説明

ボルト用アルミニウム合金線及びボルト並びにそれらの製造方法

【課題】ボルトに加工する際の加工性に優れ、十分な強度のボルトが得られるボルト用アルミニウム合金線を提供する。
【解決手段】このボルト用アルミニウム合金線は、質量%で、Si:0.60〜1.5%、Fe:0.02〜0.40%、Cu:0.50〜1.2%、Mn:0.50〜1.1%、Mg:0.70〜1.3%、Cr:0.30%以下(0%を含む)、Zn:0.005〜0.50%、Ti:0.01〜0.20%、Zr:0.05〜0.20%、Sr:0.005〜0.05%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる。所定量のSrを含有することで、この合金線の素材の鋳造時・圧延時の疵の発生を抑制し、合金線のボルトへの成形時に割れなどの発生を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト用アルミニウム合金線とボルト、並びにそれらの製造方法に関するものである。特に、ボルト製造時の加工性に優れ、かつ十分な強度を備えるボルトが得られるボルト用アルミニウム合金線に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金ボルトの材料としてA6056が知られている。その他、特許文献1に記載のアルミニウム合金線棒材も知られている。この合金線棒材は、6000系の組成で圧延組織を有し、所定の微細な平均結晶粒径を備える。そして、このアルミニウム合金線棒材は、ボルト成形性に優れ、さらに適切な熱処理及び加工を施すことで、所定の引張強さを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-1602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、A6056は成形性が劣り、鋳造・圧延時に発生する疵などが原因となり、ボルト加工時に割れが発生したり、微小な亀裂が起因となり粒界腐食が発生してしまう。また、A6056からなるボルトは、人工時効硬化を行っても、十分な強度を得ることができない。
【0005】
一方、特許文献1に記載のアルミニウム合金線棒材は、A6056の成形性を改善でき、ボルトとした場合に強度も得られるとされているが、成形性を確保しつつ、ボルトに成形した後により一層高い強度が得られるアルミニウム合金線の開発が望まれている。特に、高温環境下でボルトを使用した際に、強度の低下が小さく、なお高強度を維持できるボルト用のアルミニウム合金線の開発が期待されている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、ボルトに成形する際に十分な成形性を備え、かつボルトとして高い強度を備えるボルト用アルミニウム合金線とその製造方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、さらに耐熱性に優れるボルト用アルミニウム合金線とその製造方法を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の別の目的は、上記のアルミニウム合金線を用いて得られるボルトとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、6000系のアルミニウム合金の組成を基本とし、さらなる成形性と強度の向上を目指して鋭意検討を行った結果、所定量のSrを含有させることが有効であるとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明のボルト用アルミニウム合金線は、質量%で、Si:0.60〜1.5%、Fe:0.02〜0.40%、Cu:0.50〜1.2%、Mn:0.50〜1.1%、Mg:0.70〜1.3%、Cr:0.30%以下(0%を含む)、Zn:0.005〜0.50%、Ti:0.01〜0.20%、Zr:0.05〜0.20%、Sr:0.005〜0.05%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる。この組成を第一組成ということがある。
【0011】
この組成の合金線とすることにより、ボルトに成形する際の成形性に優れ、成形後は十分な強度のボルトを得ることができる。特に、所定量のSrを含有することで、鋳造時・圧延時の疵の発生を抑制し、成形時に割れなどの発生を低減することができる。この合金線により、引張強さ:380MPa以上、0.2%耐力:350MPa以上、伸び:6%以上のボルトを得ることができる。
【0012】
本発明のボルト用アルミニウム合金線の一形態として、質量%で、Sr:0.005〜0.03%を含有し、Zrの含有量とSrの含有量の比率Zr/Srが3〜50であることが挙げられる。
【0013】
