説明

ボールペン用油性インキ

【課題】気温や湿度などの外部環境の影響によらず、筆跡のカスレが生じにくい、ボールペン用油性インキの提供。
【解決手段】着色剤と、有機溶剤と、ポリグリセリン脂肪酸エステルと、ポリオキシエチレンヒマシ油及び/又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とこれらの誘導体、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる一種もしくは二種以上の混合物とを含有するボールペン用油性インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気温や湿度などの外部環境の影響によらず、筆跡のカスレが少ない、ボールペン用油性インキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の油性ボールペンは、ボールペンチップ先端部に存在するインキ中の有機溶剤が蒸発すると、インキ中の固形分量が増えるので、該部のインキの粘度が局部的に増粘し、書き出し時にボールが回りにくくなり、書き始めにインキが吐出せずに筆跡がカスレる現象(以下このような書き出し時に生じるカスレ現象を初筆カスレと称する)が起こりやすかった。
【0003】
初筆カスレを改善するために、今までに様々な試みがなされてきた。
特許文献1に記載の発明では、特定の非イオン系界面活性剤を用いたり、特許文献2に記載の発明のように、不揮発性の溶剤をインキ中に補助的に添加したりする事で、インキ組成物の乾燥を極力抑制して、常にボールを濡れた状態にし、初筆カスレを抑制することが試みられている。
【0004】
さらに、特許文献3、特許文献4ではポリグリセリン脂肪酸エステルをインキ中に添加する事で、脆弱な皮膜をペン先に形成させ、ペン先からの溶剤の蒸発を抑制し、初筆カスレを防止する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭61−52872(1頁右欄上から46行目〜2頁左欄上から7行目)
【特許文献2】特開平6−247093(3頁左欄上から44行目〜3頁右欄上から12行目)
【特許文献3】特公昭62−034352(2頁左欄上から5行目〜2頁左欄上から44行目)
【特許文献4】特開2002−53785(3頁右欄上から48行目〜4頁左欄上から30行目)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や特許文献2に記載の発明では、ボール表面のインキの乾燥速度を遅くし、初筆カスレが生じるまでの時間を長くする事はできたが、結局、ペン先を露出させた状態で長期間放置すると除々にインキ中の溶剤は蒸発してしまうので、初筆カスレを長期間に渡って防止する事はできなかった。また、ペン先を露出させた状態で長期間放置しても常にボールが濡れた状態になるのに十分な、非イオン系界面活性剤や不揮発性の溶剤をインキ中に添加すると、インキの流動性が保たれるので、書き出し時にボールの回転が阻害される事はないが、ペン先が常に濡れた状態になるので除々にインキが染み出してインキ洩れが生じる問題があった。
【0007】
特許文献3や特許文献4に記載の発明では、ポリグリセリン脂肪酸エステルが、溶剤に対する溶解性が悪いと共に、疎水性の強い脂肪酸エステル基を分子内に含有するため、温度変化が大きい環境や湿度が高い環境にボールペンがさらされると、ペン先やリフィル内部のインキ中に析出物が生じ、インキの流れやボールの円滑な回転を阻害するので筆跡がカスレるという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、初筆カスレが少なく、かつ、温度変化や高湿度などの外部環境の影響によらず筆跡のカスレが生じにくい、ボールペンを提供する、油性インキ組成物に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち本発明は、少なくとも、着色剤と、有機溶剤と、下記一般式(化1)で示される化合物と、下記一般式(化2)、(化3)、(化4)のいずれかで示される化合物から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物とを含有するボールペン用インキを要旨とするものである。
【0010】
【化1】

【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

【0013】
【化4】

【発明の効果】
【0014】
本発明のボールペン用油性インキが、ボールペンに使用して、初筆カスレが少なく、かつ、温度変化や高湿度などの外部環境の影響によらず筆跡のカスレを生じない、ボールペンを提供する油性インキ組成物を得る事ができた理由は以下のように考えられる。
(化1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルを、(化2)、(化3)、(化4)のいずれかで示される化合物と併用すると、(化2)、(化3)、(化4)の化合物が有する脂肪酸基と、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸基が、疎水結合し、(化2)、(化3)、(化4)の化合物が有するエチレンオキサイド基が、インキ中の有機溶剤と溶媒和するので、ポリグリセリン脂肪酸エステルがインキ中に安定に可溶化され、均一に分散した状態で存在する事になる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルが単に溶剤に良溶解している状態では、ボールペンが長期間保管されるなどしてインキ中の溶剤がある程度揮発すると、ポリグリセリン脂肪酸エステルが溶けきれなくなって析出し、結果として、インキの流れやボールの円滑な回転が阻害されて筆跡がカスレてしまう。しかし、本発明では、不揮発性でかつポリグリセリン脂肪酸エステルと化学結合する疎水性の脂肪酸基と親水性基を1分子内に併せ持つ(化2)、(化3)、(化4)との化学結合によって、可溶化されて均一に分散した状態で存在するので、溶剤が揮発してもポリグリセリン脂肪酸エステルは析出しない。この為、温度変化が大きかったり、高湿度などの環境下にボールペンがさらされて、インキ中の溶剤の溶解力が下がったり、吸湿した水分によってインキ媒体の組成が変わっても、ポリグリセリン脂肪酸エステルは可溶化されて均一に分散した状態を保つことが出来るので、筆記カスレが生じにくいものと推測される。
