説明

ボビン搬送システム

【課題】自動ワインダー、精紡機及び搬送装置からなるボビン搬送システムにおいて、送り手段に掛かる負担を増大させることなく、状況に応じてボビン搬送速度(単位時間あたりのボビン搬送数量)を増減し、効率的にボビンを装着したトレイを搬送することができるボビン搬送システムを提供する。
【解決手段】自動ワインダー2、精紡機1、前記自動ワインダー2と前記精紡機1との間を連結するボビン搬送路7を有するボビン搬送装置10からなるボビン搬送システムにおいて、該ボビン搬送装置10を、ボビン搬送路7に沿ってボビンBを装着したトレイTを案内する搬送案内部材3と、往復運動して前記トレイTを移動させる移動部材24を有する送り手段4と、から構成し、該送り手段4のボビン搬送数量を変更することで前記ボビン搬送路7上でのボビン搬送速度が前記自動ワインダー2の処理能力に応じて変更可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ワインダー、精紡機及び搬送装置からなるボビン搬送システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動ワインダー、精紡機及び搬送装置からなるボビン搬送システムにおいて、精紡機で生産された精紡ボビンは、ボビンの送り手段としてエアシリンダーを用いる搬送装置によって、精紡ボビンを巻き返して大径の巻取りパッケージを形成する自動ワインダーに搬送されている(例えば、特許文献1)。
精紡ボビンを搬送する際、エアシリンダーのワンストローク当りの送り数量は固定(一個又は二個)であった。このようなエアシリンダーを用いた搬送装置に関しては、例えば特許文献2に記載されているように、トレイの移送路に沿って、一定ストロークで往復運動するロッドに、トレイの基体側面に係合押圧する係合部材を設けたトレイのピッチ送り装置に関する技術が考案されている。
しかし、エアシリンダーの送り数量は固定であることから、上述のような搬送装置においては自動ワインダー側への精紡ボビンの送り数量を増やす必要がある場合、エアシリンダーの駆動速度を上げて、ストローク間隔を短くする必要があった。
【特許文献1】実開平3−110071号公報
【特許文献2】実開昭63−41069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、搬送能力向上のためエアシリンダーのストローク間隔を短くするとエアシリンダーへの負担が大きくなり、エアシリンダーの摺動部等の寿命が短くなり、最悪の場合、早期に破損してしまうという問題点があった。
そこで本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、自動ワインダー、精紡機及び搬送装置からなるボビン搬送システムにおいて、送り手段に掛かる負担を増大させることなく、状況に応じてボビン搬送速度(単位時間あたりのボビン搬送数量)を増減し、効率的にボビンを装着したトレイを搬送することができるボビン搬送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
即ち、請求項1においては、自動ワインダー、精紡機、前記自動ワインダーと前記精紡機との間を連結するボビン搬送路を有するボビン搬送装置からなるボビン搬送システムにおいて、
該ボビン搬送装置を、ボビン搬送路に沿ってボビンを装着したトレイを案内する搬送案内部材と、往復運動して前記トレイを移動させる移動部材を有する送り手段と、から構成し、
該送り手段のボビン搬送数量を変更することで前記ボビン搬送路上でのボビン搬送速度が前記自動ワインダーの処理能力に応じて変更可能に構成されるものである。
【0006】
請求項2においては、前記送り手段のボビン搬送数量の変更をワンストローク単位にするものである。
【0007】
請求項3においては、前記送り手段のボビン搬送数量の変更が、トレイの個数単位で行われるものである。
【0008】
請求項4においては、前記ボビン搬送路のうち、精紡機から自動ワインダーに精紡された前記ボビンを搬送する精紡ボビン搬送路に、前記送り手段を設けたものである。
【0009】
請求項5においては、前記ボビン搬送路のうち、自動ワインダーから精紡機に空の前記ボビンを搬送する空ボビン搬送路に、前記送り手段を設けたものである。
【0010】
請求項6においては、前記送り手段に、ボビン搬送路上を送り手段によって搬送されるトレイの送り位置を検出する位置検出手段を設けたものである。
【0011】
請求項7においては、前記位置検出手段がトレイの送り位置の原点を検出する原点センサと、トレイの送り位置を検出する位置センサにより構成されているものである。
【0012】
請求項8においては、前記送り手段の駆動源をエアシリンダーとしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、送り手段のボビン搬送数量を変更可能とすることにより、ボビン搬送路上でのボビン搬送速度(単位時間あたりのボビン搬送数量)を上げるために送り手段による搬送間隔を短くする必要がなくなるため送り手段の寿命を延ばすことができる。また、自動ワインダーの処理能力又は状況に応じて、ボビン搬送速度を変更することにより、効率的にボビンを搬送することを可能とする。
【0015】
請求項2においては、該送り手段のワンストローク単位のボビン搬送数量を変更することで移動部材の速度を変更せずに、搬送速度を変更することができる。
【0016】
請求項3においては、ボビン搬送数量の変更が容易に行える。
【0017】
請求項4においては、効率的に自動ワインダーにボビンを搬送することを可能とする。
【0018】
請求項5においては、効率的に精紡機にボビンを搬送することを可能とする。
