説明

ボールバルブ

【課題】弁体が流通路を遮断するためのシート部材に対して非接触又は略非接触で回転するようにして、シート部材の摩耗を抑えた上で、全体をコンパクト化することができ、しかも、流通路の開閉や流通路の切り換えを迅速且つ確実に行うことのできるボールバルブを提供する。
【解決手段】弁体2の回転軸線上を通るように弁体2を内装したハウジングに挿通され、弁体2に接続された第一軸4と、該第一軸4とは反対側からハウジングに挿通され、軸線周りで回転可能に構成された第二軸5とを備え、第二軸5が外周の少なくとも一部に径方向外方に突設された押圧部50を備えるとともに、弁体2が押圧部50に押圧される被押圧部を備え、被押圧部に対する押圧部50の押圧で、ハウジングに形成された流通路の内部側の開口端周りに配設されたシート部材30に弁体2を密接させる一方、押圧の解除で弁体2がシート部材30に非接触又は略非接触になるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに内装された弁体を所定の回転軸線周りで回転させることで、流体を流通させる流通経路の開閉や、流通経路の切り換えを行うボールバルブに関する。特には、ハウジングに形成された流通路の内部側の開口端周りに配設された環状のシート部材に対して弁体が非接触又は略非接触で回転し、弁体の非貫通部分がシート部材と対向した状態で、弁体がシート部材側に変位することで、シート部材に対して弁体が密接して流通路を遮断するように構成されたボールバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体を流通させる流通経路の開閉や、流通経路の切り換えを行うためのバルブとして種々のものが提供されており、その一つとして、所定の回転軸線周りで回転可能に構成されるとともに、回転軸線と直交する仮想面上を通って貫通した連通穴が設けられたボール状の弁体と、該弁体が内装され、弁体の連通穴を介して互いに連通する少なくとも二つの流通路(例えば、二方弁の場合には、上流側及び下流側の二つの流通路、三方弁の場合には、分岐した三つの流通路)が形成されたハウジングとを備えたボールバルブが周知である。
【0003】
かかるボールバルブは、一般的に、流通路を遮断した際の弁体とのシール性を担保するための環状のシート部材が、各流通路の内部側(ハウジング内)の開口端周りに配設され、弁体がシート部材に接触(摺接)しつつ回転するように構成されているが、弁体がシート部材に面圧を作用させた状態で接触しつつ回転(摺動)するとシート部材が摩耗し、恒久的なシール性が担保できなくなるといった問題がある。
【0004】
そこで、図8に示す如く、弁体100を介して対向する二つの流通路A,Bのうちの一方の流通路Aの内部側の開口端周りに環状のシート部材101が配設され、弁体100がシート部材101に対して非接触状態又は略非接触状態(若干接触した状態)で回転した後にシート部材101側に変位し、該弁体100の非貫通部分がシート部材101に面圧を作用させて密接することで流通路A,Bを遮断するように構成された二方弁(ボールバルブ)が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
かかるボールバルブは、弁体100を回転させる軸体102を連続回転させることで弁体100を回転させた後にシート部材101側に変位させ、シート部材101に弁体100の非貫通部分を密接させるようになっている。
【0006】
具体的に説明すると、かかるボールバルブは、弁体100の回転軸線L上を通るように、弁体100の下部に凸部103が形成され、該凸部103がハウジング108内に形成された凹部104に嵌め合わされることで、弁体100が所定の回転軸線L周りで回転可能に軸支されている。そして、該弁体100は、二つの流通路A,Bを連通させる貫通した真っ直ぐな穴からなる連通穴106が設けられており、前記凸部103とは反対側に、前記軸体102を挿通させる挿通穴105が連通穴106と外部とを連通させるように形成されている。該挿通穴105には、連通穴106の穴芯と略平行な軸線を有する二本のピン体107,107が間隔をおいて配設され、該ピン体107,107間に軸体102(後述する伝達部109)が挿入されている。
【0007】
そして、軸体102は、軸線方向に移動可能で且つ軸線周りで回転可能にハウジング108及び弁体100に挿通されている。具体的には、該軸体102は、一端部に弁体100のピン体107,107間に挿入される伝達部109が形成されるとともに、ハウジング108から外部に突出する他端側に雄ねじ部110が形成され、該雄ねじ部110よりも一端側(ハウジング108を挿通している部分)の外周には、ハウジング108に設けられた案内ピン111が挿入される案内溝112が形成されている。
【0008】
該軸体102の雄ねじ部110には、駆動源から駆動を受けて回転する雌ねじ部材(ナット部材)113が螺合されており、該雌ねじ部材113を駆動することによって、軸体102が軸線方向に進退できるようになっている。そして、前記案内溝112は、軸体102の一端側から他端側に向かうにつれて周方向にねじられた回転案内部112aと、該回転案内部112aと連通して軸体102の軸線に沿うように他端側に真っ直ぐ延びる直線案内部112bとで構成されており、上述の如く、軸体102が軸線方向に移動することで、案内ピン111に案内溝112(軸体102)が案内され、該軸体102は、軸線方向に移動しつつ軸線周りで90°回転し、弁体100の非貫通部分がシート部材101と対向した状態で軸線方向に真っ直ぐ移動するようになっている。
【0009】
前記伝達部109は、軸線を挟んで両側に平行面が形成され、弁体100の二本のピン体107,107に各平行面を対向させて挿入される回転伝達部109aと、前記平行面に対して連続した傾斜面の形成された押圧力伝達部109bとで構成されている。該伝達部109は、軸体102を90°回転させた際に、その回転力が回転伝達部109aの平行面を介してピン体107,107(弁体100)に伝達されることで弁体100を回転させるようになっており、さらに、弁体100の回転後の軸体102の軸線方向の進行に伴って押圧力伝達部109bの傾斜面がピン体107,107を押圧することで、弁体100(非貫通部分)をシート部材101に押し付けるようになっている。
【0010】
これにより、上記構成のボールバルブは、軸体102を回転させることで、弁体100をシート部材101に対して非接触又は略非接触状態で回転させた上で、最終的に弁体100とシート部材101とを密接させて流通路A,Bを開状態から閉状態に切り換えることができるようになっている。また、軸体102を逆転させることで、弁体100をシート部材101から離間させた上で、弁体100をシート部材101に非接触又は略非接触で回転させ、流通路A,Bを閉状態から開状態に切り換えることができるようになっている。
【特許文献1】米国特許第3515371号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記構成のボールバルブは、弁体100及びハウジング108に挿通した軸体102を軸線方向に進退させることで、流通路A,Bの開放及び遮断を行うように構成されているため、軸体102の進退する領域が大きくなる結果、当該ボールバルブの設置される占有領域が大きくなってしまうといった問題がある。
【0012】
また、上記構成のボールバルブは、軸体102に設けられた雄ねじ部110に対して螺合させた雌ねじ部材113を回転させることで軸体102を進退させる構成であるため、軸体102の軸線方向への移動に時間を要し、その結果、流通路A,Bの開閉を短時間で行うことができないといった問題がある。
【0013】
また、上記構成のボールバルブは、軸体102に螺合した雌ねじ部材113を回転駆動することで該軸体102を軸線方向に進退させて流通路A,Bを開閉するため、上述の如く流通路A,Bの開閉に時間がかかる上に、流通路A,Bの開度調整が非常に難しく、流量制御等を自動で行うのに煩雑な設定等が必要である。
【0014】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、弁体が流通路を遮断するためのシート部材に対して非接触又は略非接触で回転するようにして、シート部材の摩耗を抑えた上で、全体をコンパクト化することができ、しかも、流通路の開閉や流通路の切り換えを容易且つ迅速に行うことのできるボールバルブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るボールバルブは、所定の回転軸線周りで回転可能に構成されるとともに、前記回転軸線と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通する連通穴が設けられた弁体と、該弁体が内装され、前記連通穴を介して互いに連通する流通路が少なくとも二つ形成されるとともに、流通路の少なくとも何れか一つの内部側の開口端周りに環状のシート部材が配設されたハウジングとを備え、前記弁体は、シート部材に対して非接触又は略非接触で回転可能に構成されるとともに、該弁体の非貫通部分がシート部材と対向した状態で該シート部材に接離可能に構成され、該非貫通部分とシート部材との密接で流通路を遮断するように構成されたボールバルブにおいて、前記回転軸線上を通るようにハウジングに挿通され、弁体に対して回転軸線周りの回転力を伝達可能に接続された第一軸と、該第一軸とは反対側からハウジングに挿通され、前記第一軸と同心で又は平行な軸線周りで回転可能に構成されるとともに、ハウジング内に位置する一端部における外周の少なくとも一部に径方向外方に突出した押圧部が設けられた第二軸とを備え、前記弁体には、前記非貫通部分がシート部材と対向した状態で、該シート部材に向けて前記押圧部に押圧される被押圧部が設けられていることを特徴とする。なお、「シート部材に対して非接触」とは、弁体がシート部材から完全に離間していることを意味し、「シート部材に対して略非接触」とは、弁体がシート部材に対して若干接触、すなわち、シート部材を摩耗させるような(流通路を遮断するときのような)面圧を作用させずに弁体がシート部材の少なくとも一部に接触していることを意味する。これに伴い、「シート部材に接離可能」とは、弁体がシート部材に対して接近及び離間する方向に移動することで、流通路を完全に遮断するのに必要な面圧を作用させて弁体がシート部材に接触する状態と、シート部材に対して非接触又は略非接触の状態とに切り換えることができること意味する。
