説明

ポイントツーマルチポイント・トラヒックパス符号化のための方法及び装置

本発明は、例えばマルチプロトコルラベルスイッチングネットワークなどにおいて、1つのイングレスノード(2)から複数のイーグレスノード(3)へのポイントツーマルチポイント・トラヒックパス(1)を符号化するための符号化方式を使用するネットワークノードおよび方法に関する。本符号化方式では、いわゆる共通EROを使用する。共通EROは、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスをシグナリングするために使用されるパスメッセージのサイズを縮小する圧縮メカニズムを提供するために、いくつかのサブパス(4)に共通なノードから成るリストを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスのシグナリングに関連して使用する方法および装置に関し、より詳しくはそのようなトラヒックパスの符号化に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)ネットワークなどのラベルスイッチングネットワークでは、ネットワークを通じて特定のパスに沿ってトラヒックをルーティングするために、ラベルスイッチパス(LSP)が確立される。LSPは、LSPに沿ったラベルスイッチルータ(LSR)に配信されるパスメッセージを使用するシグナリングを用いて確立される。
【0003】
1つのイングレス(ingress)LSRと1つのイーグレス(egress)LSRとの間のポイントツーポイントLSPに加えて、1つのイングレスLSRと複数のイーグレスLSRとの間のポイントツーマルチポイント(P2MP)LSPを設定することが可能である。P2MP LSPは、例えばIP−TVに利用の場合は、マルチキャストに使用されてもよい。P2MP LSPは、複数のソースツーリーフ(S2L)サブLSPから成る。これらのS2LサブLSPは、イングレスLSRとイーグレスLSRとの間に設定され、P2MP LSPを符号化するパスメッセージを、P2MP LSPを形成するすべてのブランチに接続されたLSRに伝達することで適切に結合される。
【0004】
LSPを設定するために開発された既知のメカニズムおよびセマンティックスがある。非特許文献1は、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)ネットワークにおけるP2Pトラヒックエンジニアリング適用(Traffic Engineered、TE)LSPを設定するメカニズムを定めている。非特許文献2は、GMPLS(Generalized MPLS)ネットワークにおいてP2P TE LSPを設定するために、上述の非特許文献1の拡張を定めている。しかし、これらの仕様書は、ポイントツーマルチポイント(P2MP) TE LSPを構築するためのメカニズムを提供していない。
【0005】
非特許文献3は、非特許文献4に記載される要件のセットを満足するP2MP TE LSPを利用可能にするために、上記の非特許文献1および2に述べられているRSVP−TEプロトコルの拡張を定めている。非特許文献3は、P2MP LSPを構築するために、RSVP−TEが引き継いだリソース予約プロトコル(RSVP)のセマンティックスを当てにしている。
【0006】
非特許文献3は、1つのS2LサブLSPの明示的符号化に基づくP2MP LSP符号化の圧縮メカニズムを述べている。P2MP LSPの他のS2LサブLSPに関しては、分岐LSRからそのS2LサブLSPのイーグレスLSRまでのパスだけが明示的に符号化される。従って、この圧縮メカニズムを用いることで、各S2LサブLSPに関してイングレスからイーグレスまでルートを明示的に符号化する場合に生じ得る余分の処理が減少し、パスメッセージのサイズも減少する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】IETF RFC 3209、「RSVP−TE:LSPトンネルのためのRSVPの拡張(RSVP-TE: Extensions to RSVP for LSP Tunnel)」、2001年12月
【非特許文献2】IETF RFC 3473、「GMPLSシグナリングのためのRSVP−TEの拡張(Generalized Multi-Protocol Label Switching (GMPLS) Signaling Resource ReserVation Protocol-Traffic Engineering (RSVP-TE) Extensions)」、2003年1月
【非特許文献3】IETF RFC 4875、「ポイントツーマルチポイントTEラベルスイッチパス(LSP)のためのRSVP−TEの拡張(Extensions to Resource Reservation Protocol-Traffic Engineering (RSVP-TE) for Point-to-Multipoint TE Label Switched Paths (LSPs))」、2007年5月
【非特許文献4】IETF RFC 4461、「ポイントツーマルチポイント・トラヒックエンジニアリング適用MPLSラベルスイッチパス(LSP)のためのシグナリング要件(Signaling Requirements for Point-to-Multipoint Traffic-Engineered MPLS Label Switched Paths (LSPs))」、2006年4月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、複雑なトポロジを有するP2MP LSPの設定は、バイト数の非常に多いシグナリング情報を依然として必要とする。それ故、先行技術による方法および装置より効率的にP2MP LSPを設定できる方法および装置が必要である。
【0009】
本発明の1つの目的は、先行技術の符号化方式に代わる符号化方式を用いて、例えばマルチプロトコルラベルスイッチングネットワークなどの、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスの設定を可能にする方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的は、独立請求項に記載の方法およびネットワークノードを用いて達成される。
【0011】
本発明の第1の実施形態は、ネットワークの1つのイングレスノードから複数のイーグレスノードへのポイントツーマルチポイント・トラヒックパスをシグナリングするための、第1のネットワークノードにおける方法を提供する。トラヒックパスは、複数のソースツーリーフ・サブパスを有する。各ソースツーリーフ・サブパスは、そのイングレスノードと1つのイーグレスノードとの間に設定される。本方法は、符号化方式を使用してポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化し、複数のパス記述子を作成するステップを備える。この符号化方式は、1つのパス記述子として共通明示的ルートオブジェクト(common explicit route object)を作成するステップを有する。共通明示的ルートオブジェクトは、複数のノードから成るリストを特定する。このリストの複数のノードは、第1のネットワークノードからのダウンリンクであり、第2のネットワークノードを横切り、かつ、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきノードである。本方法はまた、パスメッセージの中に複数のパス記述子を含めるステップと、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに従ってトラヒックのルーティングを可能にするために、パスメッセージを第2のネットワークノードに送信するステップとを備える。