そしてボール表面においても、ポリグリセリン脂肪酸エステルは可溶化されて均一に分散した状態で存在するので、インキ中の溶剤が揮発して皮膜を形成する過程においても、常に均一にボール表面に存在する事で、ボール表面を均一な皮膜で覆ってインキの蒸発を抑制する事が出来、高い初筆カスレ防止効果が得られる。
また、(化2)、(化3)、(化4)は疎水性の強い脂肪酸基が、それぞれ2個以上の親水性のエチレンオキサイド基に挟まれた構造であり、このエチレンオキサイド基が有機溶剤との溶媒和する事で、インキ中で分子鎖を伸ばし、より高い可溶化力が得られる。このため、インキ中の有機溶剤の中の少なくとも1種がエチレンオキサイド基と親和性の強いグリコールエーテル系溶剤もしくはグリコール系溶剤もしくはアルコール系溶剤の時に、(化2)、(化3)、(化4)のエチレンオキサイド基と、インキ中の有機溶剤との溶媒和力が特に強くなり、ポリグリセリン脂肪酸エステルがインキ中により均一に存在する事になり、高い初筆カスレ防止効果と筆記カスレ防止効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を詳細に説明する。
着色剤としては、従来、ボールペン用インキに用いられている染料、顔料の全てが使用でき、染料、顔料は単独で用いても、併用しても良い。
【0016】
油溶性の染料としては、具体的には、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株)製)、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株)製)、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、米国、National Aniline Div.製)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、BASF社製、独国)、バリファーストイエロー#3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー#3105(C.I.18690)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック#3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー#1109、バリファーストオレンジ#2210、バリファーストレッド#1320、バリファーストブルー#1605、バリファーストバイオレット#1701(以上、オリエント化学工業(株)製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーBPNH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)や、ネオスーパーブルーC−555(以上、中央合成化学(株)製)等の従来公知の一般的なものが使用できる。
【0017】
水溶性の染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料等のいずれも用いることができる。その一例を挙げれば、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラックL−200(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、 ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤラスダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー4)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトローデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラピンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー#3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、カヤラススプラブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラターコイズブルーFBL(同199)等の直接染料や、アシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、スミノールファストブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(C.I.アシッドエロー7:1)、カヤシルエローGG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ダイワタートラジン(同23)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエローO(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターエロー#6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アイゼンエオシンGH(同87)、ウォーターピンク#2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノオールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(C.I.