【0016】
上記構成のボールバルブによれば、弁体の回転軸線上を通るようにハウジングに挿通され、弁体に対して回転軸線周りの回転力を伝達可能に接続された第一軸を備えているので、該第一軸を軸線周りで回転させることで弁体を回転軸線周りで回転させることができる。これにより、弁体の連通穴とハウジングに形成された流通路とが対向して互いに連通した状態と、弁体の非貫通部分と流通路とが対向した状態とに切り換えることができる。
【0017】
そして、該ボールバルブは、第一軸とは反対側からハウジングに挿通され、前記第一軸と同心で又は平行な軸線周りで回転可能に構成されるとともに、ハウジング内に位置する一端部における外周の少なくとも一部に径方向外方に突出した押圧部が設けられた第二軸を備えるとともに、前記弁体には、該弁体の非貫通部分がシート部材と対向した状態で、該シート部材に向けて前記押圧部に押圧される被押圧部が設けられているので、第二軸を軸線周りで回転させることで、押圧部が被押圧部を押圧する状態と、被押圧部に対する押圧を解除した状態と、に切り換えることができる。
【0018】
そして、前記弁体は、非貫通部分がシート部材と対向した状態で、該シート部材に対して接離可能に構成されているので、上述の如く押圧部が被押圧部を押圧すると、弁体にシート部材に向けての押圧力が作用し、弁体がシート部材側に変位することになる。これにより、該弁体の非貫通部分がシート部材に押し付けられて互いに密接する結果、流通路が遮断されることになる。
【0019】
その一方で、第二軸を軸線周りで回転させて被押圧部に対する押圧を解除した状態にすると、弁体がシート部材から離間方向に移動して非接触状態又は略非接触状態になる。この状態で、第一軸を回転すれば、弁体をシート部材に対して非接触又は略非接触で回転させることができ、シート部材の摩耗を抑制した上で弁体の連通穴とハウジングの流通路とを連通させた状態にすることができる。なお、連通穴と流通路とを連通させた状態から、流通路を遮断した状態にする場合、上述の工程の逆工程を行うため、この場合においても、弁体をシート部材に対して非接触又は略非接触で回転させることができ、シート部材の摩耗を抑制した上で弁体の非貫通部分と流通路とを対向させた状態にすることができる。
【0020】
このように本発明のボールバルブは、第一軸及び第二軸の何れもが軸線方向に進退することがなく、第一軸及び第二軸を回転させるだけの構成であるので、全体をコンパクト化することができ、動作領域を含む設置状態での占有領域も小さくすることができる。また、第一軸及び第二軸の回転のみで、弁体の回転やシート部材に対する弁体の接離を行うことができるので、流体を流通させる流通経路の開閉や切り換えも容易に且つ迅速に行うことができる。
【0021】
本発明の一態様として、前記弁体は、前記非貫通部分がシート部材と対向した状態で、該シート部材側に傾動可能に第一軸に接続されていることが好ましい。このようにすれば、第二軸の押圧部が弁体の被押圧部を押圧したときに、弁体が第一軸に対して傾動してシート部材に密接することになる。そうすると、第一軸がシート部材に対する弁体の密接による反力(被押圧部に対する押圧力の反力)を受けることになるので、第一軸側と第二軸側に力が作用する結果、弁体のシート部材に対する密接がより確実なものとなる。
【0022】
本発明の具体的な態様として、前記ハウジングは、前記回転軸線周りで間隔をおいて前記流通路が二つ形成されるとともに、二つの流通路の少なくとも何れか一方の内部側の開口端周りに前記シート部材が配設されてもよい。このようすれば、弁体の非貫通部分がシート部材(シート部材の配設された何れか一方の流通路)と対向した状態で、第二軸を回転させて押圧部で被押圧部を押圧すれば、弁体の非貫通部分がシート部材と密接することになり、流通路(二つの流通路間)を遮断することができる。そして、第二軸を回転させて押圧部による押圧を解除した上で弁体を回転させれば、弁体とシート部材とが非接触又は略非接触な状態で、弁体の連通穴を介して二つの流通路が連通した状態(流体を流通させる状態)と、弁体の非貫通部分がシート部材に対向した状態(二つの流通路間を遮断する前段の状態)とに切り換えることができる。すなわち、当該ボールバルブを二方弁とすることができる。
【0023】
本発明の具体的な別の態様として、前記ハウジングは、前記回転軸線周りで間隔をおいて前記流通路が三つ形成されるとともに、弁体の連通穴は、所定の流通路と該流通路に回転軸線周りで隣り合う一方の流通路とを連通させ、且つ弁体を回転軸線周りで回転させることで、前記所定の流通路と該流通路に回転軸線周りで隣り合う他方の流通路とを連通させるように形成され、前記シート部材は、前記所定の流通路と隣り合う各流通路の内部側の開口端周りに配設されてもよい。
【0024】
このようにすれば、所定の流通路と該流通路と隣り合う一方の流通路とが連通穴を介して連通した状態で、弁体の非貫通部分が所定の流通路と隣り合う他方の流通路と対向するので、この状態で第二軸を回転させて押圧部で被押圧部を押圧すれば、弁体の非貫通部分が所定の流通路と隣り合う他方の流通路の内部側の開口端周りに配設されたシート部材に密接し、該他方の流通路のみが遮断され、連通穴を介して所定の流通路と一方の流通路とを連通させることができる。
【0025】
その一方で、第二軸を回転させて押圧部の押圧を解除すると、弁体とシート部材とが非接触又は略非接触になり、この状態で第一軸を介して弁体を回転させると、所定の流通路と他方の流通路とが連通穴を介して連通した状態で、弁体の非貫通部分が一方の流通路と対向することになる。従って、この状態においても、第二軸を回転させて押圧部で被押圧部を押圧すれば、弁体の非貫通部分が一方の流通路の内部側の開口端周りに配設されたシート部材に密接し、該一方の流通路のみが遮断され、連通穴を介して所定の流通路と他方の流通路とを連通させることができる。すなわち、当該ボールバルブを三方弁とすることができる。
【0026】
そして、本発明のボールバルブは、第一及び第二軸の何れもが軸線方向に進退する構成でないため、第一及び第二軸が流体を流通させる弁体の連通穴内に出退することがなく、上述の如く常時何れか二つの流通路が連通する三方弁としても、連通穴内での流体の流通が阻害されることがなく、三方弁本来の機能を十分に発揮することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明に係るボールバルブは、弁体が流通路を遮断するためのシート部材に対して非接触又は略非接触で回転するようにして、シート部材の摩耗を抑えた上で、全体をコンパクト化することができ、しかも、流通路の開閉や流通路の切り換えを容易且つ迅速に行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の第一実施形態に係るボールバルブについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0029】
本実施形態に係るボールバルブは、図1(a)及び図1(b)に示す如く、二本の配管(図示しない)を接続可能に構成され、該二本の配管間での流体の流通と遮断とを切り換える二方弁である。なお、図1(a)は、二本の配管(後述する流通路A,B)を連通させた状態の縦断面図であり、図1(b)は、二本の配管(後述する流通路A,B)の間を遮断した状態の縦断面図である。
【0030】
かかるボールバルブ1は、所定の回転軸線L周りで回転可能に構成されるとともに、前記回転軸線Lと直交又は略直交する仮想面上を通って貫通した連通穴20の設けられた弁体2と、該弁体2が内装され、弁体2の連通穴20を介して互いに連通するように二つの流通路A,Bが形成されるとともに、一方の流通路Aの内部側の開口端周りに環状のシート部材30が配設されたハウジング3と、前記回転軸線L上を通るようにハウジング3に挿通され、弁体2に対して回転軸線L周りでの回転力を伝達可能に接続された第一軸4と、該第一軸4とは反対側からハウジング3に挿通され、前記第一軸4と同心で又は平行な軸線周りで回転可能に構成された第二軸5とを備えている。
【0031】
本実施形態に係る弁体2は、一般的なボールバルブと同様、略球状に形成され、前記連通穴20が該弁体2の略中心を通る真っ直ぐな穴に形成されている。そして、該弁体2は、非貫通部分がシート部材30と対向した状態で該シート部材30側に傾動可能に第一軸4に接続されている。
【0032】
具体的には、弁体2には、第一軸4の一端部(後述する伝達部40)を挿入するための軸挿入部21が設けられている。該軸挿入部21は、弁体2の回転軸線Lを介在させるように間隔を有し、弁体2の上部から上方に向けて突出した一対の突片部22,22と、弁体2の回転軸線Lを介在させるように間隔を有して両端部が一対の突片部22,22に接続された二本のピン体23,23とを備えている。前記一対の突片部22,22は、略板状に形成されており、弁体2に形成された連通穴20の穴心と直交方向に延びるように設けられている。そして、二本のピン体23,23は、軸線が弁体2の連通穴20の穴心と平行又は略平行になるように配設されている。すなわち、二本のピン体23,23は、弁体2の回転軸線Lと略直交方向に延びるように配置されている。
【0033】
上記構成の軸挿入部21は、二本のピン体23,23間に第一軸4の伝達部40が挿入され、第一軸4(伝達部40)とピン体23,23との接触で、第一軸4を回転させた際の回転軸線L周りの回転力を伝達して弁体2を回転させるようになっている。また、本実施形態に係る軸挿入部21は、連通穴20の穴心と平行をなす二本のピン体23,23で第一軸4の回転力を受けるように構成されているので、弁体2の非貫通部分が、開口端周りにシート部材30の配設された一方の流通路Aと対向した状態で、一方のピン体23を支点にして弁体2が傾動できるようにもなっている。
