ボルトアクション銃
【課題】ボルトアクション銃に関し、射撃時のバレル、レシーバー等の関連する金属部品に発生する反動力や衝撃を台木自体の強度を確保して確実に台木により受け止め、金属部品と台木との取付強度に優れ、台木が太径に不体裁にならずにスマートにする。
【解決手段】バレル2と一端部にバレルが結合されて他端部にボルト組立体が収容され下面部にマガジン装着孔が開口されるレシーバー1と、トリガーハウジング4とトリガー保護部6とマガジン挿通孔を有するプレート部9とを備えたトリガーガード10と、マガジン挿通部とトリガーハウジングの収容部とを有する空洞部を備え、レシーバーとトリガーガードとが上下から取り付けられる台木と、を具備し、トリガーハウジングのレシーバーへの取り付けが、取付凹部にトリガーハウジングの上端部が嵌合した状態で行われ、トリガーハウジングが、台木の収容部に当接される。
【解決手段】バレル2と一端部にバレルが結合されて他端部にボルト組立体が収容され下面部にマガジン装着孔が開口されるレシーバー1と、トリガーハウジング4とトリガー保護部6とマガジン挿通孔を有するプレート部9とを備えたトリガーガード10と、マガジン挿通部とトリガーハウジングの収容部とを有する空洞部を備え、レシーバーとトリガーガードとが上下から取り付けられる台木と、を具備し、トリガーハウジングのレシーバーへの取り付けが、取付凹部にトリガーハウジングの上端部が嵌合した状態で行われ、トリガーハウジングが、台木の収容部に当接される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボルトアクション銃に関し、射撃時のバレル、レシーバーよりなる金属部品に発生する反動力や衝撃を確実に受け止め、また、レシーバーを支持する台木の強度を確保し、しかも、台木が太径になって不体裁になるのをなくすものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルトアクション銃として、銃口を一端側に有したバレルの基端部が結合されるレシーバー、該レシーバーの下方に弾の発射を行うトリガーメカニズム、該トリガーメカニズムのトリガーを保護するトリガーガードのような金属部品をそれぞれ台木により支持し、前記台木には下方からマガジンを装着するためのマガジン挿通部をなす空洞部が設けられ、ボルトハンドル操作により、前記レシーバー内にボルト組立体を直線移動させて前記レシーバーの薬室内に弾を装填し、そして、銃の発射後は空薬莢を前記薬室から排出させるものがある(例えば、特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第68205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献に記載のボルトアクション銃では、一端に銃口を有するバレルの基端部が結合されているレシーバーは、台木の上面に取り付けられ、そして、このレシーバーの下部には、トリガーメカニズムが設けられている。銃の発射時のバレル、レシーバーよりなる金属部品に加わる反動力や衝撃力は、レシーバーと当接して支持している台木によって受け止められる。そして、この反動力や衝撃は、射手の肩、腕で受け止められるが、台木にはマガジン装着用の空洞部が設けられているので、この空洞部を設けた部分の台木の強度が低下し、特にレシーバーと当接して支持する前記空洞部を設けた部分の台木の上縁部が破損するおそれがあった。
【0005】
そこで、上記ボルトアクション銃では、台木の強度を高めるために、空洞部の外域に位置する台木の肉厚を厚肉にすることが考えられるが、無闇に台木の肉厚を厚肉にすると、台木が太径になって重量が増大し、外観的に不体裁になっていた。
【0006】
本発明は上記従来の欠点を解決し、射撃時のバレル、レシーバーよりなる金属部品に発生する反動力や衝撃を台木自体の強度を確保して確実に台木により受け止め、また、台木が太径になって外観的に不体裁にならずにスマートにできるボルトアクション銃を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされ、請求項1に記載の発明は、
先端部に銃口を備えると共に基端部に弾薬が装填される薬室を備えたバレルと、
一端部に前記バレルの基端部が結合されると共に他端部にボルトアクションを行うボルト組立体が収容され、そして、下面部にマガジン装着孔が開口されるレシーバーと、
前記レシーバーの下面部の前記マガジン装着孔より射手側に取り付けられ、トリガー機構部を収容したトリガーハウジングと、
トリガーを保護するトリガー保護部と、マガジンが挿通されるマガジン挿通孔を有するプレート部と、を備えたトリガーガードと、
前記マガジンが挿通されるマガジン挿通部と、該マガジン挿通部に連通して形成され前記トリガーハウジングが収容される収容部と、を有する空洞部を備え、前記バレル及び前記トリガーハウジングが取り付けられた前記レシーバーと前記トリガーガードとが上下からそれぞれ装着されて取り付けられる台木と、
を具備したボルトアクション銃であって、
前記トリガーハウジングの前記レシーバーへの取り付けが、前記レシーバーに形成された取付凹部に前記トリガーハウジングの上端部が嵌合した状態で行われ、
前記トリガーハウジングが、前記台木の前記収容部に当接されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記トリガーハウジングの両側面には、前記バレルの軸方向と直交して射手側に面する当接面を有する突起部がそれぞれ形成され、
前記台木の内面には、前記当接面と当接する受け面が形成され、
前記受け面が、前記台木の射手側の肉厚部に形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記レシーバーの両側部には、前記台木の前記マガジン挿通部を形成する壁部の上端縁部と当接する上部庇部が形成され、
前記トリガーガードの前記プレート部の両側部には、前記台木の壁部の下端縁部と当接する下部庇部が形成され、
前記トリガーガードの前記プレート部が、前記マガジン挿通孔を挟んだ前記バレルの軸方向前後位置で前記レシーバーに対して螺着固定されることにより、
