説明

ボトル入りマヨネーズ様食品

【課題】マヨネーズ様食品の酸化による経時劣化を防止し良好な風味を長く維持することのできるボトル入りマヨネーズ様食品を提供すること。
【解決手段】
ボトル入りマヨネーズ様食品であって、該ボトルが酸素バリア性樹脂層を有する可撓性多層樹脂ボトルであり、ボトルの開口部を封止したときの酸素透過度が、温度24℃、ボトル内相対湿度95%、ボトル外相対湿度76%及びボトル内外の酸素分圧差が一気圧の条件で、ボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.025ml/日以下であることを特徴とするボトルの開口部が封止されたボトル入りマヨネーズ様食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル入りマヨネーズ様食品に関し、詳しくは該ボトルが特定の酸素透過度を有する可撓性多層樹脂ボトルであるボトル入りマヨネーズ様食品に関する。
【背景技術】
【0002】
マヨネーズに代表されるマヨネーズ様食品の容器は、古くはガラス瓶や陶器が用いられていたが、近年では使用勝手の良さからブロー成形による可撓性多層樹脂ボトルが主流となってきている。
【0003】
一方、マヨネーズ様食品において、製造直後の風味を長期間維持することは重要な課題である。例えばマヨネーズ様食品をボトルに充填した後に、ボトルのヘッドスペースの空気を窒素で置換して風味の劣化を抑制する方法が一般的に行われている。また、マヨネーズそのものに付加成分を添加することにより風味の劣化を抑制する方法も検討されている(下記特許文献1及び2参照)。
【0004】
ところで、マヨネーズ様食品に用いられる可撓性多層樹脂ボトルにおいては、成形性、使用性、落下時の耐久性に優れるという理由から、ポリエチレンを主とする層と、酸素バリア層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」と称する。)に層間剥離を防止する為の樹脂を添加した樹脂層とからなるボトルが採用されている。
【0005】
しかし、これまでこのようなマヨネーズ用のボトルが風味の劣化に及ぼす影響についてはほとんど検討されてこなかった。その原因としては、(1)製造時に混入する酸素に対し、外気から容器内に侵入する酸素はそれほど重要視されてこなかったこと、(2)酸素バリア層の主成分として常用されているEVOHが湿度によりその酸素バリア性能を異にすること、(3)ボトル形態の容器について極微量の酸素透過を評価する測定手段がなかったことが主要因と考えられる。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−308469号公報
【特許文献2】特開2000−300208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、マヨネーズ様食品の酸化による経時劣化を防止し良好な風味を長く維持することのできるボトル入りマヨネーズ様食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、マヨネーズ様食品に用いられる可撓性多層樹脂ボトルが内容物であるマヨネーズ様食品の風味に与える影響に着目し鋭意検討を行った結果、これまで測定が困難だった可撓性多層樹脂ボトルの酸素透過度を精度良く測定する方法を確立し、この方法に基づいてマヨネーズ様食品に用いられるボトルの極微量の酸素透過性がマヨネーズ様食品の風味及び賞味期限に大きな影響を及ぼすことを見いだし、更に該方法により酸素透過度の小さい可撓性多層樹脂ボトルを採用することによりマヨネーズ様食品の風味が良好に維持される期間が大幅に改善されることを見いだし本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は以下の内容を含むものである。すなわち、(1)ボトル入りマヨネーズ様食品であって、該ボトルが酸素バリア性樹脂層を有する可撓性多層樹脂ボトルであり、ボトルの開口部を封止したときの酸素透過度が、温度24℃、ボトル内相対湿度95%、ボトル外相対湿度76%及びボトル内外の酸素分圧差が一気圧の条件で、ボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.025ml/日以下であることを特徴とするボトルの開口部が封止されたボトル入りマヨネーズ様食品、(2)上記にいう酸素透過度が、ボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.012ml/日以下であることを特徴とするボトルの開口部が封止されたボトル入りマヨネーズ様食品、(3)上記にいう酸素透過度が、ボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.010ml/日以下であることを特徴とするボトルの開口部が封止されたボトル入りマヨネーズ様食品、および(4)可撓性多層樹脂ボトルの酸素バリア性樹脂層がエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる上記いずれかのボトル入りマヨネーズ様食品。