説明

ボトル

【課題】ボトルの減圧吸収性能を維持しつつ、ボトルのハンドリング性を向上させることができる。
【解決手段】胴部13は、径方向の内側に向けて窪むパネル部15が周方向に間隔をあけて複数形成され、パネル部15の径方向の内側に位置する底壁部21はボトル軸O方向に沿う縦断面形状が平坦面に形成され、胴部13において、周方向で隣り合うパネル部15同士の間に位置する部分に柱部16が配置され、底部14の胴部13と接地部17とを連結してボトル軸O方向に延設されるヒール壁部18のうち少なくとも胴部13の柱部16に接続された部分は、胴部13側の上方から接地部17側の下方に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて延びる傾斜壁面19とされ、底壁部21の下端部には、径方向の外側に向けて突出する第1突部23が、パネル部15の下端縁15aとの間にボトル軸O方向の隙間を設けた状態で配設された構成のボトル1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、合成樹脂材料で有底筒状に形成されたボトルとして、例えば下記特許文献1に示されるように、カップ状の底部と、筒状の胴部と、筒状の口部、がボトル軸方向に沿ってこの順に連設されてなり、胴部に、その径方向の内側に向けて凹んだパネル部が周方向に間隔をあけて複数形成された構成が知られている。
この構成によれば、例えばボトルに密封された内容物の温度が低下してボトル内が減圧された場合に、パネル部が径方向の内側に向けて優先的に変形することで、ボトル内の減圧を吸収するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3942803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来のボトルでは、ボトル内の減圧吸収性能を維持しつつ、ハンドリング性を向上させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ボトルの減圧吸収性能を維持しつつ、ボトルのハンドリング性を向上させることができるボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係るボトルは、カップ状の底部と、筒状の胴部と、筒状の口部と、がボトル軸方向に沿ってこの順に連設されたボトルであって、前記胴部は、ボトル軸方向に沿って外側から内側に向かうに従い漸次縮径し、該胴部には、その径方向の内側に向けて窪むパネル部が周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、該パネル部において径方向の内側に位置する底壁部は、ボトル軸方向に沿う縦断面形状が平坦面に形成され、前記胴部において、周方向で隣り合う前記パネル部同士の間に位置する部分に柱部が配置され、前記底部は、前記胴部と接地部とを連結してボトル軸方向に延設されるヒール壁部を備え、該ヒール壁部のうち、少なくとも前記胴部の柱部に接続された部分は、胴部側の上方から接地部側の下方に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて延びる傾斜壁面とされ、前記パネル部の前記底壁部における下端部には、径方向の外側に向けて突出する第1突部が、該パネル部の下端縁との間にボトル軸方向の隙間を設けた状態で配設されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係るボトルによれば、胴部がボトル軸方向の外側から内側に向けて漸次縮径している。つまり、前記胴部におけるボトル軸方向の中央部が縮径部(最小径)となっているので、ボトルを把持する際のハンドリング性を向上させることができる。
しかも、パネル部の底壁部を平坦面に形成したので、胴部と同様に軸方向の外側から内側に向けて漸次縮径させて底壁部を形成した場合に比べて、径方向の内側への底壁部の変形量を大きく確保し易くすることができるとともに、パネル中央部に応力が集中し易くなるのを抑えることができる。
【0008】
ところで、胴部が、ボトル軸方向に沿って外側から内側に向かうに従い漸次縮径し、かつパネル部の底壁部が、ボトル軸方向に沿う縦断面形状が平坦面に形成されているので、パネル部の底壁部のうちボトル軸方向の両端部で、径方向の内側に向けた窪み量が最も大きくなる。したがって、このボトルが多数本連立された状態で搬送される過程において、一方のボトルにおける前記ヒール壁部の傾斜壁面が、他方のボトルにおける胴部の下端部に圧接したときに、他方のボトルにおけるパネル部の下端部内に進入し易くなり、一方のボトルが倒れ易くなるおそれがある。
