説明

ボールペンレフィル及びボールペン

【課題】 使用前の状態でのドライアップを防止することができると共に、保管時に日光や蛍光灯の光を受けても変色され難く、溶融状態で放置しても樹脂が褐変し難い、高い認識性と装飾効果を長期的に発現できるボールペンレフィルとボールペンを提供する。
【解決手段】 チップ先端を被覆する保護被膜を備えたボールペンレフィルであって、前記保護被膜が、熱可塑性樹脂と、着色剤と、紫外線吸収剤からなる。チップ先端を被覆する保護被膜を備えたボールペンであって、前記保護被膜が、熱可塑性樹脂と、着色剤と、紫外線吸収剤からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボールペンレフィル及びボールペンに関する。更には、チップ先端を保護被膜により被覆したボールペンレフィル及びボールペンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボールペンを使用する前の状態において、水や有機溶剤の蒸発に伴うドライアップ(ペン先の乾燥)を防止することを目的として、ホットメルト樹脂等からなる保護被膜によりボールペンチップ先端を被覆したボールペンが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
前記ボールペンの保護被膜は無色透明或いは乳白色の外観を有するものであるため、使用前の状態でのドライアップを防止することはできるが、ユーザーが保護被膜に気付かずにそのまま筆記してしまい、インキが吐出しないために筆記不良と誤認することがある。
そこで、ユーザーに対して保護被膜の存在を明確に認識させるために、前記保護被膜を着色したものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−222950号公報
【特許文献2】実用新案登録第3076019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記着色した保護被膜は、ユーザーに対する認識性が高く、装飾効果も発現できるものであるが、保管時に日光や蛍光灯の光が長時間照射されて変色(退色)してしまい、装飾性を損なうことがあった。また、保護被膜を形成するために樹脂組成物を溶融状態で長時間放置した際、樹脂が褐変してしまい所望の色調が得られなくなることがあった。特に、染料により着色された保護被膜においては、前述の退色や褐変が顕著なものであった。
本発明は、使用前の状態でのドライアップを防止することができると共に、保管時に日光や蛍光灯の光を受けても変色され難く、溶融状態で放置しても樹脂が褐変し難い、高い認識性と装飾効果を長期的に発現できるボールペンレフィルとボールペンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、チップ先端を被覆する保護被膜を備えたボールペンレフィルであって、前記保護被膜が、熱可塑性樹脂と、着色剤と、紫外線吸収剤からなるボールペンレフィルを要件とする。
更に、チップ先端を被覆する保護被膜を備えたボールペンであって、前記保護被膜が、熱可塑性樹脂と、着色剤と、紫外線吸収剤からなるボールペンを要件とする。
更には、前記紫外線吸収剤が保護被膜中に0.05〜10重量%の範囲で添加されること、前記着色剤が前記熱可塑性樹脂に可溶な染料であることを要件とする。
更には、前記保護被膜が酸化防止剤を含むこと、前記酸化防止剤が保護被膜中に0.05〜10重量%の範囲で添加されることを要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、使用前の状態でのペン先ドライアップを防止できると共に、高い認識性と装飾効果を長期的に発現できる保護被膜を備えたボールペンレフィルとボールペンを提供できる。更に、酸化防止剤を添加することで、固化状態及び溶融状態のいずれにおいても初期の色調をより長期的に維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、ボールペンチップの先端を被覆する保護被膜を備えたボールペンレフィルとボールペンに関するものであり、紫外線吸収剤の添加により着色剤の退色と樹脂の褐変を抑制することで保護被膜の変色を防止できるものである。更に、酸化防止剤を併用することで、固化状態、溶融状態のいずれであっても、より長期的な効果を発現するものである。
【0007】
前記保護被膜を構成する熱可塑性樹脂としては、加温溶融し、冷却固化するものであれば特に限定されることなく用いられる。具体的には、ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン・イソブチルアクリレート共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよび共重合体、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルエーテル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、塩化ビニール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、合成ゴム系樹脂、カルバナワックス、天然ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックス、マイクロクリスタリン、又はこれら樹脂を主剤とする混合物が挙げられ、一種又は二種以上を混合して使用できる。
また、これらに、テルペン系樹脂やロジン系樹脂、エステルガム、クマロン樹脂、フェノール樹脂などの粘着性付与剤やパラフィン系オイルなどの軟化剤、カーボンブラック、タルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、無機・有機顔料などの充填剤、ゼオライト、シリカゲル等の吸着剤等を必要に応じて添加することもできる。
【0008】
前記着色剤としては、熱可塑性樹脂中に溶解若しくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能である。
前記染料としては、熱可塑性樹脂に可溶な染料が好ましく用いられ、例えば、オイルイエロー#105、同オレンジ#201、同ピンク#312、同スカーレット#308、同レッド#330、同ブラウン#416、同グリーンBG、同バイオレット#730、OPRAS ORANGE230、同BLUE630、同RED330、同RED382、同YELLOW120、同YELLOW136、同YELLOW138、同YELLOW140(以上、オリエント化学工業株式会社製)や、レッド5B02、ブルーB01、ブラウンB(以上、クラリアントジャパン株式会社製)や、SOT PINK−1、同BLUE−2、同YELLOW−1、同YELLOW−4(以上、保土ヶ谷化学工業株式会社製)等が例示できる。