【0012】
本発明の第2の実施形態は、第1のネットワークノードを提供し、このノードは、ネットワークの1つのイングレスノードから複数のイーグレスノードへのポイントツーマルチポイント・トラヒックパスをシグナリングするように構成される。トラヒックパスは、複数のソースツーリーフ・サブパスを有する。各ソースツーリーフ・サブパスは、そのイングレスノードと1つのイーグレスノードとの間に設定される。ネットワークノードは、プロセッサ部を備える。プロセッサ部は、符号化方式を使用してポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化し、複数のパス記述子を作成するように構成される。この符号化方式は、1つのパス記述子として共通明示的ルートオブジェクトを作成するように構成される。共通明示的ルートオブジェクトは、ノードから成るリストを特定する。このリストのノードは、第1のネットワークノードのダウンリンクであり、第2のネットワークノードを横切るポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきノードである。プロセッサ部はまた、パスメッセージの中に複数のパス記述子を含めるようにも構成される。ネットワークノードは出力部をさらに備え、この出力部は、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに従ってトラヒックのルーティングを可能にするために、パスメッセージを第2のネットワークノードに送信するように構成される。
【0013】
本発明の第3の実施形態は、ネットワークの1つのイングレスノードから複数のイーグレスノードへのポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに従ってトラヒックのルーティングを確立するための、ネットワークノードにおける方法を提供する。トラヒックパスは、複数のソースツーリーフ・サブパスを有する。各ソースツーリーフ・サブパスは、そのイングレスノードと1つのイーグレスノードとの間に設定される。方法の1ステップによれば、パスメッセージが受信される。パスメッセージは、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化するシグナリング情報を含む。方法は、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに従ってトラヒックのルーティングを可能にするために、パスメッセージをさらに作成し転送すべきかを判定するためのパスメッセージの処理ステップも備える。この処理ステップには、パスメッセージの中の共通明示的ルートオブジェクトの解釈も含む。この共通明示的ルートオブジェクトは、ノードから成るリストを特定する。このリストのノードは、このネットワークノードのダウンリンクにあり、このネットワークノードを横切るポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきノードである。
【0014】
本発明の第4の実施形態は、ネットワークの1つのイングレスノードから複数のイーグレスノードへのポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに従ってトラヒックのルーティングを確立するためのネットワークノードを提供する。トラヒックパスは、複数のソースツーリーフ・サブパスを有する。各ソースツーリーフ・サブパスは、そのイングレスノードと1つのイーグレスノードとの間に設定される。ネットワークノードは、パスメッセージを受信するように構成された入力部を備える。パスメッセージは、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化するシグナリング情報を含む。ネットワークノードは、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに従ってトラヒックのルーティングを可能にする手段として、パスメッセージをさらに作成し転送すべきかを判定するために、パスメッセージを処理するように構成されたプロセッサ部も備える。プロセッサ部は、パスメッセージの中の共通明示的ルートオブジェクトを解釈するようにさらに構成される。共通明示的ルートオブジェクトは、ノードから成るリストを特定する。このリストのノードは、このネットワークノードのダウンリンクにあり、このネットワークノードを横切るポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきノードである。
【0015】
本発明の実施形態の1つの利点は、パスメッセージの中により少ないネットワークノードしか列挙せずに、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスの符号化を可能にすることである。従って、パスメッセージのサイズを減少することができ、シグナリング量のセービング(saving)を達成できる。
【0016】
本発明の実施形態の別の利点は、セービングされるシグナリング空間の量が展開されるトポロジに関係することである。ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスのトポロジが複雑になればなるほど、ますますセービング空間が大きくなる。しかし、本発明の実施形態による符号化方式を使用するのに必要なシグナリングの量は、非特許文献3による符号化方式が使用されるとき必要なシグナリングの量より常に少ない。
【0017】
本発明の実施形態による符号化方式のさらなる利点は、非特許文献3で提案された符号化方式の計算コストより多くは全く持ち込まないことである。結論として、本発明の実施形態は、計算の複雑さまたは他のコスト関連面で不利益をもたらすことなく、コスト効率の高い符号化方式を提供する。本発明は、この符号化方式を使用できる方法およびネットワークノードを提供する。
【0018】
本発明の実施形態のさらなる利点および特徴は、図面とともに以下の詳細説明を読むと明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態によって符号化し得るポイントツーマルチポイント・トラヒックパスのトポロジを示す略ブロック図である。
【図2A】、
【図2B】先行技術の符号化方式による、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化するパスメッセージを示す略ブロック図である。
【図3A】、
【図3B】本発明の一実施形態による符号化方式を用いてポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化するパスメッセージを示すシーケンス図である。
【図4】本発明の実施形態によって符号化し得るポイントツーマルチポイント・トラヒックパスのトポロジを示す略ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態によって符号化し得るポイントツーマルチポイント・トラヒックパスのトポロジを示す略ブロック図であるフローチャート図である。
