説明

ポジショナ

【課題】
集電手段に接続された溶接用ケーブルに無理な力が加わることがないとともに、溶接用ケーブルに集電ブラシが引っ張られて集電ブラシの動作の阻害及び集電ブラシと集電リングの接触面積が小さくなることを抑制できるポジショナを提供する。
【解決手段】
ポジショナは、支持ベースに設けられた収納室12に外部電源接続用の溶接用ケーブル50を収納し、収納された溶接用ケーブル50の集電装置30側を非拘束の遊びがある状態にして、集電装置30側端部を収納室12から外部に導出するとともにブスバー40に設けられた接続片に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットを用いて溶接や或いは切断を行うためポジショナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用の溶接ロボットに使用されているポジショナは、例えば特許文献1の「従来の技術」の欄に記載のものが公知である。このポジショナでは、溶接物を固定・回転させる回転テーブルを備え、回転テーブルの下面には、円板状の下面突出部に設けられ、その側方に集電装置を構成する集電ブラシが接触するように配置されている。そして、集電ブラシは、回転テーブルに接触固定するためのバネ部材が配置されている。
【0003】
上記のポジショナでは、集電ブラシが外部溶接用電源の負電極に接続され、円板状の下面突出部を介して回転テーブルに電気的に接続されている。そして、回転テーブルに保持されている被溶接物と、溶接ロボットのアーム先端に固定した外部溶接電源のトーチとの間でアークを発生させて溶接を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−47796公報、従来の技術、段落0003、図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記集電装置と、外部溶接用電源の負電極との間を電気的に接続する場合、溶接用ケーブルを介して行われる。この場合、従来は、前記溶接用ケーブルは、回転テーブルを回転自在に支持する支持ベースの内部空間に収納されるとともに、支持ベースの内部空間の壁内面と前記溶接用ケーブルがこすれるのを防ぐために前記溶接用ケーブルを固定していた。このため、溶接用ケーブルに無理な力が掛かる問題があった。
【0006】
又、溶接用ケーブルを固定すると、消耗品である集電ブラシが磨耗していくにつれて、固定された溶接用ケーブルに引っ張られて集電ブラシの動作がスムーズでなくなり、或いは集電ブラシと接触している前記回転テーブルに設けられた集電リングと、集電ブラシとの接触面積が小さくなって集電性が悪くなる虞がある。
【0007】
本発明の目的は、集電手段に接続された溶接用ケーブルに無理な力が加わることがないとともに、溶接用ケーブルに集電ブラシが引っ張られて集電ブラシの動作の阻害及び集電ブラシと集電リングの接触面積が小さくなることを抑制できるポジショナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、軸心の周りに集電リングを備えた導電性を備える回転テーブルと、前記回転テーブルを回転自在に支持する支持ベースと、前記支持ベースに取り付けられた集電手段を備え、前記集電手段は、前記集電リングに接触する集電ブラシと、前記集電ブラシと一体に接続された導電部材と、前記集電ブラシ及び導電部材を回転テーブル側に付勢する付勢手段を有するポジショナにおいて、前記支持ベースに設けられた収納室に外部電源接続用の溶接用ケーブルを収納し、前記収納された溶接用ケーブルの集電手段側を非拘束の遊びがある状態にして、該集電手段側端部を前記収納室から外部に導出するとともに前記導電部材に接続したことを特徴とするポジショナを要旨としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記溶接用ケーブルの反集電手段側端部は、前記収納室に設けられた接続端子に接続されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2又は請求項3において、前記支持ベースの収納室には、前記集電手段に向かう側の側壁に前記溶接用ケーブルの集電手段側端部を外部に直線的に導出する導出部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3において、前記導電部材において、前記溶接用ケーブルの集電手段側端部を接続する接続部は、前記導出部に対して、上方に離間して配置されるとともに、前記直線的に導出された溶接用ケーブルの集電手段側端部に対して接続されