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ボールネジを用いた送液装置及び分析装置
説明

ボールネジを用いた送液装置及び分析装置

【課題】変動誤差をもつボールネジであっても導電率測定値などの測定結果に及ぼす影響を低減する。
【解決手段】制御装置50はパルスモータ32の駆動を制御して、シリンジに1回の吸入工程で吸入した液を複数回の吐出工程にわたって吐出させる。その制御方法として各吐出工程を実行するためのボールネジ36の回転がカップリング38のスリット39を基準にした同じ回転角度の位置から始まるようにパルスモータ32の駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールネジ(台形ネジを含む。)を用いてシリンジを駆動する送液装置と、その送液装置を試料液などの送液装置として備えた全有機体炭素(TOC)測定装置などの分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製薬用水、半導体製造工程水、冷却水、ボイラー水又は水道水など、不純物の少ない試料水の管理を目的として、それらの水に含まれる有機物のTOC測定が行われている。
【0003】
TOC測定装置としては、試料水が液相のままでTOC濃度を測定する装置も開発されている。そのようなTOC測定装置では、試料水は液相のままで、試料水中の有機物を酸化分解部で紫外線照射により酸化して二酸化炭素へ変換させた後、二酸化炭素分離部に導く。二酸化炭素分離部では試料水流路と測定水が流れる測定水流路とをガス透過膜を介して接触させ、試料水中の二酸化炭素を測定水へ移動させる。二酸化炭素が移動した測定水を導電率測定部へ送って導電率を測定する。測定水の導電率と試料水の二酸化炭素濃度の関係を予め検量線として求めておくことにより、測定された測定水の導電率から試料水の二酸化炭素濃度を求めることができる(特許文献1参照。)。
【0004】
そのようなTOC測定装置では、試料水の送液装置としてボールネジを用いてシリンジを駆動する送液装置が使用されている。また導電率測定部に測定水を供給する送液装置としてもボールネジを用いてシリンジを駆動する送液装置が使用されることもある。そのような送液装置では、ボールネジは直線送り機構として利用されている。ボールネジの回転がパルスモータにより駆動されて試料水の注水や測定水の送液の流量が制御されている。なお、流量に替えて流速により送液を制御することもある。以下では流量による送液について説明するが、本発明は流量に替えて流速により送液を制御する場合も含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2008/047405号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボールネジを動力機構として使用する場合、その回転角度あたりの送り長を測定すると、図2に示すように、誤差を含んでいることがわかった。図2の縦軸はボールネジを一定速度で回転させた場合の単位時間あたりのボールネジの送り長の測定結果を表している。横軸はボールネジを回転させるパルスモータにパルス信号を送るために制御装置からパルスモータ駆動回路に送るデータ数であり、一定間隔でデータを送ることによりパルスモータを一定速度で回転させている。ボールネジを一定速度で回転させているので、縦軸の送り長はボールネジの一定回転角度あたりの送り長でもある。それによれば、ボールネジの1回転における変動誤差はサインカーブのように周期性をもって変動していることがわかる。
【0007】
試料水を液相のままで処理して導電率測定によりTOC濃度を測定するTOC測定装置においては、100〜500μL/分というような微小な流量を制御して測定を行う。そのような微小な流量で測定される導電率は試料水や測定水の流量に依存して変動する。ボールネジを送液を行うシリンジの駆動源として使用すると、ボールネジの送り誤差がそのまま試料水や測定水の流量の変動となり、導電率測定値の誤差となって現れる。
【0008】