【図6】本発明の一実施形態である、パスメッセージを送信するステップを有するネットワークノードにおける方法を示すフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態である、パスメッセージを受信するステップを有するネットワークノードにおける方法を示すフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態によるネットワークノードを示す略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明について、本発明の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して、これ以降より詳しく説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきでない。それどころか、これらの実施形態は、本開示が徹底的で全部そろっており、当業者に本発明の範囲について伝えるように提供されている。図面では、同様の参照記号は同様の要素に言及している。
【0021】
本発明およびその利点についてよく理解してもらうために、上述の非特許文献3に記載される先行技術のソリューションについて、図1に示されるポイントツーマルチポイント(P2MP)ラベルスイッチパス(LSP)トポロジおよび図2A及び図2Bに示される概略的に描かれたパスメッセージに関してまず説明する。次いで、本発明の実施形態について、同じ図1のP2MP LSPトポロジおよび図3A、図3Bに示される概略的に描かれたパスメッセージに関して説明する。それによって、先行技術との違いおよび先行技術に対する利点の説明が容易になるであろう。
【0022】
非特許文献3によるソリューションでは、ネットワーク内の非イングレスノードを複製/分岐ノードにすることによって、ポイントツーマルチポイントLSPを確立し得る。分岐ノードは、入力データを1つ以上の出力インタフェース上に複製するLSRである。非特許文献3によるソリューションは、P2MP TE LSPを設定するのに、ネットワークのRSVP−TEに頼る。P2MP TE LSPは、複数のS2LサブLSPを関係付け、分岐ノードでのデータ複製に頼ることによって設定される。
【0023】
P2MP LSPは、P2MPツリーのLSRに伝達されるパスメッセージを使用してシグナリングされる。パスメッセージが、1つのS2LサブLSPだけをシグナリングする(すなわち、このパスメッセージはP2MPツリーの1つのリーフだけを対象にしている)とき、EXPLICIT_ROUTEオブジェクト(ERO)がイーグレスLSRへのパスを符号化する。パスメッセージは、シグナリングされているS2LサブLSPに関するS2L_SUB_LSPオブジェクトも含む。<[<EXPLICIT_ROUTE>],<S2L_SUB_LSP>>のタプルは、S2LサブLSPを表し、サブLSP記述子と呼ばれる。
【0024】
パスメッセージが複数のS2LサブLSPをシグナリングするとき、第1のイーグレスLSRへのS2LサブLSPのパスは、非特許文献3のソリューションによればEROに符号化される。第1のS2LサブLSPは、パスメッセージの中の第1のS2L_SUB_LSPオブジェクトに相当するものである。続くS2L_SUB_LSPオブジェクトに相当するS2L_SUB_LSPは、サブシクエント(subsequent)S2LサブLSPと呼ばれ、各サブシクエントS2LサブLSPのパスは、P2MP_SECONDARY_EXPLICIT_ROUTEオブジェクト(SERO)に符号化される。SEROのフォーマットは、EROと同じである。その意味は、各サブシクエントS2LサブLSPが、<[<P2MP SECONDARY_EXPLICIT_ROUTE>],<S2L_SUB_LSP>>形態のタプルで表されるということである。非特許文献3によれば、特定のS2LサブLSPに関するSEROは、以下にさらに詳しく説明するやり方で、分岐LSRからそのS2LサブLSPのイーグレスLSRまでのパスだけを有する。非特許文献3によれば、ブランチは、EROまたは他のSEROの明示的ホップとして現れなければならない。
【0025】
パスメッセージの構成は、非特許文献3に以下のように述べられている。
<パスメッセージ>::=<共通ヘッダ>[INTEGRITY]
[[<MESSAGE_ID_ACK>|<MESSAGE_ID_NACK>]…]
[<MESSAGE_ID>]
<SESSION><RSVP_HOP>
<TIME_VALUES>
[<EXPLICIT_ROUTE>]
<LABEL_REQUEST>
[<PROTECTION>]
[<LABEL_SET>…]
[<SESSION_ATTRIBUTE>]
[<NOTIFY_REQUEST>]
[<ADMIN_STATUS>]
[<POLICY_DATA>…]
<送信元記述子>
[<S2LサブLSP記述子リスト>]
以下は、S2LサブLSP記述子リストのフォーマットである。
<S2LサブLSP記述子リスト>::=<S2LサブLSP記述子>
[<S2LサブLSP記述子リスト>]
<S2LサブLSP記述子>::=<S2L_SUB_LSP>
[<P2MP SECONDARY_EXPLICIT_ROUTE>]
非特許文献3によれば、第1のS2L_SUB_LSPオブジェクトは特別な場合であり、その明示的ルートがEROに特定される。それ故、非特許文献3のソリューションによれば、第1のS2L_SUB_LSPオブジェクトの後にSEROが続くべきでない。
【0026】
ERO、SEROおよびS2L_SUB_LSPオブジェクトの符号化については、非特許文献3に詳細に述べられている。S2L_SUB_LSPオブジェクトは、S2LサブLSP目的地の宛先アドレスを含み、そのアドレスは、例えばIPv4アドレスまたはIPv6アドレスでもよい。非特許文献3のソリューションによれば、EROおよびSEROは、そのS2LサブLSPの宛先アドレスを含む、S2LサブLSPに沿ったLSRのネットワークアドレスのリストを含む。
【0027】
S2LサブLSPのホップを共有する部分に関するパス情報の反復を減少するために、非特許文献3は、SEROにおいて明示的ルートの圧縮を使用して、他のS2LサブLSPの明示的ルートからこの情報を推定するアルゴリズムについて述べている。そのやり方は、以下に説明する例から明らかになるであろう。
【0028】
ここで、図1に概略的に描かれている例示のP2MP LSPトポロジを検討する。図1は、イングレスLSR2としてのLSR Aと、6つのイーグレスLSR3であるF、N、O、P、Q、Rとを有するP2MP LSP1を示す。従って、P2MP LSP1は、破線で概略的に描かれている6つのS2LサブLSP4から成る。6つのS2LサブLSP4が1つのパスメッセージでシグナリングされるとき、LSR FへのS2LサブLSPが第1のS2LサブLSPであると想定すると、非特許文献3に述べられる圧縮技法によれば、イングレスLSR Aは、LSR Bへのパスメッセージを作成するために、以下の符号化を使用できよう。
【0029】
S2LサブLSP−F:ERO={B,E,D,C,F},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトF
S2LサブLSP−N:SERO={D,G,J,N},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトN
S2LサブLSP−O:SERO={E,H,K,O},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトO
S2LサブLSP−P:SERO={H,L,P},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトP
S2LサブLSP−Q:SERO={H,I,M,Q},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトQ
