説明

ポイント管理システム及び収納ケース

【課題】利用者が携帯するICカードの記録情報を自動的に取得することができるポイント管理システムを提供する。
【解決手段】ID情報が記録されたICカード27とアンテナ9とが電磁結合した時にID情報を読み取るリーダ10と、このリーダ10により読取られたID情報を変調して交流電界としてアンテナ13から送信する送信機12と、リーダ10と送信機12の動作を制御する制御部11と、人体28が近接、又は接触したときに人体28の表面と容量結合することにより送信機12により送信された交流電界を受電する受電マット18と、この受電マット18により受電した交流電界を受信して固有情報を復調する受信機16と、を備えた人体通信手段15と、人体通信手段15により得られた固有情報に基づいて特定ポイントの付与、又は/及び、特定情報の提供を行うと共に、各固有情報に係る累積ポイントの管理を行う管理サーバ17とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイント管理システム及び収納ケースに関し、特に、人体通信を利用して利用者のID情報を自動的に取得してポイントを付与するポイント管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特定の顧客を会員として登録し、当該会員が購入した商品の購入金額に応じてポイントを付与するポイントシステムが普及している。しかし、従来のポイントシステムでは、POSより送信された会計金額に基づいて、カード処理機でポイントを付与して、次回の会計時に、取得したポイント数に応じて料金を割り引くサービスに留まるものであり、きめ細かく顧客の要望に応えてポイントを付与するシステムを構築するまでには至っていなかった。
例えば、複数の売り場を有する店舗側としては、売り場限定や時間限定で商品を手渡した顧客に対してのみにポイントを付与したい場合や、誘導したい売り場全てを回った顧客にポイントを付与したい場合など、売り場を絡めたポイントサービスを実現したいといった要望がある。しかし、この要望を実現するには、会計金額だけでなく各売り場で容易に顧客のID情報が取得でき、且つ顧客に手間を煩わさないことが必要条件となる。
この必要条件を実現するために、ポイントカードとして非接触のICカードを使用し、比較的パワーの大きいUHF帯の電波を使用して、自動的にICカードの記録情報を読取るシステムが開発されている。しかし、UHF帯の電波を使用した場合は、ICカードの読み取り範囲が極めて広くなってしまい、商品を購入しない顧客の記録情報までも読取ってしまい、正確な顧客管理ができないといった問題がある。
【0003】
そこで、上記の問題点を解決する方法として、人体通信を利用して、人体を一種の導体とみなして、ICカードの記録情報を5〜10MHzの交流電界に変換して人体を介して読取部で読取る技術が同一出願人より提案されている(特願2010−193369)。
また、特許文献1には、人体を通信媒体とする通信技術を、複数の売り場や店舗を有する百貨店やショッピングモールに適用し、来店者に対してポイントを付与したり、販売情報を提供するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−350990公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同一出願人より提案されている先行技術は、利用者が携帯する人体通信ユニットによりICカードの記録情報をカード処理機に読ませるために、人体の一部(手のひら、又は指)を読取部に接触させなければならず、ICカードを取り出す手間は省けるが、両手が荷物等でふさがっている場合は、一旦荷物を下ろしてから読取部に接触しなければならず、手間がかかって煩わしいといった問題は解決されない。
また、特許文献1に開示されている従来技術は、顧客に専用の通信ユニットを装着させなければならず、使用するまでに手間がかかるばかりでなく、全ての顧客に装着するためにシステムのコストが高くなるといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、人体に携帯された人体通信ユニットから送信された交流電界を、受電マットを介して受信機により受信してICカードの記録情報を復調することにより、利用者が携帯するICカードの記録情報を自動的に取得することができるポイント管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、固有情報が記録された非接触情報記録媒体と電磁結合した時に該固有情報を読み取るリーダと、該リーダにより読取られた前記固有情報を変調して交流電界として送信する送信機と、人体が近接、又は接触したときに該人体の表面と容量結合することにより前記送信機により送信された交流電界を受電する受電マットと、該受電マットにより受電した前記交流電界を受信して前記固有情報を復調する受信機と、を備えた人体通信手段と、該人体通信手段により得られた前記固有情報に基づいて特定ポイントの付与、又は/及び、特定情報の提供を行うと共に、各固有情報に係る累積ポイントの管理を行う管理サーバと、を備えたことを特徴とする。