ボールネジの送り長の変動誤差は、ボールネジ自体と、ボールネジを直線送り機構とするためのガイドやナットなどの支持機構の加工精度に起因するものである。そのため、ボールネジを直線送り機構として使用する送液装置で送り誤差を低減するためにはボールネジだけでなく、ガイドやナットなどの支持機構も含めた機械部品の加工精度を上げることが必要となる。しかし、ボールネジを含む全ての機械部品の加工精度は高めようとすればするほど加工技術の困難さとコスト高を招く。
【0009】
そこで、本発明はボールネジの送り長の変動誤差を、加工精度を高めることのみによって低減するのではなく、図2に示されるような変動誤差をもつボールネジであっても、その使用方法を改善することにより結果として導電率測定値などの測定結果に及ぼす影響を低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、送液を行うシリンジの駆動源としてボールネジを使用し、ボールネジの上端から下端までの1ストロークでシリンジから複数回の吐出をする場合、ボールネジの回転をセンサによって検知して制御することにより複数の吐出動作において周期を揃える。
【0011】
すなわち、本発明の送液装置は、シリンジ、シリンジを駆動するボールネジを備えたシリンジ支持部、ボールネジを回転させるパルスモータ、ボールネジの回転を検知する回転検出機構、及びパルスモータの駆動を制御する制御装置を備えている。
【0012】
シリンジはシリンダを備え、そのシリンダ内に摺動可能なピストンをもち、シリンダの先端に液の出入口をもち、シリンダの基端側にピストンと一体になったピストンロッドが突出しており、ピストンロッドを介してピストンを摺動させることにより出入口から液の吸入と吐出を行う。
【0013】
シリンジ支持部はシリンジのピストンロッドに取りつけられたピストンロッド支持体及びピストンロッド支持体と螺合したボールネジを備えており、ボールネジを直線送り機構としてボールネジの回転によりピストンロッド支持体を移動させる。
【0014】
回転検出機構はカップリングとフォトセンサを備えている。カップリングは円盤状をなし、半径方向のスリットをもち、ボールネジと一緒に回転するようにボールネジと一体となるように取りつけられている。フォトセンサはカップリングのスリットの位置を検出するようにカップリングと組み合わされている。
【0015】
そして、パルスモータの駆動を制御する制御装置は、シリンジに1回の吸入工程で吸入した液を複数回の吐出工程にわたって吐出するようにシリンジの動作を制御するものであり、その制御方法として各吐出工程を実行するためのボールネジの回転がカップリングのスリットを基準にした同じ回転角度の位置から始まるようにパルスモータの駆動を制御する。
【0016】
シリンジからの各吐出工程でボールネジの回転の周期を揃えるために各吐出工程でのボールネジの回転開始位置を揃える。そのために、1吐出工程の終了後、次の吐出工程に入る前に先の吐出工程開始時と同じボールネジの回転位相までボールネジを回転させ、ボールネジ回転の位相を揃えた状態で各吐出工程を実行する。たまたま吐出工程終了時のボールネジの回転位置が開始時の回転位置と一致している場合は、次回のボールネジの回転をその停止位置から始めることができる。これにより、ボールネジが図2に示されるような送り誤差をもっていたとしても各吐出工程の送液流量が一定になる。
【0017】
本発明のTOC測定装置は試料水を採取して供給する送液装置を備えた試料供給部と、試料供給部に接続され、試料供給部から供給された試料水中の有機物を酸化して二酸化炭素に変換する酸化分解部と、酸化分解部を経た試料水が流される試料水流路及び脱イオン水からなる測定水が流される測定水流路を備えて試料水流路と測定水流路の間にはガス透過膜が介在して二酸化炭素の移動が可能になっている二酸化炭素分離部と、二酸化炭素分離部からの測定水の導電率を測定する導電率測定部とを備えている。そして、その試料供給部の送液装置として本発明の送液装置を使用したものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の送液装置は、シリンジの駆動源であるボールネジの1ストロークを複数回に分けて吐出する際に、各吐出工程のボールネジの回転を同じ回転角度の位置から始まるようにしたので、ボールネジの送り誤差に起因する吐出量の変動を抑えることができる。
【0019】