【0019】
請求項6においては、位置検出手段により、送り手段によるボビン搬送数量を認識できる。その結果、自動ワインダーの処理能力又はシステム全体の状況に応じて、ボビン搬送速度(単位時間あたりのボビン搬送数量)を確実に変更することができるため、システム全体を効率的に稼動させることができる。
【0020】
請求項7においては、位置検出手段の構成を簡素化できる。また、トレイの送り位置を正確に確認することが可能である。
【0021】
請求項8においては、エアシリンダーを用いたことで、複雑な駆動機構を必要とせずメンテナンスが簡素化できる。また、エアシリンダーは規定値以上の圧力を出力することがないので、駆動機構を破損することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係るボビン搬送システムを示す平面図、図2は同じく側面図、図3は送り手段(一個送り)を示す平面図、図4は送り手段(二個送り)を示す平面図、図5はボビン搬送システムの制御手段を示すブロック図、図6はトレイの外側側面を押動する押動レバーを示す概略図、図7はタイミングベルト上に押動レバーを配置した送り手段の別実施例を示す概略図、図8はボールねじ上に押動レバーを配置した送り手段の別実施例を示す概略図、図9は自動ワインダーを示す平面図、図10は自動ワインダーのボビン処理部を示す平面図、図11はガイド板を示す断面図である。
【0023】
図1を用いて、ボビン搬送システムの実施の一形態である精紡機1と自動ワインダー2との連結システムに本発明を適用した例について説明する。
まず、ボビン搬送システムは、自動ワインダー2、精紡機1及びボビン搬送装置10から構成されている。精紡機1と自動ワインダー2との間は、往路と復路からなる2本のボビン搬送路7により連結され、ボビンBはボビン搬送媒体であるトレイTに装着され、精紡機1、自動ワインダー2及びボビン搬送路7(7a、7b)を搬送される。
【0024】
また、精紡機1で生産された精紡ボビン(以下、実ボビン)B1を精紡機1から搬出する搬出コンベア5と自動ワインダー2内へと実ボビンB1を搬入する搬入コンベア6とが、前記ボビン搬送路7の往路である精紡ボビン搬送路(以下、実ボビン搬送路)7aを介して接続されている。また、自動ワインダー2から空ボビンB0を搬出する搬出コンベア8と精紡機1内へと空ボビンB0を搬入する搬入コンベア9とが、前記ボビン搬送路7の復路である空ボビン搬送路7bを介して接続されている。
【0025】
そして、トレイTに装着されたボビンBは、精紡機1の本体→搬出コンベア5→実ボビン搬送路7a→搬入コンベア6→自動ワインダー2の本体→搬出コンベア8→空ボビン搬送路7b→搬入コンベア9→精紡機1の本体、という順路で搬送されていき、該順路は循環路を形成している。
【0026】
精紡機1は多数のスピンドル(図示せず)と、精紡機1の制御手段となるコントローラ1a(図5)を備えており、糸を紡出して一斉に巻き取り、一斉に玉揚げした後、実ボビンB1としてボビン搬送路7の往路となる実ボビン搬送路7aへ払出す。ボビン搬送装置10は、実ボビン搬送路7aへ払出された実ボビンB1を、自動ワインダー2へと搬送する。
【0027】
また、自動ワインダー2へと至る前記実ボビン搬送路7aの先には口出し装置等を備えたボビン処理部2bが設けられている。実ボビンB1を、前記口出し装置において、糸端を捕捉して、該糸端を実ボビンB1のチューブ内に挿入する口出し処理をすることにより、自動で口出し等を行い人手を介することなく自動ワインダー2で処理できるようにしている。
自動ワインダー2には実ボビンB1からの糸を巻き返して大径のパッケージを形成する巻取ユニット(図示せず)が多数設けられている。
【0028】
自動ワインダー2で実ボビンB1の精紡糸がパッケージ(図示せず)に巻き返された後に発生する空ボビンB0は、搬出コンベア8、ボビン搬送路7の復路となる空ボビン搬送路7b及び搬入コンベア9を順に通って、精紡機1に戻される。空ボビンB0を精紡機1に戻す空ボビン搬送路7bの精紡機1近傍では、空ボビンB0はトレイTに装着された状態で空ボビン搬送路7bに沿って一列に連続して整列している。ボビン搬送装置10は、この空ボビンB0のうちの所定数を精紡機1に同時に搬送する。
そして、前述のように精紡機1を稼動させ、空ボビンB0に精紡糸を巻き取って実ボビンB1をつくる。
なお、前記ボビン搬送装置10は、ボビンBを装着していないトレイTのみを搬送することもある。
【0029】
次に、図1、図2を用いて、精紡機1と自動ワインダー2との間に設けられたボビン搬送装置10について説明する。
ボビン搬送装置10は、ボビン搬送路7(7a、7b)に沿って、ボビンBを載せたトレイTを移動自在に案内するガイド手段である搬送案内部材3と、そのトレイTを搬送方向Aに押動する送り手段4と、ボビン搬送装置10の制御手段となるコントローラ34(図5)とにより主として構成されている。また、前記ボビン搬送路7は、下方に迂回して形成される形状となっている。
また、図2に示すように自動ワインダー2と精紡機1との間には、その床面11よりも掘り下げられた地下搬送路12が形成され、搬送路7a、7bの途中に形成された迂回部13を収容する形になっている。この地下搬送路12には、搬送路7a、7bの出入口14を開口した覆板15が着脱自在に設けられており、その上面側で、作業員あるいは台車等の通路16を確保するようになっている。
前記迂回部13は、自動ワインダー2及び精紡機1との接続部17から斜め下方へと延びる傾斜区間18と、傾斜区間18同士を水平に結ぶ水平搬送区間である底辺区間19とで成り、これらは互いに滑らかな曲線で接続されている。