本発明は、人体通信を利用して非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を外部の管理サーバに送信するものである。例えば、周波数が5〜10MHz帯では、人体は導体とみなすことができるので、非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を5〜10MHz帯の周波数に変調して送信することにより、変調された交流電界が人体を介して受電マットの表面と容量結合して、受電マットで受信した交流電界を受信機で復調して人体通信を実現することができる。また、非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を読取るために、非接触情報記録媒体と電磁結合するリーダが必要となる。リーダには当然アンテナが備えられており、このアンテナを介して非接触情報記録媒体を変調して固有情報を取得する。また、リーダにより読取られた固有情報は、所定の周波数帯(5〜10MHz)をキャリア周波数とする交流電界(電波)で変調して送信機により送信される。更に、本発明の特徴として、人体を介して流れる交流電界を受電する受電マットが備えられている。この受電マットに人体が近接したり、受電マット上に乗ることにより、受電マットから固有情報を変調した交流電界が流れて、その交流電界を受信機により受信することにより、固有情報として復調することができる。即ち、受電マットは、アンテナの役割を果たすものである。これにより、人体通信手段を携帯した利用者は、受電マットに近接、又は上に乗るだけで、非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を管理サーバに送信することができる。
【0007】
請求項2は、前記受電マットを販売物品を収納した収納部と対応付けて夫々設置し、前記管理サーバは、前記交流電界を受電した受電マットと該固有情報とを関連付けて履歴情報として記憶し、前記販売物品の精算を要求した固有情報に係る前記履歴情報の中に精算した販売物品が存在する場合、前記固有情報に前記特定ポイントを付与することを特徴とする。
本発明の人体通信手段を利用することにより、顧客がどの販売物品に興味があるかを調査することが可能となるばかりでなく、顧客のトレーサビリティを取得することもできる。そこで本発明では、各収納部の顧客が立ち止まる場所に受電マットを設置する。顧客は、興味のある販売物品の前で立ち止まり、物品を手にとって見るものである。逆に興味のない販売物品の場合は、全く近寄らないものである。本発明では、顧客が受電マットの上に乗った場合、管理サーバは、受電マットを介して固有情報を読み取り、受電マットに対応する販売物品と固有情報とを関連付けて履歴情報として記憶する。そして、特定の固有情報を有する顧客が、レジで精算するときに、この顧客の履歴情報を参照して、履歴情報にある販売物品を購入した場合に、当該顧客の固有情報に特定ポイントを付加する。これにより、顧客の販売物品に対するトレーサビリティを取得するばかりでなく、顧客が求めている販売物品に係る情報を同時に取得することができる。
【0008】
請求項3は、前記受電マットを前記収納部内の前記販売物品ごとに設置することを特徴とする。
受電マットを収容部の前に設置した場合は、収容部ごとの顧客のトレーサビリティを取得することはできるが、収容部内のどの販売物品に興味があるかまでは、その場では判断できない。そこで本発明では、収容部内の販売物品ごとに受電マットを設置する。これにより、顧客の販売物品に対する詳細なトレーサビリティを即座に取得することができる。
【0009】
請求項4は、前記収納部ごとに表示手段を備え、前記管理サーバは、前記受信機により変調した固有情報に応じて該各収納部に収納されている前記販売物品に関する映像、又は/及び、前記特定情報を前記表示手段に表示することを特徴とする。