TOC測定装置では、試料として0.5mgC/L(炭素濃度が0.5mg/Lのことを0.5mgC/Lと表記する。0.5mgC/L=0.5ppmCである。)の測定精度が約±20μgC/L程度変動する可熊性があったものが、本発明による送り誤差の制御を行った結果、測定精度を±1μgC/Lまで低減することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】一実施例の送液装置におけるシリンジ駆動機構を示す図であり、(A)は概略正面図、(B)はそこに使用されているカップリングの一例を示す平面図である。
【図2】ボールネジの送り誤差を示すグラフである。
【図3】一実施例のTOC測定装置を示す概略構成図である。
【図4】同TOC測定装置におけるシリンジ駆動機構の具体的な例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一実施例の送液装置におけるシリンジ駆動機構を図1に示す。
シリンジ駆動機構30はシリンジのピストンロッドを移動させるボールネジ36と、ボールネジ36を回転させるパルスモータ32と、回転検出機構としてのカップリング38及びフォトセンサ40と、制御装置50を備えている。カップリング38は円盤状をなし、半径方向のスリット39をもち、ボールネジ36と一緒に回転するようにボールネジ36と一体となるように取りつけられている。ここでは、ボールネジ36を回転させるパルスモータ32の回転軸34がカップリング38の中心を通るように、カップリング38が回転軸34に固定されている。フォトセンサ40の一例としてフォトカプラーが使用され、カップリング38のスリット39の位置を検出するようにカップリング38と組み合わされている。スリット39は、長さが約15mm、幅が1.2mmである。このスリット39の位置を検知することによりボールネジ36の回転位置を認識できる。
【0022】
制御装置50はパルスモータ32の駆動を制御して、シリンジに1回の吸入工程で吸入した液を複数回の吐出工程にわたって吐出させる。その制御方法として各吐出工程を実行するためのボールネジ36の回転がカップリング38のスリット39を基準にした同じ回転角度の位置から始まるようにパルスモータ32の駆動を制御する。制御装置50はこの送液装置に専用のコンピュータ(CPU)により実現してもよく、この送液装置が用いられるTOC測定装置の制御装置を兼ねるコンピュータにより実現してもよく、又は汎用のパーソナルコンピュータにより実現してもよい。
【0023】
シリンジ駆動機構30では、スリット39の入ったカップリング38は、ボールネジ36の回転とともに回転する。フォトセンサ40は常時通光している光路をもっている。スリット39の入ったカップリング38をフォトセンサ40の光路を横切るように入れて回転させることにより、スリット39のない部分ではフォトセンサ40は遮光状態となり、スリット39のある部分では通光状態となる。フォトセンサ40の遮光と通光に基づく電気信号を制御装置50で認識することによりボールネジ36の回転位置を検知することができる。
【0024】
この送液装置を用いたTOC測定装置の一実施例を図3に示す。
【0025】
TOC測定装置100内には試料採取装置として送液装置102が設けられている。送液装置102は流路切換えバルブである8ポートバルブ2と、バルブ2の共通ポートに接続された採水用のシリンジ10を備えている。シリンジ10にはシリンジ10内に二酸化炭素を含まないガスを供給するガス供給流路120が接続されている。
【0026】
バルブ2のポートの1つにはTOC測定装置の筐体の外部から試料水を取り込むための流路110が接続され、他のポートには筐体の外部から純水を取り込むための流路112が接続され、さらに他のポートにはシリンジ10に採取した試料水又は純水を酸性にするための酸を筐体の外部から取り込むための流路114が接続されている。バルブ2の更に他のポートには酸化分解部118につながる流路116が接続されている。バルブ2の更に他のポートは大気に開放できるようになっている。
【0027】
酸としては塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸を使用する。酸を添加することにより、シリンジ10内の試料水又は純水のpHを例えば4以下にするのが好ましい。
【0028】
バルブ2はステータに複数のポートが設けられたものであり、ロータを回転させることにより、共通ポートに接続されたシリンジ10をいずれかのポートに接続できるように切り換えられる。