【0034】
また、本実施形態に係る弁体2は、図2(a)及び図2(b)に示す如く、軸挿入部21とは反対側(下部)に、第二軸5の一端部に径方向外方に突設された後述する押圧部(第一押圧部)50に押圧される被押圧部24が設けられている。該被押圧部24は、弁体2の非貫通部分がシート部材30と対向した状態で、該シート部材30に向けて第一押圧部50の押圧力が作用するように設けられている。すなわち、第二軸5の第一押圧部50が径方向外方に突設されているため、被押圧部24は、第二軸5を回転させたときに、第一押圧部50が当接乃至押圧し、その押圧力が弁体2を傾動させる方向に作用するように形成されている。
【0035】
本実施形態に係るボールバルブ1は、弁体2の下部に第二軸5の一端部(押圧部50を含む部分)が挿入される非貫通状態にある凹部25が形成されており、該凹部25の内周(開口形状)を所定の形状とすることで、該凹部25の内周面の一部が被押圧部24とされている。具体的には、弁体2の凹部25は、連通穴20の穴心と略同方向に延びる被押圧部24を備えた内周面によって画定されており、弁体2の非貫通部分と一方の流通路Aとが対向した状態(連通穴20の穴心と流通路Aの中心線とが直交した状態)で、被押圧部24(内面)が弁体2の変位(傾動)が許容される方向と直交した方向になり、押圧部50の押圧力が弁体2を変位させる方向に作用するようになっている。
【0036】
本実施形態においては、押圧部50による押圧で弁体2をシート部材30側に変位させた状態(弁体2がシート部材30に密接した状態)から弁体2を反対側に強制的に変位させる(弁体2をシート部材30から離間させる)ために、弁体2の凹部25を画定する内周面は、前記被押圧部(以下、第一被押圧部という)24と略平行をなして対向する平面からなる別の被押圧部(以下、第二被押圧部という)26をも備えている。
【0037】
図1(a)及び図1(b)に戻り、前記ハウジング3は、内部に弁体2が内装される弁体収容空間31が形成されており、前記二つの流通路A,B(穴)が弁体収容空間31を挟んで互いに対向するように形成されている。すなわち、上述の如く、弁体2の連通穴20が真っ直ぐな穴で構成されるため、該連通穴20の両端開口と各流通路A,Bの内部側の開口とが対向できるように、二つの流通路A,Bが同心で形成されている。
【0038】
本実施形態に係るハウジング3は、フレーム本体32と、該フレーム本体32に取り付けられるサブフレーム33とで構成されており、フレーム本体32にサブフレーム33と取り付けた状態で内部に弁体収容空間31が形成されるようになっている。
【0039】
具体的に説明すると、前記フレーム本体32は、弁体2を内装する弁体収容空間31の一部を画定する本体部320と、第一軸4を挿通するための第一軸挿通部321と、第二軸5を挿通するための第二軸挿通部322と、他方の流通路Bを画定した筒状の配管接続部323とで構成されている。
【0040】
前記本体部320は、内部に弁体2を非接触で収容できる空間が略半球状に形成されている。すなわち、本体部320は、一側面に弁体2を挿入し且つサブフレーム33を取り付けるための開口(以下、嵌入口324という)を形成するように、臼状の凹部が形成されている。嵌入口324は、弁体収容空間31(凹部)の略中心を通って弁体2の回転軸線Lと直交する中心線を中心にして略円形状に形成され、嵌入口324の開口端縁部には、環状のガスケットG1を嵌め込むための段差(採番しない)が形成さている。
【0041】
第一軸挿通部321は、本体部320に連設されており、弁体2の回転軸線Lと略同心をなして貫通した第一軸用挿通穴325が設けられている。すなわち、第一軸挿通部321には、本体部320の嵌入口324の中心線と直交するように、内外(本体部320の凹部(弁体収容空間31)と外部)を連通させる第一軸用挿通穴325が穿設されている。
【0042】
第一軸用挿通穴325は、外側が大径の穴に設定されるとともに弁体収容空間31側が小径の穴に設定された段付き穴で構成されており、大径の穴には、挿通した第一軸4とのシール性を担保するための環状(筒状)のガスケットG2が略同心で内嵌めされている。
【0043】
本実施形態に係る第一軸挿通部321のガスケットG2は、第一軸用挿通穴325に内嵌めされ、且つ第一軸4が挿通された状態で、第一軸4の軸線方向に押圧されることで第一軸4の外周面と第一軸用挿通穴325の内周面とに密接し、第一軸4の回転を許容しつつもシール性を担保できるようになっている。そのため、本実施形態に係るボールバルブ1は、ガスケットG2を押圧するためのガスケット押圧部材6を備えている。かかるガスケット押圧部材6は、第一軸4が挿通されるとともに、第一軸用挿通穴325の大径の穴に挿入可能な筒状のガスケット押圧部60と、該ガスケット押圧部60の一端部から外方に延出した鍔部61とを備えており、鍔部61に挿通したボルト(採番しない)を本体部320にねじ込むことによって、ガスケット押圧部60がガスケットG2を押圧できるようになっている。
【0044】
なお、本実施形態において、上記構成のガスケット押圧部材6を採用しているため、第一軸挿通部321には、第一軸用挿通穴325にガスケット押圧部60が挿入されたガスケット押圧部材6の鍔部61と対向するフランジ部326が設けられており、鍔部61に挿通したボルトを該フランジ部326に設けられたねじ穴(図示しない)に螺合させ、ガスケット押圧部材6を本体部320に固定できるようになっている。
【0045】
第二軸挿通部322は、本体部320に連設されており、該本体部320を挟んで第一軸挿通部321の反対側に設けられている。そして、該第二軸挿通部322には、弁体2の回転軸線Lと略同心をなして貫通した第二軸用挿通穴327が設けられている。すなわち、第二軸挿通部322には、本体部320の嵌入口324の中心線と直交するように、内外(本体部320の凹部(弁体収容空間31)と外部)を連通させる第二軸用挿通穴327が第一軸用挿通穴325と略対向するように穿設されている。
【0046】
第二軸用挿通穴327は、外側が大径の穴に設定されるとともに弁体収容空間31側が小径の穴に設定された段付き穴で構成されており、大径の穴には、挿通した第二軸5とのシール性を担保するための環状(筒状)のガスケットG3が略同心で内嵌めされている。
【0047】
本実施形態に係る第二軸挿通部322のガスケットG3は、第二軸用挿通穴327に内嵌めされ、且つ第二軸5が挿通された状態で、第二軸5の軸線方向に押圧されることで第二軸5の外周面と第二軸用挿通穴327の内周面とに密接し、第二軸5の回転を許容しつつもシール性を担保できるようになっている。そのため、本実施形態に係るボールバルブ1は、第一軸挿通部321と同様に、ガスケットG3を押圧するためのガスケット押圧部材7を第二軸挿通部322にも備えている。
【0048】
かかるガスケット押圧部材7は、第二軸5が挿通されるとともに、第二軸用挿通穴327の大径の穴に挿入可能な筒状のガスケット押圧部70と、該ガスケット押圧部70の一端部から外方に延出した鍔部71とを備えており、鍔部71に挿通したボルト(図示しない)を本体部320にねじ込むことによって、ガスケット押圧部60がガスケットGを押圧できるようになっている。
【0049】
なお、本実施形態において、第一軸挿通部321と同様のガスケット押圧部材7を採用しているため、第二軸挿通部322には、第二軸用挿通穴327にガスケット押圧部70が挿入されたガスケット押圧部材7の鍔部71と対向する環状(ドーナツ状)の平面部が形成されており、鍔部71に挿通したボルトを平面部に設けられたねじ穴(図示しない)に螺合させ、ガスケット押圧部材7を本体部320に固定できるようになっている。
【0050】
フレーム本体32の配管接続部323は、内部の流通路Bが該本体部320の凹部内と連通し、該他方の流通路Bの中心線が弁体2の回転軸線Lと直交するように、一端側が本体部320に接続されている。すなわち、該配管接続部323は、流通路Bが第一軸4の軸線と略直交し、且つ本体部320の凹部(嵌入口324)の中心と略同心になるように、本体部320に連設されている。そして、該配管接続部323は、他端側に配管を接続するためのフランジ328が設けられている。
【0051】
前記サブフレーム33は、フレーム本体32に取り付けられ、本体部320の嵌入口324を塞ぐ閉塞部330と、一方の流通路Aを画定した筒状の配管接続部331とを備えている。
【0052】
前記閉塞部330は、本体部320の嵌入口324の外側の開口周縁部と対向し、ガスケットG1に当接する環状部332と、該環状部332の一方の面から突出し、嵌入口324に内嵌めされる環状突部333とを備えている。前記環状部332は、配管接続部331が画定する流通路Aを延長する開口を画定し、本体部320の前記開口縁部と対向する領域にボルトを挿通する穴(図示しない)が穿設されている。これにより、該環状部332は、挿通したネジを嵌入口324の外周に設けられたネジ穴(図示しない)にねじ込むことで、本体部320(嵌入口324の開口縁部)のガスケットG1に密接し、サブフレーム33とフレーム本体32(本体部320)との間のシール性を担保できるようになっている。
【0053】
前記環状突部333は、本体部320の嵌入口324に嵌入した状態で内周面に案内されるようになっており、該サブフレーム33(実質的は、シート部材30及び一方の流通路A)をフレーム本体32に対して位置決めできるようになっている。
【0054】
そして、前記環状部332の本体部320の凹部(嵌入口324)側に位置する一方の面の開口縁部には環状の段差334が形成されており、該段差334には環状の前記シート部材30が嵌め込まれている。これにより、サブフレーム33をフレーム本体32に取り付けた状態で、ハウジング3の内部側に位置する流通路Aの開口端周りにシート部材30が配設された状態になるようになっている。そして、該サブフレーム33の配管接続部331は、環状部332の他方の面側の開口縁部に一端側が接続されており、閉塞部330を本体部320に取り付けた状態で、内部の流通路Aが他方の流通路Bと対向し、該流通路A,Bの中心線が内装した弁体2の回転軸線Lと直交するように設けられている。なお、該配管接続部331の他端部にも、配管を接続するためのフランジ335が設けられている。