しかしながら、本発明では、パネル部の底壁部における下端部に、径方向の外側に向けて突出する第1突部が配設されているので、このボトルが多数本連立された状態で搬送される過程において、一方のボトルにおける前記ヒール壁部の傾斜壁面が、他方のボトルにおけるパネル部の下端部内に進入しようとしても、前記第1突部によって阻止することが可能になり、一方のボトルが倒れるのを防ぐことができる。
【0009】
さらに、第1突部が、パネル部の底壁部に、該パネル部の下端縁との間にボトル軸方向の隙間を設けた状態で配設されているので、ボトル内の減圧時に、第1突部を含めたパネル部の全体を径方向の内方に向けて変位させることが可能になり、第1突部をパネル部に設けたことによる減圧吸収性能の低下を防ぐことができる。
【0010】
また、上記発明のボトルにおいて、前記底部から胴部にわたる部分は、パネル面部と該パネル面部よりも周方向の大きさが小さいコーナー面部とが周方向に交互に連設された横断面視多角形状に形成され、前記パネル部は、前記胴部のパネル面部に形成されるとともに、前記柱部は、前記胴部のコーナー面部とされ、該ヒール壁部のうち、前記胴部のコーナー面部に接続された部分が前記傾斜壁面となっていることが好ましい。
【0011】
この場合には、ヒール壁部のうち、胴部のコーナー面部に接続された部分が前記傾斜壁面となっているので、このボトルが多数本連立された状態で搬送される過程において、一方のボトルにおけるヒール壁部の傾斜壁面が、他方のボトルにおけるパネル部の下端部内に特に進入し易くなるが、上述したようにパネル部の底壁部における下端部に第1突部が配設されているため、前記ヒール壁部の傾斜壁面の進入を他方のボトルの第1突部によって阻止することが可能となり、前述したボトルの倒れ込みを有効に防止することができる。
【0012】
また、上記発明のボトルにおいて、前記パネル部の前記底壁部における上端部には、径方向の外側に向けて突出する第2突部が、前記パネル部の上端縁との間にボトル軸方向の隙間を設けた状態で配設され、該第2突部は、前記胴部の上端部における外周面よりも径方向の内側に位置していることが好ましい。
【0013】
この場合には、パネル部の底壁部における上端部に、胴部の上端部における外周面よりも径方向の内側に位置する第2突部が配設されているので、このボトルをブロー成形により形成する過程で、合成樹脂材料を、キャビティ内において、胴部の上端部を形成する部分と、パネル部の底壁部を形成する部分との間に、その中間高さとなる第2突部を形成する部分を配置することにより、この合成樹脂材料を無理なく延伸させることが可能になり、例えば成形性の悪化を抑制することができる(賦形性に優れる)。
【0014】
また、上記発明のボトルにおいて、前記パネル部は、胴部におけるボトル軸方向の略全長にわたって配設され、該パネル部の下端縁、および前記胴部の下端縁それぞれのボトル軸方向に沿う位置が互いに同等になっていることが好ましい。
【0015】
この場合には、パネル部の下端縁、および胴部の下端縁それぞれのボトル軸方向に沿う位置は互いに同等になっているので、減圧吸収能力を向上させることが可能であるが、このボトルが多数本連立された状態で搬送される過程において、一方のボトルにおけるヒール壁部の傾斜壁面の上端縁と、他方のボトルにおけるパネル部の下端縁と、が互いに摺接し合うこととなる。したがって、一方のボトルにおけるヒール壁部の傾斜壁面が、他方のボトルにおけるパネル部の下端部内により一層進入し易くなるので、前述したボトルの倒れ込みをより一層有効に防止することができる。
【0016】
また、上記発明のボトルにおいて、前記パネル部の前記底壁部における下端部には、前記第1突部が前記パネル部の周端縁との間に周方向の隙間を設けた状態で配設されていることが好ましい。
【0017】
この場合には、ボトル内の減圧時に、第1突部を含めたパネル部の全体を径方向の内方に向けてより一層容易に変位させることが可能になり、第1突部をパネル部に設けたことによる減圧吸収性能をより確実に発揮させることが可能になる。