上記第一組成からSrの含有量を限定し、さらにZrとSrを所定の比率で含有することで、アルミニウム合金線の耐熱性を保持しつつ、十分な成形性を確保することができる。Zrはアルミニウム合金線の耐熱性を向上するために必要な元素であるが、Zrを含有すると鋳込み温度が高くなり、結晶粒を微細化することが難しい。一方、SrをZrに対して所定の比率となるように含有すれば、結晶粒の粗大化を効果的に抑制できる。また、Srはアルミニウム合金線に含有させると、強度が向上するものの脆性になる傾向があるが、所定量のZrの存在下でSrを含有させると、脆化が抑制され、成形性が確保される。
【0014】
本発明のボルト用アルミニウム合金線の一形態として、質量%で、Si:0.80〜1.4%、Fe:0.05〜0.30%、Cu:0.50〜1.2%、Mn:0.50〜1.1%、Mg:0.80〜1.3%、Cr:0.01〜0.30%、Zn:0.05〜0.25%、Ti:0.01〜0.10%、Zr:0.10〜0.20%、Sr:0.005〜0.03%を含むことが挙げられる。この組成を第二組成ということがある。
【0015】
第一組成に対して上記の元素の含有量を限定することで、さらに機械的特性に優れたボルトを得ることができる。具体的には、引張強さ:400MPa以上、0.2%耐力:360MPa以上、伸び:6%以上のボルトを得ることができる。
【0016】
第二組成を有する本発明のボルト用アルミニウム合金線の一形態として、質量%で、Cu:0.80〜1.2%、Mn:0.70〜1.1%、Cr:0.05〜0.30%を含むことが挙げられる。この組成を第三組成ということがある。
【0017】
第二組成に対して上記の元素の含有量をさらに限定することで、より一層機械的特性に優れたボルトを得ることができる。具体的には、引張強さ:430MPa以上、0.2%耐力:370MPa以上、伸び:6%以上で、耐熱性に優れたボルトを得ることができる。
【0018】
本発明のボルト用アルミニウム合金線の一形態として、Mg2Siを含み、Mg2Siの含有量と、MnとCrの合計含有量との比率Mg2Si/ Mn+Crが1.0〜2.1であることが挙げられる。
【0019】
SiとMgの含有量によっても、得られるボルトの強度に差が出る。アルミニウム合金中において、SiとMgの少なくとも一部は溶体化処理及び時効処理によりMg2Siとして析出し、ボルトの強度が向上する。このMg2Siの含有量と、CrとMnの合計量との比率を規定することで、高い機械的特性と耐熱性を備えるボルトを得ることができる。なお、この比率Mg2Si/Mn+Crは、鋳造材の段階で1.0〜2.1になっており、その後、鋳造材を圧延・伸線した伸線材、或いは伸線材から成形されたボルトの各段階においても実質的に維持される。
【0020】
本発明のボルト用アルミニウム合金線の製造方法は、次の工程を備える。
鋳造工程:質量%で、Si:0.60〜1.5%、Fe:0.02〜0.40%、Cu:0.50〜1.2%、Mn:0.50〜1.1%、Mg:0.70〜1.3%、Cr:0.30%以下(0%を含む)、Zn:0.005〜0.50%、Ti:0.01〜0.20%、Zr:0.05〜0.20%、Sr:0.005〜0.05%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成の鋳造材を得る。
圧延工程:上記鋳造材を圧延して圧延材とする。
伸線工程:上記圧延材を伸線して所定の線径の伸線材とする。
中間軟化工程:上記伸線工程の途中の線材に対して250〜500℃で0.5〜40時間の軟化処理を行う。
【0021】
この方法によれば、ボルトの製造に好適なアルミニウム合金線を得ることができる。特に、生産性と機械的特性に優れたボルトの素材となるアルミニウム合金線を得ることができる。
【0022】
本発明のボルトは、アルミニウム合金からなるボルトであって、前記アルミニウム合金が、質量%で、Si:0.60〜1.5%、Fe:0.02〜0.40%、Cu:0.50〜1.2%、Mn:0.50〜1.1%、Mg:0.70〜1.3%、Cr:0.30%以下(0%を含む)、Zn:0.005〜0.50%、Ti:0.01〜0.20%、Zr:0.05〜0.20%、Sr:0.005〜0.05%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる。そして、引張強さ:380MPa以上、0.2%耐力:350MPa以上、伸び:6%以上である。
【0023】
上記の組成の素材を用いてボルトとすることで、引張強さ、0.2%耐力、伸びといった機械的特性に優れるボルトとすることができる。
【0024】
本発明のボルトの製造方法は、次の工程を備える。
切断工程:上述した本発明のアルミニウム合金線を所定長に切断する。
ヘッダ工程:切断されたボルト用アルミニウム合金線をヘッダ加工してボルトの頭部を成形する。
転造工程:切断されたボルト用アルミニウム合金線を転造してボルトのねじ部を成形する。