アシッドバイオレット15)、ミツイアシッドバイオレットBN(同17)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー#106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー#9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、スプラノールブルーB(同15)、オリエントソルブルブルーOBC(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーB(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/c(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー#115(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールブルー2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アシッドブリリアントミリンググリーンB(同9)、ダイワグリーン#70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)等の酸性染料、アイゼンカチロンイエロー3GLH(C.I.ベーシックイエロー11)、アイゼンカチロンブリリアントイエロー5GLH(同13)、スミアクリルイエローE−3RD(同15)、マキシロンイエロー2RL(同19)、アストラゾンイエロー7GLL(同21)、カヤクリルゴールデンイエローGL−ED(同28)、アストラゾンイエロー5GL(同51)、アイゼンカチロンオレンジGLH(C.I.ベーシックオレンジ21)、アイゼンカチロンブラウン3GLH(同30)、ローダミン6GCP(C.I.ベーシックレッド1)、アイゼンアストラフロキシン(同12)、スミアクリルブリリアントレッドE−2B(同15)、アストラゾンレッドGTL(同18)、アイゼンカチロンブリリアントピンクBGH(同27)、マキシロンレッドGRL(同46)、アイゼンメチルバイオレット(C.I.ベーシックバイオレット1)、アイゼンクリスタルバイオレット(同3)、アイゼンローダミンB(同10)、アストラゾンブルーG(C.I.ベーシックブルー1)、アストラゾンブルーBG(同3)、メチレンブルー(同9)、マキシロンブルーGRL(同41)、アイゼンカチロンブルーBRLH(同54)、アイゼンダイヤモンドグリーンGH(C.I.ベーシックグリーン1)、アイゼンマラカイトグリーン(同4)、ビスマルクブラウンG(C.I.ベーシックブラウン1)等の塩基性染料が挙げられる。
これらはインキ中の液媒体のうち少なくとも一つに可溶でなければならない。
【0018】
顔料は筆跡堅牢性の向上やインキの流動特性の改良を目的に添加され、一例としては、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサン系顔料、ベリノン、ベリレン系顔料、ジケトピロロピロール顔料、アニリンブラック、ニトロソ系顔料、ニトロ系顔料、等の有機顔料や、酸化鉄、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、鉄黒、酸化チタン、硫酸バリウム、カドミウムレッド、弁柄、クロムイエロー、黄土、カドミウムイエロー、バリウム黄、群青、紺青等の無機系顔料及び蛍光顔料、樹脂粒子を染料で着色した顔料で使用樹脂がインキ溶剤に溶解しないものが挙げられ、これらは単独あるいは混合して使用することが出来る。
黒色顔料としては例えば、プリンテックス3、同25、同30、同35、同40、同45、同55、同60、同75、同80、同85、同90、同95、同300、スペシャルブラック4、同5、同100、同250、同550(以上デグサヒュルスジャパン(株)製)。三菱カーボンブラック#2700、同#2650、同#2600、同#2400、同#2350、同#2300、同#2200、同#1000、同#990、同#980、同#970、同#960、同#950、同#900、同#850、同#750、同#650、同#52、同#50、同#47、同#45、同#45L、同#44、同#40、同#33、同#32、同#30、同#25、同#20、同#10、同#5、同#95、同#260、同CF9、同MCF88、同MA600、同MA77、同MA7、同MA11、同MA100、同MA100R、同MA100S、同MA220、同MA230(以上、三菱化学(株)製)、トーカブラック#8500/F、同#8300/F、同#7550SB/F、同#7400、同#7360SB/F、同#7350/F、同#7270SB、同#7100/F、同#7050(以上、東海カーボン(株)製)等のカーボンブラックや、ダイヤモンドブラックN(玉億色材(株)製)などのアニリンブラックや、ボーンブラック(三重カラーテクノ(株)製)や、鉄化ブラックKN−320(日本鉄化(株)製)などの鉄黒が挙げられる。
青色顔料としては例えばC.I.Pigment Blue 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同28、同29、同36、同60、同68、同76、同80等が使用できる。
赤色の顔料としてはC.I.Pigment Red 2、同3、同5、同8、同14、同17、同22、同23、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同53:1、同53:2、同57:1、同112、同122、同144、同146、同149、同166、同170、同175、同176、同177、同179、同184、同185、同187、同188、同202、同207、同208、同209、同210、同211、同213、同214、同242、同253、同254、同255、同256、同257、同264、同266、同268、同270、同272等が使用できる。
