説明

ボトル缶の口金部検査方法および検査装置

【課題】液漏れ等を生じるおそれのある傷等の凹凸形状を有するボトル缶のみを確実に検出でき、検査の処理時間を短縮できる生産性に優れたボトル缶の口金部検査方法及び検査装置を提供する。
【解決手段】主搬送路101に沿って連続的に順次搬送されるボトル缶30の撮像エリアα内のカール部32に対して白色光Wを照射して撮像を行い、得られた白黒検査画像から低輝度領域の有無を検知して低輝度領域が検知されたボトル缶30bを排除する1次検査工程と、1次検査工程によって排除されたボトル缶30bを主搬送路101から退避した副搬送路102に沿って順次搬送しながら撮像エリアα内のカール部32に対して、口金部31の円筒面略接線方向に沿って2色の照明光をそれぞれ異なる方向から照射して撮像を行い、得られたカラー検査画像の各光色の信号強度からカール部32における凹凸形状の有無を判別し、ボトル缶の良否を判定する2次検査工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル缶の口金部検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の内容物が充填される容器として、雄ねじを有する口金部にキャップが螺着されるアルミニウム合金製のボトル形状の缶が知られている。缶は、アルミニウム合金板を絞り加工およびしごき加工(DI成形)により底板と円筒状側面とが一体である有底円筒体に成形し、その内外面に塗装を施した後、開口部にいわゆるネックイン加工を施して肩部および口金部を形成し、この口金部にねじ成形加工やカール部形成加工等を施すことにより製造される。
【0003】
このような缶における内面塗膜は、エポキシアクリル系樹脂やポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂により、充填物に対する耐腐食性を缶に具備させる等のために形成される(特許文献1参照)。内面塗膜は、絞り・しごき加工後、ネックイン加工前に内面に塗料を吹き付けることにより形成されるが、塗料が周囲に飛散したり、缶の外表面に付着して微小な突起体を形成してネックイン加工時にしわを発生させる起点となったりする問題が生じるおそれがある。
【0004】
カール部は、口金部の上端を外周側に折り曲げることにより形成されており、内面の塗膜が表面に形成されている。缶は、このカール部にライナーを押しつけるようにキャップが装着されることにより密封される(特許文献2参照)。したがって、カール部の表面、特に天面に、前述のような塗膜によるしわなどの凹凸形状が形成されていたり、カール部に打痕などの変形が生じていたりすると、内容物が漏洩するおそれがある。しかしながら、カール部の表面には、口金部の成形およびカール部の成形の際に内面の塗膜がよれて皺となることによる凹凸形状が形成される場合がある。
【0005】
このため、カール部に変形がないこと、しわ等の凹凸形状がカール部の天面に形成されていないことが重要であるとともに、凹凸形状が形成された場合にはこれを検査工程で検出して欠陥品として確実に排除することが求められる。
【0006】
たとえば、缶の外面に生じる微細な凹凸形状(皺等)を検出する方法として、缶胴の接平面(外面の接線方向に沿う面)に対して斜めに照明光を照射し、皺による反射光や陰を接平面方向に沿って観察することにより皺を検出する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−84081号公報
【特許文献2】特開2004−83128号公報
【特許文献3】特開2004−264132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ボトル缶において、カール部の凹凸形状は液漏れの原因となるため、確実に検出する必要がある一方で、アルミニウム材の圧延模様、DI成形時のパンチ模様や汚れのような凹凸形状のない色模様は密封性に影響がなく、不良品として排除する必要はない。このような色模様を凹凸形状として検出してしまうと、良品を不良品として排除してしまい、歩留まりを低下させてしまうおそれがある。
【0009】
特許文献3に記載された検出方法は、缶に照射した照明光の影を確認することにより皺を検出しているので、この方法により色模様を不良として検出してしまうおそれは小さい。しかしながら、照明光およびカメラに対して缶を正確な位置に配置する必要があり、缶が検査位置からずれた場合には、正確な検出結果を得るのが難しくなるおそれがある。