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ボトル入りマヨネーズ様食品のボトルとして、酸素透過度の低い可撓性多層樹脂ボトルが採用されることにより、マヨネーズ様食品の酸化による経時劣化が著しく抑制され、風味が長く維持されるボトル入りマヨネーズ様食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明におけるマヨネーズ様食品とは、主として日本農林規格(JAS)でいう乳化型ドレッシングであり、乳化液の粘度の高い(30,000CP以上)半固体状ドレッシングのことをいい、これらの具体例としてはマヨネーズ、サラダドレッシング、タルタルソース、その他の半固体状のドレッシング等を挙げることができる。
【0013】
また、類似の性状を有しながら成分組成がJAS規格に合致しないマヨネーズに類似の商品群及び乳化タイプのソース類も本発明におけるマヨネーズ様食品に含まれる。
【0014】
本発明におけるボトルは、可撓性及び酸素バリア性を有する可撓性多層樹脂ボトルである。以下に該ボトルについて説明する。
【0015】
本発明におけるボトルは可撓性を有する樹脂ボトルであり、胴部が柔らかく、手で掴んで押すことにより内容物を希望量押し出すことのできる、いわゆるスクイーズ・ボトルと呼ばれる樹脂ボトルである。このようなボトルは、一般に、円筒状に押し出した加熱溶融樹脂を外側に型を被せた状態で樹脂円筒内に圧力空気を吹き込みボトル形状に成形する、いわゆるブロー成形により製造することができる。
【0016】
また本発明におけるボトルは、酸素バリア性を有する多層樹脂ボトルである。すなわち、本発明におけるボトルは、少なくとも容器形状及び機械特性に寄与する主要樹脂層並びに内容物の経時的酸化劣化を防止する酸素バリア性樹脂層を有する多層構造の樹脂ボトルである。
【0017】
主要樹脂層を構成する樹脂としてはポリオレフィン樹脂組成物が好ましく用いられ、ブロー成形加工特性、対内容物特性、機械特性、容器開口部を封止する際の熱シール性及びコスト等の面からポリエチレン樹脂組成物が特に好ましく用いられる。
【0018】
本発明におけるボトルに特に好適に用いられるポリエチレン樹脂組成物はブロー成形加工時の溶融特性、すなわち融点、流動点、および溶融粘度等の諸物性、或いは成形ボトルの機械特性、すなわち引っ張り強度・引っ張り弾性率、曲げ強度・曲げ弾性率等の諸物性、更には成形ボトルの実用強度、すなわちボトルの落下強度及びボトルの破裂強度等を適正にする目的で、低密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンの混合物を用いるのが好ましい。また直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、超高分子ポリエチレン及びメタロセン・ポリエチレン等の特殊ポリエチレン樹脂を混合しても良い。
【0019】
主要樹脂層は、強度等の観点からボトル内容物100gあたり、2.0g乃至4.5gを用いることが好ましく、該層の厚みは最も薄い部分で200μ乃至350μが好ましい。最も厚い部分はねじ口部あるいは底部で800μ乃至2,500μが好ましい。
【0020】
酸素バリア性樹脂層を構成する樹脂としては、酸素バリア性及び安全性の面からEVOH又はメタキシレンジアミン・ナイロン等が選ばれるが、メタキシレンジアミン・ナイロンは融点が高くポリエチレンとの多層押し出しにおける制限が多く、EVOHが最も好ましく選ばれる。
【0021】
EVOHは通常エチレン−酢酸ビニル共重合体を加水分解して得られ、エチレン残基とビニルアルコール残基の比によって、融点、酸素バリア性、ポリエチレンとの親和性がそれぞれ異なる。酸素バリア性の面からはビニルアルコール残基比の高いものが好ましいが、該残基比が高すぎる場合には融点が高くポリエチレンとの親和性に劣るため、ビニルアルコール残基比55%乃至75%のものが好ましく選ばれる。
【0022】
従来、マヨネーズ様食品用の可撓性多層樹脂ボトルにおいては、一般に2つの主要樹脂層間に酸素バリア性層を有した3層構造の可撓性多層樹脂ボトルが使用されている。一般に主要樹脂層としてはポリエチレン層が用いられ、酸素バリア性層としてはポリエチレン層間の積層境界面の親和性の向上を図るため、EVOHにEVOHとの相溶性が良好でポリエチレンとも親和性の高い樹脂組成物(例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)を配合した混合樹脂層が使用されてきた。