受電マットにより顧客の固有情報が取得できれば、その顧客に最適な情報を提供できる。顧客は、年齢、性別、或いは生活環境により必要とする物品が異なる。そこで本発明では、各収容部に表示手段を備え、受電マットに立ち止まった顧客の固有情報を調べて、その顧客に対して最も興味のある物品の映像や情報を表示する。これにより、収納部に立ち止まった顧客に最適な情報を提供することができる。
【0010】
請求項5は、前記リーダ、及び前記送信機を人体通信ユニットとして一体に構成し、該人体通信ユニットに前記非接触情報記録媒体が収納可能な収納部を備えたことを特徴とする。
従来の非接触情報記録媒体を本発明のポイント管理システムで使用するためには、一旦、非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を人体通信に適した周波数に変換する必要がある。従って、人体通信ユニットに近接して非接触情報記録媒体を配置して、リーダにより非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を読取れる構成にする必要がある。そこで本発明では、人体通信ユニットに非接触情報記録媒体が収納可能な収納部を備え、非接触情報記録媒体とリーダが電磁結合できるようにする。これにより、従来の非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を人体通信により外部に送信することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リーダにより読取られた固有情報は、所定の周波数帯(5〜10MHz)をキャリア周波数とする交流電界(電波)で変調して送信機により送信され、人体を介して流れる交流電界を受電する受電マットに人体が近接したり、受電マットに乗ることにより、受電マットから固有情報を変調した交流電界が流れて、その交流電界を受信機により受信することにより、固有情報として復調するので、人体通信手段を携帯した利用者は、受電マットに近接、又は乗るだけで、非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を管理サーバに送信することができる。
また、管理サーバが、受電マットに乗った場合、受電マットを介して固有情報を読み取り、受電マットに対応する販売物品と固有情報とを関連付けて履歴情報として記憶して、特定の固有情報を有する顧客が、レジで精算するときに、この顧客の履歴情報を参照して、履歴情報にある販売物品を購入した場合に、当該顧客の固有情報に特定ポイントを付加するので、顧客の販売物品に対するトレーサビリティを取得するばかりでなく、顧客が求めている販売物品に係る情報を同時に取得することができる。
また、収容部内の販売物品ごとに受電マットを設置するので、顧客の販売物品に対する詳細なトレーサビリティを即座に取得することができる。
また、各収容部に表示手段を備え、受電マットに乗った顧客の固有情報を調べて、その顧客に対して最も興味のある物品の映像や情報を表示するので、収納部に立ち止まった顧客に最適な情報を提供することができる。
また、人体通信ユニットに非接触情報記録媒体が収納可能な収納部を備え、非接触情報記録媒体とリーダが電磁結合できるようにするので、従来の非接触情報記録媒体に記録されている固有情報を人体通信により外部に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】一般的なICカード(非接触情報記録媒体)の構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は本発明の一実施形態に係るポイント管理システムの構成を示すブロック図であり、(b)は人体通信ケースの断面構成を示す図である。
【図4】人体通信の概念を説明する図である。
【図5】本発明に係るポイント管理システムの第1の実施例を示す図である。
【図6】本発明に係るポイント管理システムの第2の実施例を示す図である。
【図7】スーパーマーケットのレジ(精算所)に設けたポイント管理システムの構成を示す図である。
【図8】(a)は人体に人体通信ケースを携帯する方法を説明する図であり、(b)は買い物カートに据え付ける方法を説明する図であり、(c)は買い物カゴに据え付ける方法を説明する図である。
【図9】管理サーバと各受電マットとの関係を表す図である。
【図10】(a)は図9の構成において複数の利用者が商品を購入したときのトレーサビリティの様子を示す図であり、(b)はマットアドレス(商品)ごとにポイントを割り振った図である。
【図11】本発明の一実施形態に係るポイント管理システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
