説明

ポジトロン放射断層画像法

本発明は、ポジトロン放射断層法を用いて、病原細胞がビタミン受容体を特異的に発現する、選択的に発現する、または過剰発現することを特徴とする原発性病態を、診断/監視するための組成物および方法に関する。ある例示の実施態様では、放射性担体と結合されたビタミン類またはそれらの類縁体が、ポジトロン放射断層法を用いて体外的に病態を診断/監視するために用いられる。本発明に従って診断/監視できる病態は、癌、および、活性化マクロファージの関与する病態、例えば、炎症反応の関与する病態などである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原細胞がビタミン受容体を特異的に発現する、選択的に発現する、または過剰発現することを特徴とする原発性病態を、ポジトロン放射断層法を用いて診断/監視するための、組成物および方法に関する。さらに具体的には、ポジトロン放射断層法に有用な放射性担体と結合される、ビタミン類またはその類縁体が、体外装置による上記病態の診断および監視のために用いられる。
【背景技術】
【0002】
ビタミン受容体は癌細胞において過剰に発現される。例えば、葉酸塩受容体、すなわち、ビタミンの葉酸に高い親和度(< 1 nM)で結合する38 kDのGPI-固着タンパクは、卵巣癌、乳癌、気管支癌、および脳癌において過剰に発現される。受容体の結合後、急速なエンドサイトーシスによって、葉酸塩は細胞内に輸送され、そこで葉酸塩は、低いpHにおいてエンドソーム分画に収容される。重要なことは、葉酸塩に対する、小型分子、タンパク、さらにリポソームの共有的結合さえも、葉酸塩の、その受容体に対する結合能力を遮断しないことであり、従って、葉酸塩結合体は、受容体仲介性エンドサイトーシスによって、簡単に細胞に輸送され、細胞内に入ることが可能である。
【0003】
大抵の細胞は、必要な葉酸を獲得するのに、葉酸塩受容体とは無関係な還元型葉酸塩キャリヤー(reduced folate carrier)を用いるので、葉酸塩受容体の発現は僅か数種の細胞タイプに限定される。腎臓、脈絡叢、および胎盤を除き、正常な組織は、低いまたは検出不能なレベルの葉酸塩受容体しか発現しない。しかしながら、多くの悪性の組織、例えば、卵巣、乳房、気管支、および脳の癌は、目だって高レベルで該受容体を発現する。事実、全卵巣癌の95%が葉酸塩受容体を過剰発現すると推定されている。
【0004】
さらに、葉酸塩受容体の非上皮性異性体である葉酸受容体βは、活性化された滑膜マクロファージにおいて発現される(安静マクロファージでは発現されない)ことが報告されている。従って、葉酸塩受容体は、マクロファージのあるサブセット(すなわち、活性化マクロファージ)において発現される。活性化マクロファージは、下記によって免疫反応に参加することが可能である。すなわち、外来病原体を非特異的に自らの細胞内に包み込んでそれを殺し、外来病原体由来の分解ペプチドを、他の免疫細胞によって認識されるように該マクロファージ細胞表面に提示し、TおよびBリンパ球の機能を調節するサイトカインやその他の因子を分泌し、そうすることによってさらに免疫反応を刺激する。活性化マクロファージはまた、ある場合には、病気の病理・生理的原因となる可能性もある。例えば、活性化マクロファージは、関連する病態の中でも、特に、アテローム硬化症、関節リューマチ、自己免疫病態、および、移植片対宿主疾患を招く場合がある。さらに、活性化した単球も、葉酸受容体を過剰発現することが従来から示されている。活性化マクロファージおよび活性化単球における葉酸塩受容体の過剰発現は、特許文献1、および特許文献2に記載されている。なお、これらの特許文書を引用することにより本明細書に含める。
【0005】
