説明

ボルトフィーダ

【課題】低騒音で、動力の消費量が少ないボルトフィーダを提供する。
【解決手段】ボルトがストックされ、ボルトを連続的に供給する供給部1と、前記供給部から供給されたボルトを、供給部1上のボルトの搬送方向と逆向きに搬送して、所望の向きか否かに選別し、所望の向きのボルトのみを連続的に排出するとともに、所望の向き以外のボルトを供給部1に滑落させて戻す、供給部1に並設された選別部2とから構成される。なお、供給部1側に張り出した掻き落とし部材23を、選別部2に設けることが好ましい。また、供給部1側に向かって低くなる傾斜面を有する滑落部20aを選別部2に凹陥形成することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルトを所望の向きに整列して、連続的に供給するために使用される、ボルトフィーダの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーツを供給する装置として、特許文献1に示されるような、パーツフィーダがある。このパーツフィーダは主に、パーツを受容する略円筒形状のボウルと、このボウルに振動を発生させる振動部とから構成されている。振動部は、主に電磁石と板バネとから構成され、電磁石のON・OFFによる力を、板バネを利用して増幅し、振動を発生させるものである。この振動は、板バネの角度を調整することで方向性を持たせることが可能で、この振動により、ボウル内に受容されたパーツを、ボウルの外壁面に沿って移動させるようになっている。ボウルの外壁部には、ボルトを整列するためのアタッチメントが取り付けられ、ボウルの外壁面に沿って、パーツが移動すると、パーツが整列するようになっている。
【0003】
しかしながら、このようなパーツフィーダは、ボウル全体を振動させる必要があるため、大きなエネルギーが必要なることや、パーツとパーツが接触することから、パーツフィーダが発する騒音が大変大きい(ボウル内にボルトが入っている状態で約90dB)という問題があった。
【特許文献1】特開2006−213516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
低騒音で、動力の消費量が少ないボルトフィーダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明は、ボルトを所望の向きに整列して、連続的に排出するボルトフィーダにおいて、
ボルトが一端にストックされ、ボルトを他端に向けて搬送して連続的に供給する供給部と、
前記供給部上のボルトを、一定方向に搬送する振動を前記供給部に与える第1の振動部と、
前記供給部の他端から供給されたボルトを、供給部上のボルトの搬送方向と逆向きに搬送しながら、所望の向きか否かに選別し、所望の向きのボルトのみを連続的に排出するとともに、所望の向き以外のボルトを前記供給部に滑落させて戻す、前記供給部に並設された選別部と、
前記選別部上のボルトを、供給部上のボルトの搬送方向と反対方向に搬送する振動を前記選別部に与える第2の振動部とを有し、
且つ、選別部の末端部に、溝幅がボルトのネジ部の外径寸法よりは僅かに大きいが、ボルトの頭部の幅寸法よりも小さい挿入溝を有していて、ボルトを直立した状態に整列させる整列路を形成したことを特徴とする。
【0006】
なお、ボルトの搬送方向に向けて徐々に供給部側に張り出した掻き落とし部材を、その下端と選別部上面との間の寸法が、横倒しの状態のボルトの高さ寸法よりも大きく、横倒しの状態のボルトの高さの2倍の寸法よりも小さくなるように選別部に設けることが好ましい。
【0007】
また、供給部側に向かって低くなる傾斜面を有する滑落部を、選別部の供給部と対向する辺に沿って凹陥形成し、選別部上の前記滑落部が形成されていない部分の幅寸法を、ボルトの幅寸法と殆ど同一にしてボルトの搬送路とすることが好ましい。
【0008】
また、整列路上には、この整列路面との間に、ボルトの頭部の高さ寸法よりも僅かに大きい寸法の間隔をおいて規制板を配設することが好ましい。
【0009】
また、供給部の上面に、板状のガイド部材を選別部と対向する辺に沿って貼設して、ボルトが流通する流通路を形成することが好ましい。
【0010】
また、選別部にボルトを連続的に供給する供給路を、供給部に複数設けることが好ましい。
