説明

ポイント付与装置、及び、プログラム

【課題】公営競技の投票又はくじに外れた投票者の落胆の度合いを考慮に入れたポイントを付与する。
【解決手段】ホストサーバ10は、各ユーザ端末20からなされた公営競技やくじの投票のうち、予想が外れた投票に対して、その予想がどれだけ惜しい投票であったのかを示す惜敗度を、予め設定されている惜敗度算出ルールに基づいて算出する。そして、ホストサーバ10は、算出した惜敗度と購入金額に対応したポイントを、その投票の購入者に対して付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公営競技やくじの投票者(購入者)にポイントを付与するポイント付与装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品やサービスを購入する際に、購入額に応じたポイントを付与するシステムがある。例えば、競馬などの公営競技やくじの投票券の購入に対して、ポイントを付与するシステムが開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポイントカードと不的中の投票券とを端末装置に投入することで、ポイントカードに購入金額に応じたポイントを加算することについて記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−92241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公営競技において投票券が外れた場合、投票券の予想がレース結果と近ければ近いほど、所謂、「惜しい外れ方」となり、購入者の落胆の度合いは大きくなる傾向にある。
【0006】
特許文献1に記載のシステムでは、外れの投票に対して、購入した金額に応じて一律にポイントを付与するものにすぎないため、上述した購入者の落胆の度合いを考慮したポイントで、これを救済(緩和)するものではない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、公営競技の投票又はくじに外れた投票者の落胆の度合いを考慮に入れたポイントを付与するポイント付与装置、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るポイント付与装置は、
公営競技又はくじの予想情報と購入金額情報と購入者特定情報とを含む投票情報を記憶する投票情報記憶手段と、
前記投票情報記憶手段に記憶されている投票情報が示す投票のうち、予想が外れた投票を特定する外れ投票特定手段と、
前記外れ投票特定手段で特定した外れの投票による予想が、実際の結果に対してどのくらい近い予想であったのかを示す惜敗度を、所定の惜敗度算出のルールに基づいて算出する惜敗度算出手段と、
前記惜敗度算出手段で算出した投票の惜敗度と該投票の購入金額とに基づいて、付与するポイントを算出する付与ポイント算出手段と、
前記付与ポイント算出手段で算出したポイントを、当該投票の購入者に付与するポイント付与手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
前記惜敗度算出のルールは、
予想着順と1着との着差を示した情報、前記予想着順と全着順との着差を示した情報、予想のオッズと結果のオッズとの差を示した情報、前記予想着順と1着との距離差を示した情報、及び、前記予想着順の上位所定順位以内の割合を示した情報、のうちの1つの情報に基づいて前記惜敗度を算出するルールであってもよい。
【0010】
前記惜敗度算出のルールは、
予想着順と1着との着差を示した情報、前記予想着順と全着順との着差を示した情報、予想のオッズと結果のオッズとの差を示した情報、前記予想着順と1着との距離差を示した情報、及び、前記予想着順の上位所定順位以内の割合を示した情報、のうちの複数の情報を組み合わせて前記惜敗度を算出するルールであってもよい。
【0011】
前記投票情報には前記投票の購入者によって指定された前記惜敗度算出のルールの指定情報が含まれており、
前記惜敗度算出手段は、当該投票の投票情報に含まれるルール指定情報で指定された前記惜敗度算出のルールに基づいて前記惜敗度を算出してもよい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
公営競技又はくじの予想情報と購入金額情報と購入者特定情報とを含む投票情報を記憶する投票情報記憶手段、
前記投票情報記憶手段に記憶されている投票情報が示す投票のうち、予想が外れた投票を特定する外れ投票特定手段、
前記外れ投票特定手段で特定した外れの投票による予想が、実際の結果に対してどのくらい近い予想であったのかを示す惜敗度を、所定の惜敗度算出のルールに基づいて算出する惜敗度算出手段、
前記惜敗度算出手段で算出した投票の惜敗度と該投票の購入金額とに基づいて、付与するポイントを算出する付与ポイント算出手段、
