説明

ボンネット構造

【課題】ボンネットの内部の熱の外方へ放出を有効に行いつつ、前記ボンネットの内部から外部への音の漏れだしを防止又は低減する。
【解決手段】エンジンと対向するように配置されたキャビンの遮閉プレートに、ボンネットの後端エッジとの間に前記ボンネットの内部空間を外方へ開放する通路が確保される範囲内で前方へ延在した複数のリブを設ける。前記複数のリブは、それぞれが前記遮閉プレートの外周に沿った状態で前記遮閉プレートの中央から外周エッジ側へ順に配設される。前記複数のリブのうちの一のリブと該一のリブの外周側に位置する他のリブとによって前方へ開く凹部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の作業車輌に適用されるボンネット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌フレームに直接又は間接的に支持されたエンジンと、前記エンジンの後方に位置するように前記車輌フレームに直接又は間接的に支持されたキャビンであって、前記エンジンと対向するように配置された遮閉プレートを有するキャビンと、前記エンジンを覆う閉塞位置及び前記エンジンの上方を開放する開放位置をとり得るように後上端部が車輌幅方向に沿った回動軸回り回動可能に支持されたボンネットとを備えた作業車輌に適用されるボンネット構造であって、前記遮閉プレートの外周縁に弾性シール部材を装着し、前記ボンネットが閉塞位置に位置された際に前記ボンネットの内周面が前記弾性シール部材に当接するように構成されたボンネット構造が提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載されたボンネット構造は、前記ボンネットが閉塞位置に位置された際に前記ボンネットの内周面が前記弾性シール部材に当接することにより、前記エンジン等の前記ボンネットの内部の音が前記ボンネットの外方に漏れにくいという利点を有するものの、前記ボンネットの内部に前記エンジン等の熱がこもりやすく、前記エンジンの出力効率の悪化を招きやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−020754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、車輌フレームに直接又は間接的に支持されたエンジンと、前記エンジンの後方に位置するように前記車輌フレームに直接又は間接的に支持されたキャビンであって、前記エンジンと対向するように配置された遮閉プレートを有するキャビンと、前記エンジンを覆う閉塞位置及び前記エンジンの上方を開放する開放位置をとり得るように後上端部が車輌幅方向に沿った回動軸回り回動可能に支持されたボンネットとを備えた作業車輌に適用されるボンネット構造であって、前記ボンネットの内部の熱の外方への放出を有効に行いつつ、前記ボンネットの内部から外部への音の漏れだしを防止又は低減できるボンネット構造の提供を、一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するために、車輌フレームに直接又は間接的に支持されたエンジンと、前記エンジンの後方に位置するように前記車輌フレームに直接又は間接的に支持されたキャビンであって、前記エンジンと対向するように配置された遮閉プレートを有するキャビンと、前記エンジンを覆う閉塞位置及び前記エンジンの上方を開放する開放位置をとり得るように後上端部が車輌幅方向に沿った回動軸回り回動可能に支持されたボンネットとを備えた作業車輌に適用されるボンネット構造であって、前記ボンネットは、閉塞位置に位置された状態において後端エッジが前記遮閉プレートに隙間を存しつつ対向しており、前記遮閉プレートには、前記ボンネットの後端エッジとの間に前記ボンネットの内部空間を外方へ開放する通路が確保される範囲内で前方へ延在した複数のリブであって、それぞれが前記遮閉プレートの外周に沿った状態で前記遮閉プレートの中央から外周エッジ側へ順に配設された複数のリブが設けられており、前記複数のリブのうちの一のリブと該一のリブの外周側に位置する他のリブとによって前方へ開く凹部が形成されているボンネット構造を提供する。
【0007】
好ましくは、前記複数のリブのうち最も外周側に位置するリブの内方側を向く内方面は、前記遮閉プレートに近接する側の基端部から前記ボンネットに近接する側の自由端部へ行くに従って前記遮閉プレートを基準にして外方側に位置するような傾斜面とされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るボンネット構造においては、エンジンと対向するように配置されたキャビンの遮閉プレートに、ボンネットの後端エッジとの間に前記ボンネットの内部空間を外方へ開放する通路が確保される範囲内で前方へ延在した複数のリブが設けられている。前記複数のリブは、それぞれが前記遮閉プレートの外周に沿った状態で前記遮閉プレートの中央から外周エッジ側へ順に配設されており、前記複数のリブのうちの一のリブと該一のリブの外周側に位置する他のリブとによって前方へ開く凹部が形成されている。斯かる構成の前記ボンネット構造によれば、前記通路を介して前記ボンネットの内部の熱を外部に放出しつつ、前記ボンネットの内部の音が外方へ漏れ出る際に前記凹部による前記音の干渉によって消音化を図ることができ、これにより、前記ボンネットの内部から外部への音の漏れだしを防止又は低減できる。