前記台木の壁部が、前記上部庇部及び前記下部庇部で上下より挟み込まれて保持されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、先端部に銃口を備えると共に基端部に弾薬が装填される薬室を備えたバレルと、一端部に前記バレルの基端部が結合されると共に他端部にボルトアクションを行うボルト組立体が収容され、そして、下面部にマガジン装着孔が開口されるレシーバーと、前記レシーバーの下面部の前記マガジン装着孔より射手側に取り付けられ、トリガー機構部を収容したトリガーハウジングと、トリガーを保護するトリガー保護部と、マガジンが挿通されるマガジン挿通孔を有するプレート部と、を備えたトリガーガードと、前記マガジンが挿通されるマガジン挿通部と、該マガジン挿通部に連通して形成され前記トリガーハウジングが収容される収容部と、を有する空洞部を備え、前記バレル及び前記トリガーハウジングが取り付けられた前記レシーバーと前記トリガーガードとが上下からそれぞれ装着されて取り付けられる台木と、を具備したボルトアクション銃であって、前記トリガーハウジングの前記レシーバーへの取り付けが、前記レシーバーに形成された取付凹部に前記トリガーハウジングの上端部が嵌合した状態で行われ、前記トリガーハウジングが、前記台木の前記収容部に当接されているので、射撃が行われると、射撃時にバレル、レシーバーよりなる金属部品に発生する反動力や衝撃力は、レシーバーの取付凹部に嵌合されてレシーバーと一体化されたトリガーハウジングに伝達され、トリガーハウジングに伝達された前記反動力や衝撃力は、トリガーハウジングと当接された台木の収容部で受圧されるようになり、そのために、レシーバーが当接支持される台木の上縁部ではなく、トリガーハウジングが収容された台木の収容部、すなわち、強度的に一番好ましい台木の中心部分で前記反動力や衝撃力が受圧されることにより、台木自体の強度を確保して前記反動力や衝撃力を確実に台木により受け止めることができるようになる。
【0011】
しかも、台木自体は、マガジンを装着するための空洞部の外域における肉厚を敢えて厚肉にするというような何等の製作および加工を必要とせずに済むので、無闇に台木の肉厚は厚肉になることはなく、台木が太径になって重量が増大して外観的に不体裁にはなることはなく、台木をスマートにできる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記トリガーハウジングの両側面には、前記バレルの軸方向と直交して射手側に面する当接面を有する突起部がそれぞれ形成され、前記台木の内面には、前記当接面と当接する受け面が形成され、前記受け面が、前記台木の射手側の肉厚部に形成されているので、レシーバーからトリガーハウジングに伝達された射撃時の反動力や衝撃力は、トリガーハウジングの両側面の突起部の当接面と当接する台木の収容部の内面の受け面に全面的に密接して受圧されるようになり、しかも、前記受け面が台木の射手側の肉厚部に形成されているので、台木を厚肉に製作することなく、台木自体の強度を確保して前記反動力や衝撃力を確実に台木により受け止めることができる。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項2において、前記レシーバーの両側部には、前記台木の前記マガジン挿通部を形成する壁部の上端縁部と当接する上部庇部が形成され、前記トリガーガードの前記プレート部の両側部には、前記台木の壁部の下端縁部と当接する下部庇部が形成され、前記トリガーガードの前記プレート部が、前記マガジン挿通孔を挟んだ前記バレルの軸方向前後位置で前記レシーバーに対して螺着固定されることにより、前記台木の壁部が、前記上部庇部及び前記下部庇部で上下より挟み込まれて保持されるように構成されているので、前記上部庇部及び前記下部庇部により上下より挟み込まれて保持された台木の壁部には、台木の内側に向かった押圧力が作用するようになり、射撃時の反動力や衝撃力が受圧される台木自体の強度をより高めることができるようになり、前記反動力や衝撃力に耐え得る堅牢な構造とすることにより、前記台木の壁部の厚さをより薄く形成した外観的にスマートな台木とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明のボルトアクション銃の実施形態を示し、レシーバーと、トリガーハウジングと、トリガーガードとの組付状態を示す側面図である。
【図2】図2は同じくレシーバーと、トリガーハウジングとの組付状態を下方より見た図である。
【図3】図3は同じくレシーバーと、トリガーハウジングとの組付状態を下方より見た斜視図である。
【図4】図4は同じくレシーバーと、トリガーハウジングとの組付状態をレシーバー後部付近において示す側面図である。
【図5】図5は同じく完成された銃全体を示す反対側から見た側面図である。
【図6】図6は同じくレシーバーと、トリガーガードとの台木への組付状態を示す銃口側から見たバレル非装着の部分断面図である。
【図7】図7は同じく本実施形態を構成するレシーバーを示す側面図である。
【図8】図8は同じく本実施形態を構成するレシーバーを下方から見た斜視図である。
【図9】図9は同じく本実施形態を構成するレシーバーを銃口側から見た図である。
【図10】図10は本実施形態を構成する台木を下方から見た図である。
【図11】図11は同じく本実施形態を構成する台木を上方から見た斜視図である。
【図12】図12は同じく本実施形態を構成する台木を銃尾側から見た斜視図である。
【図13】図13は同じく本実施形態を構成するトリガーハウジングの側面図である。
【図14】図14は同じく本実施形態を構成するトリガーガードを上方より見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に従って本発明を実施するための最良の形態ににつき、詳細に説明する。
【0016】
本実施形態は、先端部に銃口を備えると共に基端部に弾薬が装填される薬室2aを図1に示すように備えたバレル2と、一端部に前記バレル2の基端部が結合されると共に他端部にボルトアクションを行うボルト組立体(図には示さず)が収容され、そして、下面部にマガジン装着孔3が開口されるレシーバー1と、前記レシーバー1の下面部の前記マガジン装着孔3より射手側(図1において右側の銃尾側)に取り付けられ、トリガー機構部を収容したトリガーハウジング4と、トリガー5を保護するトリガー保護部6と、マガジン7が挿通されるマガジン挿通孔8を有するプレート部9と、を備えたトリガーガード10と、前記マガジン7が挿通されるマガジン挿通部11と、該マガジン挿通部11に連通して形成され前記トリガーハウジング4が収容される収容部12と、を有する空洞部13を備え、図1において左側(銃口側)に前記バレル2及び図1において左側(銃口側)に前記トリガーハウジング4が取り付けられた前記レシーバー1と前記トリガーガード10とが上下からそれぞれ装着されて取り付けられる台木14と、を具備したボルトアクション銃であって、前記トリガーハウジング4の前記レシーバー1への取り付けが、前記レシーバー1に形成された取付凹部15に前記トリガーハウジング4の上端部4aが嵌合した状態で行われ、前記トリガーハウジング4が、前記台木14の前記収容部12に当接されていることを特徴とする。