ここで、搬送路7a、7bの始端および終端となる自動ワインダー2および精紡機1は、その高さ位置が同一または異なるものとなっている。また、自動ワインダー2のコンベア6・8の搬送面の床面11からの高さである搬送面高さ、または精紡機1のコンベア5・9の搬送面高さは、前記水平搬送面である底辺区間の搬送面高さとは異なるものとなっている。なお、ここでいう搬送面高さとは床面11を基準面とする高低のことをいう。また、このような搬送路7a、7bの形状に応じて、搬送案内部材3も適宜屈曲されて形成されている。
【0030】
また、搬送案内部材3は、図11に示すようにトレイTを囲むように区画されたガイド板20で形成され、該ガイド板20は底部ガイド板20a(図3)、側部ガイド板20b(図2)、上部ガイド板20c(図3)で構成され、搬送方向Aに連続して延長されている。そして、このガイド板20は、図1に示した接続部17と傾斜区間18とを滑らかにつなぐ屈曲部21において、トレイTの姿勢を変換させるように形成されている。
即ち、屈曲部21のガイド板20は、搬送方向Aを軸として、角度にして90度捻られつつ屈曲するように形成されており、精紡機1と実ボビン搬送路7aとの接続部分となる接続部17において実ボビンB1が起立した姿勢であるトレイTを、傾斜区間18では搬送横断方向に傾倒させて、実ボビンB1を水平にさせるようになっている。つまり、実ボビン搬送路7a及び空ボビン搬送路7bにおいてボビンの軸方向が直立したボビンBを、接続部17からひねりつつ下降(地下ひねり)し搬送方向Aに搬送し、水平にして地下搬送路12で搬送するものである。そうして、地下搬送路12から上昇させる際に、ボビンの軸方向が水平に倒されたボビンBを、徐々にひねりつつ直立した姿勢に戻すのである。
本実施例においては、両搬送路7a、7bの実ボビンB1、空ボビンB0の先端が互いに向き合うように中心側に傾倒されるようになっている。また、水平の底辺区間19においても引き続きトレイTの傾倒姿勢が維持されて、迂回部13全体にわたって傾倒されたまま搬送されるようになっている。
なお、本実施例において迂回部13は、自動ワインダー2及び精紡機1との接続部17から斜め下方へと延びる傾斜区間18と、傾斜区間18同士を水平に結ぶ底辺区間19とで成り、これらは互いに滑らかな曲線で接続している例を示したが、接続部17近傍から略鉛直下方に迂回部13を急峻に形成して、水平方向に対して略垂直をなすように搬送路の鉛直区間を形成して底辺区間19に最短経路で接続するようにすることで底辺区間19をより幅広く確保するように構成してもかまわない。こうすることで、前記通路16の幅をさらに広く確保できるようになる。
また、本実施例では、自動ワインダー2及び精紡機1を結ぶボビン搬送路7a、7bを地下に設ける構成としているが、特に限定するものではなく、自動ワインダー2及び精紡機1を結ぶ搬送路を上方に設ける構成としてもかまわない。例えば、図示しないがボビン搬送路の迂回搬送路を天井部近傍や天井部内に迂回させるように設けて、トレイTをひねりながら上昇させて、ボビンBの軸方向を直立方向から水平方向へと傾けて、水平搬送区間ではボビンBを傾倒させてまま搬送し、続いて傾倒させたボビンBの軸方向を水平方向から直立方向へともどすようにして搬送する構成とすることも可能である。
【0031】
送り手段4は、図1、図2に示したように、実ボビン搬送路7aの精紡機1側の底辺区間19端部近傍と、空ボビン搬送路7bの自動ワインダー2側の底辺区間19端部近傍とにそれぞれ搬送方向Aと略平行になるように配置されている。
なお、本実施例においては前記送り手段4を、搬送路7の底辺区間19に設ける構成としたが、搬送路7の中途部の底辺区間19以外の箇所に設ける構成としてもかまわない。
【0032】
続いて、図3、図4を用いて、送り手段4について説明する。
送り手段4は、詳しくは後述するが、エアシリンダー22の一回の駆動(搬送方向Aの往復運動)でトレイTを一個分搬送(以下、一個送り)する場合(図3)と、同じく一回の駆動でトレイTを二個分搬送(以下、二個送り)する場合(図4)とを、切換え可能に構成されている。つまり、送り手段4は、ワンストローク単位またはトレイ単位でボビンBの搬送数量を変更することができる。
送り手段4は、駆動源となる搬送方向Aに沿って伸縮するエアシリンダー22と、そのピストンロッド23にブラケットを介して固定され、往復運動によりトレイTを移動(搬送)させる移動部材24と、該移動部材24をスライド自在に挿通して搬送方向Aに沿った往復動を案内するガイド部26と、移動部材24の移動を所定位置で規制するストッパ27と、前記移動部材24に支持されてトレイTに係合する押動レバー25とで構成されている。
エアシリンダー22は支持部材22aを介して底部ガイド板20aに固定されている。
【0033】
押動レバー25は、ガイド部26上の移動部材24に、垂直軸25a回りに回動自在に支持されている。また移動部材24には、押動レバー25の先端を、ガイド板20a側に付勢する弾性体の一例であるスプリング28が備えられている。このため、押動レバー25が搬送方向Aに向かって斜め側方を向く状態となり、この押動レバー25の先端部が、底部ガイド板20aに形成されている開口部35より搬送路7a、7b間の中心側に突出する。
そして、押動レバー25の先端は、トレイTの底部に糸端の吹き上げなどのために形成されている凹室29内に進入するようになっている。即ち、エアシリンダー22が搬送方向Aに縮退したときには押動レバー25が凹室29の内壁30を押し、トレイTを搬送方向Aへと移動させる。一方、エアシリンダー22が伸長したときには押動レバー25はトレイTの底部に押さえられて、トレイTを搬送方向Aで押すことなく、その凹室29から離脱する。加えて、そのトレイTの搬送方向A後方に連なっている次のトレイTに係合する(押動レバー25が凹室29内に進入する)。