【0009】
前記複数のリブのうち最も外周側に位置するリブの内方側を向く内方面を、前記遮閉プレートに近接する側の基端部から前記ボンネットに近接する側の自由端部へ行くに従って前記遮閉プレートを基準にして外方側に位置するような傾斜面とすれば、前記ボンネットの内部の音及び熱が前記通路を通って外方へ放出される際に、前記音及び熱を最終的に前記最外方リブの前記内方面によって前方側へ案内することができ、これにより、前記遮閉プレートの後方側に位置する運転席に前記音及び熱が伝わることをより有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に係るボンネット構造が適用される作業車輌の一例であるトラクタの側面図である。
【図2】図2は、図1に示す前記作業車輌における車輌フレーム及びキャビンフレームの前方斜視図である。
【図3】図3は、図2の後方斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す前記作業車輌における前記車輌フレーム及びキャビンの前方斜視図である。
【図5】図5は、第2遮閉プレートを備えたキャビンの一例の部分模式横断平面図であって、図4におけるV−V面に対応した部分横断模式平面図である。
【図6】図6は、第2遮閉プレートを備えたキャビンの他例の部分模式横断平面図である。
【図7】図7は、図1のVII部近傍の部分縦断側面図である。
【図8】図8は、図1のVII部近傍の部分模式図であり、本発明の一実施の形態に係るボンネット構造の部分模式図である。
【図9】図9は、本発明の他の実施の形態に係るボンネット構造の部分模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下に、本発明に係るボンネット構造の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施の形態に係るボンネット構造が適用される作業車輌の一形態であるトラクタの側面図を示す。
【0012】
図1に示すように、トラクタの形態をなす作業車輌1は、車輌フレーム20と、前記車輌フレーム20に支持されたエンジン10と、前記エンジン10の後方に位置するように前記車輌フレーム20に支持されたキャビン40と、前記エンジン10を覆うボンネット30とを備えている。
【0013】
本実施の形態においては、前記作業車輌1は、さらに、前記エンジン10から離間された状態で前記車輌フレーム20の後端側に連結されるミッションケース50と、前方側に配設された操舵可能な左右一対の前輪60と、後方側に配設された左右一対の後輪70とを備えており、前記左右一対の後輪70が前記ミッションケース50から伝達される回転動力によって駆動されるメイン駆動輪として作用し、前記左右一対の前輪60が前記ミッションケース50から伝達される回転動力によって駆動可能なサブ駆動輪として作用している。
【0014】
図2及び図3に、それぞれ、前記車輌フレーム20及び前記キャビン40の前方斜視図及び後方斜視図を示す。
図1〜図3に示すように、前記車輌フレーム20は、車輌前方側に配置された左右一対のフロントフレーム21と、前記一対のフロントフレーム21及び前記ミッションケース50の左右側壁の間をそれぞれ連結する左右一対のメインフレーム22とを有している。
前記一対のフロントフレーム21には、前記前輪60に連結された前車軸61を支持するフロントアクスルケース65が支持されている。
一方、前記ミッションケース50の両側面には、前記後輪70に連結された後車軸71を支持するリヤアクスルケース75が連結されている。
【0015】
前記キャビン40は、図2及び図3に示すように、前面に前記エンジン10(図1参照)と対向するように配置された遮閉プレート41を有している。
本実施の形態においては、前記遮閉プレート41は前記キャビン40の枠体を形成するキャビンフレームに溶接等によって固設されている。
【0016】
詳しくは、前記キャビン40は、前記車輌フレーム20を含む前記作業車輌1の固定アッセンブリに支持される下フレーム部410と、前記下フレーム部410に立設された縦フレーム部430と、前記縦フレーム部430の上端部に支持された上フレーム部450と、前記上フレーム部450に載置されるアウタールーフ470(図1参照)とを備えている。
そして、前記遮閉プレート41は、前記下フレーム部410に立設されている。
【0017】
