説明

ボールペン用水性インキ

【目的】
ボールペンのペン先が大気に開放された状態で、ペン先が上向き時にペン後端部に衝撃を受けた時、インキがペン後端側に移動し、その後に筆記したときに筆記線がかすれたり、筆記できなくなったりするといったインキ切れ現象を少なくするボールペン用水性インキを提供する。
【構成】 少なくとも着色剤と、水と、キサンタンガムと、BET法による比表面積が30m/g以上250m/g未満で、粒子径が5nm以上40nm以下でインキ中の添加量が0.01重量%以上0.1重量%以下のシリカを含有するボールペン用水性インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記ボールの回転に伴いインキを吐出するボールペンチップを備えるボールペンに使用されるボールペン用水性インキに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールペンは、比較的細い筆跡が得られると共に、繊維製ペン先や樹脂製ペン先を有する筆記具と異なり、長期間使用してもペン先の潰れなどによる筆跡巾の変化が少ないことから、多く使用されている。このようなボ−ルペンに使用される水性インキで、インキが低粘度のものは、そのままでは流動しやすいため、ペン先からインキが漏れてしまうので、インキ吸蔵体として繊維集束体を用いてインキを保持している。インキ収容体に直接インキを収容せしめてもペン先からインキが漏れないようにするには、剪断減粘性を付与して、静置時にはインキを高粘度に保ち、ボールの回転時には剪断力にて一時的に粘度を下げてインキを流動させて吐出するものが知られている。剪断減粘性を付与する増粘剤として代表的な例は、ベントナイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト系粘土や、キサンタンガム、ウェランガムなどのイオン性を有する水溶性増粘多糖類、アクリル酸−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。これらの増粘剤を使用したインキは、非筆記時にはペン先からインキが漏れるのを防止したり、筆記時においては、インキの過剰供給による筆記描線のにじみを抑制したり、インキの供給不足によるカスレや線飛びを防止するものである。
【特許文献1】特公平01−016437
【特許文献2】特開平11−148040
【特許文献3】特開平06−256699
【特許文献4】特開2001−40266
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の発明では、水溶性増粘多糖類としてイオン性多糖類のキサンタンガムを使用しており、キサンタンガムが立体障害や電気的反発力による網目構造を形成することで顔料を保持している。キサンタンガムは、大きな側鎖を持つ巨大分子であり、水を含むインキ中でヘリックス構造になり、更に会合したダブルヘリックス構造が層状態を形成する超会合構造となっている。このインキは、筆記したときボールとボール受け座間の剪断力により網目構造が容易に崩れ低粘度になるため、ペン先からインキが吐出することができる反面、衝撃によっても容易に崩れるので、キャップをはずしたままペン先上向きで衝撃を受けた時に、インキがペン後端側に移動して、その後に筆記したときに筆記線がかすれたり、筆記できなくなったりするといったインキ切れ現象が発生する。また、特許文献2に記載の発明では、増粘多糖類、ポリアクリル酸塩、粘土増粘剤の二種以上を併用しており、粘土増粘剤は、結晶構造間に水分子を取り込むことで層状に膨潤し増粘しているが、衝撃を受けた時、結晶構造間の水の層が容易に崩れてしまい、低粘度になるため、特許文献1のインキ同様にインキ切れ現象が発生する。また、特許文献3に記載の発明では、無機微粒子増粘剤として、微粒子シリカを使用している。シリカはシリカ表面に持っているシラノール基が水素結合をして緩やかな三次元構造となっているので、衝撃を受けた時に緩やかな三次元構造が容易に崩壊し、特許文献1のインキ同様にインキ切れ現象が発生する。また、増粘効果を有する程度まで添加量を多くすると書き味が著しく低下する。
更に、特許文献4に記載の発明は比表面積が250m/g以上のシリカとストレートポリマーの併用をして顔料の沈降防止を試みているが、比表面積が大きいシリカの三次元構造は、衝撃によって崩壊し、インキ切れ現象が発生する。更に、ストレートポリマーは曳糸性が強いので書き味が著しく低下する。
【0004】
本発明は、ボールペンのペン先が大気に開放された状態で、ペン先が上向き時にペン後端部に衝撃を受けた時、インキがペン後端側に移動し、その後に筆記したときに筆記線がかすれたり、筆記できなくなったりするといったインキ切れ現象を少なくするボールペン用水性インキを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明は、少なくとも着色剤と、水と、キサンタンガムと、BET法による比表面積が30m/g以上250m/g未満で、粒子径が5nm以上40nm以下でインキ中の添加量が0.01重量%以上0.1重量%以下のシリカを含有するボールペン用水性インキを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のボールペン用水性インキにおいて、なぜペン先が大気に開放された状態で、ペン先上向きに衝撃を受けた時、インキ切れ現象を少なくすることができるかは以下のように考えられる。
