説明

ボール式切換弁およびスターホイール装置

【課題】 高速運転に対応することができ、バルブ内に液体が浸入しても動作不良を起こすことがなく、構造が簡単なボール式切換弁を提供する。
【解決手段】 バルブ本体2の内周面2aは、複数のボールとの間でシール機能を有する弾性部材からなるシール面を構成し、複数のポートは、第1ポートP1と、第1ポートから離間して第1ポートを挟むように第1ポートの両側に設けられた第2ポートP2および第3ポートP3とを含み、複数のボールは、ボール収容孔2h内で往復移動して第1ポートと第2ポートとの連通および第1ポートと第3ポートとの連通を選択的に行う第1シール用ボール3−1と、第1シール用ボールの一側にあり第2ポートが第1ポートの反対側の空間と連通することを防止する第2シール用ボール3−2と、第1シール用ボールの他側にあり第3ポートが第1ポートの反対側の空間と連通することを防止する第3シール用ボール3−3とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボール式切換弁および該切換弁を備えたスターホイール装置に係り、特に隣接して設けられた複数のボールを往復移動させることにより流路を切り換えるボール式切換弁および容器を吸着する吸着カップを有し多数の容器を搬送することができるスターホイール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス壜やペットボトル等の容器を保持して所定の円弧状の搬送路に沿って搬送する装置として、スターホイール装置が知られている。このスターホイール装置は、容器がはまり込む複数のポケットを外周上に有するスターホイールと、各ポケットに設けられ容器の側面を吸着する吸着カップと、吸着カップと同数設けられ各吸着カップへの真空の供給を適宜に切り換える切換弁とを備えている。スターホイール装置で容器を取り扱う一例として、スターホイールのポケットに取り込んだ容器を移送中に自動検査をして、不良品を吸着カップにより吸着してラインから排除するものがある。この場合、容器はコンベヤ等の搬送装置によりスターホイールに供給され、スターホイールのポケットにはまり込んで移送され、移送の途中で容器がカメラにより検査される。良品はコンベヤ等の搬送装置に戻され、不良品は吸着カップにより吸着されて移送され、所定位置で排出される。不良品を吸着するときは、切換弁を作動させることにより、吸着カップは真空源に接続される。
【0003】
図5は従来のスターホイール装置の一例を示す縦断面図である。図5に示すように、スターホイール装置は、ガラス壜等の容器21がはまり込む複数のポケット51aを外周上に有するスターホイール51と、ポケット毎に配置され容器21の胴部を吸着する吸着カップ52と、吸着カップ52への真空の供給を適宜に切り換えるスプール式切換弁53が配設された肉厚な円盤状のバルブ本体54と、真空源(図示せず)に連通する連通孔55aが内部に設けられた回転軸55とを備えている。この種のスターホイール装置においては、スターホイール51とバルブ本体54は、回転軸55と一体的に回転するように、それぞれ回転軸55に固定されている。バルブ本体54に配設されたスプール式切換弁53は吸着カップ52と同数だけ配置されており、スプール式切換弁53と吸着カップ52とはそれぞれ配管56を介して接続されている。そして、バルブ本体54の内部には、各切換弁53に連通する複数の連絡路54aが放射状に形成されている。
【0004】
回転軸55に設けられた連通孔55aは、回転軸55とバルブ本体54との接触面で開口し、バルブ本体54に設けられた前記複数の連絡路54aに連通している。このようにして、真空源から吸着カップ52に至るまでの真空経路が形成されている。スプール式切換弁53はバルブ本体54の円周上に形成されたスプール孔54s内に上下動可能に設けられたスプール53aから構成されている。スプール53aには、シール用のOリング59が装着されている。スプール式切換弁53は、バルブ本体54の外周近傍で同一円周上に所定間隔をおいて配列されている。容器21が不良品の場合には、不良品信号によりバルブ本体54の下方に配設されたエアシリンダ58を作動させ、エアシリンダ58のピストン58aで、スプール53aを上方に突き上げ、吸着カップ52に真空を供給する。不良品(容器21)は吸着カップ52により真空吸着され、スターホイール51によって移送される。不良品を吸着した吸着カップ52が解除位置へ来ると、スプール53aを押し下げて元に戻し真空を遮断する。
【0005】