【0017】
16は図1、図4、図13に示すように、前記トリガーハウジング4の両側面に形成された突起部であり、この突起部16,16は、前記バレル2の軸方向Xと直交(Y方向)して射手側に面する当接面16aを有し、この当接面16aは前記台木14の内面に形成された図10、図11に示すような受け面17,17に当接するようになっている。そして、前記受け面17,17が、前記台木14の射手側の肉厚部18に形成されている。
【0018】
前記レシーバー1の両側部には、前記台木14の前記マガジン挿通部11を形成する壁部19,19の上端縁部19a,19aと当接する上部庇部20,20が形成され、前記トリガーガード10の前記プレート部9の両側部には、前記台木14の壁部19,19の下端縁部19b,19bと当接する下部庇部21,21が形成され、前記トリガーガード10の前記プレート部9が、前記マガジン挿通孔8を挟んだ前記バレル2の軸方向Xの前後位置で前記レシーバー1に対して螺着固定されことにより、前記台木14の壁部19,19が、前記上部庇部20,20及び前記下部庇部21,21で上下より挟み込まれて保持されるように構成されている(図1,図6、図9参照)。
【0019】
また、前記トリガーハウジング4は、前記トリガー5と、前記トリガー5の回動が制御される図には示さないシャーのようなトリガー機構部がハウジング内に回動可能に設けられ、前記シャーの回動を拘束したり、許容する起倒可能に設けられたレバーLと、により構成される。
【0020】
前記トリガーガード10は、前記下部庇部21,21が設けられたプレート部9の射手側の基端部側(図14の右側の銃尾側)に、前部と左右両側との三方を囲まれた支壁部9aを設け、この支壁部9a内にトリガーハウジング4の下端部4bを嵌合し、前記支壁部9aに囲まれた内底部に開設された孔9bを通じて前記トリガー5をトリガー保護部6内の窓孔6a内に臨ませる。このようにして、トリガーガード10と、トリガー5とは組立てられる。
【0021】
図6において本実施形態では、前記上部庇部20,20の傾斜角度θ1が、前記レシーバー1に設けられる貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T′に対して下向きに5度〜15度に形成され、そして、前記下部庇部21,21の傾斜角度θ2が、前記貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T″に対して上向きに5度〜15度に形成されている。
【0022】
22は前記トリガーガード10と、前記レシーバー1とを、トリガーハウジング4を介して台木14を挟むように一体化するためのねじである。また、23は前記ボルト組立体をボルトアクションするための操作ハンドルである。
【0023】
本実施形態のボルトアクション銃は上記構成からなり、組付けを行うのには、先ず、レシーバー1に形成された取付凹部15にトリガーハウジング4の上端部4aを嵌合することにより、レシーバー1にトリガーハウジング4を一体的に取り付ける。次いで、台木14の収容部12内にトリガーハウジング4を収容させるようにバレル2及びトリガーハウジング4が取付けられたレシーバー1の嵌入部1bを台木14の空洞部13内に上部から嵌合し、台木14の空洞部13内には、トリガーハウジング4に有するトリガー5を保護するためのトリガー保護部6を有したトリガーガード10の嵌入部10aを嵌合することにより、台木14の前記空洞部13に対して前記台木14をレシーバー1とトリガーガード10とで挟むように上下から嵌入部1b,10aを嵌合する。
【0024】
それから、前記トリガーガード10と、前記レシーバー1とは、数本のねじ22を用いてねじ止めすることにより一体化され、固着が行われる。
【0025】
このようにして、本実施形態のボルトアクション銃は組付けが行われるが、本実施形態のボルトアクション銃では、弾薬が装填される薬室2aを基端部に備え、かつ下面部のマガジン装着孔3より射手側の取付凹部15に上端部4aが嵌合されることによりトリガーハウジング4が一体に取付けられたレシーバー1は、嵌入部1bを台木14の空洞部13内に上部から嵌合し、この空洞部13に連通されて射手側の肉厚部18,18の中央に設けられた収容部12内には、前記トリガーハウジング4が収容されているので、射撃が行われると、バレル2、レシーバー1よりなる金属部品に発生する反動力や衝撃力は、レシーバー1の取付凹部15に嵌合されてレシーバー1と一体化されたトリガーハウジング4に伝達され、トリガーハウジング4に伝達された前記反動力や衝撃力は、トリガーハウジング4と当接された台木14の収容部12で受圧されるようになり、そのために、レシーバー1が当接支持される台木14の上縁部ではなく、トリガーハウジング4が収容された台木14の収容部、すなわち、強度的に一番好ましい台木14の中心部分で前記反動力や衝撃力が受圧されることにより、台木14自体の強度を確保して前記反動力や衝撃力を確実に台木14により受け止めることができるようになる。
【0026】
この際、前記トリガーハウジング4の両側面には、図1、図4、図13に示すように前記バレル2の軸方向Xと直交(Y方向)して射手側に面する当接面16aを有した突起部16,16が形成され、台木14の内面には、前記当接面16aに当接する受け面17,17が、図10、図11に示すように前記台木14の射手側の肉厚部18に形成されているので、射撃時にバレル2、レシーバー1よりなる金属部品に発生する軸方向Xへの反動力や衝撃力は、トリガーハウジング4の両側面に、形成された前記バレル2の軸方向Xと直交(Y方向)して射手側に面する当接面16aを有した突起部16,16が、台木14の内面に形成された受け面17,17に全面的に密接して受圧されるため、台木14自体の強度を確保して確実に台木14により受け止められる。
【0027】
そして、前記レシーバー1の両側部には、図6、図9に示すように前記台木14の前記マガジン挿通部11を形成する壁部19,19の上端縁部19a,19aと当接する上部庇部20,20が形成され、前記トリガーガード10の前記プレート部9の両側部には、図1、図6に示すように前記台木14の壁部19,19の下端縁部19b,19bと当接する下部庇部21,21が形成され、前記トリガーガード10の前記プレート部9が、前記マガジン挿通孔8を挟んだ前記バレル2の軸方向Xの前後位置で前記レシーバー1に対してねじ22,22を用いて螺着固定されことにより、前記台木14の壁部19,19が、前記上部庇部20,20及び前記下部庇部21,21で上下より挟み込まれて保持されるように構成されているので、前記上部庇部20,20及び前記下部庇部21,21により上下より挟み込まれて保持された台木14の壁部19,19には、台木14の内側に向かった押圧力が作用するようになり、射撃時の反動力や衝撃力が受圧される台木14自体の強度をより高めることができるようになり、前記反動力や衝撃力に耐え得る堅牢な構造とすることができる。