前記付与ポイント算出手段で算出したポイントを、当該投票の購入者に付与するポイント付与手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、投票の惜敗度に応じたポイントが付与されるため、投票者の落胆の度合いを考慮に入れたポイントを付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明のポイント付与装置について、図面を参照して説明する。本発明のポイント付与装置としてのホストサーバ10は、インターネットを介して、電子的に公営競技(本実施形態では競馬とする)の投票券(馬券)の投票(購入)、および、払い戻しの処理をするサーバであり、図1に示すように、複数のユーザ端末20とインターネットを介して接続されている。
【0015】
また、ホストサーバ10は、各ユーザ(ユーザ端末20)から公営競技場(競馬場)で開催されるレースの投票情報を受信し、レース終了後、投票情報を受け付けたユーザ(ユーザ端末20)に対して、競技結果に基づいた所定のポイントを付与する機能を有する。
なお、上述の投票情報には、購入者(ユーザ)のID、レースの識別情報(例えば、レースの名称)や、予想勝馬番号、購入金額、購入種別(単勝、馬単等)、及び、ポイント付与ルール等を示す情報が含まれているものとする。なお、ポイント付与ルールは、後述のポイント付与処理で算出される惜敗度の算出方法を判別するために利用される情報である。
また、付与されたポイントは、例えば、提携するオンラインショッピングサービスなどで、所定のレート(例えば、1ポイント1円)に基づいて現金と同様に利用できたり、その他各所のサービスで適宜利用可能なポイントである。
【0016】
ホストサーバ10は、図2に示すように、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0017】
通信部11は、NIC(Network Interface Card)等を備え、インターネットを介して、ユーザ端末20へ投票画面を送信したり、ユーザ端末20から投票情報を受信する処理等を行う。
【0018】
記憶部12は、ハードディスク装置などから構成され、種々の情報を記憶する。また、記憶部12は、レース結果記憶テーブル121と、ポイント付与ルール記憶テーブル122と、投票情報記憶テーブル123と、ユーザ別ポイント記憶テーブル124とを記憶する。
【0019】
レース結果記憶テーブル121は、競馬場で開催された競技(レース)の結果に関する情報(レース結果情報)を記憶する。レース結果情報は、例えば、図3に示すように、レースの識別情報となるレース名と、着順と、1位との着差と、1位との距離差と、投票方式(単勝、馬連、馬単、等)毎の的中馬券のオッズを示した情報等から構成される。
図3の例では、「○×ステークス」のレース結果は、1位から「1−3−2−5−6−4…」の着順であることがわかる。また、番号「2」は、1位との着差が「2」で、1位とは「4」馬身差であることが分かる。また、「○×ステークス」のオッズは、単勝が「5.6」倍、普通馬番号二連勝複式(馬連)が「30.2」倍、馬番号二連勝単式(馬単)が「200.3」倍であることが分かる。
なお、レース結果記憶テーブル121には、外れ馬券のオッズも含めた全ての投票種類のオッズが記憶されていてもよい。
また、レース結果記憶テーブル121に記憶されているレース結果情報は、図示せぬ入力装置からホストサーバ10の管理者が直接入力してもよいし、外部のサーバなどから受信して取得してもよい。
【0020】
ポイント付与ルール記憶テーブル122は、図4に示すように、投票の予想が実際のレース結果と比べてどのくらい惜しかったかを示す惜敗度を算出するためのルール(惜敗度算出ルール)と投票方式との組毎に、対応する基本レートを記憶する。基本レートは、惜敗度を算出するために必要となるレート(割合)である。同じ惜敗度算出ルールでも、投票方式の違いによって異なる基本レートが設定されている。
なお、このポイント付与ルール記憶テーブル122に記憶されている情報は、予め管理者等によって定義されている情報である。
【0021】
本実施形態では、惜敗度算出ルールとして、5つを定義している。また、これらの各惜敗度算出ルールには、一意のID(ルールID)L1〜L5が設定されている。
L1:「1着との着差」による惜敗度算出ルール
予想着順と結果着順の1着との着差に基づいて惜敗度を算出するルール。
L2:「全着差順」による惜敗度算出ルール
予想着順と結果着順の全着差順に基づいて、惜敗度を算出するルール。
L3:「オッズ差」による惜敗度算出ルール
予想着順と結果着順のオッズの差に基づいて、惜敗度を算出するルール。なお、「オッズ差」による惜敗度算出ルールで惜敗度を求めるためには、レース結果情報に、外れの予想も含めた全ての予想のオッズが含まれている必要がある。