また、分散可能な顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系等の有機顔料、カーボンブラック、マイカ、酸化チタン、金属微粉末等の無機顔料等が使用できる。
前記着色剤は、鮮明な色調を視覚できるように添加されるものであり、一種又は二種以上を併用することができ、0.05〜5重量%の範囲で使用される。
前記着色剤のうち、沈降や凝集等を生じることなく均一な色調が得られることから、熱可塑性樹脂に可溶な染料が特に好適に用いられる。
【0009】
前記紫外線吸収剤としては、沸点が前記熱可塑性樹脂の融点より高いものであれば汎用のものが用いられ、例えば、2,4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)−メタン2−〔2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−ベンゾフェノン〔商品名:シーソーブ103、シプロ化成(株)製〕、2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−〔2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤が挙げられる。
【0010】
更に、サリチル酸フェニル、サリチル酸パラ−t−ブチルフェニル、サリチル酸パラオクチルフェニル、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、1−ヒドロキシベンゾエート、1−ヒドロキシ−3−t−ブチル−ベンゾエート、1−ヒドロキシ−3−t−オクチルベンゾエート、レゾルシノールモノベンゾエート等のサリチル酸系紫外線吸収剤。
【0011】
エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニルシンナート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤。
【0012】
2−〔5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン−PS、チバガイギー社製〕、
2−〔5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2Hベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン328、チバガイギー社製〕、
メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300〔商品名:チヌビン1130、チバガイギー社製〕、
2−〔3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール、
メチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300、
2−〔3−t−ブチル−5−プロピルオクチレート−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシフェニル−3,5−ジ−(1,1′−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、
2−〔3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン384、チバガイギー社製〕、
2−〔2−ヒドロキシ−5−テトラオクチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2−ヒドロキシ−4−オクトオキシ−フェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−〔2′−ヒドロキシ−3′−(3″4″5″6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤。
【0013】
エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N′−(4−イソドデシルフェニル)、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オキサ−3,20−ジアゾジスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコ酸−21−オン等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤等を例示できる。
【0014】
2−〔4−〔(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−〔4−〔(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2−〔4−〔(2−ヒドロキシ−3−(2′−エチル)ヘキシル)オキシ〕−2−ヒドロキシフェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン〔商品名:チヌビン405、チバガイギー社製〕等のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤等を例示できる。
【0015】
前記紫外線吸収剤は、一種又は二種以上を併用することができ、保護被膜を構成する樹脂組成物全量中0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%添加することができる。
0.05重量%未満では所期の効果を得ることは困難であり、又、10重量%を越えて添加しても退色抑制性能の向上は認められないため、これ以上の添加を要しない。
【0016】
また、前記紫外線吸収剤と併用して光安定剤を添加することで、退色抑制効果をより長期的に安定して発現するものとなる。前記光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロナート等のヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を例示できる。
前記光安定剤は、保護被膜を構成する樹脂組成物全量中0.05〜5重量%の範囲で添加される。
【0017】
更に、保護被膜中に前記紫外線吸収剤と共に、酸化防止剤を添加することで、固化状態はもちろんのこと、加温による溶融状態(即ち、製造段階で長期間加温溶融して保持される状態)であっても、長期的に初期の色調を維持することが可能となる。
前記酸化防止剤としては、フエノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等の汎用のものが使用できる。
フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β′−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト等が挙げられる。