【0011】
また、供給部の選別部と対向する辺から、供給部の前記辺と対向する辺に向けて、供給部の上面が低くなるように構成するとともに、隣接する供給路の選別部側の供給路に板状部材を貼設して、隣接する供給路間に段差を形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
ボルトが一端にストックされ、ボルトを他端に向けて搬送して連続的に供給する供給部と、前記供給部の他端から供給されたボルトを、供給部上のボルトの搬送方向と逆向きに搬送しながら、所望の向きか否かに選別し、所望の向きのボルトのみを連続的に排出するとともに、所望の向き以外のボルトを前記供給部に滑落させて戻す、前記供給部に並設された選別部とを有するので、ボルトが接触することによる騒音の発生を抑制することが可能となる。具体的には、同じ種類のボルトを、同じ供給量で供給する場合において、従来のボウル全体を振動させるボルトフィーダでは、約90dBの騒音が発生していたが、本発明のボルトフィーダでは、騒音は約80.5dBとなり、騒音を劇的に低下させることが可能となる。また、ボウル全体を振動させるボルトフィーダと比較して、動力の消費量を少なくすることが可能となる。
【0013】
また、選別部の末端部に、溝幅がボルトのネジ部の外径寸法よりは僅かに大きいが、ボルトの頭部の幅寸法よりも小さい挿入溝を有していて、ボルトを直立した状態に整列させる整列路を形成すると、ボルトのネジ部が前記挿入溝に挿入されて、ボルトが直立した「所望の向き」になり、「所望の向き」のボルトのみを、供給することが可能となる。
【0014】
なお、ボルトの搬送方向に向けて徐々に供給部側に張り出した掻き落とし部材を、その下端と選別部上面との間の寸法が、横倒しの状態のボルトの高さ寸法よりも大きく、横倒しの状態のボルトの高さの2倍の寸法よりも小さくなるように選別部に設けると、上下に重なったボルトを掻き落として、上下に重なっていない、ボルトのみを搬送することが可能となり、ボルトを適切に選別することが可能となる。
【0015】
また、供給部側に向かって低くなる傾斜面を有する滑落部を、選別部の供給部と対向する辺に沿って凹陥形成し、選別部上の前記滑落部が形成されていない部分の幅寸法を、ボルトの幅寸法と殆ど同一にしてボルトの搬送路を構成すると、所望の向きのボルトのみを次工程に供給することができ、所望の向きでないボルトを、滑落部に滑落させて、この所望の向きでないボルトを供給部に戻すことが可能となる。
【0016】
また、整列路上には、この整列路面との間に、ボルトの頭部の高さ寸法よりも僅かに大きい寸法の間隔をおいて規制板を配設すると、「所望の向き」でないボルトは、前記規制板と当接して、滑落部に滑落するが、「所望の向き」のボルトは、前記規制板と当接することなく搬送路上を搬送され、「所望の向き」でないボルトが供給されることを防止することが可能となる。
【0017】
また、供給部の上面に、板状のガイド部材を選別部と対向する辺に沿って貼設して、ボルトが流通する流通路を形成すると、スムーズに供給路にボルトを導くことが可能となる。
【0018】
また、選別部にボルトを連続的に供給する供給路を、供給部に複数設けると、ボルトがストックされている部分から、急激にこのボルトが搬送される経路が絞られないので、供給路の入口でボルトが詰まることを防止することが可能となる。
【0019】
また、供給部の選別部と対向する辺から、供給部の前記辺と対向する辺に向けて、供給部の上面が低くなるように構成するとともに、隣接する供給路の選別部側の供給路(内側の供給路)に板状部材を貼設して、隣接する供給路間に段差を形成すると、簡単な構造で、複数の供給路を形成することが可能となる。また、外側の供給路上で搬送されるボルトが、内側の供給路側に移動することを防止して、外側の供給路上のボルトが整列されて、ボルトをスムーズに搬送させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。図1は本発明の実施の形態を示すボルトフィーダの上面図であり、図2は図1の正面図である。このボルトフィーダは、供給部1、選別部2、第1の振動部3、第2の振動部4とから構成されている。選別部2は、供給部1に並設されている。言い換えると、選別部2は供給部1と平行に隣接して配設されている。供給部1は、第1の振動部3上に取り付けられ、選別部2は、第2の振動部4上に取り付けられている。