活性化マクロファージが病態を招くことを示す一つの例は、アテローム硬化症の進行における活性化マクロファージの関与である。アテローム硬化症は、脂肪性の線条が血管壁内部に形成された時点で始まる病態である。脂肪性線条の形成は、脂質タンパク粒子が、血管壁の管腔内皮細胞層の下にある管腔壁の層である最内層において蓄積することに由来すると考えられている。脂質タンパク粒子は、最内層の細胞外基質成分と結合し、血漿の抗酸化剤との接触を免れ、そのために脂質タンパク粒子の酸化的修飾が実現される。この酸化的修飾は、局所的免疫反応を誘発することがあり、反応は、活性化マクロファージとTリンパ球の、血管内皮に対する接着を招き、次いで最内層への移動をもたらす。酸化脂質タンパク粒子自身も、免疫系の細胞、例えば、マクロファージおよびT細胞に対する化学的誘引物質として作用したり、あるいは、血管壁の細胞に化学的誘引物を生産するよう誘導することが可能である。次に、このアテローム硬化病変部は、活性化マクロファージで満たされた脂質に富むコアを持つ、線維性キャップを形成することがある。不安定なアテローム硬化病変部は、局所的炎症で特徴づけられ、破裂して、致命的心筋梗塞を引き起こした病変部は、活性化マクロファージとTリンパ球の浸潤で特徴づけられる。
【0006】
特許文献3、特許文献4、および特許文献5は、血管病の、予想される原因について論じている。上記参照文献は、血管またはその他の体腔内において活性化マクロファージに結合する放射線標識結合体の検出用のカテーテル型システムを開示する。特許文献3、特許文献4、および特許文献5を引用することにより本明細書に含める。
【特許文献1】米国特許出願第60/696,740号
【特許文献2】米国特許出願公報US-2002-0192157-A1
【特許文献3】米国特許第6,782,289号
【特許文献4】米国特許出願公報US-2005-0244336-A1
【特許文献5】PCT国際公報WO2004/110250
【発明の開示】
【0007】
上記から、本発明は、癌および活性化マクロファージまたは活性化単球が関与する病態を含む、病原細胞がビタミン受容体を特異的に発現する、選択的に発現する、または過剰発現することを特徴とする原発性病態を、ポジトロン放射断層法を用いて診断/監視するための組成物および方法を提供する。一つの実施態様では、放射性担体と結合されるビタミン類またはそれらの類縁体が、ポジトロン放射断層法によって上記病態を体外的に診断および監視するために用いられる。
【0008】
一つの実施態様では、ビタミンが到達可能な結合部位を有する活性化単球または活性化マクロファージによって仲介される病態を、診断/監視するための方法が提供される。この方法は、該病態について判断される患者に対し、一般式L-Xで表される結合体(Lはビタミンまたはその類縁体を含み、基Xは放射性担体を含む)の有効量を投与する工程、このビタミン結合体を、十分な時間をかけて活性化単球または活性化マクロファージに結合させる工程、および、ポジトロン放射断層法を用いて該病態を体外的に診断/監視する工程、を含む。
【0009】
別の実施態様では、癌細胞がビタミン受容体を特異的に発現する、選択的に発現する、または過剰発現する癌を、診断/監視するための方法が提供される。本法は、該癌について判断される患者に対し、一般式L-Xで表される結合体(Lはビタミンまたはその類縁体を含み、基Xは、約80分から約8時間の半減期を有する放射性担体を含む)の有効量を投与する工程、このビタミン結合体を十分な時間をかけて癌細胞に結合させる工程、および、ポジトロン放射断層法を用いて該癌を体外的に診断/監視する工程、を含む。
【0010】
別の実施態様では、血管に付随した、活性を持つアテローム硬化性プラークであって、ビタミンが到達可能な結合部位を有する活性化マクロファージを含む該プラークを、診断/監視するための方法が提供される。本法は、アテローム硬化症について判断される患者に対し、一般式L-Xで表される結合体(Lはビタミンまたはその類縁体を含み、基Xは、ポジトロン放射によって崩壊することが可能な放射性担体を含む)の有効量を投与する工程、このビタミン結合体を、十分な時間をかけて活性プラークに付随した活性化マクロファージに結合させる工程、および、ポジトロン放射断層法を用いて該活性プラークを体外的に診断/監視する工程、を含む。