S2LサブLSP−R:SERO={Q,R},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトR
次いで、LSR Bは、LSR Aからのパスメッセージを処理して、EROの中のLSRのリストから自装置のネットワークアドレスを単に取り除くことによって、受信パスメッセージに基づいてLSR Eに対する新しいパスメッセージを作成するであろう。
【0030】
LSR Eは、分岐LSRである。LSR Eは、LSR Bからの入力パスメッセージを処理した後に、S2LサブLSPの明示的ルートが以下のように符号化されたパスメッセージをLSR Dに送信する。
【0031】
S2LサブLSP−F:ERO={D,C,F},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトF
S2LサブLSP−N:SERO={D,G,J,N},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトN
LSR Eは、LSR Hにも以下のようなパスメッセージを送信する。
【0032】
S2LサブLSP−O:ERO={H,K,O},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトO
S2LサブLSP−P:SERO={H,L,P},S2L_SUB_LSPオブジェクトP
S2LサブLSP−Q:SERO={H,I,M,Q},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトQ
S2LサブLSP−R:SERO={Q,R},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトR
LSR Hは、Eからの入力パスメッセージを処理した後に、パスメッセージをLSR K、LSR LおよびLSR Iに送信する。LSR Kへのパスメッセージに関する符号化は以下の通りである。
【0033】
S2LサブLSP−O:ERO={K,O},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトO
LSR HからLSR Lに送信されるパスメッセージの符号化は以下の通りである。
【0034】
S2LサブLSP−P:ERO={L,P},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトP
LSR HからLSR Iに送信されるパスメッセージの符号化は以下の通りである。
【0035】
S2LサブLSP−Q:ERO={I,M,Q},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトQ
S2LサブLSP−R:SERO={Q,R},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトR
次いでパスメッセージは、上述の原理と同じ原理に従って、P2MP LSP1のすべてのLSRに引き続き伝達される。
【0036】
上述のアルゴリズムは、S2L記述子の中のアドレスリストの圧縮をもたらすが、パストポロジが複雑な場合は、パスメッセージは依然として非常に大きくなり得る。本発明の実施形態は、異なる記述子における同じアドレスの反復を上述の先行技術のソリューションより大幅に回避することで、パスメッセージの冗長性をさらにもっと減少できるソリューションを提供する。
【0037】
本発明の実施形態によれば、SEROのリストの中のノードのリストを縮小することで、パスメッセージのサイズを縮小し、ひいてはルーティングに必要なシグナリング量を減少することが可能である。これは、最初の共通の一連のアドレスの反復を防止することで達成される。本発明の実施形態は、いわゆる共通明示的ルートオブジェクト(共通ERO)を導入する。このオブジェクトは、サブツリーのサブパスに共通であるノードを列挙するために使用され、以下の本発明の実施形態の詳細説明から明らかになるであろう。
【0038】
図1に示されるトポロジを有するP2MP LSP1を再度検討する。本発明の実施形態によるS2LサブLSP4の符号化およびシグナリングのやり方について、これより説明する。
【0039】
図1に描かれたノードA〜Rをラベルスイッチルータ(LSR)と呼び、描かれたトポロジはラベルスイッチパスのトポロジだったが、本発明の実施形態は、ラベルスイッチング技法の現在の標準によるネットワークやノードとは異なるタイプのネットワークやノードに適用できることが予見されている。それ故、「ノード」または「ネットワークノード」などのより一般的な用語もノードA〜Rに言及するために使用する。「P2MPトラヒックパス」、「トラヒックパス」および「サブパス」などのより一般的な用語も使用するが、対応するより具体的な用語の「P2MP LSP」、「LSP」および「サブLSP」が本発明の具体的な実施形態の例であることが理解されるはずである。
【0040】
図1から、S2Lサブパス4のすべてがノードA、B、Eを横切ることに気付くことができる。さらに、サブツリーを検討すると、いくつかのサブパスがノードのいくつかを共通に有していることに気付くことができる。本発明の実施形態によれば、パスメッセージを送信するノードを横切るすべてのサブパスに共通であるノードは、共通EROに符号化される。共通EROを導入することで、それに続くSEROで共通EROに列挙されたノードのどれも反復する必要がない。
【0041】
従って、本発明の実施形態による符号化は以下の通りである。
【0042】
ノードAは、本発明の実施形態による圧縮を使用して、ノードBへのパスメッセージの中のS2Lサブパス明示的ルートを、以下のように符号化できる。
【0043】
共通ERO:ERO={B,E}
S2LサブLSP−F:SERO={D,C,F},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトF
S2LサブLSP−N:SERO={D,G,J,N},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトN
S2LサブLSP−O:SERO={H,K,O},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトO
S2LサブLSP−P:SERO={H,L,P},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトP
S2LサブLSP−Q:SERO={H,I,M,Q},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトQ
S2LサブLSP−R:SERO={Q,R},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトR
上述の先行技術の対応する符号化に比べて、本発明の実施形態による符号化は、パスメッセージに1つのSEROが追加になるだろうが、SEROの中には先行技術より短くなるものがあることに注意されたい。このSEROサイズのセービングは、パスツリーを伝わるさらなるパスメッセージで累積するであろう。
【0044】
ここで、P2MPトラヒックパス1に関するパスメッセージの符号化の説明を続けると、ノードBは、ノードAからのパスメッセージを処理して、共通EROの中のノードのリストから自装置のネットワークアドレスを単に取り除くことによって、受信パスメッセージに基づいて、ノードEに対する新しいパスメッセージを作成するであろう。
【0045】
ノードEは分岐ノードである。ノードEは、ノードBからの入力パスメッセージを処理した後に、S2LサブLSPの明示的ルートが以下のように符号化されたパスメッセージをノードDに送信する。
