説明

ボレートエステル潤滑添加剤

【課題】次式
【化1】


(式中、R1,R2及びR3は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし24の直鎖若しく
は分岐鎖のアルキル基、炭素原子数2ないし24の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、炭素原子数7ないし15のアラルキル基、炭素原子数7ないし15のアルカリール基を表し、
Arは炭素原子数6ないし10の置換若しくは未置換のアリール基を表し、及び
4及びR5は独立して、R1として定義されたものを表し、また、ヒドロキシフェニル基
又はアルキル化ヒドロキシフェニル基を表してもよく、或いは、R4及びR5は−OBO−基と一緒になって置換若しくは未置換の5又は6員環を形成する。)で表されるボレート化合物及びボロネート化合物を開示する。該ボレート化合物及びボロネート化合物は潤滑油及び燃料のための耐摩耗、極圧、及び摩擦改質添加剤として効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ酸又はボロン酸、2−ヒドロキシエチルピリジン及びヒドロカルビルアルコールから誘導されるボレートエステル及びボロネートエステルに関する。本発明のボレートエステル及びボロネートエステルは、潤滑油及び燃料のための無灰の、殆どリン非存在及び硫黄非存在の耐摩耗性の、極圧摩擦改質添加剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第4382006号明細書は有機流動体のための摩擦改質添加剤として有用な、エトキシル化アミン及びそれらのボレート化された誘導体を記載する。米国特許第4406802号明細書は混合されたアルコール、アミド、アミン、ヒドロキシエステル、エトキシル化アミン、エトキシル化アミド及びヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニルアルキル又はアルケニルイミダゾリンのボレートを教示する。
【0003】
米国特許第4389322号明細書は摩擦減少添加剤としてエトキシル化アミド及びそれらのボレート化された付加物を開示する。米国特許第4568472号明細書は、混合されたエトキシル化アミン及びアミド、ヒドロキシアルキルイミダゾリン、加水分解されたヒドロキシアルキルイミダゾリン及びヒドロキシエステルのボレートである潤滑媒体のための多機能添加剤を提供する。
【0004】
米国特許第4492642号明細書は、ボレート化剤とアンモニア処理したヒドロカルビルエポキシドとの反応生成物である潤滑剤添加剤を教示する。
【0005】
米国特許第4892670号明細書は、一級アミン又はアンモニアとアルキレンオキシド又はエポキシドを反応させ、その後、同時に又はそれに続いて、該中間体をホウ酸と反応させることにより調製されたホウ素含有複素環化合物を開示する。該化合物は潤滑組成物のための好適な耐摩耗添加剤である。
【0006】
米国特許第4741848号明細書は、ヒドロキシで置換されたエステル、アミド又はイミドとホウ酸、三酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ素アミド又はホウ素エステルとを反応させることにより調製されたホウ素含有化合物を教示する。該ホウ素化合物は潤滑剤及び燃料における添加剤として用いられる。
【0007】
ヤオ,J.(Yao,J.)及びドン,J.(Dong,J.)によるLubr.Eng.1995年、51(6)、457−8頁並びにヘング,Z.(Zheng,Z.)等によるWear 1998年、222、135−144頁における分子構造中に窒素原子を含有するアルキルボレート。
【特許文献1】米国特許第4382006号明細書
【特許文献2】米国特許第4406802号明細書
【特許文献3】米国特許第4389322号明細書
【特許文献4】米国特許第4568472号明細書
【特許文献5】米国特許第4492642号明細書
【特許文献6】米国特許第4892670号明細書
【特許文献7】米国特許第4741848号明細書
【非特許文献1】ヤオ,J.(Yao,J.)及びドン,J.(Dong,J.)によるLubr.Eng.1995年、51(6)、457−8頁
【非特許文献2】ヘング,Z.(Zheng,Z.)等によるWear 1998年、222、135−144頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
2−ヒドロキシエチルピリジン、ホウ酸又はボロン酸及びヒドロカルビルアルコールから誘導されるボレートエステル及びボロネートエステルが潤滑油及び燃料のための、優れた耐摩耗性、極圧及び摩擦改質添加剤を提供することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示されるものは、次式
【化1】

(式中、R1,R2及びR3は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし24の直鎖若しく
は分岐鎖のアルキル基、炭素原子数2ないし24の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、炭素原子数7ないし15のアラルキル基、炭素原子数7ないし15のアルカリール基を表し、
Arは炭素原子数6ないし10の置換若しくは未置換のアリール基を表し、及び
4及びR5は独立して、R1として定義されたものを表し、また、ヒドロキシフェニル基
又はアルキル化ヒドロキシフェニル基を表してもよく、或いは、R4及びR5は−OBO−基と一緒になって置換若しくは未置換の5又は6員環を形成する。)で表されるボレート化合物又はボロネート化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
例えば、R1,R2,R3,R4及びR5は独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし2
4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基又は炭素原子数7ないし15のアラルキル基を表す。
【0011】