熱処理工程:ボルト用アルミニウム合金線からボルトを製造するまでの過程における対象物に溶体化処理及び時効処理を行う。
【0025】
この方法によれば、ボルトの成形中に割れなどが発生し難く、生産性良くボルトを製造することができる。また、得られたボルトは、引張強さなどの機械的強度に優れる。さらに、本発明アルミニウム合金線の組成によっては、耐熱性にも優れるボルトを得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
上述した所定の第一組成を有する本発明のアルミニウム合金線、同合金線の製造方法、ボルト、及びボルトの製造方法は、ボルト成形時の加工性に優れ、かつ機械的特性に優れたボルトを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明において、アルミニウム合金線の組成は、全て質量%で示される。
【0028】
[アルミニウム合金線]
〔組成〕
(Si:0.60〜1.5%)
Siは、Mgと共に一部がマトリックスに固溶し、アルミニウム合金線を固溶強化する。また、Siは同合金線の人工時効時に時効析出物などを形成して強度を向上させ、ボルトに求められる所定の機械的特性を得るために必要な元素である。Si含有量の下限値を0.60%とすることで、固溶強化や時効硬化の効果を適切に発現させることができ、所定の強度のボルトを得ることができる。また、上限値を1.5%とすることで、鋳造材から線材への加工性やボルトへの成形性が阻害されず、かつ割れの起点となる粗大な晶出物や析出物の形成を抑制し、ボルトの高強度化に資することができる。より好ましいSiの含有量は0.80〜1.4%である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れるボルトを得易い。
【0029】
(Fe:0.02〜0.40%)
Feは、アルカリ土類金属元素(例えばMgやSr)の存在下で、鋳造時にTiを含む結晶微細化剤の効果を促進するために必要である。Fe含有量の下限値を0.02%とすることで、合金における結晶粒の微細化に有効に寄与する。一方、上限値を0.40%とすることで、合金組織における粒界にFe系の晶出物が生成し、合金の塑性加工性が低下することを抑制できる。より好ましいFeの含有量は0.05〜0.30%、さらに好ましい含有量は0.05〜0.25%である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れるボルトを得易い。
【0030】
(Cu:0.50〜1.2%)
Cuは、Mg、Siと共に強度の向上に寄与する。Cu含有量の下限値を0.50%とすることで、その効果が得られ易い。一方、上限値を1.2%とすることでボルトへの成形性を確保し易い。より好ましいCuの含有量は、0.80〜1.2%である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れ、耐熱性が良好なボルトを得易い。
【0031】
(Mn:0.50〜1.1%)
Mnは、一部がマトリックスに固溶し、アルミニウム合金線を固溶強化する。また、Mnは、Al-Mn系の分散粒子を形成し、この線材組織の結晶粒を微細化でき、強度、成形性、耐食性などを向上できる。Mn含有量の下限値を0.50%とすることで、アルミニウム合金線を固溶強化し、ボルトとして十分な強度が得られ易い。また、上限値を1.1%とすることで、割れの起点となる粗大な晶出物や析出物の形成を抑制し、ボルトの高強度化に資することができる。より好ましいMnの含有量は0.70〜1.1%である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れ、耐熱性が良好なボルトを得易い。
【0032】
(Mg:0.70〜1.3%)
Mgは、アルミニウム合金線を固溶強化し、人工時効時に、Siと共に強度向上に寄与する時効析出物を形成して、ボルトに要求される機械的特性を満たすために必要な元素である。Mg含有量の下限値を0.70%とすることで、十分な固溶強化機能や時効硬化機能を発揮することができる。上限値を1.3%とすることで、割れの起点となる粗大な晶出物や析出物の形成を抑制し、ボルトの高強度化に資することができる。より好ましいMgの含有量は、0.80〜1.3%である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れ、耐熱性が良好なボルトを得易い。
【0033】
(Cr:0.30%以下(0%を含む))