図1は、一般的なリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ10は、リーダライタ10との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御する制御部11によって制御される。リーダライタ10は、外部の制御部11とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ10全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICカード(RFタグ)との電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。
【0015】
図2は、一般的なICカード(非接触情報記録媒体)の構成を示すブロック図である。本実施形態のICカード27は、リーダライタ10からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICカード27の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0016】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ10は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICカード27に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICカード27がリーダライタ10に近接すると、アンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、ICカード27内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ10がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICカード27が規格に合致したICカードであると認識する。それにより、以後リーダライタ10とICカード27の間でポーリングが行われる。
【0017】
図3(a)は本発明の一実施形態に係るポイント管理システムの構成を示すブロック図である。本発明のポイント管理システム50は、ID情報(固有情報)が記録されたICカード(非接触情報記録媒体)27とアンテナ9とが電磁結合した時にID情報を読み取るリーダ10と、このリーダ10により読取られたID情報を変調して交流電界としてアンテナ13から送信する送信機12と、リーダ10と送信機12の動作を制御する制御部11と、人体28が近接、又は接触したときに人体28の表面と容量結合することにより送信機12により送信された交流電界を受電する受電マット18と、この受電マット18により受電した交流電界を受信して固有情報を復調する受信機16と、を備えた人体通信手段15と、人体通信手段15により得られた固有情報に基づいて特定ポイントの付与、又は/及び、特定情報の提供を行うと共に、各固有情報に係る累積ポイントの管理を行う管理サーバ17と、を備えて構成されている。尚、アンテナ9、リーダ10、制御部11、送信機12、及びアンテナ13により構成される部分を人体通信ユニット14と呼ぶ。尚、送信機12及び受信機16は、双方向通信可能な送受信機で構成しても良い。
【0018】
本発明は、人体通信を利用してICカード27に記録されているID情報を外部の管理サーバに送信するものである。例えば、周波数が5〜10MHz帯では、人体は導体とみなすことができるので、ICカード27に記録されている固有情報を5〜10MHz帯の周波数に変調して送信することにより、変調された交流電界が人体を介して受電マット18の表面と容量結合することにより、受電マット18で受信した交流電界を受信機16で復調して人体通信を実現することができる。従って、ICカード27と電磁結合するリーダ10が必要となる。リーダ10には当然アンテナ9が備えられており、このアンテナ9を介してICカード27を変調して固有情報を取得する。また、リーダ10により読取られた固有情報は、所定の周波数帯(5〜10MHz)をキャリア周波数とする交流電界(電波)で変調して送信機12により送信される。更に、本発明の特徴として、人体を介して流れる交流電界を受電する受電マット18が備えられている。この受電マット18に人体が近接したり、受電マット18に乗ることにより、受電マット18から固有情報を変調した交流電界が流れて、その交流電界を受信機16により受信することにより、固有情報として復調することができる。即ち、受電マット18は、アンテナの役割を果たすものである。これにより、人体通信ユニット14を携帯した利用者28は、受電マット18に近接、又は乗るだけで、ICカード27に記録されている固有情報を管理サーバ17に送信することができる。