黄色の顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同55、同73、同74、同79、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同109、同110、同111、同120、同128、同133、同136、同138、同139、同147、同151、同154、同155、同167、同173、同174、同175、同176、同180、同185、同191、同194、同213等が使用できる。
橙色の顔料としてはC.I.Pigment Orange5、同13、同16、同34、同36、同38、同43、同62、同68、同72、同74等がある。
緑色の顔料としてはC.I.Pigment Green7、同36、同37等が使用できる。
紫色の顔料としてはC.I.Pigment Violet19、同23等が使用出来る。
【0019】
これらの着色剤の使用量はインキ全量に対し1重量%以上40重量%以下が好適に使用できる。使用量が1重量%より少ないと筆跡が薄すぎて耐光性試験や耐溶剤性試験を行ったときに紙面上に残る着色剤の量が少なくなり筆跡の判読がし難くなる。40重量%より多いと配合時の溶解不足や経時的な沈降による目詰まりによる筆記不能が生じやすくなる。また、これらの着色剤は単独で使用しても2種類以上を併用して使用しても良い。
【0020】
また、これらの顔料の他に加工顔料も使用可能である。それらの一例を挙げると、Renol Yellow GG−HW30、同HR−HW30、同Orange RL−HW30、同Red HF2B−HW30、同FGR−HW30、同F5RK−HW30、同Carmine FBB−HW30、同Violet RL−HW30、同Blue B2G−HW30、同CF−HW30、同Green GG−HW30、同Brown HFR−HW30、Black R−HW30(以上、クラリアントジャパン(株)製)、UTCO−001エロー、同012エロー、同021オレンジ、同031レッド、同032レッド、同042バイオレット、同051ブルー、同052ブルー、同061グリーン、同591ブラック、同592ブラック(以上、大日精化工業(株)製)、MICROLITH Yellow 4G−A、同MX−A、同2R−A、Brown 5R−A、Scarlet R−A、Red 2C−A、同3R−A、Magenta 2B−A、Violet B−A、Blue 4G−A、Green G−A(以上、チバ・スペシャリティケミカルズ(株)製)等がある。
【0021】
有機溶剤は、従来、ボールペン用インキに使用されるものなら特に限定なく使用でき、グリコールエーテル類、グリコール類、アルコール類が特に好ましい。
例えば、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、ベンジルモノグリコール、ベンジルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート等のグリコールエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,3ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のグリコール類、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシペンタノール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコール類、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル等のエーテル類、酢酸−2−エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−2−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン等のピロリドン類を挙げることができる。
これらの溶剤は単独あるいは組み合わせて使用でき、その使用量は油性インキ全量に対し5重量%以上95重量%以下が好ましい。
また、インキ中に含まれる水分は少量であれば、特に悪影響を及ぼすものではないが、インキ中の液媒体の50重量%未満であると、(化2)、(化3)、(化4)のエチレンオキサイド基と、インキ中の有機溶剤との溶媒和を水が妨げず、より高い初筆カスレ防止効果と筆記カスレ防止効果が得られるので、好ましい。
【0022】
(化1)で示されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、初筆カスレを防止する目的で添加される。具体的には、NIKKOL DGDO、DGTIS、Tetraglyn 3−S、Tetraglyn 5−S、Tetraglyn 5−O、Hexaglyn 3−S、Hexaglyn 4−B、Hexaglyn 5−S、Hexaglyn 5−O、Hexaglyn PR−15、Decaglyn 2−S、Decaglyn 2−IS、Decaglyn 3−S、Decaglyn 3−O、Decaglyn 5−S、Decaglyn 5−HS、Decaglyn 5−IS、Decaglyn 5−O、Decaglyn 5−O−R、Decaglyn 7−S、Decaglyn 7−O、Decaglyn 10−S、Decaglyn 10−IS、Decaglyn 10−O、Decaglyn 10−MAC、Decaglyn PR−20(以上、日光ケミカルズ(株)製)や、SYグリスター TS−7S、DAS−7S、SS−5S、TS−5S、PS−5S、TS−3S、PS−3S、DAO−7S、PO−5S、PO−3S、HB−750、DDB−750(以上、阪本薬品工業(株)製)や、リソレックス PGIS21、PGIS22、PGIS23、PGIS24、PGIS32、PGIS101、PGL101(以上、高級アルコール工業(株)製)や、EMALEX MSG−2、MSG−6K、DSG−2、DSG−3、DSG−6、TSG−10、DISG−2、TISG−2、DISG−3、DISG−6、TISG−10、DISG−2EX、DISG−3EX、DISG−10EX(以上、日本エマルジョン(株)製)や、グリサーフ 4MC、4ML、6MC、6ML、6DO、10ML、10MM、10MO、10PO(以上、青木油脂(株)製)などが挙げられる。