【0023】
既述したように、従来、このようなボトルの極微量の酸素透過量を精度良く測定する方法が確立していなかったこともあり、ボトルの酸素透過量が内容物であるマヨネーズ様食品に及ぼす影響は明らかでなかった。しかしながら、本発明者らは後述するように極微量の酸素透過量の測定方法を確立し、可撓性多層樹脂ボトルにおける極微量の酸素透過量が内容物であるマヨネーズ様食品の風味に大きな影響を及ぼすことを見いだした。
【0024】
本発明における高い酸素バリア性を有する可撓性多層樹脂ボトルは例えば以下に説明するようなボトルによって達成される。
【0025】
本発明におけるボトルにおいては、酸素バリア性樹脂層はEVOHに代表されるような酸素バリア性樹脂単体により層形成され、主要樹脂層と積層される。本発明においてボトルを構成する酸素バリア性樹脂層はボトル内容物100gあたり、0.07g乃至0.35gを用いることが好ましく、層の厚みは最も薄い部分で8μ乃至20μが好ましい。
【0026】
例えばEVOH単体からなる酸素バリア性樹脂層は主要樹脂層として代表的に用いられるポリエチレン層との親和性に乏しく積層境界面が容易に剥離する傾向にあるため、このような場合はEVOH層とポリエチレン樹脂組成物層の間に接着樹脂層を設けることが好ましい。
【0027】
接着樹脂層を構成する樹脂組成物としては酸素バリア樹脂層及び主要樹脂層の双方に親和性の高い樹脂組成物であって融点が主要樹脂層を構成する樹脂組成物から大きく離れていないものであれば特に制限はない。主要樹脂層としてポリエチレン樹脂、酸素バリア性樹脂層としてEVOHを用いた場合の接着樹脂層の好ましい具体例としては、マレイン酸−ポリエチレン共重合体、無水マレイン酸−ポリエチレン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの共重合体の金属塩、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びビニルアルコール残基比が25%以下のEVOH等が挙げられる。またこれらの樹脂に相溶性の高い樹脂を50%未満混合した樹脂組成物も好ましく用いられる。
【0028】
酸素バリア性樹脂層は傷やピンホールなどから保護するため、その両側に主要樹脂層を配する構造とするのが好ましい。すなわち、本発明におけるボトルは、外側から主要樹脂層/接着樹脂層/酸素バリア性樹脂層/接着樹脂層/主要樹脂層の順に配した少なくとも5層、あるいはそれ以上の多層構造とすることが好ましい。
【0029】
このような多層構造を有する可撓性多層樹脂ボトルは、当業者であれば前記記載に基づいて容易に製造することができる。また酸素バリア性層の厚さを調製することにより、酸素透過度の異なる各種の可撓性多層樹脂ボトルを容易に製造することができる。
【0030】
酸素バリア性樹脂層に好ましく用いられるEVOHの酸素バリア性は湿度によって大きく影響を受けることが知られており、湿度が高くなると酸素バリア性が著しく低下する。EVOHを挟み込むように配置される主要樹脂層は、酸素バリア性の観点からはEVOHを水分から保護する役割を果たしている。従って、多層構造中の酸素バリア性樹脂層の位置について言えば、マヨネーズ様食品が充填密封されたボトルにおいては、ボトル内部がボトル外部より湿度が高いことから、酸素バリア性樹脂層は多層構造においてボトルの外側寄りに位置することが望ましい。
【0031】
従来、ボトルの酸素バリア性評価手法については下記のようなものが提案されている。例えばJIS K7126にプラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法が決められている。これには差圧法と等圧法があるが、差圧法ではボトルの変形により測定が難しかった。等圧法では酸素検知器によって透過した酸素の検知を行うがキャリアーガスによって希釈されるため、バリア性が高い場合には測定に時間がかかり、精度も良くなかった。
【0032】
実際に等圧法によって測定を行う装置として、モコン(MOCON)社製 OX−TRAN2/20MLなどが販売されているが、本発明におけるようなボトルでは内容物100gあたりの酸素透過度で0.08ml/24h程度の測定が限界であった。このように従来は本発明におけるボトルに要求されるような高い酸素バリア性を有するボトルの酸素透過度を測定する事は困難であり、また本発明におけるボトルのように内容物に由来する湿度により酸素バリア性が変化するボトルの酸素透過度を評価する適当な手法も存在しなかった。