また、エアシリンダー22は、一つのトレイTを押すことで、連なって搬送されるトレイTの全重量に抗してこれらを移動できるような、十分な押動力を発揮するように形成されている。
なお、上述したように、エアシリンダー22が搬送方向Aに縮退したときには押動レバー25が凹室29の内壁30を押すことで、トレイTが搬送方向Aに移動する構成としているが、特に限定するものではなく、エアシリンダー22の前後を逆方向に配置して、エアシリンダー22が搬送方向Aに伸長したときに押動レバー25が凹室29の内壁30を押すようにすることで、トレイTを搬送方向Aに移動する構成としてもかまわない。
【0034】
また、エアシリンダー22には、図3及び図4に示すように位置検出手段である原点センサ31、位置センサ32及び位置センサ33が設けられている。また図5に示すように前記3点の位置検出手段はボビン搬送装置10の制御手段であるコントローラ34と接続されている。そして、エアシリンダー22の各伸縮位置においての原点位置及び所定の送り位置を検出できるように構成されている。
また、ストッパ27は、移動制止手段として設けられたものである。つまり、エアシリンダー22のワンストローク単位のトレイTの搬送数量(本実施例では一個送り、もしくは二個送り)の設定変更に応じてストッパ27による移動部材24の移動制止箇所を設定できるように構成されている。図3及び図4は同じ送り手段4を示したものであり、図3は一個送りの場合、図4は二個送りの場合を示したものである。図3は搬送数量を一個送りに設定した場合であるが、ガイド部26上のストッパ27の設定位置においては一個送り・二個送り、どちらに切換えられた場合でも対応可能となるように、トレイT一個分の幅、搬送方向Aに向かってスライドした場合は制止せず、トレイT二個分の幅、搬送方向Aに向かってスライドした場合にのみ規制される位置としている。
また、図4は搬送数量を二個送りに設定した場合であり、ガイド部26上のストッパ27の位置は上記一個送りの場合と同様にトレイT二個分の幅、搬送方向Aに向かって移動部材24がスライドした場合に規制される位置としている。
なお、一個送りしか当面使用しないと考えられるような場合には、図3の二点鎖線位置にストッパ27を配置するようにしてもかまわない。
【0035】
そうして、図3に示す原点センサ31と位置センサ32はトレイT一個分の搬送における送り位置検出用として設置されているものである。例えば、エアシリンダー22が搬送方向A後方に最大伸長している場合を原点位置として原点センサ31は検出する。トレイTを押動するためにエアシリンダー22が搬送方向AにトレイT一個分の幅、縮退した場合に、位置センサ32がトレイTの一個送りを完了したと検出するようになっている。
そして、図3に示した一個送りの切換え例においては、主として原点センサ31と位置センサ32による位置検出に基づいて、エアシリンダー22の駆動を制御するものである。
【0036】
即ち、詳述するとエアシリンダー22の原点位置は、エアシリンダー22が搬送方向A後方に最大伸長しているときの位置である。原点センサ31は、エアシリンダー22が原点位置にあるか否かを検出するものである。
また、エアシリンダー22の一個送り位置は、エアシリンダー22が原点位置から搬送方向AにトレイT一個分の幅、縮退したときの位置である。位置センサ32は、エアシリンダー22が一個送り位置にあるか否かを検出する。
一個送りの場合、原点位置にあるエアシリンダー22を搬送方向Aに縮退させてトレイTを送り出し、エアシリンダー22が一個送り位置に到達したことが位置センサ32により検出されると、このエアシリンダー22の駆動を停止するようにコントローラ34により制御される。
また、前述した一個送りしか当面使用しない場合は、エアシリンダー22が一個送り位置より行き過ぎないように、前記ストッパ27が設けられる(図3の二点鎖線で図示する位置)。
【0037】
また、図4に示す原点センサ31と位置センサ33はトレイT二個分の搬送における送り位置検出用として設置されているものである。エアシリンダー22が搬送方向A後方に最大伸長している場合を原点位置として原点センサ31は検出する。トレイTを押動するためにエアシリンダー22が搬送方向AにトレイT二個分の幅、縮退した場合に、位置センサ33がトレイTの二個送りが完了したと検出するようになっている。
図4に示す送り手段4は搬送数量を二個送りに設定した場合であり、ガイド部26上のストッパ27の位置においては、前述したように一個送り・二個送り、どちらに切換えられた場合でも対応可能となるように、トレイT二個分の幅、搬送方向Aに向かってスライドした場合にのみ規制される位置としている。状況に応じて搬送数量を一個送りに設定変更した場合、つまり、トレイT一個分の幅、搬送方向Aに向かってスライドするように変更した場合はストッパ27は移動部材24を規制しない。
そして、図4に示す二個送りの切換え例の場合においては原点センサ31と位置センサ33による位置検出に基づいて、エアシリンダー22の駆動を制御するものである。
【0038】
即ち、詳述するとエアシリンダー22の原点位置は、エアシリンダー22が搬送方向A後方に最大伸長しているときの位置である。原点センサ31は、エアシリンダー22が原点位置にあるか否かを検出する。
また、エアシリンダー22の二個送り位置は、エアシリンダー22が原点位置から搬送方向AにトレイT二個分の幅、縮退したときの位置である。位置センサ33は、エアシリンダー22が二個送り位置にあるか否かを検出する。
二個送りの場合、原点位置にあるエアシリンダー22を搬送方向Aに縮退させてトレイTを送り出し、エアシリンダー22が二個送り位置に到達したことが位置センサ33により検出されると、このエアシリンダーの駆動を停止するようにコントローラ34により制御される。
