説明

ボトルホルダ及びそれを搭載するトレイ

【課題】厚さの異なる試薬ボトル1でも、複数を単位に管理できると共に、複数種類の試薬ボトルを1つの試薬置場8に設置できるボルトホルダを提供する。
【解決手段】横断面が矩形のチャンバ2を有する試薬ボトル1を、厚さ方向に複数個収容可能な収容空間と、該収容空間を、略試薬ボトル1の厚さ間隔で仕切る仕切板4とを備えていると共に、分注器の所定位置に装着可能なボトルホルダ3とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分注器に設置されている試薬置場に試薬ボトルを設置する際に適用して好適なボトルホルダ及びそれを搭載するトレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分注器では、例えば特許文献1に開示されているように、ピペットのノズルが挿入できるように上部が開口した形状の試薬ボトルが知られている。この種の試薬ボトルに対しては、一般に作業者により1つずつ装置の所定位置(試薬置場)に設置する方法が採られている。
【0003】
又、自動分注器では、目的に応じて異なる試薬ボトルが使用される。例えば、使用量の少ない試薬を使用する場合には、厚さが薄い又は底が浅い試薬ボトルが必要であり、攪拌の必要な試薬を使用する場合は磁気攪拌措置用の攪拌子を用いるために、攪拌子が入るような厚さが大きい試薬ボトルが使用されることになる。
【0004】
このような多品種の試薬を扱うためには、複数種類の試薬ボトルを予め所定位置の試薬置場に設置しておくことが必要となるが、自動分注器の試薬置場は、1種類の試薬ボトルにしか対応していないのが一般的である。
【0005】
【特許文献1】特開平11−264827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したように自動分注器において、1回の分注作業の中で複数種類の試薬を使用する場合や、1種類の試薬を多量に使用する場合には、複数の試薬ボトルを使用することが必要となることから、試薬ボトルの個数分の設置作業が発生すると共に、試薬ボトルの種類毎に試薬置場が必要になるため、1台の自動分注器では対応できないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、厚さが異なる試薬ボトルでも、複数個を単位に収容し管理できると共に、容量が異なる複数種類の試薬ボトルを1つの試薬置場に設置することができるボトルホルダを提供することを第1の課題とする。
【0008】
本発明は、又、複数種類の試薬ボトルを複数個を単位に試薬置場に装着する際に使用すると有効なトレイを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明は、横断面が矩形のチャンバを有する試薬ボトルを、厚さ方向に複数個収容可能な収容空間と、該収容空間を、略試薬ボトルの厚さ間隔で仕切る仕切板とを備えていると共に、分注器の所定位置に装着可能になっているようにしたことにより、前記第1の課題を解決したものである。
【0010】
この場合は、前記仕切板が、厚さが異なる試薬ボトルに合わせて、前記収容空間の仕切り位置を変更可能になっているようにしてもよい。
【0011】
第2発明は、前記のボトルホルダを複数個搭載する搭載部を有し、該搭載部にボトルホルダを搭載して前記分注器の所定位置に装着可能であるようにしたことにより、前記第2の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
第1発明によれば、複数の横断面が矩形の試薬ボトルをボトルホルダに収容することができると共に、これを単位とする複数のボルトホルダを分注器に装着することができる。そのため、1台の分注器において複数種類の試薬の分注にも応えることが可能となる。
【0013】
第2発明によれば、複数個の上記ボトルホルダを1つのトレイに搭載可能であることから、分注器への装着作業の効率を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る一実施形態のボトルホルダを、一部に収容されている試薬ボトルと共に示す斜視図、図2は1つの試薬ボトルを拡大して示す斜視図、図3は本発明に係る一実施形態のトレイを示す斜視図である。
【0016】
試薬ボトル1は、試薬を充填するチャンバ2が、横断面が矩形の薄い箱形に形成されていると共に、その幅方向両端の外壁部に鍔部1Aが形成されている。この試薬ボトル1の厚さは、使用量や機能(試薬攪拌用の攪拌子の使用が可能等)に合わせて設計されていると共に、図1のボトルホルダ3に同種類の試薬ボトル1を隙間無く並べられるように設計されている。
【0017】
本実施形態のボトルホルダ3には、その上端部両側に外側に突出した鍔部3Aが形成され、該鍔部3Aに上記試薬ボトル1の鍔部1Aを当接することにより、該鍔部1Aより下方部分を収容することができる深さの収容空間が形成されている。
【0018】
このボトルホルダ3には、4つの試薬ボトル1を、厚さ方向に隙間無く並べた状態で収容すると共に、転倒防止のために、上記収容空間を略該試薬ボトル1の厚さ間隔で仕切る仕切板4とを備えている。そして、このボトルホルダ3は、後述する図3のトレイ6を介して分注器に装着可能になっている。