【0028】
従って、台木14自体は、マガジン7を装着するための空洞部13の外域における肉厚tを厚肉にするというような何等の製作および加工を必要とせずに済むので、無闇に台木14の肉厚tを厚肉になることはなく、台木14が太径になって重量が増大し、外観的に不体裁にはならずにスマートにでき、製作コストおよび資材費は安価になる。
【0029】
そして、本実施形態ではレシーバー1は、図6に示されるように、嵌入部1bの上方、左右両側に突設した上部庇部20,20と、また、前記トリガーガード10に突設した下部庇部21,21とは、前記上部庇部20,20の傾斜角度θ1が、前記レシーバー1に設けられる貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T′に対して下向きに例えば5度〜15度に形成され、また、前記下部庇部21,21の傾斜角度θ2が、前記貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T″に対して上向きに5度〜15度に形成されているので、レシーバー1に突設された上部庇部20,20およびトリガーガード10に突設された下部庇部21,21により台木14の空洞部13は覆われるため、ほこり、砂、雨が、空洞部13に侵入されるのが防止される。
【0030】
また、レシーバー1に突設された上部庇部20,20およびトリガーガード10に突設された下部庇部21,21は、前述のように下向きまたは上向きの傾斜角度θ1,θ2が、貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T′,T″に対して下向きまたは上向きに5度〜15度、例えば好適には10度に形成されているので、銃を握るのに角張って違和感がなく、滑らずに手で台木14を握ることができるため、操作を安定かつ確実に行える。
【0031】
なお、前記上部庇部20,20の傾斜角度θ1は、レシーバー1に設けられる貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T′に対して下向きに5度〜15度に形成され、また、下部庇部21,21の傾斜角度θ2は、貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T″に対して上向きに5度〜15度に形成されている場合を代表的に説明しているが、これらの上部庇部20,20の傾斜角度θ1、および下部庇部21,21の傾斜角度θ2は、例示であり、その増減変更は自由に行える。そして、上部庇部20,20の傾斜角度θ1、および下部庇部21,21の傾斜角度θ2の最良の形態は、10度であるが、これに限られない。
【0032】
そして、トリガーガード10と、レシーバー1とは、前記台木14を上下から挟むようにして数本のねじ22にてねじ止めされて固着されるので、トリガーガード10と、レシーバー1とは、台木14に対して一体化される。そして、トリガーハウジング4は、その上端部4aが、レシーバー1の取付凹部15内に嵌入され、かつ、トリガーハウジング4の下端部4bが、トリガーガード10に設けられて前部および左右の側部の三方が囲まれた支壁部9a内に嵌入された状態で、レシーバー1とトリガーガード10とにより上下から嵌合、挟持されるため、レシーバー1、バレル2、トリガーハウジング4、トリガーガード10よりなる関連する金属部品と台木14との取付強度は構造堅牢になり、優れたものになる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、射撃時のバレル、レシーバーよりなる金属部品に発生する反動力や衝撃を台木自体の強度を確保して確実に台木により受け止め、また、台木が太径になって外観的に不体裁にならずにスマートにできる用途・機能に適する。
【符号の説明】
【0034】
1 レシーバー
1b 嵌入部
2 バレル
2a 薬室
3 マガジン装着孔
4 トリガーハウジング
4a 上端部
5 トリガー
6 トリガー保護部
7 マガジン
8 マガジン挿通孔
9 プレート部
10 トリガーガード
11 マガジン挿通部
12 収容部
13 空洞部
14 台木
15 取付凹部
16 突起部
16a 当接面
17 受け面
18 肉厚部
19 壁部
20 上部庇部
21 下部庇部
A ボルトアクション銃
X 軸方向
Y 交差する方向
Z 高さ方向
【技術分野】
【0001】
本発明はボルトアクション銃に関し、射撃時のバレル、レシーバーよりなる金属部品に発生する反動力や衝撃を確実に受け止め、また、レシーバーを支持する台木の強度を確保し、しかも、台木が太径になって不体裁になるのをなくすものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルトアクション銃として、銃口を一端側に有したバレルの基端部が結合されるレシーバー、該レシーバーの下方に弾の発射を行うトリガーメカニズム、該トリガーメカニズムのトリガーを保護するトリガーガードのような金属部品をそれぞれ台木により支持し、前記台木には下方からマガジンを装着するためのマガジン挿通部をなす空洞部が設けられ、ボルトハンドル操作により、前記レシーバー内にボルト組立体を直線移動させて前記レシーバーの薬室内に弾を装填し、そして、銃の発射後は空薬莢を前記薬室から排出させるものがある(例えば、特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第68205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献に記載のボルトアクション銃では、一端に銃口を有するバレルの基端部が結合されているレシーバーは、台木の上面に取り付けられ、そして、このレシーバーの下部には、トリガーメカニズムが設けられている。銃の発射時のバレル、レシーバーよりなる金属部品に加わる反動力や衝撃力は、レシーバーと当接して支持している台木によって受け止められる。そして、この反動力や衝撃は、射手の肩、腕で受け止められるが、台木にはマガジン装着用の空洞部が設けられているので、この空洞部を設けた部分の台木の強度が低下し、特にレシーバーと当接して支持する前記空洞部を設けた部分の台木の上縁部が破損するおそれがあった。