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4において、前記収納室は、前記回転テーブルの回転中心とは直交する方向に延びて形成されるとともに少なくとも一方には蓋体により閉塞可能な開口部を有しており、前記導出部は、前記開口部に形成されるとともに前記集電ブラシと一体に連結された前記導電部材に対して、前記収納室の中間部側に位置するようにオフセットして配置され、前記導電部材の接続部は、前記導出部のオフセット方向に延びて配置されて前記溶接用ケーブルに接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、集電ブラシが消耗時に、溶接用ケーブルの集電手段側端部を回転テーブル側に移動が許容されているため、集電手段に接続された溶接用ケーブルに無理な力が加わることがないとともに、溶接用ケーブルに集電ブラシが引っ張られて集電ブラシの動作の阻害及び集電ブラシと集電リングの接触面積が小さくなることを抑制できる。
【0013】
請求項2の発明によれば、溶接用ケーブルの反集電手段側端部を支持ベースに設けられた接続端子に接続される構成であって、収納された溶接用ケーブルの少なくとも集電手段側を非拘束の遊びがある状態にしているため、集電ブラシに接続された溶接用ケーブルに無理な力が加わることがないとともに、溶接用ケーブルに集電ブラシが引っ張られて集電ブラシの動作の阻害及び集電ブラシと集電リングの接触面積が小さくなることを抑制できる。
【0014】
請求項3発明によれば、収納室には、集電手段に向かう側の側部に溶接用ケーブルの集電手段側端部を外部に直線的に導出する導出部が設けられているため、集電手段の集電ブラシが消耗時に移動した際に、溶接用ケーブルが容易に移動できる結果、接続された溶接用ケーブルに無理な力が加わることがないとともに、溶接用ケーブルに集電ブラシが引っ張られて集電ブラシの動作の阻害及び集電ブラシと集電リングの接触面積が小さくなることを抑制できる。
【0015】
請求項4の発明によれば、導電部材の接続部が、導出部に対して、上方に離間して配置されるとともに、直線的に導出された溶接用ケーブルの集電手段側端部に対して接続されていることにより、請求項1乃至請求項3のいずれかの効果を容易に実現できる。
【0016】
請求項5の発明によれば、導出部が、集電ブラシと一体に連結された本体部に対して、収納室の中間部側に位置するようにオフセットして配置され、かつ、導電部材の接続部が、導出部のオフセット方向に延びて配置されて溶接用ケーブルに接続されていることにより、溶接用ケーブルをオフセットしない場合に比して、溶接用ケーブルの長さを長くする必要がなくなり、溶接用ケーブルのコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は一実施形態のポジショナの右側面図、(b)は背面図、(c)は左側面図。
【図2】(a)は溶接用ケーブルを支持ベースに収納した状態の左側面図、(b)は溶接用ケーブルを支持ベースに収納した状態の正面図。
【図3】回転テーブルと支持ベースの要部断面図。
【図4】(a)は、集電装置の断面図、(b)は、集電装置の平面図。
【図5】(a)、(b)は支持ベースの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のポジショナを具体化した一実施形態を図1〜図5を参照して説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、ポジショナの支持ベース10に対し、回転テーブル11が回転自在に支持されている。支持ベース10は、図5(a)、(b)に示すように横方向に延びて左右両端を開口した開口部12aを有する四角筒状の収納室12を有するベース部10Aと、ベース部10A上の一側部側に立設した支持壁部14と、ベース部10Aの上面と支持壁部14間を連結して設けられて前記支持壁部14を補強する一対のリブ15を有する。なお、本実施形態では、回転テーブル11は、その回転中心線Oが水平面に含まれるように配置されており、その回転中心線Oの回転テーブル11側のワーク保持面側を前とし、反対側を後とし、回転テーブル11に向かって右側を右とし、左側を左とする。
【0019】
図5(a)、(b)に示すように、支持壁部14には貫通孔16を有する軸受部18が設けられている。図3に示すように、回転テーブル11は、金属製の円盤17と、円盤17の裏面側(後側)に設けられた図示しない減速機構を介して軸受部18に対して回転自在に支持されている。なお、図3では、説明の便宜上、モータ21は省略している。
【0020】