前記下フレーム部410は、前記一対のメインフレーム22より車輌幅方向外方側において略車輌前後方向に沿った左右一対の下メインサイドフレーム411と、前記一対の下メインサイドフレーム411の前端部から車輌幅方向内方へ延びる左右一対の下フロント連結部材412と、前記一対の下メインサイドフレーム411の後端部同士を連結する下リヤ連結部材413とを備えている。
前記一対の下メインサイドフレーム411は、略水平に延びる前側部分411aと、前記前側部分411aの後端部から後方へ延びる後側部分411bであって、後方へ行くに従って上方に位置する後側部分411bとを有している。
【0018】
なお、本実施の形態においては、前記下フレーム部410は、さらに、前記一対のメインフレーム22より車輌幅方向外方側で且つ前記一対の下メインサイドフレーム411より車輌幅方向内方側において、略前後方向に沿った左右一対の下サブサイドフレーム414を有している。
前記一対の下サブサイドフレーム414は、前端部が対応する前記下フロント連結部材412に連結された状態で略水平に延びる前側部分414aと、前記前側部分414aの後端部から後方へ延びる後側部分414bであって、後方へ行くに従って上方に位置する後側部分414bとを有している。
【0019】
さらに、前記下フレーム部410は、上端部が前記下リヤ連結部材413に連結された状態で上下方向に延びる左右一対の下リヤフレーム415を有している。
前記一対の下リヤフレーム415は、上端部及び下端部の中間部において前記一対の下サブサイドフレーム414の後端部が連結され且つ下端部が略水平に延びる左右一対の取付プレート416を介して前記一対の下サブサイドフレーム414の前記後側部分414bの前後中間部位に連結されている。
【0020】
斯かる構成の前記下フレーム部410は、前記一対の下フロント連結部材412及び前記一対のメインフレーム22の間に介挿された左右一対の防振部材45と、前記一対の取付プレート416及び一対の前記リヤアクスルケース75の間に介挿された左右一対の防振部材46とを介して、前記作業車輌1における前記車輌フレーム20,前記ミッションケース50及び前記リヤアクスルケース75からなる固定アッセンブリに防振支持されている。
【0021】
前記縦フレーム部430は、図2及び図3に示すように、略垂直方向に沿うように前記一対の下メインサイドフレーム411の前端部に立設された左右一対の縦フロントフレーム431と、略垂直方向に沿うように前記一対の下メインサイドフレーム411の後端部に立設された左右一対の縦リヤフレーム432とを備えている。
なお、本実施の形態においては、前記縦フレーム部430は、さらに、前記一対の下メインサイドフレーム411の前記後側部分411bの前後方向中間部位に立設された左右一対の縦サブフレーム433を有している。
【0022】
前記上フレーム部450は、前記一対の縦フロントフレーム431の上端部同士を連結する上フロントフレーム451と、車輌幅方向同一側に位置する前記縦フロントフレーム431及び前記縦リヤフレーム432の上端部同士を連結する左右一対の上サイドフレーム452と、前記一対の縦リヤフレーム432の上端部同士を連結する上リヤフレーム453とを備えている。
【0023】
そして、前記遮閉プレート41は、前記キャビン40の前面の一部を形成すべく車輌幅方向に沿い且つ略垂直方向に延びるように下端部が前記一対の下フロント連結部材412に固着されている。
なお、本実施の形態においては、前記遮閉プレート41は、左右側縁が左右一対の補強フレーム42を介して前記一対の縦フロントフレーム431にも連結されている。
【0024】
前記キャビン40には、好ましくは、前記遮閉プレート41に対して間隙205を存しつつ重合された状態で前記遮閉プレート41に連結される第2遮閉プレート200を備えることができる。
前記第2遮閉プレート200を備えることにより、間隙205を存した状態の2重プレート構造を得ることができ、これにより、外部から前記キャビン40内への透過音をより有効に防止できる。
【0025】
図4に、前記車輌フレーム20及び前記キャビン40の前方斜視図を示す。
図5に、前記第2遮閉プレート200を備えたキャビン40の一例の部分模式横断平面図であって、図4におけるV−V面に対応した部分横断模式平面図を示す。
【0026】
図4に示すように、前記キャビン40は、前記キャビン40の前方側を覆うように前記遮閉プレート41及び前記縦フロントフレーム431に固着されるフロントガラス490を有している。
詳しくは、前記フロントガラス490は、図5に示すように、一部が前記遮閉プレート41の周縁と重合された状態で前記遮閉プレート41の前面側に配置されており、重合部分において接着剤491によって前記遮閉プレート41に固着されている。
【0027】
図5に示す前記一例においては、前記第2遮閉プレート200は、前記遮閉プレート41の前方側において前記間隙205を存しつつ前記遮閉プレート41に連結されている。
