説明

ボルト締結方法及びその装置

【課題】ボルト軸力をボルト伸び量で管理する測伸法において、目標軸力を精度よく安定して達成し、ボルト軸力が目標軸力に到達していない締結力不足の締結構造体の生産を未然に回避する。
【解決手段】着座後のボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達するまでボルトを締め付けた後(S5)、該ボルトを着座前の状態まで弛め(S10)、弛めた後のボルト長さL2と締付前のボルト長さL0との間の変化量 ΔLが所定の許容範囲A内にあるか否かを判定し(S13)、許容範囲A内にあるときは、当該ボルトを用いて着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付け(S15)、許容範囲内にないときは、当該ボルトを用いての締付けを中止する(S23)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト締結方法及びその装置に関し、詳しくは、ボルトの締付けに伴い増大するボルトの伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることによりボルトの軸力を目標軸力に到達させるようにしたボルト締結方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボルトによる部材の締結をボルトの締付トルクで管理するトルク法やボルトの締付角度で管理する角度法に加えて、ボルトの締付けに伴いボルトに発生する伸び量で管理する測伸法が知られている。この測伸法は、例えばボルト頭部からボルト先端部に向けてボルト内部に超音波パルス信号を送信し、ボルト先端部で反射した反射パルス信号をボルト頭部で受信するまでの時間に基いて、ボルトの長さひいてはボルトの締付けに伴い増大するボルトの伸び量を検出する工程を含んでいる。そして、検出したボルト伸び量が所定の目標伸び量に到達するまでボルトの締付けを続行することにより、ボルト伸び量と比例関係にあるボルト軸力を所定の目標軸力に到達させようとするものである。
【0003】
この測伸法によれば、トルク法や角度法に比べて、より直接的にボルト軸力を目標軸力に近づけることができるから、より高い精度で締結構造体の締結品質を維持確保することが可能となる。
【0004】
なお、測伸法に関する技術の1つとして、例えば特許文献1には、締結済みのボルト長とその後の完全緩み状態のボルト長との差に基いて締結済み時のボルト軸力を算出する技術が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−114182(段落0034)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この測伸法においては、例えば、周辺温度の上昇に起因してボルトが膨張し、その分の伸び量がボルト伸び量に加わったような場合や、ボルトの個体差から強度が相対的に小さいボルトを締付中にボルトが塑性伸びを起こしたような場合、あるいは、ボルトの個体差から転位が相違するボルトを締付中に伸び量と軸力との比例係数が変動したような場合であっても、ボルト伸び量が目標伸び量に到達すればボルト軸力が目標軸力に到達したと判断して締付けを完了するから、ボルト軸力が目標軸力に到達していない締結力不足の締結構造体が生産される可能性がある。
【0007】
本発明は、ボルト軸力をボルト伸び量で管理する測伸法における前記不具合に対処するもので、たとえ締付け以外の要因でボルトに伸びが発生したり、ボルトが塑性伸びを起こしたり、伸び量と軸力との比例係数が変動しても、目標軸力を精度よく安定して達成し、ボルト軸力が目標軸力に到達していない締結力不足の締結構造体の生産を未然に回避することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明では次のような手段を用いる。なお、以下の手段の開示において、後述する発明の実施形態で相当するステップを参考までに付記した。
【0009】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、ボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることによりボルト軸力を目標軸力に到達させるようにしたボルト締結方法であって、着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付ける第1の締付工程(ステップS2〜S6)と、この第1の締付工程で締め付けたボルトを着座前の状態まで弛める弛め工程(ステップS7〜S10)と、この弛め工程で弛めた後のボルトの長さと前記第1の締付工程で締め付ける前のボルトの長さとの間の変化量を検出する変化量検出工程(ステップS12)と、この変化量検出工程で検出した変化量が所定の許容範囲内にあるか否かを判定する判定工程(ステップS13)と、この判定工程で前記変化量が所定の許容範囲内にあると判定したときは、当該ボルトを用いて、着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付ける第2の締付工程(ステップS16〜S20)と、前記判定工程で前記変化量が所定の許容範囲内にないと判定したときは、当該ボルトを用いての締付けを中止する中止工程(ステップS22〜S23)とを有することを特徴とする。
【0010】
次に、本願の請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のボルト締結方法であって、前記第2の締付工程では、前記変化量検出工程で検出した変化量を減算補正(ステップS18)したボルトの伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることを特徴とする。
【0011】
