説明

ボールシュート玩具

【課題】 簡単な操作で打出したボールに変化を与え、楽しく飽きずに遊べるボールシュート玩具を提供する。
【解決手段】 球体を覆うことのできる天板13、後方カバー壁及び側方カバー壁17を備えて内側に球体を収納可能とする内部空間を形成し、前方に前記球体を打出す前方開口部を有する玩具本体10から前方へ先端を広げるように延びる右アーム部51及び左アーム部55を有し、玩具本体10の底板33に前記球体の直径よりも僅かに大きな直径の挿入孔35を有し、前記後方カバー壁を半円形としてこの後方カバー壁から前記挿入孔35の中心近傍上方に至る弾性材質の打出し部材81を有し、この打出し部材81の底板33からの高さを前記球体の直径よりも小さな値の高さとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールを発射することによりボールをゴールとする目標に当て又は入れて遊ぶことのできる玩具に関するものです。
【背景技術】
【0002】
今日、サッカーやバスケットボールを模して室内で遊ぶゲーム装置として、スプリングなどを用いてボールをゴールに向かって発射することのできる種々の玩具が提供されている。
【0003】
そして、例えばサッカーのPK戦を模して遊ぶ玩具として、樹脂製の中空ボールの内部に金属製のボールを内蔵させてボールが跳ねる方向や転がる方向を不規則とすると共に、打出しレバーを指で引っ張ってスプリングを圧縮状態とした後に指を離すことによりボールを打出すことのできる打出しレバーの先端には、長さの異なる突起を設けておくことによってボールの打ち出し方向に変化を与えることを可能とする玩具も提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-148343号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のボールをシュートするように打出す玩具は、単純にして安価な玩具では、ボールをコントロールしながら変化させて遊ぶことが困難であって、面白味に欠けることがあった。
【0006】
本発明は、この様な欠点を排除し、簡単な操作で打出したボールに変化を与え、楽しく飽きずに遊べるボールシュート玩具を提供するものです。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るボールシュート玩具は、球体を覆うことのできる天板、後方カバー壁及び側方カバー壁を備えて内側に球体を収納可能とする内部空間を形成し、前方に前記球体を打出す前方開口部を有する玩具本体とこの玩具本体から前方へ先端を広げるように延びる右アーム部及び左アーム部を備え、玩具本体の底板に前記球体の直径よりも僅かに大きな直径の挿入孔を有し、前記後方カバー壁を半円形としてこの後方カバー壁から前記挿入孔の中心近傍上方に至る弾性材質の打出し部材を有し、この打出し部材の玩具本体底板からの高さを前記球体の直径よりも小さな値の高さとするものです。
【0008】
そして、打出し部材の先端下面にゴム質のクッション体を有することが好ましく、打出し部材が後方カバー壁に沿って左右に摺動可能に後方カバー壁に取り付けられるものです。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るボールシュート玩具は、内側に球体を収納可能とする内部空間を有して前方に前記球体を打出す前方開口部を有する玩具本体の内部空間に、後方カバー壁から底板に設けた挿入孔の中心近傍上方に至る弾性材質の打出し部材を有し、この打出し部材の底板からの高さを前記球体の直径よりも小さい高さとしているため、挿入孔に球体を入れるようにすると打出し部材の先端が球体の上端に接して玩具本体の底板を浮かせるようにすることができ、底板を床につけるように玩具本体を押し下げると打出し部材が湾曲し、球体の頂部後方を押えて打出し部材の弾性力により球体を発射することができる。
【0010】
又、打出し部材の先端下面にクッション体を設ければ、前方に発射する球体に対して後方への回転を与えることができる。
更に、打出し部材を後方カバー壁に沿って左右に摺動可能とすれば、打出し部材の玩具本体の内部空間での位置及び向きに変化を与え、発射する球体の後方への回転を左右斜め後方への回転に変化させ、打出した球体の転がりに変化を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るボールシュート玩具の外観を示す斜視図。
【図2】本発明に係るボールシュート玩具本体の外観を示す後方斜視図。
【図3】本発明に係るボールシュート玩具本体の断面側面図。
【図4】本発明に係るボールシュート玩具本体のカバー体を外した状態を示す平面図。
【図5】本発明に係るボールシュート玩具本体に球体を入れた状態を示す断面図。
【図6】本発明に係るボールシュート玩具により球体を打出す状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るボールシュート玩具を実施する形態は、球体90を覆うことのできる天板13、後方カバー壁21及び側方カバー壁17を備えて内側に球体90を収納可能とする内部空間を形成し、前方に前記球体90を打出す前方開口部29を有する玩具本体10から前方へ先端を広げるように延びる右アーム部51及び左アーム部55を有し、玩具本体10の底板33に前記球体90の直径よりも僅かに大きな直径の挿入孔35を有し、前記後方カバー壁21を半円形としてこの後方カバー壁21から前記挿入孔35の中心近傍上方に至る弾性材質の打出し部材81を有し、この打出し部材81の底板33からの高さを前記球体90の直径よりも小さい高さとするボールシュート玩具です。