【0011】
不安定な(すなわち、活性を持つ)アテローム硬化プラークの多くは、破裂して急性アテローム硬化症候群を引き起こす可能性があるが、血管、特に冠状動脈循環における血管の狭窄を起こさない。従って、本実施態様は、アテローム硬化症の患者における、心筋梗塞の危険度の診断、および、臨床的介入の必要性の評価に関して著明な進歩を表す。
【0012】
別の実施態様では、ビタミンあるいはその類縁体またはそれらの誘導体、およびポジトロン放射同位元素を含む、組成物(同位元素は反対方向に移動する一対の消滅フォトンを放出し、消滅フォトンは電子によるポジトロン消滅の結果生じたものであり、同位元素は約80分から約8時間の半減期を有する)が提供される。
【0013】
さらに別の例示の実施態様では、式L-Xで表される化合物(Lは、ビタミン、またはその類縁体またはそれらの誘導体を含み、Xは、ポジトロンを放出することによって約80分から約8時間の半減期をもって崩壊する放射性同位元素を含む放射性担体を含み、放射性同位元素は反対方向に移動する一対の消滅フォトンを放出し、かつ、消滅フォトンは電子によるポジトロン消滅の結果生ずる)が提供される。
【0014】
さらに別の実施態様では、一般式L-Xで表される結合体を調製するための方法であって、反応形の放射性担体と反応することが可能な反応形の、ビタミン、またはその類縁体またはそれらの誘導体を準備する工程、反応形のビタミンと反応することが可能な反応形の放射性担体を準備する工程、および、反応形のビタミンを、反応形の放射性担体と接触させる工程、を含む方法(Lはビタミンまたはその類縁体またはそれらの誘導体を含み、基Xは、ポジトロンを放出することによって崩壊する放射性同位元素を含む放射性担体を含み、放射性同位元素は反対方向に移動する一対の消滅フォトンを放出し、消滅フォトンは電子によるポジトロン消滅の結果生じ、かつ、放射性同位元素は約80分から約8時間の半減期を持つ)が提供される。
【0015】
〔関連出願に対する相互対照〕
本出願は、米国特許法第119(e)条に基づき、2004年12月23日に出願の、米国特許仮出願第60/638,924号の優先権を主張する。なお、この仮出願を参照することにより本出願に含める。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、放射線を放射する化合物(すなわち、放射性担体(radiophore))であって、ポジトロン放射断層法を用いる診断/監視法において有用な化合物(すなわち、電子によるポジトロン消滅の結果生じて反対方向に移動する一対の消滅フォトンを生成することが可能なポジトロン放射線を放射する化合物)を利用する。放射性担体は通常、放射線を放射する化合物(すなわち、放射性担体)を形成する、他の化学的構造(例えば、ベンゼン環)に結合した放射性同位元素を含む。しかしながら、放射性担体は、放射性同位元素のみを含んでもよい。
【0017】
本発明によれば、「ポジトロン放射断層法において有用な」化合物(例えば、放射性担体)とは、電子によるポジトロン消滅の結果生じて反対方向に移動する一対の消滅フォトンを生成することが可能なポジトロン放射線を放射する化合物を意味する。
【0018】
さらに、本発明によれば、ポジトロン放射断層法(PET)の使用には、PETに使用される化合物(例えば、放射性担体)が、電子によるポジトロン消滅の結果生じて反対方向に移動する一対の消滅フォトンを生成することが可能な、ポジトロン放射線を放射することが要求される。
【0019】
PETにおいて有用な放射性担体と結合された、ビタミン類またはそれらの類縁体、または他のリガンドが、体外装置による病態の診断および/または監視のために使用される。体外装置によるPET検出はまた「PETスキャン」とも呼ばれ、PETによる体外的検出用装置は従来技術でよく知られる。
【0020】