又、前記回転テーブル11は貫通孔16の上方において、支持壁部14に取り付けられたモータ21及び前記減速機構(図示しない)を介して回転駆動される。図3に示すように、円盤17の裏面(後面)には、円形をなす金属製の集電リング22がボルト23により固定されている。集電リング22は、回転テーブル11の回転中心線Oと同軸となるように配置されている。
【0021】
図2(b)、及び図5(b)に示すように、支持壁部14の左右の各側端には、回転中心線Oを通る鉛直面を境に左右対称となるように取付面19,20が形成され、又、取付面19,20の上下方向の中間部は、図1(b)に示すように、回転中心線Oを挟んだ等距離にあるとともに、本実施形態では、取付面19,20の上下方向の中間部は、回転中心線Oを含む水平面S(図1(b)参照)に含まれる位置としている。
【0022】
そして、いずれか一方の面、又は両取付面に後述する集電装置30が取り付けられている。本実施形態では、支持壁部14の左側端の取付面19に集電装置30が取り付けられている。集電装置30は、集電手段に相当する。
【0023】
図4(a)、(b)に示すように、集電装置30は、絶縁材(例えば絶縁性合成樹脂)からなる支持体31と、支持体31に設けられた一対のバネ収納孔32に対してそれぞれ移動自在に挿通された一対のシャフト33と、同シャフト33の先端に固定された集電ブラシ34と、バネ収納孔32に収納されたシャフト33を集電ブラシ34側へ押圧付勢する付勢手段としてのバネ部材35とを備えている。
【0024】
支持体31は直方体状のブロックに形成されている。図3に示すように、支持体31において、取付面19側を向く面31aには取付板24が、面31aとは反対側の面31bからボルト孔31cに挿通されたボルト25にて取り外し可能に締め付け固定されている。そして、支持体31は、取付板24において、支持体31から後方へ延出された延出部24aの上下両部に形成されたボルト孔24bに対してボルト26(図3、図4(b)参照)を挿通することにより取付面19に対して着脱自在に取り付けられている。取付面19に対して、取り付けられた状態では、図2(a)に示すように、支持体31は、支持壁部14よりも前方に突出するように配置されている。
【0025】
図4(a)に示すように支持体31の一対のバネ収納孔32は、互いに平行に設けられている。バネ収納孔32の底部には、バネ収納孔32と同軸をなすとともにバネ収納孔32の内径よりも小径の貫通孔32aが形成されている。各バネ収納孔32内には、押圧部材としてのシャフト33が集電ブラシ34側方向及び反集電ブラシ方向に往復移動自在に挿通されている。シャフト33は前記貫通孔32aに対して摺接自在に挿通された小径部33aと、バネ収納孔32の内周面を摺動自在に形成された大径部33bとを有する。各シャフト33の基端部は図4(a)に示すように貫通孔32aから外部へ突出されている。
【0026】
シャフト33の大径部33b先端面はバネ収納孔32から支持体31の外部へ突出されたネジ部36が導電部材としてのブスバー40を介して集電ブラシ34に対して着脱自在に螺合されている。本実施形態では、集電ブラシ34に対してシャフト33がネジ部36により着脱自在に螺着されているが、これは一例であって集電ブラシ34をシャフト33に対して着脱自在にする構成は、前記構成に限定されるものではない。例えば、前記ネジ部36の代わりにシャフト33の先端面に対して、集電ブラシ34の先端面側から六角穴付ボルトにより着脱自在に螺合することにより、集電ブラシ34を同六角穴付ボルトでブスバー40に対して締付け固定してもよい。集電ブラシ34の先端面、すなわち集電面は、集電リング22に対して摺接するように平坦に形成されている。
【0027】
又、シャフト33の大径部33bと、バネ収納孔32の底部との間において、小径部33aには、コイルスプリングからなるバネ部材35が巻装されるとともにその両端部が大径部33bとバネ収納孔32の底部に係止されることにより蓄勢されている。そして、バネ部材35の蓄勢されたバネ力により、シャフト33は集電リング22側に付勢されている。
【0028】
ブスバー40は、図4(a)に示すように、集電ブラシ34とシャフト33の大径部33b間に介在するとともに下方へ延出された平板状の取付部40aと、取付部40aに対して支持ベース10の下部側へ所定角度を以て折り曲げされた折曲部40bを有する。取付部40aは本体部に相当する。なお、折曲部40bの取付部40aに対する折り曲げ角度は、限定されるものではないが、折曲部40bは後述する導出部側を向く様に、角度が設定されている。
【0029】