また、前記第2突部を、前記パネル部の周縁端との間に周方向の隙間を設けた状態で配設した場合にも同様の効果が得られるため、両突部を周方向の隙間を設けた状態で配設することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るボトルによれば、ボトルの減圧吸収性能を維持しつつ、ボトルのハンドリング性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態を説明するためのボトルの側面図である。
【図2】図1に示すA−A線に沿う縦断面図である。
【図3】図1に示すB−B線に沿う横断面図である。
【図4】他の実施形態によるボトルの側面図である。
【図5】図4に示すC−C線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るボトルの実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1および図2に示すように、本実施形態のボトル1は、筒状の口部11、肩部12、筒状の胴部13、カップ状の底部14を備え、これら11〜14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。
【0022】
以下、上述した共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸O方向に沿って口部11側を上側、底部14側を下側といい、また、ボトル軸Oに直交する方向を径方向といい、ボトル軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0023】
なお、ボトル1は、射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームが、ブロー成形されて形成され、合成樹脂材料で一体に形成されている。また、口部11には、図示されないキャップが装着される。さらに、肩部12、胴部13及び底部14はそれぞれ、ボトル軸Oに直交する横断面視形状が略正方形状となっている。
【0024】
胴部13は、ボトル軸O方向に沿って外側から内側に向かうに従い漸次縮径する形状をなしている。この胴部13には、その径方向の内側に向けて窪むパネル部15が周方向に間隔をあけて複数形成されている。そして、パネル部15において、径方向の内側に位置する底壁部21は、ボトル軸O方向に沿う縦断面形状が平坦面に形成されている。また、胴部13において、周方向で隣り合うパネル部15同士の間に位置する部分には、パネル部15より周方向の大きさが小さく、ボトル軸O方向に沿って延びる柱部16が配置されている。すなわち、胴部13には、図3に示すように、凹形状のパネル部15と凸形状の柱部16とが周方向に交互に配設されている。
【0025】
底部14から胴部13にわたる部分は、パネル面部Tとパネル面部Tよりも周方向の大きさが小さいコーナー面部Rとが周方向に交互に連設された横断面視多角形状に形成され、パネル部15が胴部13のパネル面部Tに形成されるとともに、柱部16が胴部13のコーナー面部Rとされている。
【0026】
パネル部15は、胴部13におけるボトル軸O方向の略全長にわたって配設され、パネル部15の下端縁15a、および胴部13の下端縁それぞれのボトル軸O方向に沿う位置が互いに同等になっている。パネル部15は、径方向の外側から見てボトル軸O方向を長手方向とする矩形状に形成された前記底壁部21と、底壁部21を全周にわたって取り囲むように立設された側壁部22と、を有している。
【0027】
底壁部21は、パネル部15における径方向の内側に位置しており、上述したように、ボトル軸Oに沿う縦断面視形状が平坦面に形成されるとともに、ボトル軸Oに直交する横断面視形状も平坦面に形成されている。底壁部21には、周方向の中央部分にボトル軸O方向に沿って延びる第1縦溝25が設けられている。
【0028】
図1〜3に示すように、側壁部22のうち、周方向の両側に位置してボトル軸O方向に延びる一対の縦側壁部22aは、径方向の内側から外側に向かうにつれ周方向の外側(各縦側壁部22aが互いに離間する方向)に向けて傾斜する傾斜面とされている。一方で、側壁部22のうち、ボトル軸O方向の両側に位置して周方向に延びる一対の横側壁部22bは、径方向の内側から外側に向かうにつれボトル軸O方向の外側(各横側壁部22bが互いに離間する方向)に向けて傾斜する傾斜面とされている。
【0029】
パネル部15の底壁部21における下端部には、径方向の外側に向けて突出する第1突部23が、パネル部15の下端縁15aとの間にボトル軸O方向の隙間を設け、かつパネル部15の周端縁15cとの間に周方向の隙間を設けた状態で配設されている。
