固定部上端９との間に、前面部２０と後面部３０との間の隙間が生じるのを抑制することができる。また、固定部８により、前面部２０は、後面部３０に対して水着１の縦方向（ウエスト口２から脚口３の方向）にずれることができないので、図４に示すように、前面部２０のウエスト口２側の端部１３の位置と後面部３０のウエスト口２側の端部１４の位置とを容易にほぼ一致させることができる。すなわち、前面部２０のウエスト口２側の端部１３と後面部３０のウエスト口２側の端部１４とをきれいに合わせることができる。
【００２２】
図５に示すように、脚口側開閉部７の後面部３０と重なる前面部２０の領域の外側の面には、下前面側接着部２２が設けられ、脚口側開閉部７の前面部２０と重なる後面部３０の領域の内側（着用者側）の面には、下後面側接着部３２が設けられている。下前面側接着部２２および下後面側接着部３２は、接着および剥離できる面ファスナからなる。なお、前面部２０と後面部３０とが重なっている部分を接着および剥離可能にすることができれば、接着および剥離手段は面ファスナに限定されない。
【００２３】
下前面側接着部２２の胴周り方向の幅は、脚口３からウエスト口２の方向に進むにしたがって小さくなるのが好ましい。これにより、脚口３の大きさを調節できる調節量を確保しながら、下前面側接着部２２の大きさを小さくすることができ、着用者の水着１の着心地を良好にすることができる。上後面側接着部３２は、脚口３からウエスト口２の方向に延びる矩形形状を有することが好ましい。
【００２４】
下前面側接着部２２の素材は、羽毛もしくは輪奈を折り出したストレッチ性を有する生地であることが好ましい。これにより、下前面側接着部２２は、面ファスナとしての機能を有するとともに、柔らかく、ストレッチ性を有する。したがって、着用者の水着１の着心地を良好にすることができる。
【００２５】
なお、脚口側開閉部７の後面部３０と重なる前面部２０の領域の内側の面に、下前面側接着部２２を設け、脚口側開閉部７の前面部２０と開閉自在に重なる後面部３０の領域の外側の面に、下後面側接着部３２を設けてもよい。この場合、脚口側開閉部７では、後面部３０の上に前面部２０が重なる。この場合は、上後面側接着部３２の胴周り方向の幅は、脚口３からウエスト口２の方向に進むにしたがって小さくなるのが好ましく、下前面側接着部２２は、脚口３からウエスト口２の方向に延びる矩形形状を有することが好ましい。また、この場合は、上後面側接着部３２の素材が、羽毛もしくは輪奈を折り出したストレッチ性を有する生地であることが好ましい。
【００２６】
ウエスト口側開閉部６と同様に、脚口側開閉部７にもスナップなどの連結具を設けてもよい。しかし、着用中に、脚口側開閉部７が開放されても、着用者から水着１が脱げてしまうおそれはないので、脚口側開閉部７にもスナップなどの連結具を必ずしも設けてなくてもよい。
【００２７】
固定部８では、もともと前面部２０と後面部３０とが連結されているので、ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７を閉じるとき、後面部３０における臀部の外周方向側にある辺１５が蛇行することは少ない。また、水着１の縦方向の長さに比べて、ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７の縦方向の長さは短いので、ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７の面ファスナを閉じるとき、後面部３０における臀部の外周方向側にある辺１５が蛇行してしまうことが少ない。
【００２８】
次に、介添人が使用者に水着１を着用させる場合の本発明の一実施形態における水着１の着用方法の一例について説明する。
まず、図６に示すように、介添人は、水着１の両側部のウエスト口側開閉部６を開いて前面部２０のウエスト口２側の部分を手前に折り返し、さらに後面部３０のウエスト口２側の部分を後方に折り返す。次に、図６に示すように、両脚の脚口側開閉部７を開いて、前面部２０および後面部３０の脚口３側の部分をウエスト口２側に折り返す。そして、介添人は、折り返されているウエスト口２に使用者の脚を通し、さらに、折り返されている脚口３に使用者の脚を通す。また、介添人は、使用者の腰を折り返されているウエスト口２に通す。ウエスト口２は、ウエスト口側開閉部６を開いて折り返されているので、大きく開いている。また、脚口３も脚口側開閉部７を開いてから折り返しているので、大きく開いている。したがって、介添人は、使用者の腰をウエスト口２に容易に通すことができ、使用者の脚を脚口３に容易に通すことができる。