【0033】
本発明者らはこのようなボトルの酸素バリア性を測定するための新しい方法を確立した。具体的にはボトル内部を窒素置換した後、これを完全に密封し、一気圧の酸素中に一定期間保管する。その後、ボトルを取り出し、中の気体中に透過した酸素を市販の酸素濃度測定装置等で測定すればよい。本明細書においては酸素濃度測定装置として、東レエンジニアリング(株)製の酸素濃度計LC700Fを用いて測定した。ボトル内部の酸素濃度と容器の容量及び経過日数から、以下のような計算式で容器の酸素透過度を導き出した。酸素透過度[ml/日]={(酸素濃度[%]÷100)×容器容量[ml]}÷保存日数[日]
【0034】
本測定方法は、酸素バリア性の高いボトルの酸素透過度を精度良く測定することが可能であり、再現性の高い測定が行える。また、一度に複数のボトルの酸素透過度試験を行うことにより更に精度の高い試験を行うこともできる。
【0035】
なお、本明細書においては、保存期間を7日間として酸素透過度試験を行った。また、試験本数は5本とし、平均値をデータとして用いた。
【0036】
本測定方法は、調湿塩を用いることにより、試験時の容器内外の湿度を特定の湿度に保って試験を行える点にも大きな特徴を有する。
【0037】
酸素バリア性樹脂層に好ましく用いられるEVOHは湿度によるバリア性の変化が大きいため、バリア性評価にあたってはより実際に近い湿度条件で測定することが重要である。ボトル内部の湿度は、マヨネーズ表面の蒸気圧により湿度約95%に相当する状態にあり、バリア性の測定においては、ボトル内部の相対湿度を95%(24℃)に保って試験を行うことにより実際に近い条件での評価を行うことができる。従って、本明細書における酸素透過度の測定は、24℃における相対湿度が95%となる無機塩飽和水溶液、すなわち少量の結晶を含む飽和リン酸水素二ナトリウム水溶液をボトル内部に充填して実施した。
【0038】
一方、ボトル外部は大気にさらされており、ボトル外部の水分活性はボトル流通時の相対湿度に相当する。特に日本は季節による湿度の変化が大きい為、測定条件とする湿度としては年間平均湿度を使用した。特に日本の主要都市の中で高温多湿であり、実際の流通においてボトルのバリア性が最も影響が大であると考えられる沖縄県那覇の湿度を用いて、測定条件を相対湿度76%(24℃)とした。従って本明細書における酸素透過度の測定は、少量の結晶を含む塩化ナトリウム水溶液を用いてボトルが保管される環境を24℃における相対湿度が76%の条件で実施した。
【0039】
なお温度もバリア性に影響を与える大きな要因の一つである。製品が輸送・保管される温度は外気温にほぼ等しいと考えられるが、外気温は1日の中でも変動があり、季節変動も大きい。従って、この変動による影響をアレニウスの式によって実効値に直し、沖縄県那覇の平均気温に加えて実際の流通に近い測定条件を導き出した。その結果より、測定温度を24℃とした。
【0040】
従来、マヨネーズ様食品用の可撓性多層樹脂ボトルにおいては、一般に2つの主要樹脂層間に酸素バリア性層を有した3層構造の可撓性多層樹脂ボトルが使用されてきた。一般に主要樹脂層としてはポリエチレン層が用いられ、酸素バリア性層としてはポリエチレン層間の積層境界面の親和性向上を図るため、EVOHにEVOHとの相溶性が良好でポリエチレンとも親和性の高い樹脂組成物(例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)を配合した混合樹脂層が使用されてきた。
【0041】
既述したように、従来このようなボトルの極微量の酸素透過量を測定する方法が確立していなかったこともあり、ボトルの酸素透過量が内容物であるマヨネーズ様食品に及ぼす影響は明らかでなかった。しかしながら、本発明者らは極微量の酸素透過量の測定方法を確立し、可撓性多層樹脂ボトルにおける極微量の酸素透過量が内容物であるマヨネーズ様食品の風味に大きな影響を及ぼすことを見いだした。なお上記に説明したような酸素バリア性樹脂層を有する従来の可撓性多層樹脂ボトルでは本発明におけるような高い酸素バリア性は発揮されない。
【0042】
本発明における可撓性多層樹脂ボトルの酸素透過度は、内容物であるマヨネーズ様食品の風味を良好に維持する観点から、ボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.025ml/日以下とする。更には酸素透過度をボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.020ml/日以下、更には0.015ml/日以下、更には0.012ml/日以下、更には0.010ml/日以下、更には0.07ml/日以下とするのが好ましい。