キサンタンガムとBET法による比表面積が30m/g以上250m/g未満のシリカを併用することによって、この二つが単独で形成する構造とは全く異なる構造を形成することが考えられる。つまり、インキ中でキサンタンガムの水酸基とシリカがイオン結合をし、キサンタンガムのダブルヘリックス構造とシリカに架橋が形成される。また、シリカの添加量を0.01重量%以上0.1重量%以下にすることによって、インキ中にシリカ単独の緩やかな三次元構造が存在しないまま、キサンタンガムのダブルヘリックス構造の層状態を形成しない状態になっている。この構造は、衝撃を吸収緩和する作用をし、インキ切れ現象を少なくすることが可能にする。更に、キサンタンガムとシリカを混合したものを他成分と混合することで、キサンタンガムとシリカの架橋がより適切になり、インキ切れ現象が更に少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のインキ組成物に使用する着色材は、筆跡に着色効果を付与し視認させるもので顔料や染料がある。顔料の具体例としては、アゾ系顔料、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、塩基性染料系顔料、酸性染料系顔料、建て染め染料系顔料、媒染染料系顔料、及び天然染料系顔料等の有機系顔料、黄土、バリウム黄、群青、紺青、カドミウムレッド、硫酸バリウム、酸化チタン、弁柄、鉄黒、カーボンブラック等の無機顔料等、アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、錫粉、真鍮粉などの金属粉顔料、蛍光顔料、雲母系顔料などが挙げられる。具体例を挙げるとアニリンブラック(C.I.50440)、シアニンブラック、ナフトールエローS(C.I.10316)、ハンザエロー10G(C.I.11710)、ハンザエロー5G(C.I.11660),ハンザエロー3G(C.I.11670)、ハンザエローG(C.I.11680),ハンザエローGR(C.I.11730)、ハンザエローA(C.I.11735)、ハンザエローRN(C.I.11740)、ハンザエローR(C.I.12710)、ピグメントエローL(C.I.12720)、ベンジジンエロー(C.I.21090)、ベンジジンエローG(C.I.21095)、ベンジジンエローGR(C.I.21100)、パーマネントエローNCG(C.I.20040)、バルカンファストエロー5G(C.I.21220)、バルカンファストエローR(C.I.21135)、タートラジンレーキ(C.I.19140)、キノリンエローレーキ(C.I.47005)、アンスラゲンエロー6GL(C.I.60520)、パーマネントエローFGL、パーマネントエローH10G、パーマネントエローHR、アンスラピリミジンエロー(C.I.68420)、スダーンI(C.I.12055)、パーマネントオレンジ(C.I.12075)、リソールファストオレンジ(C.I.12125)、パーマネントオレンジGTR(C.I.12305)、ハンザエロー3R(C.I.11725)、バルカンファストオレンジGG(C.I.21165)、ベンジジンオレンジG(C.I.21110)、ペルシアンオレンジ(C.I.15510)、インダンスレンブリリアントオレンジGK(C.I.59305)、インダンスレンブリリアントオレンジRK(C.I.59105)、インダンスレンブリリアントオレンジGR(C.I.71105)、パーマネントブラウンFG(C.I.12480)、パラブラウン(C.I.12071)、パーマネントレッド4R(C.I.12120)、パラレッド(C.I.12070)、ファイヤーレッド(C.I.12085)、パラクロルオルトアニリンレッド(C.I.12090)、リソールファストスカーレット、ブリリアントファストスカーレット(C.I.12315)、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッドF2R(C.I.12310)、パーマネントレッドF4R(C.I.12335)、パーマネントレッドFRL(C.I.12440)、パーマネントレッドFRLL(C.I.12460),パーマネントレッドF4RH(C.I.12420)、ファストスカーレットVD、バルカンファストルビンB(C.I.12320)、バルカンファストピンクG(C.I.12330),ライトファストレッドトーナーB(C.I.12450)、ライトファストレッドトーナーR(C.I.12455)、パーマネントカーミンFB(C.I.12490)、ピラゾロンレッド(C.I.12120)、リソールレッド(C.I.15630)、レーキレッドC(C.I.15585)、レーキレッドD(C.I.15500)、アンソシンB(C.I.18030)、ブリリアントスカーレットG(C.I.15800)、リソールルビンGK(C.I.15825)、パーマネントレッドF5R(C.I.15865)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、ピグメントスカーレット3B(C.I.16105)、ボルドー5B(C.I.12170)、トルイジンマルーン(C.I.12350)、パーマネントボルドーF2R(C.I.12385)、ヘリオボルドーBL(C.I.14830)、ボルドー10B(C.I.15880)、ボンマルーンライト(C.I.15825)、ボンマルーンメジウム(C.I.15880)、エオシンレーキ(C.I.45380)、ローダミンレーキB(C.I.45170)、ローダミンレーキY(C.I.45160)、アリザリンレーキ(C.I.58000)、チオインジゴレッドB(C.I.73300)、チオインジゴマルーン(C.I.73385)、パーマネントレッドFGR(C.I.12370)、PVカーミンHR、ワッチングレッド,モノライトファストレッドYS(C.I.59300)、パーマネントレッドBL、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ(C.I.42535)、ジオキサジンバイオレット、アルカリブルーレーキ(C.I.42750A、C.I.42770A)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