例えば、R4及びR5は独立して、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、オレイル基、ステアリル基、n−テトラデシル基、1−ヘキサデシル基、リノレイル基、リノレニル基、フィチル基、ミリシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ベヘニル基、フェニル基、カテチル基、アルキル化フェニル基又はアルキル化ヒドロキシフェニル基を表す。
【0012】
4及びR5が−OBO−基と一緒になって置換若しくは未置換の5又は6員環を形成する場合、置換基は例えば、炭素原子数1ないし6のアルキル基又はヒドロキシ基である。該環は例えばそのような基1ないし4個で置換され得る。
【0013】
アルキル基は直鎖又は分岐鎖であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オク
チル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、ウンデシル基、n−ドデシル基、トリデシル基、n−テトラデシル基、ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、ヘプタデシル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1−メチルヘプチル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基及び1−メチルウンデシル基である。
【0014】
アルケニル基は直鎖又は分岐鎖であり、アルキル基の不飽和版、例えば、アリル基、プロプ−2−エニル基、ブト−2−エニル基、2−メチルプロプ−2−エニル基、ペント−2−エニル基、ヘキサ−2,4−ジエニル基、デカ−10−エニル基又はエイコサ−2−エニル基である。
【0015】
シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、トリメチルシクロヘキシル基、第三ブチルシクロヘキシル基、シクロデシル基、アダマンチル基、シクロドデシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基である。
【0016】
アラルキル基は、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基又は2−フェニルエチル基である。
【0017】
アリール基は、例えば、フェニル基又はナフチル基である。置換されたアリール基は、例えば、1ないし4個の、炭素原子数1ないし6のアルキル基又はヒドロキシ基で置換されたアリール基である。
【0018】
アルカリール基は、例えば、o−、m−又はp−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基、4−第三ブチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,4−ジ−第三ブチルフェニル基又は2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェニル基である。
ヒドロキシフェニル基は、例えば、3−ヒドロキシフェニル基である。
【0019】
アルキル化ヒドロキシフェニル基は、例えば、モノ−又はジ−アルキル化3−ヒドロキシフェニル基、例えば、2−メチル−3−ヒドロキシフェニル基、4−メチル−3−ヒドロキシフェニル基、2−エチル−3−ヒドロキシフェニル基、4−エチル−3−ヒドロキシフェニル基、2−第三ブチル−3−ヒドロキシフェニル基、4−第三ブチル−3−ヒドロキシフェニル基、2−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル基、4−ヘキシル−3−ヒドロキシフェニル基、2,4−ジメチル−3−ヒドロキシフェニル基、2−メチル−4−第三ブチル−3−ヒドロキシフェニル基、及び他の対応するジアルキル化版。つまり、本化合物は、レゾルシノール又はアルキル化レゾルシノールを用いて調製され得る。
【0020】
好ましい態様に従って、本発明は、ジ−n−ドデカ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルボレート、n−オクタデカ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネート、n−オクト−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネート及びn−オレ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネートからなる群より選択される式(I)又は(II)で表される化合物に関する。
【0021】
本発明化合物は、例えば、2−ヒドロキシエチルピリジン、ホウ酸又はボロン酸及びヒドロカルビルアルコールの反応より調製される。例えば、本ボレートは、水が共沸脱水的に除去される条件下で、2−ヒドロキシエチルピリジンとホウ酸及びヒドロカルビルアル
コール2当量との反応により調製される。典型的な反応において、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン1当量、アルカノール(例えば直鎖又は分岐鎖の炭素原子数4ないし18のアルキルアルコール)2当量及びホウ酸1当量が、水が共沸脱水的に除去されるような条件下、不活性溶媒中で一緒に加熱される。ボロネートは、例えば、水の除去条件下、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、アリールボロン酸及びアルカノール1当量の反応から同様に調製される。
【0022】
好ましい態様において、アルカノールの混合物を使用し得る。
使用される溶媒は、例えば、トルエン、キシレン等である。好適な条件下において反応はニート(無溶媒)で行ないうることが考慮される。
ヒドロカルビルアルコールは、例えば、1−ブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、1−ドデカノール、1−オクタデカノール、1−オクタノール、イソオクタノール、オレイルアルコール、ステアリックアルコール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、フィトール、ミリシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、フェノール、カテコール、アルキル化フェノール、アルキル化レスコルシノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等である。