詳しくは、前記第2遮閉プレート200は、周縁部が前記フロントガラス490と重合するように前記フロントガラス490の前方側に配置された状態で、前記第2遮閉プレート200及び前記遮閉プレート41間の前記間隙205を画するスペーサ210に挿通されたボルト等の締結部材211を介して前記遮閉プレート41に連結されている。
なお、図5に示すように、前記第2遮閉プレート200及び前記フロントガラス490の重合部分の全部又は一部にはゴム等のシール部材201が介挿され得る。
【0028】
好ましくは、前記第2遮閉プレート200は、前記遮閉プレート41と同一形状、若しくは、外形のみが異なる同一形状とすることができる。
斯かる構成によれば、前記遮閉プレート41を形成する為の金型を用いて前記第2遮閉プレート200を形成することができ、コスト低廉化を図ることができる。
さらに、前記間隙205を前記第2遮閉プレート200の全域に亘って一定とすることができ、これにより、省スペース化を図りつつ遮音効果を得ることができる。
【0029】
前記遮閉プレート41及び前記第2遮閉プレート200の間の前記間隙205にはウレタン等の遮音部材(図示せず)を挿入させることも可能であり、この場合にはさらなる遮音効果を得ることができる。
なお、前記間隙205には成形された状態のウレタンを挿入させることも可能であるし、若しくは、液状のままで注入可能であり且つ注入後に発泡するタイプのウレタンを前記間隙205内に注入してから前記間隙205内において発泡させることも可能である。
【0030】
又、前記間隙205をウォッシャホース等の配管類の設置スペースとして利用することも可能である。この場合には、前記配管類の固定具を不要化できるという効果が得られる。
【0031】
図6に、前記第2遮閉プレート200を備えたキャビンの他例の部分模式横断平面図を示す。
図6に示す他例においては、前記第2遮閉プレート200は、前記遮閉プレート41の後面(キャビン室内側の面)に前記間隙205を存しつつ連結されている。
この場合には、前記間隙205をキャビン室内に対してシールする為に前記第2遮閉プレート200及び前記遮閉プレート41の間にはシール部材202が介挿される。
なお、図6に示す他例においては、ダッシュボード等の前記遮閉プレート41の後面に連結されるべき部材は、前記第2遮閉プレート200の後面に連結される。
【0032】
図7に、図1のVII部近傍の部分縦断側面図を示す。
前記ボンネット30は、図1及び図7に示すように、後上端部において車輌幅方向に沿った回動軸31回り回動可能に支持されており、前記エンジン10を覆う閉塞位置(図1に示す位置)及び前記エンジン10の上方を開放する開放位置をとり得るように構成されている。
なお、本実施の形態においては、前記回動軸31は、前記車輌フレーム20に直接又は間接的に支持されたボンネット支持ステー39(図7参照)に支持されている。
【0033】
ここで、本実施の形態に係る前記ボンネット構造について説明する。
図8に、図1のVII部近傍の部分模式図を示す。
図7及び図8に示すように、前記ボンネット30は、閉塞位置に位置された状態において後端エッジが前記遮閉プレート41に隙間150を存しつつ対向している。
【0034】
一方、前記遮閉プレート41には、図8に示すように、前記ボンネット30の後端エッジとの間に前記ボンネット30の内部空間を外方へ開放する通路160が確保される範囲内で前方へ延在した複数のリブ100が設けられている。
【0035】
前記複数のリブ100は、それぞれが前記遮閉プレート41の外周に沿った状態で前記遮閉プレート41の中央から外周エッジ側へ順に配設されており、前記複数のリブ100のうちの一のリブと該一のリブの外周側に位置する他のリブとによって前方へ開く凹部105が形成されるように構成されている。
【0036】
斯かる構成を備えた前記ボンネット構造によれば、前記複数のリブ100の自由端部と前記ボンネット30の後端エッジとの間によって画される前記通路160を介して前記エンジン等に起因する前記ボンネット30の内部の熱を外方へ放出しつつ、前記一のリブ及び他のリブによって画される前記凹部105によって前記ボンネット30の内部からの音を干渉させて消音させることができる。
即ち、前記構成によれば、前記ボンネット30の内部からの音の少なくとも一部を前記凹部105内において反射させて干渉させることができ、これにより、消音効果を図ることができる。
【0037】
本実施の形態においては、図8に示すように、前記複数のリブ100は、前記遮閉プレート41の外周エッジに着脱可能に装着されるリブ形成部材110によって一体形成されている。
詳しくは、前記リブ形成部材110は、前記遮閉プレート41の外周エッジに着脱可能に装着される断面コの字状の装着部111と、前記遮閉プレート41の前方側へ延在するように前記装着部111から延びる前記複数のリブ100とを一体的に備えている。
【0038】
なお、前述の通り、本実施の形態においては、前記遮閉プレート41とは別体とされた前記リブ形成部材110によって前記複数のリブ100を形成したが、当然ながら、前記複数のリブ100を前記遮閉プレート41に一体形成することも可能である。