折曲部40bには、接続片42が、ボルト43及びナット44により取り付けられている。接続片42は導電部材に相当するとともに接続部に相当する。接続片42は、ボルト43及びナット44を互いに緩めることにより、接続片42の先端の向きを変更可能になっている。本実施形態では、接続片42は、図2(b)に示すように、斜め下方へ向いた折曲部40bに対して、右側を向いて直交するようにして取付られている。図2(b)に示すように、接続片42の先端は、後述する溶接用ケーブル50の取付部位Aとなっている。取付部位Aは、後述するオフセット方向に延出されるように配置されている。
【0030】
なお、本実施形態では、接続片42が折曲部40bに対して分離可能になっているが、接続片42を折曲部40bと分離不能に一体に連結してもよい。
次に、本実施形態の特徴である収納室12について説明する。
【0031】
図1(a)、(b)に示すように、収納室12は、回転テーブル11の回転中心線Oとは直交する方向に延びて形成されている。又、収納室12の左端の開口部12aはカバープレート13aにより閉塞されているとともに、右端の開口部12aはコネクタプレート13bにより閉塞されている。すなわち、カバープレート13a,コネクタプレート13bは、開口部12aの周縁部の端面12cに対して、複数のボルト13cにより、着脱自在に締め付けされている。カバープレート13a,コネクタプレート13bは蓋体に相当する。
【0032】
なお、本実施形態では、カバープレート13a,コネクタプレート13bの外形形状は、互いに同一形状の四角板に形成されており、左右の開口部12aの周縁部の端面12cに対していずれもボルト13cにより取付可能にされている。図1(b)、図2(b)、図5(b)に示すように収納室12の両端の開口部12aの周縁部において、回転テーブル11側の側壁上部には、溶接用ケーブル50の断面形状よりも十分に大きく、溶接用ケーブル50の内外の移動を許容する大きさを有する凹部12bが形成されている。凹部12bは、集電装置30のブスバー40に対して図2(b)に示すように、収納室12の中心側に位置するように、本実施形態では、右側(収納室12の中間部側)に位置してオフセット量Lを有するように配置されている。このため、前記接続片42の先端の取付部位Aは、前記オフセット量L分だけ、オフセット方向を右方向にして延出されている。
【0033】
図1(a)、(b)に示すように、コネクタプレート13b外面には、外部溶接用電源に対して図示しないケーブルを介して接続される外部接続用の端子13dが突出されている。又、図1(b)に示すようにコネクタプレート13bの内面には、前記端子13dに電気的に接続された内部接続用の端子13eが収納室12の内方へ向かって突出されている。端子13eは、接続端子に相当する。なお、本実施形態では、カバープレート13aには、端子13d,13eは設けられていない。図1(b)、図2(a)、(b)に示すように、収納室12内には、溶接用ケーブル50が収納されている。溶接用ケーブル50の第1端は、前記内部接続用の端子13eに接続されている。第1端は、反集電手段側端部に相当する。
【0034】
溶接用ケーブル50の第2端、すなわち、集電装置30側端部は、収納室12の左端側の凹部12bを介して外部に直線的に導出され、凹部12bよりも上方に離間して配置されている接続片42の取付部位Aに対して、ボルト45,46により取り外し可能に締め付け固定されている。本実施形態では、収納室12の左端側の凹部12bが導出部に相当する。
【0035】
溶接用ケーブル50の第2端は、取付部位Aに対して連結されている状態では、図2(a)に示すように、左側の凹部12bから直線状に延びるように配置されている。又、溶接用ケーブル50は、集電装置30の集電ブラシ34が消耗して、集電リング22側への移動を制限しない長さ分を有して、収納室12内に収納されている。すなわち、溶接用ケーブル50の第1端側はコネクタプレート13bの端子13eに連結されて拘束されているが、集電装置30の集電ブラシ34が消耗した場合において、集電リング22側への移動を制限しない長さ分を有して、集電装置30側を非拘束の遊びがある状態にし、第2端側はその拘束に影響を受けないものとなっている。
【0036】
なお、取付面20に対しても取付面19に対する取付方法と同様に集電装置30を取り付け可能になっている。この場合、取付面20に取り付けられた集電装置30のブスバー40と右端の凹部12bに関するオフセット方向は、取付面19に集電装置30を取り付けした場合とは反対方向であり、そのオフセット量は同一となるようにされている。
【0037】
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成されたポジショナの作用を説明する。
図4(a)に示すように、集電ブラシ34の集電リング22側の面が消耗すると、集電ブラシ34はバネ部材35に付勢されたシャフト33に押圧されて集電リング22側に移動する。