【0019】
図3(b)は人体通信ケースの断面構成を示す図である。本実施形態に係る人体通信ケース19は、ICカード27と人体通信ユニット14を重ねて一体化したものである。即ち、人体通信ユニット14として、アンテナ9を備えたリーダ10と制御部11と送信機12とを基板に実装し、その基板面にアンテナ13を配置する。また、人体通信ユニット14と対向する面に、ICカード27が収納できる収納部27aを設けて、その中にICカード27を収納することにより、ICカード27とアンテナ9が電磁結合することができる。尚、人体通信ケース19は、金属以外の材質で構成することが好ましい。
従来のICカードを本発明のポイント管理システムで使用するためには、一旦、ICカードに記録されたID情報を人体通信に適した周波数に変換する必要がある。従って、人体通信ユニット14に近接してICカード27を配置して、リーダ10によりICカード27に記録されているID情報を読取れる構成にする必要がある。そこで本発明では、人体通信ユニットにICカード27が収納可能な収納部27aを備え、ICカード27とリーダ10が電磁結合できるようにする。これにより、従来のICカード27に記録されている固有情報を人体通信により外部に送信することができる。
【0020】
図4は人体通信の概念を説明する図である。
人体通信ケース19に収納されている送信機12は、人体28と容量結合していれば、交流電界を伝達することができる。そして、交流信号が5〜10MHzの周波数帯であれば、人体28は略導体とみなすことができ、送信機12が誘起した交流電界信号31は、ほとんど空間に放射されることなく、人体28の表面を伝達して受電マット18に流れる。そして、その交流電界信号29を受信機16で受信することにより、人体通信が成立する。従って、ICカード27の利用者28が、ICカード27と、送信機12が内蔵された人体通信ユニット14とを人体通信ケース19に収納して服のポケットやカバンなどに携帯した状態で、リーダ10により読取られたICカード27のID情報を送信機12により交流電界信号として送信することにより、この交流電界信号が利用者の体表面を通って受電マット18に流れる。それにより、ICカード27のID情報を受信機16により受信することができる。
【0021】
図5は本発明に係るポイント管理システムの第1の実施例を示す図である。以下の説明では、例えば、スーパーマーケット内を、登録された利用者30が所持する利用者カード(ID情報を記録したICカード)27を人体通信ケース19に収納して、利用者30が携帯した状態でスーパーマーケット内を回って商品を購入する場面を想定する。そして、各利用者30は、購入金額、或いは購入した商品に対して利用者特有のポイントが付与される。以下、同様とする。
図5の構成では、商品棚31の前に受電マット18が設置され、受電マット18で受電した信号は、ケーブル18aにより受信機16に伝達される。受信機16は、受電した信号を復調して無線LANによりアンテナ35から電波16aを放射する。その電波はアンテナ36により受信されて、LAN37に接続された管理サーバ17と情報の授受が行われる。また、商品棚31には、ディスプレイ33が設置され、表示内容はアンテナ34を介して電波34aにより、管理サーバ17から送信される。ここで、利用者30が受電マット18の上で停止して、商品32を購入した場合、利用者30のID情報が受電マット18を介して、受信機16により復調されて無線LAN37を介して管理サーバ17に送信される。管理サーバ17は、受信したID情報と、受電マットに付したマットアドレスとを対応付けて履歴情報として記憶する。従って、同じ利用者30が他の商品棚に移動すると、履歴情報として他のマットアドレスが追加される。
また、管理サーバ17は、利用者30のID情報を取得すると、当該利用者の性別、年齢、その他の情報に基づいて、当該利用者に最適な画像と情報をディスプレイ33に表示する。表示内容は、商品棚31特有の情報でも良いし、他の商品棚に関する情報でも構わない。
【0022】