L4:「距離差」による惜敗度算出ルール
予想着順と結果着順の1着との距離差(馬身差)に基づいて、惜敗度を算出するルール。
L5:「N着以内の割合」による惜敗度算出ルール
結果着順の上位N着に対する予想着順の割合に基づいて、惜敗度を算出するルール。
なお、各惜敗度算出ルールの詳細については後述する。
【0022】
投票情報記憶テーブル123は、各ユーザ端末20から送信された投票情報を記憶するテーブルである。具体的には、図5に示すように、投票情報記憶テーブル123には、ユーザIDとレース名と投票方式と購入金額と予想とルールIDとを示した情報が対応付けて記憶される。
【0023】
ユーザ別ポイント記憶テーブル124は、図6に示すように、ユーザ(ユーザID)毎に、ユーザの獲得したポイントの累算値(累計獲得ポイント)を保存する。
【0024】
図2に戻り、制御部13は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、ROM又は記憶部12に格納された制御プログラム、又は通信部11等を介して取得した制御プログラムを実行することにより、ホストサーバ10全体の動作を制御する。
【0025】
また、制御部13は、機能的には、投票結果蓄積部131と、惜敗度算出部132と、ポイント算出部133と、ポイント付与・更新部134とを有する。
【0026】
投票結果蓄積部131は、ユーザ端末20から送信された投票情報を投票情報記憶テーブル123に記憶する機能を有する。
惜敗度算出部132は、レースに外れた投票の惜敗度を算出する機能を有する。
ポイント算出部133は、惜敗度に基づいて、ユーザに付与するポイントを算出する機能を有する。
ポイント付与・更新部134は、ポイント算出部133が算出した付与ポイントを加算する機能を有する。
【0027】
ユーザ端末20は、操作部、表示部、記憶部、通信部、および、制御部などを備えて構成される所定のPC(Personal Computer)等である。ユーザは、ユーザ端末20を操作して、競馬のレースへの投票を実施する。
【0028】
続いて、以上のように構成されたホストサーバ10の動作について説明する。
【0029】
(投票処理)
最初に、ユーザがユーザ端末20上から馬券の投票(購入)を実施する投票処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0030】
馬券を購入したいユーザは、ユーザ端末20を操作して所定の馬券購入用のアプリケーションを起動し、馬券の購入(投票)を開始するための投票開始要求をホストサーバ10に送信する。投票開始要求を受信すると、ホストサーバ10の制御部13は、投票情報を入力するための図8に示すような投票画面をユーザ端末20に送信する(ステップS11)。
この投票画面には、投票情報(レース名、投票方式、予想、購入金額等)を入力・選択する投票情報入力欄P1以外に、惜敗度算出ルールを選択するための惜敗度算出ルール選択欄P2が設けられている。
【0031】
続いて、ユーザ端末20において投票画面が表示され、該投票画面上から投票情報とポイント算出方法とが入力/選択される。そして、投票(購入)するための操作(図8の例では、投票ボタンの押下)が実行され、入力/選択された投票情報と惜敗度算出ルールとで馬券を投票(購入)することを示す投票要求がホストサーバ10に送信される。
【0032】
ホストサーバ10の制御部13が投票要求を受信すると(ステップS12)、該投票要求に含まれる情報(投票情報と惜敗度算出ルール)を、投票情報記憶テーブル123に1つのエントリとして記録する(ステップS13)。そして、投票が完了したことを示す投票完了通知をユーザ端末20に送信し(ステップS14)、以上で投票処理は終了する。
【0033】
このように、本実施形態では、ユーザ端末20から馬券を投票(購入)する際に、投票情報とともに惜敗度算出ルールも選択され、ホストサーバ10に登録される。
【0034】
(ポイント付与処理)
投票処理により馬券の投票が実施された後、レースが開催され、外部のサーバ等から当該レースのレース結果情報がレース結果記憶テーブル121に登録される。そして、この処理をトリガーとして、ホストサーバ10は、当該レース結果情報が示すレース結果に基づいて、予想が的中したユーザに対して配当金を支払う処理を実施するとともに、予想が外れたユーザを判別して、該ユーザに惜敗度に応じたポイントを付与するポイント付与処理を実行する。以下、このポイント付与処理について、図9のフローチャートを参照して、詳細に説明する。
【0035】
ポイント付与処理が開始されると、ホストサーバ10の制御部13は、レース結果記憶テーブル121に記憶されているレース結果情報と、投票情報記憶テーブル123とを照合することで、レースの予想が外れた投票(外れの投票)を特定する(ステップS21)。