次に、本願の請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は2に記載のボルト締結方法であって、前記中止工程は、前記ボルトを別のボルトに取り替える取替工程(ステップS23)と、この取替工程で取り替えたボルトを用いて締付けを行う再締付工程(ステップS2)とを有することを特徴とする。
【0012】
次に、本願の請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載のボルト締結方法であって、前記再締付工程(ステップS2)では、前記第1の締付工程(ステップS2〜S6)、前記弛め工程(ステップS7〜S10)、前記変化量検出工程(ステップS12)、前記判定工程(ステップS13)、及び、前記第2の締付工程(ステップS16〜S20)又は前記中止工程(ステップS22〜S23)を実行することを特徴とする。
【0013】
次に、本願の請求項5に記載の発明は、前記請求項1から4のいずれか1項に記載のボルト締結方法であって、前記弛め工程で弛めた後のボルトの長さ及び前記第1の締付工程で締め付ける前のボルトの長さは、超音波を用いて検出することを特徴とする。
【0014】
次に、本願の請求項6に記載の発明は、前記請求項1から5のいずれか1項に記載のボルト締結方法であって、前記ボルトの軸力は、ボルトに負荷した荷重の減少量とボルトの縮み量とから設定された比例係数と、ボルトの伸び量とに基いて算出することを特徴とする。
【0015】
一方、本願の請求項7に記載の発明は、ボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることによりボルト軸力を目標軸力に到達させるようにしたボルト締結装置であって、着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付ける第1の締付手段(ステップS2〜S6)と、この第1の締付手段で締め付けたボルトを着座前の状態まで弛める弛め手段(ステップS7〜S10)と、この弛め手段で弛めた後のボルトの長さと前記第1の締付手段で締め付ける前のボルトの長さとの間の変化量を検出する変化量検出手段(ステップS12)と、この変化量検出手段で検出した変化量が所定の許容範囲内にあるか否かを判定する判定手段(ステップS13)と、この判定手段で前記変化量が所定の許容範囲内にあると判定したときは、当該ボルトを用いて、着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付ける第2の締付手段(ステップS16〜S20)と、前記判定手段で前記変化量が所定の許容範囲内にないと判定したときは、当該ボルトを用いての締付けを中止する中止手段(ステップS22〜S23)とを有することを特徴とする。
【0016】
次に、本願の請求項8に記載の発明は、前記請求項7に記載のボルト締結装置であって、前記第2の締付手段は、前記変化量検出手段で検出した変化量を減算補正(ステップS18)したボルトの伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることを特徴とする。
【0017】
次に、本願の請求項9に記載の発明は、前記請求項7又は8に記載のボルト締結装置であって、前記中止手段は、前記ボルトを別のボルトに取り替えるための信号を出力する取替信号出力手段(ステップS23)と、取り替えられたボルトを用いて締付けを行う再締付手段(ステップS2)とを有することを特徴とする。
【0018】
次に、本願の請求項10に記載の発明は、前記請求項9に記載のボルト締結装置であって、前記再締付手段(ステップS2)は、前記第1の締付手段(ステップS2〜S6)、前記弛め手段(ステップS7〜S10)、前記変化量検出手段(ステップS12)、前記判定手段(ステップS13)、及び、前記第2の締付手段(ステップS16〜S20)又は前記中止手段(ステップS22〜S23)を動作させることを特徴とする。
【0019】
次に、本願の請求項11に記載の発明は、前記請求項7から10のいずれか1項に記載のボルト締結装置であって、前記弛め手段で弛めた後のボルトの長さ及び前記第1の締付手段で締め付ける前のボルトの長さを、超音波を用いて検出するボルト長さ検出手段を有することを特徴とする。
【0020】
そして、本願の請求項12に記載の発明は、前記請求項7から11のいずれか1項に記載のボルト締結装置であって、前記ボルトの軸力を、ボルトに負荷した荷重の減少量とボルトの縮み量とから設定された比例係数と、ボルトの伸び量とに基いて算出するボルト軸力算出手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
まず、請求項1、請求項7に記載の発明によれば、ボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることによりボルト軸力を目標軸力に到達させる測伸法において、いったんボルト伸び量が目標伸び量に到達するまで締め付けたボルトを着座前の状態まで弛め、弛めた後のボルト長さと締付前のボルト長さとの間の変化量が所定の許容範囲内にある場合に限り、当該ボルトを用いて2回目の締付けを行い(使用可能判定)、一方、前記変化量が許容範囲内にない場合は、当該ボルトを用いて締付けを行うことは中止する(使用不能判定)ようにしたから、例えば膨張伸びのような締付け以外の要因による伸びが過度に発生したボルトや、過度に強度が不足するボルトや、過度に転位が相違するボルト等は使用が中止されることとなり、これにより、ボルト軸力が目標軸力に到達していない締結力不足の締結構造体の生産を未然に回避することが可能となる。
【0022】
そして、前記ボルト長さの変化量が許容範囲内にあるボルトのみを用いて2回目の締付けを行うから、目標軸力を精度よく安定して達成することが可能となる。
【0023】