これらの使用量はインキ全量に対し0.01〜20.0重量%使用でき、好ましくは0.02〜5.0重量%使用できる。0.01重量%以下の添加では、初筆カスレを十分防止する事が出来ず、20.0重量%以上の添加では、インキの流動性が低くなって文字掠れが生じたり、インキ中の固形分量が多くなってしまい、他の配合物に制約を与えたりしてしまう。
【0023】
(化2)で示される化合物は、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とこれらの誘導体であり、市販のものとして、NIKKOL HCO−5、HCO−10、HCO−20、HCO−30、HCO−40、HCO−50、HCO−60、HCO−80、HCO−100(以上、日光ケミカルズ(株)製)、EMALEX HC−5、HC−7、HC−10、HC−20、HC−30、HC−40、HC−50、HC−60、HC−80、HC−100(以上、日本エマルジョン(株)製)、ブラウノン BR−404、BR−407、BR−410、BR−4135、BR−417、BR−420、BR−425、BR−430、BR−450、RCW−20、RCW−40、RCW−60、RCW−80、RCW−100(以上、日進化成(株)製)、UNIOXHC−10、HC−20、HC−40、HC−60、HC−100、HC−20ML、HC−40ML、HC−20MIS、HC−40MIS、HC−60MIS、HC−50MSU、NONION C−2300(日油(株)製)などが挙げられる。
【0024】
(化3)で示される化合物は、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルで、市販のものとして、NIKKOL GL−1、GS−460、GO−4V、GO−430NV、GO−440V、GO−460V、GIS−430(以上、日光ケミカルズ(株)製)、ソルボン TR−843(以上,東邦化学工業(株)製)、レオドール 430V、440V、460V(以上、花王(株)製)、ブラウノン SO−30TO、SO−40TO、SO−60TO(以上、青木油脂(株)製)などが挙げられる。
【0025】
(化4)で示される化合物は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルで、市販のものとして、NIKKOL SL−10、SP−10V、SS−10V、SS−10MV、SS−15V、SS−30V、SI−10RV、SI15RV、SO−10V、SO−15V、SO−15MV、SO−30V(以上、日光ケミカルズ(株)製)、ソルボン T−20、T−40、T−60、T−80、T−85(以上,東邦化学工業(株)製)、EMALEX EG−2854−IS、ET−2020、ET−8020、EY−8040(以上、日本エマルジョン(株)製)、レオドール TW−L120、TW−L106、TW−P120、TW−S120V、TW−S106V、TW−S320V、TW−O120V、TW−O106V、TW−IS399C、レオドールスーパー TW−L120、エマゾール L−120V、O−120V、S−120V(以上、花王(株)製)、ブラウノン ST−21、OT−21、OT−320(以上、青木油脂(株)製)などが挙げられる。
【0026】
これらの(化2)、(化3)、(化4)のいずれかで示される化合物は、単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良く、総量がインキ全量に対して0.01重量%以上20重量%以下の添加が好ましい。0.01重量%未満では添加効果が十分発揮されず、20重量%以上添加すると、インキ中の水や有機溶媒の含有量が減ってしまい、染料や樹脂などインキ中の固形分の溶解性が不足し、文字掠れが生じやすくなる。
【0027】
インキの粘度調整や筆跡の定着性を目的に、樹脂を適宜調整してインキ中に添加することができる。
具体例を挙げると、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルロース、コラーゲン、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、キサンタンガム類、サクシノグルカン類、ウエランガム類、ラムザンガム類、グァーガム類、その他水溶性多糖類、N−ビニルアセトアミド重合架橋物等の水溶性合成高分子、無機粘土鉱物などが挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。
本発明においては上記樹脂の中でも、有機溶剤への溶解性が優れ、インキの流動性が良好な、エスレックBL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−5、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5(以上、積水化学(株)製)、デンカブチラール#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−2、#5000−A、#5000−D、#6000−C、#6000−EP、#6000−CS、#6000−AS(電気化学工業(株)製)などのポリビニルブチラール樹脂、ケトンレジンK−90(以上、荒川化学工業(株)製)、ハロン80、110H(以上、本州化学(株)製)、シンセティックレジンAP、SK、1201(以上、ヒュルス社製)、ハイラック111、222、901、110H(以上、日立化成工業(株)製)、SKレジン(以上、エアウォーター(株)製)などのケトン樹脂、ジョンクリル67、678、586、611、680、682、683、690(以上、ジョンソンポリマー(株)製)などのスチレン−アクリル樹脂、タマノル100S、200N、1010R、510、526、586、572S、7509(以上、荒川化学工業(株)製)、ヒタノール1133、1135、1140、1501、1002、2501、2100、2181、2181S、2181SL、2300N、2306N、2330N、2553N、2420、2422、2423A、2426B、643KN(以上、日立化成工業(株)製)、YP−90、YP90L、YSポリスターS145、#2100、#2115、#2130、T80、T100、T115、T130、T145、マイティエースG125、150(以上、ヤスハラケミカル(株)製などのフェノール樹脂を好適に用いることができる。