また、このような検査装置では、個々の検査の処理時間が長いため、生産効率が悪くなるという問題がある。撮像装置の数を増やし、検査装置を複数設けた場合には、複数個の缶を一度に検査できるので処理時間を短縮することは可能であるが、検査装置を構成する費用が嵩むという問題が生じる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、液漏れ等を生じるおそれのある傷等の凹凸形状を有するボトル缶のみを確実に検出できるとともに、検査の処理時間を短縮することができる生産性に優れたボトル缶の口金部検査方法および検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のボトル缶の口金部検査方法は、ライナー付キャップを被嵌するために開口端を外方へ向かってカールさせたカール部が設けられた円筒状の口金部を有するボトル缶について、前記ボトル缶を缶軸まわりに回転させながら前記カール部の一部を含むように設定された撮像エリアを撮像して前記カール部の凹凸形状を検出する方法であって、主搬送路に沿って連続的に順次搬送される前記ボトル缶の前記撮像エリア内の前記カール部に対して白色光を照射して撮像を行い、得られた白黒検査画像から低輝度領域の有無を検知して、該低輝度領域が検知されたボトル缶を排除する1次検査工程と、前記1次検査工程によって排除されたボトル缶を前記主搬送路から退避した副搬送路に沿って順次搬送しながら、前記撮像エリア内の前記カール部に対して、前記口金部の円筒面略接線方向に沿って2色の照明光をそれぞれ異なる方向から照射して撮像を行い、得られたカラー検査画像の各光色の信号強度から前記カール部における前記凹凸形状の有無を判別し、ボトル缶の良否を判定する2次検査工程とを備えることを特徴とする。
【0012】
圧延模様、パンチ模様、汚れ等が存在する領域は、その他の領域とは色が異なることから、白色光源から投光される白色光の反射量が変化して低輝度領域となる。1次検査工程では、撮像エリアのカール部に対して白色光を照射することにより、傷等の凹凸形状だけでなく、凹凸のない2次元的な汚れ等も低輝度領域として検知され、この低輝度領域が検知されたボトル缶を、凹凸形状を有するか否かに関わらず排除することにより、汚れや凹凸のないボトル缶を瞬時に選別することができる。これら汚れや凹凸のないボトル缶は、主搬送路に沿って搬送され、1次検査工程で排除されたボトル缶のみ、副搬送路に送り出されて2次検査される。
2次検査工程では、カラー検査画像により判別することで、より高密度の検査が可能となっている。2次検査工程においては、撮像エリアのカール部に対して2色の照明光を異なる方向から照射することにより、照明光を遮るように形成された凹凸形状による反射光が、各照明光の光色に応じた2色の縞状に撮像される。一方、凹凸のない汚れ等による反射光は縞状にならず、各照明光の混色の濃淡として撮像される。したがって、液漏れを生じさせるような凹凸形状を確実に検出でき、汚れ等を凹凸形状と誤認するおそれがなく、ボトル缶の開口部とキャップとの密封性に問題がない2次元的な汚れ等だけを有するボトル缶を選別できるので、傷等の凹凸形状を有するボトル缶のみを確実に排除することができる。
【0013】
このように、白色光による1次検査工程で高速に検査しながら、凹凸形状を有するか否かに関わらず低輝度領域が検知されたボトル缶を全て排除し、そのボトル缶だけをカラー検査画像による2次検査工程で精密に検査することで、傷等の凹凸形状を有するボトル缶を確実に排除できるとともに、検査の処理時間を短縮することができる。
【0014】
また、本発明のボトル缶の口金部検査方法において、前記2次検査工程では、前記カール部における前記2色の照明光が照射された部分に対して、前記2色の照明光とは異なる光色の第3照明光を、前記2色の照明光に交差する方向から照射するとよい。
第3照明光の反射光により、カール部のエッジ位置を検出することができ、このエッジ位置を基準としてカラー検査画像中のカール部を特定することができるので、カール部の形状が明確になり、カール部の凹みや歪みを検出できる。また、ボトル缶を回転させる際に缶軸と回転手段の回転軸とがずれていると、カール部が検査画像中で移動するが、カール部のエッジ位置を検出することによりカール部を特定できるので、確実にカール部を検査することができる。
【0015】