【0021】
本発明のボルトフィーダは、ボルト60のネジ部の先端を下向きにして(以下「所望の向き」とする)、ボルト60を順次排出するボルトフィーダである。
【0022】
供給部1は、ボルト60がストックされ、選別部2にボルト60を連続的に供給するためのものである。
【0023】
選別部2は、供給部1から供給されたボルト60を、「所望の向き」か否かに選別し、「所望の向き」のボルト60のみを、順次排出し、「所望の向き」でないボルト60を再び、供給部1に戻すものである。
【0024】
第1の振動部3は、供給部1上のボルト60を、一定方向に搬送する振動を前記供給部に与えるものである。第1の振動部3は、主に、電磁石と板バネとから構成され、電磁石のON・OFFによる力を、板バネを利用して増幅し、振動を発生させるようになっている。この振動は、板バネの角度を調整することで方向性を持たせることが可能で、この振動により、供給部1上のボルト60が、一定の方向(本実施形態では、図1において、右側から左側の方向)に搬送されるようになっている。なお、前記振動は、コントローラにより制御されるようになっている。
【0025】
第2の振動部4は、選別部2上のボルト60を、供給部1上のボルト60の搬送方向と反対方向(本実施形態では、図1において、左側から右側の方向)に搬送する振動を選別部2に与えるものであり、第1の振動部3と基本的に同じ構造をしている。
【0026】
(供給部1)
図3に供給部1の詳細図を示す。10は供給部本体であり、横長の板形状をしている。供給部本体10の選別部2と隣接する辺に対向する辺の両端部分は、円弧形状に切り欠かれた形状をしている。供給部本体10は、図3のA−A断面に示されるように、供給部本体の上面10の左側が高くなるように、水平面に対してα°傾くように配設されている。また、供給部本体10は、図3のB−B断面に示されるように、供給部本体の上面10の選別部2側が高くなるように、水平面に対してβ°傾くように配設されている。
【0027】
供給部10の選別部2と隣接する辺以外の外縁には、供給部本体10と直交するガイド板11が立設されている。
【0028】
供給部本体10の選別部2と隣接する辺には、供給部本体10と直交する遮閉板12が立設されている。供給部本体10の選別部2と隣接する辺の両端部分には、遮閉板12は立設されてなく、選別部2に開口している。供給部本体10の高い方側の(図3において左側)、開口している部分は、図3に示されるように、選別部2にボルト60を供給する供給口1aとなっている。
【0029】
一方で、供給部本体10の低い方側の(図3において右側)開口している部分は、図3に示されるように、ボルト60の寸法のよりも著しく大きくなっていて、選別部2からボルト60が戻される戻し口1bとなっている。
【0030】
供給部本体10の上面には、板状のガイド部材13が貼設されている。このガイド部材13は、図3に示されるように、遮閉板12に沿って貼設され、遮閉板12側と反対側の長辺の両端は、略円弧形状に切り欠かれた形状となっている。このように構成することにより、供給部本体10の、ガイド部材13が貼設されていない部分の、図3における右側には、ストック部1gが構成され、このストック部1gの左側、つまり、ガイド部材13とガイド板11に挟まれた部分は流通路1cが構成されている。
【0031】
流通路1cと供給口1aとの間の、ガイド部材13が貼設されていない部分は、供給路1dとなっている。図3に示されるように、供給路1dは、ボルト60の頭部の幅寸法よりも大きい幅の略円弧形状をしていて、2つ設けられている。
【0032】
図3に示されるように、選別部2側の供給路1dには、略円弧形状の板状部材14が貼設されていて、隣接する供給路1dの選別部2側の方が高くなっていて、隣接する供給路1d間に段差が形成されている。板状部材14は、図3のA−A断面に示されるように、流通路1cの出口、つまり、供給路1dの入口では高さがなく、供給口1aに向かって徐々に高さが高くなっている。
【0033】
なお本実施形態では、供給路1dは2つ設けられているが、本発明では、供給路1dは2つに限定されず、3つ以上であっても差し支えない。
【0034】
(選別部)