【0036】
続いて、制御部13は、ステップS21で特定した外れの投票から1つを選択する(ステップS22)。
【0037】
続いて、制御部13は、ステップS22で選択した外れの投票の予想が実際のレース結果と比べてどのくらい惜しかったかを示す惜敗度を算出する惜敗度算出処理を実行する(ステップS23)。
【0038】
図10に、惜敗度算出処理の詳細を示す。
惜敗度算出処理が開始されると、制御部13は、投票情報記憶テーブル123を参照して、ステップS22で選択した外れの投票(投票情報)に設定されている惜敗度算出ルールを、取得する(ステップS231)。
【0039】
続いて、制御部13は、取得した惜敗度算出ルールに基づいた方法で、惜敗度を算出するための基準値を算出する(ステップS232)。なお、惜敗度算出ルール毎にどのようにして基準値が算出されるかについては、具体例を挙げて後述する。
【0040】
続いて、制御部13は、ステップS22で選択した外れの投票(投票情報)のルールIDと投票方式とをキーに、ポイント付与ルール記憶テーブル122を参照して、基本レートを特定する(ステップS233)。
【0041】
そして、制御部13は、基準値と基本レートとに基づいて、惜敗度を算出する(ステップS234)。なお、本実施形態では、基準値と基本レートとを乗算した値を惜敗度として算出する。以上で惜敗度算出処理は終了する。
【0042】
続いて、ルールID「L1」〜「L5」の各惜敗度算出ルール毎に、惜敗度算出処理で惜敗度が算出される具体例を説明する。
なお、対象とするレースの結果情報と投票情報は、図3及び図5に示すように、レース結果記憶テーブル121と投票情報記憶テーブル123にそれぞれ格納されているものとする。また、ポイント付与テーブル122には、図4に示す情報が与えられているものとする。
【0043】
L1:「1着との着差」による惜敗度算出ルール
図5より、ルールID「L1」が設定されている投票は、ユーザID「U001」の単勝の投票と、ユーザID「U002」の馬連の投票との2つの投票である。これら2つの投票では、ルールIDが「L1」であるため、予想着順と実際のレース結果の着順の1着との着差の逆数が基準値として算出される。
従って、ユーザID「U001」の投票では、図3に示すレース結果記憶テーブル121より、予想した5番は実際には4着であるため、1着との着差3の逆数「1/3」が基準値として算出される。また、ユーザID「U001」の投票方式は「単勝」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L1」で投票方式「単勝」の基本レート「1」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「1/3」が惜敗度として算出される。
また、ユーザID「U002」の投票では、予想した3番と2番は、実際には2着と3着であるため、1着との着差はそれぞれ1、2となり、それらを合計した3の逆数「1/3」が基準値として算出される。また、ユーザID「U002」の投票方式は「馬連」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L1」で投票方式「馬連」の基本レート「2」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「2/3」が惜敗度として算出される。
以上の算出結果をまとめると、図11(A)に示すとおりになる。
【0044】
L2:「全着差順」による惜敗度算出ルール
図5より、ルールID「L2」が設定されている投票は、ユーザID「U003」の単勝の投票とユーザID「U004」の馬単の投票の2つの投票である。これら2つの投票では、ルールIDが「L2」であるため、予想着順と実際のレース結果の着差の逆数が基準値として算出される。
従って、ユーザID「U003」の投票では、図3に示すレース結果記憶テーブル121より、1着と予想した5番は、実際には4着であるためその着差3の逆数「1/3」が基準値として算出される。また、ユーザID「U003」の投票方式は「単勝」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L2」で投票方式「単勝」の基本レート「1」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「1/3」が惜敗度として算出される。
また、ユーザID「U004」の投票では、1着、2着と予想した3番と2番は、実際には、2着と3着であるため、それぞれ1着差ずつ離れていることとなり、それらを合計した2の逆数「1/2」が基準値として算出される。また、ユーザID「U004」の投票方式は「馬単」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L2」で投票方式「馬単」の基本レート「2」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「1」が惜敗度として算出される。