【0013】
そして、打出し部材81の先端下面にゴム質のクッション体85を有することが好ましく、打出し部材81が後方カバー壁21に沿って左右に摺動可能に後方カバー壁21に取り付けられるものです。
【実施例1】
【0014】
本発明に係るボールシュート玩具は、図1に示すように、前方にボールを模した球体90を打出す為の矩形とした開口である前方開口部を有する玩具本体10を備え、この玩具本体10の底部となる底板33に球体90の直径より僅かに大きくした直径の挿入孔35を有し、天板13やカバー壁により形成するカバー体11と底板33や側壁部41により形成する本体部31とで構成する玩具本体10において中空の内部とする内部空間に板バネ状の打出し部材81を有し、更にこの玩具本体10の本体部31から左右前方に突出させる右アーム部51及び左アーム部55を備えるものです。
【0015】
尚、この球体90の直径は十数ミリメートル乃至20ミリメートル程度の大きさとするものです。
【0016】
そしてこの玩具本体10のカバー体11は、天板13と前方壁15及びカバー壁で形成し、図1及び図2に示すように、後方を半円形として前方を矩形とする天板13と、この天板13の前方直線部から垂下する前方壁15及び天板13の半円部から垂下する半円形状の後方カバー壁21や左右側方の直線部から垂下する直線状の側方カバー壁17を有するものです。
【0017】
又、本体部31は、後方を半円とし前方を矩形として天板13と同じ大きさの外形であってボールとする球体90の直径よりも僅かに大きな挿入孔35を有する底板33と、底板33の半円部分から立ち上がり、その上端が後方カバー壁21の下端に整合する側壁部41及び底板33の左右直線部から立ち上がる肉厚の左右アーム基部43とを有するものです。
【0018】
尚、後方カバー壁21の下端は、図2に示したように、側壁部41の上端との間に間隙を形成するように側方カバー壁17の下端よりも僅かに高くしてレバー溝27を形成しており、側方カバー壁17の外側面には右アーム基部43や左アーム基部45の上方を覆う右基部カバー23及び左基部カバー24を備えるものです。
【0019】
そして、右アーム部51及び左アーム部55は、各々先端を基部側よりも相互に広い間隔として右アーム基部43や左アーム基部45から前方に突出するものであり、右アーム部51の先端には円柱状の右先端部53を、左アーム部55の先端にも円柱状の左先端部57を有しているものです。
【0020】
また、玩具本体10の内部に組み込まれる打出し部材81は、図3に示されるように、つまみ部61から一体に形成されて挿入孔35の中央近傍上部に至る長さとされる板状とされ、薄板状とする形状によって弾性変形が可能な樹脂材料により形成されるものであり、その先端側の下面にはゴム質のクッション体85を有するものです。
【0021】
そして、つまみ部61は、上下方向に所定の厚みを有して剛性を備えると共に、その内側端部の直近において下端から所定深さの溝である下方溝63を有し、この下方溝63は半円形とされたカバー壁の後方カバー壁21や側壁部41の湾曲に合せた曲率を有する形状の溝とされ、下方溝63よりも内側の下摺動壁65とつまみ部61の外方部分とにより下方溝63に挿入される側壁部41を挟むようにして側壁部41に沿って摺動可能とされるものです。
【0022】
又、このつまみ部61はつまみ上部材71を備え、つまみ上部材71は後方カバー壁21の内側に沿った上方内摺動壁73と後方カバー壁21の外側に沿った上方外摺動壁75を有して上方内摺動壁73と上方外摺動壁75とにより後方カバー壁21を挟むようにしており、つまみ部61や打出し部材81を半円形状の側壁部41や後方カバー壁21に対して摺動可能としつつ、確実に取り付けることができるようにしているものです。
【0023】
このため、打出し部材81は、図4に示すように、つまみ部61を後方カバー壁21や側壁部41の湾曲に沿って左右に摺動可能とされ、後方カバー壁21や側壁部41が半円形とされているために打出し部材81の先端を挿入孔35の中心位置から余り移動させること無く玩具本体10の右側や左側又は真後ろから玩具本体10の内部空間37に突出させることができるものです。
【0024】
尚、図4に示したように、右アーム基部43や左アーム基部45にはネジ穴47が設けられ、ネジ穴47の下方から挿入するネジの先端をカバー体11の右基部カバー23や左基部カバー24に螺入してカバー体11と本体部31とを一体とするものです。
【0025】
又、本体部31の底板33に形成する挿入孔35は、このボールシュート玩具で打出すボールに相当する球体90の直径よりも僅かに大きな直径の透孔とされ、底板33の上面において挿入孔35の周囲には傾斜した傾斜部37を有するものです。
【0026】
更に、打出し部材81は底板33からの距離を球体90の直径よりも小さな値とする高さ位置で底板33と略平行として後方カバー壁21や側壁部41から玩具本体10の内部空間37に突出させているものであって、この底板33からの高さは球体90の直径の約3分の2乃至2分の1程度の高さで略水平とするものです。