Crは、Mn、Zrと同様に分散粒子を形成するため、アルミニウム合金線の熱処理時の結晶粒の粗大化を防止して、結晶粒を微細化させる効果がある。結晶粒を微細化させることで、ボルトの強度やボルトへの成形性の向上に寄与する。また、Crには耐食性を向上させる効果もある。Cr含有量の上限値を0.30%とすることで、結晶粒の粗大化を抑止し、結晶粒の微細化効果を適切に発現させる。Crは含有していなくても構わないが、好ましい含有量の下限値は0.01%であり、さらに好ましくは0.05%である。Crを0.01%以上含有することで、ボルトとした際に強度を得やすい。また、Crを0.05%以上含有することで、強度のみならず耐熱性にも優れたボルトとすることができる。
【0034】
(Zn:0.005〜0.50%)
Znは、アルミニウム母相に固溶し合金の強度を向上させる機能を有する。Znの含有量の下限値を0.005%とすることで、強度向上効果を適切に発揮させることができる。また、上限値を0.50%とするとことで、適切な耐食性を確保することができる。より好ましいZnの含有量は0.05〜0.25%である。この範囲とすることで、ボルトの成形に必要な靭性を確保し易く、一層機械的強度に優れ、加工性、耐熱性、耐食性が良好なボルトを得易い。
【0035】
(Ti:0.01〜0.20%)
Tiは、鋳造材の結晶組織を微細にしたり、鋳造材中の柱状晶の割合を抑え、等軸晶の割合を増加させる効果がある。従って、Tiを含有することにより、鋳造材の圧延加工性や伸線加工性、さらにはボルトへの成形性を向上できる。また、結晶組織が微細化されることで、塑性加工時に疵が生じ難いため疵が少なく、表面状態が優れた塑性加工材を得ることができる。Ti含有量の下限値を0.01%とすることで、結晶粒の微細化効果が得られ易い。Tiの含有量が多いほど、結晶粒の微細化、微細化に伴う疵の低減に効果があるが、0.20%程度でこの効果が飽和する傾向にあり、粗大な金属間化合物の生成も抑制できる。そのため、Ti含有量の上限値は0.20%とする。より好ましいTi含有量は0.01〜0.10%である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れたボルトを得易い。また、TiはTiB2として溶湯中に混合されることがあり、BもTiと同様に結晶組織を微細にして強度を向上させる効果がある。そのため、Bの含有も50ppm(質量比)以下程度は許容される。
【0036】
(Zr:0.05〜0.20%)
Zrは、Mnと同様にそれぞれの元素を含有した分散粒子を形成し、アルミニウム合金線の熱処理時の結晶粒の粗大化を防止して、結晶粒を微細化させる作用がある。それに伴い、ボルトの強度やボルトへの成形性の向上に寄与する。また、Zrはアルミニウム合金線の耐熱性を向上するためにも必要な元素である。Zr含有量の下限値を0.05%とすることで、強度やボルトへの成形性向上効果を適切に得ることができる。上限値を0.20%とすることで、結晶粒の粗大化を効果的に抑制できる。好ましいZrの含有量は0.10〜0.20%である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れ、耐熱性が良好なボルトを得易い。
【0037】
(Sr:0.005〜0.05%)
Srも鋳造材の結晶組織を微細化する機能があり、得られたボルトの強度向上に寄与する。特に、Zrの存在下でSrを含有すると、アルミニウム合金線が脆化することなく、強度の向上を図ることができる。Sr含有量の下限値を0.005%とすることで、ボルトの強度向上効果を得易い。上限値を0.05%とすることで、アルミニウム合金線の脆化を効果的に抑制し、十分な強度を得ることができる。より好ましいSrの含有量は、0.005〜0.03%である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れ、耐熱性が良好なボルトを得易い。
【0038】
(Zr/Sr:3〜50)
上述したように、Zrは耐熱性を向上させるために必要な元素であるが、これが含有されると合金の融点が上がり、鋳込み温度が高くなって凝固が難しくなる。ビレット鋳造などでは比較的問題にならないが、連続鋳造の場合、溶湯の凝固時に外引けが生じると鋳造材の外表面が変形する現象が起き易い。この変形箇所は、鋳造材が鋳型と接触しなくなることで冷却が遅くなり、鋳造材内部の熱により融点以上の温度に再上昇して再溶融現象が起こり、結晶粒の粗大化や、鋳造材の表面性状の悪化を招く。その結果、この結晶粒の粗大化箇所や表面性状の悪化箇所が起点となって、鋳造後の圧延や伸線加工で疵となり易い。一方、Srはアルミニウム合金の強度を向上させる機能を有するが脆化も招き易い。ZrとSrの比率を所定の範囲に規定することで、Zrの含有による再溶融の発生やSrの含有による脆化を効果的に抑制することができる。この比率の下限値を3とすることで、Srに対して適量のZnが含有されているといえ、脆化を効果的に抑制して強度の向上に寄与することができる。比率の上限値を50とすることで、Znに対して適量のSrが含有されているといえ、再溶融に伴う不具合を解消し易い。より好ましい比率の範囲は5〜20程度である。この範囲とすることで、一層機械的強度に優れ、耐熱性が良好なボルトを得易い。この比率の限定は、本発明において必須ではない。