また、エアシリンダー22が二個送り位置より行き過ぎないように、前記ストッパ27が設けられている。
なお、本実施例では位置センサとして二個送り用までのセンサの配置例を示したが、特に限定されるものではなくエアシリンダーの仕様、センサ設置位置またはセンサ設置数を適宜設定して二個以上複数送るように構成することも可能である。例えば、位置センサは、トレイTの3個分の幅以上、任意の複数個の幅分の送り位置を検出するように配置してもよい。
また、本実施例のように送り手段4に位置検出手段を設けて間接的にトレイTの送り数量を認識するだけでなく、搬送路上にトレイTの位置検出手段(例えば光学式センサ等)を設けて位置検出を直接行うようにする構成としてもかまわない。
また、本実施例においてはトレイTの底部内側部分である内壁30に押動レバー25を係合させてトレイTを押動し搬送する構成としているが、図6の(a)平面概略図(b)側面概略図に示すように押動レバー41をトレイTの底部の外側側面に当接させてトレイTを外側から押動し搬送するような構成としてもかまわない。
また、送り手段4は上記構成に限定されるものではなく、公知の手段であれば任意の構成のものを用いることが出来るものである。以下に具体的な送り手段の別実施例を説明する。
【0039】
次に、送り手段の別実施例について図7、図8を用いて説明する。
図7は、タイミングベルト上に押動レバーを配置した送り手段の別実施例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は送り手段の押動レバー、タイミングベルト及びモータ部分を示す側面図である。図8はボールねじ上に押動レバーを配置した送り手段の別実施例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は送り手段の押動レバー、ボールねじ及びモータ部分を示す側面図である。
例えば、送り手段の駆動機構として、上述したように駆動源としてエアシリンダーを用いるのではなく、図7に示すようなタイミングベルト44上に押動レバー45を支持した移動部材43を配置し、駆動源としてモータ42を用いて、該モータ42の駆動によりタイミングベルト44を搬送方向Aに沿って往復動させる方式としてもかまわない。
また、図8に示すように駆動源としてモータ52を備えた回転運動を往復運動に変換する方式により、ボールねじ56上に押動レバー55を支持した移動部材53を配置して前記モータ52の駆動により移動部材53を搬送方向Aに沿って往復動させる方式としてもかまわない。
また、図示しないが駆動源としてモータを備えたラック・ピニオン機構等による回転運動を往復運動に変換する方式により、ピニオン上に押動レバーを支持した移動部材を配置して前記モータの駆動によりピニオンを搬送方向Aに沿って往復動させる方式としてもかまわない。
なお、上述したような送り手段の別実施例においては、駆動源としてモータを用いているが、該モータをサーボ制御もしくはパルス制御により回転制御を行うことが可能である。例えば、パルス制御で回転制御を行う場合、つまりステッピングモータを使用する場合においては、サーボモータよりも安価に送り手段を構成することが可能である。また、パルス制御による回転制御は、本実施例で用いたエアシリンダー22に位置検出手段を設けた例と同様に、トレイTの送り位置の制御を正確に行うことが可能となる。
また、上述した駆動源としてエアシリンダーを用いない送り手段の別実施例においては、モータを駆動させて押動レバーを搬送方向Aに沿って所定間隔を一往復動させることをワンストロークと定義する。
【0040】
このような構成において、例えば精紡機1によって生産された実ボビンB1のトレイTは、その搬出コンベア5から実ボビン搬送路7aの接続部17に送り込まれ、傾斜区間18を経由して底辺区間19へと入る。この部分に配置された送り手段4のエアシリンダー22が縮退されると、押動レバー25がトレイTの底部を押すことで、それよりも搬送方向A前方のトレイT全部を所定のストローク長の分だけ前進させる。
具体的には、エアシリンダー22を、図3もしくは図4の押動レバー25及び移動部材24が位置している状態(原点位置)から、位置センサ32や位置センサ33により、エアシリンダー22が一個送り位置もしくは二個送り位置に移動したことが検出されるまで駆動させることとなる。
そうして、位置センサ32もしくは位置センサ33により、エアシリンダー22が一個送り位置もしくは二個送り位置に移動したことが検出されるまで、エアシリンダー22を駆動させる。
ここで、随時搬送数量を変更可能とする場合には、前述したように二個送りに相当する位置にストッパ27を固定しておき、二個送りの場合のみ送り位置がずれないように位置規制を行うようになっている。そして、搬送数量を一個送りに変更した場合は、位置規制は行わない。
【0041】
次に、図5を用いてボビン搬送装置10の制御方法について説明する。
前述したように精紡機1は、コントローラ1aを有しており、該コントローラ1aは精紡機1の実ボビンB1の生産状況等の処理状況を随時認識している。また、自動ワインダー2は、コントローラ2aを有しており、該コントローラ2aには後述するボビン検出センサ36、満杯センサ37、ボビンストッパ38及び供給量検知センサ40が接続されている。コントローラ2aは、前記ボビン検出センサ36、満杯センサ37等からの検出信号に基づき自動ワインダー2の処理状況を随時認識している。