【0055】
これにより、該ハウジング3は、フレーム本体32にサブフレーム33を取り付けることで、内部に弁体2を内装するための弁体収容空間31を画定するようになっている。
【0056】
前記第一軸4は、上述の如く、ハウジング3(第一軸挿通部321)に挿通され、該ハウジング3内に位置する一端部には、弁体2のピン体23,23間に挿入され、該ピン体23,23を介して弁体2に回転軸線L周りの回転力を伝達する伝達部40が形成されている。
【0057】
具体的に説明すると、伝達部40は、外面に略平行をなす二つの平面が軸線を挟んで両側に形成されている。該二つの平面は、弁体2の二つのピン体23,23の間隔と略同等の間隔或いはやや狭い間隔で形成されている。該伝達部40は、二つの平面のそれぞれがピン体23,23と対向するように、二つのピン体23,23間に挿入されることで、回転軸線L周りの回転力を伝達し、弁体2の非貫通部分がシート部材30(一方の流通路A)と対向した状態で、一方のピン体23と平面との接触部分が支点になって弁体2が傾動してシート部材30に対して接離できるようになっている。
【0058】
そして、該第一軸4は、ハンドル等を取り付けることで手動によって回転させることも可能であるが、本実施形態においては、第一軸4の回転角度を任意に設定できるパルスモータ等の駆動モータ(図示しない)が他端側に接続され、該駆動モータによる駆動で軸線周り(弁体2の回転軸線L周り)に回転するようになっている。
【0059】
前記第二軸5は、ハウジング3(第二軸挿通部322)に挿通され、該ハウジング3内に位置する一端部には、外周の少なくとも一部に径方向外方に突出した押圧部50が設けられている。なお、該第二軸5も第一軸4と同様に、ハンドル等を取り付けることで手動によって回転させることも可能であるが、本実施形態においては、第二軸5の回転角度を任意に設定できるパルスモータ等の駆動モータ(図示しない)が他端側に接続される。
【0060】
該第二軸5について具体的に説明すると、該第二軸5は、図2(a)及び図2(b)に示す如く、ハウジング3に挿通される軸本体51と、該軸本体51の外周に対して部分的に突設された押圧部50とで構成されている。該押圧部50は、軸本体51の外周に対して突設しているため、軸本体51と回転半径が相違することから、第二軸5を回転軸線L周りで回転させると、弁体2の被押圧部24に接触乃至押圧するようになっている。
【0061】
本実施形態に係る第二軸5は、上記押圧部(以下、第一押圧部という)50とは別に、軸本体51の外周の一部に径方向外方に突出した別の押圧部(以下、第二押圧部という)52が設けられている。すなわち、第二軸5は、弁体2の被押圧部24を押圧して該弁体2をシート部材30側に押圧し、弁体2をシート部材30に強制的に押しつける第一押圧部50と、該第一押圧部50の押圧でシート部材30側に変位した弁体2を、該シート部材30から離間させる方向に押圧し、弁体2をシート部材30から強制的に離間させる第二押圧部52とが設けられている。
【0062】
本実施形態に係る第一押圧部50及び第二押圧部52は、何れも軸本体51に対して軸線を略平行にして接合された棒材で構成されている。そして、第一押圧部50及び第二押圧部52は、軸本体51周りで180°よりも小さい角度間隔(図においては略90°の角度間隔)で配置されており、何れか一方のみが平行に形成された第一被押圧部24又は第二被押圧部26の一方に接触又は押圧した状態になるようになっている。すなわち、弁体2の連通穴20が二つの流通路A,Bを連通させている状態において、第一押圧部50は第一被押圧部24を押圧することなく、第二被押圧部26に略接触した状態となり(図3(b)参照)、この状態から第一軸4を介して弁体2のみを90°回転させると、第二押圧部52が第二被押圧部26に当接し、弁体2のシート部材30側への傾動を規制した状態になるようになっている(図3(d)参照)。
【0063】
このように第一押圧部50が第一押圧部50を押圧していない状態で、同心をなす二つの流通路A,Bの中心線と弁体2の回転軸線Lとの交点上に、弁体2の連通穴20の中心線が通り、弁体2がシート部材30に対して非接触又は略非接触となる一方で、第一押圧部50が第一被押圧部24を押圧した状態で、弁体2が傾動して前記交点から連通穴20の中心線がずれた状態になるようになっている。なお、「シート部材30に対して非接触」とは、弁体2がシート部材30から完全に離間していることを意味し、「シート部材30に対して略非接触」とは、弁体2がシート部材30に対して若干接触、すなわち、シート部材30を摩耗させるような(流通路A,Bを遮断するときのような)面圧を作用させずに弁体2がシート部材30の少なくとも一部に接触していることを意味する。
【0064】
本実施形態に係るボールバルブ1は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係るボールバルブ1の作動について説明する。
【0065】
まず、図3(a)に示す如く、二つの流通路A,Bが弁体2の連通穴20を介して連通すると流体の流通が許容される。この状態において、二つの流通路A,Bと弁体2の連通穴20とが同心又は略同心をなし、弁体2がシート部材30に対して非接触又は略非接触の状態になっており、図3(b)に示す如く、第一押圧部50及び第二押圧部52の何れもが、弁体2の第一被押圧部24及び第二被押圧部26を押圧していない状態となっている。
【0066】
そして、このように流体の流通を許容した状態から、流通路A,Bを遮断するには、図3(c)に示す如く、第二軸5をそのままの状態で維持させつつ第一軸4のみを90°回転させる。そうすると、伝達部40及び軸挿入部21を介して第一軸4の回転力が弁体2に伝達され、弁体2も90°回転することになる。このように第二軸5を回転させることなく弁体2を回転させると、図3(d)に示す如く、弁体2の回転に伴って第一被押圧部24及び第二被押圧部26も回転し、第二押圧部52が第二被押圧部26に当接し、第一被押圧部24が第二軸5の軸本体51に接近した状態になる。
【0067】
このように、弁体2が回転しても第一被押圧部24が第一押圧部50に押圧されることがないため、弁体2は、シート部材30に対して非接触又は略非接触のままで維持することになり、その結果、弁体2の非貫通部分が一方の流通路A(シート部材30)に対して隙間をあけた状態又は若干接触した状態で対向することになる。
【0068】
そして、図3(e)及び図3(f)に示す如く、第二軸5を回転(本実施形態においては、90°回転)させると、第二被押圧部26に対する第二押圧部52の当接が解除される一方、第一押圧部50が第一被押圧部24を押圧することになる。そして、第一被押圧部24に対する第一押圧部50の押圧作用で、弁体2がシート部材30側に傾動する結果、該弁体2の非貫通部分がシート部材30に面圧を作用させつつ密接(圧接)し、一方の流通路A(二つの流通路A,B間)が遮断され、流体の流通が停止することになる。
【0069】
そして、この状態から流体を流通させる状態に切り換えるには、第二軸5を逆回転(弁体2をシート部材30側に変位させる場合とは反対側に(−90°)回転)させると、図3(d)に示す如く、第一被押圧部24に対する第一押圧部50の当接が解除される一方、第二押圧部52が第二被押圧部26を押圧することになる。そして、第二被押圧部26に対する第二押圧部52の押圧作用で、弁体2がシート部材30から離間する方向に傾動する結果、図3(c)に示すように弁体2がシート部材30に対して非接触状態又は略非接触状態に戻ることになる。そして、第二軸5を回転させることなく第一軸4を逆回転(弁体2の非貫通部分をシート部材30と対向させる場合とは反対側に(−90°)回転)させると、図3(a)に示す如く、二つの流通路A,Bが弁体2の連通穴20を介して連通して流体の流通を許容した状態に戻ることになる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るボールバルブ1は、第一軸4及び第二軸5が軸線方向に進退することなく、第一軸4及び第二軸5を回転させるだけの構成であるので、全体をコンパクト化することができ、また、動作領域を含む設置状態での占有領域も小さくすることができる。また、第一軸4及び第二軸5の回転のみで弁体2を回転させるとともに、弁体2をシート部材30に接離させることができるので、流通路A,Bの開閉や流量調整等を容易に且つ迅速に行うことができる。
【0071】
また、前記弁体2は、非貫通部分がシート部材30と対向した状態で該シート部材30側に傾動可能に第一軸4に接続されているので、第二軸5の第一押圧部50が弁体2の第一被押圧部24を押圧したときに、弁体2が第一軸4に対して傾動してシート部材30に密接するとともに、その密接に伴う反力(第一押圧部50の押圧による押圧力の反力)を第一軸4が受けることになる。これにより、第一軸4側と第二軸5側とに力を作用させる結果、弁体2のシート部材30に対する密接がより確実なものとなり、高性能なシールを達成することができる。
【0072】
そして、本実施形態に係るボールバルブ1は、弁体2がシート部材30に密接した状態から離間した状態に切り換えるための第二押圧部52及び第二被押圧部26を設けるようにしたので、弁体20をシート部材30に対して非接触状態又は略非接触状態にした上で回転させることができ、シート部材30の摩耗を確実に抑えることができる。
【0073】
次に、本発明の第二実施形態に係るボールバルブについて説明する。なお、以下の説明において、第一実施形態の構成と同様の構成又は対応する構成については、第一実施形態と同一名称を付するとともに、第一実施形態の符号に’(ダッシュ)を付すこととする。
【0074】
本実施形態に係るボールバルブは、図4(a)及び図4(b)に示す如く、三本の配管(図示しない)が接続され、この三本の配管のうち何れか二本の配管を連通させるように流体の流通経路を切り換える三方弁である。なお、図4(a)は、二本の配管(後述する流通路A’,C’)を連通させた状態の縦断面図を示し、図4(b)は、二本の配管(後述する流通路A’,C’)を連通させた状態の平面断面図を示している。