【0046】
共通ERO:ERO={D}
S2LサブLSP−F:SERO={C,F},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトF
S2LサブLSP−N:SERO={G,J,N},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトN
先行技術の対応するパスメッセージに比べて、上記の符号化によれば、ノードDのネットワークアドレスが反復されないことに注意されたい。
【0047】
ノードEは、ノードHにもパスメッセージを送信する。
【0048】
共通ERO:ERO={H}
S2LサブLSP−O:SERO={K,O},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトO
S2LサブLSP−P:SERO={L,P},S2L_SUB_LSPオブジェクトP
S2LサブLSP−Q:SERO={I,M,Q},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトQ
S2LサブLSP−R:SERO={Q,R},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトR
上記の符号化に関して、ノードHのネットワークアドレスは、パスメッセージの中で反復されない。
【0049】
ノードHは、ノードEからの入力パスメッセージを処理した後に、パスメッセージをノードK、ノードLおよびノードIに送信する。
【0050】
ノードKへのパスメッセージの符号化は、以下の通りである。
【0051】
S2LサブLSP−O:ERO={K,O},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトO
ノードHからノードLに送信されるパスメッセージの符号化は、以下の通りである。
【0052】
S2LサブLSP−P:ERO={L,P},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトP
以下の符号化は、ノードHがノードIに送信するパスメッセージの中のS2Lサブパス明示的ルートを符号化するために使用するものである。
【0053】
S2LサブLSP−Qかつ共通ERO:ERO={I,M,Q},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトQ
S2LサブLSP−R:SERO={R},<S2L_SUB_LSP>オブジェクトR
上記の符号化は、先行技術の符号化ソリューションと比べてノードQのネットワークアドレスの反復を1回セービングする。本発明のこの実施形態に関しては合計で、先行技術の上述の符号化による50回のノードネットワークアドレスの使用に代わって、ノードネットワークアドレスが45回符号化に使用された。
【0054】
上述の本発明の例示的実施形態から、パスメッセージの中に共通EROが導入されることは明らかである。共通EROは、いわゆる共通ノードのリストを特定する。共通ノードと見なされ、それ故共通EROに含まれる1つ以上のノードは、共通EROを含むパスメッセージを送信するP2MPパスのノード次第であろう、そして共通EROを有するパスメッセージを受信するノード次第でもあろう。共通ノードは、送信ノードのダウンリンクにあり、受信ノードを横切るあらゆるS2Lサブパスが横切るべきノードである。共通EROの導入は、追加の情報バイトに関するコストがかかるが、このコストより、他のサブパス記述子に行い得るセービングの方が勝る。それらのノードのリストが、先行技術のソリューションに比べて短縮され得るからである。本発明の実施形態による共通EROは、常にイーグレスノードを列挙している訳ではないので、必ずしもソースツーリーフ・パスを特定しない。そのような、共通EROがイーグレスノードを列挙していない場合、<[<EXPLICIT_ROUTE>],<S2L_SUB_LSP>>のサブLSP記述子のタプルと比べて、S2L_SUB_LSPオブジェクトが落ちているかもしれない。それ故、共通EROがパス目的地の表示を少しも含まないことは起こり得る。共通EROが同時にソースツーリーフ・パスも特定する特別な場合、S2L_SUB_LSPオブジェクトがタプルの中で使用される。このやり方は、さらなる空間のセービングと、受信装置に共通EROがソースツーリーフ・パスでもあるか否かを見分けさせるのとを可能にする。
【0055】
図2A及び図2Bが、上述の先行技術のソリューションによって図1のノードAからノードBに送信してもよいパスメッセージ21の略ブロック図であるのに対して、図3A、図3Bは、上述の本発明の実施形態による対応するパスメッセージ31の略ブロック図である。
【0056】
図2A及び図2Bのパスメッセージ21は、6つのパス記述子22を備える。第1のパス記述子22は、EROヘッダ23と、サブLSPヘッダ24と、この場合は図1のノードFのIPv4ネットワークアドレスを特定するサブLSP宛先アドレス25と、この場合は図1のノードB、E、D、C、Fのネットワークアドレスを含むいくつかのサブオブジェクト26とを含む。第2のパス記述子22は、EROヘッダ23の代わりにSEROヘッダ27を含むが、その他の点では第1のパス記述子と同じタイプのメッセージフィールドから成る。
【0057】
図3A、図3Bのパスメッセージ31は、7つのパス記述子32を備える。第1のパス記述子32は、共通EROヘッダ33と、この場合は図1のノードBおよびEを示すいくつかのノードインジケータ36とを有する。ノードBを示すノードインジケータ36だけが図3A、図3Bに詳しく描かれており、ノードBのIPv4ネットワークアドレスおよび4バイトの他の情報を含むサブオブジェクトであると示されている。しかし、本発明は、ノードを他のタイプの情報を用いて識別してもよいので、ノードの実際のネットワークアドレスを含むノードインジケータ36の使用に限定されない。第1のパス記述子32はここでは、ソースツーリーフ・サブパスを符号化せずに、上述のように共通ノードを特定するだけなので、特別な場合である。それ故、第1のパス記述子32は、サブLSP宛先アドレスを含まないが、しかし本明細書では、やはりパス記述子と呼ぶことにする。第2のパス記述子32は、SEROヘッダ37と、この場合はノードFのIPv4ネットワークアドレスを特定するサブLSP宛先アドレス35と、この場合は図1のノードB、E、D、C、Fを示すいくつかのノードインジケータ36とを含む。図3A、図3Bでは、ノードAは、図3A、図3Bに描かれるパス記述子32のすべてを有する1つのパスメッセージ31をノードBに送信すると想定している。しかし、パス記述子をノードAからノードBへの複数のパスメッセージに分散することは可能である。
【0058】
上述の本発明の実施形態による符号化方式を非特許文献3による先行技術の符号化方式と比べようとした場合、分岐ノードから送信される各パスメッセージに関するセービング空間(バイト単位で表現)は、以下の式に要約されてもよい。
【0059】
セービング=(n−1)×(ER−SO)−(EROヘッダ)
上式で、
nは、分岐ノードからの分岐数であり、
ER−SOは、図2A及び図2Bに示されるサブオブジェクト26のサイズであり、4バイト+(アドレス)のサイズ(例として、ノードを識別するために使用されるアドレス方式がIPv4の場合、(アドレス)のサイズは4バイトであり、アドレス方式がIPv6の場合、(アドレス)のサイズは16バイト)であり、
EROヘッダは、上述の実施形態によれば4バイトである。
【0060】