その場合に、許容範囲内であるが多少強度が不足するボルトや多少転位が相違するボルトも2回目の締付けに用いられることとなるが、2回目の締付時にはボルトの弾性限界が高上し、また転位が抑制されるから、塑性伸びや比例係数の変動が低減された適正な締付けが最終的に実現することとなる。
【0024】
次に、請求項2、請求項8に記載の発明によれば、前記2回目の締付けでは、ボルト伸び量から前記ボルト長さの変化量を減算補正するようにしたから、目標軸力をさらに精度よく安定して達成することが可能となる。
【0025】
次に、請求項3、請求項9に記載の発明によれば、前記ボルト長さ変化量が許容範囲内にない場合は、別のボルトに取り替えて、測伸法による締付けが再度実行されることとなる。
【0026】
次に、請求項4、請求項10に記載の発明によれば、測伸法による締付けが再度実行されるときも、1回目の締付け、弛め、ボルト長さ変化量の検出、判定、及び、2回目の締付け又は締付中止が遂行されるから、この再締付時においても、締結力不足の締結構造体の生産が未然に回避され、目標軸力が精度よく安定して達成されることとなる。
【0027】
次に、請求項5、請求項11に記載の発明によれば、超音波を用いてボルト長さを検出するようにしたから、簡便で精度よく、そして締付中でもボルト長さを検出することが可能となる。
【0028】
そして、請求項6、請求項12に記載の発明によれば、ボルト伸び量からボルト軸力を算出する際に使用する比例係数を、ボルトへの荷重の増加量とボルト伸び量とから設定せずに、ボルトに負荷した荷重の減少量とボルト縮み量とから設定するようにしたから、たとえ比例係数設定時の被検査体毎に強度や転位が異なっていても、荷重の減少量とボルトの縮み量との関係を表す弾性勾配は安定することによって、伸び量の検出結果ひいては比例係数の設定結果の変動が少なくて済み、ボルト伸び量とボルト軸力との比例係数が精度よく設定されることとなる。以下、発明の最良の実施の形態を通して本発明をさらに詳しく説述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本実施形態に係るボルト締結装置1のブロック構成図である。このボルト締結装置1は、主たる構成要素として、軸力測定装置20、ナットランナ30及びナットランナ駆動装置40を有している。
【0030】
軸力測定装置20は、超音波パルス送受信部22、データ記憶部23、表示部24及び制御部21を備えている。
【0031】
超音波パルス送受信部22は、超音波センサ12と接続され、該センサ12からの超音波パルス信号の送信及び該センサ12による超音波反射パルス信号の受信を行う。
【0032】
データ記憶部23は、ボルト10の締付けに必要な各種データを予め記憶している。そのようなデータとしては、例えば、ボルト10の初期長さL0、ボルト10の伸び量δと軸力Fとの比例係数α(図2参照)、ボルト10の目標伸び量δf、ボルト10の目標軸力Ff、ボルト長さ変化量 ΔLの許容範囲A等が含まれる。
【0033】
表示部24は、ボルト10の締付動作中、種々の情報を画面に表示して作業員に情報提供する。本実施形態において、表示部24が表示する最も重要な情報の1つに、いま締め付けようとしているボルト10が使用可能なものなのか使用不能なものなのかの判定結果に関する情報がある(図8のステップS14、S22参照)。
【0034】
ナットランナ駆動装置40は、ナットランナ30の角度エンコーダ31から出力されるボルト10の角度信号と、ナットランナ30のトルクセンサ33から出力されるボルト10の締付トルク信号又は逆駆動時の弛めトルク信号とを入力し、ナットランナ30のモータ32に駆動信号を出力する。
【0035】
ナットランナ駆動装置40と軸力測定装置20の制御部21とは、相互に情報交換が可能に接続されている。
【0036】
被締結物13,13を締結するためにナットランナ30で締め付けられるボルト10の頭部にソケット11が被せられ、このソケット11にボルト10の頭部に密着するように超音波センサ(ボルト長さ検出手段)12が組み込まれている。超音波センサ12は、ボルト10の先端部に向けてボルト10の内部に超音波パルス信号を送信し、ボルト10の先端部で反射した反射パルス信号を受信する。そして、軸力測定装置20の制御部21は、その送信から受信までの時間に基きボルト10の長さを検出し、ボルト10の初期長さL0と比較して、ボルト10の締付けに伴うボルト10の伸び量δを検出する。
【0037】
図2に示すように、ボルト10の伸び量δとボルト10の軸力Fとは比例関係にあり、ボルト10の伸び量δが大きくなるほどボルト10の軸力Fが大きくなる。そして、その比例係数αが予め実験的に設定されて、軸力測定装置20のデータ記憶部23に記憶されている。次に、図3〜図7を参照して、本実施形態における前記比例係数αの設定の仕方を説明する。
【0038】
図3に示すように、被検査体であるボルト10にナットを螺合して、引っ張り荷重Wを負荷させる。ある荷重Wを負荷させたときのボルト10の長さL1(前述したように超音波センサ12を用いて検出する)からボルト10の初期長さL0を減じた値が伸び量δであり、前記荷重Wとこの伸び量δとの比率が比例係数αとなる。従来は、無負荷の初期状態(ボルト長さ=L0)から荷重Wを増加させたときのボルト長さL1を検出して伸び量δを検出するのが通例であった。
【0039】
しかし、この方法では、ボルト10の初期長さL0が固定であるから、例えば図4に示すように、被検査体の強度の大小に起因して負荷時のボルト長さL1が大きく変動した場合に、伸び量δの検出結果(L1−L0)ひいては比例係数αの設定結果が大きく変動するという問題がある。
【0040】
同様に、例えば図5に示すように、被検査体の転位の有無に起因して負荷時のボルト長さL1が大きく変動した場合にも、伸び量δの検出結果(L1−L0)ひいては比例係数αの設定結果が大きく変動するという問題がある。
