説明

ボルト箱保持具

【課題】作業効率を向上できるボルト箱保持具を提供すること。
【解決手段】ボルト箱保持具1は、ボルトが収容された直方体形状のボルト箱10を保持する。このボルト箱保持具1は、ボルト箱10の4つの側面および底面を覆う袋状の袋部材20と、この袋部材20の上端側に設けられた一対の把持部30と、を備える。袋部材20は、ボルト箱10の4つの側面を巻く環状の側面保持部21と、ボルト箱10の底面を跨いで両端で側面保持部21に連結された帯状の底面保持部22と、ボルト箱10の側面保持部21より底面側で、かつ、底面保持部22以外の部分を覆う網状の網状部23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト箱保持具に関する。詳しくは、ボルトが収容された直方体形状のボルト箱を保持するボルト箱保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄骨建方工事では、鉄骨梁や鉄骨柱などの鉄骨部材をクレーンで建方フロアに揚重して、ボルトで接合することが行われている。この場合、ボルトを布袋に収納しておき、この布袋を鉄骨の端部やクレーンのフックに連結して、鉄骨梁とともに建方フロアに揚重している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−288898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のボルトは、ボルト箱に梱包された状態で現場に搬入される。そのため、地上にてボルト箱を開封し、ボルト箱の中からボルトを取り出して布袋に移し替える作業が必要である。よって、この移し替え作業に時間がかかってしまい、作業効率が低下する、という問題があった。
【0005】
本発明は、作業効率を向上できるボルト箱保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のボルト箱保持具は、ボルトが収容された直方体形状のボルト箱を保持するボルト箱保持具であって、前記ボルト箱の4つの側面および底面を覆う袋状の袋部材と、当該袋部材の上端側に設けられた一対の把持部と、を備え、前記袋部材は、前記4つの側面を巻く環状の側面保持部と、前記底面を跨いで両端で前記側面保持部に連結された帯状の底面保持部と、前記側面保持部より底面側で、かつ、少なくとも前記底面保持部以外の部分を覆う網状の網状部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ボルトが梱包されたボルト箱を袋部材に収容し、一対の把持部を把持するだけで、ボルト箱を梱包状態で運搬できる。よって、従来のようにボルト箱からボルトを取り出して移し替える必要がなく、作業効率を向上できる。
また、袋部材でボルト箱の4つの側面および底面を覆っているので、ボルト箱が型崩れしても、ボルトが落下するのを防止できる。
【0008】
また、側面保持部、底面保持部、および網状部で袋部材を構成したので、ボルト箱保持具が簡単な構成となり、ボルト箱保持具を容易に製作できる。
【0009】
請求項2に記載のボルト箱保持具は、前記袋部材の底面には、磁石が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、袋部材の底面に磁石を設けたので、鉄骨建方の際に、鉄骨梁の上にボルト箱保持具を載せても、ボルト箱が強風に煽られて落下するのを防止できる。
【0011】
請求項3に記載のボルト箱保持具は、前記袋部材は、前記ボルト箱の上面を跨いで両端で前記側面保持部に連結された帯状の上面保持部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、上面保持部を設けたので、ボルト箱が袋部材から脱落するのを防止できる。
【0013】
請求項4に記載のボルト箱保持具は、前記ボルト箱の側面上部には、ボルトの種類が表示された表示領域が設けられており、前記袋部材は、前記ボルト箱の表示領域よりも下側を覆うことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、袋部材によりボルト箱の表示領域よりも下側を覆ったので、ボルトの種類を容易に確認でき、作業効率がさらに向上する。
【0015】