【実施例1〜3】
【0043】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0044】
酸素透過度の異なる種々の可撓性多層樹脂ボトルに、マヨネーズ製造設備を使用して製造直後のマヨネーズを充填・包装し、保存後、パネルによる官能評価試験を実施した。充填・包装は一般的に使用される工業的な充填・包装設備を用いることにより、製造直後のマヨネーズをボトルに充填し、ヘッドスペースの気体を窒素置換後、口部をアルミニウム・ラミネートフィルムで密封し、その後、オーバーラップフィルムで包装した。これを段ボール箱に入れた状態で、温度24℃、相対湿度78%の条件下に暗所で3ヶ月間静置保管し、その後、30人のパネルにより下記第1表の尺度により官能評価試験を行った。官能評価試験は、予め評価サンプルの中身を告知しない、いわゆるブラインド・テストによって行った。その後、評点の平均値を求め、評価結果とした。
【0045】
【表1】

【0046】
結果を下記第2表に示す。第2表において、比較例は、従来より使用しているボトルであり、主要樹脂層としてポリエチレン、酸素バリア性樹脂層としてEVOHとポリエチレンとの混合樹脂からなる3層ボトルである。実施例は先に説明したように主要樹脂層としてポリエチレン、バリア性樹脂層としてEVOHのみを用い、接着樹脂層により主要樹脂層とバリア性樹脂層を接着した5層を基本構造を有するボトルである。また実施例のボトルは酸素バリア性層の厚みを変化させた酸素透過度の異なる3種類のボトルであり、実施例1〜3として評価している。なお、酸素透過度の測定方法は既に記載した方法に従って行った。
【0047】
【表2】

【0048】
以上の結果より、前述した方法により測定した可撓性多層樹脂ボトルの酸素透過度と内容物であるマヨネーズ様食品の風味の劣化が相関関係を有し、可撓性多層樹脂ボトルの酸素透過度が風味に大きな影響を及ぼしていることが分かる。
【0049】
すなわち、本測定方法により酸素透過度の小さい可撓性多層樹脂ボトルを採用し、マヨネーズ様食品を該ボトルに充填密封することにより、風味の劣化が大きく改善されたボトル入りマヨネーズ様食品が提供されることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル入りマヨネーズ様食品であって、該ボトルが酸素バリア性樹脂層を有する可撓性多層樹脂ボトルであり、ボトルの開口部を封止したときの酸素透過度が、温度24℃、ボトル内相対湿度95%、ボトル外相対湿度76%及びボトル内外の酸素分圧差が一気圧の条件で、ボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.025ml/日以下であることを特徴とするボトルの開口部が封止されたボトル入りマヨネーズ様食品。
【請求項2】
ボトル入りマヨネーズ様食品であって、該ボトルが酸素バリア性樹脂層を有する可撓性多層樹脂ボトルであり、ボトルの開口部を封止したときの酸素透過度が、温度24℃、ボトル内相対湿度95%、ボトル外相対湿度76%及びボトル内外の酸素分圧差が一気圧の条件で、ボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.012ml/日以下であることを特徴とするボトルの開口部が封止されたボトル入りマヨネーズ様食品。
【請求項3】
ボトル入りマヨネーズ様食品であって、該ボトルが酸素バリア性樹脂層を有する可撓性多層樹脂ボトルであり、ボトルの開口部を封止したときの酸素透過度が、温度24℃、ボトル内相対湿度95%、ボトル外相対湿度76%及びボトル内外の酸素分圧差が一気圧の条件で、ボトル内のマヨネーズ様食品100g当たり0.010ml/日以下であることを特徴とするボトルの開口部が封止されたボトル入りマヨネーズ様食品。
【請求項4】
可撓性多層樹脂ボトルの酸素バリア性樹脂層がエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる請求項1乃至3のボトル入りマヨネーズ様食品。

【公開番号】特開2012−162323(P2012−162323A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−72346(P2012−72346)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2001−55055(P2001−55055)の分割
【原出願日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【出願人】(591101504)クノール食品株式会社 (29)
【Fターム(参考)】