以上の算出結果をまとめると、図11(B)に示すとおりになる。
【0045】
L3:「オッズ差」による惜敗度算出ルール
図5より、ルールID「L3」が設定されている投票は、ユーザID「U005」の単勝の投票とユーザID「U006」の馬連の投票の2つの投票である。これら2つの投票では、ルールIDが「L3」であるため、予想したオッズと実際の結果のオッズとの差の逆数が基準値として算出される。
従って、ユーザID「U005」の投票では、予想した単勝(5番)のオッズは7.4(図3のレース結果記憶テーブル121から取得)だが、実際のレース結果の単勝オッズは5.6なので、その差1.8の逆数「1/1.8」が基準値として算出される。また、ユーザID「U005」の投票方式は「単勝」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L3」で投票方式「単勝」の基本レート「2」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「2/1.8」が惜敗度として算出される。
また、ユーザID「U006」の投票では、予想した馬連(3番−2番)のオッズは100.2(図3のレース結果記憶テーブル121から取得)だが、実際のレース結果の馬連のオッズは30.2なので、その差70の逆数「1/70」が基準値として算出される。また、ユーザID「U006」の投票方式は「馬連」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L3」で投票方式「馬連」の基本レート「10」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「10/70」が惜敗度として算出される。
以上の算出結果をまとめると、図11(C)に示すとおりになる。
【0046】
L4:「距離差」による惜敗度算出ルール
図5より、ルールID「L4」が設定されている投票は、ユーザID「U007」の単勝の投票とユーザID「U008」の馬連の投票の2つの投票である。これら2つの投票では、ルールIDが「L4」であるため、予想した馬が実際の1着馬とどのくらいの距離(馬身)離れているのかを示した値の逆数が基準値として算出される。
従って、図3に示すレース結果記憶テーブル121より、ユーザID「U007」の投票では、予想した5番は1着馬とは5馬身差であるため、5の逆数「1/5」が基準値として算出される。また、ユーザID「U007」の投票方式は「単勝」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L4」で投票方式「単勝」の基本レート「1」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「1/5」が惜敗度として算出される。
また、図3に示すレース結果記憶テーブル121より、ユーザID「U008」の投票では、予想した3番と2番の馬は、1着馬からそれぞれ3馬身、4馬身差であるため、それらを合計した7の逆数「1/7」が基準値として算出される。また、ユーザID「U008」の投票方式は「馬連」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L4」で投票方式「馬連」の基本レート「2」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「2/7」が惜敗度として算出される。
以上の算出結果をまとめると、図11(D)に示すとおりになる。
【0047】
L5:「N着以内の割合」による惜敗度算出ルール
図5より、ルールID「L5」が設定されている投票は、ユーザID「U009」の単勝の投票と、ユーザID「U010」の馬連の投票との2つの投票である。これら2つの投票では、ルールIDが「L5」であるため、予想した馬が実際レースでN着以内に入っているかの割合が基準値として算出される。なお、ここでは、N=3が指定されているものとして以下説明する。
従って、ユーザID「U009」の投票では、予想した5番は、実際には3着以内に入ってはいないため、割合「0」が基準値として算出される。また、ユーザID「U009」の投票方式は「単勝」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L5」で投票方式「単勝」の基本レート「1」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「0」が惜敗度として算出される。