請求項5に記載のボルト箱保持具は、前記ボルト箱の上面は、開閉可能な蓋であり、前記一対の把持部のそれぞれには、前記ボルト箱の蓋を挟持可能な挟持部が設けられることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、ボルト箱の蓋を挟持可能な挟持部を把持部に設けたので、挟持部で蓋を挟み込むことで、ボルト箱の蓋を開いた状態で維持できるから、鉄骨部材にボルト取り付ける際の作業効率を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ボルトが梱包されたボルト箱を袋部材に収容し、一対の把持部を把持するだけで、ボルト箱を梱包状態で運搬できる。よって、従来のようにボルト箱からボルトを取り出して移し替える必要がなく、作業効率を向上できる。また、袋部材でボルト箱の4つの側面および底面を覆っているので、ボルト箱が型崩れしても、ボルトが落下するのを防止できる。また、側面保持部、底面保持部、および網状部で袋部材を構成したので、ボルト箱保持具が簡単な構成となり、ボルト箱保持具を容易に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係るボルト箱保持具の斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るボルト箱保持具の側面保持部および底面保持部の構造を示す斜視図である。
【図3】前記実施形態に係るボルト箱保持具の使用方法を説明するための斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るボルト箱保持具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るボルト箱保持具1の斜視図である。
ボルト箱保持具1は、直方体形状のボルト箱10を保持するものである。
このボルト箱10は、同一サイズのボルト13が複数収容されたダンボール製の箱である(図3参照)。このボルト箱10の側面には、ボルトサイズおよびロット番号が表示された表示領域11が設けられている。このボルト箱10の上面は、開閉可能な蓋12となっている。また、このボルト箱10は、梱包帯14により梱包状態が保持されている。
【0020】
ボルト箱保持具1は、ボルト箱10の4つの側面および底面を覆う袋状の袋部材20と、この袋部材20の上端側にボルト箱10の上面を挟んで設けられた一対の把持部30と、を備える。
【0021】
袋部材20は、ボルト箱10の4つの側面を巻く環状の側面保持部21と、ボルト箱10の底面を跨いで両端で側面保持部21に連結された3本の帯状の底面保持部22と、ボルト箱10の側面保持部21より底面側で、かつ、底面保持部22以外の部分を覆う網状の網状部23と、ボルト箱10の上面を跨いで両端で側面保持部21に連結された帯状の上面保持部24と、を備える。
【0022】
側面保持部21は、例えばナイロンベルトであり、ボルト箱10の表示領域11よりも下側に設けられている。これにより、袋部材20は、ボルト箱10の表示領域11よりも下側を覆うことになり、この表示領域11は外部に露出している。
【0023】
上面保持部24は、例えばナイロンベルトであり、一端が側面保持部21に固定され、他端が側面保持部21に着脱可能な面ファスナーとなっている。
【0024】
図2は、ボルト箱保持具1の側面保持部21および底面保持部22の構造を示す斜視図であり、理解の容易のため、網状部23および上面保持部24の表示を省略している。
3本の底面保持部22は、例えばナイロンベルトであり、これら3本の底面保持部22のうちの1本は、ボルト箱10の底面の長さ方向に沿って延びており、残る2本は、ボルト箱10の底面の幅方向に沿って延びている。ボルト箱10の底面の長さ方向に沿って延びる底面保持部22には、2箇所に強力磁石221が設けられている。
【0025】
一対の把持部30は、それぞれ、略U字形状の帯状であり、この把持部30の両端部は、側面保持部21に連結されている。
【0026】
以上のボルト箱保持具1の使用方法は、以下のようになる。
鉄骨建方工事の際、ボルト箱10をボルト箱保持具1の袋部材20に収容し、建方フロアに運搬する。具体的には、ボルト箱保持具1を鉄骨梁の端部やクレーンのフックに連結して、鉄骨梁とともに建方フロアに直接揚重してもよいし、クレーンやリフトで建方フロアの近傍まで運搬して集積しておき、必要に応じて人手で建方フロアに小運搬してもよい。
建方フロアに運搬した後、図3に示すように、このボルト箱保持具1を建方フロアの鉄骨梁40の上に載せて、強力磁石221の磁力でボルト箱保持具1を鉄骨梁40に吸着させる。次に、梱包帯14を残したままでボルト箱10の一部を破いて開封する。この状態でボルト箱10からボルト13を取り出して、鉄骨梁や鉄骨柱などの鉄骨部材の接合部にボルトを取り付ける。
【0027】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)ボルト13が梱包されたボルト箱10を袋部材20に収容し、一対の把持部30を把持するだけで、ボルト箱10を梱包状態で運搬できる。よって、従来のようにボルト箱からボルトを取り出して移し替える必要がなく、作業効率を向上できる。