本発明のボトル缶の口金部検査装置は、ライナー付キャップを被嵌するために開口端を外方へ向かってカールさせたカール部が設けられた円筒状の口金部を有するボトル缶について、前記ボトル缶を缶軸まわりに回転させながら前記カール部の一部を含むように設定された撮像エリアを撮像して前記カール部の凹凸形状を検出する装置であって、ボトル缶を順次搬送する主搬送路と、前記主搬送路に沿って連続的に順次搬送される前記ボトル缶の前記撮像エリア内の前記カール部に対して白色光を照射して撮像を行い、得られた白黒検査画像から低輝度領域の有無を検知して、該低輝度領域が検知されたボトル缶を排除する1次検査手段と、前記1次検査手段によって排除されたボトル缶を搬送する副搬送路と、前記副搬送路に沿って前記ボトル缶を順次搬送しながら、前記撮像エリア内の前記カール部に対して2色の照明光をそれぞれ異なる方向から照射して撮像を行い、得られたカラー検査画像の各光色の信号強度から前記カール部における前記凹凸形状の有無を判別し、ボトル缶の良否を判定する2次検査手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のボトル缶の口金部検査装置において、前記1次検査手段は、前記ボトル缶を保持して缶軸まわりに回転させる1次回転手段と、前記撮像エリア内の前記カール部に対して白色光を照射する白色光照明手段と、前記撮像エリアを白黒で撮像する1次撮像手段と、前記1次撮像手段により得られた白黒検査画像から低輝度領域を検知し、その検知結果に基づきボトル缶を排除する1次判定手段とを備え、前記2次検査手段は、前記1次検査手段によって排除されたボトル缶を保持して缶軸まわりに回転させる2次回転手段と、該ボトル缶の撮像エリア内の前記カール部に対して、前記口金部の円筒面略接線方向に沿って第1照明光を照射する第1照明手段と、前記カール部における前記第1照明光が照射された部分に対して、前記第1照明手段とは異なる光色の第2照明光を、前記撮像エリアを挟んで前記第1照明光の反対側から、前記口金部の前記略接線方向に沿って照射する第2照明手段と、前記撮像エリアをカラーで撮像する2次撮像手段と、前記2次撮像手段により得られたカラー検査画像の各光色の信号強度に基づき凹凸形状の有無を判別し、ボトル缶の良否を判定する2次判定手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のボトル缶の口金部検査装置において、前記2次検査手段は、前記カール部における前記2色の照明光が照射された部分に対して、前記2色の照明光とは異なる光色の第3照明光を、前記2色の照明光に交差する方向から照射する第3照明手段を備えているとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、傷等の凹凸形状を有するボトル缶を確実に排除できるとともに、検査の処理時間を短縮することができ、ボトル缶の生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るボトル缶の口金部検査装置を示す概略図である。
【図2】1次検査手段を示す側面図である。
【図3】図2に示す1次検査手段の上面図である。
【図4】2次検査手段を示す側面図である。
【図5】図4に示す2次検査手段の上面図である。
【図6】図1に示す検査装置において、凹凸形状のないカール部が撮像された検査画像を示す図である。
【図7】図1に示す検査装置において、天面に凹凸形状が形成されたカール部が撮像された検査画像を示す図である。
【図8】図1に示す検査装置において、打痕や傷が形成されたカール部が撮像された検査画像を示す図である。
【図9】図1に示す検査装置において、外周面に湾曲部が形成されたカール部が撮像された検査画像を示す図である。
【図10】図1に示す検査装置において、回転中心から偏心したボトル缶を回転させながらカール部を撮像して得られた検査画像を示す図である。
【図11】図1に示す検査装置において、回転中心から偏心したボトル缶を回転させながらカール部を撮像して得られた検査画像であって、カール部の外周部に凹みが形成されている場合を示す図である。
【図12】図1に示す検査装置において、凹凸形状における2色の照明光の反射状態を示す模式図である。
【図13】本発明に係る口金部検査装置において、撮像エリアをカール部の外周面に設定した例を示す断面図である。
【図14】本発明に係る口金部検査装置において、第1照明手段および第2照明手段を2組ずつ備える例を示す断面図である。
【図15】図14の検査装置を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るボトル缶の口金部検査方法および検査装置の実施形態について説明する。
