説明

ボーダー部構造及びその設置方法

【課題】ボーダー部材がずれたり浮き上がったりしてしまうのを防止できると共に、フリーアクセスフロアの床面上に段差が形成されるのを防止することができるボーダー部構造を提供する。
【解決手段】下地床面10と略平行に設けられる水平板部36、及びこの水平板部36の一端から垂直下方に折れ曲がって連続して形成され、その高さ方向の下端部が下地床面10に接地される垂直板部38とを有するボーダー部材32と、フリーアクセスフロア用パネル3が載置される上端面18、及びこの上端面18に開口する溝部20aを有する支持台8Aとを備え、ボーダー部材32は、水平板部36における他端から下方に折れ曲がって形成され溝部20aに係合する係合部40を有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンルームやオフィスルーム等の部屋の内側に敷設されるフリーアクセスフロアに関し、特にそのボーダー部構造及びその設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8及び図9は、従来のボーダー部材6、及びこの従来のボーダー部材6を設置した場合のボーダー部構造1を示す側面断面図及び平面図である。ボーダー部材6は、図8に示すように、フリーアクセスフロア2が敷設される部屋の下地床面10上であって、フリーアクセスフロア2のパネル部材3と、部屋の壁4との間に設置されているが、ボーダー部材6は、このような場所だけでなく、パネル部材3に連続する床面を形成するために、図示しない様々な場所に設置される。
【0003】
すなわち、ボーダー部材6は、定形部材であるパネル部材3を配置することができない、壁4の壁際や、部屋内の壁4から離れた場所の、図示しない柱の周囲等に形成される中途半端な空間に、パネル部材3に連続する床面を形成するために設置される。
【0004】
以下の説明においては、パネル部材3を配置することができない壁4の壁際や、図示しない柱の周囲等の中途半端な空間をボーダー部と呼ぶこととする(図8参照)。また、パネル部材3と隣合ってボーダー部材6がボーダー部に配置された状態をボーダー部構造と呼ぶこととする。
【0005】
ボーダー部材6は、下地床面10と略垂直の方向に厚さ(図8中、寸法t)を有し、下地床面10と略平行方向、かつ壁4に対して垂直方向の長さを有する水平板部26と、この水平板部26の長さの壁4側の一端から下地床面10側に垂直に折れ曲がって連続して形成された垂直板部28とを備えて構成されている。
【0006】
ボーダー部材6は、その水平板部26がボーダー部の下地床面10上方を覆い、この水平板部26における垂直板部28と反対側の端部26aが最も壁4寄りのパネル部材3の上面に載置されると共に、垂直板部28が、下地床面10上に略垂直に突き立てられて配置される。
【0007】
このようなボーダー部材6により、ボーダー部には、パネル部材3と下地床面10との間の高さ方向に大きな段差(支持台8の高さにパネル部材3の厚さを加えた寸法の段差)が生じないようにし、かつ部屋のフリーアクセスフロア2の床面がパネル部材3から壁4迄延長して形成されるようになっていた。
【0008】
一方、フリーアクセスフロア2は、そのパネル部材3が支持台8により支持される構造になっている。支持台8は、調整台14と、この調整台14を支持する脚部16を備えて構成されている。
【0009】
図10は、図8,9から支持台8だけを取り出して示す、支持台8の平面図である。同図に示すように、支持台8は、その調整台14の上端面18上に開口するよう形成されて、後述するパネル部材3の折曲った側板部24と係合可能な4本の溝部20を有している。
【0010】
この支持台8の4本の溝部20は、これら4本の中の2本が、上端面18上の一方向に伸びるよう互いに平行に一定間隔で並んで配置され、この2本と直角に交差するように、他の2本が互いに平行に一定間隔で並んで配置されている。これら4本の溝部20のそれぞれは、互いに平行に並んで配置される2本の組合せ同士が、互いの長さ方向のほぼ中央において交差している。各溝部20の長さ方向において、この長さ方向と直角方向に伸びる他の溝部20との交差位置から、この長さ方向と平行な、調整台14の円周面接線までの長さ寸法を、図10においてはLで表すこととする。