【0028】
顔料の分散性を良好なものとするために、アニオン、カチオン、ノニオン、両性の界面活性剤や、高分子樹脂を補助的に使用することができる。具体的には、高級脂肪酸、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸類、リン酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等のアニオン、ノニオン、カチオン性の界面活性剤や、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、などの顔料分散用の樹脂やオリゴマーなどが挙げられる。
これらは単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。
また、顔料を分散するには汎用されている一般的な方法を用いることが可能である。例えば、顔料と溶剤と分散剤を混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ホモジナイザー等の分散機はインキの液媒体の量、顔料濃度によって適宜選択する。
【0029】
その他必要に応じて、ベンゾトリアゾール、金属塩系、リン酸エステル系化合物などの防錆剤や、イソチアゾロン、オキサゾリジン系化合物などの防腐剤や、シリコン系、鉱物油、フッ素系化合物などの消泡剤や、グリセリン、ソルビタン系、多糖類、尿素、エチレン尿素またはこれらの誘導体などの湿潤剤や、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、シリコン系、フッ素系界面活性剤などのレベリング性付与剤や、凍結防止剤などの従来公知のインキ用添加剤を併用することも可能である。
【0030】
インキを製造するには、上記で分散した顔料と他の成分、例えば粘度調整用樹脂や溶剤、潤滑剤、水溶性多糖類等を混合し、ホモミキサー等の撹拌機にて均一になるまで溶解・混合することで得られるが、場合によって混合したインキをさらに分散機にて分散したり、得られたインキを濾過や遠心分離機に掛けて粗大粒子や不溶解成分を除いたりすることは何ら差し支えない。
【実施例】
【0031】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
(実施例1)
プリンテックス35(カーボンブラック、デグサヒュルスジャパン(株)製) 6.0部
SPILON VIOLET C−RH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
16.3部
VALIFAST YELLOW C−GNH(油性染料、オリエント化学工業(株)
3.1部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 52.4部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル 14.2部
ヒタノール1501(フェノール樹脂、日立化成工業(株)製) 3.5部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.6部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 0.4部
NIKKOL Decaglyn 5−SV(化1にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製) 0.5部
NIKKOL HCO−10(化2にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製)
1.0部
NIKKOL TOP−0V(トリオレイルリン酸、東邦化学工業(株)製) 1.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとエチレングリコールモノイソプロピルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い黒色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で3時間攪して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0032】
(実施例2)
SPILON VIOLET C−RH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
13.0部
SPILON YELLOW C−GNH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
7.0部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 33.0部
エチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル 16.5部
ベンジルグリコール 15.5部
PVP−K90(ポリビニルピロリドン、ISP社製) 1.5部
NIKKOL Decaglyn 7−SV(化1にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製) 2.5部
NIKKOL GO−4V(化3にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製)
