説明

ボルトなどの締付け弛緩用延長連結具

【課題】 電動ドリルドライバーやインパクトドライバーに装着可能であると共に、ソケットやドライバービットなどの締付け工具が差替え可能であり、しかも長尺棒状部の強度、耐久性を図り、握支持に好適なボルトなどの締付け弛緩用延長連結具を提供すること。
【解決手段】 作業時に緩く握持する支持部ともなるパイプ状の長尺中空材による棒体部の一方端に、電動工具のドリルチャックやシャンク穴に装着するためのシャンク部を備え、他方端には、ボルト、ナットやネジなどを締付け弛緩するための、ソケットやドライバービット等のシャンク部を装着するチャック機構部を備えたボルトなどの締付け弛緩用延長連結具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドリルドライバーやインパクトドライバーなどの電動工具に取付けて、天井や高壁面などの遠隔箇所のボルトやネジを締付け弛緩するための延長連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のものとしては、数10cm或いはそれ以上の長さを有する角形金属軸部材の一方端に、ドリルやドライバーの着脱機構が設けられた延長ビットと称するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−276225号公報(段落0014以下)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築内装工事における天井や高壁部へのパネルの取付け作業などは、通常足場を構築してからなされるものであるが、足場の安全基準の強化と、これに伴なう建築費の高騰が懸念されることから、前記文献に記載の延長ビットが使用される。
この延長ビットは、長尺金属軸の一方端を電動工具に取付け、他方端の着脱機構部にボルト用のソケットやネジ用のドライバーなどを装着して使用するものであるが、長尺金属軸が電動工具取付部位から先端部位のドライバー等の締付け具まで10数cm或はそれ以上の長さであって、しかも電動工具の装着部に取付けるから細径に形成されているため、この金属軸部が、インパクトドライバーなどの激しい振動による撓みや捩れなどによる折損など、強度、耐久性が危惧され、また長尺となる金属軸部が細径棒状であり、その先端に締付け工具の着脱機構が設けられた構成であることから、緩く握った状態で支えながらの作業にあって先端が重く感じられ作業性が良くない。
【0005】
本発明は前記を考慮して、電動ドリルドライバーやインパクトドライバーに装着可能であると共に、ソケットやドライバービットなどの締付け工具が差替え可能であり、しかも長尺棒状部の強度、耐久性を図り、握支持に好適な延長連結具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するボルトなどの締付け弛緩用延長連結具は、作業時に緩く握持する支持部ともなる、パイプ状の長尺中空材による棒体部の一方端に、電動工具のドリルチャックやシャンク穴に装着するためのシャンク部を備え、他方端には、ボルト、ナットやネジなどを締付け弛緩するための、ソケットやドライバービット等のシャンク部を装着するチャック機構部を備えているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るボルトなどの締付け弛緩用延長連結具は、電動工具に装着するのに好適なシャンク部を備えていると共に、ボルト、ナットやネジを締付け弛緩するための、ソケットやドライバービットなどの締付け工具の差替えに好適なチャンク機構を備え、しかも、建築内装工事などにおける天井や高壁部などの遠隔箇所のボルトやネジの締付け作業において、緩く握って支持することとなる棒体部が、パイプ状中空材からなるものであるから、長尺であることによる撓みや、インパクトドライバーの振動による折損の恐れもなく十分に強度を有すると共に、程好い握り具合の握支持に好適な太さであり、全体的に重量バランスがとれた構成となり、いわゆる持ち重りがせず作業性が良いものである。
【実施例】
【0008】
図は本発明に係るボルトやネジなどの締付け弛緩用延長連結具の一実施例を示すもので、以下各図を参照して説明する。
【0009】
図1は、延長連結具Aの全体正面図で、この延長連結具Aは、長尺の棒体部1と、この棒体部1の一方端に固定された、電動ドリルドライバーのドリルチャックやインパクトドライバーD(以下電動工具と称す)に装着するためのシャンク部2と、他方端に配設された、ボルトやネジを締付け弛緩するためのソケットやドライバービットなどの締付け弛緩工具T(以下締付け工具と称す)を装着するチャック機構部3とが直軸状に配列構成されている。
【0010】
前記棒体部1は、本例においては直径20mmで長さ700〜1000mm程のやや太径丸パイプ状の長尺中空材からなり、シャンク部2は、電動工具Dのチャック部やシャンク穴に挿嵌して装着するための端面6角形のシャンク杆部2aと、これに続く太径の固着端部2bを有し、この固着端部2bが棒体部1の一方端に嵌合された状態で、溶接などの手段により一体状に固定されており、シャンク杆部2aの中程には、電動工具DであるインパクトドライバーDaのスピンドル先端部Dbに設けられた、係止機構におけるシャンク穴に設けられた係合球体が嵌まる半円状の係合周溝2cが形成されている。
なお、シャンク杆部2aは、本例のごとく端面6角形または、4角形などの多角形のほか、テーパー杆状などや丸杆の周面の一部に平面状部が形成された態様などもある。
【0011】