【0039】
(Mg2Si/ Mn+Cr:1.0〜2.1)
SiとMgの一部は、アルミニウム合金のマトリックス中に固溶されて強度向上に寄与し、残部はMg2Siとして含有される。一方、CrとMnはいずれも分散粒子を形成して、組織の粗大化を抑制して強度の向上に寄与する機能を有する。このMg2Siの含有量と、CrとMnの合計量との比率を規定することで、高い機械的特性と耐熱性を備えるボルトを得ることができる。その理由は定かではないが、Mg2SiとMn,Crが相互作用することにより、高温保持時の時効進行による強度低下を抑制していると思われ、Mg2Si量に見合ったMn,Crを添加することで耐熱性が向上すると思われる。この比率は1.4〜2.0程度、特に1.5〜1.8程度が好ましい。また、アルミニウム合金に対し、人工時効後に加工が入った状態の場合は、Mn,Crが転位の移動を抑制し、加工硬化で強度が向上した部分の強度低下を抑制しているのではないかと考えられる。このMg2Siの含有量は、MgとSiの添加量から計算した値を用いる。具体的には、下記の式1によりMg2Siの含有量が求められる。この計算値は、溶体化処理及び時効処理を施してMg2Siを析出させた材料のMg2Siの含有量を示している。CrとMnの合計量は、0.55〜1.5%程度、さらには0.70〜1.4%程度、特に0.75〜1.3%程度が好ましい。この比率の限定は、本発明において必須ではない。
{Mg含有量[質量%]/(Mgの原子量×2) }×(Mg2Siの分子量) …式1
【0040】
〔線径〕
本発明のアルミニウム合金線の線径は、特に限定されないが、例えば12mm〜3mm程度が選択できる。このような線径のアルミニウム合金線とすることで、自動車部品の締め付けなどに適したサイズのボルトを製造することができる。
【0041】
[アルミニウム合金線の製造方法]
アルミニウム合金線は、代表的には、鋳造、圧延、伸線及び中間軟化を経て製造される。各工程の詳細は次の通りである。
【0042】
〔鋳造〕
上述した組成の鋳造材を鋳造する。鋳造は、連続鋳造が好適である。本発明製造方法では、アルミニウム合金を所定の組成とすることで、連続鋳造によっても表面性状に優れ、疵の少ない鋳造材とすることができる。このような鋳造材を用いることで、圧延時や伸線時に割れや疵が発生することを低減することができ、表面性状に優れる圧延材や伸線材とすることができる。特に、本発明の製造方法では、従来のように伸線途中の皮剥数を多くしたり、皮剥量を多くしたり、探傷器の感度を高めたりしなくても、表面状態に優れる伸線材を得ることができる。従って、本発明製造方法は、歩留まりがよく、表面状態に優れるアルミニウム合金線を生産性よく製造することができる。連続鋳造方法としては、ベルトアンドホイール方式が好ましい。
【0043】
鋳造時の冷却は、5℃/sec以上で行うことが好ましく、より好ましくは、8℃/sec以上、更に好ましくは20℃/sec以上である。冷却速度を5℃/sec以上とすることで、結晶粒が粗大化することを防止して、微細な組織の鋳造材としたり、単位断面積あたりの等軸晶の割合が高い鋳造材とすることができる。また、冷却過程にある溶湯のどの位置においても冷却速度が5℃/sec以上であること、つまり全体が均一的に冷却されることが好ましい。例えば、水冷銅鋳型や強制水冷機構などを有する連続鋳造機を用いると、上述のような冷却速度による急冷凝固を実現できる。
【0044】
〔圧延〕
鋳造材は、圧延加工されて圧延材とされる。この圧延は熱間又は温間で行うことが好ましい。また、圧延は鋳造に連続して行うことが好ましい。圧延を鋳造に連続して行うと、鋳造材に蓄積される熱を利用して熱間圧延を容易に行えて、エネルギー効率がよい上に、バッチ式の鋳造方法と比較して、鋳造圧延材の生産性に優れる。例えば、ベルトとホイールを組み合わせた鋳造機とこの鋳造機に連なる圧延機を用いて行う。このような装置としては、プロペルチ式連続鋳造圧延機が挙げられる。
【0045】
〔伸線〕
圧延材は伸線されて所定の線径に加工される。この伸線は冷間で行うことが好ましい。伸線前の圧延材の表面状態に応じて、皮剥加工を行ってもよい。
【0046】
〔中間軟化〕
上記伸線の途中の線材に対して、軟化処理を行う。この中間軟化処理は、処理後の線材の伸びが10%以上となるような条件にて行う。この中間軟化処理は、結晶組織の微細化、及び加工硬化によって高めた線材の強度を極端に低下させることなく軟化して、線材の靭性を高めるために行う。
【0047】
軟化処理は、バッチ処理が好適に利用できる。軟化処理中の雰囲気は、処理中の熱により線材の表面に酸化膜が生成されることを抑制するために、非酸化性雰囲気が好ましい。例えば、真空雰囲気(減圧雰囲気)、窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気、水素含有ガス(例えば、水素(H2)のみ、N2、Ar、ヘリウム(He)といった不活性ガスと水素(H2)との混合ガスなど)や炭酸ガス含有ガス(例えば、一酸化炭素(CO)と二酸化炭素(CO2)との混合ガスなど)といった還元ガス雰囲気が挙げられる。