42090)、ピーコックブルーレーキ(C.I.42025)、ビクトリアブルーレーキ(C.I.44045)、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、ファストスカイブルー(C.I.74180)、インダンスレンブルーRS(C.I.69800)、インダンスレンブルーBC(C.I.69825)、インジゴ(C.I.73000)、ピグメントグリーンB(C.I.10006)、ナフトールグリーンB(C.I.10020)、グリーンゴールド(C.I.12775)、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ(C.I.42000)、フタロシアニングリーン等が挙げられ、これらを液媒体に分散して用いられる。
【0008】
市販の水分散タイプの顔料は取り扱い性や生産性が高まるので好ましく用いられる。水分散タイプ顔料の具体例としては、FujiSP Black 8031、同8119、同8167、同8276、同8381、同8406、Fuji SP Red 5096、同5111、同5193、同5220、FujiSP Bordeaux 5500、Fuji SP Blue 6062、同6133、同6134、同6401、Fuji SP Green 7051、Fuji SPYellow4060、同4178、Fuji SP Violet 9011、FujiSP Pink 9524、同9527、Fuji SP Orange 534、FUjiSP Brown 3074、FUJI SP RED 5543、同5544(以上、富士色素(株)製)、Emacol Black CN、Emacol Blue FBB、同FB、同KR、EmacolGreen LXB、Emacol Violet BL、Emacol Brown3101、Emacol Carmmine FB、Emacol RedBS、EmacolOrange R、Emacol Yellow FD、同IRN、同3601、同FGN、同GN、同GG、同F5G、同F7G、同10GN、同10G、Sandye SuperBlack K、同C、Sandye Super Grey B、Sandye Super BrownSB、同FRL、同RR、Sandye Super GreenL5G、同GXB、Sandye Super Navy Blue HRL、同GLL、同HB、同FBL−H、同FBL−160、同FBB、Sandye Super VioletBL H/C、同BL、Sandye Super Bordeaux FR、Sandye Super Pink FBL、同F5B、Sandye Super RubineFR、Sandye superCarmmine FB、Sandye Super Red FFG、同RR、同BS、同1315、Sandye Super OrangeFL、同R、同BO、Sandye Gold Yellow 5GR、同R、同3R、Sandye Ywllow GG、同F3R、同IRC、同FGN、同GN、同GRS、同GSR−130、同GSN−130、同GSN、同10GN(以上、山陽色素(株)製)、RioFast Black Fx 8012、同8313、同8169、Rio Fast Red Fx 8209、同8172、Rio Fast Red S Fx 8315、同8316、RioFast Blue Fx 8170、Rio Fast Blue FX 8170、Rio Fast Blue S Fx 8312、Rio Fast Green SFx 8314、EM green G、(以上、東洋インキ(株)製)、NKW−2101、同2102、同2103、同2104、同2105、同2106、同2107、同2108、同2117、同2127、同2137、同2167、同2101P、同2102P、同2103P、同2104P、同2105P、同2106P、同2107P、同2108P、同2117P、同2127P、同2137P、同2167P、NKW−3002、同3003、同3004、同3005、同3007、同3077、同3008、同3402、同3404、同3405、同3407、同3408、同3477、同3602、同3603、同3604、同3605、同3607、同3677、同3608、同3702、同3703、同3704、同3705、同3777、同3708、同6013、同6038、同6559(以上、日本蛍光(株)製)、コスモカラーS1000Fシリーズ(東洋ソーダ(株)製)、ビクトリアエローG−11、同G−20、ビクトリアオレンジ G−16、同G−21、ビクトリアレッドG−19、同G−22、ビクトリアピンク G−17、同G−23、ビクトリアグリーンG−18、同G−24、ビクトリアブルー G−15、同G−25(以上、御国色素(株)製)、ポルックスPC5T1020、ポルックスブラックPC8T135、ポルックスレッドIT1030等のポルックスシリーズ(以上、住化カラー(株)製)などが挙げられる。
【0009】