アリールボロン酸は、例えば、フェニルボロン酸等である。
【0023】
本発明の対象はまた、a)潤滑油及びb)少なくとも1種の式(I)又は(II)で表される化合物(式中、R1,R2,R3,R4及びR5は上記で定義された通りである。)の
耐摩耗増強量を含有する改良された耐摩耗性能を有する潤滑剤組成物である。
【0024】
本発明に従う潤滑油は、例えば、内燃エンジン中に使用されるものである。本発明の油は潤滑化粘度を有する必要がある。該油は、例えば、鉱油又は合成油及びそれらの混合物である。
グリース又は他の固体潤滑剤もまた、本発明に従う潤滑油である。
【0025】
合成炭化水素油は、セタンのような長鎖アルカン並びにオクタン及びデセンのトリマー及びテトラマーのようなオレフィンポリマーを含む。これらの合成油は、1)約2ないし20の炭素原子を有するモノカルボン酸のペンタエリトリトールエステルのようなエステル油、2)ポリグリコールエーテル、3)ポリアセタール及び4)シロキサン流動体、と混合することができる。合成エステルの中でとりわけ有用なものは、ポリカルボン酸と一価アルコールから作られたものである。例えば、ペンタエリトリトール又はそれらとジ−及びトリペンタエリトリトールの混合物と、1ないし20の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸又はそれらの酸の混合物から作られたエステル流動体である。他の例は、トリメチロールプロパンと1ないし20の炭素原子を含む脂肪族モノカルボン酸又はそれらの酸の混合物から作られるエステル流動体である。
【0026】
本発明の潤滑油はまた、例えば、原油、工業用潤滑油、切削油、金属加工液及びグリースである。本発明のボレート添加剤及びボロネート添加剤のためのもう一つの使用は、燃料、例えば、潤滑性能が要求される特定の航空燃料等の中である。該燃料は、例えば、モーターガソリン、ディーゼル燃料又は燃料油のような炭化水素性の石油蒸留物である。アルコール、エーテル、有機ニトロ化合物等(例えば、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ニトロメタン)のような非−炭化水素性物質を含む液体燃料組成物もまた、本発明の範囲に含まれ、トウモロコシ、アルファルファ、頁岩及び石炭のような野菜又は鉱物資源から誘導される液体燃料も含まれる。1種以上の炭化水素性燃料及び1種以上の非−炭化水素性物質の混合物である燃料もまた考慮される。そのような混合物の例は、ガソリン及びエタノールの組合せ並びにディーゼル燃料及びエーテルの組合せである。
【0027】
本発明の添加剤は、油に極圧、耐摩耗及び摩擦減少性質を与え、燃焼により、自動車の慣用の触媒コンバータに対して無害となる。
本発明の添加剤は、有利には油組成物中に、例えば、総組成物の約0.01質量%ないし約20質量%の量存在する。例えば、ボレート及びボロネートは、全組成物の質量に基づき、約0.05質量%ないし約15質量%、約0.1質量%ないし約10質量%、約0.2質量%ないし約5質量%存在する。例えば、ボレート及びボロネートは、全組成物の質量に基づき、約0.1質量%ないし約20質量%、約0.1質量%ないし約15質量%又は約0.1質量%ないし約5質量%存在する。
【0028】
海洋ディーゼルエンジンのための潤滑組成物のような極端に不利な条件下で作動する潤滑組成物において、本発明の添加剤が、潤滑組成物の総質量の約30質量%かそれ以上の量存在し得ることが考えられる。
本発明の添加剤は、有利には、燃料組成物中に、燃料に基づき、約1ppmないし約50000ppmのレベルで存在する。例えば、該添加剤は燃料に基づき、約4ppmないし約5000ppm存在する。
【0029】
本発明に従って安定化された潤滑油は、これらの配合物の基本的な性質を更に改善するするために添加される他の添加剤を更に含み得る;そのような添加剤は、抗酸化剤、金属不動態化剤、防錆剤、腐食防止剤、粘度指数向上剤、極圧添加剤、流動点降下剤、固体潤滑剤、分散剤、洗浄剤、消泡剤、色安定剤、更なる高圧添加剤、乳化破壊剤、耐摩耗添加剤及び摩擦係数を減少させる添加剤を含む。
そのような添加剤は、潤滑油に基づき、それぞれ約0.01質量%ないし約10.0質量%の範囲のそれぞれ慣用の量において添加される。
【0030】
以下の文章はそのような更なる添加剤の例を示す:
抗酸化剤の例
1.1 アルキル化モノフェノール、
例えば、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖または側鎖が分岐しているノニルフェノール、例えば、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノール及びこれらの混合物、
【0031】
1.2 アルキルチオメチルフェノール、
例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−第三ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール又は2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール、
【0032】
1.3 ハイドロキノン類及びアルキル化ハイドロキノン、
例えば、2,6−ジ−第三ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−第三ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−第三アミルハイドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、2,6−ジ−第三ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール
、ステアリン酸 3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル又はアジピン酸 ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)、
【0033】
1.4 トコフェロール、
例えば、α−、β−、γ−又はδ−トコフェロール又はそれらの混合物(ビタミンE)、
【0034】