【0075】
該ボールバルブ1’は、所定の回転軸線L’周りで回転可能に構成されるとともに、前記回転軸線L’と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通した連通穴20’の設けられた弁体2’と、該弁体2’が内装され、弁体2’の回転軸線L’周りで間隔をおいて三つの流通路A’,B’,C’が形成されるとともに、弁体2’の回転軸線L’周りで何れか一つ(所定)の流通路C’に対して両側で隣り合う各流通路A’,B’の内部側の開口端周りに環状のシート部材30’,30’が配設されたハウジング3’と、前記回転軸線L’上を通るようにハウジング3’に挿通され、弁体2’に対して回転軸線L’周りでの回転力を伝達可能に接続された第一軸4’と、該第一軸4’とは反対側からハウジング3’に挿通され、前記第一軸4’と同心で又は平行な回転軸線L’周りで回転可能に構成された第二軸5’とを備えている。
【0076】
本実施形態に係る弁体2’は、略球状に形成され、弁体2’を回転軸線L’周りで回転させることで、所定の流通路C’と該流通路C’に回転軸線L’周りで隣り合う一方の流通路A’とを連通させた状態と、所定の流通路C’と該流通路に回転軸線L’周りで隣り合う他方の流通路B’とを連通させた状態とに切り換えできるように、連通穴20’が平面視で屈曲又は湾曲(図においては屈曲)した態様で形成されている。本実施形態において、前記連通穴20’は、前記仮想面上で平面視L字状に(略直角に屈曲するように)形成されている。そして、該弁体2’についても、第一実施形態と同様に、非貫通部分がシート部材30’,30’と対向した状態で該シート部材30’,30’側に傾動可能に第一軸4’に接続されている。
【0077】
具体的に説明すると、弁体2’には、第一軸4’の一端部(後述する伝達部40’)を挿入するための軸挿入部21’が設けられている。本実施形態にかかる軸挿入部21’は、マトリックス状に配置され、弁体2’の上部から上方に向けて突接された四つの支持突部220…と、該四つの支持突部220…に対して端部が接続され、平面視枠状に配設された四本のピン体23’…とを備えている。該四本のピン体23’…のうち、対向する一対のピン体23’、23’がL字状をなす連通穴20’の一方の真っ直ぐな部分(穴)20a’の穴心と平行又は略平行になるように配設され、残りの一対のピン体23’、23’は、連通穴20’の他方の真っ直ぐな部分(穴)20b’の穴心と平行又は略平行になるように配設されている。
【0078】
上記構成の軸挿入部21’は、四本のピン体23’…に包囲された領域に第一軸4’の伝達部40’が挿入され、第一軸4’(伝達部40’)とピン体23’,23’との接触で、第一軸4’を回転させた際の回転軸線L’周りの回転力を伝達して弁体2’を回転させるようになっている。また、本実施形態に係る軸挿入部21’は、連通穴20’の穴心に平行をなす四本のピン体23’…で第一軸4’の回転力を受けるように構成されているので、所定の流通路C’とこれと隣り合う一方の流通路A’とが連通穴20’を介して連通するとともに、弁体2’の非貫通部分が、開口端周りにシート部材30’,30’の配設された他方の流通路B’と対向した状態で、所定の流通路C’と繋がる弁体2’の連通穴20’の真っ直ぐな部分20b’の穴心と略平行なピン体23’を支点にして弁体2’が傾動できるようにもなっている。
【0079】
また、本実施形態に係る弁体2’は、図5(a)及び図5(b)に示す如く、軸挿入部21’とは反対側に、第二軸5’の一端部に径方向外方に突設された後述する押圧部50’に押圧される被押圧部24a’24b’が設けられている。該被押圧部24a’24b’は、弁体2’の非貫通部分がシート部材30’,30’と対向した状態で、該シート部材30’,30’に向けて押圧部50’の押圧力が作用するように設けられている。すなわち、第二軸5’の押圧部50’が径方向外方に突設されているため、被押圧部24a’24b’は、第二軸5’を回転させたときに押圧部50’が当接乃至押圧し、その押圧力が弁体2’を傾動させる方向に作用するように形成されている。
【0080】
本実施形態に係るボールバルブ1’は、弁体2’の下部に第二軸5’の一端部(押圧部50’を含む部分)が挿入される非貫通状態にある凹部25’が形成されており、該凹部25の内周(開口形状)を所定の形状とすることで、該凹部25’の内周面の一部が被押圧部24a’24b’とされている。具体的には、弁体2’の凹部25’は、該弁体2’の連通穴20’の形態(ハウジング3’の流通路の配置)に対応するように、連通穴20’の屈曲部分を境にした真っ直ぐな部分20a’,20b’のそれぞれの穴心と略同方向に延びる二つの被押圧部24a’24b’を備えた内周面によって画定されている。
【0081】
本実施形態においては、連通穴20’が略90°に屈曲した態様であるため、この二つの被押圧部24a’24b’は、平面視において連通穴20’と同様の態様となるように互いに直角をなし、弁体2’の非貫通部分と所定の流通路C’と隣り合う一方の流通路A’とが対向した状態(連通穴20’(一方の真っ直ぐな部分20a’)の穴心と流通路A’の中心線とが直交した状態)で、一方の被押圧部24a’(内面)が弁体2’の変位(傾動)を許容する方向と直交した方向になり、押圧部50’の押圧力が非貫通部分と対向するシート部材30’側に弁体2’を変位させる方向に作用するようになっている(図7参照)。その一方で、弁体2’の非貫通部分と所定の流通路C’と隣り合う他方の流通路B’とが対向した状態(連通穴20’(他方の真っ直ぐな部分20b’)の穴心と流通路A’B’の中心線とが直交した状態)で、他方の被押圧部24b’(内面)が弁体2’の変位(傾動)を許容する方向と直交した方向になり、押圧部50’の押圧力が非貫通部分と対向するシート部材30’側に弁体2’を変位させる方向に作用するようになっている(図6参照)。
【0082】
本実施形態においては、押圧部50’による押圧で弁体2’をシート部材30’,30’側に変位させた状態(弁体2’がシート部材30’,30’に密接した状態)から弁体2’を反対側に強制的に変位させる(弁体2’をシート部材30’,30’から離間させる)ために、弁体2’の凹部25’を画定する内周面は、上述した二つの被押圧部(以下、第一被押圧部という)24a’24b’に加え、該二つの第一被押圧部24a’,24b’を接続した円弧面からなる別の被押圧部(以下、第二被押圧部という)26’を備えており、全体的に扇状を呈している。該第二被押圧部26’は、押圧部50’の回転半径に対応した曲率半径に設定されており、平面状をなす第一被押圧部24a’24b’の何れかの一方を押圧した状態から、押圧部50’(第二軸5’)を180°回転させることで、該押圧部50’が第二被押圧部26’を押圧し、弁体2’を反対側に変位させるようになっている。なお、押圧部50’が第二被押圧部26’に当接した状態において、弁体2’はシート部材30’,30’から離間しており、弁体2’の連通穴20’の穴心が弁体2’の回転軸線L’と各流通路A’,B’,C’の穴中心との交点上を通った状態になるように設定されている。
【0083】
図4(a)及び図4(b)に戻り、前記ハウジング3’は、内部に弁体2’が内装される弁体収容空間31’が形成されており、本実施形態においては、三つの流通路A’,B’,C’(穴)が弁体収容空間31を介して合流してT字状になるように形成されている。すなわち、三つの流通路A’,B’,C’のうち、二つの流通路A’,B’が弁体収容空間31’を挟んで互いに対向し、該二つの流通路A’,B’に対して略直角をなすように、所定の流通路としての残りの流通路C’が弁体収容空間31’に繋がるように形成されている。
【0084】
本実施形態に係るハウジング3’は、フレーム本体32’と、該フレーム本体32’に取り付けられる一対のサブフレーム33’,33’とで構成されており、フレーム本体32’にサブフレーム33’と取り付けた状態で内部に弁体収容空間31’が形成されるようになっている。
【0085】
具体的に説明すると、前記フレーム本体32’は、弁体2’を内装する弁体収容空間31’の一部を画定する本体部320’と、第一軸4’を挿通するための第一軸挿通部321’と、第二軸5’を挿通するための第二軸挿通部322’と、所定の流通路C’を画定した筒状の配管接続部323’とで構成されている。
【0086】
前記本体部320’は、内部に弁体2’を非接触で収容できる空間が形成されており、該空間内に弁体2’を挿入するための略円形の開口からなる挿入口328’が形成されている、該挿入口328’は、本体部320’とは別体で構成された蓋体329’で閉塞されるようになっている。具体的には、そして、挿入口328’の内周縁部には環状のガスケットG4’を嵌めるための段差340’が形成され、ボルト(採番しない)を介して蓋体329’を本体部320’に取り付けることで、ガスケットG4’によって本体部320’と蓋体329’との間のシールが担保され、本体部320’内の空間を閉塞して弁体収容空間31’を画定するようになっている。
【0087】
また、本実施形態に係る本体部320’には、サブフレーム33’を取り付けるための開口(以下、嵌入口という)324a’,324b’が、該嵌入口324a’,324b’の開口中心と前記挿入口328’の中心線とを直交させるようにして両側に形成されている。該二つの嵌入口324a’,324b’は、互いに同心をなし、それぞれ弁体収容空間31’内の弁体2’の回転軸線L’と直交する中心線を中心にして略円形状に形成されている。そして、嵌入口324a’,324b’の外側の開口端縁部には、環状のガスケットG1’を嵌め込むための段差(採番しない)が形成さている。
【0088】
第一軸挿通部321’は、本体部320’に連設されており、弁体2’の回転軸線L’と略同心をなして貫通した第一軸用挿通穴325’が設けられている。すなわち、第一軸挿通部321’には、本体部320’の嵌入口324a’,324b’の中心線と直交するように、内外(本体部320’内の空間(弁体収容空間31’)と外部)を連通させる第一軸用挿通穴325’が穿設されている。