【0005】
そこで、上記ボルトアクション銃では、台木の強度を高めるために、空洞部の外域に位置する台木の肉厚を厚肉にすることが考えられるが、無闇に台木の肉厚を厚肉にすると、台木が太径になって重量が増大し、外観的に不体裁になっていた。
【0006】
本発明は上記従来の欠点を解決し、射撃時のバレル、レシーバーよりなる金属部品に発生する反動力や衝撃を台木自体の強度を確保して確実に台木により受け止め、また、台木が太径になって外観的に不体裁にならずにスマートにできるボルトアクション銃を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされ、請求項1に記載の発明は、
先端部に銃口を備えると共に基端部に弾薬が装填される薬室を備えたバレルと、
一端部に前記バレルの基端部が結合されると共に他端部にボルトアクションを行うボルト組立体が収容され、そして、下面部にマガジン装着孔が開口されるレシーバーと、
前記レシーバーの下面部の前記マガジン装着孔より射手側に取り付けられ、トリガー機構部を収容したトリガーハウジングと、
トリガーを保護するトリガー保護部と、マガジンが挿通されるマガジン挿通孔を有するプレート部と、を備えたトリガーガードと、
前記マガジンが挿通されるマガジン挿通部と、該マガジン挿通部に連通して形成され前記トリガーハウジングが収容される収容部と、を有する空洞部を備え、前記バレル及び前記トリガーハウジングが取り付けられた前記レシーバーと前記トリガーガードとが上下からそれぞれ装着されて取り付けられる台木と、
を具備したボルトアクション銃であって、
前記トリガーハウジングの前記レシーバーへの取り付けが、前記レシーバーに形成された取付凹部に前記トリガーハウジングの上端部が嵌合した状態で行われ、
前記トリガーハウジングが、前記台木の前記収容部に当接されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記トリガーハウジングの両側面には、前記バレルの軸方向と直交して射手側に面する当接面を有する突起部がそれぞれ形成され、
前記台木の内面には、前記当接面と当接する受け面が形成され、
前記受け面が、前記台木の射手側の肉厚部に形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記レシーバーの両側部には、前記台木の前記マガジン挿通部を形成する壁部の上端縁部と当接する上部庇部が形成され、
前記トリガーガードの前記プレート部の両側部には、前記台木の壁部の下端縁部と当接する下部庇部が形成され、
前記トリガーガードの前記プレート部が、前記マガジン挿通孔を挟んだ前記バレルの軸方向前後位置で前記レシーバーに対して螺着固定されることにより、
前記台木の壁部が、前記上部庇部及び前記下部庇部で上下より挟み込まれて保持されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、先端部に銃口を備えると共に基端部に弾薬が装填される薬室を備えたバレルと、一端部に前記バレルの基端部が結合されると共に他端部にボルトアクションを行うボルト組立体が収容され、そして、下面部にマガジン装着孔が開口されるレシーバーと、前記レシーバーの下面部の前記マガジン装着孔より射手側に取り付けられ、トリガー機構部を収容したトリガーハウジングと、トリガーを保護するトリガー保護部と、マガジンが挿通されるマガジン挿通孔を有するプレート部と、を備えたトリガーガードと、前記マガジンが挿通されるマガジン挿通部と、該マガジン挿通部に連通して形成され前記トリガーハウジングが収容される収容部と、を有する空洞部を備え、前記バレル及び前記トリガーハウジングが取り付けられた前記レシーバーと前記トリガーガードとが上下からそれぞれ装着されて取り付けられる台木と、を具備したボルトアクション銃であって、前記トリガーハウジングの前記レシーバーへの取り付けが、前記レシーバーに形成された取付凹部に前記トリガーハウジングの上端部が嵌合した状態で行われ、前記トリガーハウジングが、前記台木の前記収容部に当接されているので、射撃が行われると、射撃時にバレル、レシーバーよりなる金属部品に発生する反動力や衝撃力は、レシーバーの取付凹部に嵌合されてレシーバーと一体化されたトリガーハウジングに伝達され、トリガーハウジングに伝達された前記反動力や衝撃力は、トリガーハウジングと当接された台木の収容部で受圧されるようになり、そのために、レシーバーが当接支持される台木の上縁部ではなく、トリガーハウジングが収容された台木の収容部、すなわち、強度的に一番好ましい台木の中心部分で前記反動力や衝撃力が受圧されることにより、台木自体の強度を確保して前記反動力や衝撃力を確実に台木により受け止めることができるようになる。
【0011】
しかも、台木自体は、マガジンを装着するための空洞部の外域における肉厚を敢えて厚肉にするというような何等の製作および加工を必要とせずに済むので、無闇に台木の肉厚は厚肉になることはなく、台木が太径になって重量が増大して外観的に不体裁にはなることはなく、台木をスマートにできる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1において、前記トリガーハウジングの両側面には、前記バレルの軸方向と直交して射手側に面する当接面を有する突起部がそれぞれ形成され、前記台木の内面には、前記当接面と当接する受け面が形成され、前記受け面が、前記台木の射手側の肉厚部に形成されているので、レシーバーからトリガーハウジングに伝達された射撃時の反動力や衝撃力は、トリガーハウジングの両側面の突起部の当接面と当接する台木の収容部の内面の受け面に全面的に密接して受圧されるようになり、しかも、前記受け面が台木の射手側の肉厚部に形成されているので、台木を厚肉に製作することなく、台木自体の強度を確保して前記反動力や衝撃力を確実に台木により受け止めることができる。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項2において、前記レシーバーの両側部には、前記台木の前記マガジン挿通部を形成する壁部の上端縁部と当接する上部庇部が形成され、前記トリガーガードの前記プレート部の両側部には、前記台木の壁部の下端縁部と当接する下部庇部が形成され、前記トリガーガードの前記プレート部が、前記マガジン挿通孔を挟んだ前記バレルの軸方向前後位置で前記レシーバーに対して螺着固定されることにより、前記台木の壁部が、前記上部庇部及び前記下部庇部で上下より挟み込まれて保持されるように構成されているので、前記上部庇部及び前記下部庇部により上下より挟み込まれて保持された台木の壁部には、台木の内側に向かった押圧力が作用するようになり、射撃時の反動力や衝撃力が受圧される台木自体の強度をより高めることができるようになり、前記反動力や衝撃力に耐え得る堅牢な構造とすることにより、前記台木の壁部の厚さをより薄く形成した外観的にスマートな台木とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明のボルトアクション銃の実施形態を示し、レシーバーと、トリガーハウジングと、トリガーガードとの組付状態を示す側面図である。