また、ユーザID「U010」の投票では、予想した「3」と「5」のうち、「3」番のみが上位3着以内であるため、予想した馬が実際レースで3着以内に入っている割合「1/2」が基準値として算出される。また、ユーザID「U010」の投票方式は「馬連」であるため、図4に示すポイント付与ルール記憶テーブル122から、ルールID「L5」で投票方式「馬連」の基本レート「2」が特定される。そして、基準値と基本レートとを乗算した「1」が惜敗度として算出される。
以上の算出結果をまとめると、図11(E)に示すとおりになる。
【0048】
このように、惜敗度算出ルール毎に全く異なる観点で、惜敗度が算出される。
【0049】
図9に戻り、惜敗度算出処理が終了すると、制御部13は、ステップS22で選択した外れの投票の惜敗度と購入金額とを乗算した付与ポイントを算出する(ステップS24)。
【0050】
続いて、制御部13は、ユーザ別ポイント記憶テーブル124の当該投票のユーザ(ユーザID)の累計獲得ポイントに、算出したポイントを加算する(ステップS25)。
【0051】
続いて、制御部13は、予想に外れた投票のうち、ステップS22で選択していない外れの投票があるか否かを判別する(ステップS26)。あると判別した場合(ステップS26;Yes)、制御部13は、処理していない外れの投票を選択し(ステップS22)、惜敗度算出(ステップS23)、付与ポイント算出(ステップS24)、及び、ポイント加算(ステップS25)の各処理を繰り返す。
ないと判別した場合(ステップS26;No)、すべての外れの投票に対してポイントを付与する処理が完了したこととなり、ポイント付与処理は終了する。
【0052】
このように、本実施形態では、公営競技の予想が外れた投票に対して、その予想がどれだけ惜しい投票であったかを示す惜敗度が算出され、惜敗度に応じたポイントが付与される。従って、外れの投票をしたユーザの落胆度を考慮に入れたポイントを付与することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の応用及び変形が可能である。
【0054】
例えば、本実施形態では、5つの惜敗度算出ルールL1〜L5を示したが、これに限らず、他のルールを用いて惜敗度を算出してもよい。また、本実施形態では、惜敗度を基準値と基本レートとを乗算することで算出したが、この算出方法はあくまで一例を示したにすぎず、惜敗度を算出する方法を限定するものではない。
【0055】
また、惜敗度算出ルールL1〜L5を複数組み合わせて惜敗度を算出してもよい。例えば、L1:「1着との着差」による惜敗度算出ルールで算出した惜敗度とL3:「オッズ差」による惜敗度算出ルールで算出した惜敗度との平均値や、加算値、乗算値などを惜敗度としてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、ユーザ端末20から投票情報を受信した例を示したが、これに限らず、OCR(Optical Character Reader)などで投票券を読み取ることにより、投票情報を取得してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、投票画面上からユーザが選択した惜敗度算出ルールに基づいて惜敗度を算出したが、これに限らず、投票方式毎に予め定められた惜敗度算出ルールに基づいて惜敗度を算出するようにしてもよい。なお、この場合は、ユーザは惜敗度算出ルールを選択する必要はないため、図8に示す投票画面の惜敗度算出ルール選択欄P2を設ける必要はない。
【0058】
また、上記実施形態では、公営競技の競馬を例にして説明したが、競輪、競艇、および、オートレース等の他の公営競技に対しても本発明は適用可能である。
【0059】
また、公営競技の投票以外に、宝くじやサッカーくじなどのくじの投票(購入)に対しても本発明を適用可能である。この場合、ホストサーバ10は、外れくじの投票に対してその惜敗度を算出し、惜敗度に応じたポイントをくじの購入者に対して付与する。なお、この場合は、宝くじであれば購入したくじの番号と当選番号との差、又、サッカーくじであれば予想が的中した試合数などから惜敗度を算出すればよい。
【0060】
また、ホストサーバ10は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読みとり可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前述の処理を実行する装置を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することでホストサーバ10を構成してもよい。
【0061】
また、本システムの機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0062】
また、その他、具体的な細部構成等についても適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】ホストサーバの構成図である。