【0019】
上記仕切板4は、ボトルホルダ3の側壁の内側に設けられている縦溝(切欠)5に差し込み、挿入することにより試薬ボトル1の厚さに合った位置に固定されると共に、取り外しが可能になっている。
【0020】
又、この仕切板4が、厚さが異なる試薬ボトル1に合わせて前記収容空間の仕切位置を変更することが可能になっている。即ち、前記縦溝5は、使用される異なる種類の試薬ボトル1の厚さに合せた間隔に設けられ、1つのボトルホルダ3で1種類の試薬ボトル1を隙間無く並べることができるようになっていると共に、このように隙間無く並べる収容パターンを複数種類の試薬ボトル1に対して採ることができるように異なる間隔の位置に設けられている。
【0021】
又、ボトルホルダ3の底部には、鍔部3A方向の両端部近傍を除き切り欠いた形状の抜き穴3Bが形成され、この抜き穴3Bから収容された試薬ボトル1の底部が露出するようになっている。
【0022】
又、図3に示したトレイ6には、ボトルホルダ3を、鍔部3Aより下方部分が収容された状態で、試薬ボトル1が厚さ方向に並ぶようにして、複数個搭載可能な長さの搭載部7が形成され、この例では5個のボトルホルダ3を搭載可能な長さに設けられている。従って、このトレイ6には、最大5種類の試薬ボトル1を搭載できることになる。
【0023】
又、このトレイ6の底部には、長さ方向の左右にサイドガイド6Aが取付けられ、この上に搭載されるボトルホルダ3の抜き穴3Bの両側に位置する底部が載置され、支持されるようになっている。図4には、トレイ6に、試薬ボトル1が収容されたボトルホルダ3が搭載された状態の縦断面を模式的に示す。
【0024】
以上の構成により、図2に示されるように試薬ボトル1は、ボトルホルダ3内を仕切板4で仕切って形成した空間に挿入する形で収容保持され、左右、高さ方向の位置決めがされる。従って、ボトルホルダ3には1種類の試薬ボトル1を複数個まとまった単位で隙間無く設置することが可能となる。
【0025】
又、試薬ボトル1の容量や機能により、ボトルホルダ3内の試薬ボトル1の個数が変化する場合は、仕切板4の挿入位置を変更することにより対応することが可能である。
【0026】
このように、試薬ボトル1が複数個挿入されたボトルホルダ3は、図5に示すようにトレイ6に複数個搭載され、このトレイ6を図示しない分注器に設置されている試薬置場8にスライドさせて挿入することにより、所定位置に装着することができる。
【0027】
以上詳述した本実施形態によれば、仕切板4の差込み位置を変えることができるボトルホルダ3を用いることにより、ボトルホルダ3を単位に試薬ボトル1の種類を変更することができることから、1つの試薬置場8の中で複数種類の試薬ボトル1を混在させて使用することが可能となる。
【0028】
又、ボトルホルダ3をトレイ6に搭載して試薬置場8へ組み込む装着方法を採用することにより、複数個のボトルホルダ3を一括して試薬置場8へ装着することが可能となる。
【0029】
更に、試薬ボトル1はボトルホルダ3に収容する形で設置できることに加えて、ボトルホルダ3毎の試薬ボトル1の管理が可能となり、該試薬ボトル1の移動、交換、順序入替え等が容易になるという効果もある。
【0030】
なお、ボトルホルダ3は、トレイ6を使用せずに、試薬置場8に直接装着するようにしてもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る一実施形態のボトルホルダを試薬ボトルと共に示す斜視図
【図2】上記ボトルホルダに収容可能な試薬ボトルを拡大して示す斜視図
【図3】本発明に係る一実施形態のトレイを示す斜視図
【図4】トレイ、ボトルホルダ及び試薬ボトルの関係を模式的に示す縦断面図
【図5】トレイに搭載したボトルホルダを試薬置場に装着した状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0032】
1…試薬ボトル
2…チャンバ
3…ボトルホルダ
3B…抜き穴
4…仕切板
5…縦溝
6…トレイ
6A…サイドガイド
7…搭載部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が矩形のチャンバを有する試薬ボトルを、厚さ方向に複数個収容可能な収容空間と、
該収容空間を、略試薬ボトルの厚さ間隔で仕切る仕切板とを備えていると共に、分注器の所定位置に装着可能であることを特徴とするボトルホルダ。
【請求項2】
前記仕切板が、厚さが異なる試薬ボトルに合わせて、前記収容空間の仕切り位置を変更可能になっていることを特徴とする請求項1に記載のボトルホルダ。
【請求項3】
請求項1に記載のボトルホルダを複数個搭載する搭載部を有し、該搭載部にボトルホルダを搭載して前記分注器の所定位置に装着可能であることを特徴とするトレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−198897(P2007−198897A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−17573(P2006−17573)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【出願人】(000162478)協和メデックス株式会社 (42)
【Fターム(参考)】