染料の具体例としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料等のいずれも用いることができる。その一例を挙げれば、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラックL−200(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー#3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、カヤラススプラブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(同199)等の直接染料や、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、スミノールファストブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ダイワタートラジン(同23)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエローO(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターエロー#6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォーターピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、スプラノールブルーB(同15)、オリエントソルブルブルーOBC(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー#115(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールブルー2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(同9)、ダイワグリーン#70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)等の酸性染料、アイゼンカチロンイエロー3GLH(C.I.ベーシックイエロー11)、アイゼンカチロンブリリアントイエロー5GLH(同13)、スミアクリルイエローE−3RD(同15)、マキシロンイエロー2RL(同19)、アストラゾンイエロー7GLL(同21)、カヤクリルゴールデンイエローGL−ED(同28)、アストラゾンイエロー5GL(同51)、アイゼンカチロンオレンジGLH(C.I.ベーシックオレンジ21)、アイゼンカチロンブラウン3GLH(同30)、ローダミン6GCP(C.I.ベーシックレッド1)、アイゼンアストラフロキシン(同12)、スミアクリルブリリアントレッドE−2B(同15)、アストラゾンレッドGTL(同18)、アイゼンカチロンブリリアントピンクBGH(同27)、マキシロンレッドGRL(同46)、アイゼンメチルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット1)、アイゼンクリスタルバイオレット(同3)、アイゼンローダミンB(同10)、アストラゾンブルーG(C.I.ベーシックブルー1)、アストラゾンブルーBG(同3)、メチレンブルー(同9)、マキシロンブルーGRL(同41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(同54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(同4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)等の塩基性染料が挙げられる。以上の顔料及び染料は、単独或は複数を混合して使用できる。
【0010】
水は上記顔料等の着色材を溶解又は分散する主溶剤として使用する。必要に応じて水溶性有機溶剤を用いてもよい。水溶性有機溶剤の具体例として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、2−ピロリドン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は単独もしくは2種以上併用して使用可能である。
【0011】
キサンタンガムは、シリカと併用することで衝撃を吸収緩和する作用をするものとして使用する。キサンタンガムの一例としては、ケルザン、ケルザンS、ケルザンF、ケルザンAR、ケルザンM、ケルザンD(以上、三晶(株)製)、コージン、コージンF、コージンT、コージンK(以上、(株)興人製)、ノムコート(日清製油(株)製)、イナゲルV−7、イナゲルV−7T(以上伊那食品工業(株)製)等があり、複数種を混合して使用することもできる。
【0012】
シリカは、キサンタンガムと併用することで衝撃を吸収緩和する作用をするものとして使用する。使用するシリカは、例えば精製された四塩化ケイ素を酸水素中で加水分解することにより製造され、その形状は無定形であり、その粒子径は5nm以上40nm以下で、BET法による比表面積が30m/g以上250m/g未満であり、その添加量は0.01重量%以上0.1重量%以下とする。
比表面積が30m/g未満であったり、添加量が0.01重量%未満であったりすると、キサンタンガムのダブルヘリックス構造層とシリカに架橋が形成されず、キサンタンガム単独で使用した時と同様のインキ切れ現象が発生してしまう。また、比表面積が250m/g以上であったり、添加量が0.1重量%より多かったりすると、シリカ自体が構造粘性を有する増粘剤として働きはじめ、シリカ単独で使用した時と同様のインキ切れ現象が発生したり、滑らかな書き味が保持できなくなったりする。
シリカの具体例としては、アエロジル50(粒径12nm、BET法による比表面積50±15m/g)、同130(16nm、130±25m/g)、同200(12nm、200±25m/g)、同200CF(12nm、200±25m/g)、同R202(14nm、100±20m/g)、同805(12nm、150±25m/g)、同812S(7nm、220±25m/g)、同R972(16nm、110±20m/g)、同R974(12nm、170±20m/g)、同OX(40nm、50±15m/g)等、親水性や疎水性の両方が挙げられる。これらシリカは1種または2種以上を選択し、併用して使用できる。