【0011】
また、図11は、図8,9からパネル部材3だけを取り出して示す、パネル部材3の平面図である。パネル部材3は、定形部材であって、同図に示すように、平面形状が略正方形の天板部22と、天板部22の四辺のそれぞれに、下地床面10側(図11中、紙面に垂直方向の奥側)に一定高さを有するよう折曲げて設けられる側板部24とを有している。
【0012】
図9に示すように、パネル部材3は、水平面において縦方向及び横方向に整列して配置される。そして、支持台8は、ボーダー部と隣合って配置されるパネル部材3の、ボーダー部側の隅部を支持するのに用いられるものを除いて、4枚のパネル部材3の各隅部が一ヶ所に集まる位置に配置され、この4枚のパネル部材3の各隅部を下側から支持するようになっている。
【0013】
このようなフリーアクセスフロア2の、各支持台8が4枚のパネル部材3の各隅部を支持するときの支持構造は、各パネル部材3における天板部22の各隅部が、図10に示す支持台8の上端面18上に載置されると共に、各パネル部材3の天板部22における四辺のそれぞれと平行方向に伸びる、図11に示す各側板部24の両端部のそれぞれが、対応する支持台8の図10に示す溝部20の寸法Lの長さ範囲で係合する構造になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述したような従来のボーダー部構造1においては、図8に示すように、ボーダー部材6は、その水平板部26の端部26aが、パネル部材3の上面に載置され、垂直板部28が、下地床面10の壁4寄りの位置に略垂直に突き立てられて載置されるだけの構造であるため、図示しないが、垂直板部28がボーダー部内で水平方向にずれてしまったり、何らかの外力により水平板部26が傾斜するように端部26aが浮き上がってしまったりすることがあるため、安全性に欠けるという問題があった。
【0015】
また、従来のボーダー部構造1においては、ボーダー部材6の水平板部26の端部26aが、パネル部材3の上面に載置されているので、フリーアクセスフロア2の床面上に水平板部26の厚さ分(図8中寸法t)の段差が形成されてしまうため、このような段差の上に整理棚や書庫等が載置された場合には、この整理棚や書庫等が傾むいてしまうおそれがあり、好ましくないという問題があった。
【0016】
また、従来のボーダー部構造1においては、ボーダー部材6の垂直板部28の高さを調整することができなかったため、敷設する部屋ごとに異なる高さに設定されるフリーアクセスフロア2の床高さに応じて、その都度、垂直板部28が部屋ごとに異なる高さに形成されたボーダー部材6を準備しなければならないという問題があった。
【0017】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、ボーダー部材がずれたり浮き上がったりしてしまうのを防止できると共に、フリーアクセスフロアの床面上に段差が形成されるのを防止することができるボーダー部構造、及びその設置方法を提供することを課題とするものである。
【0018】
また、様々な床高さのフリーアクセスフロアに対応して垂直板部の高さを調整することができるボーダー部構造、及びその設置方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために本発明は、
下地床面と略平行に設けられる水平板部、及びこの水平板部の一端から垂直下方に折れ曲がって連続して形成され、その高さ方向の下端部が下地床面に接地される垂直板部とを有するボーダー部材と、
フリーアクセスフロア用パネルが載置される上端面、及びこの上端面に開口する溝部を有する支持台とを備え、
前記ボーダー部材は、前記水平板部における他端から下方に折れ曲がって形成され前記溝部に係合する係合部を有することを特徴とするものである。
【0020】
また、上記課題を解決するために本発明は、
前記垂直板部は、前記支持台の高さとほぼ同じ高さを有し、当該垂直板部の形成に必要な高さ分以外の部分が、前記下端部において前記係合部側に折り曲げられていることを特徴とするものである。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明によるボーダー部材設置方法は、
下地床面と略平行に設けられる水平板部を有するボーダー部材について、