図6(a)および図6(b)は、従来のスターホイール装置の他の例を示す縦断面図である。図6(a)に示すように、スターホイール装置は、容器21がはまり込む複数のポケット61aを外周上に有するスターホイール61と、ポケット毎に配置され容器21の胴部を吸着する吸着カップ62と、吸着カップ62への真空の供給を適宜に切り換える玉弁式切換弁70が固定されるとともにスターホイール61と一体に回転する回転体64と、真空源(図示せず)に連通する連通孔65aが内部に設けられるとともに回転体64と摺接する固定体65と、回転軸66とを備えている。
【0006】
この種のスターホイール装置においては、スターホイール61と回転体64は、回転軸66と一体的に回転するように、それぞれ回転軸66に固定されている。玉弁式切換弁70は、吸着カップ62と同数だけ配置されており、多面体から成る回転体64の側面に取り付けられている。そして、玉弁式切換弁70と吸着カップ62とはそれぞれ配管68を介して接続されている。図6(b)に示すように、玉弁式切換弁70は、バルブ本体71と、バルブ本体71内に設けられたスプール72と、スプール72の両端に設けられOリング76を装着したシール部材73,73と、シール部材73の上下に設けられたボール74,74とを有している。ボール74はリテーナ75により抜け落ちないように保持されている。スプール72にはOリングが装着されておらず、バルブ本体71の内径とスプール72の外径とは、流体が漏れないように小さな間隙に設定されている。
【0007】
円周方向の所定位置には、リテーナ75に保持されたボール74を押し上げてバルブ本体71内のスプール72を押し上げ、吸着カップ62と真空源とを接続して吸着カップ62に真空を供給するためのエアシリンダ78が設けられている。円周方向の他の所定位置には、リテーナ75内で押し上げられたボール74を押し下げ、スプール72を元に戻して真空を遮断するためのローラ79が設けられている。
【0008】
容器21が不良品の場合には、不良品信号によりエアシリンダ78が作動し、ピストン78aがリテーナ75に保持されたボール74を押し上げてスプール72を押し上げ、吸着カップ62に真空を供給する。不良品(容器21)は吸着カップ62により真空吸着され、スターホイール61によって移送される。不良品を吸着した吸着カップ62が解除位置へ来ると、ローラ79が押し上げられたボール74を押し下げ、スプール72を押し下げて元に戻し真空を遮断する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来のスプール式切換弁を備えたスターホイール装置においては、エアシリンダのピストンでスプールを突き上げる際に、突き上げのタイミングがずれてしまうと、スプールに斜めの力が加わりスプールが曲がってしまうという問題がある。また、スターホイールとともに回転しているスプールをエアシリンダのピストンで突き上げる必要があるため、スターホイールを高速で回転させるとエアシリンダのピストンがスプールを押すタイミングが取りにくく、高速運転に対応困難であるという問題点がある。さらに、切換弁の動作時に、スプールに装着されたOリングがポートの穴部を通過するために、Oリングが破損するという問題点がある。しかも、Oリングがポートの穴部を通過する距離が長いという問題点がある。
【0010】
一方、玉弁式切換弁を備えたスターホイール装置においては、容器にはビール等の液体が充填されているため、吸着カップにより容器を吸着する際に、液体を吸い込むことがあり、吸着カップから吸い込んだ液体がバルブ本体内に流入し、この液体がスプールとスプール穴との間隙に詰まって(固着して)しまい、スプールがスムーズに動かずに動作不良が生ずるという問題点がある。また、バルブの内部に浸入した液体により、バルブの内部が腐食し錆びが発生するという問題点がある。さらに、玉弁式切換弁は、バルブ本体内に収容される弁体が三つの部品、すなわちスプールとスプールの上下のシール部材とから構成されているため、高価であるという問題点がある。
【0011】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、Oリング等のシール部材を不要とし、高速運転に対応することができ、バルブ内に液体が浸入しても動作不良を起こすことがなく、構造が簡単で安価なボール式切換弁および該ボール式切換弁を備えたスターホイール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するため、本発明のボール式切換弁は、円形断面を有し複数のボールを収容するボール収容孔と、該ボール収容孔に連通する複数のポートとを有するバルブ本体と、前記ボール収容孔内に往復移動可能に設けられ列状に並んだ複数のボールとを備え、前記バルブ本体の内周面は、前記複数のボールとの間でシール機能を有する弾性部材からなるシール面を構成し、前記複数のポートは、第1ポートと、第1ポートから離間して第1ポートを挟むように第1ポートの両側に設けられた第2ポートおよび第3ポートとを含み、前記複数のボールは、前記ボール収容孔内で往復移動して第1ポートと第2ポートとの