次に、選別部2の説明をする。図4に選別部2の上面図を示し、図5に選別部2の正面図を示す。20は選別部本体であり、横長の板状をしている。選別部本体20は、図5に示されるように、右側が高くなるように配設されていて、選別部本体20の上面は、右側に向かって高くなっている。つまり、供給部本体10の上面と、選別部本体20の上面とは、逆向きに傾いている。選別部本体20の供給口1aに臨む部分の高さは、供給部本体1の供給口1aの高さと、殆ど同じか、もしくは僅かに低い高さになっている。また、図4のC−C断面に示されるように、選別部本体20の上面は、水平面に対して、供給部1の反対側に向けて低くなるようにγ°傾斜している。なお、ボルト60は、供給部1の搬送方向と反対方向、つまり図5において左側から右側に搬送されるようになっている。
【0035】
選別部本体20の供給部1と隣接する辺と対向する辺には、外枠21が立設されている。23は掻き落とし部材であり、外枠21に取り付けられている。掻き落とし部材23は、ボルト60の搬送方向(以下「搬送方向」とする)に向けて(図5において左側から右側に向けて)、徐々に供給部1側に張り出している。掻き落とし部材23の下端と選別部本体20の上面との間の寸法は、横倒しの状態のボルト60の高さ寸法よりも大きくなっていて、横倒しの状態のボルト60の高さの2倍の寸法よりも小さく、且つ、ボルト60が先端を上にして立った状態の高さよりも小さくなっている。
【0036】
選別部本体20には、掻き落とし部材23の先端23aよりもやや手前の部分から、「搬送方向」に沿って、滑落部20aが凹陥形成され、図1に示されるように供給部の戻し口1bに開口している。この滑落部20aは、図4のD−D断面やE−E断面に示されるように、供給部1側に向けて、徐々に低くなっている。滑落部20aの、戻し口1bに開口する部分は、戻し口1と殆ど同じ高さか、もしくは、やや高くなっている。
【0037】
滑落部20aと外枠21の間の選別部本体20は、言い換えると選別部本体20上の滑落部20aが形成されていない部分は、ボルト60が搬送される搬送路20bとなっている。この搬送路20bの幅寸法は、図4のD−D断面の右側の図に示されるように、ボルト60の幅寸法(ボルト60の頭部の幅寸法)と殆ど同一になっている。
【0038】
搬送路20bの先方には、整列路20c形成されている。整列路20cの外枠21と対向する外縁に沿って、前述した滑落部20aが形成されている。整列路20cの幅寸法は、搬送路20bの幅寸法よりもやや広くなっている。
【0039】
整列路20cには、整列路20cの幅方向の中央部に、図4のE−E断面に示されるように、挿入溝20dが凹陥形成されている。挿入溝20dの溝幅は、ボルト60のネジ部の外径寸法よりも僅かに大きいが、ボルト60の頭部の幅寸法よりも小さくなっている。
【0040】
挿入溝20dの始端からやや「搬送方向」に進んだ位置から、「搬送方向」に沿って、整列路20cの上面上に、規制板25が配設されている。規制板25は複数の取付板26を介して、外枠21に取り付けられている。規制板25の始端部分25aは、鋭頭形状をして、外枠21側に位置している。規制板25の下端と、規制板25と対面する整列路20cとの間の寸法は、図4のE−E断面の左側の図に示されるように、ボルト60の頭部の高さ寸法よりも僅かに大きくなっている。
【0041】
規制板25が設けられている部分に沿って、外枠21と対向するように脱落防止板27が選別部20本体に立設されている。外枠21と脱落防止板27の内側間の寸法は、ボルト60の幅寸法(ボルト60の頭部の幅寸法)よりも僅かに大きくなっている。
【0042】
(本発明の作用)
次に本発明の作用について説明をする。図6に本発明の作用を示す説明図を示す。ボルト60を収納するホッパー(図示せず)により、ボルト60が、供給部1のストック部1gに供給される。ストック部1gに供給されたボルト60は、振動部3が発する振動により、図6において右から左に移動し、流通路1cに搬送される。図3のB−B断面に示されるように、供給部本体10はβ°傾いていて、また、ガイド部材13と供給部本体10間に段差があるので、確実に流通路1cに導かれるようになっている。
【0043】