【００２９】
その後、手前に折り返してある前面部２０のウエスト口側の部分を元に戻して、使用者の腰に水着のウエスト口２がフィットするように、ウエスト口側開閉部６を閉じる。また、折り返されている前面部２０および後面部３０の脚口３側の部分を元に戻して、使用者の脚に水着の脚口３がフィットするように、脚口側開閉部７を閉じる。そして、使用者の水着１の着用が完了する。このようにして、本発明の一実施形態における水着１は、使用者に容易に着用させることができる。
【００３０】
なお、着用者から水着１を脱がす場合は、水着１の両側面連結部４のウエスト口側開閉部６を開いて前面部２０のウエスト口２側の部分を手前に折り返し、後面部３０のウエスト口２側の部分を後方に折り返す。次に、両脚の脚口側開閉部７を開いて、前面部２０および後面部３０の脚口３側の部分をウエスト口２側に折り返してから脱がすようにするのが好ましい。なぜならば、ウエスト口側開閉部６を開いてウエスト口２を折り返すことによって、ウエスト口２を大きく開くことができ、脚口側開閉部７を開いて脚口３を折り返すことによって脚口３を大きく開くことができるからである。すなわち、本発明の一実施形態における水着は、着用者から容易に脱がすこともできる。
【００３１】
以上の一実施形態による水着１は、次のような作用効果を奏する。
（１）着用者の腰を通すウエスト口２と着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口３とを備えた水着１であって、着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部２０と、着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部３０とを有し、前面部２０と後面部３０とは、水着１の両側面連結部４と股５とで連結しており、前面部２０と後面部３０とが両側面連結部４で連結している２つの側面連結部４は、側面連結部４のウエスト口２側において前面部２０と後面部３０とが開閉自在であるウエスト口側開閉部６と、側面連結部４の脚口側３において前面部２０と後面部３０とが開閉自在である脚口側開閉部７と、ウエスト口側開閉部６と該脚口側開閉部７との間で前面部２０と後面部３０とが開閉不可である固定部８とをそれぞれ有し、それぞれのウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７において、前面部２０と後面部３０とが重なっており、前面部２０と後面部３０とが重なっている部分が接着および剥離して開閉できるようにした。これにより、前面部２０と後面部３０とをきれいに合わせて容易に着脱できる。
【００３２】
肢体の不自由な人の中には、一方の足に比べて他方の足の障害が大きいため、左右の足の太さが異なってしまう場合がある。本発明の一実施形態の水着１は、左右の脚口側開閉部７について、それぞれ前面部２０と後面部３０とが着脱可能に重なるようにしてあるので、左右の脚口２の大きさを独立して調節することができる。したがって、一実施形態の水着１によれば、左右の足の太さの異なる肢体の不自由な人の左右の足に、それぞれの脚口２をフィットさせることができる。すなわち、左右の足の太さの異なる人の足にフィットした水着が今までなかったが、本発明の一実施形態における水着１は、左右の足の太さの異なる人の左右の足にそれぞれフィットした水着を提供することができる。
【００３３】
水着は、めくれないようにするために着用者の体に密着しているので、水着が上述の特許文献１に記載されているように左右両側部が上から下にわたって切り離されて前面部と後面部とに分かれている場合、前面部と後面部とをきれいに合わせることがさらに難しくなる。したがって、ボトム衣類が水着の場合、上記形態の構成による効果がとくに大きくなる。
【００３４】
また、水着の場合、着用者の体型にフィットさせる必要がある。本発明の一実施形態の水着１は、ウエスト口側開閉部６と脚口側開閉部７とでは、前面部２０と後面部３０とが着脱可能に重なるようにしてある。したがって、前面部２０と後面部３０との重なり具合を適宜調整することによって、着用者の腹部や臀部の凹凸および着用者の大腿部の凹凸に水着１を合わせることができ、着用者の体型に水着をフィットさせることができる。この点からも、ボトム衣類が水着の場合、上記形態の構成による効果がとくに大きくなる。
【００３５】