本発明は、病原細胞がビタミン受容体を特異的に発現する、選択的に発現する、または過剰発現することを特徴とする原発性病態を、PETを用いて診断/監視するための組成物および方法に関する。本発明は、例えば癌のような、多様な病態を引き起こす病原細胞集団に適用が可能である。従って、病原細胞集団は、例えば良性腫瘍および悪性腫瘍を含む、腫瘍形成性である癌細胞集団であってもよいし、あるいは、非腫瘍形成性であってもよい。癌細胞集団は、自発的に生じてもよいし、あるいは、患者の生殖系列に存在する突然変異、または体性突然変異のような過程によって生じてもよいし、あるいは、化学的に、ウィルスを介して、または放射能によって、誘発されてもよい。本発明は、癌、例えば、上皮癌、肉腫、リンパ腫、ホジキン病、メラノーマ、中皮腫、バーキットリンパ腫、鼻咽頭癌、白血病、および骨髄腫、などを診断/監視するために利用することが可能である。癌細胞集団としては、口内、甲状腺、内分泌腺、皮膚、胃、食道、喉頭、膵臓、結腸、膀胱、骨、卵巣、子宮頸部、子宮、乳房、睾丸、前立腺、直腸、腎臓、肝臓、および肺の癌が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。
【0021】
病原細胞はまた、病態、例えば、線維筋痛症、関節リューマチ、変形性関節症、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、骨髄炎、多発性硬化症、アテローム硬化症、肺線維腫、サルコイドーシス、全身性硬化症、臓器移植拒絶(GVHD)、エリテマトーデス、シェーグレン症候群、糸球体腎炎、皮膚の炎症(例えば、乾癬)、慢性炎症、および傷害による炎症(例えば、頭部または脊髄傷害、または塞栓症)などに付随した、活性化単球またはマクロファージであってもよい。
【0022】
一つの実施態様では、ビタミンが到達可能な結合部位を有する活性化マクロファージまたは活性化単球によって仲介される病態を、診断/監視するための方法が提供される。この方法は、該病態について判断される患者に対し、一般式L-Xで表される結合体(Lはビタミンまたはその類縁体を含み、基Xは放射性担体を含む)の有効量を投与する工程、このビタミン結合体を十分な時間をかけて活性化単球または活性化マクロファージに結合させる工程、および、ポジトロン放射断層法を用いて該病態を体外的に診断/監視する工程、を含む。
【0023】
別の実施態様では、癌細胞がビタミン受容体を特異的に発現する、選択的に発現する、または過剰発現する癌を、診断/監視するための方法が提供される。本法は、該癌について判断される患者に対し、一般式L-Xで表される結合体(Lはビタミンまたはその類縁体を含み、基Xは、約80分から約8時間の半減期を有する放射性担体を含む)の有効量を投与する工程、このビタミン結合体を、十分な時間をかけて癌細胞に結合させる工程、および、ポジトロン放射断層法を用いて該癌を体外的に診断/監視する工程、を含む。
【0024】
本発明の別の実施態様では、血管に付随した、活性を持つアテローム硬化性プラークであって、ビタミンが到達可能な結合部位を有する活性化マクロファージを含む該プラークを、診断/監視するための方法が提供される。本法は、アテローム硬化症について判断される患者に対し、一般式L-Xで表される結合体(Lはビタミンまたはその類縁体を含み、基Xは、ポジトロン放射によって崩壊することが可能な放射性担体を含む)の有効量を投与する工程、このビタミン結合体を、十分な時間をかけて活性プラークに付随した活性化マクロファージに結合させる工程、および、ポジトロン放射断層法を用いて該活性プラークを体外的に診断/監視する工程、を含む。
【0025】
本実施態様は、血管壁における活性アテローム硬化プラークを診断/監視する方法に関する。安静マクロファージに比べて、活性化マクロファージの表面に選択的に発現される、特異的に発現される、または過剰発現される受容体に結合するリガンド(例えば、ビタミン、またはその類縁体)が、放射性担体に結合される。この結合体は、アテローム硬化症について判断される患者に投与される。結合体は、活性アテローム硬化症プラークに付随した活性化マクロファージに結合する。放射性担体によって放射される放射線は、ポジトロン放射断層法を用いて体外的に検出される。従って、プラークが、アテローム硬化症について判断される患者の動脈または静脈に存在する場合、この結合体は、活性化マクロファージを含む活性アテローム硬化プラークを不活性プラークと区別するために使用することが可能である。