前記水平板部の一端から垂直下方に折れ曲がって連続する垂直板部を折り曲げ加工により形成し、この垂直板部を形成する際にその高さ方向の下端部が下地床面に接地するように当該垂直板部の高さを調整すると共に、
前記水平板部における他端から下方に折れ曲がる係合部を折り曲げ加工により形成し、この係合部を、フリーアクセスフロア用パネルが載置される支持台の上端面に設けられた溝部に係合することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明によるボーダー部材設置方法において、前記垂直板部の高さの調整は、当該垂直板部が前記支持台の高さとほぼ同じ高さを有するのに必要な高さ分以外の部分を前記係合部側に折り曲げて前記下端部を形成することにより行なわれることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
このような本発明に係るボーダー部構造によれば、
下地床面と略平行に設けられる水平板部、及びこの水平板部の一端から垂直下方に折れ曲がって連続して形成され、その高さ方向の下端部が下地床面に接地される垂直板部とを有するボーダー部材と、
フリーアクセスフロア用パネルが載置される上端面、及びこの上端面に開口する溝部を有する支持台とを備え、
前記ボーダー部材は、前記水平板部における他端から下方に折れ曲がって形成され前記溝部に係合する係合部を有することにより、
ボーダー部材が、ずれたり浮き上がったりしてしまうのを防止できるので、フリーアクセスフロアの安全性を向上させることができる。また、フリーアクセスフロアの床面上に段差が形成されるのを防止できるので、整理棚や書庫等が傾いてしまうような好ましくない状態を招くことを防止することができる。
【0024】
また、本発明のボーダー部構造において、
前記垂直板部は、前記支持台の高さとほぼ同じ高さを有し、当該垂直板部の形成に必要な高さ分以外の部分が、前記下端部において前記係合部側に折り曲げられていることにより、
ボーダー部構造は、様々な床高さのフリーアクセスフロアに対応して垂直板部の高さを調整することができるので、垂直板部が部屋ごとに異なる高さに形成されたボーダー部材を準備する必要がない。
【0025】
また、本発明に係るボーダー部設置方法によれば、
下地床面と略平行に設けられる水平板部を有するボーダー部材について、
前記水平板部の一端から垂直下方に折れ曲がって連続する垂直板部を折り曲げ加工により形成し、この垂直板部を形成する際にその高さ方向の下端部が下地床面に接地するように当該垂直板部の高さを調整すると共に、
前記水平板部における他端から下方に折れ曲がる係合部を折り曲げ加工により形成し、この係合部を、フリーアクセスフロア用パネルが載置される支持台の上端面に設けられた溝部に係合することにより、
ボーダー部材が、ずれたり浮き上がったりしてしまうのを防止できるので、フリーアクセスフロアの安全性を向上させることができる。また、フリーアクセスフロアの床面上に段差が形成されるのを防止できるので、整理棚や書庫等が傾いてしまうような好ましくない状態を招くことを防止することができる。
【0026】
また、本発明のボーダー部設置方法において、前記垂直板部の高さの調整は、当該垂直板部が前記支持台の高さとほぼ同じ高さを有するのに必要な高さ分以外の部分を前記係合部側に折り曲げて前記下端部を形成することにより行なわれるようにしたことにより、
ボーダー部構造は、様々な床高さのフリーアクセスフロアに対応して垂直板部の高さを調整することができるので、垂直板部が部屋ごとに異なる高さに形成されたボーダー部材を準備する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係るボーダー部構造及びその設置方法を実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図3は、本発明の第1の実施の形態に係る、ボーダー部構造30及びその設置方法について説明するために参照する図である。従来と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、従来と同様の構成についての重複する説明は省略するものとする。
【0028】