連通および第1ポートと第3ポートとの連通を選択的に行う第1シール用ボールと、第1シール用ボールの一側にあり第2ポートが第1ポートの反対側の空間と連通することを防止する第2シール用ボールと、第1シール用ボールの他側にあり第3ポートが第1ポートの反対側の空間と連通することを防止する第3シール用ボールとを含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、複数のシール用ボールを一方向に移動させ、第1シール用ボールを第1ポートと第3ポートの間のシール面に密接させ、第2シール用ボールを第2ポートを挟んで第1ポートと第2ポートの間のシール面と反対側のシール面に密接させ、第3シール用ボールを第3ポートを挟んで第1ポートと第3ポートの間のシール面と反対側のシール面に密接させる。この場合、第1ポートと第2ポートの間のシール面は、いずれのシール用ボールとも接触せずにフリーの状態になる。したがって、第1ポートと第2ポートとは、隣接する2つのシール用ボール間の環状の連通路を介して連通する。そして、第3ポートは、第1シール用ボールと第1ポートと第3ポートの間のシール面および第3シール用ボールと第3ポートを挟んで第1ポートと第3ポートの間のシール面と反対側のシール面により密封される。
【0014】
前記複数のシール用ボールを反対方向に移動させ、第1シール用ボールを第1ポートと第2ポートの間のシール面に密接させ、第2シール用ボールを第2ポートを挟んで第1ポートと第2ポートの間のシール面と反対側のシール面に密接させ、第3シール用ボールを第3ポートを挟んで第1ポートと第3ポートの間のシール面と反対側のシール面に密接させる。第1ポートと第3ポートの間のシール面は、いずれのシール用ボールとも接触せずにフリーの状態となる。したがって、第1ポートと第3ポートとは、隣接する2つのシール用ボール間の環状の連通路を介して連通する。そして、第2ポートは、第1シール用ボールと第1ポートと第2ポートの間のシール面および第2シール用ボールと第2ポートを挟んで第1ポートと第2ポートの間のシール面と反対側のシール面により密封される。
【0015】
このように、本発明のボール式切換弁によれば、第1ポートと第2ポートとを連通させる流路と、第1ポートと第3ポートとを連通させる流路とを、複数のシール用ボールを往復移動させることにより、切り換えることができる。
【0016】
また、前記シール用ボールを往復移動させるための2つの作動用ボールを備えたことを特徴とする。
また、前記バルブ本体の全体は、弾性部材からなることを特徴とする。
また、前記弾性部材はゴムからなることを特徴とする。
【0017】
本発明のスターホイール装置は、容器がはまり込むポケットが円周上に複数あるスターホイールと、各ポケットに設けられ容器の側面を吸着する吸着カップと、吸着カップと同数設けられ真空源に接続され各吸着カップへの真空の供給を切り換える上述のボール式切換弁を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明のスターホイール装置によれば、小型のボール式切換弁を用いることができるため、多数のボール式切換弁を小さなスペースに設置することができ、スターホイール装置のポケット数を増加することができる。また、切換弁がスプールを用いていないため、スターホイールの高速運転に対応可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下に列挙する効果を奏することができる。
(1)バルブ本体のボール収容孔の内周面をシール機能を有する弾性部材で構成し、ボール収容孔内に収容された複数のボールを往復移動させて流路を切り換える構成であるため、Oリング等のシール部材を用いる必要がなく、またバルブ本体にシール部材を装着する円周溝を形成する必要がない。したがって、材料費の低減およびバルブ本体の加工コストの低減を図ることができる。また円周溝が不要なため、バルブ本体の寸法精度を高精度にする必要がなく、加工精度の点からも製造コストを低減できる。さらにスプールを用いていないため高速運転に対応することができる。
(2)バルブ本体のボール収容孔の内周面をシール機能を有する弾性部材で構成し、ボール収容孔内に収容された複数のボールを往復移動させて流路を切り換える構成であるため、バルブ内に液体が浸入しても動作不良を起こすことがない。
【0020】
(3)ボール収容孔の内周面がシール機能を有する弾性部材からなるバルブ本体とバルブ本体のボール収容孔内に往復移動可能に設けられた複数のボールとによって切換弁を構成することができるため、構造が簡単で安価で且つ小型のボール式切換弁とすることができる。
(4)シール用ボールとバルブ本体のボール収容孔の内周面との接触部で各ポート間の連通および遮断を行っているので、作動時のボール位置決め精度を高い精度にする必要がない。