【図2】図2は同じくレシーバーと、トリガーハウジングとの組付状態を下方より見た図である。
【図3】図3は同じくレシーバーと、トリガーハウジングとの組付状態を下方より見た斜視図である。
【図4】図4は同じくレシーバーと、トリガーハウジングとの組付状態をレシーバー後部付近において示す側面図である。
【図5】図5は同じく完成された銃全体を示す反対側から見た側面図である。
【図6】図6は同じくレシーバーと、トリガーガードとの台木への組付状態を示す銃口側から見たバレル非装着の部分断面図である。
【図7】図7は同じく本実施形態を構成するレシーバーを示す側面図である。
【図8】図8は同じく本実施形態を構成するレシーバーを下方から見た斜視図である。
【図9】図9は同じく本実施形態を構成するレシーバーを銃口側から見た図である。
【図10】図10は本実施形態を構成する台木を下方から見た図である。
【図11】図11は同じく本実施形態を構成する台木を上方から見た斜視図である。
【図12】図12は同じく本実施形態を構成する台木を銃尾側から見た斜視図である。
【図13】図13は同じく本実施形態を構成するトリガーハウジングの側面図である。
【図14】図14は同じく本実施形態を構成するトリガーガードを上方より見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に従って本発明を実施するための最良の形態ににつき、詳細に説明する。
【0016】
本実施形態は、先端部に銃口を備えると共に基端部に弾薬が装填される薬室2aを図1に示すように備えたバレル2と、一端部に前記バレル2の基端部が結合されると共に他端部にボルトアクションを行うボルト組立体(図には示さず)が収容され、そして、下面部にマガジン装着孔3が開口されるレシーバー1と、前記レシーバー1の下面部の前記マガジン装着孔3より射手側(図1において右側の銃尾側)に取り付けられ、トリガー機構部を収容したトリガーハウジング4と、トリガー5を保護するトリガー保護部6と、マガジン7が挿通されるマガジン挿通孔8を有するプレート部9と、を備えたトリガーガード10と、前記マガジン7が挿通されるマガジン挿通部11と、該マガジン挿通部11に連通して形成され前記トリガーハウジング4が収容される収容部12と、を有する空洞部13を備え、図1において左側(銃口側)に前記バレル2及び図1において左側(銃口側)に前記トリガーハウジング4が取り付けられた前記レシーバー1と前記トリガーガード10とが上下からそれぞれ装着されて取り付けられる台木14と、を具備したボルトアクション銃であって、前記トリガーハウジング4の前記レシーバー1への取り付けが、前記レシーバー1に形成された取付凹部15に前記トリガーハウジング4の上端部4aが嵌合した状態で行われ、前記トリガーハウジング4が、前記台木14の前記収容部12に当接されていることを特徴とする。
【0017】
16は図1、図4、図13に示すように、前記トリガーハウジング4の両側面に形成された突起部であり、この突起部16,16は、前記バレル2の軸方向Xと直交(Y方向)して射手側に面する当接面16aを有し、この当接面16aは前記台木14の内面に形成された図10、図11に示すような受け面17,17に当接するようになっている。そして、前記受け面17,17が、前記台木14の射手側の肉厚部18に形成されている。
【0018】
前記レシーバー1の両側部には、前記台木14の前記マガジン挿通部11を形成する壁部19,19の上端縁部19a,19aと当接する上部庇部20,20が形成され、前記トリガーガード10の前記プレート部9の両側部には、前記台木14の壁部19,19の下端縁部19b,19bと当接する下部庇部21,21が形成され、前記トリガーガード10の前記プレート部9が、前記マガジン挿通孔8を挟んだ前記バレル2の軸方向Xの前後位置で前記レシーバー1に対して螺着固定されことにより、前記台木14の壁部19,19が、前記上部庇部20,20及び前記下部庇部21,21で上下より挟み込まれて保持されるように構成されている(図1,図6、図9参照)。
【0019】
また、前記トリガーハウジング4は、前記トリガー5と、前記トリガー5の回動が制御される図には示さないシャーのようなトリガー機構部がハウジング内に回動可能に設けられ、前記シャーの回動を拘束したり、許容する起倒可能に設けられたレバーLと、により構成される。
【0020】
前記トリガーガード10は、前記下部庇部21,21が設けられたプレート部9の射手側の基端部側(図14の右側の銃尾側)に、前部と左右両側との三方を囲まれた支壁部9aを設け、この支壁部9a内にトリガーハウジング4の下端部4bを嵌合し、前記支壁部9aに囲まれた内底部に開設された孔9bを通じて前記トリガー5をトリガー保護部6内の窓孔6a内に臨ませる。このようにして、トリガーガード10と、トリガー5とは組立てられる。
【0021】
図6において本実施形態では、前記上部庇部20,20の傾斜角度θ1が、前記レシーバー1に設けられる貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T′に対して下向きに5度〜15度に形成され、そして、前記下部庇部21,21の傾斜角度θ2が、前記貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T″に対して上向きに5度〜15度に形成されている。
【0022】
22は前記トリガーガード10と、前記レシーバー1とを、トリガーハウジング4を介して台木14を挟むように一体化するためのねじである。また、23は前記ボルト組立体をボルトアクションするための操作ハンドルである。
【0023】
本実施形態のボルトアクション銃は上記構成からなり、組付けを行うのには、先ず、レシーバー1に形成された取付凹部15にトリガーハウジング4の上端部4aを嵌合することにより、レシーバー1にトリガーハウジング4を一体的に取り付ける。次いで、台木14の収容部12内にトリガーハウジング4を収容させるようにバレル2及びトリガーハウジング4が取付けられたレシーバー1の嵌入部1bを台木14の空洞部13内に上部から嵌合し、台木14の空洞部13内には、トリガーハウジング4に有するトリガー5を保護するためのトリガー保護部6を有したトリガーガード10の嵌入部10aを嵌合することにより、台木14の前記空洞部13に対して前記台木14をレシーバー1とトリガーガード10とで挟むように上下から嵌入部1b,10aを嵌合する。