本実施の形態に係るボーダー部構造30は、図1及び図2に示すように、フリーアクセスフロア用ボーダー部材32(以下において、「ボーダー部材32」という。)、及びフリーアクセスフロア2の支持台8であって、ボーダー部と隣合って配置されるパネル部材3の、ボーダー部側の隅部を支持するボーダー側支持台8Aを備えて構成されている。
【0029】
以後の説明においては、図1に示すように、パネル部材3とボーダー部との間の境界線と平行方向(図1中、紙面に垂直の方向)に伸びて、ボーダー部の内側を通るボーダー側支持台8Aの溝部20を、特に、ボーダー内溝部20aと呼ぶこととする。
【0030】
ボーダー部材32は、図1に示すように、水平板部36、垂直板部38、及び係合部40を有している。水平板部36は、その図1中左右方向の長さ寸法W1が、ボーダー部における同方向の長さよりも若干短い長さになるように形成されている。また、垂直板部38は、ボーダー側支持台8Aの高さと同じ高さ寸法H1を有するように形成されている。水平板部36の図1中左右方向の長さ寸法W1、及び垂直板部38の高さ寸法H1は、ボーダー部の同方向の長さ、及びボーダー側支持台8Aの高さの実測値に基づいて定められる。
【0031】
また、ボーダー部材32の係合部40は、水平板部36における垂直板部38と反対側の端部36aから下地床面10側に垂直に折れ曲がって形成されたものである。係合部40は、その高さ寸法がボーダー側支持台8Aのボーダー内溝部20aの深さ寸法より僅かに小さく形成されている。
【0032】
したがって、係合部40の高さ寸法は、上述した水平板部36の上記長さ寸法W1、及び垂直板部38の高さ寸法H1のように、ボーダー部の上記長さ、及びボーダー側支持台8Aの高さの実測値に基づいて定められるものではないので、係合部40は、フリーアクセスフロア2の敷設開始前から、予め形成しておくことができるものである。
【0033】
図3(a)〜(c)は、ボーダー部材32の形成手順を示す図であって、形成手順の段階ごとの側面形状を示す側面図である。同図(a)に示すように、ボーダー部材32には、垂直板部38が形成される前の当初の段階において、水平板部36の端部36aに、予め係合部40が折り曲げ加工により形成されている。
【0034】
ボーダー部材32は、このような形状の段階のものから、図1に示すボーダー部の図中左右方向の長さの実測値に基づいて、図3(b)に示すように、水平板部36が、その係合部40側端から、折り曲げ後に寸法W1となる位置で折り曲げられることにより、垂直板部38が形成される。
【0035】
そして、ボーダー部材32は、図3(c)に示すように、垂直板部38が、図1に示すボーダー側支持台8Aの高さの実測値と同じ高さ寸法H1を有するように、この垂直板部38の下地床面10側(図3中下側)の余分な高さ部分が切り落とされて完成される。ボーダー部材32は、このような手順で形成された後に、図1に示すように、ボーダー部に設置される。
【0036】
このような本実施の形態に係る、ボーダー部構造30及びその設置方法によれば、ボーダー部材32の係合部40が、ボーダー側支持台8Aのボーダー内溝部20aに係合することにより、ボーダー部材32が、ずれたり浮き上がったりしてしまうのを防止できるので、フリーアクセスフロアの安全性を向上させることができる。また、フリーアクセスフロアの床面上に段差が形成されるのを防止できるので、整理棚や書庫等が傾いてしまうような好ましくない状態を招くことを防止することができる。
【0037】
また、本実施の形態に係る、ボーダー部構造30及びその設置方法によれば、係合部40が予め形成されているので、ボーダー部材32に係合部40が予め形成されていない場合に比べて、ボーダー部材32を最終的な形状のものに形成するまでの作業を容易にすることができる。
【0038】
次に、図4及び図5は、本発明の第2の実施の形態に係る、ボーダー部構造50及びその設置方法について説明するために参照する図である。
本実施の形態に係るボーダー部構造50は、その平面的な外観が、前記第1の実施の形態に係るボーダー部構造30を示す図2とほぼ同様に表されるため、平面図は省略する。
【0039】
本実施の形態に係るボーダー部構造50は、図4に示すように、フリーアクセスフロア用ボーダー部材52(以下において、「ボーダー部材52」という。)、及びフリーアクセスフロア2のボーダー側支持台8Aを備えて構成されている。