また、ボビン搬送装置10は、コントローラ34を有しており、該コントローラ34にはエアシリンダー22が原点位置もしくは一個送り位置もしくは二個送り位置に移動したことを検出する位置検出手段である原点センサ31、位置センサ32及び位置センサ33とエアシリンダー22が接続されている。これらの各センサによりエアシリンダー22の伸縮位置がコントローラ34に伝達される。さらに、各センサによりコントローラ34は自動ワインダー2または精紡機1へのボビンBの搬送数量を認識することができる。
また、前記精紡機1のコントローラ1aと自動ワインダー2のコントローラ2aが、ボビン搬送装置10のコントローラ34に接続されている。
こうして、自動ワインダー2での処理状況が、自動ワインダー2のコントローラ2aからボビン搬送装置10のコントローラ34に伝達される。また、精紡機1の処理状況も、精紡機1のコントローラ1aからボビン搬送装置10のコントローラ34に伝達されるようになっている。
【0042】
次に図9及び図10を用いて自動ワインダーの処理状況の検出方法について説明する。
図9に示すように自動ワインダー2は、ボビン処理部2bと巻取ユニット部2eとで構成されている。該ボビン処理部2bは、循環路39を有しており、実ボビン搬送路7aと接続する搬入コンベア6が、前記循環路39に合流し、該循環路39の途中から分岐してボビン処理部2bにある実ボビン供給路2cと接続している。また巻取ユニット部2eから続く空ボビン搬出路2dが、ボビン処理部2bの循環路39と合流し、該循環路39の途中から分岐して搬出コンベア8に接続している。巻取ユニット部2eは、複数の巻取ユニット(図示せず)を並列に連結したものである。また、巻取ユニット部2eの各巻取ユニットは、実ボビン供給路2cと空ボビン搬出路2dとを接続する通路2g・2g・・・を有している。巻取ユニット部2eの実ボビン供給路2cの終端には実ボビンB1の供給量を検知する供給量検知センサ40が配置されており、前記実ボビン供給路2c終端側からループ状に実ボビン循環路2fが形成されている。
また、図10に示すように前記空ボビン搬出路2dが、循環路39に合流する直前に空ボビンB0を検出するボビン検出センサ36と、循環路39へのボビンB0の流量を規制するボビンストッパ38が設けられている。
また、ボビンストッパ38よりも上流には、空ボビンB0が所定数溜った時にこれを検出する満杯センサ37が設けられている。該満杯センサ37は、所定時間以上継続して空ボビンB0もしくは糸が残っている実ボビンB1を検知した場合に作動する。
【0043】
このような自動ワインダー2の構成により、実ボビンB1がボビン処理部2bの実ボビン供給路2c(図10)から巻取ユニット部2eの実ボビン供給路2cへと搬送されてきた場合、巻取ユニット部2eの通路2gに空きが生じていると、該通路2gに実ボビンB1が供給される。通路2gに空きがなく満杯であると、続けて実ボビン供給路2c上を流れていき、空きがある通路2gがあるまで通路2gへは入らずに搬送されていく。こうして実ボビンB1が終端の通路2gに入らずに通過すると、実ボビン循環路2fへと流入する。巻取ユニット部2eの供給量検知センサ40が、実ボビン循環路2fへと流入してきた実ボビンB1を検知した場合、つまり、具体的には所定時間において所定回数以上実ボビンB1を検知した場合は、通路2gは実ボビンB1で満杯であり、実ボビン循環路2fに実ボビンB1が所定量流れていることとなり、コントローラ2aは実ボビンB1が巻取ユニット部2eにおいて供給過剰であると判断する。また、所定時間において所定回数未満、実ボビンB1を検知した場合は、実ボビンB1が巻取ユニット部2e内に適正量供給されている状態である。そこで、実ボビンB1が供給過剰であると判断された場合は、実ボビン搬送路7aに設けられた送り手段4の送り量を少なくするようにコントローラ34により制御される。
一方、供給量検知センサ40が、実ボビンB1を検知しない場合は、実ボビンB1が供給不足であるため実ボビン搬送路7aに設けられた送り手段4の送り量を多くするようにコントローラ34により制御される。
【0044】
また、巻取ユニット部2eで実ボビンB1の精紡糸がパッケージに巻き返された後に発生する空ボビンB0は、巻取ユニット部2e内の空ボビン搬出路2dへと搬出される。なお、糸が残っている実ボビンB1が空ボビン搬出路2dへと搬出されることもある。そうして、巻取ユニット部2eから続く空ボビン搬出路2dが、循環路39に合流する直前において、コントローラ2aがボビンストッパ38に開閉作動させて空ボビンB0を所定間隔で送り出するように制御する。巻取ユニット部2eでの処理が進行し、前記ボビンストッパ38での空ボビンB0の搬出量よりも、巻取ユニット部2eからの空ボビンB0の搬出量が増加した場合、空ボビンB0が図10に示すようにボビン処理部2bの空ボビン搬出路2d上に貯留されていく。そうして、空ボビンB0が所定量貯留されると、満杯センサ37が空ボビンB0が満杯であることを検知し、その検出信号がコントローラ2aへと送られる。この検出信号に基づきコントローラ2aがボビンストッパ38が開作動する所定時間における回数を多くし、送り量を増やす制御を行うとともに、コントローラ34が空ボビン搬送路7bに設けられた送り手段4の送り量(ボビン搬送数量)を増やすように制御を行う。つまり、コントローラ2aは満杯センサ37により検出された空ボビンB0の貯留量により現在の自動ワインダー2の処理能力を把握する。この自動ワインダー2の処理能力に応じて、コントローラ34は送り手段4の送り量、すなわちエアシリンダー22のワンストローク単位のボビン搬送数量を決定する。さらに、自動ワインダー2の処理能力のみならず、全体状況(精紡機の処理状況も加味した状況)に応じてエアシリンダー22のワンストローク単位のボビン搬送数量を決定してもかまわない。
【0045】