また、人手により上下階に小運搬する際、人から人への受け渡しを容易かつ確実に行えるようになり、安全性が向上する。
【0028】
また、袋部材20でボルト箱10の4つの側面および底面を覆っているので、ボルト箱10が型崩れしても、ボルト13が落下するのを防止できる。
また、側面保持部21、底面保持部22、および網状部23で袋部材20を構成したので、ボルト箱保持具1が簡単な構成となり、ボルト箱保持具1を容易に製作できる。
【0029】
(2)袋部材20によりボルト箱10の表示領域11よりも下側を覆ったので、ボルトの種類を容易に確認でき、作業効率がさらに向上する。
【0030】
(3)袋部材20の底面に強力磁石221を設けたので、鉄骨建方の際に、鉄骨梁40の上にボルト箱保持具1を載せても、ボルト箱10が強風に煽られて落下するのを防止できる。
【0031】
(4)上面保持部24を設けたので、ボルト箱10が袋部材20から脱落するのを防止できる。
【0032】
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係るボルト箱保持具1Aの斜視図である。
本実施形態では、上面保持部24が設けられておらず、挟持部31が設けられている点が、第1実施形態と異なる。
すなわち、一対の把持部30のそれぞれには、ボルト箱10の蓋12を挟み込んで挟持可能な挟持部31が2箇所に設けられる。
【0033】
以上のボルト箱保持具1Aを使用する場合には、図4に示すように、梱包帯14を切断してボルト箱10の蓋12を開き、この蓋12を挟持部31で挟み込んで、ボルト箱10を開いた状態とする。この状態でボルト箱10からボルト13を取り出して、鉄骨梁や鉄骨柱などの鉄骨部材の接合部にボルトを取り付ける。
【0034】
本実施形態によれば、上述の(1)〜(3)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(5)ボルト箱10の蓋12を挟持可能な挟持部31を把持部30に設けたので、挟持部31で蓋12を挟み込むことで、ボルト箱10の蓋12を開いた状態で維持できるから、鉄骨部材にボルト取り付ける際の作業効率を向上できる。
【0035】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
1、1A…ボルト箱保持具
10…ボルト箱
11…表示領域
12…蓋
13…ボルト
14…梱包帯
20…袋部材
21…側面保持部
22…底面保持部
23…網状部
24…上面保持部
30…把持部
31…挟持部
40…鉄骨梁
221…強力磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトが収容された直方体形状のボルト箱を保持するボルト箱保持具であって、
前記ボルト箱の4つの側面および底面を覆う袋状の袋部材と、
当該袋部材の上端側に設けられた一対の把持部と、を備え、
前記袋部材は、前記4つの側面を巻く環状の側面保持部と、
前記底面を跨いで両端で前記側面保持部に連結された帯状の底面保持部と、
前記側面保持部より底面側で、かつ、少なくとも前記底面保持部以外の部分を覆う網状の網状部と、を備えることを特徴とするボルト箱保持具。
【請求項2】
前記袋部材の底面には、磁石が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のボルト箱保持具。
【請求項3】
前記袋部材は、前記ボルト箱の上面を跨いで両端で前記側面保持部に連結された帯状の上面保持部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のボルト箱保持具。
【請求項4】
前記ボルト箱の側面上部には、ボルトの種類が表示された表示領域が設けられており、
前記袋部材は、前記ボルト箱の表示領域よりも下側を覆うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のボルト箱保持具。
【請求項5】
前記ボルト箱の上面は、開閉可能な蓋であり、
前記一対の把持部のそれぞれには、前記ボルト箱の蓋を挟持可能な挟持部が設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のボルト箱保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−103763(P2013−103763A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251306(P2011−251306)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】