第1突部23の径方向外表面の位置は、胴部13の下端部における外周面13aと略同等となっている。
第1突部23のうち、ボトル軸O方向の上側に位置して周方向に延びる上側面23aは、径方向の内側から外側に向かうにつれ下側に向けて傾斜するとともにパネル部15の一対の縦側壁部22aに連設する傾斜面とされている。
【0030】
また、パネル部15の底壁部21における上端部には、径方向の外側に向けて突出する第2突部24が、パネル部15の上端縁15bとの間にボトル軸O方向の隙間を設け、かつパネル部15の周端縁15cとの間に周方向の隙間を設けた状態で配設されている。第2突部24は、胴部13の上端部における外周面13aよりも径方向の内側に位置している。すなわち、外周面13a、第2突部24、底壁部21がその順で径方向の内側に多段状に段をなして位置している。第2突部24のうち、ボトル軸O方向の両側に位置して周方向に延びる上側面24aおよび下側面24bは、径方向の内側から外側に向かうにつれそれぞれ下側、上側に向けて傾斜する傾斜面とされている。この下側面24bは、パネル部15の一対の縦側壁部22aに連設している。
【0031】
柱部16は、ボトル軸Oに直交する横断面視形状が略平坦面に形成されている。さらに、柱部16は、胴部13において、ボトル軸O方向における外側から内側にかけて径方向の内側に向けて漸次縮径するくびれ形状をなしている。
柱部16には、周方向に間隔をあけるとともにボトル軸O方向に沿って延びる一対の第2縦溝20が、前記パネル面部Tとの稜線の近傍に設けられている。
【0032】
図1に示すように、底部14は、胴部13と接地部17とを連結してボトル軸O方向に延設されるヒール壁部18を備えている。このヒール壁部18のうち、柱部16に接続された部分は、上方から下方に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて延びる傾斜壁面19を構成している。すなわち、ヒール壁部18のうち、胴部13のコーナー面部Rに接続された部分が傾斜壁面19となっている。
【0033】
以上説明した本実施形態によるボトル1によれば、以下の作用効果を奏する。
このように構成されたボトル1内が減圧されると、パネル部15における底壁部21と側壁部22との接続部分を中心にして、底壁部21が径方向の内側に向かって撓むように変形することになる。すなわち、減圧時にパネル部15の底壁部21を優先的に変形させることで、他の部位(例えば、柱部16や肩部12)での変形を伴うことなく、ボトル1の内圧変化(減圧)を吸収することができる。
【0034】
以上、本実施形態によれば、上記のように構成されたボトル1では、図1に示すように、胴部13がボトル軸O方向の外側から内側に向けて漸次縮径している。つまり、胴部13におけるボトル軸O方向の中央部が縮径部(最小径)となっているので、ボトル1を把持する際のハンドリング性を向上させることができる。
しかも、パネル部15の底壁部21を平坦面に形成したので、胴部13と同様にボトル軸O方向の外側から内側に向けて漸次縮径させて底壁部21を形成した場合に比べて、径方向の内側への底壁部21の変形量を大きく確保し易くすることができるとともに、パネル中央部に応力が集中し易くなるのを抑えることができる。
【0035】
ところで、本実施形態では、胴部13が、ボトル軸O方向に沿って外側から内側に向かうに従い漸次縮径し、かつパネル部15の底壁部21が、ボトル軸O方向に沿う縦断面形状が平坦面に形成されているので、パネル部15の底壁部21のうちボトル軸O方向の両端部で、径方向の内側に向けた窪み量が最も大きくなる。したがって、このボトル1が多数本連立された状態で搬送される過程において、一方のボトル1におけるヒール壁部18の傾斜壁面19が、他方のボトル1における胴部13の下端部に圧接したときに、他方のボトル1におけるパネル部15の下端部内に進入し易くなり、一方のボトル1が倒れ易くなるおそれがある。
しかしながら、図1に示す本実施形態のように、パネル部15の底壁部21における下端部に、径方向の外側に向けて突出する第1突部23が配設されているので、このボトル1が多数本連立された状態で搬送される過程において、一方のボトル1におけるヒール壁部18の傾斜壁面19が、他方のボトル1におけるパネル部15の下端部内に進入しようとしても、前記第1突部23によって阻止することが可能になり、一方のボトル1が倒れるのを防ぐことができる。
【0036】