前述したように、供給部本体10は、β°傾いているので、ボルト60は、流通路1cから、外側の供給路1e(選別部2から遠い供給路1d)に搬送される。前述したように、隣接する外側の供給路1eと内側の供給路1f(選別部2側の供給路1d)間には、板状部材14bにより、段差があるので、外側の供給路1e上で搬送されるボルト60が、内側の供給路1f側に移動することを防止して、外側の供給路1e上のボルト60がスムーズに搬送されるようになっている。
【0044】
しかし、図6に示されるように、外側の供給路1e上に、密にボルト60が存在する場合には、流通路1cから内側の流通路1fにもボルト60が搬送されるようになる。
【0045】
供給路1d上のボルト60は、順次、連続的に、供給口1aから、選別部2に供給される。
【0046】
選別部2に供給されたボルト60は、振動部4が発する振動により、供給部1上のボルト60の搬送方向と反対方向(図6において左側から右側)に搬送される。図4のC−C断面図に示されるように、選別部2本体の上面は、γ°傾いているので、選別部2に供給されたボルト60は、外枠21と当接しながら、外枠21に沿って、搬送される。
【0047】
上下に重なったボルト60が、掻き落とし部材23が設けられている位置に搬送されると、上側のボルト60は、掻き落とし部材23により掻き落とされて、上下に重なっていないボルト60のみが、横倒しの状態で、掻き落とし部材23の下を通過して、搬送路20bに搬送されるようになっている。また、図4のC−C断面に示されるように、頭部が下向きなっている状態のボルト60(ネジ部が上向きになり、立った状態のボルト60)は、ボルト60のネジ部が掻き落とし部材23と当接して、横倒しの状態になる。
【0048】
前述したように、選別部2本体の上面は、γ°傾いているので、殆どのボルト60は、ボルト60のネジ部の先端が「搬送方向」又は「搬送方向」と反対側方向に向いた姿勢で、外枠21側に当接しながら外枠21に沿って搬送される。このため、搬送路20b上で搬送されるボルト60の殆どは、滑落部20aに滑落することなく、「搬送方向」に向かって搬送されるようになっている。
【0049】
しかし、ボルト60のネジ部の先端が、「搬送方向」又は「搬送方向」と反対側方向に向いていない姿勢のボルトは、図4のD−D断面の右側の図に示されるように、滑落部20aに滑落するようになっている。
【0050】
このようにして、流通路20bを搬送中に、ボルト60のネジ部の先端が「搬送方向」又は「搬送方向」と反対側方向に向いた姿勢のボルト60のみが、挿入溝20dの始端に搬送されるようになっている。
【0051】
ボルト60が、挿入溝20dの始端部分に搬送されると、図4のE−E断面の左側の図に示されるように、ボルト60のネジ部が、挿入溝20dに挿入されて、ボルト60のネジ部の先端が下向きになり、ボルト60が直立して、「所望の向き」に整列される。挿入溝20dの幅寸法は、ボルト60の頭部の幅寸法よりも小さいので、ボルト60の頭部が、挿入溝20d内に入り込むことはない。「所望の向き」のボルト60は、ボルト60のネジ部が挿入溝20dに挿入され、ボルト60の頭部の下面が整列路20cの上面で支持された状態で、「搬送方向」に向かって搬送されるようになっている。
【0052】
「所望の向き」でないボルト60が、規制板25の始端部分25aまで搬送されると、規制板25の下端と、規制板25と対面する選別部本体20上面との間の寸法は、横倒しの状態のボルト60の高さ寸法よりも小さいので、図4のE−E断面の右側に示されるように、規制板25の下に入ることができず、規制板25と当接して滑落部20aに滑落することとなる。このように、規制板25を設けたので、「所望の向き」でないボルト60が、供給されることを確実に防止することが可能となる。
【0053】
規制板25の下で搬送されるボルト60は、連続的に選別部2から排出されるようになっている。
【0054】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うボルトフィーダもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態を示すボルトフィーダの上面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】供給部の詳細図である。
【図4】選別部の上面図である。
【図5】選別部の正面図である。
【図6】本発明の作用の説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 供給部