【0048】
軟化処理は、加熱温度を250℃以上とすることで、線材の伸びを10%以上にすることができる。バッチ処理の場合、好ましい条件は、加熱温度:250℃以上500℃以下、保持時間:0.5時間以上、より好ましくは1時間以上である。加熱温度が250℃未満、保持時間が0.5時間未満では軟化処理の効果が乏しく、加熱温度が500℃超では、結晶粒及び晶析出物が粗大化し、加工性が低下し易い。特に加熱温度は300℃以上450℃以下、保持時間は2時間以上40時間以下とすることが望ましい。さらに好ましい加熱温度は380〜420℃であり、保持時間は24時間以下、特に保持時間は15時間以下である。
【0049】
〔その他〕
さらに、最終伸線後にも軟化処理(最終軟化処理)を行っても良い。この最終軟化処理も300℃以上で、1時間以上行うことが好適である。最終軟化処理により、ボルト加工時の成形性を向上できる。
[ボルト]
〔組成〕
ボルトの組成は、上述したアルミニウム合金線と同様である。
【0050】
〔機械的特性〕
第一組成のアルミニウム合金線によれば、ボルト成形後の特性として、引張強さ:380MPa以上、0.2%耐力:350MPa以上、伸び:6%以上を得ることができる。また、第二組成のアルミニウム合金線によれば、ボルト成形後の特性として、引張強さ:400MPa以上、0.2%耐力:360MPa以上、伸び:6%以上を得ることができる。さらに、第三組成のアルミニウム合金線によれば、ボルト成形後の特性として、引張強さ:430MPa以上、0.2%耐力:370MPa以上、伸び:6%以上を得ることができる。
【0051】
これらの特性は、いずれも最終伸線後のアルミニウム合金線に対してボルト加工を行い、その加工に際して溶体化処理及び時効処理を行った後の特性である。いずれの特性もJIS B1051に準拠して、製品であるボルトを試験片とする引張試験により測定することができる。
【0052】
[ボルトの製造方法]
ボルトは、代表的には、上記アルミニウム合金線の切断、ヘッダ加工、転造、及び溶体化処理と時効処理を経て製造される。各工程の詳細は次の通りである。
【0053】
〔切断〕
切断は、上記アルミニウム合金線をボルトの加工に適した長さに切断する。得られる切断片の長さは、製造するボルトのサイズに応じて適宜選択すればよい。
【0054】
〔ヘッダ加工〕
ヘッダ加工は、切断工程で得られた切断片の端部を鍛造して、ボルトの頭部を成形する。この加工条件には公知の条件が適用できる。
【0055】
〔転造〕
転造加工は、切断工程で得られた切断片にねじ部を成形する。この加工条件には公知の条件が適用できる。通常、ヘッダ加工を行った後に転造が行われる。
【0056】
〔溶体化+時効〕
溶体化処理と時効処理は、ボルトへの加工対象に対して施すことで、合金中に析出物を生成し、加工対象の強度を向上させる。この溶体化と時効を行う手順は、次のパターンがある。
(1)切断→ヘッダ加工→溶体化+時効→転造
(2)切断→中間鍛造→溶体化+時効→ヘッダ加工→転造
(3)切断→ヘッダ加工→転造→溶体化+時効
【0057】
上記のうち、パターン(1)は、最終工程で転造を行うことで、ねじ部の寸法精度が高い。また、転造によってねじ部となる箇所に塑性加工を加えることにより、素材を加工硬化させ、ボルトの強度を若干高めることができる。
【0058】
パターン(2)は、時効後に塑性加工を行うことにより、素材を加工硬化し、強度を高めることができる。
【0059】
パターン(3)は、時効前に塑性加工を行うので、加工性が比較的低い材料でもねじに加工することができる。
【0060】
いずれのパターンであっても、溶体化処理の条件は、520〜560℃で1〜5時間、時効処理の条件は、160〜180℃で4〜30時間程度が好適である。この溶体化処理と時効処理によってもMg2Siの析出状態を制御することにより機械的特性を調整できる。
【0061】
<試験例1>
鋳造→圧延→伸線→中間軟化→伸線の工程によりアルミニウム合金線を作製する。その作製過程において、鋳造材・伸線材の表面性状の評価を行い、さらに得られたアルミニウム合金線をボルトに加工して、成形時の割れや耐熱性について評価すると共に、ボルトの機械的特性を評価した。試料の組成を表1に、評価結果を表2に示す。表1、表2において、比較例2はA6056相当材である。
【0062】
《合金線の作製》