【0039】
実施の形態2
以下、本発明に係るボンネット構造の他の実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施の形態に係るボンネット構造の部分模式図を示す。なお、図9は、前記実施の形態1における図8に相当する図面である。
又、図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0040】
本実施の形態に係るボンネット構造は、前記複数のリブ100のうち最も外周側に位置するリブ(以下、最外方リブ100aという)の内方側を向く内方面の形状に関し、主として前記実施の形態1に係るボンネット構造と相違している。
【0041】
詳しくは、本実施の形態に係るボンネット構造においては、図9に示すように、前記最外方リブ100aの内方側を向く内方面は、前記遮閉プレート41に近接する側の基端部から前記ボンネット30に近接する側の自由端部へ行くに従って前記遮閉プレート41を基準にして外方側に位置するような傾斜面とされている。
【0042】
斯かる構成を備えた前記ボンネット構造によれば、前記ボンネット30の内部の音及び熱が前記ボンネット30の後端エッジ及び前記複数のリブ100の間の前記通路106を通って外方へ放出される際に、前記音及び熱を最終的に前記最外方リブ100aの前記内方面によって前方側へ案内することができ、これにより、前記遮閉プレート41の後方側に位置する運転席に前記音及び熱が伝わることをより有効に防止できる。
【0043】
好ましくは、前記最外方リブ100aの前記内方面を前方側へ延長した仮想面IPが閉塞位置に位置されている前記ボンネット30とは交差しないように、前記内方面の傾斜角を画することができる。
斯かる構成によれば、前記最外方リブ100aの前記内方面によって前方側へ案内された前記音及び熱が前記ボンネット30に反射して後方側へ伝わることを防止できる。
【0044】
本実施の形態においては、図9に示すように、前記遮閉プレート41の外周エッジ領域が、内方から外方へ行くに従って前方に位置するように傾斜されており、前記最外方リブ100aの前記内方面は前記遮閉プレート41の前記外周エッジ領域に沿うことで前記傾斜面を形成するように構成されている。
当然ながら、前記遮閉プレート41を前記実施の形態1におけるように単純な平面状とした状態で、前記最外方リブ100の前記内方面を前記傾斜面とすることも可能である。
【0045】
なお、前記各実施の形態においては、前記複数のリブ100が前記遮閉プレート41に設けられた場合を例に説明したが、前記遮閉プレート41の前方に前記第2遮閉プレート200が設けられている構成においては、前記複数のリブ100は前記第2遮閉プレートに設けられる。
【符号の説明】
【0046】
1 作業車輌
10 エンジン
20 車輌フレーム
30 ボンネット
31 回動軸
40 キャビン
41 遮閉プレート
100 リブ
100a 最外方リブ
105 凹部
150 隙間
160 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌フレームに直接又は間接的に支持されたエンジンと、前記エンジンの後方に位置するように前記車輌フレームに直接又は間接的に支持されたキャビンであって、前記エンジンと対向するように配置された遮閉プレートを有するキャビンと、前記エンジンを覆う閉塞位置及び前記エンジンの上方を開放する開放位置をとり得るように後上端部が車輌幅方向に沿った回動軸回り回動可能に支持されたボンネットとを備えた作業車輌に適用されるボンネット構造であって、
前記ボンネットは、閉塞位置に位置された状態において後端エッジが前記遮閉プレートに隙間を存しつつ対向しており、
前記遮閉プレートには、前記ボンネットの後端エッジとの間に前記ボンネットの内部空間を外方へ開放する通路が確保される範囲内で前方へ延在した複数のリブであって、それぞれが前記遮閉プレートの外周に沿った状態で前記遮閉プレートの中央から外周エッジ側へ順に配設された複数のリブが設けられており、
前記複数のリブのうちの一のリブと該一のリブの外周側に位置する他のリブとによって前方へ開く凹部が形成されていることを特徴とするボンネット構造。
【請求項2】
前記複数のリブのうち最も外周側に位置するリブの内方側を向く内方面は、前記遮閉プレートに近接する側の基端部から前記ボンネットに近接する側の自由端部へ行くに従って前記遮閉プレートを基準にして外方側に位置するような傾斜面とされていることを特徴とする請求項1に記載のボンネット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−247677(P2010−247677A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99579(P2009−99579)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】