【0038】
このとき、ブスバー40も同方向に移動するため、図2(a)に示すように、ブスバー40に一体に連結された接続片42も同様に移動するとともに、溶接用ケーブル50の第2端も移動する。このとき、溶接用ケーブル50は、収納室12の左端の凹部12bから引き出される。この引き出し時には、溶接用ケーブル50の引き出しを拘束するものがないため、溶接用ケーブル50はスムーズに前記凹部12bから外部に引き出される。このため、溶接用ケーブル50に集電装置30の集電ブラシ34が引っ張られて集電ブラシ34の動作の阻害及び集電ブラシ34と集電リング22の接触面積が小さくなることを抑制できる。
【0039】
本実施形態は、下記の特徴がある。
(1) 本実施形態のポジショナは、支持ベース10に設けられた収納室12に外部電源接続用の溶接用ケーブル50を収納し、収納された溶接用ケーブル50の集電装置30側を非拘束の遊びがある状態にして、第2端(集電装置30側端部)を収納室12から外部に導出するとともにブスバー40(導電部材)及び接続片42(導電部材)に接続している。
【0040】
この結果、本実施形態によれば、集電ブラシ34が消耗時に、溶接用ケーブル50の第2端は、回転テーブル11側に移動が許容されているため、ブスバー40を介して集電ブラシ34に接続された溶接用ケーブル50に無理な力が加わることがないとともに、溶接用ケーブル50に集電ブラシ34が引っ張られて集電ブラシ34の動作の阻害及び集電ブラシ34と集電リング22の接触面積が小さくなることを抑制できる。
【0041】
(2) 本実施形態のポジショナは、溶接用ケーブル50の第1端(反集電手段側端部)は、支持ベース10に設けられた端子13e(接続端子)に接続されている。この結果、本実施形態によれば、溶接用ケーブル50の第1端支持ベースに設けられた端子13e(接続端子)に接続される構成であって、収納された溶接用ケーブル50の集電装置30側を非拘束の遊びがある状態にしているため、集電ブラシ34に接続された溶接用ケーブル50に無理な力が加わることがないとともに、溶接用ケーブル50に集電ブラシ34が引っ張られて集電ブラシ34の動作の阻害及び集電ブラシ34と集電リング22の接触面積が小さくなることを抑制できる。
【0042】
(3) 本実施形態のポジショナは、支持ベース10の収納室12には、集電装置30に向かう側の側壁に溶接用ケーブル50の第2端(集電手段側端部)を外部に直線的に導出する凹部12b(導出部)が設けられている。このため、集電ブラシ34が消耗時に移動した際に、溶接用ケーブル50が容易に移動できる結果、接続された溶接用ケーブル50に無理な力が加わることがないとともに、溶接用ケーブル50に集電ブラシ34が引っ張られて集電ブラシ34の動作の阻害及び集電ブラシ34と集電リング22の接触面積が小さくなることを抑制できる。
【0043】
(4) 本実施形態のポジショナにおいて、接続片42(接続部)は、収納室12の左端側の凹部12b(導出部)に対して、上方に離間して配置されるとともに、直線的に導出された溶接用ケーブル50の第2端(集電手段側端部)に対して接続されている。
【0044】
このため、上記(1)〜(3)の効果を容易に実現できる。
(5) 本実施形態のポジショナの収納室12は、回転テーブル11の回転中心線Oとは直交する方向に延びて形成されるとともにカバープレート13a,コネクタプレート13b(蓋体)により閉塞可能な開口部12aを有する。そして、収納室12の左端に設けた凹部12b(導出部)は、開口部12aに形成されるとともに集電ブラシ34と一体に連結されたブスバー40の取付部40a(本体部)に対して、収納室12の中間部側に位置するようにオフセットして配置されている。又、接続片42(導電部材、接続部)は、収納室12の左端に設けた凹部12b(導出部)のオフセット方向に延びて配置されて溶接用ケーブル50に接続されている。このため、溶接用ケーブル50をオフセットしない場合に比して、溶接用ケーブル50の長さを長くする必要がなくなり、溶接用ケーブル50のコストを低減することができる。
【0045】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 前記実施形態のポジショナは、回転テーブル11の回転中心線Oを水平面に含まれるように配置した構成としたが、ポジショナの構成としては前記実施形態に限定されるものではなく、回転テーブル11の回転中心線Oを鉛直面に含まれるように配置した構成にしてもよい。
【0046】
・ 又、前記実施形態では一軸のポジショナで構成したが、2軸のポジショナに具体化してもよい。