【0029】
シリンジ10はシリンダの内部を、液密を保ってピストン12が上下方向に摺動することによってシリンジ10内に試料水又は純水を取り込み、更に酸を取り込むことができる。またピストンを上方向に押し込むことによって、採取した試料水又は純水を、バルブ2を介して流路116から酸化分解部118へ供給することができる。ピストン12はピストンロッド14の先端に取りつけられている。ピストンロッド14がパルスモータを駆動源とする図1のシリンジ駆動機構30により駆動されることにより、ピストン12がシリンダ内で上下方向に摺動する。
【0030】
シリンジ10のシリンダ11の下端部にはシリンジ10内に通気処理のために二酸化炭素を含まないガスを供給するガス供給流路120が接続されている。ガス供給流路120が接続されている位置は、ピストン12が下端まで移動した状態においてピストン12よりも上部にくる位置である。二酸化炭素を含まないガスは、例えばボンベ119に収容された高純度空気、又は二酸化炭素を吸着する充填材が充填されたカラムを通過して供給される高純度空気であるが、それらに限定されるものではない。
【0031】
酸化分解部118は試料水又は純水(以下単に試料水という場合は純水も含むものとする。)がその中の流路を流れている間に紫外線が照射され、試料水中の有機物が酸化分解されて二酸化炭素となるものである。
【0032】
酸化分解部118を経た試料水が二酸化炭素分離部124に導かれる。二酸化炭素分離部124では試料水中の二酸化炭素成分がガス透過膜を介して測定水中に移動する。二酸化炭素分離部124を経た試料水は廃棄される。
【0033】
二酸化炭素分離部124を経た測定水は導電率測定部126に導かれる。導電率測定部126は測定水と接触する電極を備えており、その電極により測定水の導電率が検出される。測定水としてはイオン交換樹脂により精製させた脱イオン水などの純水が使用される。測定水の導電率は、二酸化炭素分離部124において試料水から測定水に移動した二酸化炭素成分の濃度に依存して変化するので、測定水の導電率検出値に基づいて試料水の二酸化炭素成分の濃度を求めることができる。この二酸化炭素成分は試料水中のTOC成分が酸化分解部118で酸化分解されることにより生じたものであることから、試料水中のTOC濃度を求めることができる。
【0034】
演算処理部128は導電率測定部126の導電率測定用電極に接続され、導電率測定部126が検出した導電率に基づいて試料水のTOC濃度を算出する。
【0035】
このTOC測定装置において、バルブ2はブランク測定時に純水を取り込む流路112がシリンジ10と接続されるように設定され、試料測定時に試料水を取り込む流路110がシリンジ10と接続されるように設定され、をシリンジ10中に適当な量、例えば3ml、の純水又は試料水が採取される。さらにバルブ2がシリンジ10を、酸を供給する流路114の接続されたポートに接続するように切り換えられ、シリンジのピストン12をさらに後退させることによって酸を所定量吸入して、純水又は試料水のpHを4以下になるように調整する。その後、バルブ2がシリンジ10を大気開放されたポートに接続されるように切り換えられた状態で、ピストン12が下端まで後退させられる。その状態で流路120から高純度空気がシリンジ10中に、例えば100ml/分の流速で90秒間供給され、シリンジ10内に採水されている純水又は試料水が通気処理され、純水又は試料水中に含まれていた無機炭素が大気中に放出されて除去される。
【0036】
通気処理の終了後、バルブ2がシリンジ10を流路116に接続するように切り換えられ、シリンジ10中の純水又は試料水が酸化分解部118に供給される。シリンジ10中の純水又は試料水は、複数回の吐出工程に分けて酸化分解部118に供給され、各吐出工程ではシリンジ駆動機構30中のボールネジを同じ回転位置から回転を開始させるようにパルスモータの回転が制御される。酸化分解部118では紫外線ランプからの紫外線照射により純水又は試料水中の有機体炭素が酸化分解されて二酸化炭素になる。酸化分解部118を経た純水又は試料水は二酸化炭素分離部124へ送られる。二酸化炭素分離部124で純水又は試料水がガス透過膜を介して測定水と接触して二酸化炭素が測定水に移動し、その測定水の導電率が導電率測定部126で検出される。