そして、その決定されたボビン搬送数量に応じて、前記各位置センサからの位置検出信号を利用して、エアシリンダー22の駆動を制御する(指定された搬送数量に対応するストローク幅での往復運動を繰り返させる)。つまり、コントローラ34は、ボビン搬送数量(一個送りや二個送り等)に応じて、原点位置以外に、どの位置(一個送り位置か、二個送り位置か)でエアシリンダー22の駆動を停止させるかどうかを決定する。
すなわち、コントローラ34が自動ワインダー2等の処理状況を判断して、必要とされるボビンBの搬送速度の大小を判断し、それに応じて、エアシリンダー22のワンストローク単位のトレイTの搬送数量を変更可能としている。ボビンBの搬送速度を大きくすることが必要とされる場合、コントローラ34は、トレイTを二個送りへ切換えて搬送数量を上げる。逆に、ボビンBの搬送速度を小さくすることが必要とされる場合、コントローラ34は、トレイTを一個送りへ切換えて搬送数量を下げる。
また、本実施例のようにエアシリンダー22のストローク長の異なる送り位置(本実施例では一個送り位置もしくは二個送り位置)に位置センサを設けることで、簡単な装置構成でトレイTの送り位置を検出することができる。
また、本実施例において送り手段4に位置センサを設けているために、電気的にトレイTの送り位置を検出し、駆動装置であるエアシリンダー22の駆動及び停止をコントローラにより制御して送り位置の規制ができるようにしている。そのため、ストッパ27のみの機械的な位置規制による送り位置決めと比較して、トレイTの送り量のずれ等がなくなり搬送精度が高くなる。つまり、ストッパ27のみに依存した送り位置制御で起こっていた、半送り等がなくなるのである。
なお、本実施例においてはボビンBの搬送速度をコントローラ34により自動制御する構成としたが、特に限定するものではなくオペレータが自動ワインダー2や精紡機1の処理状況に把握して、随時手動でボビンBの搬送速度を制御する構成としてもかまわない。
また、本実施例においては、ワンストローク単位のボビン搬送数量を増加させることで、ボビンBの搬送速度を向上させる構成としているが、ボビンBの搬送速度が向上する具体的な理由としては、ボビン搬送が一個送りの場合に対して二個送りの場合、エアシリンダー22を駆動して往復動を行う際の単位時間あたりの移動部材24の移動方向の切替回数が減少して、切替制御に要する時間の短縮が図れるからである。また、原点センサと位置センサが設けられている場合、トレイTを検出する原点センサ及び位置センサの単位時間あたりの検出回数及び検出に要する時間の減少が図れるからである。このような理由により、本実施例においてボビン搬送数量を一個送りから二個送りへと変更すると、搬送速度が2割ほど向上する。一方、ボビン搬送数量を減少させると、上記に示した理由の逆の効果により、搬送速度が下がってしまうのである。
【0046】
こうして、エアシリンダー22のワンストローク長分だけ前進したトレイTは、底辺区間19を水平に搬送された後、自動ワインダー2側の傾斜区間18を上昇し、反対側の接続部17に入る手前の屈曲部21において、再び実ボビンB1が起立する姿勢に転換されて、自動ワインダー2の搬入コンベア6に渡される。
また、自動ワインダー2に巻き取られた後の空ボビンB0を装着したトレイTも、全く同様に、自動ワインダー2の搬出コンベア8から、迂回部13において姿勢転換されつつ下げられ、送り手段4のエアシリンダー22がワンストローク長分縮退することによりトレイTが搬送方向Aへと送られ、屈曲部21において元の姿勢に戻されてから精紡機1の搬入コンベア9へと搬送される。
【0047】
このように、自動ワインダー2と精紡機1との間をボビン搬送路7で連結するとともに、該ボビン搬送路7を含むボビン搬送装置10を有するトレイ搬送システムにおいて、
該ボビン搬送装置10を、ボビン搬送路7に沿ってボビンBを装着したトレイTを案内する搬送案内部材3と、往復運動して前記トレイTを移動させる移動部材24を有する送り手段4と、から構成し、
該送り手段4のワンストローク単位のボビン搬送数量を変更することで前記ボビン搬送路7上でのボビン搬送速度(単位時間あたりのボビン搬送数量)が前記自動ワインダー2の処理能力に応じて変更可能に構成されることにより、ボビンBの搬送速度を上げるためにストローク間隔を短くする(移動部材24の移動速度を上げる)必要がなくなるため送り手段4の寿命を延ばすことができる。また、自動ワインダー2の処理能力又は状況に応じて、移動部材24の往復運動の速度を変更する必要がなく、ボビン搬送速度を変更することにより、効率的にボビンBを搬送することを可能とする。また、搬送数量の変更をトレイTの個数単位(本実施例では、一個送りまたは二個送り)とすると、搬送数量の変更が容易となり、コントローラ34は、確実かつ容易に自動ワインダー2または精紡機1へのボビンBの搬送数量を認識することができる。
【0048】
また、前記ボビン搬送路7が、水平搬送区間である底辺区間19を有しており、該底辺区間19の搬送面高さと、自動ワインダー2または精紡機1のコンベアの搬送面高さとが異なることにより、自動ワインダー2及び精紡機1の設置場所の状況に応じてボビン搬送路7の高さを適宜設定することができる。
【0049】
また、前記ボビン搬送路7の水平搬送区間である底辺区間19を、地下に配置したことにより、自動ワインダー2と精紡機1との間で障害物とならない。また、水平搬送区間上に通路等を設けて、スペースの有効利用が可能となる。
【0050】
また、前記ボビン搬送路7の水平搬送区間である底辺区間19と、自動ワインダー2または精紡機1のコンベアとの間を結ぶボビン搬送路である傾斜区間18において、ボビンの軸方向が直立から水平、もしくは水平から直立となるようにトレイTをひねりながら搬送することにより、ボビン搬送路7の水平搬送区間である底辺区間19においてボビンBの軸方向を水平にすることにより、地下の浅い部分に搬送路を設置することが可能となる。