上式では、(n−1)×(ER−SO)がセービング部分であり、そして(EROヘッダ)がオーバヘッド部分である。例として、図4に示される分岐ノードRおよびn=3のP2MPパストポロジを検討する。ここでは、合計のセービングは、12バイトになるであろう。
【0061】
共通EROによってもたらされるオーバヘッドが、セービング空間部分によって常に償われることは注目に値する。この意味することは、このアルゴリズムが、非特許文献3で提案されているアルゴリズムより優れた圧縮を常に提供できるということである。同時に計算の複雑さは、先行技術のソリューションと同じであり続ける。明らかに、セービング空間の量は、使用されるトポロジに依存する。トポロジが複雑になればなるほど、ますますセービング空間の総量は大きくなる。図1に示されるP2MPパストポロジの上記の例では、セービングは、非特許文献3の符号化方式に比べて合計で約8%である。図5に示されるトポロジの対応するセービングは、約23%であろう。
【0062】
例えばMPLSネットワークまたはGMPLSネットワークなどのP2MPパスは、パスメッセージがパスツリーの異なるネットワークノードを伝わる分散ルーティングメカニズムを用いて設定されるので、P2MPパス符号化の新しいやり方は、パスメッセージの作成の仕方およびパスメッセージを解釈すべき仕方に影響を及ぼすであろう。さらに、ネットワークノードは、送信するパスメッセージの作成に関して、および受信したパスメッセージの処理に関しての両方で、符号化方式を扱うように構成されなければならない。
【0063】
図6は、本発明による方法の一実施形態を示すフロー図である。図6の方法は、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスのシグナリング方法であり、パスメッセージを送信するネットワークノードで実行される。ステップ61では、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスが符号化され、複数のパス記述子が作成される。使用される符号化方式には、その複数のパス記述子の1つとして、共通明示的ルートオブジェクト(ERO)の作成を含む。共通EROは、現在のネットワークノードのダウンリンクにあり、パスメッセージを受信するネットワークノードを横切るポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきネットワークノードから成るリストを特定する。この場合、それらのパス記述子は、ステップ62で、作成される1つまたはいくつかのパスメッセージに含まれる。次いでステップ63で、その1つ以上のパスメッセージは、パスメッセージを受信することになっているネットワークノードに送信される。
【0064】
図7は、本発明による方法の別の実施形態を示すフロー図である。図7の方法は、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに従ってトラヒックのルーティングを確立する方法であり、パスメッセージを受信するネットワークノードで実行される。ステップ71では、1つまたはいくつかのパスメッセージが受信される。次いでステップ72で、その1つ以上のパスメッセージは処理される。処理は、共通明示的ルートオブジェクト(ERO)の解釈を含む。共通EROは、現在のネットワークノードのダウンリンクにあり、現在のネットワークノードを横切るポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきネットワークノードから成るリストを特定する。パスメッセージの処理および共通EROの解釈に基づき、ステップ73において、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに従ってトラヒックのルーティングを可能にするために、パスメッセージをさらに別のネットワークノードに転送すべきかどうかが判定される。現在のネットワークノードがイーグレスノードの場合、パスメッセージはさらにダウンリンクには転送されないが、そうでない場合は、1つ以上の新しいパスメッセージを作成し、現在のノードのダウンリンクにある他のネットワークノードに送信できよう。この場合、そのようなパスメッセージを作成および送信するときに、図6の方法を使用できよう。
【0065】
MPLSネットワークまたはGMPLSネットワークのLSRなどのネットワークノードのほとんどがパスメッセージの送信と受信の両方に適合されるであろうから、ネットワークノードが図6の方法と図7の方法の両方を実行できるように構成されるのは当然のことである。しかし、ネットワークノードが常にイングレスノードであるかまたは常にイーグレスノードであることは起こり得るかもしれないので、ネットワークノードによっては方法の片方だけを実行するように構成されることも起こり得るであろう。
【0066】
本発明の実施形態は、図6および図7の方法を実行するように構成されたネットワークノードも提供する。図8は、そのようなネットワークノード80の一実施形態を示す略ブロック図である。ネットワークノード80は、パスメッセージを受信するように構成された入力部81と、他のネットワークノードにパスメッセージを送信するように構成された出力部82とを備える。ネットワークノード80はまた、上述の符号化方式を使用してポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化するように、およびこの符号化方式に基づいてパスメッセージを作成するように、およびこの符号化方式に基づく受信パスメッセージを処理するように構成されたプロセッサ部83も備える。従って、プロセッサ部は、上述の共通EROを含むパスメッセージを作成および処理するように構成される。
【0067】
本発明について、本発明の実施形態を説明することによって、これまで説明した。しかし、当業者が理解するだろうように、多くの修正が可能である。本発明の一実施形態の詳細説明では、パスメッセージがリソース予約プロトコル−トラヒックエンジニアリング(RSVP−TE、Resource Reservation Protocol-Traffic Engineered)によるシンタックスに従うと想定し、共通明示的ルートオブジェクトがサブLSP記述子のEXPLICIT_ROUTEフィールドに含まれていると示した。しかしこれは、本発明の可能な実施形態の一例に過ぎない。本発明の他の実施形態は、当業者が理解するだろうように、異なるプロトコルシンタックスに頼ってもよい。本発明の実施形態による上述の方法の実施は、先行技術のネットワークノードのある程度の適合を必要とするであろう。そのような適合は、たいていソフトウェアの適合だけを必要とするだろうが、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらの組み合わせの適合を含む実施もまた実行可能である。
【0068】
図面および明細書において、本発明の典型的な好ましい実施形態を開示しており、具体的な用語を使用しているが、それらは、包括的および記述的意味だけで使用されており、限定のためではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおいて1つのイングレスノード(2)から複数のイーグレスノード(3)へのポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)であって、該イングレスノードと該イーグレスノードとの間でそれぞれ設定される複数のソースツーリーフ・サブパス(4)を含む前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)をシグナリングする第1のネットワークノード(80)における方法であって、