【0027】
従って、図5に示すように、挿入孔35に球体90を入れるようにすると球体90の頂部にクッション体85を接触させて底板33を床面から浮かせた状態となり、球体90と左右アーム部51,55の各先端部53,57とにより方向を安定させることができ、天板13を押し下げると、図6に示すように打出し部材81が湾曲し、打出し部材81の先端が球体90の頂部から僅かに後方に位置することとなり、球体90を打出し部材81の弾性力により前方に弾き出すことができるものです。
【0028】
そして、挿入孔35の周囲に傾斜部37を設けているため、打出し部材81により弾き出された球体90を挿入孔35前方の傾斜部37によって跳ね上げるようにして打出すことができるものです。
【0029】
又、この打出しに際しては、打出し部材81の先端下面にクッション体85を設けているため、クッション体85と球体90の表面との摩擦力を大きくして球体90に回転を与えることができ、つまみ部61を玩具本体10の真後ろに位置させて打出したときは、球体90にバックスピンを加えることができ、球体90が着地して床を転がるとき、速度を急激に減速することができるものです。
【0030】
そして、つまみ部61を右側に位置させて天板13を押し下げたときは、球体90に右後方への回転を与えるようにして僅かに左側に打出すことができ、球体90が床を転がるときに右方向へ曲線を描くように転がすことができ、つまみ部61を左側に位置させて天板13を押し下げたときは、球体90に左後方への回転を与えるようにして僅かに右側に打出すことができ、球体90が床を転がるときに左方向へ曲線を描くように転がすことができるものです。
【0031】
このため、前方に障害物を置いて障害物の後に目標を定め、障害物を飛び越えるようにして目標物に球体90を当てるようにすることができ、又、障害物の右又は左の側方を通過させた後、左又は右に球体90を曲げるように転がせて障害物の後方の目標物に球体90を当てるようにして遊ぶことができるものです。
【0032】
更に、天板13の上面にカード固定部96を設けておき、図1に示したように、シューターなどのキャラクターを描いたカード95を玩具本体10に取り付けることができるようにしておけば、より一層楽しく遊ぶことができるものであり、目標物は、板状体や立体物としたり、サッカーゴールの様に枠を設けて球体90を枠内に入れて遊ぶことなどもできるものです。
【0033】
尚、打出し部材81は底板33と略平行として略水平となるように後方カバー壁21や側壁部41から玩具本体10の内部空間37に突出させているも、後方カバー壁21や側壁部41の位置での高さよりも打出し部材81の先端位置を僅かに高くするように傾斜させ、打出し部材81の先端位置下面に設けたクッション体85の高さ位置を球体90の直径である球体90の高さよりも低い高さとすることもある。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係るボールシュート玩具は、単純な構成であっても、ボールを模した球体90を容易に発射することができ、又、発射する球体90に後方回転を与えて転がりに変化をもたせて楽しく遊ぶことのできるボールシュート玩具です。
【符号の説明】
【0035】
10 玩具本体
11 カバー体 13 天板
15 前方壁 17 側方カバー壁
21 後方カバー壁 23 右基部カバー
24 左基部カバー 27 レバー溝
29 前方開口部
31 本体部 33 底板
35 挿入孔 37 傾斜部
39 内部空間 41 側壁部
43 右アーム基部 45 左アーム基部
47 ネジ穴
51 右アーム部 53 右先端部
55 左アーム部 57 左先端部
61 つまみ部 63 下方溝
65 下摺動壁
71 つまみ上部材 73 上方内摺動壁
75 上方外摺動壁
81 打出し部材
85 クッション体
90 球体
95 カード
96 カード固定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
球体を覆うことのできる天板、後方カバー壁及び側方カバー壁を備えて内側に球体を収納可能とする内部空間を形成し、前方に前記球体を打出す前方開口部を有する玩具本体と、この玩具本体から前方へ先端を広げるように延びる右アーム部及び左アーム部を備え、玩具本体の底板に前記球体の直径よりも僅かに大きな直径の挿入孔を有し、前記後方カバー壁を半円形としてこの後方カバー壁から前記挿入孔の中心近傍上方に至る弾性材質の打出し部材を有し、この打出し部材の玩具本体底板からの高さを前記球体の直径よりも小さな値の高さとしていることを特徴とするボールシュート玩具。
【請求項2】
打出し部材の先端下面にゴム質のクッション体を有することを特徴とする請求項1に記載したボールシュート玩具。
【請求項3】
打出し部材が後方カバー壁に沿って左右に摺動可能に後方カバー壁に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したボールシュート玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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