【0051】
また、前記ボビン搬送路7のうち、精紡機1から自動ワインダー2に精紡された前記ボビンBを搬送する精紡ボビン搬送路7aに、前記送り手段4を設けたので、効率的に自動ワインダー2に実ボビンB1を搬送することを可能とする。さらに、前記ボビン搬送路7のうち、自動ワインダー2から精紡機1に空の前記ボビンB0を搬送する空ボビン搬送路7bに、前記送り手段4を設けたので、搬送能力が増し、効率的に精紡機1に空ボビンB0を搬送することを可能とする。
なお、本実施例では、搬送路7の往路7aと復路7bの2箇所に送り手段4を設けているが、特に限定するものではなく搬送能力等を考慮して搬送路7上に一箇所のみの設置または複数箇所設置する構成としてもかまわない。
【0052】
また、前記送り手段4に、ボビン搬送路7上を送り手段4によって搬送されるトレイTの送り位置を検出する位置検出手段を設けたので、該位置検出手段により、送り手段4によるボビン搬送数量を認識できる。その結果、自動ワインダー2の処理能力又はシステム全体の状況に応じて、ボビン搬送速度(単位時間あたりのボビン搬送数量)を確実に変更することができるため、システム全体を効率的に稼動させることができる。
【0053】
また、前記位置検出手段がトレイTの送り位置の原点を検出する原点センサ31と、トレイTの送り位置を検出する位置センサ32、33により構成されているので、位置検出手段の構成を簡素化できる。また、トレイTの送り位置を正確に確認することが可能である。
【0054】
また、前記送り手段の駆動源をエアシリンダー22としたので、複雑な駆動機構を必要とせずメンテナンスが簡素化できる。また、エアシリンダー22は規定値以上の圧力を出力することがないので、無理な負荷が生じる状態となっても、駆動機構を破損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るボビン搬送システムを示す平面図。
【図2】同じく側面図。
【図3】送り手段(一個送り)を示す平面図。
【図4】送り手段(二個送り)を示す平面図。
【図5】ボビン搬送システムの制御手段を示すブロック図。
【図6】トレイの外側側面を押動する押動レバーを示す概略図
【図7】タイミングベルト上に押動レバーを配置した送り手段の別実施例を示す概略図。
【図8】ボールねじ上に押動レバーを配置した送り手段の別実施例を示す概略図。
【図9】自動ワインダーを示す平面図。
【図10】自動ワインダーのボビン処理部を示す平面図。
【図11】ガイド板を示す断面図。
【符号の説明】
【0056】
1 精紡機
2 自動ワインダー
3 搬送案内部材
4 送り手段
5 搬出コンベア
6 搬入コンベア 7 ボビン搬送路
7a 実ボビン搬送路
7b 空ボビン搬送路
8 搬出コンベア
9 搬入コンベア
10 ボビン搬送装置
19 底辺区間
22 エアシリンダー
24 移動部材
31 原点センサ
32 位置センサ
T トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動ワインダー、精紡機、前記自動ワインダーと前記精紡機との間を連結するボビン搬送路を有するボビン搬送装置からなるボビン搬送システムにおいて、
該ボビン搬送装置を、ボビン搬送路に沿ってボビンを装着したトレイを案内する搬送案内部材と、往復運動して前記トレイを移動させる移動部材を有する送り手段と、から構成し、
該送り手段のボビン搬送数量を変更することで前記ボビン搬送路上でのボビン搬送速度が前記自動ワインダーの処理能力に応じて変更可能に構成されることを特徴とするボビン搬送システム。
【請求項2】
前記送り手段のボビン搬送数量の変更をワンストローク単位にすることを特徴とする請求項1に記載のボビン搬送システム。
【請求項3】
前記送り手段のボビン搬送数量の変更が、トレイの個数単位で行われることを特徴とする請求項2に記載のボビン搬送システム。
【請求項4】
前記ボビン搬送路のうち、精紡機から自動ワインダーに精紡された前記ボビンを搬送する精紡ボビン搬送路に、前記送り手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のボビン搬送システム。
【請求項5】
前記ボビン搬送路のうち、自動ワインダーから精紡機に空の前記ボビンを搬送する空ボビン搬送路に、前記送り手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか一項に記載のボビン搬送システム。
【請求項6】
前記送り手段に、ボビン搬送路上を送り手段によって搬送されるトレイの送り位置を検出する位置検出手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか一項に記載のボビン搬送システム。
【請求項7】
前記位置検出手段がトレイの送り位置の原点を検出する原点センサと、トレイの送り位置を検出する位置センサにより構成されていることを特徴とする請求項6に記載のボビン搬送システム。
【請求項8】
前記送り手段の駆動源をエアシリンダーとしたことを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか一項に記載のボビン搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−247571(P2008−247571A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92538(P2007−92538)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】