【0040】
ボーダー部材52は、前記第1の実施の形態におけるボーダー部材32と同様に、水平板部56、垂直板部58、及び係合部60を有している。また、ボーダー部材52は、垂直板部58における下地床面10側の下端部に折り曲げ部62を有している。折り曲げ部62は、この折り曲げ部62が形成される前の垂直板部58の下地床面10側の端部が、係合部60側に略垂直に折り曲げられて形成されたものである。
【0041】
図5(a)〜(c)は、ボーダー部材52の形成手順を示す図であって、形成手順の段階ごとの形状を示す側面図である。同図(a)及び(b)に示すように、ボーダー部材52の垂直板部58は、前記第1の実施の形態に係るボーダー部材32の垂直板部38の形成手順と同様に、図4に示すボーダー部の図4中左右方向長さの実測値に基づいて、当初の水平板部56が、その係合部60側の端部から、折り曲げ後に寸法W2となる位置で折り曲げられることにより、垂直板部58が形成される。
【0042】
そして、ボーダー部材52は、図5(c)に示すように、垂直板部58が、実測した図4のボーダー側支持台8Aの高さと同じ高さ寸法H2を有するように、床面側の余分な高さ端部が、係合部60側に折り曲げられて完成される。ボーダー部材52は、このような手順で形成された後に、図4に示すように、ボーダー部に設置される。
【0043】
このような本実施の形態に係る、ボーダー部構造50及びその設置方法によれば、前記第1の実施の形態と同様に、ボーダー部材52の係合部60が、ボーダー側支持台8Aのボーダー内溝部20aに係合することにより、ボーダー部材52が、ずれたり浮き上がったりしてしまうのを防止できるので、フリーアクセスフロアの安全性を向上させることができると共に、フリーアクセスフロアの床面上に段差が形成されるのを防止できるので、整理棚や書庫等が傾いてしまうような好ましくない状態を招くことを防止することができる。
【0044】
また、係合部60が予め形成されているので、ボーダー部材52に係合部60が予め形成されていない場合に比べて、ボーダー部材52を最終的な形状のものに形成するまでの作業を容易にすることができる。
【0045】
また、本実施の形態に係る、ボーダー部構造50及びその設置方法によれば、垂直板部58の高さを調整して形成できるので、ボーダー部構造50を様々な床高さのフリーアクセスフロアに対応して設置することができる。このため、垂直板部が部屋ごとに異なる高さに形成されたボーダー部材を準備する必要がない。
【0046】
また、ボーダー部材52を形成するのに垂直板部58の下端部の切断作業を必要としないので、ボーダー部材52を最終的な形状のものに形成するまでの作業を、前記第1の実施の形態に係るボーダー部材32を形成するときよりも容易にすることができると共に、廃材が発生しないようにすることができる。
【0047】
次に、図6及び図7は、本発明の第3の実施の形態に係る、ボーダー部構造70及びその設置方法について説明するために参照する図である。
本実施の形態に係るボーダー部構造70は、図6に示すように、フリーアクセスフロア用ボーダー部材72(以下において、「ボーダー部材72」という。)、及びフリーアクセスフロア2のボーダー側支持台8Aを備えて構成されている。
【0048】
ボーダー部材72は、前記第2の実施の形態におけるボーダー部材52と同様に、水平板部76、垂直板部78、係合部80、及び折り曲げ部82を有している。折り曲げ部82は、前記第2の実施の形態における折り曲げ部62と同様に、折り曲げ部82が形成される前の垂直板部78の下地床面10側の下端部が、係合部80側に折り曲げられて形成されたものである。そして、この折り曲げ部82は、垂直板部78と反対側の端部82aが上方に折り曲げられて形成されている。
【0049】
図7(a)〜(d)は、ボーダー部材72の形成手順を示す図であって、形成手順の段階ごとの形状を示す側面図である。同図(a)及び(b)に示すように、ボーダー部材72の垂直板部78は、前記第2の実施の形態に係るボーダー部材52の垂直板部58の形成手順と同様に、図6に示すボーダー部の図中左右方向長さの実測値に基づいて、水平板部76が、その係合部80側端から、折り曲げ後に寸法W3となる位置で折り曲げられることにより、垂直板部78が形成される。