前記酸化防止剤は、保護被膜を構成する樹脂組成物全量中0.05〜10重量%の範囲で添加される。
0.1重量%未満では所期の効果を得ることは困難であり、又、10重量%を越えて添加しても更なる変色抑制効果の向上は認められないため、これ以上の添加を要しない。
【0018】
次に、前記保護被膜をチップ先端に設けるボールペンレフィル及びボールペンについて説明する。
本発明のボールペンレフィルは、インキ組成物を収容する軸筒の先端にチップを直接又は接続部材を介して連結したものである。特に、前記インキ組成物が低粘度である場合には、軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法や、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法や、インキ後端にインキ追従体(インキ逆流防止体)を配置する方法等を用いて収容することもできる。
また、本発明のボールペンは、前記ボールペンレフィルを外装部材に収容してなるキャップ式、出没式等の形態を有するものや、インキ組成物を直接収容する軸筒の先端にチップを直接又は接続部材を介して連結したキャップ式等の形態を有するものである。特に、前記ボールペンに収容されるインキ組成物が低粘度である場合、軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法や、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法や、インキ後端にインキ追従体(インキ逆流防止体)を配置する方法等を用いて収容することもできる。
【0019】
前記ボールペンレフィルやボールペンの筆記先端部となるボールペンチップの構造は、従来より汎用の機構が有効であり、例えば、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂等からなるものが適用でき、直径0.10mm〜2.0mmの範囲のものが用いられる。
【0020】
前記インキ組成物を収容する軸筒としては、金属製、樹脂製のいずれも使用できるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。また、前記成形体として透明、着色透明、或いは半透明のものを用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。その場合、前記軸筒外面に紫外線吸収層を設けたり、紫外線吸収剤を添加した材料で軸筒を形成することにより、非使用時における軸筒内でのインキの退色を抑制することもできる。
【0021】
前記インキ組成物としては、汎用の油性インキ、水性インキが用いられるが、特にチップのドライアップが生じ易い水性インキにおいて、前記保護被膜が有用なものとなる。
【0022】
前記水性インキ組成物は、水、着色剤、水溶性有機溶剤、更に樹脂等の添加剤等により構成される。
前記着色剤としては、水性媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
【0023】
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
【0024】
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
【0025】
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤等を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、
C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:S.S.Blue GLL、顔料分22%、山陽色素株式会社製〕、
C.I. Pigment Red 146〔品名:S.S.Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、
C.I.Pigment Red220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
その他、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、修正ペン等に用いられる二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、香料又は香料カプセル顔料などを例示できる。
【0026】
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1乃至25重量%、好ましくは2乃至15重量%の範囲で用いられる。
【0027】
前記水溶性有機溶剤として具体的には、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
【0028】
更に、紙面への固着性や粘性を付与するために水溶性樹脂を添加することもできる。前記水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。前記水溶性樹脂は一種又は二種以上を併用することができ、インキ組成中1乃至30重量%の範囲で用いられる。
【0029】
その他の添加剤として、必要に応じて、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、金属石鹸、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、燐酸系活性剤等の潤滑剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤、アスコルビン酸、エリソルビン酸、α−トコフェロール、カテキン、合成ポリフェノール、コウジ酸、アルキルヒドロキシルアミン、オキシム誘導体、α−グルコシルルチン、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、二酸化チオ尿素等の消泡剤や酸化防止剤等を添加することもできる。
【0030】
また、インキ組成物中に剪断減粘性付与剤を添加することもできる。
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示でき、更には、インキ組成物中にN−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤を併用して添加しても安定した剪断減粘性を付与できる。
【0031】
更に、軸筒内にインキ組成物を充填した際、該インキ組成物の後端部にインキ逆流防止体(液栓)を配することもできる。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
【0032】
前記油性インキ組成物は、着色剤、有機溶剤、更に樹脂等の添加剤等により構成される。
前記着色剤としては、有機溶剤に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