さらに、水着の場合、水着が濡れると肌に張り付いて、脱ぎ難いもしくは脱がせ難くなる。しかし、本発明によれば、ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７を開くことによって、水着が濡れると肌に張り付いている場合でも、水着を脱ぎやすくもしくは脱がせやすくすることができる。この点からもボトム衣類が水着の場合、上記形態の構成による効果がとくに大きくなる。
【００３６】
（２）ウエスト口側開閉部６および脚口側開閉部７に、面ファスナが設けられているようにした。これにより、前面部２０と後面部３０との重なり具合を適宜調整して、面ファスナを接着させることによって、ウエスト口２および脚口３の大きさを着用者の腰および脚に適切に合わせることができる。すなわち、面ファスナにより着用者の腰部および大腿部の大きさに応じてウエスト口２および脚口３の大きさが調整可能となる。
【００３７】
（３）ウエスト口側開閉部６には、スナップ、ホック、トッグル、ボタンおよびボタンホール、紐および紐用ループならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも１つの連結具がさらに設けられるようにした。これにより、水着１のウエスト口２が、何か別のものに引っかかって開いてしまうのを防止することができる。水着１のウエスト口２が開くと水着１が脱げてしまうおそれがある。
【００３８】
（４）前面部２０および後面部３０が伸縮性を有する素材からなるようにした。伸縮性を有する素材で構成されたボトム衣類の場合に、前面部と後面部とをきれいに合わせることが難しいので、本発明の一実施形態における水着１のようにボトム衣類が伸縮性を有する素材からなる場合、本発明の一実施形態による効果がとくに大きい。すなわち、本発明は、伸縮性を有する素材で作られたボトム衣類に好適である。
【００３９】
（５）固定部上端９がウエスト口２側に向かい臀部突出点１１より上にあるようにした。これにより、使用者は、使用者の腰周りのもっとも太い部分である下腹部および臀部の外周に合った水着を選択するだけで、使用者の腰および足にフィットした水着を選択することができる。すなわち、従来は、体型にフィットした水着を選択するためには、下腹部および臀部の外周のみならず、腰の太さや足の太さを考慮に入れて水着を選択しなければならなかったが、本発明の一実施形態における水着１では、下腹部および臀部の外周のみを考慮すれば、体型にフィットした水着を選択することができる。
【００４０】
（６）固定部上端９がウエスト口２側に向かい臀部突出点１１より３〜５ｃｍ上にあるようにした。これにより、ウエスト口側開閉部６を適切に閉鎖することによって、着用者の腹部および臀部の凹凸に水着１を合わせることができる。
【００４１】
本発明のボトム衣類は、水着に限定されるものではない。本発明のボトム衣類は、たとえば、セパレートタイプの水着の下衣などの水着における他の形態をはじめ、パンツ、パンティ、ストッキング、ガードル、ショーツ、ボディスーツ、スパッツ、ブリーフ、トランクスなどを含む。また、本発明のボトム衣類は、女性用であるか男性用であるか、インナー用であるかアウター用であるかなどについて限定されない。
【００４２】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態の構成になんら限定されるものではない。
【符号の説明】
【００４３】
１ 水着
２ ウエスト口
３ 脚口
４ 側面連結部
５ 股
６ ウエスト口側開閉部
７ 脚口側開閉部
８ 固定部
９ 固定部上端
１０ 固定部下端
１１ 臀部突出点
１２ 大腿前部突出点
１３，１４ 端部
１５ 後面部における臀部の外周方向側にある辺
２０ 前面部
２１ 上前面側接着部
２２ 下前面側接着部
３０ 後面部
３１ 上後面側接着部
３２ 下後面側接着部
４１，４２ スナップ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
着用者の腰を通すウエスト口と着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口とを備えたボトム衣類であって、
着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部と、着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部とを有し、
前記前面部と前記後面部とは、前記ボトム衣類の両側部と股とで連結しており、
前記前面部と前記後面部とが前記両側部で連結している２つの連結部は、該連結部の前記ウエスト口側で前記前面部と前記後面部とが開閉自在であるウエスト口側開閉部と、該連結部の前記脚口側で前記前面部と前記後面部とが開閉自在である脚口側開閉部と、該ウエスト口側開閉部と該脚口側開閉部との間で前記前面部と前記後面部とが開閉不可である固定部とをそれぞれ有し、