【0026】
不安定な(すなわち、活性を持つ)アテローム硬化プラークの多くは、破裂して急性アテローム硬化症候群を引き起こす可能性があるが、血管、特に冠状動脈循環における血管の狭窄を起こさない。従って、本発明のこの方法は、アテローム硬化症の患者における、心筋梗塞の危険度の診断、および、臨床的介入の必要性の評価に関して著明な進歩を表す。
【0027】
結合体が活性化単球またはマクロファージに結合する実施態様によれば、結合体は、多種多様なリガンドおよび放射性担体から形成することが可能であり、このリガンドは、活性化単球または活性化マクロファージの表面では過剰に発現される、特異的に発現される、または選択的に発現されるが、安静単球またはマクロファージの表面では目立った量として存在しない受容体に結合するものであれば、どのようなリガンドであってもよい。活性化マクロファージについて言えば、そのようなリガンドとしては、N-フォルミルペプチド(例えば、f-Met-Leu-Phe)、高移動度グループ因子1タンパク(HMGB1)、ヒアルロナン断片、HSP-70、toll様受容体リガンド、スカベンジャー受容体リガンド、抗原提示に対する協働受容体、活性化マクロファージにおけるCD68、BER-MAC3, RFD7, CD4, CD14, およびHLA-Dマーカーに結合するリガンド、ウロキナーゼプラスミノゲン活性化因子受容体に結合するリガンド(例えば、WX-360ペプチド)、活性化マクロファージに選択的に結合する抗体またはその断片、および、ビタミン類、または受容体結合性ビタミン類縁体/誘導体、が挙げられる。
【0028】
単球に関して言えば、単球結合リガンドとしては、活性化単球において発現される、または過剰発現される受容体に結合する任意のリガンド、例えば、CD40-、CD16-、CD14-、CD11b-、およびCD62-結合リガンド、5-ヒドロキシトリプタミン、マクロファージ炎症タンパク1-α、MIP-2、核因子kBリガンド拮抗因子の受容体活性化因子、単球化学的誘引タンパク1の結合リガンド、ケモカイン受容体5結合リガンド、RANTES結合リガンド、ケモカイン受容体結合リガンド、および、ビタミン類、または受容体結合性ビタミン類縁体/誘導体、等であってもよい。リガンドに対する受容体が、安静単球またはマクロファージに比べ、活性化単球またはマクロファージにおいて選択的に発現されるために、結合体は活性化単球または活性化マクロファージに対して選択的に結合することが可能である。
【0029】
前述の実施態様では、リガンド(例えば、ビタミン、またはその類縁体またはそれらの誘導体)は、癌細胞の表面において、あるいは、安静単球またはマクロファージに比べ、活性化単球またはマクロファージの表面において、選択的に発現される、特異的に発現される、または過剰発現されるものであれば、どのようなリガンドであってもよい。そのようなリガンドの例は、葉酸塩受容体結合リガンド、ビオチン受容体結合リガンド、ビタミンB12受容体結合リガンド、リボフラビン受容体結合リガンド、チアミン受容体結合リガンド、および、その他のビタミン受容体結合リガンド、またはその類縁体またはそれらの誘導体、から成るグループから選ばれるビタミン類である。
【0030】