図1に示す口金部検査装置(以下、「検査装置」)100は、図2に示すように、ライナー付キャップ(図示せず)を被嵌するために開口端を外方へ向かってカールさせたカール部32が設けられた円筒状の口金部31を有するボトル缶30について、図3に示すようにカール部32の一部(本実施形態では天面の一部)を含むように設定された撮像エリアαにおけるカール部32の凹凸形状を検出する装置である。
この検査装置100で検査されるボトル缶30は、図1に示すように、製造ラインにおいてコンベア等の主搬送路101によって単列搬送される。そして、この主搬送路101の途中に、各ボトル缶30を回転させながら口金部31を検査する検査装置100が備えられている。
【0021】
検査装置100は、図1に示すように、主搬送路101に沿って連続的に順次搬送されるボトル缶30の撮像エリアα内のカール部32に対して白色光Wを照射して撮像を行い、得られた白黒検査画像から低輝度領域を検知して、低輝度領域が検知されたボトル缶30bを排除する1次検査手段10と、1次検査手段10によって排除されたボトル缶30bを主搬送路101から退避した副搬送路102に沿って順次搬送しながら、ボトル缶30bの撮像エリアα内のカール部32に対して2色の照明光をそれぞれ異なる方向から照射して撮像を行い、得られたカラー検査画像の各光色の信号強度から凹凸形状の有無を判別し、ボトル缶30bの良否を判定する2次検査手段20との二つの検査手段を有する。
【0022】
1次検査手段10は、図2および図3に示すように、ボトル缶30を保持して缶軸Xまわりに回転させる1次回転手段40と、撮像エリアα内のカール部32に対して白色光Wを照射する白色光照明手段41と、撮像エリアαを白黒画像で撮像する1次撮像手段42と、この1次撮像手段42により得られた白黒画像から低輝度領域を検知してボトル缶を排除する1次判定手段43とを備える。
白色光照明手段41は、図2に示すように、撮像エリアαの口金部31(カール部32の天面の一部)に向かって斜め上方から照射するように配置されている。また、1次撮像手段42は、ボトル缶30の口金部31の上方に、撮像エリアαに向かって(すなわちカール部32の天面に向かって)配置されている。
【0023】
2次検査手段20は、図4および図5に示すように、1次検査手段10によって排除されたボトル缶30bを保持して缶軸まわりに回転させる2次回転手段50と、撮像エリアα内のカール部32に対して赤色の第1照明光Rを照射する第1照明手段51と、撮像エリアα内のカール部32に対して青色の第2照明光Bを照射する第2照明手段52と、カール部32における第1照明光Rおよび第2照明光Bが照射された部分に対して緑色の第3照明光Gを照射する第3照明手段53と、カール部32における各反射光を含むカラー検査画像を取得する2次撮像手段54と、この2次撮像手段54によって得られたカラー検査画像に基づきボトル缶30bの良否を判定する2次判定手段55とを備える。
【0024】
第1照明手段51および第2照明手段52は、第1照明光Rおよび第2照明光Bが撮像エリアαの口金部31(カール部32の天面の一部)を照射するように配置されている(図5)。第3照明手段53は、カール部32において第1照明光Rおよび第2照明光Bが照射された部分から屈曲して連続する外周面(エッジ検出エリアβ)に対して、第3照明光Gを照射するように配置されている。
【0025】
第1照明手段51は、図4および図5に示すように、ボトル缶30bの口金部31の側方に配置され、赤色の第1照明光Rを、撮像エリアα内のカール部32の天面に対して、口金部31の円筒面略接線方向に沿って照射する。
第2照明手段52は、図4および図5に示すように、撮像エリアαを挟んで第1照明手段51の反対側に配置され、青色(赤色の第1照明光Rとは異なる光色)の第2照明光Bを、カール部32における第1照明光Rが照射された部分に対して、口金部31の円筒面略接線方向に沿って照射する。
つまり、撮像エリアαのカール部32には、図5に示すように、第1照明手段51および第2照明手段52によって、第1照明光Rと第2照明光Bとが異なる方向から重なるように照射される。
【0026】
ボトル缶30bにおいて、エッジ検出エリアβは、撮像エリアαから屈曲して連続し、カール部32の外周面を含むように設定されている。図4および図5に示すように、第3照明手段53は、ボトル缶30bの口金部31の側方に配置され、第1照明光Rおよび第2照明光Bに交差する方向から、すなわち口金部31の円筒面接線方向に対してほぼ直交する方向に、緑色(第1照明光Rおよび第2照明光Bとは異なる光色)の第3照明光Gをエッジ検出エリアβのカール部32の外周面に対して照射する。