(5)小型のボール式切換弁を用いることができるため、多数のボール式切換弁を小さなスペースに設置することができ、スターホイール装置のポケット数を増加することができる。また、切換弁がスプールを用いていないため、スターホイールの高速運転に対応可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るボール式切換弁の実施形態を図1および図2を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係るボール式切換弁を示す断面図である。図1に示すように、ボール式切換弁1は、内部に円形のボール収容孔2hを有したバルブ本体2と、バルブ本体2内のボール収容孔2hに収容された複数(実施例においては3個)のシール用ボール3−1,3−2,3−3とを備えている。シール用ボール3−1,3−2,3−3は、本実施形態においては、規格品を使用しており、公称直径7mmで±0.01mmの精度で加工されている。
【0022】
バルブ本体2の内周面2aは、ゴム等の弾性部材で構成されており、このバルブ本体2の内周面2aは、シール用ボール3−1,3−2,3−3との間でシール機能を有するシール面2sを構成している。本実施形態において、バルブ本体2の全体はゴムから構成されており、ゴムの種類としては、例えば、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等、一般的な工業用ゴムを使用することができる。なお、ウレタンゴム、シリコンゴムは、強度が不足するため本実施形態には適さない。また、バルブ本体2のゴム硬度はショア硬度40〜50が好ましく、バルブ本体2の内周面2aの直径の寸法は直径7mmで、−0.1mm〜−0.2mmの精度でシール用ボール3−1,3−2,3−3よりやや小さく加工されている。
【0023】
バルブ本体2の上下端には略円筒状のリテーナ5が固定され、リテーナ5内には前記シール用ボール3−1,3−2,3−3を往復移動させるための作動用ボール6−1,6−2が収容されている。リテーナ5は、作動用ボール6−1,6−2がリテーナ5より脱落しないように、作動用ボール6−1,6−2の外径よりも小さい内径の開放端5aを有している。バルブ本体2は、中心部に第1ポートP1を有し、第1ポートP1から離間して第1ポートP1を挟むように第2ポートP2および第3ポートP3をそれぞれ有している。各ポートP1,P2,P3はボール収容孔2hに連通されている。
【0024】
シール用ボール3−1は第1シール用ボールを構成しており、ボール収容孔2h内で往復移動して第1ポートP1と第2ポートP2の連通および第1ポートP1と第3ポートP3との連通を選択的に行うことができるようになっている。また、シール用ボール3−2は第2シール用ボールを構成し、この第2シール用ボール3−2は第2ポートP2が第1ポートP1の反対側の空間S1と連通することを防止している。さらに、シール用ボール3−3は第3シール用ボールを構成し、この第3シール用ボール3−3は第3ポートP3が第1ポートP1の反対側の空間S2と連通することを防止している。
【0025】
なお、図1に示す実施形態では、バルブ本体2の全体をゴムで構成したが、バルブ本体2の内周面2aから所定厚さだけゴムで構成し、バルブ本体2の外周面2bは金属等の剛性を有した円筒体で構成してもよい。
【0026】
図2(a)および図2(b)は、図1に示すボール式切換弁の動作説明図である。
図2(a)に示すように、突き上げローラ10により作動用ボール6−1を突き上げて、シール用ボール3−1,3−2,3−3および作動用ボール6−2をA方向(上向き)に移動させ、流路を切り換える。また、図2(b)に示すように、押し下げローラ11により、作動用ボール6−2を押し下げて、シール用ボール3−1,3−2,3−3および作動用ボール6−1をB方向(下向き)に移動させ、流路を切り換える。
【0027】
1)図2(a)に示す状態では、第1シール用ボール3−1は第1ポートP1と第3ポートP3の間のシール面2s−2に密接し、第2シール用ボール3−2は第2ポートP2の下方のシール面2s−3に密接し、第3シール用ボール3−3は第3ポートP3の上方のシール面2s−4に密接している。第1ポートP1と第2ポートP2の間のシール面2s−1は、いずれのシール用ボールとも接触せずにフリーの状態にある。従って、第1ポートP1と第2ポートP2とは、隣接する2つのシール用ボール3−1,3−2間の略三角形の断面を有する環状の第1連通路F1を介して連通する。そして、第3ポートP3は、第1シール用ボール3−1とシール面2s−2および第3シール用ボール3−3とシール面2s−4により密封される。
【0028】