・ 収納室12は、本実施形態では四角筒状に形成したが、円筒状等の他の断面形状であってもよく限定されるものではない。又、収納室12は一方の開口部を省略して閉塞したものであってもよい。この場合は、開口部12aを有する側において、収納室12を形成している側壁に凹部12bを形成する。
【0047】
・ なお、前記実施形態では、凹部としたが、凹部に限定するものではなく、収納室12を形成している側壁に貫通孔を形成して、これを導出部としてもよい。
・ 前記実施形態では、溶接用ケーブル50を、収納室12の左端側の凹部12bから外部に導出し、取付面19に取り付けられた集電装置30に連結するようにした。この代わりに、取付面20に集電装置30を取り付けして、収納室12の右端側の凹部12bから溶接用ケーブル50の第2端を外部に導出して取付面20に集電装置30に接続してもよい。この場合、収納室12の右端側の凹部12bが導出部に相当する。
【0048】
又、この場合、カバープレート13a,コネクタプレート13bの開口部12aの周縁部に対する取り付けは、前記実施形態と同じでもよく、或いは反対の開口部12aの周縁部に対しても取り付けしてもよい。なお、カバープレート13a,コネクタプレート13bの開口部12aの周縁部に対する取り付けは、前記実施形態と同じとした場合は、溶接用ケーブル50の長さは、集電装置30の集電ブラシ34の消耗時において、溶接用ケーブル50の第2端の移動に制限がされない長さを有するものとすればよい。
【0049】
・ 前記実施形態では、接続端子は、コネクタプレート13bに設けられた端子13eとしたが、収納室12の一端を閉塞した側壁を形成し、その側壁内面に、接続端子としての端子13eを設けるとともに、その側壁外面に端子13dを設けて、端子13eに溶接用ケーブル50を接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…支持ベース、10A…ベース部、11…回転テーブル、
12…収納室、12a…開口部、
12b…凹部(導出部)、13a…カバープレート(蓋板),13b…コネクタプレート(蓋体)、 22…集電リング、30…集電装置、31…支持体、
34…集電ブラシ、35…バネ部材(付勢手段)、
40…ブスバー(導電部材)、40a…取付部、40b…折曲部、
42…接続片(導電部材、接続部)、50…溶接用ケーブル、
A…取付部位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸心の周りに集電リングを備えた導電性を備える回転テーブルと、前記回転テーブルを回転自在に支持する支持ベースと、前記支持ベースに取り付けられた集電手段を備え、前記集電手段は、前記集電リングに接触する集電ブラシと、前記集電ブラシと一体に接続された導電部材と、前記集電ブラシ及び導電部材を回転テーブル側に付勢する付勢手段を有するポジショナにおいて、
前記支持ベースに設けられた収納室に外部電源接続用の溶接用ケーブルを収納し、
前記収納された溶接用ケーブルの集電手段側を非拘束の遊びがある状態にして、該集電手段側端部を前記収納室から外部に導出するとともに前記導電部材に接続したことを特徴とするポジショナ。
【請求項2】
前記溶接用ケーブルの反集電手段側端部は、前記収納室に設けられた接続端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のポジショナ。
【請求項3】
前記支持ベースの収納室には、前記集電手段に向かう側の側壁に前記溶接用ケーブルの集電手段側端部を外部に直線的に導出する導出部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポジショナ。
【請求項4】
前記導電部材において、前記溶接用ケーブルの集電手段側端部を接続する接続部は、前記導出部に対して、上方に離間して配置されるとともに、前記直線的に導出された溶接用ケーブルの集電手段側端部に対して接続されていることを特徴とする請求項3に記載のポジショナ。
【請求項5】
前記収納室は、前記回転テーブルの回転中心とは直交する方向に延びて形成されるとともに少なくとも一方には蓋体により閉塞可能な開口部を有しており、
前記導出部は、前記開口部に形成されるとともに前記集電ブラシと一体に連結された前記導電部材に対して、前記収納室の中間部側に位置するようにオフセットして配置され、
前記導電部材の接続部は、前記導出部のオフセット方向に延びて配置されて前記溶接用ケーブルに接続されていることを特徴とする請求項4に記載のポジショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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