【0027】
2次撮像手段54は、図4に示すように、ボトル缶30bの口金部31の上方に、撮像エリアαに向かって(すなわちカール部32の天面に向かって)配置されており、カール部32における各反射光を含むカラー検査画像を撮像できる。
【0028】
次に、このように構成した検査装置100を用いてボトル缶の口金部を検査する方法について説明する。
ボトル缶30は、製造ラインにおいてコンベア等の主搬送路101によって単列搬送され、この主搬送路101の途中に、各ボトル缶30を回転させながら口金部31を検査する検査装置100により検査が行われる。
【0029】
(1次検査工程)
各ボトル缶30は、主搬送路101に沿って1次検査手段10に連続的に搬送され、1次検査される。1次検査手段10では、ボトル缶30を、白色光照明手段41および1次撮像手段42に対して、1次回転手段40によってボトル缶30を缶軸Xまわりに回転させることにより、口金部31の全周を走査し、撮像エリアαの白黒検査画像を撮像する。白黒検査画像は、1次撮像手段42に接続された1次判定手段43に入力される。
【0030】
この1次撮像手段42に接続された1次判定手段43は、1次撮像手段42の取得した白黒検査画像を取り込み、この白黒検査画像から低輝度領域の有無を検知して、低輝度領域が検知されたボトル缶30bを排除する。
圧延模様、パンチ模様、汚れ等が存在する領域は、その他の領域とは色が異なることから、白色光照明手段41から投光される白色光Wの反射量が変化して低輝度領域として写し出される。白黒検査画像中に、所定の大きさ以上の低輝度領域を検出したときに、そのボトル缶30bは排除される。
1次検査工程では、傷等の凹凸形状だけでなく、凹凸のない2次元的な汚れ等も低輝度領域として検知され、この低輝度領域が検知されたボトル缶を凹凸を有するか否かに関わらず排除することにより、汚れや凹凸のないボトル缶30aが瞬時に選別される。そして、これら汚れや凹凸のないボトル缶30aは、主搬送路101に沿って搬送され、低輝度領域が検知されたボトル缶30bのみ、副搬送路102に送りだされて2次検査される。
【0031】
(2次検査工程)
副搬送路102は、主搬送路101と比べて搬送速度が遅く設定されており、2次検査手段20では、1次検査手段10で排除されたボトル缶30bについて精密な検査が行われる。2次検査手段20は、各照明手段51〜53および2次撮像手段54に対して、ボトル缶30bを2次回転手段50によって缶軸Xまわりに回転させることにより、口金部31の全周を走査し、カール部32における各反射光を含むカラー検査画像を撮像する。カラー検査画像は、2次撮像手段54に接続された2次判定手段55に入力され、ボトル缶30bの良否判定に用いられる。
【0032】
この2次撮像手段54に接続された2次判定手段55は、2次撮像手段54の取得したカラー検査画像を取り込み、このカラー検査画像に基づいてボトル缶30bの良否判定を行う。
凹凸形状を有する領域のカラー検査画像には、後述するように、凹凸形状による反射光が各照明光の光色に応じた2色の縞状に写し出される。一方、凹凸のない汚れ等の領域の反射光は縞状にならず、各照明光の混色の濃淡として写し出される。したがって、2次判定手段55は、カラー検査画像から液漏れを生じさせるような凹凸形状を検出したときに、そのボトル缶を「否」と判定し、2次元的な汚れ等だけを有し、液漏れの等の問題がないボトル缶を「良」と判定する。そして、「否」と判定されたボトル缶30cは、副搬送路102に沿って製造ラインから排除され、「良」と判定されたボトル缶30aは、主搬送路101に戻される。
【0033】
ここで、凹凸形状の認識についてより具体的に説明する。カール部32に凹凸形状がなく平坦であれば、検査画像の天面Tでは第1照明光Rおよび第2照明光Bの混色である紫色の一様な反射光pが撮像される(図6)。また、平坦な圧延模様、パンチ模様、汚れのような色模様の部分aは、紫色の濃淡が異なる反射光pとなる。
【0034】
一方、カール部32に各照明光の反射方向を変える凹凸形状(たとえば凹み33)がある場合には、第1照明光Rおよび第2照明光Bが異なる方向から照射されていることから同様に反射せず、図7に示すように、凹み33の形状に応じて、赤色の反射光rまたは青色の反射光bが生じる。2次判定手段55がこのような反射光r,bを検出することにより、カール部32に凹み33のような凹凸形状が形成されていることがわかる。