尚、キサンタンガムとシリカを混合したものを、他成分と混合することで、更にインキ切れ現象を少なくすることができる。キサンタンガムとシリカの混合は、例えば自動乳鉢・ボールミル・ジェットミル・アトマイザ−等で混合、又はハンマーミル・ハイブリダイザ−(商品名、奈良機械製作所)等によって機械的な衝撃力を加え、キサンタンガムの表面上に超微粒子状無水シリカが静電気吸着或いは物理吸着されることによって得ることができる。キサンタンガムとシリカの混合したものは、電子顕微鏡による観察で、キサンタンガムの表面にシリカが吸着していることをもって確認することができる。
【0013】
これらの他に、インキ組成物の粘度調整のために、天然系のアラビアガム、トラガカントガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、デキストラン、半合成系のメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒドロキシプロピル化グァーガム、及びそれら誘導体などの水溶性増粘多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂のアルカリ金属塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体などの水溶性高分子を併用することもできる。
【0014】
更に、アルミナ、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、樹脂球などの体質顔料、尿素、エチレン尿素、チオ尿素などの湿潤剤や潤滑剤、ベンゾチアゾリン系、オマジン系などの防腐剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、アニオン系、非イオン系の界面活性剤、消泡剤、定着剤などの種々の添加剤が使用できる。
【0015】
本発明のインキを製造するに際しては、従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、上記各成分を配合し、ターボミキサー、ヘンシェルミキサー等の撹拌機により撹拌混合することによって、又、ボールミル、サンドグラインダー、スピードラインミル、ロールミル等の分散機により分散することによって容易に得られる。
【0016】
以下、実施例1〜8及び比較例1〜7に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
(実施例1)
ダイワレッド104WB(C.I.Acid Red 92、ダイワ化成(株)製) 2.2部
BASONYL RED 540(C.I.Basic Violet 10、BASFジャパン(株)製) 0.6部
エチレングリコール 10.0部
ジエチレングリコール 8.0部
プロクセルGXL(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、防腐剤、アビシア(株)製)0.2部
サルコシネートOH(オレオイルサルコシン、日光ケミカルズ(株)製) 3.0部
ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.5部
アエロジル200CF(シリカ、12nm、200m/g、日本アエロジル(株)製) 0.01部
トリエタノールアミン 2.0部
水 73.49部
上記成分のうち、ケルザンARとアエロジル200CFをハイブリタイザー(奈良機械(株)製)を用いて混合した粉を得た。電子顕微鏡でキサンタンガムの表面にシリカが吸着しているのを確認した。この粉を、水全量を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌して溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに5時間攪拌した後1ミクロン糸巻きフィルターでろ過してインキを得た。
【0017】
(実施例2)
ダイワレッド104WB(C.I.Acid Red 92、ダイワ化成(株)製) 2.2部
BASONYL RED 540(C.I.Basic Violet 10、BASFジャパン(株)製) 0.6部
エチレングリコール 10.0部
ジエチレングリコール 8.0部
プロクセルGXL(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、防腐剤、アビシア(株)製)0.2部
サルコシネートOH(オレオイルサルコシン、日光ケミカルズ(株)製) 3.0部
ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.5部
アエロジル200(シリカ、12nm、200m/g、日本アエロジル(株)製) 0.05部
トリエタノールアミン 2.0部
水 73.45部
上記成分のうち、ケルザンARとアエロジル200をハイブリタイザー(奈良機械(株)製)を用いて混合した粉を得た。この粉を、電子顕微鏡でキサンタンガムの表面にシリカが吸着しているのを確認した。この粉を、水全量を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌して溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに5時間攪拌した後1ミクロン糸巻きフィルターでろ過してインキを得た。
【0018】
(実施例3)
NKW2117(ピンク色水性顔料ベ−ス、日本蛍光化学(株)製) 50.00部
グリセリン 15.00部
サルコシネートOH(オレオイルサルコシン、日光ケミカルズ(株)製) 3.0部
ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.5部
アエロジル200CF(シリカ、12nm、200m/g、日本アエロジル(株)製) 0.1部
水 36.60部