【0041】
そこで、本実施形態では、荷重Wを負荷した状態(ボルト長さ=L1)から荷重Wを減少させて無負荷としたときのボルト長さL0を検出して、その縮み量から伸び量δを算出するようにした。これにより、被検査体毎に強度や転位が異なっていても、図6及び図7に示すように、荷重Wの減少量とボルト10の縮み量との関係を表す弾性勾配は安定することから、伸び量δの検出結果(L1−L0)ひいては比例係数αの設定結果がそれほど変動せず、ボルト10の伸び量δと軸力Fとの比例係数αを精度よく設定できることとなる。
【0042】
本実施形態では、軸力測定装置20の制御部21が、前記のようにボルト10に負荷した荷重Wの減少量とボルト10の縮み量とから設定された比例係数αと、ボルト10の伸び量δとに基いて、ボルト軸力Fを算出するので、特許請求の範囲でいう「ボルト軸力算出手段」に相当する。
【0043】
次に、図8〜図9に示すフローチャートに従って、本実施形態に係るボルト締結方法を説明する。なお、図8〜図9に示すフローチャートは、軸力測定装置20の制御部21が行う具体的制御動作の1例を表している。
【0044】
まず、ステップS1で、各種数値を初期設定する。つまり、軸力測定装置20のデータ記憶部23に前述したようなボルト10の初期長さL0等の各種データを登録したり、前回のボルト10の締結動作で更新し使用した各種パラメータ等をリセットするのである。
【0045】
次いで、ステップS2で、ナットランナ30を駆動してボルト10の締付けを開始し、ステップS3で、ボルト10の伸び量δを検出する。この場合のボルト伸び量δは、超音波センサ12により時々刻々検出されるボルト10の長さから、データ記憶部23に記憶されている初期長さL0を減算した値であり、基本的には、ボルト10が着座した後に立ち上がり、締付けが進行するに伴い増大する。
【0046】
次いで、ステップS4で、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達したか否かを判定する。到達しないうちは締付けを継続し、到達すればステップS5でボルト軸力Fが目標軸力Ffに到達したと判定した後、ステップS6で締付けを停止する。
【0047】
次いで、ステップS7で、ナットランナ30を逆駆動してボルト10の弛めを開始し、ステップS8で、超音波センサ12により時々刻々ボルト長さを検出する。あるいは、ボルト長さに代えて、トルクセンサ33により時々刻々弛めトルクを検出してもよい。
【0048】
次いで、ステップS9で、ボルト長さ又は弛めトルクが安定したか否かを判定する。つまり、ボルト10が着座しているうちは、ボルト10に締付けによる伸びが発生しているから、弛めに伴いボルト10が縮んで長さが変化していくが、弛めが進行して着座前の状態まで戻ると、ボルト10は締付けから解除され、伸びがなくなって、それ以上ボルト長さは変化せず安定する。同様に、ボルト10が着座しているうちは、ボルト10に軸力が発生しているから、弛めに伴い弛めトルクが減少していくが、弛めが進行して着座前の状態まで戻ると、ボルト10に軸力がなくなって、それ以上弛めトルクは変化せずほぼ零で安定する(図2参照)。以上により、ステップS9では、ボルト10が着座前の状態まで弛められたか否かが判定される。
【0049】
その結果、ボルト10が着座前の状態まで弛められていないうちは弛めを継続し、ボルト10が着座前の状態まで弛められればステップS10で弛めを停止する。
【0050】
次いで、ステップS11で、ボルト長さを検出する。つまり、いま弛めた後のボルト10の長さ(符号L2を付す)を検出するのである。
【0051】
次いで、ステップS12で、この弛め後のボルト長さL2と、締付け前のボルト長さ、つまりデータ記憶部23に記憶されている初期長さL0との間の変化量 ΔL(=L2−L0)を検出する。
【0052】
次いで、ステップS13で、いま求めたボルト長さ変化量 ΔLが所定の許容範囲A内にあるか否かを判定する。その結果、ボルト長さ変化量 ΔLが前記許容範囲A内にあると判定したときは、ステップS14で、いったん締め付けた後いま弛めた当該ボルト10が使用可能なものであると判定して、その旨の判定結果を表示部24に表示し、ステップS15で、締付続行信号をナットランナ駆動装置40に出力する。
【0053】
一方、ボルト長さ変化量 ΔLが前記許容範囲A内にないと判定したときは、ステップS22で、いったん締め付けた後いま弛めた当該ボルト10が使用不能なものであると判定して、その旨の判定結果を表示部24に表示し、ステップS23で、ボルト取替信号を図外の警報装置に出力する。その結果、作業者は、ソケット11を外してボルト10を別のボルトに取り替える。そして、軸力測定装置20に対して所定の操作を行うことにより、ステップS2に戻り、いま取り替えた別のボルト10を用いて締付けを再度実行する。
【0054】
当該ボルト10が使用可能なものであると判定したときは、ステップS16で、締付けを再開する。つまり、2回目の締付けを行うのである。
【0055】
次いで、ステップS17で、ボルト10の伸び量δを検出し、ステップS18で、検出したボルト伸び量δを前記ボルト長さ変化量 ΔLで減算補正する。つまり、ステップS17で検出したボルト伸び量δから前記ボルト長さ変化量 ΔLを減算した値をボルト伸び量δとするのである。
【0056】
そして、ステップS19で、このようにボルト長さ変化量 ΔLを減算補正した後のボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達したか否かを判定する。到達しないうちは締付けを継続し、到達すればステップS20でボルト軸力Fが目標軸力Ffに到達したと判定した後、ステップS21で締付けの完了を判定して、エンドとなる。
【0057】
図10は、例えば周辺温度の上昇に起因してボルト10に膨張伸びが発生した場合におけるボルト長さLないしボルト伸び量δとボルト軸力Fとの関係を示すグラフである。