チャック機構部3は、短柱状の軸体部4と、この軸体部4の外周面に沿って軸線方向(図3、上下方向)に移動可能に外嵌された操作筒部5を備え、軸体部4は、上部位の固着端部4aが棒体部1の他方端に嵌合された状態で溶接などの手段により一体状に固定され、中央上下方向の軸心部位には、締付け工具Tの6角シャンク部Taを挿嵌する6角シャンク穴4bが縦設されている。
【0012】
また、軸体部4には、外周壁から6角シャンク穴4bに貫通し、6角シャンク穴4b方向の開口周縁が僅かに小径に形成された横孔4cが穿設されており、この横穴4cには、締付け工具Tの6角シャンク部Taに形成された係合周溝Tbに係止する球体4dが嵌め込まれている。
【0013】
球体4dは、横孔4c内において、外周壁方向開口から没入した状態で、6角シャンク穴4b方向の前記小径開口周縁により抜け止めされて球面の一部が突出した状態となり、6角シャンク穴4b方向開口より没入した状態で、外周壁方向開口より球面の一部が突出するように構成されており、更にこの軸体部4の下端部位には、操作筒部5の抜止め用の止め輪4eが嵌装されている。
【0014】
操作筒部5は、内周面に、軸方向の移動に伴なって軸体部4の球体4dに接離する凸周面部5aと、止め輪4eに当接する凸条5bが周設され、この凸周面部5aの上位段部と軸体部4の上部位の縮径段部との間には、この操作筒部5を下方(図3)に付勢するスプリング6が縮設され、凸周面部5aの下部位には、内周面方向が縮径されたテーパー段部5cが形成されている。
【0015】
そしてこの操作筒部5は、常態においてスプリング6により下方向に付勢され、凸条5bが軸体部4の止め輪4eに当接して軸方向の移動が規制されており、しかも凸周面部5aが軸体部4の横孔4cを塞ぐような位置にあり、これにより球体4dは、6角シャンク穴4bに突出した状態で径方向の移動が規制されている構成となっている。
【0016】
この延長連絡具Aの使用操作は、チャック機構部3の操作筒部5をスプリング6に抗して上方に移動させてから、ソケットやドライバービットなどの締付け工具Tの6角シャンク部Taを軸体部4の6角シャンク穴4bに挿嵌する。
【0017】
前記操作筒部5の上方操作移動により凸周面部5aが軸体部4の横孔4cを塞ぐ位置から外された状態となり、6角シャンク部Taの挿嵌に伴ない横孔4c内の球体4dが押動されて没入して、反対方向の外周壁方向開口より突出した状態となる(図5)。
【0018】
次いで操作筒部5を離すことによりスプリング6の付勢若くは、操作筒部5を降下移動するに伴なって、球体4dが凸周面部5aのテーパー段部5cに沿って押動されて軸体部4における横孔4cの外周壁方向開口から没入すると共に6角シャンク孔4b方向開口から突出して、締付け工具Tの6角シャンク部Taに形成された係合周溝Tbに係止することにより、この締付け工具Tが装着される。
【0019】
次いでシャンク部2のシャンク杆部2aを電動工具D、例えばインパクトドライバーDaの係止機構におけるシャンク穴に挿嵌してスピンドル先端部Dbに装着することにより、このインパクトドライバーDaのスピンドルの回転を、この延長連結具Aを介して締付け工具Tに伝達可能とする。
【0020】
そしてこの延長連結具Aの棒体部1を緩く握った状態で支えて、例えば建築内装工事などにおける天井、高壁部位などの遠隔箇所のボルトやネジに、先端の締付け工具Tを嵌めて、締付け弛緩作業を行なうものである。
【0021】
前記実施例におけるボルトなどの締付け弛緩用延長連結具は、電動ドリルドライバーのドリルチャックやインパクトドライバーのスピンドル先端部に設けられた係止機構など、電動工具に装着するのに好適なシャンク部を備えていると共に、ボルト、ナットやネジを締付け弛緩するための、ソケットやドライバービットなどの締付け工具の差替えに好適なチャンク機構を備え、しかも、建築内装工事などにおける天井や高壁部などの遠隔箇所のボルトやネジの締付け作業において、緩く握って支持することとなる棒体部が、丸パイプ状などの中空材からなるものであるから、長尺であることによる撓みや、インパクトドライバーの振動による折損の恐れもなく十分に強度を有すると共に、程好い握り具合の握支持に好適な太さであり、全体的に重量バランスがとれた構成となり、いわゆる持ち重りがせず作業性が良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】全体正面図。
【図2】図1の部分拡大図。
【図3】チャック機構部の側面断面図。
【図4】図3の底面図。
【図5】締付け工具の装着時を示す側面断面図。
【符号の説明】
【0023】
A 延長連結具
D 電動工具
T 締付け工具
1 棒体部
2 シャンク部
2a シャンク杆部
2c 係合周溝
3 チャック機構部
4 軸体部
4b 6角シャンク穴
4c 横孔
4d 球体
4e 止め輪
5 操作筒部
5a 凸周面部
5b 凸条
5c テーパー段部
6 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業時に緩く握持する支持部ともなる、パイプ状の長尺中空材による棒体部の一方端に、電動工具のドリルチャックやシャンク穴に装着するためのシャンク部を備え、他方端には、ボルト、ナットやネジなどを締付け弛緩するための、ソケットやドライバービット等のシャンク部を装着するチャック機構部を備えていることを特徴とする、ボルトなどの締付け弛緩用延長連結具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−297508(P2006−297508A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119574(P2005−119574)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(390003436)株式会社山下工業研究所 (9)