【0089】
第一軸用挿通穴325’は、第一実施形態と同様に、外側が大径の穴に設定されるとともに弁体収容空間31’側が小径の穴に設定された段付き穴で構成されており、大径の穴には、挿通した第一軸4’とのシール性を担保するための環状(筒状)のガスケットG2’が略同心で内嵌めされている。そして、該ガスケットG2’は、第一実施形態と同様に、第一軸用挿通穴325’に内嵌めされ、且つ第一軸4’が挿通された状態で、第一軸4’の軸線方向に押圧されることで第一軸4’の外周面と第一軸用挿通穴325’の内周面とに密接し、第一軸4’の回転を許容しつつもシール性を担保できるようになっている。そのため、本実施形態においても、第一実施形態と同様のガスケット押圧部材6’によって、ガスケットG2’を押圧してシール性を発揮させるようになっている。
【0090】
第二軸挿通部322’は、本体部320’に連設されており、該本体部320’を挟んで第一軸挿通部321’の反対側に設けられている。そして、該第二軸挿通部322’には、弁体2’の回転軸線L’と略同心をなして貫通した第二軸用挿通穴327’が設けられている。そして、第一実施形態と同様に、該第二軸用挿通穴327’には、ガスケットG3’が内嵌めされ、第一実施形態と同様のガスケット押圧部材7’による押圧でガスケットG3’のシール性を担保するようにしている。なお、第一軸挿通部321’及び第二軸挿通部322’の本体部320’に対するガスケット押圧部材6’,7’の取り付けは第一実施形態と同様である。
【0091】
フレーム本体32’の配管接続部323’は、前記本体部320’に連設されており、内部の流通路C’が該本体部320’の内部空間と連通し、所定の流通路C’の中心が挿入口328’の開口中心と同心になるように、一端側が本体部320’に連設されている。すなわち、該配管接続部323’は、流通路C’が第一軸4’の軸線、及び、本体部320’の嵌入口324a’,324b’の穴中心と略直交するように、本体部320’に連設されている。そして、該配管接続部323’は、他端側に配管を接続するためのフランジ328’が設けられている。
【0092】
各サブフレーム33’,33’は、同一の構成であり、フレーム本体32’に取り付けられ、本体部320’の嵌入口324a’,324b’を塞ぐ閉塞部330’と、流通路A’,B’を画定した筒状の配管接続部331’とを備えている。
【0093】
前記閉塞部330’は、本体部320’の嵌入口324a’,324b’の外側の開口周縁部と対向し、ガスケットG1’に当接する環状部332’と、該環状部332’の一方の面から突出し、嵌入口324a’,324b’に内嵌めされる環状嵌入部333’(第一実施形態の環状突部333に相当する構成)とを備えている。前記環状部332’は、配管接続部331’が画定する流通路A’,B’を延長する開口を画定し、本体部320’の前記開口周縁部と対向する領域にボルトを挿通する穴が穿設されている。これにより、該環状部332’は、該穴に挿通したネジを嵌入口324a’,324b’の外周に設けられたネジ穴(図示しない)にねじ込むことで、本体部320’(嵌入口324a’,324b’の開口周縁部)のガスケットG1’に密接し、本体部320’に対してシール性を担保できるようになっている。前記環状嵌入部333’は、本体部320’の嵌入口324a’,324b’に嵌入した状態で内周面に案内されるようになっており、該サブフレーム33’(実質的は、シート部材30’及び一方の流通路A’)をフレーム本体32’に対して位置決めできるようになっている。
【0094】
そして、前記環状嵌入部333’の開口周縁部には環状の段差334’が形成されており、該段差334’には環状のシート部材30’が嵌め込まれている。これにより、サブフレーム33’をフレーム本体32’に取り付けた状態で、ハウジング3’の内部側に位置する流通路Aの開口端周りにシート部材30’が配設された状態になるようになっている。そして、該サブフレーム33’の配管接続部331’は、環状部332’の他方の面側の開口周縁部に一端側が接続されており、閉塞部330’を本体部320’に取り付けた状態で、内部の流通路A’,B’が他方の流通路A’,B’と対向し、該流通路A’,B’の中心線が内装した弁体2’の回転軸線L’と直交するように設けられている。なお、該配管接続部331’の他端部にも、配管を接続するためのフランジ335’が設けられている。
【0095】
これにより、該ハウジング3’は、フレーム本体32’にサブフレーム33’を取り付けることで、内部に弁体2’を内装するための弁体収容空間31’を画定するようになっている。
【0096】
前記第一軸4’は、上述の如く、ハウジング3’(第一軸挿通部321’)に挿通され、該ハウジング3’内に位置する一端部には、弁体2’のピン体23’、23’間に挿入され、該ピン体23’,23’を介して弁体2’に回転軸線L’周りの回転力を伝達する伝達部40’が形成されている。具体的に説明すると、伝達部40’は、断面略矩形状に形成されており、外面に略平行をなす二対の平面が軸線を挟んで両側に形成されている。該二対の平面は、弁体2’の二つのピン体23’,23’の間隔と略同等の間隔或いはやや狭い間隔で形成されている。該伝達部40’は、各平面がピン体23’…と対向するように、枠状に配設された四つのピン体23’…で包囲される領域に挿入されることで、回転軸線L’周りの回転力を伝達し、弁体2’の非貫通部分がシート部材30’,30’(所定の流通路C’以外の二つの流通路A’,B’のうちの何れか一方)と対向した状態で、ピン体23’と平面との接触部分が支点になって弁体2’が傾動してシート部材30’に対して接離できるようになっている。
【0097】
そして、該第一軸4’は、他端側がパルスモータ等の駆動モータ(図示しない)等に接続可能に構成されており、該駆動モータによる駆動で回転軸線L’周り(弁体2’の回転軸線L’周り)に回転するようになっている。
【0098】
前記第二軸5’は、図5(a)及び図5(b)に示す如く、ハウジング3’(第二軸挿通部322’)に挿通され、該ハウジング3’内に位置する一端部には、外周の少なくとも一部に径方向外方に突設された押圧部50’が設けられている。具体的に説明すると、該第二軸5’は、ハウジング3’に挿通される軸本体51’と、該軸本体51’の外周に対して部分的に突設された押圧部50’とで構成されている。該押圧部50’は、第一実施形態と同様、軸本体51’の外周に対して突設しているため、軸本体51’との回転半径の相違により、第二軸5’を回転軸線L’周りで回転させることで、弁体2’の被押圧部24a’24b’に接触乃至押圧するようになっている。
【0099】
本実施形態において、弁体2’の被押圧部24a’24b’が第一被押圧部24a’24b’と第二被押圧部26’とで構成され、該第二被押圧部26’が円弧面状に形成されることで、押圧部50’は、弁体2’をシート部材30’,30’から離間させるための押圧部(第一実施形態に係る第二押圧部52に相当する構成)としても機能するようになっている。本実施形態に係る押圧部50’は、第一実施形態と同様、軸本体51’に対して軸線を略平行にして接合された棒材で構成されている。
【0100】
本実施形態に係る第二軸5’は、押圧部50’に加え、弁体2’をシート部材30’,30’から離間させた状態で位置決めする位置決部53’をさらに備えている。
【0101】
前記位置決部53’は、軸本体51’の径方向両側に突設され、該軸本体51’周りで前記押圧部50’に対して90°の間隔をおいて設けられている。一方の位置決部53’は、押圧部50’が第二被押圧部26’に接している状態で、一方の第一被押圧部24a’に当接し(図7(b)参照)、押圧部50’が一方の第一被押圧部24a’を押圧している状態で、他方の第一被押圧部24b’に当接するように設けられている(図7(d)参照)。そして、他方の位置決部53’は、押圧部50’が第二被押圧部26’に接している状態で、他方の第一被押圧部24b’に当接し(図6(b)参照)、押圧部50’が他方の第一被押圧部24b’を押圧している状態で、一方の第一被押圧部24a’に当接するように設けられている(図6(d)参照)。
【0102】
そして、本実施形態に係るボールバルブ1’は、第一実施形態とは異なり、流体の流通経路を切り換える三方弁として構成されるため、押圧部50’は、所定の流通路C’とこれと隣り合う一方の流通路A’とが連通した状態で、他方の第一被押圧部24b’を他方の流通路B’側に押圧し、その流通路B’のシート部材30’側に弁体2’を変位させる一方、所定の流通路C’とこれと隣り合う他方の流通路B’とが連通した状態で、一方の第一被押圧部24a’を一方の流通路A’側に押圧し、その流通路A’のシート部材30’側に弁体2’を変位させるようになっている。これにより、連通穴20’(所定の流通路C’)と連通状態にない流通路A’,B’の開口端周りに配設されたシート部材30’と弁体2’とを密接させ、一つの流通路A’,B’を遮断して一系統の流通経路を構築するようになっている。
【0103】
本実施形態に係るボールバルブ1’は、以上の構成からなり、次に、本実施形態に係るボールバルブ1’の作動について説明する。
【0104】
まず、図6(a)に示す如く、連通穴20’の両端開口が、所定の流通路C’及び一方の流通路A’の両方と対向するように弁体2’を回転軸線L’周りで回転させると、弁体2’の非貫通部分が、所定の流通路C’と隣り合う他方の流通路B’と対向した状態になる。この状態で、図6(b)に示す如く、他方の第一被押圧部24b’が他方の流通路B’側に位置するとともに、弁体2’の回転軸線L’及び他方の流通路B’の穴心と直交する方向に延びた状態になり、他方の位置決部53’が他方の第一被押圧部24b’に当接するとともに、押圧部50’が第二被押圧部26’に当接した状態になる。なお、この状態では、押圧部50’及び位置決部53’の何れもが、各被押圧部24a’24b’,26’を押圧しておらず、弁体2’とシート部材30’,30’との間には隙間が形成されている。
【0105】