複数のパス記述子を作成するために、符号化方式を使用して前記ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化するステップ(61)と、
少なくとも1つのパスメッセージ(21,31)に前記複数のパス記述子を含めるステップと、
前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパスに従ってトラフィックのルーティングを可能とするために、前記少なくとも1つのパスメッセージを、少なくとも1つの第2のネットワークノードへ送信するステップ(63)と
を含み、
前記符号化方式は、前記複数のパス記述子の1つ(32)として共通明示的ルートオブジェクトを作成するステップを含み、
前記共通明示的ルートオブジェクトは、複数のノードから成るリストを特定し、
前記リストの複数のノードは、前記第1のネットワークノードからダウンリンクにあり、前記第2のネットワークノードを横切り、かつ、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきノードであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記符号化方式は、少なくとも1つのサブパス記述子(32)を作成し、
前記サブパス記述子(32)は、複数のノードのリストを特定し、
前記複数のノードのリストは、前記第1のネットワークノードからダウンリンクにあり、前記共通明示的ルートオブジェクトにリストアップされる任意のノードを除外し、当該ソースツーリーフ・サブパスの前記イーグレスノード(3)に到達するために前記ソースツーリーフ・サブパスの1つが横切るべきであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共通明示的ルートオブジェクトは、前記共通明示的ルートオブジェクトの前記リストがソースツーリーフ・サブパスの少なくとも最終的な部分を識別する場合にのみ、ソースツーリーフ・サブパスの宛先アドレスとしてイーグレスノード(3)の詳述を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)は、マルチプロトコルラベルスイッチングネットワーク又は汎用マルチプロトコルラベルスイッチングネットワークにおけるラベルスイッチパスであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記共通明示的ルートオブジェクトの前記リストは、該リストの前記複数のノードのネットワークアドレスを含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのパスメッセージは、リソース予約プロトコル−トラヒックエンジニアリング(RSVP−TE)に従ったパスメッセージであり、
前記共通明示的ルートオブジェクトは、前記RSVP−TEに従ったサブLSP記述子のEXPLICIT_ROUTEフィールドに含まれていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
ネットワークにおいて1つのイングレスノード(2)から複数のイーグレスノード(3)へのポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)であって、該イングレスノードと該イーグレスノードとの間でそれぞれ設定される複数のソースツーリーフ・サブパス(4)を含む前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)をシグナリングする第1のネットワークノード(80)であって、
複数のパス記述子(22,32)を作成するために、符号化方式を使用して前記ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスを符号化し、少なくとも1つのパスメッセージ(21,31)に前記複数のパス記述子を含めるプロセッサ部(83)と、
前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパスに従ってトラフィックのルーティングを可能とするために、前記少なくとも1つのパスメッセージを、少なくとも1つの第2のネットワークノードへ送信する出力部(82)と
を備え、
前記符号化方式は、前記複数のパス記述子の1つ(32)として共通明示的ルートオブジェクトを作成し、
前記共通明示的ルートオブジェクトは、複数のノードから成るリストを特定し、
前記リストの複数のノードは、前記第1のネットワークノードからダウンリンクにあり、前記第2のネットワークノードを横切り、かつ、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきノードであることを特徴とする第1のネットワークノード(80)。
【請求項8】
前記符号化方式は、さらに、少なくとも1つのサブパス記述子(32)を作成し、
前記サブパス記述子(32)は、複数のノードのリストを特定し、
前記複数のノードのリストは、前記第1のネットワークノードからダウンリンクにあり、前記共通明示的ルートオブジェクトにリストアップされる任意のノードを除外し、当該ソースツーリーフ・サブパスの前記イーグレスノード(3)に到達するために前記ソースツーリーフ・サブパスの1つが横切るべきであることを特徴とする請求項7に記載の第1のネットワークノード(80)。
【請求項9】
前記共通明示的ルートオブジェクトは、前記共通明示的ルートオブジェクトの前記リストがソースツーリーフ・サブパスの少なくとも最終的な部分を識別する場合にのみ、ソースツーリーフ・サブパス(4)の宛先アドレスとしてイーグレスノード(3)の詳述を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の第1のネットワークノード(80)。
【請求項10】
前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)は、マルチプロトコルラベルスイッチングネットワーク又は汎用マルチプロトコルラベルスイッチングネットワークにおけるラベルスイッチパスであることを特徴とする請求項7乃至9の何れか1項に記載の第1のネットワークノード(80)。
【請求項11】
前記共通明示的ルートオブジェクトの前記リストは、該リストの前記複数のノードのネットワークアドレスを含むことを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載の第1のネットワークノード(80)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのパスメッセージは、リソース予約プロトコル−トラヒックエンジニアリング(RSVP−TE)に従ったパスメッセージであり、
前記共通明示的ルートオブジェクトは、前記RSVP−TEに従ったサブLSP記述子のEXPLICIT_ROUTEフィールドに含まれていることを特徴とする請求項7乃至11の何れか1項に記載の第1のネットワークノード(80)。
【請求項13】
ネットワークにおいて1つのイングレスノード(2)から複数のイーグレスノード(3)へのポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)であって、該イングレスノードと該イーグレスノードとの間でそれぞれ設定される複数のソースツーリーフ・サブパス(4)を含む前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)に従ってトラフィックのルーティングを確立するネットワークノード(80)における方法であって、