本発明に従って使用できる受容可能なビタミン成分としては、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、リボフラビン、チアミン、ビオチン、ビタミンB12、および脂溶性ビタミンA、D、E、およびK、が挙げられる。一つの実施態様では、これらのビタミン類、およびその受容体結合性類縁体およびそれらの誘導体は、本発明に従って使用される結合体を形成するために、放射線を放射することが可能な放射担体と結合できる標的化実体を構成する。好ましいビタミン成分としては、葉酸、ビオチン、ビタミンB12、および、これらのビタミン分子の、受容体結合類縁体およびそれらの誘導体、および、他の、ビタミン受容体結合性関連分子(米国特許第5,688,488号を参照されたい、なお、この特許文献を引用することにより本明細書に含める)が挙げられる。ビタミン類縁体の例は、D型のグルタミン酸残基を含む葉酸類縁体である(葉酸は通常、プテロイン酸に結合する1個のL型グルタミン酸を含む)。
【0031】
一つの実施態様では、ビタミン受容体結合リガンドは、葉酸、葉酸類縁体、または他の葉酸塩受容体結合性の分子であってもよい。使用が可能な葉酸塩の類縁体としては、例えば、フォリン酸、プテロポリグルタミン酸、および、葉酸塩受容体結合性のプテリジン類、例えば、テトラヒドロプテリン、ジヒドロフォレート、テトラヒドロフォレート、および、それらのデアザおよびジデアザ類縁体、が挙げられる。「デアザ」および「ジデアザ」類縁体という用語は、天然の葉酸構造において、1個または2個の窒素原子が1個の炭素原子で置換された、従来技術で認識済みの類縁体を指す。例えば、デアザ類縁体としては、1-デアザ、3-デアザ、5-デアザ、8-デアザ、および10-デアザ類縁体、が挙げられる。ジデアザ類縁体としては、例えば、1,5ジデアザ、5,10-ジデアザ、8,10-ジデアザ、および5,8-ジデアザ類縁体、が挙げられる。以上の葉酸の類縁体は、それらが葉酸塩受容体に結合する能力を反映して、従来から「葉酸塩」と呼ばれている。他の葉酸塩受容体結合性の類縁体としては、アミノプテリン、アメトプテリン(メトトレキセート)、N10-メチルフォレート、2-デアミノ-ヒドロキシフォレート、1-デアザメトプテリンや3-デアザメトプテリンといったデアザ類縁体、および3’,5’-ジクロロ-4-アミノ-4-デオキシ-N10-メチルプテロイルグルタミン酸(ジクロロメトトレキセート)、が挙げられる。
【0032】
前述の実施態様の全てにおいて、放射性担体は、適切な半減期および毒性プロフィールを持つ、ポジトロン放射同位元素を含んでもよい。様々な実施態様において、放射能同位元素は、30分を超える、70分を超える、80分を超える、90分を超える、100分を超える、8時間未満、6時間未満、4時間未満、または、3時間未満、の半減期を持つ。別の実施態様では、放射性同位元素は、約30分から約4時間、約70分から約4時間、約80分から約4時間、約90分から約4時間、約100分から約4時間、約30分から約6時間、約70分から約6時間、約80分から約6時間、約90分から約6時間、約100分から約6時間、約30分から約8時間、約70分から約8時間、約80分から約8時間、約70分から約8時間、約80分から約8時間、約90分から約8時間、または、約100分から約8時間、の半減期を持つ。
【0033】
各種の実施態様において、放射性同位元素は、34Cl, 45Ti, 51Mn, 61Cu, 63Zn, 68Ga, 11C, 13N, 15O, および18Fから成るグループから選ばれる。一つの例示の実施態様では、放射性同位元素は18Fである。
【0034】
本発明による一般式L-Xの結合体において、基Lは、前述のように、癌細胞に対して、あるいは、安静単球またはマクロファージに比べ、活性化単球または活性化マクロファージに対して、結合することが可能なリガンドである。一つの例示の実施態様では、癌細胞または活性化単球またはマクロファージに結合するリガンドは、葉酸、葉酸類縁体/誘導体、または、他の葉酸塩受容体結合性の分子である。
【0035】