まず、ベースとなる純アルミニウムを溶解し、その溶湯に添加元素を所定の濃度となるように投入する。成分調整したアルミニウム合金の溶湯は、適宜、水素ガス除去処理や、異物除去処理を行う。このアルミニウム合金溶湯をベルト-ホイール式の連続鋳造圧延機により鋳造と熱間圧延を行い、φ9.5mmのワイヤロッドを作製する。鋳造時における冷却速度は、5℃/sec以上とする。また、水冷銅鋳型を用いて、冷却過程にある溶湯のどの位置においても冷却速度が5℃/sec以上となるようにした。組織微細化のためのTiとBは、Al-3%Ti-1%B(質量%)のワイヤを用意し、鋳型内に溶湯とワイヤが同時に供給されるようにして鋳造を行うことで添加した。続いて、このワイヤロッドを冷間にてφ8.3mmまで伸線した後、400℃×5時間の中間軟化処理をバッチ処理にて行い、さらにその軟化処理材をφ7.05mmまで伸線する。そして、得られた合金線に350℃×5時間の最終軟化処理をバッチ処理にて行い、アルミニウム合金線とする。なお、いずれの試料も、Siを化学量論組成よりも過剰に添加しているため、表1中のMg2Siの含有量は、下記の式1により演算で求めた。
{Mg含有量[質量%]/(Mgの原子量×2) }×(Mg2Siの分子量) …式1
【0063】
《再溶融部分の評価》
得られた鋳造材を適宜サンプリングして外観を観察し、凝固時の再溶融に伴って生じた再溶融部分の数を調べる。再溶融部分の評価は、比較例2を基準として、再溶融部分の数が減少した試料を○、同等の試料を△、増加した試料を×とした。
【0064】
《探傷数の評価》
連続鋳造圧延により得られた圧延材を11.7mmまで伸線加工した段階で皮剥ぎダイスにより厚さ0.2mmの皮剥ぎを行う。なお、皮剥は行わなくてもよい。この皮剥ぎにより、再溶融以外の原因、例えば熱間圧延や、その後の伸線加工において発生する比較的小さな疵を除去することができる。探傷数の評価は、まず、上記の皮剥ぎ材に対して、伸線機に備えるオンラインの渦流型探傷器を用いて表面の疵の個数を観察し、探傷カウント部にマーキングを行う。そして、比較例1の探傷数を100として、その相対数で評価を行う。
【0065】
《ボルトの作製》
得られたアルミニウム合金線からボルトを作製する。本例では、M8ボルトのT6処理材と、T6処理材に冷間加工(中間鍛造)を加えたT9処理材を作製した。各ボルトの製造過程は次の通りである。いずれも溶体化処理は550℃×2時間、時効処理は175℃×8時間とした。なお、比較例1〜7については、T9処理材を作製していない。
【0066】
T6処理材
切断→ヘッダ加工→溶体化処理→時効処理→転造
T9処理材
切断→中間鍛造→溶体化処理→時効処理→ヘッダ加工→転造
【0067】
《ボルトの割れの評価》
得られたボルト500個中の割れの発生率で評価する。この割れの有無は、ヘッダ加工時又は転造時などに生じた割れを目視にて観察して判断する。この評価は、比較例2を基準として、比較例2と同等なら△、20%以上改善されていたら○、20%以上劣っていたら×とする。例えば、比較例2の割れの発生数が10個であったとすると、試料の割れの発生数が8個以下であれば、20%以上改善されたことになり、12個以上であれば、20%以上劣っていることになる。
【0068】
《耐熱性試験》
作製したボルトを150℃で1000時間保持した後、室温で引張試験を行い、この熱処理前の引張強さに対する熱処理後の引張強さの低下率で耐熱性を評価した。比較例2を基準として、上記低下率が同等なら○、20%以上改善されたら◎とした。20%以上の改善とは、例えば比較例2の低下率が10%であるとしたとき、試料の低下率が8%以下となることである。
【0069】
《機械的特性の評価》
ボルトを試料として常温にて引張試験を行い、引張強さ、0.2%耐力、及び伸びを評価した。この引張試験はJIS B1051に準拠して行う。但し、上述したT9処理材については、引張強さと0.2%耐力のみを表2に示している。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】

【0072】
《考察》
表1と表2に示すように、Srを0.005質量%以上含有する本発明1〜14は、再溶融、探傷数、割れのいずれの評価も良好である。また、これらのT6処理材は、引張強さ:380MPa以上、0.2%耐力:350MPa以上、伸び:6%以上を備えており、T9処理材は、引張強さ:460MPa以上、0.2%耐力:440MPa以上で、耐熱性も備えている。また、第二組成を有する本発明2、9は引張強さ:400MPa以上、0.2%耐力:360MPa以上、伸び:6%以上を備えている。さらに、第三組成を有する本発明4、6〜8、10、12のT6処理材は、引張強さ:430MPa以上、0.2%耐力:370MPa以上、伸び:6%以上を備えている。特に、第三組成を有し、Zr/Srが3〜50で、Mg2Si/