【0050】
そして、ボーダー部材72は、図7(c)に示すように、垂直板部78が、実測した図6のボーダー側支持台8Aの高さと同じ高さ寸法H3を有するように、床面側の余分な高さ端部が、折り曲げ部82として係合部80側に折り曲げられる。
【0051】
その後、図7(d)に示すように、この折り曲げ部82の垂直板部78と反対側の端部82aが上方に折り曲げられて完成される。ボーダー部材72は、このような手順で形成された後に、図6に示すように、ボーダー部に設置される。
【0052】
このような本実施の形態に係る、ボーダー部構造70及びその設置方法によれば、前記第1及び第2の実施の形態と同様に、ボーダー部材72の係合部80が、ボーダー側支持台8Aのボーダー内溝部20aに係合することにより、ボーダー部材72が、ずれたり浮き上がったりしてしまうのを防止できるので、フリーアクセスフロアの安全性を向上させることができると共に、フリーアクセスフロアの床面上に段差が形成されるのを防止できるので、整理棚や書庫等が傾いてしまうような好ましくない状態を招くことを防止することができる。
【0053】
また、係合部80が予め形成されているので、ボーダー部材72に係合部80が予め形成されていない場合に比べて、ボーダー部材72を最終的な形状のものに形成するまでの作業を容易にすることができる。
【0054】
また、本実施の形態に係る、ボーダー部構造70及びその設置方法によれば、垂直板部78の高さを調整して形成できるので、ボーダー部構造50を様々な床高さのフリーアクセスフロアに対応して設置することができる。このため、垂直板部が部屋ごとに異なる高さに形成されたボーダー部材を準備する必要がない。
【0055】
また、前記第2の実施の形態と同様に、ボーダー部材72を形成するのに垂直板部78の下端部の切断作業を必要としないので、ボーダー部材72を最終的な形状のものに形成するまでの作業を、前記第1の実施の形態に係るボーダー部材32を形成するときよりも容易にすることができると共に、廃材が発生しないようにすることができる。
【0056】
また、本実施の形態に係る、ボーダー部構造70及びその設置方法によれば、折り曲げ部82の端部82aが上方に折り曲げられているので、ボーダー部材72をボーダー部に設置するときに、このボーダー部材72に折り曲げ端部82aが形成されないときに起こり得る、折り曲げ部82の先端部がボーダー側支持台8Aに接触して支障を来たすことを防止できる。
【0057】
なお、前記第2,第3の実施の形態においては、垂直板部58,78の下端部を折り曲げることにより、その高さ寸法を調整するようにしていたが、逆に、一度折り曲げた下端部を元の真直ぐの状態に伸ばすことにより、その高さ寸法を調整するようにすることもできる。
【0058】
また、前記実施の形態においてフリーアクセスフロア2は、図1,4,6に示すように、ボーダー側支持台8Aも含めて、支持台8の調整台14に溝部20が形成され、この溝部20にパネル部材3の側板部24が係合するようになっていたが、支持台8の調整台14に溝部20を形成しないようにすると共に、パネル部材3に側板部24を設けないようにして、パネル部材3の隅部を調整台14にネジ止めするようにしてもよい。
【0059】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るボーダー部構造30,50,70において、パネル部材3を支持する支持台8,8Aは、脚部12及び調整台14を備える構造のものであったが、支持台は、このような構造のものに限定されない。例えば、支持台8の上端面18及び溝部20と同様の上端面及び溝部を有する、略円柱形状の支持体等、どのような形態の支持台であってもよい。
【0060】
また、前記第1から第3の実施の形態に係るボーダー部構造30,50,70において、ボーダー側支持台8Aは、図2に示すように、ボーダー部と隣合って配置されるパネル部材3であって、かつ図2中上下方向に互いに隣合って配置される2つのパネル部材3の、ボーダー部側の互いに隣合う2つの隅部を支持するようになっていたが、1つのパネル部材3におけるボーダー部側の隅部間の側辺縁部の途中位置を支持するようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るボーダー部構造30を示す側面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るボーダー部構造30を示す平面図である。