【0058】
理想の場合、図中実線で示したように、1回目の締付け(S2〜S6)前のボルト10の初期長さは、データ記憶部23に記憶されている通りの長さL0であり、締付けの進行に伴いボルト軸力Fは比例係数αライン上を移動して、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達した時点で目標軸力Ffに到達する(ボルト長さはL1である)。
【0059】
そして、弛め中(S7〜S10)においてもボルト軸力Fは比例係数αライン上を戻り、ボルト10が着座前の状態まで弛められた時点でボルト長さはL0に復帰する。つまり、弛め後のボルト長さは1回目の締付け前のボルト長さL0にほぼ一致する。
【0060】
その結果、ボルト長さ変化量 ΔLはほぼ零となり、ステップS14で当該ボルト10が使用可能判定されて、2回目の締付け(S16〜S20)に用いられることとなる。
【0061】
これに対し、温度上昇でボルト10に膨張伸びが発生したときは、図中点線で示したように、1回目の締付け前のボルト10の初期長さが、データ記憶部23に記憶されている初期長さL0より長くなっており、その分の伸び量が加わるので、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達しても、ボルト軸力Fは目標軸力Ffに到達していない。その結果、目標軸力Ffと実軸力Frとの間に明確な軸力誤差が生じる。
【0062】
そして、弛め後のボルト長さは、データ記憶部23に記憶されている初期長さL0より長いL2となり、明確なボルト長さ変化量 ΔLが生じる。
【0063】
しかし、そのボルト長さ変化量 ΔLが所定範囲Aに収まっていれば、ステップS14で当該ボルト10が使用可能判定されて、2回目の締付けに用いられる。ただし、ボルト長さ変化量 ΔLが所定範囲Aを超えて大きいときは、ステップS22で当該ボルト10が使用不能判定されて、その使用が中止されることとなる。
【0064】
図11は、膨張伸びにより明確な長さ変化量 ΔLが生じたボルト10を2回目の締付けに用いた場合におけるボルト長さLないしボルト伸び量δとボルト軸力Fとの関係を示すグラフである。
【0065】
この場合、2回目の締付け前のボルト10の長さは、データ記憶部23に記憶されている初期長さL0より長いL2である。そして、その差(L2−L0)がボルト長さ変化量 ΔLである。
【0066】
本実施形態では、ステップS18において、ステップS17で検出したボルト伸び量δを前記ボルト長さ変化量 ΔLで減算補正するから、結局、目標伸び量δfが、見かけ上、前記ボルト長さ変化量 ΔLだけ大きくなるような作用が得られる。その結果、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達した時点で、実軸力Frが目標軸力Ffにほぼ一致し、目標軸力Ffが精度よく安定して達成されることとなる。
【0067】
なお、図10では、1回目の締付け前からボルト10の初期長さがデータ記憶部23に記憶されている初期長さL0より長くなっている場合を説明したが、これに限らず、例えば、1回目の締付け前のボルト10の初期長さはデータ記憶部23に記憶されている初期長さL0と同じであるが、1回目の締付中に温度変化(摩擦熱等)が起こってボルト10に膨張伸びが発生した場合も同様である。
【0068】
次に、図12は、強度が相対的に小さいボルト10が締付中に塑性伸びを起こした場合におけるボルト長さLないしボルト伸び量δとボルト軸力Fとの関係を示すグラフである。
【0069】
この場合、1回目の締付け前のボルト10の初期長さは、データ記憶部23に記憶されている通りの長さL0であるが、図中点線で示したように、締付けの進行に伴いボルト10が塑性伸びを起こして、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達しても、ボルト軸力Fは目標軸力Ffに到達していない。その結果、目標軸力Ffと実軸力Frとの間に明確な軸力誤差が生じる(図4参照)。
【0070】
そして、弛め後のボルト長さは、データ記憶部23に記憶されている初期長さL0より長いL2となり、明確なボルト長さ変化量 ΔLが生じる(図6参照)。
【0071】
しかし、そのボルト長さ変化量 ΔLが所定範囲Aに収まっていれば、ステップS14で当該ボルト10が使用可能判定されて、2回目の締付けに用いられる。ただし、ボルト長さ変化量 ΔLが所定範囲Aを超えて大きいときは、ステップS22で当該ボルト10が使用不能判定されて、その使用が中止されることとなる。
【0072】
図13は、塑性伸びにより明確な長さ変化量 ΔLが生じたボルト10を2回目の締付けに用いた場合におけるボルト長さLないしボルト伸び量δとボルト軸力Fとの関係を示すグラフである。
【0073】
この場合、2回目の締付け前のボルト10の長さは、データ記憶部23に記憶されている初期長さL0より長いL2である。そして、その差(L2−L0)がボルト長さ変化量 ΔLである。
【0074】
本実施形態では、ステップS18において、ステップS17で検出したボルト伸び量δを前記ボルト長さ変化量 ΔLで減算補正するから、結局、目標伸び量δfが、見かけ上、前記ボルト長さ変化量 ΔLだけ大きくなるような作用が得られる。その結果、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達した時点で、実軸力Frが目標軸力Ffに接近し、目標軸力Ffが精度よく安定して達成されることとなる。
【0075】
しかも、2回目の締付時にはボルト10の弾性限界が高上するから、塑性伸びが低減され、適正な締付けが最終的に実現することとなる。
【0076】
次に、図14は、転位が相違するボルト10を締付中に伸び量と軸力との比例係数αが変動した場合におけるボルト長さLないしボルト伸び量δとボルト軸力Fとの関係を示すグラフである。