【0024】
それから、前記トリガーガード10と、前記レシーバー1とは、数本のねじ22を用いてねじ止めすることにより一体化され、固着が行われる。
【0025】
このようにして、本実施形態のボルトアクション銃は組付けが行われるが、本実施形態のボルトアクション銃では、弾薬が装填される薬室2aを基端部に備え、かつ下面部のマガジン装着孔3より射手側の取付凹部15に上端部4aが嵌合されることによりトリガーハウジング4が一体に取付けられたレシーバー1は、嵌入部1bを台木14の空洞部13内に上部から嵌合し、この空洞部13に連通されて射手側の肉厚部18,18の中央に設けられた収容部12内には、前記トリガーハウジング4が収容されているので、射撃が行われると、バレル2、レシーバー1よりなる金属部品に発生する反動力や衝撃力は、レシーバー1の取付凹部15に嵌合されてレシーバー1と一体化されたトリガーハウジング4に伝達され、トリガーハウジング4に伝達された前記反動力や衝撃力は、トリガーハウジング4と当接された台木14の収容部12で受圧されるようになり、そのために、レシーバー1が当接支持される台木14の上縁部ではなく、トリガーハウジング4が収容された台木14の収容部、すなわち、強度的に一番好ましい台木14の中心部分で前記反動力や衝撃力が受圧されることにより、台木14自体の強度を確保して前記反動力や衝撃力を確実に台木14により受け止めることができるようになる。
【0026】
この際、前記トリガーハウジング4の両側面には、図1、図4、図13に示すように前記バレル2の軸方向Xと直交(Y方向)して射手側に面する当接面16aを有した突起部16,16が形成され、台木14の内面には、前記当接面16aに当接する受け面17,17が、図10、図11に示すように前記台木14の射手側の肉厚部18に形成されているので、射撃時にバレル2、レシーバー1よりなる金属部品に発生する軸方向Xへの反動力や衝撃力は、トリガーハウジング4の両側面に、形成された前記バレル2の軸方向Xと直交(Y方向)して射手側に面する当接面16aを有した突起部16,16が、台木14の内面に形成された受け面17,17に全面的に密接して受圧されるため、台木14自体の強度を確保して確実に台木14により受け止められる。
【0027】
そして、前記レシーバー1の両側部には、図6、図9に示すように前記台木14の前記マガジン挿通部11を形成する壁部19,19の上端縁部19a,19aと当接する上部庇部20,20が形成され、前記トリガーガード10の前記プレート部9の両側部には、図1、図6に示すように前記台木14の壁部19,19の下端縁部19b,19bと当接する下部庇部21,21が形成され、前記トリガーガード10の前記プレート部9が、前記マガジン挿通孔8を挟んだ前記バレル2の軸方向Xの前後位置で前記レシーバー1に対してねじ22,22を用いて螺着固定されことにより、前記台木14の壁部19,19が、前記上部庇部20,20及び前記下部庇部21,21で上下より挟み込まれて保持されるように構成されているので、前記上部庇部20,20及び前記下部庇部21,21により上下より挟み込まれて保持された台木14の壁部19,19には、台木14の内側に向かった押圧力が作用するようになり、射撃時の反動力や衝撃力が受圧される台木14自体の強度をより高めることができるようになり、前記反動力や衝撃力に耐え得る堅牢な構造とすることができる。
【0028】
従って、台木14自体は、マガジン7を装着するための空洞部13の外域における肉厚tを厚肉にするというような何等の製作および加工を必要とせずに済むので、無闇に台木14の肉厚tを厚肉になることはなく、台木14が太径になって重量が増大し、外観的に不体裁にはならずにスマートにでき、製作コストおよび資材費は安価になる。
【0029】
そして、本実施形態ではレシーバー1は、図6に示されるように、嵌入部1bの上方、左右両側に突設した上部庇部20,20と、また、前記トリガーガード10に突設した下部庇部21,21とは、前記上部庇部20,20の傾斜角度θ1が、前記レシーバー1に設けられる貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T′に対して下向きに例えば5度〜15度に形成され、また、前記下部庇部21,21の傾斜角度θ2が、前記貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T″に対して上向きに5度〜15度に形成されているので、レシーバー1に突設された上部庇部20,20およびトリガーガード10に突設された下部庇部21,21により台木14の空洞部13は覆われるため、ほこり、砂、雨が、空洞部13に侵入されるのが防止される。
【0030】
また、レシーバー1に突設された上部庇部20,20およびトリガーガード10に突設された下部庇部21,21は、前述のように下向きまたは上向きの傾斜角度θ1,θ2が、貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T′,T″に対して下向きまたは上向きに5度〜15度、例えば好適には10度に形成されているので、銃を握るのに角張って違和感がなく、滑らずに手で台木14を握ることができるため、操作を安定かつ確実に行える。
【0031】
なお、前記上部庇部20,20の傾斜角度θ1は、レシーバー1に設けられる貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T′に対して下向きに5度〜15度に形成され、また、下部庇部21,21の傾斜角度θ2は、貫通孔1aの中心Oを通る水平軸線Tの平行線T″に対して上向きに5度〜15度に形成されている場合を代表的に説明しているが、これらの上部庇部20,20の傾斜角度θ1、および下部庇部21,21の傾斜角度θ2は、例示であり、その増減変更は自由に行える。そして、上部庇部20,20の傾斜角度θ1、および下部庇部21,21の傾斜角度θ2の最良の形態は、10度であるが、これに限られない。
【0032】