以上のように、人体通信ユニット14を利用することにより、利用者30がどの商品に興味があるかを調査することが可能となるばかりでなく、利用者30のトレーサビリティを取得することもできる。そこで本実施例では、商品棚31の前に受電マット18を設置する。利用者30は、興味のある商品棚の前で立ち止まり、商品を手にとって見るものである。逆に興味のない商品の場合は、通過してしまうか、全く近寄らないものである。本実施例では、利用者30が受電マット18に乗った場合、管理サーバ17が、受電マット18を介してID情報を読み取り、受電マット18に対応する商品とID情報とを関連付けて履歴情報として記憶する。そして、特定のID情報を有する利用者がレジで精算するときに、この利用者の履歴情報を参照して、履歴情報に記憶された商品を購入した場合に、当該利用者の固有情報に特定ポイントを付加する。これにより、利用者の商品に対するトレーサビリティを取得するばかりでなく、利用者が求めている商品に係る情報を同時に取得することができる。
【0023】
図6は本発明に係るポイント管理システムの第2の実施例を示す図である。
図6の構成では、商品棚39の棚の各段に受電マット18が設置され、各受電マット18で受電した信号は、ケーブル40により受信機16に伝達される。受信機16は、受電した信号を復調して無線LANによりアンテナ41から電波41aを放射する。その電波はアンテナ36により受信されて、管理サーバ17と情報の授受が行われる。
受電マット18を商品棚31の前に設置した場合(図5の例)は、商品棚31ごとの利用者のトレーサビリティを取得することはできるが、商品棚内のどの商品に興味があるかまでは、その場では判断できない。そこで本実施例では、商品棚39内の各段ごとに受電マット18を設置する。これにより、利用者の商品に対する詳細なトレーサビリティを即座に取得することができる。
【0024】
図7はスーパーマーケットのレジ(精算所)に設けたポイント管理システムの構成を示す図である。基本的な構成は図5と同じであるが、レジの場合は、受電マット18に利用者30が乗った場合に、ID情報を取得して、管理サーバ17が記憶した該当する履歴情報を参照して、レジ係42によりレジスター43に打ち込まれた実際に精算した商品が履歴情報の中にあるか否かによりポイントを付与するように制御する。
【0025】
図8は本発明に係る人体通信ケースの携帯方法を説明する図である。図8(a)は人体30に携帯する方法であり、この方法は、最も人体30と人体通信ケース19との容量結合が強く取れる方法である。図8(b)は買い物カート44に据え付ける方法である。この方法は、人体が接触する買い物カート44の取っ手の近くに設置するので、取っ手を介して人体30と人体通信ケース19とが容量結合する方法である。図8(c)は買い物カゴ45に据え付ける方法である。この方法は、人体との距離が大きくなるので、(a),(b)の方法に比べて人体との結合度が弱くなる。尚、人体通信ケース19は、利用者夫々が専用のものを所持しても良いし、入口で貸与して出口で回収するようにしても良い。
【0026】
図9は、管理サーバと各受電マットとの関係を表す図である。各受電マットにはマットアドレス(A〜Z)が付され、例えば、マットアドレスAは商品が果物と対応し、マットアドレスBは商品が野菜と対応するように設定され、マットアドレスZはレジに対応するように設定されている。そして、各受電マットには夫々受信機(Ra〜Rz)が1対1に接続され、LAN37に接続されている。従って、管理サーバ17は、複数の受電マットからの情報を時分割に受信することにより、複数個所から同時に発生したID情報を遅滞なく記憶することができる。
【0027】
図10(a)は図9の構成において複数の利用者が商品を購入したときのトレーサビリティの様子を示す図である。縦軸に各利用者のID情報、横軸に各ID情報に対するトレーサビリティの記憶状態を示す。また、マットアドレス(商品)ごとにポイントを割り振った表が図10(b)である。
例えば、ID情報「aaa」の利用者のトレーサビリティは、まず、マットアドレスAの果物の前に行き、次にマットアドレスBの野菜の前に行き、次にマットアドレスYの肉の前に行き、マットアドレスZのレジで精算したことが記憶されている。また、トレーサビリティの中で、○印の符号は、精算時に実際に購入したことを示すものであり、この利用者の場合は、AとYを購入したので、図10(b)のポイントが割り当てられて、それに対応するポイントの合計が「6」となる。同様に、ID情報「adb」の利用者のトレーサビリティは、まず、マットアドレスCの魚の前に行き、次にマットアドレスBに戻って野菜の前に行き、次に更に戻ってマットアドレスAの果物の前に行き、マットアドレスZのレジで精算したことが記憶されている。この利用者の場合は、BとAを購入したので、図10(b)のポイントが割り当てられて、それに対応するポイントの合計が「3」となる。このように、利用者が受電マットに乗るだけでトレーサビリティが記憶され、利用者の動向と、商品への興味が何処にあるかをデータとして分析できる。また、利用者のトレーサビリティの傾向から、商品の配置の適否も分析することができる。当然、レジでの売上高の計算、在庫の管理等にもこのデータを使用することができる。