なお、第1照明光Rおよび第2照明光Bの照射方向が口金部31の円筒面略接線方向に沿っていることにより、カール部32においてボトル缶30bの径方向に延びる凹み33を検出しやすい。
【0035】
また、2次撮像手段54により取得されたカラー検査画像には、図6に示すように、エッジ検出エリアβにおける第3照明光Gの反射光gが検出される。2次判定手段55は、この反射光gにより撮像エリアαのエッジ位置を検出し、このエッジ位置を基準としてカラー検査画像中の撮像エリアαを特定する。
【0036】
より具体的には、カラー検査画像を取り込んだコンピュータ(図示せず)により、第3照明光Gの反射光gの撮像を追尾し、この撮像をカール部32のエッジとして、このエッジから所定幅の範囲を撮像エリアαとして割り出す。この撮像エリアα内に存在する第1照明光Rの反射光rおよび第2照明光Bの反射光bの撮像を認識し、その結果から凹凸形状を判別する。また、第3照明光Gの反射光gの撮像の変位がカール部32の半径方向の変位の所定値を超える場合には、エッジ異常の不良と判別する。
【0037】
また、カール部32のエッジ部分に打痕34などの凹凸形状が形成されている場合、図8に示すように、打痕34の形状に応じた形状の反射光gが生じるので、このような形状の反射光gを検出することにより、カール部32のエッジ部分に形成された打痕34等を検出することができる。
【0038】
さらに、カール部32のエッジ部分に形成された傷35などの凹凸形状は、第3照明光Gの乱反射を生じさせるので、このような乱反射を検出することにより、カール部32の外周面の傷35を検出することができる。また、図9に示すように局所的な湾曲部36が形成されている場合、その形状に応じてエッジ検出エリアβの反射光gも湾曲形状を示すので、このような形状を検出することにより、カール部32の湾曲部36を検出することができる。
【0039】
また、検査装置100の各検査手段では、ボトル缶30を各回転手段40,50によって回転させることにより、口金部31の全周を走査することができる。
2次検査工程においては、ボトル缶30bの缶軸Xと2次回転手段50の回転軸Yとがずれていると、ボトル缶30bの回転に伴い、図10に示すように、2次撮像手段54によって撮像されたカラー検査画像において、カール部32の位置が大きく蛇行してしまい、カール部32の湾曲等の不良を発見しにくくなってしまう。しかしながら、2次検査手段20においては、エッジ検出エリアβからの緑色の反射光gがカール部32のエッジ位置Eを示しているので、この反射光g(すなわちエッジ位置E)を追うことにより、カール部32を特定しながら検査ができる。また、緑色の反射光gの局所的な変形37を検出することにより、カール部32の湾曲変形等の不良を検出することができる。
【0040】
図10および図11に、2次検査工程においてボトル缶30bを回転させながら撮像することにより得られる口金部31のカラー検査画像を示す。このカラー検査画像において、ボトル缶30bの缶軸Xが2次回転手段50の回転軸Yに対して距離dだけずれている場合、エッジ位置Eは、その偏心量に等しい幅dで緩やかに蛇行する(図10)。これに対し、口金部31が変形している場合には、図11に示すように、エッジ位置E全体の湾曲形状とは明確に異なる形状の、局所的な変形37が発生する。したがって、このような変形37の検出によりカール部32の湾曲部分を容易に検出できるので、ボトル缶30bが偏心回転しても、カール部32を正確に認識しながら、不良形状を確実に検出することができる。
【0041】
ここで、カラー検査画像における凹凸形状の検出について図12を参照して説明する。カール部32の表面が平坦である場合、赤い第1照明光Rの反射光rと青い第2照明光Bの反射光bとが混合して2次撮像手段54に入射し、紫色の反射光pが検出される。カール部32に付着した汚れ、圧延模様などの凹凸のない色模様の部分についても、第1照明光Rと第2照明光Bとが反射するため、紫色の反射光pが検出される。しかしながら、カール部32に各照明光R,Bの入射を妨げるたとえば凹み33のような凹凸形状がある場合は、各照明光R,Bが異なる方向から照射されていることから、凹凸形状に応じていずれか一方の照明光の反射光のみが2次撮像手段54によって検出される部分が生じる。このため、混合色でない反射光b,rを検出することにより、色模様を検出せずに凹凸形状のみを検出することができる。