1.5 水酸化チオジフェニルエーテル、
例えば、2,2’−チオビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−第二アミルフェノール)又は4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、
【0035】
1.6 アルキリデンビスフェノール、
例えば、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−第三ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)−フェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−第三ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−第三ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェノール)ブタン、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス(3,3−ビス(3’−第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート)、ビス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス(2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−第三ブチル−4−メチルフェニル)テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン又は1,1,5,5−テトラ(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、
【0036】
1.7 O−,N−及びS−ベンジル化合物、
例えば、3,5,3’,5’−テトラ−第三ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−第三ブチル)アミン、ビス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド又はイソオクチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、
【0037】
1.8 ヒドロキシベンジル化マロネート、
例えば、ジオクタデシル2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベ
ンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート又はジ(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、
【0038】
1.9 芳香族ヒドロキシベンジル化合物、
例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン又は2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール、
【0039】
1.10 トリアジン化合物、
例えば、2,4−ビスオクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン又は1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
【0040】
1.11 ベンジルホスホネート、
例えば、ジメチル2,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート又は3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩、
【0041】
1.12 アシルアミノフェノール、
例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド又はオクチルN−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート、
【0042】
1.13 β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、
β−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸、β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸又はβ−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−3−チア酪酸と1価又は多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ(2.2.2)オクタン、グリセロールとのエステル、又は例えばココナツ油、菜種油、ヒマワリ油又は菜種(colza)油の天然トリグリセリドに基づくエステル交換生成物、
【0043】
1.14 β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、
例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン又はN,N’−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンとのアミド、
【0044】
1.15 アスコルビン酸(ビタミンC)、
【0045】
1.16 アミン系抗酸化剤、