【0028】
図11は、本発明の一実施形態に係るポイント管理システムの動作を説明するフローチャートである。図9を参照しながら説明する。管理サーバ17は時分割に各受電マットがID情報を受信するか否かをチェックする(S1)。例えば、ID情報が「aaa」の利用者が受電マットAに乗ったとすると、管理サーバ17は最初にID情報が「aaa」に受電マットAを対応付けて記憶する(S2)。ID情報が「aaa」の利用者は続けて受電マットB、Yに行って買い物をして、最後にレジの受電マットZに行く(S3でY)。管理サーバ17は、レジの受電マットZで受信したID情報が「aaa」の場合、履歴情報からID情報「aaa」の履歴情報を読み出す(S4)。その後、レジ係りは、カゴ、又は買い物カートに入れられた商品を精算するために、商品に添付された値札のバーコードを読取る(S5)。バーコードの情報は、LAN37を介して管理サーバ17に伝達される。レジ係りが商品の精算を完了すると(S6でY)、管理サーバ17は、履歴情報の中に精算した商品があるか否かをチェックし(S7)、無ければ終了し、ある場合は(S7でY)該当するポイントを合計してID情報が「aaa」の利用者に付与する(S8)。
【符号の説明】
【0029】
1 送受信装置、2 制御装置、3 メモリ装置、4 変調器、5 入力装置、6 表示装置、7 電力増幅器、8 検波復調器、9 アンテナ、10 リーダライタ、11 制御部、12 送信機、13 アンテナ、14 人体通信ユニット、15 人体通信手段、16 受信機、17 管理サーバ、18 受電マット、19 人体通信ケース、20 アンテナ、21 送受信回路、22 電力生成回路、23 メモリ装置、24 変調器、25 検波器、26 制御回路、27 ICカード、28 人体、29 交流電界信号、30 利用者、31 商品棚、32 商品、33 ディスプレイ、34〜36 アンテナ、37 LAN、38 商品、39 商品棚、40 ケーブル、41 アンテナ、42 レジ係り、43 レジスター、44 買い物カート、45 カゴ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有情報が記録された非接触情報記録媒体と電磁結合した時に該固有情報を読み取るリーダと、該リーダにより読取られた前記固有情報を変調して交流電界として送信する送信機と、人体が近接、又は接触したときに該人体の表面と容量結合することにより前記送信機により送信された交流電界を受電する受電マットと、該受電マットにより受電した前記交流電界を受信して前記固有情報を復調する受信機と、を備えた人体通信手段と、
該人体通信手段により得られた前記固有情報に基づいて特定ポイントの付与、又は/及び、特定情報の提供を行うと共に、各固有情報に係る累積ポイントの管理を行う管理サーバと、
を備えたことを特徴とするポイント管理システム。
【請求項2】
前記受電マットを販売物品を収納した収納部と対応付けて夫々設置し、前記管理サーバは、前記交流電界を受電した受電マットと該固有情報とを関連付けて履歴情報として記憶し、前記販売物品の精算を要求した固有情報に係る前記履歴情報の中に精算した販売物品が存在する場合、前記固有情報に前記特定ポイントを付与することを特徴とする請求項1に記載のポイント管理システム。
【請求項3】
前記受電マットを前記収納部内の前記販売物品ごとに設置することを特徴とする請求項2に記載のポイント管理システム。
【請求項4】
前記収納部ごとに表示手段を備え、前記管理サーバは、前記受信機により変調した固有情報に応じて該各収納部に収納されている前記販売物品に関する映像、又は/及び、前記特定情報を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のポイント管理システム。
【請求項5】
前記リーダ、及び前記送信機を人体通信ユニットとして一体に構成し、該人体通信ユニットに前記非接触情報記録媒体が収納可能な収納部を備えたことを特徴とする収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−256221(P2012−256221A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129147(P2011−129147)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】