上記成分のうち、ケルザンARとアエロジル200CFを、自動乳鉢を用いて混合した粉を得た。この粉を、電子顕微鏡でキサンタンガムの表面にシリカが吸着しているのを確認した。この粉を、水全量を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌して溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに1時間攪拌してインキを得た。
【0019】
(実施例4)
NKW2117(ピンク色水性顔料ベ−ス、日本蛍光化学(株)製) 50.00部
グリセリン 15.00部
サルコシネートOH(オレオイルサルコシン、日光ケミカルズ(株)製) 3.0部
ケルザンAR(キサンタンガム、三晶(株)製) 0.5部
アエロジルR972(シリカ、16nm、110m/g、日本アエロジル(株)製) 0.05部
水 37.10部
上記成分のうち、ケルザンARとアエロジルR972を、自動乳鉢を用いて混合した粉を得た。この粉を、電子顕微鏡でキサンタンガムの表面にシリカが吸着しているのを確認した。この粉を、水全量を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌して溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに1時間攪拌してインキを得た。
【0020】
(実施例5)
実施例1の成分のうち、ケルザンARと水全量を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌して溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに5時間攪拌した後1ミクロン糸巻きフィルターでろ過してインキを得た。
【0021】
(実施例6)
実施例2の成分のうち、ケルザンARと水全量を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌して溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに5時間攪拌した後1ミクロン糸巻きフィルターでろ過してインキを得た。
【0022】
(実施例7)
実施例3の成分のうち、ケルザンARと水全量を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌して溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに1時間攪拌してインキを得た。
【0023】
(実施例8)
実施例4の成分のうち、ケルザンARと水全量を攪拌しながら加えプロペラ攪拌機で1時間攪拌して溶液を得た。この液と残りの成分を混合し均一になるまでさらに1時間攪拌してインキを得た。
【0024】
(比較例1)
実施例6において、アエロジル200を除き、その分水を増量した以外は、実施例6と同様になして、インキを得た。
【0025】
(比較例2)
実施例6において、アエロジル200の添加量を0.2重量%に増量し、その分水を減量した以外は、実施例6と同様になして、インキを得た。
【0026】
(比較例3)
実施例6において、アエロジル200の添加量を0.4重量%に増量し、その分水を減量した以外は、実施例6と同様になして、インキを得た。
【0027】
(比較例4)
実施例6において、アエロジル200をアドマファインSO−C1(シリカ、250nm、17.4m/g、(株)アドマテックス社製)に変更した以外は、実施例6と同様になして、インキを得た。
【0028】
(比較例5)
実施例6において、アエロジル200をアエロジル300CF(シリカ、7nm、300m/g、日本アエロジル(株)製)に変更した以外は実施例6と同様になして、インキを得た。
【0029】
(比較例6)
実施例6において、アエロジル200をアエロジル380(シリカ、7nm、380m/g、日本アエロジル(株)製)に変更した以外は実施例6と同様になして、インキを得た。
【0030】
(比較例7)
実施例6において、アエロジル200CFをAEROXIDE Alu C(アルミナ、13nm、100m/g、(株)アドマテックス社製)に変更した以外は、実施例6と同様になして、インキを得た。
【0031】
以上、実施例1〜8、比較例1〜7で得たインキについて、ぺんてる(株)製のHybrid(製品符号K103)に使用されるインキ以外の部材を使用して組み立て、試験サンプルとした。
インキ切れ評価:
筆記用紙(JIS P3201筆記用紙A)に長さ20cmの直線を筆記した後、ペン先を上向きにして杉板上に1cm上方から落下させて衝撃を加える。その後再び長さ20cmの直線を筆記し、筆跡が連続しているかを確認した。連続している場合、上方からの高さを1cmずつ高くして、同様の試験を行い、筆跡が不連続になるまで継続して試験を行った。この不連続な筆跡が発生するまでの高さが高いほどインキ切れが少ないインキである。
試験の結果を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
本発明に係わるボールペン用水性インキは、ボールペンのペン先が大気に開放された状態で、ペン先が上向き時にペン後端部に衝撃を受けた時、インキがペン後端側に移動し、その後に筆記したときに筆記線がかすれたり、筆記できなくなったりするといったインキ切れ現象を少なくする有用なものとなる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤と、水と、キサンタンガムと、BET法による比表面積が30m/g以上250m/g未満で、粒子径が5nm以上40nm以下でインキ中の添加量が0.01重量%以上0.1重量%以下のシリカを含有するボールペン用水性インキ。
【請求項2】
前記キサンタンガムとシリカを混合したものを、他成分と混合してなる請求項1に記載のボールペン用水性インキの製造方法。