それぞれの前記ウエスト口側開閉部および前記脚口側開閉部において、前記前面部と前記後面部とが重なっており、
前記前面部と前記後面部とが重なっている部分が接着および剥離でき、
前記ウエスト口側開閉部および前記脚口側開閉部に、面ファスナが設けられ、
前記面ファスナが、着用者の腰部および大腿部の大きさに応じて調整可能であるボトム衣類。
【請求項２】
前記固定部上端が前記ウエスト口側に向かい臀部突出点より上にある請求項１に記載のボトム衣類。
【請求項３】
前記固定部上端が前記ウエスト口側に向かい臀部突出点より３〜５ｃｍ上にある請求項１に記載のボトム衣類。
【請求項４】
前記ウエスト口側開閉部には、スナップ、ホック、トッグル、ボタンおよびボタンホール、紐および紐用ループならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも１つの連結具がさらに設けられている請求項１〜３のいずれか１項に記載のボトム衣類。
【請求項５】
前記前面部および前記後面部が伸縮性を有する素材からなる請求項１〜４のいずれか１項に記載のボトム衣類。
【請求項６】
請求項１〜５のいずれか１項に記載の前記ボトム衣類である水着。
【請求項１】
着用者の腰を通すウエスト口と着用者の左右の足をそれぞれ通す左右の脚口とを備えたボトム衣類であって、
着用者の下腹部と左右の大腿部の前面を覆う前面部と、着用者の臀部と左右の大腿部の背面を覆う後面部とを有し、
前記前面部と前記後面部とは、前記ボトム衣類の両側部と股とで連結しており、
前記前面部と前記後面部とが前記両側部で連結している２つの連結部は、該連結部の前記ウエスト口側で前記前面部と前記後面部とが開閉自在であるウエスト口側開閉部と、該連結部の前記脚口側で前記前面部と前記後面部とが開閉自在である脚口側開閉部と、該ウエスト口側開閉部と該脚口側開閉部との間で前記前面部と前記後面部とが開閉不可である固定部とをそれぞれ有し、
それぞれの前記ウエスト口側開閉部および前記脚口側開閉部において、前記前面部と前記後面部とが重なっており、
前記前面部と前記後面部とが重なっている部分が接着および剥離でき、
前記ウエスト口側開閉部および前記脚口側開閉部に、面ファスナが設けられ、
前記面ファスナが、着用者の腰部および大腿部の大きさに応じて調整可能であるボトム衣類。
【請求項２】
前記固定部上端が前記ウエスト口側に向かい臀部突出点より上にある請求項１に記載のボトム衣類。
【請求項３】
前記固定部上端が前記ウエスト口側に向かい臀部突出点より３〜５ｃｍ上にある請求項１に記載のボトム衣類。
【請求項４】
前記ウエスト口側開閉部には、スナップ、ホック、トッグル、ボタンおよびボタンホール、紐および紐用ループならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも１つの連結具がさらに設けられている請求項１〜３のいずれか１項に記載のボトム衣類。
【請求項５】
前記前面部および前記後面部が伸縮性を有する素材からなる請求項１〜４のいずれか１項に記載のボトム衣類。
【請求項６】
請求項１〜５のいずれか１項に記載の前記ボトム衣類である水着。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１２−１６７４０２（Ｐ２０１２−１６７４０２Ａ）
【公開日】平成２４年９月６日（２０１２．９．６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２８９７０（Ｐ２０１１−２８９７０）
【出願日】平成２３年２月１４日（２０１１．２．１４）
【出願人】（５９４１３７９６０）株式会社ゴールドウイン (19)
【出願人】（５９２０１９５２３）株式会社ゴールドウインテクニカルセンター (35)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年９月６日（２０１２．９．６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年２月１４日（２０１１．２．１４）
【出願人】（５９４１３７９６０）株式会社ゴールドウイン (19)
【出願人】（５９２０１９５２３）株式会社ゴールドウインテクニカルセンター (35)
【Ｆターム（参考）】
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