さらに、第1突部23が、パネル部15の底壁部21に、パネル部15の下端縁15aとの間にボトル軸O方向の隙間を設けた状態で配設されているので、ボトル1内の減圧時に、第1突部23を含めたパネル部15の全体を径方向の内方に向けて変位させることが可能になり、第1突部23をパネル部15に設けたことによる減圧吸収性能の低下を防ぐことができる。
【0037】
また、ヒール壁部18のうち、胴部13のコーナー面部Rに接続された部分が傾斜壁面19となっているので、このボトル1が多数本連立された状態で搬送される過程において、一方のボトル1におけるヒール壁部18の傾斜壁面19が、他方のボトル1におけるパネル部15の下端部内に特に進入し易くなるが、上述したようにパネル部15の底壁部21における下端部に第1突部23が配設されているため、ヒール壁部18の傾斜壁面19の進入を他方のボトル1の第1突部23によって阻止することが可能となり、前述したボトル1の倒れ込みを有効に防止することができる。
【0038】
さらに、パネル部15の底壁部21における上端部に、胴部13の上端部における外周面よりも径方向の内側に位置する第2突部24が配設されているので、このボトル1をブロー成形により形成する過程で、成形性の悪化を抑制することができる。
【0039】
さらにまた、パネル部15の下端縁、および胴部13の下端縁それぞれのボトル軸O方向に沿う位置は互いに同等になっているので、このボトル1が多数本連立された状態で搬送される過程において、一方のボトル1におけるヒール壁部18の傾斜壁面19の上端縁と、他方のボトル1におけるパネル部15の下端縁と、が互いに摺接し合うこととなる。したがって、一方のボトル1におけるヒール壁部18の傾斜壁面19が、他方のボトル1におけるパネル部15の下端部内により一層進入し易くなるので、前述したボトル1の倒れ込みをより一層有効に防止することができる。
【0040】
また、パネル部15の底壁部21における下端部には、第1突部23がパネル部15の周端縁15cとの間に周方向の隙間を設けた状態で配設されているので、ボトル1内の減圧時に、第1突部23を含めたパネル部15の全体を径方向の内方に向けてより一層容易に変位させることが可能になり、第1突部23をパネル部15に設けたことによる減圧吸収性能をより確実に発揮させることが可能になる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0042】
例えば、前記実施形態ではパネル部15の底壁部21の縦断面形状および横断面形状がそれぞれ平坦面、つまり底壁部21がボトル軸O方向に沿う平面形状をなしているが、このような形状であることに限定されることはない。例えば、図4および図5に示すように、底壁部21の一部(符号21A)に平坦面を有するパネル部15であってもかまわない。具体的には、ボトル1Aのパネル部15において、底壁部21は、その矩形状の外周部が縦断面形状および横断面形状がともに平坦面をなす平坦部21Aと、平坦部21Aに囲まれた内側に位置する凸曲部21Bと、を有している。そして、平坦部21Aの外周縁は、側壁部22の縦側壁部22aの内周縁、第1突部23の上側面23aの内周縁、および第2突部24の下側面24bの内周縁に接続されている。凸曲部21Bは、平坦部21Aにおいて、ボトル軸O方向における外側から内側にかけて径方向の外側に向けて漸次突出するとともに、周方向における外側から内側にかけて径方向の外側に向けて漸次突出する凸曲面を有している。すなわち、凸曲部21Bは、下端縁側および上端縁側において第1突部23の上側面23a、第2突部24の下側面24bにそれぞれ平坦部21Aを介して連設されるとともに、凸曲部21Bの周方向の周縁側においてパネル部15の縦側壁部22aに平坦部21Aを介して連設されている。
この場合においても、底壁部21の一部(周縁部)に環状の平坦部21Aを有しているので、上述した実施形態と同様にボトルの減圧吸収性能を維持しつつ、ボトルのハンドリング性を向上させることができるという作用効果が得られる。
【0043】
また、本実施形態では、胴部13や、上記底壁部21の凸曲部21Bなどの曲率半径は適宜設計変更が可能である。
さらに、パネル部15及び柱部16の数や配置等は、ボトル1に要求される強度や減圧吸収容量等を考慮して適宜設計変更が可能である。
さらにまた、上述した実施形態では、肩部12、胴部13および底部14のそれぞれのボトル軸Oに直交する横断面視形状を略正方形状としているが、これに限らず、例えば円形状、あるいは他の多角形状にする等適宜変更してもよい。