10.0部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0033】
(実施例3)
FUJI RED 8800(C.I.Pigment Red 254、富士色素
(株)製) 6.0部
SPILON RED C−GH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 14.6部
SPILON RED C−BH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 0.8部
VALIFAST YELLOW 1171 3.8部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 36.1部
フェニルグリコール 23.5部
イソプロピルグリコール 3.0部
ジョンクリル682(スチレンアクリ酸樹脂、BASFジャパン(株)製) 1.6部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成(株)製) 0.5部
NIKKOL Decaglyn 10−MAC(化1にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製) 11.0部
NIKKOL HCO−20(化2にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製)
0.1部
フォスファノールLB400(リン酸エステル系界面活性剤、東邦化学工業(株)製)
1.5部
ナイミーンL201(PEG−1ラウリルアミン、日油(株)製) 1.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとフェニルグリコールとイソプロピルグリコールの全量と、ジョンクリル682の全量を70℃で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからFUJI RED 8800の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い赤色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で3時間攪拌して赤色のボールペン用油性インキを得た。
【0034】
(実施例4)
Cromophtal Blue A3R(C.I.Pigment Blue 60、大同化成工業(株)製) 6.0部
VALIFAST BLUE1605(油性染料、オリエント化学工業(株)製)
11.0部
SPILON RED C−BH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 1.5部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 49.7部ベンジルグリコール 18.0部
ベンジルアルコール 10.2部
エスレックBL−10 3.0部
エスレックBH−3 1.0部
NIKKOL Hexaglyn 5−SV(化1にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製) 0.1部
NIKKOL HCO−5(化2にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製)
1.0部
L7002(シリコーンオイル、東レ・ダウコーニング(株)製) 0.5部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとベンジルグリコールとベンジルアルコールの全量と、エスレックBL−10の全量を70℃で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからCromophtal Blue A3Rの全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い青色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で3時間攪拌して青色のボールペン用油性インキを得た。
【0035】
(実施例5)
VALIFAST BLUE 1603(C.I.DIRECT BLUE 86とC.I.BASIC BLUE 7との造塩染料、オリエント化学工業(株)製)20.0部SPILON RED C−GH(油性染料、保土谷化学工業(株)製) 3.0部
N−メチル−2−ピロリドン 73.89部
エスレックBH−3 1.0部
EMALEX DSG−6(化1にて示される化合物、日本エマルジョン(株)製)
0.1部
NIKKOL TOP−106V(化3にて示される化合物、日光ケミカルズ(株)製)
1.0部
プライサーフA219(リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製)
1.0部
AKP−20(アルミナ、粒径0.5μm、住友化学工業(株)製) 0.01部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解して青色のボールペン用油性インキを得た。
【0036】
(比較例1)
SPILON VIOLET C−RH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
13.0部
SPILON YELLOW C−GNH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
7.0部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 33.0部
エチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル 16.5部
ベンジルグリコール 15.5部
PVP−K90(ポリビニルピロリドン、ISP社製) 1.5部