例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−(ナフト−2−イル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルホンアミド)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−第三オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、p、p’−ジ−第三オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ジ−(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−第三ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ジ−((2−メチルフェニル)アミノ)エタン、1,2−ジ−(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ジ(4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル)アミン、第三オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジアルキル化第三ブチル/第三オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−及びジアルキル化第三ブチル/第三オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三オクチルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトタメチルピペリジン−4−イル)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン又は2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール、及び
【0046】
1.17 脂肪族又は芳香族ホスファイト、チオジプロピオン酸又はチオジ酢酸のエステル、或いはジチオカルバミン酸又はジチオリン酸の塩、2,2,12,12−テトラメチル−5,9−ジヒドロキシ−3,7,1−トリチアトリデカン又は2,2,15,15−テトラメチル−5,12−ジヒドロキシ−3,7,10,14−テトラチアヘキサデカン

【0047】
金属不動態化剤の例、銅のための例としては:
2.1 ベンゾトリアゾール及びそれらの誘導体、例えば、4−又は5−アルキルベンゾトリアゾール(例えば、トルトリアゾール)及びそれらの誘導体、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾトリアゾール、5,5´−メチレンビスベンゾトリアゾール;1−(ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル)トルトリアゾール及び1−(ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール又はトルトリアゾールのマンニッヒ塩基;1−(ノニロキシメチル)ベンゾトリアゾール、1−(1−ブトキシエチル)ベンゾトリアゾール及び1−(1−シクロヘキシロキシブチル)トルトリアゾールのようなアルコキシアルキルベンゾトリアゾール、
【0048】
2.2 1,2,4−トリアゾール及びそれらの誘導体、例えば、3−アルキル(又はアリール)−1,2,4−トリアゾール、1−(ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル)−1,2,4−トリアゾールのような1,2,4−トリアゾールのマンニッヒ塩基;1−(1−ブトキシエチル)−1,2,4−トリアゾールのようなアルコキシアルキル−1,2,4−トリアゾール;アシル化3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、
【0049】
2.3 イミダゾール誘導体、例えば、4,4−メチレンビス(2−ウンデシル−5−メチルイミダゾール)、ビス((N−メチル)イミダゾール−2−イル)カルビノールオクチルエーテル、
【0050】
2.4 硫黄含有複素環化合物、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプトベンゾチアジアゾール及びそれらの誘導体;3,5−ビス(ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル)−1,3,4−チアジアゾリン−2−オン、及び
【0051】
2.5 アミノ化合物、例えば、サリチリデンプロピレンジアミン、サリチルアミノグアニジン及びそれらの塩;
【0052】
防錆剤の例としては:
3.1 有機酸、それらのエステル、金属塩、アミン塩及び無水物、例えば、アルキル−及びアルケニルコハク酸並びにそれらのアルコール、ジオール又はヒドロキシカルボン酸との部分エステル、アルキル−及びアルケニルコハク酸の部分アミド、4−ノニルフェノキシ酢酸、ドデシロキシ酢酸、ドデシロキシ(エトキシ)酢酸のようなアルコキシ−及びアルコキシエトキシカルボン酸及びそれらのアミン塩、及び同様に、N−オレイルサルコシン、ソルビタンモノオレエート、ナフテン酸鉛、アルケニルコハク酸無水物、例えば、ドデセニルコハク酸無水物、2−(2−カルボキシエチル)−1−ドデシル−3−メチルグリセリン及びその塩、特にナトリウム塩及びトリエタノールアミン塩、
【0053】
3.2 窒素含有化合物、例えば:
3.2.1 1級、2級若しくは3級脂肪族又は環状脂肪族アミン並びに有機及び無機酸のアミン塩、例えば、油溶性のアルキルアンモニウムカルボキシレート、同様に、1−(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−3−(4−ノニルフェノキシ)プロパン−2−オール、
3.2.2 複素環化合物、例えば、置換されたイミダゾリン及びオキサゾリン、2−ヘプタデセニル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリン、
【0054】
3.3 リン含有化合物、例えば、リン酸部分エステル又はホスホン酸部分エステルのアミン塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、
【0055】
3.4 硫黄含有化合物、例えば、ジノニルナフタレンスルホン酸バリウム、石油スルホン酸カルシウム、アルキルチオ基で置換された脂肪族カルボン酸、脂肪族2−スルホカルボン酸のエステル及びそれらの塩、及び
【0056】
3.5 グリセロール誘導体、例えば、グリセロールモノオレエート、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2−ヒドロキシエチル)グリセリン、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)グリセリン、2−カルボキシアルキル−1,3−ジアルキルグリセリン;
【0057】