【0042】
図12に示すように、カール部32に凹み33がある場合、第1照明光Rは凹み33の内面の非反射部33aに照射されない。このため、第1照明光Rによる赤色の反射光rは、この非反射部33aが影となって2次撮像手段54に入射する。一方、第1照明光Rとは異なる方向から照射される第2照明光Bは、凹み33の内面の非反射部33bに照射されない。このため、第2照明光Bによる青色の反射光bは、この非反射部33bが影となって2次撮像手段54に入射する。つまり、非反射部33aからは青色の反射光b、非反射部33bからは赤色の反射光rが2次撮像手段54に入射する。
【0043】
これら第1照明光Rおよび第2照明光Bが同時に照射されることにより、図12に示すように、カール部32において凹凸形状のない平坦な部分からは、混色の反射光pが検出される。一方で、凹み33の内面からは、赤色の反射光rおよび青色の反射光bが検出される。したがって、各照明光R,Bの各色に応じた単色の反射光b,rが検出された部分に、凹み33のような凹凸形状が生じていることがわかる。特に、第1照明光Rと第2照明光Bとが互いに補色の関係を有することにより、単色の反射光r,bが明確に検出されるので、凹凸形状を確実に検出することができる。
【0044】
以上説明したように、本発明の検査装置によれば、白色光による1次検査工程で高速に検査しながら、凹凸形状を有するか否かに関わらず低輝度領域が検知されたボトル缶を全て排除し、そのボトル缶だけをカラー検査画像による2次検査工程で精密に検査することで、傷等の凹凸形状を有するボトル缶を確実に排除できるとともに、検査の処理時間を短縮することができる。
【0045】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
たとえば、前記実施形態の検査装置においては、主搬送路および副搬送路ともそれぞれを一経路のみ設ける構成としていたが、それぞれ複数並列に設けてもよい。複数並列に設けることで、複数のボトル缶に対して同時に検査を行うことができ、検査の処理時間をさらに短縮することができる。
【0046】
また、前記実施形態の検査装置においては、第1照明光および第2照明光を照射する撮像エリアをカール部の天面に設定し、第3照明光をカール部の外周面に対して照射するように設定したが、この実施形態とは反対に、図13に示すように、撮像エリアαをカール部32の外周面に設定し、エッジ検出エリアβをカール部32の天面に設定してもよい。この場合、カール部32の外周面に形成された凹凸形状を色模様等とは区別して検出できるとともに、カール部32の天面高さがばらつくような変形等の不良を検出できる。
【0047】
また、前記実施形態の検査装置においては、第1照明手段および第2照明手段を1組備える構成とし、第1照明光および第2照明光を口金部の外周側からカール部の天面に向けて照射したが、第1照明手段および第2照明手段を複数組備えてもよい。たとえば、カール部の天面が凸湾曲形状である場合、各照明光が凸面によって遮られてしまうため、カール部天面の内周側を照射できない。このため、カール部の天面の外周側の凹凸形状は検出できるが、内周側の凹凸形状の検出が困難である。
【0048】
このような場合、図14および図15に示すように、口金部31の外周側からカール部32の天面に向けて照明光を照射する第1照明手段51および第2照明手段52に加えて、口金部31の内周側からカール部32の天面に向けて照明光を照射する2組目の第1照明手段51Aおよび第2照明手段52Aを備えることにより、カール部32の天面を広い範囲にわたって検査することができる。
【符号の説明】
【0049】
100 口金部検査装置
10 1次検査手段
20 2次検査手段
30,30a,30b,30c ボトル缶
31 口金部
32 カール部
33 凹み
33a,33b 非反射部
34 打痕
35 傷
36 湾曲部
37 変形
40 1次回転手段
41 白色光照明手段
42 1次撮像手段
43 1次判定手段
50 2次回転手段
51,51A 第1照明手段
52,52A 第2照明手段
53 第3照明手段
54 2次撮像手段
55 2次判定手段
R 第1照明光
B 第2照明光
G 第3照明光
r 赤色の反射光
b 青色の反射光
g 緑色の反射光
p 紫色の反射光
X 缶軸
Y 回転軸
α 撮像エリア
β エッジ検出エリア
E エッジ位置