前記染料としては、従来公知の油溶性染料を用いることができ、具体的には、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株))、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株))、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、米国、National Aniline Div.社製)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、独国、BASF社製)、バリファーストイエロー♯3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー♯3105(C.I.18690A)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック♯3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー♯1109、バリファーストオレンジ♯2210、バリファーストレッド♯1320、バリファーストブルー♯1605、バリファーストバイオレット♯1701(以上、オリエント化学工業(株)社製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6,S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)などが例示できる。更に、C.I.ベーシックブルー1、同7、同8、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、C.I.ベーシックレッド1等の塩基染料とC.I.アシッドイエロー23、同36等から選ばれる酸性染料との造塩染料等が例示できる。
【0033】
前記顔料としては、従来公知の顔料を使用することができ、具体的には、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同8、同17、同22、同31、同38、同41、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、同61、同64、同71、同73、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同37、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同22、同25、同28、同29、同36、同60、同68、同76、C.I.PIGMENT BROWN 23、同25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同83、同93、同94、同95、同97、同99、同128、同139、同153、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36、C.I.PIGMENT BLACK 7等の有機顔料や、黒色酸化鉄、ファーネストブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
更に、その他の顔料として、蛍光顔料、パール顔料、蓄光顔料、金属顔料、複合金属顔料、金属酸化物顔料等を使用することもできる。
【0034】
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1乃至45重量%の範囲で用いられる。
【0035】
前記有機溶剤としては、従来公知のボールペン用溶剤を使用することができ、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルグリコール、プロピレングリコールノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールノルマルプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、等のグリコールエーテル系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等のグリコール系溶剤、酢酸−2−エチルへキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、等のエステル系溶剤、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリドデシルアルコール、等のアルコール系溶剤等が挙げられる。
尚、前記有機溶剤は一種又は二種以上を併用して用いることができ、20〜90重量%、好ましくは35〜75重量%の範囲で用いられる。
【0036】
前記樹脂としては、通常ボールペンインキ組成物に定着剤や分散剤として使用されている樹脂が適宜用いられ、例えば、ケトン樹脂、スルフォアミド樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。前記樹脂は一種又は二種以上を混合して用いることができ、インキ組成物全量中0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
【0037】
更に、ベントナイト、合成微粉シリカ、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス等の粘性調節剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、カスレ防止剤、洩れ防止剤、界面活性剤等の各種添加剤を油性インキ中に添加することもできる。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、インキ組成中の部は重量部を示す。
【0039】
ボールペンレフィルAの作製
赤色染料〔アイゼン(株)製、商品名:フロキシン、C.I.Acid Red92、C.I.45410〕5.0部、ジエチレングリコール15.0部、キサンタンガム0.3部、炭酸ナトリウム0.3部、リン酸エステル系界面活性剤0.5部、α−グルコシルルチン5.0部、水73.9部を混合して室温でディスパーにて3時間攪拌した後、濾過することにより水性インキ組成物を得た。
得られた水性インキを、直径0.3mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたレフィルに充填し、更に、前記インキ後端面に密接させてインキ逆流防止体(ポリブテン95部と脂肪酸アマイド5部からなる)を充填して遠心処理を施すことによりボールペンレフィルを得た。前記ボールペンレフィルは外装部材に組み込むことによりボールペン形態として使用できるものである。
【0040】
ボールペンレフィルBの作製