【0077】
この場合、1回目の締付け前のボルト10の初期長さは、データ記憶部23に記憶されている通りの長さL0であるが、図中点線で示したように、締付けの進行に伴い転位が起こって、比例係数αが小さくなり、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達しても、ボルト軸力Fは目標軸力Ffに到達していない。その結果、目標軸力Ffと実軸力Frとの間に明確な軸力誤差が生じる(図5参照)。
【0078】
そして、弛め後のボルト長さは、データ記憶部23に記憶されている初期長さL0より長いL2となり、明確なボルト長さ変化量 ΔLが生じる(図7参照)。
【0079】
しかし、そのボルト長さ変化量 ΔLが所定範囲Aに収まっていれば、ステップS14で当該ボルト10が使用可能判定されて、2回目の締付けに用いられる。ただし、ボルト長さ変化量 ΔLが所定範囲Aを超えて大きいときは、ステップS22で当該ボルト10が使用不能判定されて、その使用が中止されることとなる。
【0080】
図15は、転位の相違により明確な長さ変化量 ΔLが生じたボルト10を2回目の締付けに用いた場合におけるボルト長さLないしボルト伸び量δとボルト軸力Fとの関係を示すグラフである。
【0081】
この場合、2回目の締付け前のボルト10の長さは、データ記憶部23に記憶されている初期長さL0より長いL2である。そして、その差(L2−L0)がボルト長さ変化量 ΔLである。
【0082】
本実施形態では、ステップS18において、ステップS17で検出したボルト伸び量δを前記ボルト長さ変化量 ΔLで減算補正するから、結局、目標伸び量δfが、見かけ上、前記ボルト長さ変化量 ΔLだけ大きくなるような作用が得られる。その結果、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達した時点で、実軸力Frが目標軸力Ffに接近し、目標軸力Ffが精度よく安定して達成されることとなる。
【0083】
しかも、2回目の締付時にはボルト10の転位が抑制されるから、比例係数αの変動が低減され、適正な締付けが最終的に実現することとなる。
【0084】
次に、図16は、強度が過度に小さいボルト10が締付中に過大な塑性伸びを起こした場合におけるボルト長さLないしボルト伸び量δとボルト軸力Fとの関係を示すグラフである。
【0085】
この場合、図12と比較して、ボルト10の塑性伸びが過大であるから、目標伸び量δf到達時点における目標軸力Ffと実軸力Frとの間の軸力誤差が増大し、その結果、弛め後のボルト長さL2がより長くなって、ボルト長さ変化量 ΔLが所定範囲Aを超えて大きくなり、ステップS22で当該ボルト10が使用不能判定されて、その使用が中止されることとなる。
【0086】
以上のように、本実施形態においては、ボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達するまでボルト10を締め付けることによりボルト軸力Fを目標軸力Ffに到達させる測伸法において、いったんボルト伸び量δが目標伸び量δfに到達するまで締め付けた(ステップS2〜S6)ボルト10を着座前の状態まで弛め(ステップS7〜S10)、弛めた後のボルト長さL2と締付前のボルト長さL0との間の変化量 ΔLが所定の許容範囲A内にある場合に限り(ステップS13でYES)、当該ボルト10を用いて2回目の締付けを行い(ステップS16〜S20)、一方、前記変化量 ΔLが許容範囲A内にない場合は(ステップS13でNO)、当該ボルト10を用いて締付けを行うことは中止する(ステップS22〜S23)ようにしたから、例えば膨張伸びのような締付け以外の要因による伸びが過度に発生したボルトや、過度に強度が不足するボルト(図16参照)や、過度に転位が相違するボルト等は使用が中止されることとなり、これにより、ボルト軸力Fが目標軸力Ffに到達していない締結力不足の締結構造体の生産を未然に回避することが可能となる。
【0087】
そして、前記ボルト長さ変化量 ΔLが許容範囲A内にあるボルト10(図10、図12、図14参照)のみを用いて2回目の締付けを行うから、目標軸力Ffを精度よく安定して達成することが可能となる(図11、図13、図15参照)。
【0088】
その場合に、許容範囲A内であるが多少強度が不足するボルト(図12参照)や多少転位が相違するボルト(図14参照)も2回目の締付けに用いられることとなるが、2回目の締付時にはボルトの弾性限界が高上し(図13参照)、また転位が抑制される(図15参照)から、塑性伸びや比例係数αの変動が低減された適正な締付けが最終的に実現することとなる。
【0089】
また、2回目の締付けでは、ボルト伸び量δから前記ボルト長さ変化量 ΔLを減算補正する(ステップS18)ようにしたから、目標軸力Ffをさらに精度よく安定して達成することが可能となる(図11、図13、図15の目標伸び量δfの見かけ上の増大参照)。
【0090】
また、ボルト長さ変化量 ΔLが許容範囲A内にない場合は、別のボルトに取り替えて、測伸法による締付けが再度実行されることとなる(ステップS23からS2に戻る)。
【0091】
また、測伸法による締付けが再度実行されるとき(ステップS23からS2に戻ったとき)も、1回目の締付け(ステップS2〜S6)、弛め(ステップS7〜S10)、ボルト長さ変化量 ΔLの検出(ステップS12)、判定(ステップS13)、及び、2回目の締付け(ステップS16〜S20)又は締付中止(ステップS22〜S23)が遂行されるから、この再締付時においても、締結力不足の締結構造体の生産が未然に回避され、目標軸力が精度よく安定して達成されることとなる。
【0092】
また、本実施形態では、超音波センサ12で超音波を用いてボルト長さLを検出するようにしたから、簡便で精度よく、そして締付中でもボルト長さLを検出することが可能となる。