そして、図6(c)に示す如く、第二軸5’を回転させ、押圧部50’を他方の第一被押圧部24b’側に移動させると、図6(d)に示す如く、他方の位置決部53’が一方の第一被押圧部24a’に当接しつつ、押圧部50’が他方の第一被押圧部24b’を押圧し、この押圧部50’による第一被押圧部24b’の押圧作用で、弁体2’がシート部材30’側に傾動する結果、該弁体2’の非貫通部分がシート部材30’に面圧を作用させつつ密接(圧接)し、他方の流通路B’が遮断され、連通穴20’を介して所定の流通路C’と一方の流通路A’とが流通することになる。
【0106】
そして、流体の流通経路を切り換えるには、第二軸5’を180°回転させ、押圧部50’で他方の第一被押圧部24b’と対向する第二被押圧部26’を押圧し、弁体2’をシート部材30’から離間させる。なお、押圧部50’が第二被押圧部26’(厳密には第一被押圧部24a’24b’と対向した部位)を押圧して押し切った状態で、弁体2’とシート部材30’,30’との間には所定に隙間が形成された状態になる。そして、第二軸5’を逆転(−90°)回転させ、図6(b)に示す如く、弁体2’の回転に影響を与えない状態に戻しておく。
【0107】
そして、図7(a)に示す如く、連通穴20’の両端開口が、所定の流通路C’及び他方の流通路B’の両方と対向するように弁体2’を回転軸線L’周りで回転させると、弁体2’の非貫通部分が、所定の流通路C’と隣り合う一方の流通路A’と対向した状態になる。この状態で、図7(b)に示す如く、一方の第一被押圧部24a’24b’が一方の流通路A’側に位置するとともに、弁体2’の回転軸線L’及び一方の流通路A’の穴心と直交する方向に延びた状態になり、一方の位置決部53’がその一方の第一被押圧部24a’に当接するとともに、押圧部50’が第二被押圧部26’に当接した状態になる。なお、この状態では、押圧部50’及び位置決部53’の何れもが、各被押圧部24a’24b’,26’を押圧しておらず、弁体2’とシート部材30’,30’との間には隙間が形成されている。
【0108】
そして、図7(c)に示す如く、第二軸5’を回転させ、押圧部50’を一方の第一被押圧部24a’側に移動させると、図7(d)に示す如く、一方の位置決部53’が他方の第一被押圧部24b’に当接しつつ、押圧部50’が一方の第一被押圧部24a’を押圧し、この押圧部50’による第一被押圧部24a’の押圧作用で、弁体2’がシート部材30’側に傾動する結果、該弁体2’の非貫通部分がシート部材30’に面圧を作用させつつ密接(圧接)し、一方の流通路A’が遮断され、連通穴20’を介して所定の流通路C’と他方の流通路B’とが流通することになる。
【0109】
そして、流体の流通経路を切り換えるには、第二軸5’を180°回転させ、押圧部50’で他方の第一被押圧部24b’と対向する第二被押圧部26’を押圧し、弁体2’をシート部材30’,30’から離間させる。なお、この場合も、押圧部50’が第二被押圧部26’(厳密には第一被押圧部24b’と対向した部位)を押圧して押し切った状態で、弁体2’とシート部材30’,30’との間には所定に隙間が形成された状態になる。そして、上述の場合と同様、第二軸5’を逆転(−90°)回転させ、図7(b)に示す如く、弁体2’の回転に影響を与えない状態に戻した後に、弁体2’を回転させればよい。
【0110】
以上のように、本実施形態にかかるボールバルブ1’は、第一実施形態と同様、第一軸4’及び第二軸5’が軸線方向に進退することなく、これらを回転させるだけの構成であるので、全体をコンパクト化することができ、また、動作領域を含む設置状態での占有領域も小さくすることができる。また、第一軸4’及び第二軸5’の回転のみで弁体2’を回転させるとともに、弁体2’をシート部材30’,30’に接離させることができるので、流通経路の開閉や切り換えも容易に且つ迅速に行うことができる。
【0111】
また、前記弁体2’は、非貫通部分がシート部材30’,30’と対向した状態で該シート部材30’,30’側に傾動可能に第一軸4’に接続されているので、第二軸5’の押圧部50’が弁体2’の被押圧部24a’24b’を押圧したときに、弁体2’が第一軸4’に対して傾動してシート部材30’,30’に密接し、そのシート部材30’,30’に対する弁体2’の密接で作用する反力を第一軸4’が受けることになる。これにより、第一軸4’側と第二軸5’側とに力を作用させる結果、弁体2’のシート部材30’,30’に対する密接がより確実なものとなり、高性能なシールを達成することができる。
【0112】
そして、本実施形態に係るボールバルブ1’は、第一軸4’及び第二軸5’の何れもが軸線方向に進退する構成でないため、第一及び第二軸5’が流体を流通させる弁体2’の連通穴20’内で出退することがなく、上述の如く常時何れか二つの流通路A’,B’が連通する三方弁としても、連通穴20’内での流体の流通が阻害されることがなく、三方弁本来の機能を十分に発揮することができる。
【0113】
尚、本発明のボールバルブは、上記何れの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0114】
上記第一及び第二実施形態において、弁体2,2’の上部に第一軸4,4’の伝達部40,40’を挿入する軸挿入部21,21’を設け、該軸挿入部21,21’に間隔をおいてピン体23…,23’…を配設することで、弁体2,2’に対して回転軸線L,L’周りでの回転力を伝達可能にしつつも、該弁体2,2’の非貫通部分がシート部材30,30’と対向した状態で弁体2,2’が傾動するようにしたが、例えば、ハウジング3,3’内に位置する第一軸4,4’の一端部と弁体2,2’とをピン結合し、回転軸線L,L’周りでの回転力を弁体2,2’に伝達可能にするとともに、該ピンを支点に弁体2,2’を傾動可能にしてもよい。
【0115】
但し、第二実施形態のように、ボールバルブ1’を三方弁とし、弁体2’を回転軸線L’周りで90°回転させることで、流体の流通経路を切り換える場合には、弁体2’を直交二軸方向に傾動可能とする必要があるため、例えば、弁体2’と第一軸4’とをユニバーサルジョイントを介して接続したり、弁体2’と第一軸4’との間に接続部材を介設し、弁体2’と接続部材とを回転軸線L’と直交方向に延びるピン体でピン結合するとともに、接続部材と第一軸4’とを前記ピン体と直交方向に延びる別のピン体でピン結合したりするようにしてもよい。このようにすれば、弁体2’に対して回転軸線L’周りの回転力を伝達することができるとともに、弁体を直交する二軸を支点にして傾動可能にすることができ、上記第二実施形態と同様に作用を奏することができる。
【0116】
上記第一及び第二実施形態において、軸本体51,51’に棒材を接合することで、第二軸5,5’の外周の一部に径方向外方に突出した押圧部50,50’を形成するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第二軸5,5’は、軸本体51,51’と押圧部50、50’とを一体的に形成したものであってもよい。すなわち、回転半径の異なる部位が部分的に形成されるように、第二軸5,5’の一端部を偏心カム状に形成し、回転半径が最大となる部位を押圧部50,50’とするようにしてもよい。また、第二軸5,5’の押圧部50,50’に押圧される被押圧部24,24a’,24b’は、弁体2,2’に形成した凹部25,25’の内周面の一部で構成したものに限定されるものではなく、例えば、弁体2,2’の下部に突出した部位を形成して被押圧部24,24a’,24b’としてもよい。但し、この場合においても、弁体2,2’の非貫通部分がシート部材30,30’と対向した状態で、押圧部50,50’による押圧がシート部材30,30’側に作用するように被押圧部24,24a’,24b’を形成することは言うまでもない。
【0117】
上記第一及び第二実施形態において、弁体2,2’を第一軸4,4’に対して傾動可能に接続するようにしたが、これに限定されるものではなく、第一軸4,4’と弁体2,2’との接続は、第一軸4,4’の回転力を弁体2,2’に伝達することができ、且つ弁体2,2’がシート部材30,30’に対して接離できれば種々変更可能であり、例えば、シート部材30,30’に対して弁体2,2’が接離可能とする方向に延びるように、二本のピン体23…,23’…を配設した軸挿入部21,21’を弁体2,2’に設け、該ピン体23…,23’…間に第一軸4,4’の伝達部40,40’を挿入するようにしてもよい。この場合、弁体2,2’がピン体23…,23’…の延びる方向、すなわち、シート部材30,30’に接離する方向への移動が規制されないため、押圧部50,50’による押圧で弁体2がピン体23,23の延びる方向に変位しシート部材30に密接することができる。但し、このような構成にすると、第一及び第二実施形態のような押圧部50,50’による押圧力の反力が第一軸4,4’側に作用せずにシール性が若干悪くなるので、上記第一及び第二実施形態と同様に、押圧部50,50’の押圧力の反力が弁体2,2’を介して第一軸4,4’に作用する構成にすることが好ましい。
【0118】
上記第一実施形態において、ハウジング3に形成された二つの流通路A,Bのうち、一方の流通路Aの内部側の開口端周りに環状のシート部材30を配設し、押圧部50による押圧で弁体2をシート部材30側に変位させるようにしたが、例えば、同心で対向する二つの流通路A,Bのそれぞれの内部側の開口端周りシート部材30を配設するとともに、押圧部50と被押圧部24とを第二実施形態と同様に構成してもよい。この場合、弁体2の非貫通部分が流通路と対向した状態で、押圧部50で弁体2の被押圧部24を何れか一方のシート部材30側に押圧することで、流通路A,Bを遮断することができる。
【0119】