【0044】
また、上記実施形態では第2突部24が胴部13の上端部における外周面13aよりも径方向の内側に位置する構成としているが、これに限定されず、第2突部24と前記外周面13aとが径方向で同じ位置(同一平面内)であってもよく、第1突部が胴部の外表面よりも径方向の内方に位置してもよい。
さらに、上記実施形態ではヒール壁部18のうち柱部16に接続された部分に傾斜壁面19を構成しているが、これに限らず、ヒール壁面18における全周にわたって傾斜壁面を設けるようにしてもよい。
【0045】
また、ボトル1を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料や積層構成等、適宜変更してもよい。
【0046】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0047】
1、1A ボトル
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 底部
15 パネル部
16 柱部
18 ヒール壁部
19 傾斜壁面
21 底壁部
22 側壁部
23 第1突部
24 第2突部
21A 平坦部
21B 凸曲部
O ボトル軸
T パネル面部
R コーナー面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ状の底部と、筒状の胴部と、筒状の口部と、がボトル軸方向に沿ってこの順に連設されたボトルであって、
前記胴部は、ボトル軸方向に沿って外側から内側に向かうに従い漸次縮径し、
該胴部には、その径方向の内側に向けて窪むパネル部が周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、該パネル部において径方向の内側に位置する底壁部は、ボトル軸方向に沿う縦断面形状が平坦面に形成され、
前記胴部において、周方向で隣り合う前記パネル部同士の間に位置する部分に柱部が配置され、
前記底部は、前記胴部と接地部とを連結してボトル軸方向に延設されるヒール壁部を備え、
該ヒール壁部のうち、少なくとも前記胴部の柱部に接続された部分は、胴部側の上方から接地部側の下方に向かうに従い漸次径方向の内側に向けて延びる傾斜壁面とされ、
前記パネル部の前記底壁部における下端部には、径方向の外側に向けて突出する第1突部が、該パネル部の下端縁との間にボトル軸方向の隙間を設けた状態で配設されていることを特徴とするボトル。
【請求項2】
請求項1記載のボトルであって、
前記底部から胴部にわたる部分は、パネル面部と該パネル面部よりも周方向の大きさが小さいコーナー面部とが周方向に交互に連設された横断面視多角形状に形成され、
前記パネル部は、前記胴部のパネル面部に形成されるとともに、前記柱部は、前記胴部のコーナー面部とされ、
該ヒール壁部のうち、前記胴部のコーナー面部に接続された部分が前記傾斜壁面となっていることを特徴とするボトル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のボトルであって、
前記パネル部の前記底壁部における上端部には、径方向の外側に向けて突出する第2突部が、前記パネル部の上端縁との間にボトル軸方向の隙間を設けた状態で配設され、
該第2突部は、前記胴部の上端部における外周面よりも径方向の内側に位置していることを特徴とするボトル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のボトルであって、
前記パネル部は、胴部におけるボトル軸方向の略全長にわたって配設され、
該パネル部の下端縁、および前記胴部の下端縁それぞれのボトル軸方向に沿う位置が互いに同等になっていることを特徴とするボトル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のボトルであって、
前記パネル部の前記底壁部における下端部には、前記第1突部が前記パネル部の周端縁との間に周方向の隙間を設けた状態で配設されていることを特徴とするボトル。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−95479(P2013−95479A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239717(P2011−239717)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】