粘度指数向上剤の例としては:
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィンコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、ポリエーテル;
【0058】
流動点降下剤の例としては:
ポリメタクリレート、アルキル化ナフタレン誘導体;
【0059】
分散剤/界面活性剤の例としては:
ポリブテニルコハク酸アミド又は−イミド、ポリブテニルホスホン酸誘導体、及び塩基性マグネシウム、カルシウム及びバリウムスルホネート、フェノレート及びサリチレート;
【0060】
消泡剤の例としては:
シリコンオイル及びポリメトクリレン;
【0061】
乳化破壊剤の例としては:
ポリエーテルポリオール及びジノニルナフタレンスルホネート;
【0062】
摩擦改質剤の例としては:
脂肪酸及びその誘導体(グリセロールモノオレエートのような脂肪酸の天然エステルなど)、アミド、イミド及びアミン(オレイルアミンなど)、硫黄含有有機モリブデンジチオカルバメート、硫黄−リン含有有機モリブデンジチオホスフェート、分散剤に基づく硫黄−窒素含有有機モリブデン化合物、モリブデンカルボキシレート塩、モリブデン−アミン錯体、モリブデンアミン/アルコール/アミド錯体及びモリブデン塊状化合物、テフロン(登録商標)(Teflon)及びモリブデンジスルフィド;
【0063】
10 更なる耐摩耗添加剤の例としては:
10.1 硫黄−及び/又はリン−及び/又はハロゲン−含有化合物、例えば、硫化オレフィン及び硫化植物油、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、トリトリルホスフェート、トリクレシルホスフェート、塩化パラフィン、アルキル及びアリール、ジ−及びトリスルフィド、モノ−及びジアルキルホスフェートのアミン塩、メチルホスホン酸のアミン塩、ジエタノールアミノメチルトリルトリアゾール、ジ−(2−エチルヘキシル)アミノメチルトリルトリアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールの誘導体、エチル(ビスイソプロピロキシホスフィノチオイル)チオプロピオネート、トリフェニルチオホスフェート(トリフェニルホスホロチオエート)、トリス(アルキルフェニル)ホスホロチオエート及びそれらの混合物(例えば、トリス(イソノニルフェニル)ホスホロチオエート)、ジフェニルモノノニルフェニルホスホロチオエート、イソブチルフェニルジフェニルホスホロチオエート、3−ヒドロキシ−1,3−チアホスフェタン3−オキシドのドデシルアミン塩、トリチオリン酸5,5,5−トリス−イソオクチル2−アセテート、1−N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル−2−メルカプト−1H−1,3−
ベンゾチアゾールのような2−メルカプトベンゾチアゾールの誘導体、及びエトキシカルボニル5−オクチルジチオカーバメート、
10.2 ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩、ここで金属はアルミニウム、鉛、スズ、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛又は銅、しかし殆どの場合亜鉛である。該亜鉛塩(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)は、下記式
【化2】

(式中、R及びR´は独立して、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数3ないし20のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数7ないし13のアラルキル基又は炭素原子数6ないし10のアリール基を表し、例えば、R及びR´は独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基を表す。)として示され、
【0064】
10.3 耐摩耗添加剤として、米国特許第4584021号明細書、米国特許第5798321号明細書、米国特許第5750478号明細書、米国特許第5801130号明細書、米国特許第4191666号明細書、米国特許第4720288号明細書、米国特許第4025288号明細書、米国特許第4025583号明細書及び国際公開第095/20592号パンフレット中に記載されているもの(これらの米国特許は参照としてここに組み込む);アミン、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ノナエチレンデカミンのようなポリアルキレンアミン及び参照としてここに組み込まれる米国特許第4267063号明細書中に記載されたようなアリールアミン;特定のアミンと混合されたモノ−及びジ−酸ホスフェートからなるアミンホスフェートの塩;該モノ−及びジ−酸ホスフェートアミンは下記の構造式を有する:
【化3】

(式中、R27は水素原子、炭素原子数1ないし25の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基(該アルキル基は、未置換であるか又は1個以上の炭素原子数1ないし6のアルコキシ基で置換される。)、飽和の非環式若しくは脂環式基又はアリール基を表し;
28は、炭素原子数1ないし25の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基(該アルキル基は、未置換であるか又は1個以上の炭素原子数1ないし6のアルコキシ基で置換される。)、飽和の非環式若しくは脂環式基又はアリール基を表し;
29は、水素原子、炭素原子数1ないし25の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、飽和若しくは不飽和の非環式若しくは脂環式基又はアリール基を表し;及び水素原子又は炭素原子数1ないし12の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基を表し;及び
30及びR31は互いに独立して、炭素原子数1ないし25の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、飽和若しくは不飽和の非環式若しくは脂環式基又はアリール基を表す。好ましくは、R27及びR28は直線状若しくは分岐した炭素原子数1ないし12のアルキル基を表し;及び、R29、R30及びR31は直線状若しくは分岐した炭素原子数1ないし18のアルキル基を表す。)