1a 供給口
1b 戻し口
1c 流通路
1d 供給路
1e 外側の供給路
1f 内側の供給路
1g ストック部
2 選別部
3 第1の振動部
4 第2の振動部
10 供給部本体
11 ガイド板
12 遮閉板
13 ガイド部材
14 板状部材
20 選別部本体
20a 滑落部
20b 搬送路
20c 整列路
20d 挿入溝
21 外枠
23 掻き落とし部材
23a 掻き落とし部材の先端部分
25 規制板
25a 規制板の始端部分
26 取付板
27 脱落防止板
60 ボルト
60a ボルト本体
60b ねじ穴
60c プロジェクション
70 ボルト
a プロジェクション間の寸法
α 供給部本体10の水平面に対する角度
β 供給部本体10の水平面に対する角度
γ 選別部本体20の水平面に対する角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトを所望の向きに整列して、連続的に排出するボルトフィーダにおいて、
ボルトが一端にストックされ、ボルトを他端に向けて搬送して連続的に供給する供給部と、
前記供給部上のボルトを、一定方向に搬送する振動を前記供給部に与える第1の振動部と、
前記供給部の他端から供給されたボルトを、供給部上のボルトの搬送方向と逆向きに搬送しながら、所望の向きか否かに選別し、所望の向きのボルトのみを連続的に排出するとともに、所望の向き以外のボルトを前記供給部に滑落させて戻す、前記供給部に並設された選別部と、
前記選別部上のボルトを、供給部上のボルトの搬送方向と反対方向に搬送する振動を前記選別部に与える第2の振動部とを有し、
且つ、選別部の末端部に、溝幅がボルトのネジ部の外径寸法よりは僅かに大きいが、ボルトの頭部の幅寸法よりも小さい挿入溝を有していて、ボルトを直立した状態に整列させる整列路を形成したことを特徴とするボルトフィーダ。
【請求項2】
ボルトの搬送方向に向けて徐々に供給部側に張り出した掻き落とし部材を、その下端と選別部上面との間の寸法が、横倒しの状態のボルトの高さ寸法よりも大きく、横倒しの状態のボルトの高さの2倍の寸法よりも小さくなるように選別部に設けたことを特徴とする請求項1に記載のボルトフィーダ。
【請求項3】
供給部側に向かって低くなる傾斜面を有する滑落部を、選別部の供給部と対向する辺に沿って凹陥形成し、選別部上の前記滑落部が形成されていない部分の幅寸法を、ボルトの幅寸法と殆ど同一にしてボルトの搬送路としたことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のボルトフィーダ。
【請求項4】
整列路上には、この整列路面との間に、ボルトの頭部の高さ寸法よりも僅かに大きい寸法の間隔をおいて規制板を配設したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のボルトフィーダ。
【請求項5】
供給部の上面に、板状のガイド部材を選別部と対向する辺に沿って貼設して、ボルトが流通する流通路を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のボルトフィーダ。
【請求項6】
選別部にボルトを連続的に供給する供給路を、供給部に複数設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のボルトフィーダ。
【請求項7】
供給部の選別部と対向する辺から、供給部の前記辺と対向する辺に向けて、供給部の上面が低くなるように構成するとともに、隣接する供給路の選別部側の供給路に板状部材を貼設して、隣接する供給路間に段差を形成したことを特徴とする請求項6に記載のボルトフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−308276(P2008−308276A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157017(P2007−157017)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(392014760)新光機器株式会社 (50)
【出願人】(506332937)株式会社フィーダシステム (10)
【Fターム(参考)】