黒色染料〔保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:スピロンブラックGMHスペシャル〕15.0部、紫色染料〔オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファーストバイオレット#1701〕11.0部、ベンジルアルコール30.0部、プロピレングリコール12.0部、エチレングリコールモノフェニルエーテル12.0部、ケトン樹脂12.0部、ポリオキシエチレン(10)硬化ひまし油4.0部、オキシエチレンドデシルアミン3.0部、ポリビニルピロリドン1.0部を混合して80℃でディスパーにて4時間攪拌した後、濾過することにより油性インキ組成物を得た。
得られた油性インキを、直径0.7mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたレフィルに充填することによりボールペンレフィルを得た。前記ボールペンレフィルは外装部材に組み込むことによりボールペン形態として使用できるものである。
【0041】
ボールペンの作製
黒色染料分散液〔オリエント化学工業(株)製、商品名:フィスコブラック886、有効成分15%〕50.0部、ポリエステル樹脂10.0部、1,2−ベンズチアゾリン−3−オン0.5部、潤滑剤〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL〕0.5部、トリエタノールアミン1.0部、2−ピロリドン5.0部、ジエチレングリコール10.0部、水23.0部を混合して室温でディスパーにて3時間攪拌した後、濾過することにより水性インキ組成物を得た。
得られた水性インキを、直径0.5mmのボールを抱持するステンレススチール製チップ(ボールを前方に付勢するスプリングを備える)がポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、更に、前記インキ後端面にポリブテン95部と脂肪酸アマイド5部からなるインキ逆流防止体を密接させて充填して遠心処理を施した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込むことでボールペンを得た。
【0042】
以下の表に実施例及び比較例の保護被膜の組成(樹脂組成)を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
【0043】
【表1】

【0044】
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)ポリエチレンワックス、日本精蝋(株)製、商品名:NEOPARAX3555
(2)エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、セメダイン(株)製、商品名:HM200
(3)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:SOT BLUE−2
(4)クラリアントジャパン(株)製、商品名:FAT RED 5B02
(5)日本触媒(株)製、商品名:エポカラーFP−01
(6)日本触媒(株)製、商品名:エポカラーFP−1050
(7)チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:Tinuvin 328
(8)チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:Tinuvin 400
(9)ヒンダードアミン系光安定剤、チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:Tinuvin 123
(10)フェノール系酸化防止剤、チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:IRGANOX1010
(11)リン系酸化防止剤、チバスペシャルティケミカルズ社製、商品名:イルガフォス168
【0045】
保護被膜の形成
前記各樹脂組成物を180℃に加温して均一溶融状態とし、前記ボールペンレフィルA、B及びボールペンについて、チップ先端を1秒間浸した後、冷却固化することにより保護被膜を形成してなるボールペンレフィル及びボールペンを得た。
【0046】
得られたボールペンレフィル、ボールペン及び保護被膜用樹脂組成物を用いて以下の試験を行った。
耐光性試験
カーボンアークフェードメーターにて40時間光照射後、及び100時間照射後に、保護被膜の色調を目視にて確認した。
溶融試験
保護被膜用樹脂組成物を180℃に加温して溶融状態で100時間及び200時間放置した後に、保護被膜用樹脂組成物の色調を目視にて確認した。
前記試験の結果を以下の表に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
尚、試験結果の評価は以下の通りである。
耐光性試験
◎:100時間照射後も光照射前と変化なし。
○:40時間照射後は光照射前と変化がなく、100時間の光照射により若干変色している。
△:40時間の光照射により若干変色している。
×:40時間の光照射で完全に退色している。
溶融試験
◎:200時間放置後の色調は溶融直後の色調と較べて変化なし。
○:100時間放置後の色調は溶融直後の色調と較べて変化ないが、200時間放置後の色調が若干変色している。
△:100時間放置後、溶融直後の色調から若干変色している。
×:100時間放置後、樹脂が褐変して全体が変色している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ先端を被覆する保護被膜を備えたボールペンレフィルであって、前記保護被膜が、熱可塑性樹脂と、着色剤と、紫外線吸収剤からなるボールペンレフィル。
【請求項2】
チップ先端を被覆する保護被膜を備えたボールペンであって、前記保護被膜が、熱可塑性樹脂と、着色剤と、紫外線吸収剤からなるボールペン。
【請求項3】
前記紫外線吸収剤が保護被膜中に0.05〜10重量%の範囲で添加される請求項1又は2に記載のボールペンレフィル及びボールペン。
【請求項4】
前記着色剤が前記熱可塑性樹脂に可溶な染料である請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペンレフィル及びボールペン。
【請求項5】
前記保護被膜が酸化防止剤を含む請求項1乃至4のいずれかに記載のボールペンレフィル及びボールペン。
【請求項6】
前記酸化防止剤が保護被膜中に0.05〜10重量%の範囲で添加される請求項5に記載のボールペンレフィル及びボールペン。

【公開番号】特開2008−132755(P2008−132755A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120413(P2007−120413)
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】