【図3】図1中のボーダー部材32の形成手順を示す図であって、図3(a)〜(c)はその形成手順の段階ごとの形状を示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るボーダー部構造50を示す側面断面図である。
【図5】図4中のボーダー部材52の形成手順を示す図であって、図5(a)〜(c)はその形成手順の段階ごとの形状を示す側面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るボーダー部構造70を示す側面断面図である。
【図7】図6中のボーダー部材72の形成手順を示す図であって、図7(a)〜(d)はその形成手順の段階ごとの形状を示す側面図である。
【図8】従来のボーダー部構造1を示す側面断面図である。
【図9】従来のボーダー部構造1を示す平面図である。
【図10】図9中の支持台8だけを取り出して示すその平面図である。
【図11】図9中のパネル部材3だけを取り出して示すその平面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ボーダー部構造
2 フリーアクセスフロア
3 パネル部材
4 壁
6 ボーダー部材
8 支持台
8A ボーダー側支持台
10 床面
12 脚部
14 調整台
15 ベース板部材
16 支持ボルト部材
18 上端面
20 溝部
20a ボーダー内溝部
22 天板部
24 側板部
26 水平板部
26a 端部
28 垂直板部
30 ボーダー部構造
32 フリーアクセスフロア用ボーダー部材
36 水平板部
36a 端部
38 垂直板部
40 係合部
50 ボーダー部構造
52 フリーアクセスフロア用ボーダー部材
56 水平板部
58 垂直板部
60 係合部
62 折り曲げ部
70 ボーダー部構造
72 フリーアクセスフロア用ボーダー部材
76 水平板部
78 垂直板部
80 係合部
82 折り曲げ部
82a 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地床面と略平行に設けられる水平板部、及びこの水平板部の一端から垂直下方に折れ曲がって連続して形成され、その高さ方向の下端部が下地床面に接地される垂直板部とを有するボーダー部材と、
フリーアクセスフロア用パネルが載置される上端面、及びこの上端面に開口する溝部を有する支持台とを備え、
前記ボーダー部材は、前記水平板部における他端から下方に折れ曲がって形成され前記溝部に係合する係合部を有する
ことを特徴とするボーダー部構造。
【請求項2】
前記垂直板部は、前記支持台の高さとほぼ同じ高さを有し、当該垂直板部の形成に必要な高さ分以外の部分が、前記下端部において前記係合部側に折り曲げられている
ことを特徴とする請求項1に記載のボーダー部構造。
【請求項3】
下地床面と略平行に設けられる水平板部を有するボーダー部材について、
前記水平板部の一端から垂直下方に折れ曲がって連続する垂直板部を折り曲げ加工により形成し、この垂直板部を形成する際にその高さ方向の下端部が下地床面に接地するように当該垂直板部の高さを調整すると共に、
前記水平板部における他端から下方に折れ曲がる係合部を折り曲げ加工により形成し、この係合部を、フリーアクセスフロア用パネルが載置される支持台の上端面に設けられた溝部に係合する
ことを特徴とするボーダー部設置方法。
【請求項4】
前記垂直板部の高さの調整は、当該垂直板部が前記支持台の高さとほぼ同じ高さを有するのに必要な高さ分以外の部分を前記係合部側に折り曲げて前記下端部を形成することにより行なわれる
ことを特徴とする請求項3に記載のボーダー部設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−150825(P2008−150825A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338466(P2006−338466)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【Fターム(参考)】