【0037】
図4にシリンジ駆動機構30の具体的な例を示す。
【0038】
マルチポートバルブである8ポートバルブ2はマルチポートバルブ支持板28に取りつけられ、シリンジ10はシリンジ支持板20に取りつけられている。両支持板28,20は基板8に固定されて一体化されていることにより、8ポートバルブ2とシリンジ10の相対的な位置関係が固定されている。
【0039】
バルブ2はステータ4に8個のポート6を備えている。それらのポート6には、図3に示されたように、流路110、112、114、116にそれぞれ接続されるポート及びシリンジ10の出入口13に接続される共通ポートが少なくとも含まれる。ステータ4には、その内部にロータ(図には現れていない。)が回転可能に設けられている。ロータはステータ4に対して摺動しながら回転をして流路に接続されたポートと共通ポートとの間の接続を切り換える。
【0040】
シリンジ10を駆動するシリンジ駆動機構30はシリンジ支持部、パルスモータ32及び回転検出機構を備えている。シリンジ支持部は、ピストンロッド14に取りつけられたピストンロッド支持体42と、ピストンロッド支持体42と螺合したボールネジ36を備えており、ボールネジ36を直線送り機構としてボールネジ36の回転によりピストンロッド支持体42を移動させる。ボールネジ36はパルスモータ32の回転軸34に取りつけられ、パルスモータ32は支持板28に取りつけられている。回転検出機構を構成するカップリング38は、図1に示されたように、円盤状をなし、半径方向のスリット39をもち、ボールネジ36と一緒に回転するようにパルスモータ32の回転軸34に取りつけられている。カップリング38のスリット39の位置を検出するようにカップリング38と組み合わされたフォトセンサ40が支持板28に取りつけられている。
【0041】
次にこの実施例によるシリンジ駆動方法を説明する。
【0042】
シリンジ10に吸入した試料水を用いて複数回の測定を行う場合、測定動作開始後、1測定目の測定を開始させる点、すなわち試料注入開始位置のボールネジ回転位置(ゼロ点)を決定する必要がある。ゼロ点の検出方法を以下に示す。
【0043】
(1)モータ32を20パルス以上動作させて連続して遮光状態になる箇所を検出する。
【0044】
(2)次にモータ32を3パルス以上動作させて連続して通光状態になる箇所、すなわちスリット39がセンサ40の位置にくる箇所を検出する。
【0045】
(3)次にモータ32を20パルス以上動作させて連続して遮光状態になる箇所を検出する。
【0046】
(1)から(3)のステップを順に行って、(3)の位置をゼロ点(測定開始位置)として制御装置50に記憶させる。
【0047】
1測定目終了後、2測定目の測定開始時点のボールネジ36の回転位置を制御装置50に記憶させたゼロ点の位置にあわせる。このとき、1測定における回転数がボールネジ36の1回転の倍数であれば次測定でゼロ点の位置を揃える必要がない。測定はシリンジ10に吸入した試料水を5回に分けて順次酸化分解部118に供給して5回繰り返す。
【0048】
これにより複数の測定間での試料水の流量が常に同じになり、ボールネジ36の送り誤差による測定値のバラつきが低減する。
【0049】
具体的な測定例を示す。図2に示しているように、ここで使用したボールネジ36の送り誤差は、本発明の制御をしないで試料水を吐出するとシリンジからの吐出量として約±10μmの流量誤差となり、検出される測定値として約20μgC/L変動する結果となった。
【0050】
ボールネジの送り誤差の周期をサインカーブと仮定すると、0.9度(パルスモータ1パルス相当)ずれると最大で0.31μgC/Lの誤差となる。
20(μgC/L)×sin(0.9°)=0.31μgC/L
【0051】
このとき、フォトセンサ40が遮光・通光を感知しているスリット39は幅0.5mmであるので、カップリング38の外形の直径を36mmとすると、1パルス移動すると円周上での移動距離は
36×π÷400(カップリング1周における総パルス数)=0.28mm
である。フォトセンサ40の光路を形成しているスリット(光を感知している箇所)の幅を0.5mmとすると、カップリング38が0.5mm移動するのに必要なパルス数は
0.5÷0.28、=1.77パルス
となる。ここで、測定値として許せる変動誤差を1μgC/Lとすると、許容できる変動パルス数は