上記第一実施形態において、二つの流通路A,Bを同心となるように二つの流通路A,Bをハウジング3に設けるようにしたが、例えば、弁体2の回転軸線L周りで所定角度の間隔で二つの流通路A,Bをハウジング3に形成し、弁体2の連通穴20を回転軸線Lと直交する仮想面上で湾曲又は屈曲した態様で形成し、ハウジング3に形成された二つの流通路A,Bを、連通穴20を介して連通できるようにしてもよい。この場合においても、何れか一方の流通路Aの内部側の開口端周りにシート部材30を配設するとともに、弁体2の被押圧部24、及び第二軸5の押圧部50を第一実施形態と同様にすれば、第一軸4の回転によって弁体2をシート部材30に非接触又は略非接触で回転させることができるとともに、押圧部50による被押圧部24の押圧で弁体2をシート部材30に密接させて流通路を遮断することができる。
【0120】
第一実施形態において、第二軸5に第二押圧部52を設けるとともに弁体2に第二被押圧部26を設け、該第二押圧部52よる第二被押圧部26の押圧でシート部材30に密接した弁体2を該シート部材30から強制的に離間させるようにしたが、これに限定されるものではなく、弁体2をシート部材30側に押圧させる第一押圧部50(押圧部50)及び第一被押圧部24(被押圧部24)のみを設けるようにしてもよい。すなわち、弁体2が第一軸4に傾動可能に接続されていれば、第二軸5を回転させて第一被押圧部24に対する第一押圧部50の押圧を解除すると、弁体2の自重等の作用でシート部材30から離間することになる。従って、弁体2をシート部材30から強制的に離間させるための第二押圧部52及び第二被押圧部26は、弁体2と第一軸4との接続態様や弁体2の変位のし易さ等を考慮して、必要に応じて設ければよい。
【0121】
上記第一実施形態において、シート部材30に対して弁体2を非接触又は略非接触で回転させるようにしているが、シート部材30の摩耗を考えれば、弁体2が回転する状態でシート部材30に対して非接触で維持できる構成が好ましいことは言うまでもない。また第二実施形態においては、弁体2’を回転させる状態で、弁体2’とシート部材30’との間に隙間を形成する(弁体2’とシート部材30’とが非接触になる)ようにしているが、第一実施形態と同様に、シート部材30’に対して弁体2’が略接触(シート部材30’を大きく摩耗させるような面圧を作用させずに少なくとも一部が接触)している状態で、弁体2が回転するように構成してもよい。但し、上述の如く、シート部材30’の摩耗を考えれば、弁体2’が回転する状態でシート部材30’に対して非接触で維持できる構成が好ましいことは言うまでもない。
【0122】
上記第二実施形態において、回転軸線L’周りで所定の流通路C’に両側で隣り合う二つの流通路A’,B’が、該所定の流通路C’に対して90°の角度配置になるよう形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、弁体2’の回転軸線L’を中心に三つの流通路A’,B’,C’を放射状に配置するようにしてもよい。この場合、弁体2’の回転軸線L’周りでの角度が均等な角度になるように三つの流通路A’,B’,C’を配置してもよいし、不均等な角度で三つの流通路A’,B’,C’を配置するようにしてもよい。但し、弁体2’を回転軸線L’周りで正逆転させることで、弁体2’に形成される連通穴20’が、所定の流通路C’とこれに隣り合う一方の流通路A’とを連通させる状態と、所定の流通路C’とこれに隣り合う他方の流通路B’とを連通させる状態とに切り換えが可能であることは勿論のことである。この場合においても、所定の流通路C’以外の二つの流通路A’,B’の内部側の開口端周りにシート部材30’,30’を配設し、弁体2’の非貫通部分がシート部材30’と対向した状態で、押圧部50’の押圧力がそのシート部材30’に向けて作用、すなわち、弁体2’をシート部材30’側に変位させる方向に作用するように被押圧部24’を弁体2’に設けるようにすればよい。
【0123】
また、上記構成のバルブが一般的にボールバルブと称されるため、名称をボールバルブ1,1’としているが、弁体2,2’は必ずしも球状のものに限定されるものではなく、所定の回転軸線周りL,L’で回転可能に構成されるとともに、該回転軸線L,L’と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通した連通穴20,20’が形成され、非貫通部分がシート部材30,30’と密接可能な構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の第一実施形態に係るボールバルブ(二方弁)の説明図であって、(a)は、二つの流通路を弁体の連通穴を介して連通させた状態の縦断面図を示し、(b)は、一方の流通路を遮断した状態の縦断面図を示す。
【図2】第一実施形態に係るボールバルブ(二方弁)の押圧部と被押圧部との位置関係を説明するため説明図であって、(a)は、部分拡大断面図を示し、(b)は、部分拡大平面図を示す。
【図3】第一実施形態に係るボールバルブ(二方弁)の作動説明図であって、(a)は、弁体とシート部材とが非接触(又は略非接触)で、二つの流通路が弁体の連通穴を介して連通した状態を示し、(b)は、(a)の状態での押圧部と被押圧部との位置関係を表した部分平面図を示し、(c)は、弁体とシート部材とが非接触で、一方の流通路に弁体の非貫通部分が対向した状態を示し、(d)は、(c)の状態での押圧部と被押圧部との位置関係を表した部分平面図を示し、(e)は、弁体とシート部材とが接触し、一方の流通路を遮断した状態を示し、(f)は、(c)の状態での押圧部と被押圧部との位置関係を表した部分平面図を示す。
【図4】本発明の第二実施形態に係るボールバルブ(三方弁)の断面図であって、(a)は、縦断面図を示し、(b)は、横断面図を示す。
【図5】第二実施形態に係るボールバルブ(三方弁)の押圧部と被押圧部との位置関係を説明するため説明図であって、(a)は、部分拡大断面図を示し、(b)は、部分拡大平面図を示す。
【図6】第二実施形態に係るボールバルブ(三方弁)の作動説明図であって、(a)は、所定の流通路及び一方の流通路が弁体の連通穴と対向し、所定の流通路と隣り合う他方の流通路と弁体の非貫通部分が非接触(又は略非接触)で対向した状態を示し、(b)は、(a)の状態での押圧部と被押圧部との位置関係を表した部分平面図を示し、(c)は、(a)の状態から弁体を傾動させてシート部材に密接させた状態を示し、(d)は、(c)の状態での押圧部と被押圧部との位置関係を表した部分平面図を示す。
【図7】第二実施形態に係るボールバルブ(三方弁)の作動説明図であって、(a)は、所定の流通路及び他方の流通路が弁体の連通穴と対向し、所定の流通路と隣り合う一方の流通路と弁体の非貫通部分が非接触(又は略非接触)で対向した状態を示し、(b)は、(a)の状態での押圧部と被押圧部との位置関係を表した部分平面図を示し、(c)は、(a)の状態から弁体を傾動させてシート部材に密接させた状態を示し、(d)は、(c)の状態での押圧部と被押圧部との位置関係を表した部分平面図を示す。
【図8】従来のボールバルブの部分縦断面図を示す。
【符号の説明】
【0125】
1,1’…ボールバルブ、2,2’…弁体、3,3’…ハウジング、4,4’…第一軸、5,5’…第二軸、23,23’…ピン体、24…第一被押圧部(被押圧部)24a’,24b’…第一被押圧部(被押圧部)、26,26’…第二被押圧部、30,30’…シート部材、31,31’…弁体収容空間、40,40’…伝達部、50…第一押圧部(押圧部)、50’…押圧部、52…第二押圧部、53’…位置決部、A,B,A’,B’,C’…流通路、L,L’…回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転軸線周りで回転可能に構成されるとともに、前記回転軸線と直交又は略直交する仮想面上を通って貫通する連通穴が設けられた弁体と、該弁体が内装され、前記連通穴を介して互いに連通する流通路が少なくとも二つ形成されるとともに、流通路の少なくとも何れか一つの内部側の開口端周りに環状のシート部材が配設されたハウジングとを備え、前記弁体は、シート部材に対して非接触又は略非接触で回転可能に構成されるとともに、該弁体の非貫通部分がシート部材と対向した状態で該シート部材に接離可能に構成され、該非貫通部分とシート部材との密接で流通路を遮断するように構成されたボールバルブにおいて、前記回転軸線上を通るようにハウジングに挿通され、弁体に対して回転軸線周りの回転力を伝達可能に接続された第一軸と、該第一軸とは反対側からハウジングに挿通され、前記第一軸と同心で又は平行な軸線周りで回転可能に構成されるとともに、ハウジング内に位置する一端部における外周の少なくとも一部に径方向外方に突出した押圧部が設けられた第二軸とを備え、前記弁体には、前記非貫通部分がシート部材と対向した状態で、該シート部材に向けて前記押圧部に押圧される被押圧部が設けられていることを特徴とするボールバルブ。
【請求項2】
前記弁体は、前記非貫通部分がシート部材と対向した状態で、該シート部材側に傾動可能に第一軸に接続されている請求項1に記載のボールバルブ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記回転軸線周りで間隔をおいて前記流通路が二つ形成されるとともに、二つの流通路の少なくとも何れか一方の内部側の開口端周りに前記シート部材が配設されている請求項1又は2記載のボールバルブ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記回転軸線周りで間隔をおいて前記流通路が三つ形成されるとともに、弁体の連通穴は、所定の流通路と該流通路に回転軸線周りで隣り合う一方の流通路とを連通させ、且つ弁体を回転軸線周りで回転させることで、前記所定の流通路と該流通路に回転軸線周りで隣り合う他方の流通路とを連通させるように形成され、前記シート部材は、前記所定の流通路と隣り合う各流通路の内部側の開口端周りに配設されている請求項1又は2記載のボールバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−95811(P2008−95811A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277768(P2006−277768)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【Fターム(参考)】