T 天面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナー付キャップを被嵌するために開口端を外方へ向かってカールさせたカール部が設けられた円筒状の口金部を有するボトル缶について、前記ボトル缶を缶軸まわりに回転させながら前記カール部の一部を含むように設定された撮像エリアを撮像して前記カール部の凹凸形状を検出する方法であって、主搬送路に沿って連続的に順次搬送される前記ボトル缶の前記撮像エリア内の前記カール部に対して白色光を照射して撮像を行い、得られた白黒検査画像から低輝度領域の有無を検知して、該低輝度領域が検知されたボトル缶を排除する1次検査工程と、前記1次検査工程によって排除されたボトル缶を前記主搬送路から退避した副搬送路に沿って順次搬送しながら、前記撮像エリア内の前記カール部に対して、前記口金部の円筒面略接線方向に沿って2色の照明光をそれぞれ異なる方向から照射して撮像を行い、得られたカラー検査画像の各光色の信号強度から前記カール部における前記凹凸形状の有無を判別し、ボトル缶の良否を判定する2次検査工程とを備えることを特徴とするボトル缶の口金部検査方法。
【請求項2】
前記2次検査工程では、前記カール部における前記2色の照明光が照射された部分に対して、前記2色の照明光とは異なる光色の第3照明光を、前記第2の照明光に交差する方向から照射することを特徴とする請求項1記載のボトル缶の口金部検査方法。
【請求項3】
ライナー付キャップを被嵌するために開口端を外方へ向かってカールさせたカール部が設けられた円筒状の口金部を有するボトル缶について、前記ボトル缶を缶軸まわりに回転させながら前記カール部の一部を含むように設定された撮像エリアを撮像して前記カール部の凹凸形状を検出する装置であって、ボトル缶を順次搬送する主搬送路と、前記主搬送路に沿って連続的に順次搬送される前記ボトル缶の前記撮像エリア内の前記カール部に対して白色光を照射して撮像を行い、得られた白黒検査画像から低輝度領域の有無を検知して、該低輝度領域が検知されたボトル缶を排除する1次検査手段と、前記1次検査手段によって排除されたボトル缶を搬送する副搬送路と、前記副搬送路に沿って前記ボトル缶を順次搬送しながら、前記撮像エリア内の前記カール部に対して2色の照明光をそれぞれ異なる方向から照射して撮像を行い、得られたカラー検査画像の各光色の信号強度から前記カール部における前記凹凸形状の有無を判別し、ボトル缶の良否を判定する2次検査手段とを備えることを特徴とするボトル缶の口金部検査装置。
【請求項4】
前記1次検査手段は、前記ボトル缶を保持して缶軸まわりに回転させる1次回転手段と、前記撮像エリア内の前記カール部に対して白色光を照射する白色光照明手段と、前記撮像エリアを白黒で撮像する1次撮像手段と、前記1次撮像手段により得られた白黒検査画像から低輝度領域を検知し、その検知結果に基づきボトル缶を排除する1次判定手段とを備え、前記2次検査手段は、前記1次検査手段によって排除されたボトル缶を保持して缶軸まわりに回転させる2次回転手段と、該ボトル缶の撮像エリア内の前記カール部に対して、前記口金部の円筒面略接線方向に沿って第1照明光を照射する第1照明手段と、前記カール部における前記第1照明光が照射された部分に対して、前記第1照明手段とは異なる光色の第2照明光を、前記撮像エリアを挟んで前記第1照明光の反対側から、前記口金部の前記略接線方向に沿って照射する第2照明手段と、前記撮像エリアをカラーで撮像する2次撮像手段と、前記2次撮像手段により得られたカラー検査画像の各光色の信号強度に基づき凹凸形状の有無を判別し、ボトル缶の良否を判定する2次判定手段とを備えることを特徴とする請求項3記載のボトル缶の口金部検査装置。
【請求項5】
前記2次検査手段は、前記カール部における前記2色の照明光が照射された部分に対して、前記2色の照明光とは異なる光色の第3照明光を、前記2色の照明光に交差する方向から照射する第3照明手段を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載のボトル缶の口金部検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−251930(P2012−251930A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126217(P2011−126217)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【出願人】(305060154)ユニバーサル製缶株式会社 (219)
【Fターム(参考)】