2)図2(b)に示す状態では、第1シール用ボール3−1は第1ポートP1と第2ポートP2の間のシール面2s−1に密接し、第2シール用ボール3−2は第2ポートの下方のシール面2s−3に密接し、第3シール用ボール3−3は第3ポートP3の上方のシール面2s−4に密接している。第1ポートP1と第3ポートP3の間のシール面2s−2は、いずれのシール用ボールとも接触せずにフリーの状態にある。従って、第1ポートP1と第3ポートP3とは、隣接する2つのシール用ボール3−1,3−3間の略三角形の断面を有する環状の第2連通路F2を介して連通する。そして、第2ポートP2は、第1シール用ボール3−1とシール面2s−1および第2シール用ボール3−2とシール面2s−3により密封される。
【0029】
以上のように、図1、図2(a)および図2(b)に示すボール式切換弁によれば、第1ポートP1と第2ポートP2とを連通させる流路と、第1ポートP1と第3ポートP3とを連通させる流路とを、シール用ボール3−1,3−2,3−3を上下に往復移動させることにより、切り換えることができる。
【0030】
次に、本発明のボール式切換弁を組み込んだスターホイール装置を説明する。
図3は本発明のボール式切換弁を組み込んだスターホイール装置を用いた容器検査装置の全体構成を示す平面図である。ガラス壜等の容器21は、コンベヤ22でスターホイール装置30のスターホイール31に供給され、スターホイール31のポケット31aにはまり込んで移送され、移送の途中で、例えば、容器21の口部がカメラにより検査される。良品はコンベヤ22の下流に戻され、不良品は吸着カップ(後述する)により吸着されて排出用ターンテーブル25に移送される。なお、符号26は容器21の胴部に係合するベルトである。
【0031】
図4は本発明のスターホイール装置の縦断面図である。スターホイール装置30は、モータ(図示せず)に連結された主軸32と、容器21がはまり込むポケット31aが円周上に複数あるスターホイール31と、各ポケット31aに設けられ容器21の側面を吸着する吸着カップ33と、主軸32に固定されるとともにスターホイール31の下面を支持する支持部材34とを備えている。また、スターホイール装置30は、スターホイール31に固定されるとともに内部に連絡路35a,35b,35cを有した環状部材35と、環状部材35の下方に位置するとともに主軸32に固定された板状部材36とを備えている。また、環状部材35の外周面には、吸着カップ33と同数の切換弁1が固定されている。切換弁1は、図1および図2に示すボール式切換弁から構成されている。
【0032】
環状部材35内に形成された吸着カップ33と同数の第1連絡路35aは、環状部材35の上面に開口するとともに外周面に開口し、ボール式切換弁1の第1ポートP1に連通している。環状部材35内に形成された吸着カップ33と同数の第2連絡路35bは、環状部材35の下面に開口するとともに外周面に開口し、ボール式切換弁1の第2ポートP2に連通している。環状部材35内に形成された吸着カップ33と同数の第3連絡路35cは、環状部材35の下面に開口するとともに外周面に開口し、ボール式切換弁1の第3ポートP3に連通している。そして、各第1連絡路35aは、配管37を介して各吸着カップ33に接続されている。また、各第2連絡路35bは、板状部材36内の連絡路36aおよび主軸32内の連絡路32aを介して真空源(図示せず)に連通されている。さらに、第3連絡路35cは、下端が大気に開放されている。
【0033】
また、主軸32を回転可能に支持するハウジング状の固定部38の円周方向の所定位置には、ボール式切換弁1の下方に、突き上げローラ10が固定されており、この突き上げローラ10により、ボール式切換弁1の作動用ボール6−1を突き上げることができるようになっている。さらに、固定部38の円周方向の所定位置には、逆L字状のサポート39が固定されており、このサポート39の上端には、ボール式切換弁1の作動用ボール6−2を押し下げるための押し下げローラ11が固定されている。
【0034】
次に、前述のように構成されたスターホイール装置の動作について説明する。
モータによって主軸32が回転されるとスターホイール31およびボール式切換弁1を保持した環状部材35が一体に回転する。主軸32の回転に伴い、容器21は所定位置でスターホイール31のポケット31aに取り込まれるとともに容器21の側面は吸着カップ33により吸着される。すなわち、図2(a)に示すように、突き上げローラ10がボール式切換弁1の作動用ボール6−1を突き上げて、シール用ボール3−1,3−2,3−3および作動用ボール6−2をA方向に移動させることによって、吸着カップ33は、配管37、第1連絡路35a、第1ポートP1、第1連通路F1、第2ポートP2、第2連絡路35b、板状部材36の連絡路36a、主軸32の連絡路32aを介して真空源に接続される。
【0035】