【0093】
また、本実施形態では、ボルト伸び量δからボルト軸力Fを算出する際に使用する比例係数α(図2参照)を、ボルトへの荷重Wの増加量とボルト伸び量とから設定(図4、図5参照)せずに、ボルトに負荷した荷重Wの減少量とボルト縮み量とから設定(図6、図7参照)するようにしたから、たとえ比例係数α設定時の被検査体毎に強度や転位が異なっていても、荷重の減少量とボルトの縮み量との関係を表す弾性勾配は安定することによって、伸び量の検出結果ひいては比例係数αの設定結果の変動が少なくて済み、ボルト伸び量δとボルト軸力Fとの比例係数αが精度よく設定されることとなる。
【0094】
ところで、超音波を利用してボルト長さLを検出する場合は、超音波を送受信する超音波センサ12とボルト頭部との間に音響インピーダンスの異なる空気層や異物等がわずかでも介在すると、超音波の送受信が阻害されて、精度のよいボルト長さLの検出ができなくなる。また、ボルト頭部やボルト先端部にわずかな傷や平面度不良等があっても、超音波の送受信が阻害されて、やはりボルト長さLを良好に検出できなくなる。このようなボルト長さLの検出誤差は、伸び量δの検出誤差となり、実軸力Frをボルト毎にバラつかせる結果となって、締結力不足のものや締結力過多のものが混在することとなる。
【0095】
そこで、例えば図17(a),(b)に示すように、超音波センサ12が密着するべきボルト頭部10aから塵やゴミ等の微小な異物を除去するためのブラシ40を具備したソケット11を用いることが提案される。
【0096】
異物除去ブラシ40は、ボルト頭部10aが嵌合するソケット11の凹部に仕込まれている。ブラシ本体42はコイルバネ44で基材41に回動自在に接続されている。基材41は台座45を介してソケット11の凹部壁面に固定され、コイルバネ44はブラシ本体42をソケット11の凹部から外に突出させる方向に付勢している。付勢されたブラシ本体42は台座45に当接して位置決めされている。ブラシ本体42には超音波センサ12を挿通させるための穴43が開いている。
【0097】
このような構成により、ボルト頭部10aにソケット11を被せる際、ブラシ本体42の先端部がボルト頭部10aの上面を摺動して異物を払い除けながら、ブラシ本体42はソケット11の凹部内に折り畳まれ、ブラシ本体42の穴43を通過した超音波センサ12が、異物が除去されたボルト頭部10aに良好に密着することとなる。
【0098】
また、例えば図18に示すように、超音波センサ12が密着するべきボルト頭部10aから塵やゴミ等の微小な異物を除去するための圧縮エア通路50を内蔵したソケット11を用いることも提案される。エア通路50には図外のエア供給源から圧縮エアがフレキシブルパイプ51を介して送り込まれ、ボルト頭部10aにソケット11を被せる際、図中矢印で示したように、エア通路50の出口から噴出した圧縮エアがボルト頭部10aの上面から異物を吹き飛ばし、超音波センサ12が、異物が除去されたボルト頭部10aに良好に密着することとなる。
【0099】
図17の異物除去ブラシ40と、図18の圧縮エア通路50とを併用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、ボルト軸力をボルト伸び量で管理する測伸法において、たとえ締付け以外の要因でボルトに伸びが発生したり、ボルトが塑性伸びを起こしたり、伸び量と軸力との比例係数が変動しても、目標軸力を精度よく安定して達成し、ボルト軸力が目標軸力に到達していない締結力不足の締結構造体の生産を未然に回避することが可能な技術であるから、ボルト締結方法及びその装置の技術分野において広範な産業上の利用可能性が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の最良の実施形態に係るボルト締結装置のブロック構成図である。
【図2】ボルト伸び量と軸力との関係を示すグラフである。
【図3】ボルト伸び量と軸力との比例係数を予め実験的に設定する原理の説明図である。
【図4】ボルト強度が異なる場合のボルト伸び量と荷重増加量との関係を示すグラフである。
【図5】ボルト転位が異なる場合のボルト伸び量と荷重増加量との関係を示すグラフである。
【図6】ボルト強度が異なる場合のボルト縮み量と荷重減少量との関係を示すグラフである。
【図7】ボルト転位が異なる場合のボルト縮み量と荷重減少量との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の最良の実施形態に係るボルト締結方法の一部を示すフローチャートである。
【図9】前記ボルト締結方法の残部を示すフローチャートである。
【図10】温度上昇でボルトに膨張伸びが発生した場合における前記ボルト締結方法の動作を示すグラフである。
【図11】同作用を示すグラフである。
【図12】強度小でボルトに塑性伸びが発生した場合における前記ボルト締結方法の動作を示すグラフである。
【図13】同作用を示すグラフである。
【図14】転位により比例係数が変動した場合における前記ボルト締結方法の動作を示すグラフである。
【図15】同作用を示すグラフである。
【図16】過度な強度不足でボルトに過大な塑性伸びが発生した場合における前記ボルト締結方法の動作を示すグラフである。
【図17】(a)ボルト頭部の異物を除去するためのブラシを具備したソケットの拡大断面図、(b)前記ブラシを矢印(b)から見た拡大図である。
【図18】ボルト頭部の異物を除去するための圧縮エア通路を内蔵したソケットの拡大断面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 ボルト締結装置
10 ボルト
12 超音波センサ
20 軸力測定装置
21 制御部
23 データ記憶部
24 表示部
30 ナットランナ
33 トルクセンサ
S2〜S6 第1の締付工程、第1の締付手段