【図3】レース結果記憶テーブルの構成例を示す図である。
【図4】ポイント付与ルール記憶テーブルの構成例を示す図である。
【図5】投票情報記憶テーブルの構成例を示す図である。
【図6】ユーザ別ポイント記憶テーブルの構成例を示す図である。
【図7】投票処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】投票画面の例を示した図である。
【図9】ポイント付与処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】惜敗度算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】惜敗度算出処理で惜敗度が算出される例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0064】
10 ホストサーバ
11 通信部
12 記憶部
121 レース結果記憶テーブル
122 ポイント付与ルール記憶テーブル
123 投票情報記憶テーブル
124 ユーザ別ポイント記憶テーブル
13 制御部
131 投票結果蓄積部
132 惜敗度算出部
133 ポイント算出部
134 ポイント付与・更新部
20 ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公営競技又はくじの予想情報と購入金額情報と購入者特定情報とを含む投票情報を記憶する投票情報記憶手段と、
前記投票情報記憶手段に記憶されている投票情報が示す投票のうち、予想が外れた投票を特定する外れ投票特定手段と、
前記外れ投票特定手段で特定した外れの投票による予想が、実際の結果に対してどのくらい近い予想であったのかを示す惜敗度を、所定の惜敗度算出のルールに基づいて算出する惜敗度算出手段と、
前記惜敗度算出手段で算出した投票の惜敗度と該投票の購入金額とに基づいて、付与するポイントを算出する付与ポイント算出手段と、
前記付与ポイント算出手段で算出したポイントを、当該投票の購入者に付与するポイント付与手段と、
を備えることを特徴とする、ポイント付与装置。
【請求項2】
前記惜敗度算出のルールは、
予想着順と1着との着差を示した情報、前記予想着順と全着順との着差を示した情報、予想のオッズと結果のオッズとの差を示した情報、前記予想着順と1着との距離差を示した情報、及び、前記予想着順の上位所定順位以内の割合を示した情報、のうちの1つの情報に基づいて前記惜敗度を算出するルールである、
ことを特徴とする、請求項1に記載のポイント付与装置。
【請求項3】
前記惜敗度算出のルールは、
予想着順と1着との着差を示した情報、前記予想着順と全着順との着差を示した情報、予想のオッズと結果のオッズとの差を示した情報、前記予想着順と1着との距離差を示した情報、及び、前記予想着順の上位所定順位以内の割合を示した情報、のうちの複数の情報を組み合わせて前記惜敗度を算出するルールである、
ことを特徴とする、請求項1に記載のポイント付与装置。
【請求項4】
前記投票情報には前記投票の購入者によって指定された前記惜敗度算出のルールの指定情報が含まれており、
前記惜敗度算出手段は、当該投票の投票情報に含まれるルール指定情報で指定された前記惜敗度算出のルールに基づいて前記惜敗度を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のポイント付与装置。
【請求項5】
コンピュータを、
公営競技又はくじの予想情報と購入金額情報と購入者特定情報とを含む投票情報を記憶する投票情報記憶手段、
前記投票情報記憶手段に記憶されている投票情報が示す投票のうち、予想が外れた投票を特定する外れ投票特定手段、
前記外れ投票特定手段で特定した外れの投票による予想が、実際の結果に対してどのくらい近い予想であったのかを示す惜敗度を、所定の惜敗度算出のルールに基づいて算出する惜敗度算出手段、
前記惜敗度算出手段で算出した投票の惜敗度と該投票の購入金額とに基づいて、付与するポイントを算出する付与ポイント算出手段、
前記付与ポイント算出手段で算出したポイントを、当該投票の購入者に付与するポイント付与手段、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−117947(P2010−117947A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291491(P2008−291491)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【特許番号】特許第4344777号(P4344777)
【特許公報発行日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】