【0065】
好ましい態様において、イルガルベ(登録商標:Irgalube)349(チバ スペシャルティ ケミカルズ)は非常に有用であり、特に、ベースオイルの耐摩耗性能を促進することにより厳しい軍用性能仕様書に適合するようになることが見出されてきた;イルガルベ(IRGALUBE)349は下記式
【化4】

(式中、R33はn−ヘキシル基を表し、R34は炭素原子数11ないし14の分岐したアルキル基を表し、及びx=1のとき、y=2であり、x=2のとき、y=1である。)を有する;イルガルベ(IRGALUBE)349はアミンホスフェートの混合物、CAS#80939−62−4
であり、
【0066】
10.4 他の慣用の耐摩耗添加剤は下記式
【化5】

(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素原子数3ないし18のアルキル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数5ないし6のシクロアルキルメチル基、炭素原子数9ないし10のビシクロアルキルメチル基、炭素原子数9ないし10のトリシクロアルキルメチル基、フェニル基又は炭素原子数7ないし24のアルキルフェニル基を表すか又は一緒になって(CH32C(CH22を表し、
3は水素原子又はメチル基を表す。)で表される化合物である。好ましい態様において
、ジアルキルジチオホスフェートエステルであるイルガルベ(IRGALUBE)353、CAS#268567−32−4が使用される。
【0067】
本発明の燃料組成物は、ボレート添加剤及びボロネート添加剤に加えて、当業者によく知られている他の添加剤を含むことができる。これらには、テトラアルキル鉛化合物のようなアンチノック剤、ハロアルカン(例えば、エチレンジクロリド及びエチレンジブロミド)のような鉛捕捉剤、トリアリールホスフェートのような析出防止剤又は改質剤、染料、セタン向上剤、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノールのような抗酸化剤、アルキル化コハク酸及び無水物のような防錆剤、静菌剤、糊化防止剤、金属不活性化剤、乳化破壊剤、上部シリンダー潤滑剤及び氷結防止剤が含まれる。
【0068】
本発明のボレート及びボロネートはそれ自体公知の要領で潤滑油中に導入することができる。該化合物は油に容易に溶解する。これらは潤滑油へ直接添加され得るか又はそれらは添加濃度又はマスターバッチを形成するために実質的に不活性な、ナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレン又は通常は液状の油又は燃料のような通常は液体の有機希釈剤で希釈することができる。これらの濃縮物は通常約10質量%ないし約90質量%の添加剤を含
み且つ1種以上の他の更なる添加剤を含み得る。本発明のボレート及びボロネートは添加剤パッケージの一部として導入し得る。
【実施例】
【0069】
本発明を以下の実施例により更に説明する。
実施例1
ジ−n−ドデカ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルボレート
電磁撹拌子及び還流冷却管を装着したディーンスターク管を備えた500mLのガラス反応容器に2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン12.3g、1−ドデカノール37.2g、ホウ酸6.2g及びトルエン250mLを投入した。混合物を還流下5時間撹拌及び加熱したが、この時間の間にエステル形成を示唆する約5mLの水が除去された。溶液は、浮遊物を除去するために濾過され、溶媒を減圧蒸留により除去し、及びボレートエステルを透明な淡黄色油状物として得た。
【0070】
実施例2
n−オクタデカ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネート
電磁撹拌子及び還流冷却管を装着したディーンスターク管を備えた200mLのガラス反応容器に2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン5.69mL、1−オクタデカノール13.7g、フェニルボロン酸6.29g及びトルエン150mLを投入した。混合物を還流下16時間撹拌及び加熱したが、この時間の間にエステル形成を示唆する1.8mLの水が除去された。溶液は、浮遊物を除去するために濾過され、溶媒を減圧蒸留により除去し、結果として冷却するとワックス状の物質に固化する淡黄色油状物23.4gを得た。
【0071】
実施例3
n−オクト−1−イル−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネート
電磁撹拌子及び還流冷却管を装着したディーンスターク管を備えた200mLのガラス反応容器に2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン5.69mL、1−オクタノール7.96g、フェニルボロン酸6.29g及びトルエン150mLを投入した。混合物を還流下16時間撹拌及び加熱したが、この時間の間にエステル形成を示唆する1.8mLの水が除去された。溶液は、浮遊物を除去するために濾過され、溶媒を減圧蒸留により除去し、結果として粘性の暗黄色油状物16gを得た。
【0072】
実施例4
n−オレ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネート
電磁撹拌子及び還流冷却管を装着したディーンスターク管を備えた200mLのガラス反応容器に2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン5.69mL、オレイルアルコール18.6mL、フェニルボロン酸6.29g及びトルエン150mLを投入した。混合物を還流下16時間撹拌及び加熱したが、この時間の間にエステル形成を示唆する1.8mLの水が除去された。溶媒を減圧蒸留により除去し、結果として粘性の暗黄色油状物24gを得た。
【0073】
実施例5
ジ−n−オクト−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルボレート
電磁撹拌子及び還流冷却管を装着したディーンスターク管を備えた2000mLのガラス反応容器に2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン75.0g、1−オクタノール158.7g、ホウ酸61.8g及びトルエン1500mLを投入した。混合物を還流下18時間撹拌及び加熱したが、この時間の間にエステル形成を示唆する約33mLの水が除去された。溶液は、浮遊物を除去するために濾過され、溶媒を減圧蒸留により除去し、及び結果として得られた油状物をガラスフリットを介して濾過し、透明な淡黄色油状物として
ボレートエステルを得た。
【0074】
実施例6
耐摩耗性
耐摩耗性は、回転盤に対して固定針(500×500μ)が保持される、ピン−オン−ディスクアタッチメントで変更されたPCSインストルメンツ社のミニ−トラクションマシーン(Mini−Traction−Machine)で、一定温度において固定荷重を適用して測定された。摩耗は針からの物質の損失による針の移動として測定された。試験油は、耐摩耗添加剤が含まれないことを除いて充分に配合された、硫黄ゼロ、リンが非常に少ない自動車エンジンオイルであった。反応試験条件は、荷重10N、油温100℃であった。摩耗データは60分間記録され、平均摩耗速度は摩耗曲線の直線回帰勾配としてここに報告された。添加剤は配合された油に基づく質量パーセントで報告した。
【表1】

ZDDPはジアルキルジチオリン酸亜鉛であり、1.2%の2級ZDDPはリン含量0.1%となる。
【0075】
実施例7
4球耐摩耗試験
本発明のボレートエステルの耐摩耗性は試験油中1.0質量%のレベルで試験された。該試験油は、耐摩耗添加剤が含まれないことを除いて充分に配合された、リン非含有、硫黄が非常に少ない自動車エンジンオイルであった。該耐摩耗性は、40kg(392N)荷重を用いるASTMD1472試験条件に準拠する4球摩耗試験において決定された。試験は2回行い、そして試験結果として平均摩耗瘢痕直径(Average Wear Scar Diameter)を報告した。試験結果の数値は添加剤の効果が増大するにつれて減少した。
【表2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式
【化1】

(式中、R1,R2及びR3は独立して、水素原子、炭素原子数1ないし24の直鎖若しく
は分岐鎖のアルキル基、炭素原子数2ないし24の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基、炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基、炭素原子数7ないし15のアラルキル基、炭素原子数7ないし15のアルカリール基を表し、
Arは炭素原子数6ないし10の置換若しくは未置換のアリール基を表し、及び
4及びR5は独立して、R1として定義されたものを表し、また、ヒドロキシフェニル基
又はアルキル化ヒドロキシフェニル基を表してもよく、或いは、R4及びR5は−OBO−基と一緒になって置換若しくは未置換の5又は6員環を形成する。)からなる群より選択されるボレート化合物又はボロネート化合物。
【請求項2】
式中、R1,R2,R3,R4及びR5は独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし24の
直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素原子数6ないし10のアリール基又は炭素原子数7ないし15のアルカリール基を表す請求項1記載の式(I)又は(II)で表される化合物。
【請求項3】
式中、R4及びR5は独立して、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、オレイル基、ステアリル基、n−テトラデシル基、1−ヘキサデシル基、リノレイル基、リノレニル基、フィチル基、ミリシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ベヘニル基、フェニル基、カテチル基、アルキル化フェニル基又はアルキル化ヒドロキシフェニル基を表す請求項1記載の式(I)又は(II)で表される化合物。
【請求項4】
ジ−n−ドデカ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルボレート、n−オクタデカ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネート、n−オクト−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネート及びn−オレ−1−イル−2−(ピリド−2−イル)エチルフェニルボロネートからなる群より選択される請求項1記載の式(I)又は(II)で表される化合物。
【請求項5】
a)潤滑油及びb)少なくとも1種の請求項1記載の式(I)又は(II)で表される化合物の耐摩耗増強量を含有する潤滑剤組成物。
【請求項6】
前記潤滑油は合成油又は合成油と鉱物油の混合物である請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記潤滑油はグリース又は他の固体潤滑剤である請求項5記載の組成物。
【請求項8】
成分b)が全組成物量に基づき、約0.2質量%ないし約5質量%存在する請求項5記載の組成物。
【請求項9】
抗酸化剤、金属不動態化剤、防錆剤、腐食防止剤、粘度指数向上剤、極圧添加剤、流動点降下剤、固体潤滑剤、分散剤、洗浄剤、消泡剤、色安定剤、更なる高圧添加剤、乳化破壊剤、耐摩耗添加剤及び摩擦係数を減少させる添加剤からなる群より選択される更なる添加剤を含む請求5記載の組成物。
【請求項10】
成分b)が全組成物に基づいて、約10質量%ないし約90質量%の添加剤濃縮物である請求項5記載の組成物。


【公表番号】特表2007−503456(P2007−503456A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530183(P2006−530183)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050763
【国際公開番号】WO2004/104146
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】