Mn+Crが1.0〜2.1である本発明4、6、7、8、10、12のT9処理材は、引張強さ:510MPa以上、0.2%耐力:500MPa以上を備え、良好な耐熱性をも有している。中でも、Zr/Srが3以上40未満である本発明4、6、7、8、12、とりわけZr/Srが5以上15以下である本発明4、6、7、12のT9処理材は、高い耐熱性をも有している。一方、第一組成を満たさない比較例は、いずれも再溶融、探傷数或いはボルトへの成形性の点で改善効果が不十分か若しくは劣り、耐熱性も20%以上改善されたものが存在しない。
【0073】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のアルミニウム合金線及びその製造方法は、ボルトの素線或いはその製造に利用でき、本発明のボルト及びその製造方法は、自動車部品の締付用ボルト或いはその製造に好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、
Si:0.60〜1.5%
Fe:0.02〜0.40%
Cu:0.50〜1.2%
Mn:0.50〜1.1%
Mg:0.70〜1.3%
Cr:0.30%以下(0%を含む)
Zn:0.005〜0.50%
Ti:0.01〜0.20%
Zr:0.05〜0.20%
Sr:0.005〜0.05%
を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなることを特徴とするボルト用アルミニウム合金線。
【請求項2】
質量%で、Sr:0.005〜0.03%
Zrの含有量とSrの含有量の比率Zr/Srが3〜50であることを特徴とする請求項1に記載のボルト用アルミニウム合金線。
【請求項3】
質量%で、
Si:0.80〜1.4%
Fe:0.05〜0.30%
Cu:0.50〜1.2%
Mn:0.50〜1.1%
Mg:0.80〜1.3%
Cr:0.01〜0.30%
Zn:0.05〜0.25%
Ti:0.01〜0.10%
Zr:0.10〜0.20%
Sr:0.005〜0.03%
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のボルト用アルミニウム合金線。
【請求項4】
質量%で、
Cu:0.80〜1.2%
Mn:0.70〜1.1%
Cr:0.05〜0.30%
を含むことを特徴とする請求項3に記載のボルト用アルミニウム合金線。
【請求項5】
Mg2Siを含み、
Mg2Siの含有量と、MnとCrの合計含有量との比率Mg2Si/Mn+Crが1.0〜2.1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のボルト用アルミニウム合金線。
【請求項6】
質量%で、
Si:0.60〜1.5%
Fe:0.02〜0.40%
Cu:0.50〜1.2%
Mn:0.50〜1.1%
Mg:0.70〜1.3%
Cr:0.30%以下(0%を含む)
Zn:0.005〜0.50%
Ti:0.01〜0.20%
Zr:0.05〜0.20%
Sr:0.005〜0.05%
を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる鋳造材を得る工程と、
この鋳造材を圧延して圧延材とする工程と、
前記圧延材を伸線して所定の線径の伸線材とする工程と、
前記伸線工程の途中の線材に対して250〜500℃で0.5〜40時間の軟化処理を行う工程とを備えることを特徴とするボルト用アルミニウム合金線の製造方法。
【請求項7】
アルミニウム合金からなるボルトであって、
前記アルミニウム合金が、質量%で以下の元素を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなり、
Si:0.60〜1.5%
Fe:0.02〜0.40%
Cu:0.50〜1.2%
Mn:0.50〜1.1%
Mg:0.70〜1.3%
Cr:0.30%以下(0%を含む)
Zn:0.005〜0.50%
Ti:0.01〜0.20%
Zr:0.05〜0.20%
Sr:0.005〜0.05%
引張強さ:380MPa以上、
0.2%耐力:350MPa以上、
伸び:6%以上
であることを特徴とするボルト。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のボルト用アルミニウム合金線を所定長に切断する工程と、
切断されたボルト用アルミニウム合金線をヘッダ加工してボルトの頭部を成形する工程と、
切断されたボルト用アルミニウム合金線を転造してボルトのねじ部を成形する工程と、
ボルト用アルミニウム合金線からボルトを製造するまでの過程における対象物に溶体化処理及び時効処理を行う工程とを備えることを特徴とするボルトの製造方法。

【公開番号】特開2013−104123(P2013−104123A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250529(P2011−250529)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(591174368)富山住友電工株式会社 (50)