NIKKOL BO−7V(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、日光ケミカルズ
(株)製) 5.0部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0037】
(比較例2)
SPILON VIOLET C−RH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
13.0部
SPILON YELLOW C−GNH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
7.0部
ベンジルアルコール 10.0部
プロピレングリコールモノエチルエーテル 51.5部
セバシン酸ジオクチル 10.0部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成(株)製) 6.0部
PEMULEN TR−2(B.F.Goodrich社製、米国) 1.5部
上記成分を70℃で攪拌し、均一に溶解して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0038】
(比較例3)
プリンテックス35(カーボンブラック、デグサヒュルスジャパン(株)製) 6.0部
SPILON VIOLET C−RH(油性染料、保土谷化学工業(株)製)
16.3部
VALIFAST YELLOW C−GNH(油性染料、オリエント化学工業(株)
3.1部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 52.4部
エチレングリコールモノイソプロピルエーテル 14.2部
ヒタノール1501(フェノール樹脂、日立化成工業(株)製) 3.5部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.6部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 0.4部
NIKKOL Decaglyn 5−SV(化1にて示される化合物、日光ケミカルズ
(株)製) 1.5部
NIKKOL TOP−0V(トリオレイルリン酸、東邦化学工業(株)製) 1.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルとエチレングリコールモノイソプロピルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で攪拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライズ製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い10回通しを行い黒色のペーストを得た。
次いで、このペーストに残りの材料の全量を加え、70℃で3時間攪して黒色のボールペン用油性インキを得た。
【0039】
(比較例4)
実施例3において、NIKKOL Decaglyn 10−MACを除して、その分をジエチレングリコールモノメチルエーテルに置き換えた以外は同様になして黒色の油性インキを得た。
【0040】
以上、実施例、比較例で得たインキについて、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
【0041】
(試験用ボールペンの作製)
上記実施例1〜5及び比較例1〜4で得たボールペン用油性インキを市販の油性ボールペン(.e−ball、製品符号 BK127、ぺんてる(株)製(ボール径φ0.7))と同構造の筆記具に0.3g充填し、遠心機にて遠心力(1000rpm、5分間)を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作製した。
【0042】
初筆カスレ:上記試験用のボールペンを各実施例、比較例あたり10本ずつ作成し、それぞれ10cm直線筆記をした直後に、ペン先を露出させた状態で横向きにて室温で静置した。それぞれ、30分後、24時間後、1週間後、に筆記した時の書き出しのカスレ長さを測定し、初筆カスレ長とした。試験結果は10本の平均値で評価した。
【0043】
インキの安定性:上記試験用のボールペンを各実施例、比較例あたり5本ずつ以下の(1)、(2)の条件で保管した後、手書きで筆記した。その筆跡を目視で観察し、2点:筆跡のカスレなし、1点:筆跡のカスレが生じるが復元した、0点:筆跡のカスレが生じて復元しなかった、とした。n=5の平均値を最終的な評価点とした。
(1)温度50℃・湿度30%と−20℃の環境下にて交互に24時間ずつ下向きに保管し、これを5サイクル繰り返した。
(2)温度40℃・湿度80%の条件下で1カ月ペン先を下向きに保管した。
【0044】
【表1】

【0045】
以上、詳細に説明したように、初筆カスレが少なく、かつ、温度変化や高湿度などの外部環境の影響によって筆跡のカスレが生じにくい、ボールペン用油性インキに関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、着色剤と、有機溶剤と、下記一般式(化1)で示される化合物と、下記一般式(化2)、(化3)、(化4)のいずれかで示される化合物から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物とを含有するボールペン用油性インキ。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【請求項2】
前記有機溶剤のうちの少なくとも1種がグリコールエーテル系溶剤もしくはグリコール系溶剤もしくはアルコール系溶剤である請求項1記載のボールペン用インキ。

【公開番号】特開2011−127032(P2011−127032A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287975(P2009−287975)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】