容器21がスターホイール31および吸着カップ33により保持された状態で円弧状の搬送路に沿って所定位置まで搬送されると、図2(b)に示すように、押し下げローラ11がボール式切換弁1の作動用ボール6−2を押し下げて、シール用ボール3−1,3−2,3−3および作動用ボール6−1をB方向に移動させることによって、吸着カップ33は、配管37、第1連絡路35a、第1ポートP1、第2連通路F2、第3ポートP3、第3連絡路35cを介して大気に連通される。したがって、吸着カップ33による容器21の真空吸着が解除され、容器21はスターホイール装置30から排出される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明の実施形態に係るボール式切換弁を示す断面図である。
【図2】図2(a)および図2(b)は、図1に示すボール式切換弁の動作説明図である。
【図3】図3は本発明のボール式切換弁を組み込んだスターホイール装置を用いた容器検査装置の全体構成を示す平面図である。
【図4】図4は本発明のスターホイール装置の縦断面図である。
【図5】図5は従来のスターホイール装置の一例を示す縦断面図である。
【図6】図6(a)および図6(b)は、従来のスターホイール装置の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ボール式切換弁
2 バルブ本体
2a 内周面
2h ボール収容孔
2s−1,2s−2,2s−3,2s−4 シール面
3−1,3−2,3−3 シール用ボール
5,75 リテーナ
5a 開放端
6−1,6−2 作動用ボール
10 突き上げローラ
11 押し下げローラ
21 容器
22 コンベヤ
25 排出用ターンテーブル
26 ベルト
30 スターホイール装置
31,51,61 スターホイール
31a,51a,61a ポケット
32 主軸
32a,35a,35b,35c,36a,54a 連絡路
33,52,62 吸着カップ
34 支持部材
35 環状部材
36 板状部材
37,56 配管
38 固定部
39 サポート
53 切換弁
53a スプール弁
54s スプール孔
55,66 回転軸
55a,65a 連通孔
58,78 エアシリンダ
58a,78a ピストン
59,76 Oリング
64 回転体
65 固定体
70 玉弁式切換弁
72 スプール
74 ボール
79 ローラ
F1,F2 連通路
P1,P2,P3 ポート
S1,S2 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形断面を有し複数のボールを収容するボール収容孔と、該ボール収容孔に連通する複数のポートとを有するバルブ本体と、
前記ボール収容孔内に往復移動可能に設けられ列状に並んだ複数のボールとを備え、
前記バルブ本体の内周面は、前記複数のボールとの間でシール機能を有する弾性部材からなるシール面を構成し、
前記複数のポートは、第1ポートと、第1ポートから離間して第1ポートを挟むように第1ポートの両側に設けられた第2ポートおよび第3ポートとを含み、
前記複数のボールは、前記ボール収容孔内で往復移動して第1ポートと第2ポートとの連通および第1ポートと第3ポートとの連通を選択的に行う第1シール用ボールと、第1シール用ボールの一側にあり第2ポートが第1ポートの反対側の空間と連通することを防止する第2シール用ボールと、第1シール用ボールの他側にあり第3ポートが第1ポートの反対側の空間と連通することを防止する第3シール用ボールとを含むことを特徴とするボール式切換弁。
【請求項2】
前記シール用ボールを往復移動させるための2つの作動用ボールを備えたことを特徴とする請求項1に記載のボール式切換弁。
【請求項3】
前記バルブ本体の全体は、弾性部材からなることを特徴とする請求項1に記載のボール式切換弁。
【請求項4】
前記弾性部材はゴムからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のボール式切換弁。
【請求項5】
容器がはまり込むポケットが円周上に複数あるスターホイールと、
各ポケットに設けられ容器の側面を吸着する吸着カップと、
吸着カップと同数設けられ真空源に接続され各吸着カップへの真空の供給を切り換える請求項1乃至4のいずれか1項に記載のボール式切換弁とを備えたことを特徴とするスターホイール装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−85442(P2007−85442A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274371(P2005−274371)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(390014661)株式会社キリンテクノシステム (126)
【Fターム(参考)】