S7〜S10 弛め工程、弛め手段
S12 変化量検出工程、変化量検出手段
S13 判定工程、判定手段
S16〜S20 第2の締付工程、第2の締付手段
S22〜S23 中止工程、中止手段
S23 取替工程、取替信号出力手段
S2 再締付工程、再締付手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることによりボルト軸力を目標軸力に到達させるようにしたボルト締結方法であって、
着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付ける第1の締付工程と、
この第1の締付工程で締め付けたボルトを着座前の状態まで弛める弛め工程と、
この弛め工程で弛めた後のボルトの長さと前記第1の締付工程で締め付ける前のボルトの長さとの間の変化量を検出する変化量検出工程と、
この変化量検出工程で検出した変化量が所定の許容範囲内にあるか否かを判定する判定工程と、
この判定工程で前記変化量が所定の許容範囲内にあると判定したときは、当該ボルトを用いて、着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付ける第2の締付工程と、
前記判定工程で前記変化量が所定の許容範囲内にないと判定したときは、当該ボルトを用いての締付けを中止する中止工程と
を有することを特徴とするボルト締結方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載のボルト締結方法であって、
前記第2の締付工程では、前記変化量検出工程で検出した変化量を減算補正したボルトの伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることを特徴とするボルト締結方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のボルト締結方法であって、
前記中止工程は、
前記ボルトを別のボルトに取り替える取替工程と、
この取替工程で取り替えたボルトを用いて締付けを行う再締付工程と
を有することを特徴とするボルト締結方法。
【請求項4】
前記請求項3に記載のボルト締結方法であって、
前記再締付工程では、
前記第1の締付工程、前記弛め工程、前記変化量検出工程、前記判定工程、及び、前記第2の締付工程又は前記中止工程を実行することを特徴とするボルト締結方法。
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれか1項に記載のボルト締結方法であって、
前記弛め工程で弛めた後のボルトの長さ及び前記第1の締付工程で締め付ける前のボルトの長さは、超音波を用いて検出することを特徴とするボルト締結方法。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか1項に記載のボルト締結方法であって、
前記ボルトの軸力は、ボルトに負荷した荷重の減少量とボルトの縮み量とから設定された比例係数と、ボルトの伸び量とに基いて算出することを特徴とするボルト締結方法。
【請求項7】
ボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることによりボルト軸力を目標軸力に到達させるようにしたボルト締結装置であって、
着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付ける第1の締付手段と、
この第1の締付手段で締め付けたボルトを着座前の状態まで弛める弛め手段と、
この弛め手段で弛めた後のボルトの長さと前記第1の締付手段で締め付ける前のボルトの長さとの間の変化量を検出する変化量検出手段と、
この変化量検出手段で検出した変化量が所定の許容範囲内にあるか否かを判定する判定手段と、
この判定手段で前記変化量が所定の許容範囲内にあると判定したときは、当該ボルトを用いて、着座後のボルト伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付ける第2の締付手段と、
前記判定手段で前記変化量が所定の許容範囲内にないと判定したときは、当該ボルトを用いての締付けを中止する中止手段と
を有することを特徴とするボルト締結装置。
【請求項8】
前記請求項7に記載のボルト締結装置であって、
前記第2の締付手段は、前記変化量検出手段で検出した変化量を減算補正したボルトの伸び量が目標伸び量に到達するまでボルトを締め付けることを特徴とするボルト締結装置。
【請求項9】
前記請求項7又は8に記載のボルト締結装置であって、
前記中止手段は、
前記ボルトを別のボルトに取り替えるための信号を出力する取替信号出力手段と、
取り替えられたボルトを用いて締付けを行う再締付手段と
を有することを特徴とするボルト締結装置。
【請求項10】
前記請求項9に記載のボルト締結装置であって、
前記再締付手段は、
前記第1の締付手段、前記弛め手段、前記変化量検出手段、前記判定手段、及び、前記第2の締付手段又は前記中止手段を動作させることを特徴とするボルト締結装置。
【請求項11】
前記請求項7から10のいずれか1項に記載のボルト締結装置であって、
前記弛め手段で弛めた後のボルトの長さ及び前記第1の締付手段で締め付ける前のボルトの長さを、超音波を用いて検出するボルト長さ検出手段を有することを特徴とするボルト締結装置。
【請求項12】
前記請求項7から11のいずれか1項に記載のボルト締結装置であって、
前記ボルトの軸力を、ボルトに負荷した荷重の減少量とボルトの縮み量とから設定された比例係数と、ボルトの伸び量とに基いて算出するボルト軸力算出手段を有することを特徴とするボルト締結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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