前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパスを符号化するシグナリング情報を含む少なくとも1つのパスメッセージ(21,31)を受信するステップ(71)と、
任意の他のパスメッセージが作成されるべきであり、かつ、前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパスに従ってトラフィックのルーティングを可能とするために該任意の他のパスメッセージが他のネットワークノードへ転送されるべきであるかどうかを判定するために、前記少なくとも1つのパスメッセージを処理するステップ(72)と
を含み、
前記少なくとも1つのパスメッセージを処理する前記ステップは、前記少なくとも1つのパスメッセージ(31)における共通明示的ルートオブジェクトを解釈するステップを含み、
前記共通明示的ルートオブジェクトは、複数のノードから成るリストを特定し、
前記リストの複数のノードは、前記ネットワークノードからダウンリンクにあり、前記ネットワークノードを横切り、かつ、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきノードであることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのパスメッセージを処理する前記ステップは、さらに、少なくとも1つのサブパス記述子(32)を解釈するステップを含み、
前記サブパス記述子(32)は、複数のノードのリストを特定し、
前記複数のノードのリストは、前記ネットワークノードからダウンリンクにあり、前記共通明示的ルートオブジェクトにリストアップされる任意のノードを除外し、当該ソースツーリーフ・サブパスの前記イーグレスノード(3)に到達するために前記ソースツーリーフ・サブパスの1つが横切るべきであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記共通明示的ルートオブジェクトは、前記共通明示的ルートオブジェクトの前記リストがソースツーリーフ・サブパスの少なくとも最終的な部分を識別する場合にのみ、ソースツーリーフ・サブパス(4)の宛先アドレスとしてイーグレスノード(3)の詳述を含むことを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)は、マルチプロトコルラベルスイッチングネットワーク又は汎用マルチプロトコルラベルスイッチングネットワークにおけるラベルスイッチパスであることを特徴とする請求項13乃至15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記共通明示的ルートオブジェクトの前記リストは、該リストの前記複数のノードのネットワークアドレスを含むことを特徴とする請求項13乃至16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのパスメッセージは、リソース予約プロトコル−トラヒックエンジニアリング(RSVP−TE)に従ったパスメッセージであり、
前記共通明示的ルートオブジェクトは、前記RSVP−TEに従ったサブLSP記述子のEXPLICIT_ROUTEフィールドに含まれていることを特徴とする請求項13乃至17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
ネットワークにおいて1つのイングレスノード(2)から複数のイーグレスノード(3)へのポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)であって、該イングレスノードと該イーグレスノードとの間でそれぞれ設定される複数のソースツーリーフ・サブパス(4)を含む前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)に従ってトラフィックのルーティングを確立するネットワークノード(80)であって、
前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパスを符号化するシグナリング情報を含む少なくとも1つのパスメッセージ(21,31)を受信する入力部(81)と、
任意の他のパスメッセージが作成されるべきであり、かつ、前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパスに従ってトラフィックのルーティングを可能とするために該任意の他のパスメッセージが他のネットワークノードへ転送されるべきであるかどうかを判定するために、前記少なくとも1つのパスメッセージを処理するプロセッサ部(83)と
を備え、
前記プロセッサ部は、前記少なくとも1つのパスメッセージ(31)における共通明示的ルートオブジェクトを解釈し、
前記共通明示的ルートオブジェクトは、複数のノードから成るリストを特定し、
前記リストの複数のノードは、前記ネットワークノードからダウンリンクにあり、前記ネットワークノードを横切り、かつ、ポイントツーマルチポイント・トラヒックパスに属するあらゆるソースツーリーフ・サブパスが横切るべきノードであることを特徴とするネットワークノード(80)。
【請求項20】
前記プロセッサ部(83)は、さらに、少なくとも1つのサブパス記述子(32)を解釈し、
前記サブパス記述子(32)は、複数のノードのリストを特定し、
前記複数のノードのリストは、前記ネットワークノードからダウンリンクにあり、前記共通明示的ルートオブジェクトにリストアップされる任意のノードを除外し、当該ソースツーリーフ・サブパスの前記イーグレスノード(3)に到達するために前記ソースツーリーフ・サブパスの1つが横切るべきであることを特徴とする請求項19に記載のネットワークノード(80)。
【請求項21】
前記共通明示的ルートオブジェクトは、前記共通明示的ルートオブジェクトの前記リストがソースツーリーフ・サブパスの少なくとも最終的な部分を識別する場合にのみ、ソースツーリーフ・サブパス(4)の宛先アドレスとしてイーグレスノード(3)の詳述を含むことを特徴とする請求項19又は20に記載のネットワークノード(80)。
【請求項22】
前記ポイントツーマルチポイント・トラフィックパス(1)は、マルチプロトコルラベルスイッチングネットワーク又は汎用マルチプロトコルラベルスイッチングネットワークにおけるラベルスイッチパスであることを特徴とする請求項19乃至21の何れか1項に記載のネットワークノード(80)。
【請求項23】
前記共通明示的ルートオブジェクトの前記リストは、該リストの前記複数のノードのネットワークアドレスを含むことを特徴とする請求項19乃至22の何れか1項に記載のネットワークノード(80)。
【請求項24】
前記少なくとも1つのパスメッセージは、リソース予約プロトコル−トラヒックエンジニアリング(RSVP−TE)に従ったパスメッセージであり、
前記共通明示的ルートオブジェクトは、前記RSVP−TEに従ったサブLSP記述子のEXPLICIT_ROUTEフィールドに含まれていることを特徴とする請求項19乃至23の何れか1項に記載のネットワークノード(80)。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−522454(P2012−522454A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503355(P2012−503355)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050338
【国際公開番号】WO2010/114437
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】