そして、トリガーガード10と、レシーバー1とは、前記台木14を上下から挟むようにして数本のねじ22にてねじ止めされて固着されるので、トリガーガード10と、レシーバー1とは、台木14に対して一体化される。そして、トリガーハウジング4は、その上端部4aが、レシーバー1の取付凹部15内に嵌入され、かつ、トリガーハウジング4の下端部4bが、トリガーガード10に設けられて前部および左右の側部の三方が囲まれた支壁部9a内に嵌入された状態で、レシーバー1とトリガーガード10とにより上下から嵌合、挟持されるため、レシーバー1、バレル2、トリガーハウジング4、トリガーガード10よりなる関連する金属部品と台木14との取付強度は構造堅牢になり、優れたものになる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、射撃時のバレル、レシーバーよりなる金属部品に発生する反動力や衝撃を台木自体の強度を確保して確実に台木により受け止め、また、台木が太径になって外観的に不体裁にならずにスマートにできる用途・機能に適する。
【符号の説明】
【0034】
1 レシーバー
1b 嵌入部
2 バレル
2a 薬室
3 マガジン装着孔
4 トリガーハウジング
4a 上端部
5 トリガー
6 トリガー保護部
7 マガジン
8 マガジン挿通孔
9 プレート部
10 トリガーガード
11 マガジン挿通部
12 収容部
13 空洞部
14 台木
15 取付凹部
16 突起部
16a 当接面
17 受け面
18 肉厚部
19 壁部
20 上部庇部
21 下部庇部
A ボルトアクション銃
X 軸方向
Y 交差する方向
Z 高さ方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に銃口を備えると共に基端部に弾薬が装填される薬室を備えたバレルと、
一端部に前記バレルの基端部が結合されると共に他端部にボルトアクションを行うボルト組立体が収容され、そして、下面部にマガジン装着孔が開口されるレシーバーと、
前記レシーバーの下面部の前記マガジン装着孔より射手側に取り付けられ、トリガー機構部を収容したトリガーハウジングと、
トリガーを保護するトリガー保護部と、マガジンが挿通されるマガジン挿通孔を有するプレート部と、を備えたトリガーガードと、
前記マガジンが挿通されるマガジン挿通部と、該マガジン挿通部に連通して形成され前記トリガーハウジングが収容される収容部と、を有する空洞部を備え、前記バレル及び前記トリガーハウジングが取り付けられた前記レシーバーと前記トリガーガードとが上下からそれぞれ装着されて取り付けられる台木と、
を具備したボルトアクション銃であって、
前記トリガーハウジングの前記レシーバーへの取り付けが、前記レシーバーに形成された取付凹部に前記トリガーハウジングの上端部が嵌合した状態で行われ、
前記トリガーハウジングが、前記台木の前記収容部に当接されていることを特徴とするボルトアクション銃。
【請求項2】
前記トリガーハウジングの両側面には、前記バレルの軸方向と直交して射手側に面する当接面を有する突起部がそれぞれ形成され、
前記台木の内面には、前記当接面と当接する受け面が形成され、
前記受け面が、前記台木の射手側の肉厚部に形成されていることを特徴とする請求項1記載のボルトアクション銃。
【請求項3】
前記レシーバーの両側部には、前記台木の前記マガジン挿通部を形成する壁部の上端縁部と当接する上部庇部が形成され、
前記トリガーガードの前記プレート部の両側部には、前記台木の壁部の下端縁部と当接する下部庇部が形成され、
前記トリガーガードの前記プレート部が、前記マガジン挿通孔を挟んだ前記バレルの軸方向前後位置で前記レシーバーに対して螺着固定されことにより、
前記台木の壁部が、前記上部庇部及び前記下部庇部で上下より挟み込まれて保持されるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のボルトアクション銃。
【請求項1】
先端部に銃口を備えると共に基端部に弾薬が装填される薬室を備えたバレルと、
一端部に前記バレルの基端部が結合されると共に他端部にボルトアクションを行うボルト組立体が収容され、そして、下面部にマガジン装着孔が開口されるレシーバーと、
前記レシーバーの下面部の前記マガジン装着孔より射手側に取り付けられ、トリガー機構部を収容したトリガーハウジングと、
トリガーを保護するトリガー保護部と、マガジンが挿通されるマガジン挿通孔を有するプレート部と、を備えたトリガーガードと、
前記マガジンが挿通されるマガジン挿通部と、該マガジン挿通部に連通して形成され前記トリガーハウジングが収容される収容部と、を有する空洞部を備え、前記バレル及び前記トリガーハウジングが取り付けられた前記レシーバーと前記トリガーガードとが上下からそれぞれ装着されて取り付けられる台木と、
を具備したボルトアクション銃であって、
前記トリガーハウジングの前記レシーバーへの取り付けが、前記レシーバーに形成された取付凹部に前記トリガーハウジングの上端部が嵌合した状態で行われ、
前記トリガーハウジングが、前記台木の前記収容部に当接されていることを特徴とするボルトアクション銃。
【請求項2】
前記トリガーハウジングの両側面には、前記バレルの軸方向と直交して射手側に面する当接面を有する突起部がそれぞれ形成され、
前記台木の内面には、前記当接面と当接する受け面が形成され、
前記受け面が、前記台木の射手側の肉厚部に形成されていることを特徴とする請求項1記載のボルトアクション銃。
【請求項3】
前記レシーバーの両側部には、前記台木の前記マガジン挿通部を形成する壁部の上端縁部と当接する上部庇部が形成され、
前記トリガーガードの前記プレート部の両側部には、前記台木の壁部の下端縁部と当接する下部庇部が形成され、
前記トリガーガードの前記プレート部が、前記マガジン挿通孔を挟んだ前記バレルの軸方向前後位置で前記レシーバーに対して螺着固定されことにより、
前記台木の壁部が、前記上部庇部及び前記下部庇部で上下より挟み込まれて保持されるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のボルトアクション銃。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−271006(P2010−271006A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−125162(P2009−125162)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(303066699)株式会社ミロク製作所 (7)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(303066699)株式会社ミロク製作所 (7)
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