1(μgC/L)÷0.31(μgC/L)=3.22パルス
である。つまり、パルス数に3.22パルスまでのズレが許容できる。実際はフォトセンサ40のスリットで感知するパルス数は1.77パルスであるため、このスリット内であれば1μgC/Lの変動誤差内に制御することが可能となる。
【0052】
このように、本発明を使用すると、ボールネジ36の上端から下端までの1ストロークを使用して複数回測定するときの測定間の測定誤差が低減されるため、繰返しによる再現性が向上する。この発明の効果による繰返し再現性の結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
表1の上側の表は本発明によるパルスモータの回転制御を行わなかった場合で、従来技術に相当するものである。それに比べて表1の下側の表は本発明により各測定でボールネジの回転開始位置を揃えるようにパルスモータを制御した場合であり、変動率CV(標準偏差/平均値)が改善されていることがわかる。
【符号の説明】
【0055】
10 シリンジ
11 シリンダ
12 ピストン
13 液の出入口
14 ピストンロッド
30 シリンジ支持部
32 パルスモータ
36 ボールネジ
39 スリット
38 カップリング
40 フォトセンサ
42 ピストンロッド支持体
50 制御装置
100 全有機体炭素測定装置
102 送液装置
118 酸化分解部
124 二酸化炭素分離部
126 導電率測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内に摺動可能なピストンをもち、前記シリンダの先端に液の出入口をもち、前記シリンダの基端側に前記ピストンと一体になったピストンロッドが突出しており、前記ピストンロッドを介してピストンを摺動させることにより前記出入口から液の吸入と吐出を行うシリンジと、
前記ピストンロッドに取りつけられたピストンロッド支持体、及び前記ピストンロッド支持体と螺合したボールネジを備え、前記ボールネジを直線送り機構としてボールネジの回転によりピストンロッド支持体を移動させるシリンジ支持部と、
前記ボールネジを回転させるパルスモータと、
円盤状をなし半径方向のスリットをもち、ボールネジと一緒に回転するようにボールネジと一体となるように取りつけられたカップリング、及び前記カップリングの前記スリットの位置を検出するようにカップリングと組み合わされたフォトセンサを備えた回転検出機構と、
前記シリンジに1回の吸入工程で吸入した液を複数回の吐出工程にわたって吐出するようにし、各吐出工程を実行するための前記ボールネジの回転が前記スリットを基準にした同じ回転角度の位置から始まるように前記パルスモータの駆動を制御する制御装置と、
を備えた送液装置。
【請求項2】
試料水を採取して供給する送液装置を備えた試料供給部と、
前記試料供給部に接続され、前記試料供給部から供給された試料水中の有機物を酸化して二酸化炭素に変換する酸化分解部と、
前記酸化分解部を経た試料水が流される試料水流路及び脱イオン水からなる測定水が流される測定水流路を備え、試料水流路と測定水流路の間にはガス透過膜が介在して二酸化炭素の移動が可能になっている二酸化炭素分離部と、
前記二酸化炭素分離部からの測定水の導電率を測定する導電率測定部と、
を備えた全有機体炭素測定装置であって、
前記試料供給部の送液装置として請求項1に記載の送液装置を使用した全有機体炭素測定装置。
【請求項3】
前記試料供給部は、試料水を供給する流路に接続されたポート、純水を供給する流路に接続されたポート、前記酸化分解部に接続されたポート及び大気に開放されたポートと、それらのポートに切り換えて接続される共通ポートを少なくとも備えたマルチポートバルブを備えており、
前記送液装置のシリンジの出入口が前記共通ポートに接続されている請求項2に記載の全有機体炭素測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−64603(P2011−64603A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216335(P2009−216335)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】