リガンド(例えば、ビタミン、またはその類縁体またはそれらの誘導体)の結合部位としては、癌細胞、または活性化単球または活性化マクロファージの表面において特異的に発現される、過剰発現される、または選択的に発現/提示される受容体に選択的に結合することが可能な任意のリガンド分子に対する受容体、が挙げられる。癌細胞、または活性化単球または活性化マクロファージによって特異的に発現される、過剰発現される、または選択的に発現される表面提示タンパクは、正常細胞、または安静単球または安静マクロファージの表面には存在しないか、僅かな濃度でしか存在しない受容体であって、これによって、癌細胞または活性化単球または活性化マクロファージに対する選択的な検出手段が得られる。従って、癌細胞において、または、安静単球または安静マクロファージに比べ活性化単球または活性化マクロファージにおいて発現の上昇する受容体、あるいは、正常細胞の表面では、または、安静単球または安静マクロファージの表面では発現/提示されない受容体、あるいは、安静単球または安静マクロファージの表面では目立った量で発現/提示されない受容体であれば、どのような受容体であっても標的化のために用いることが可能である。一つの例示の実施態様では、本発明によって使用される結合体に結合する部位は、ビタミン受容体、例えば、葉酸塩またはその類縁体またはそれらの誘導体に結合する葉酸塩受容体、である。
【0036】
本発明によれば、結合体は、癌細胞、または活性化単球または活性化マクロファージに対し、高い親和性をもって結合することが可能である。高親和性結合は、リガンドに内在していてもよいし、化学的に修飾されたリガンド(すなわち、類縁体または誘導体)を用いることによって、あるいは、結合体におけるリガンドと放射性担体の間の特定の化学的結合によって、結合親和性を強化することも可能である。
【0037】
結合体におけるリガンドと放射性担体の間の化学的結合は、直接結合であっても、または、介在性リンカーを介するものであってもよい。用いるならば、介在性リンカーは、従来技術で既知の任意の生体適合性リンカーであってよい。典型的には、リンカーは、約1から約30個の炭素原子、より典型的には、約2から約20個の炭素原子を含む。比較的低い分子量のリンカー(すなわち、約30から約500の分子量を持つもの)が典型的には用いられる。米国特許出願第10/765336号または第60/590580号に記載される、任意のリンカー、または結合法または化学反応の使用が可能である。なお、これらの特許文献を引用することにより本明細書に含める。また、従来技術で既知の任意のリンカー、または結合法または化学反応も使用が可能である。
【0038】
一般に、リガンドと放射性担体との間、リンカーとリガンドとの間、またはリンカーと放射性担体との間に結合体を形成する、任意の方法が、本発明に従って利用可能である。リンカーの有無を問わず、結合体は、結合体の成分同士を、例えば、水素結合、イオン結合、または共有結合を通じて結合することによって形成することが可能である。結合体の成分同士の共有結合は、例えば、酸基、アルデヒド基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルフヒドリル基、またはヒドラゾ基の間に、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、またはイミノ結合を形成することによって得られる。さらに、本発明によれば、リンカーは、リガンドを放射性担体と、例えばスペーサアームまたは架橋分子を介して接続することによって、結合するための間接手段を含んでもよい。結合のための直接および間接手段はどちらも、本発明の方法の働きのためには、癌細胞上の、または、活性化単球または活性化マクロファージ上の受容体にリガンドが結合するのを妨げてはならない。
【0039】
例示の化学的結合として、実施例1に記載されるスキームにおけるエチレンジアミンは、フルオロベンズアミド(すなわち、フッ素分子が18Fである放射性担体)と葉酸塩リガンドとの間のスペーサまたはリンカーとして役立つ。リンカーが、結合体の水溶性を強化すること、あるいは、少なくとも水溶性を実質的に損なわないことが好ましい。水溶性にとって有利なリンカーとしては、水溶性ポリマー、例えば、デキストラン、セルロースエーテル、ペプチドリンカー、またはポリエチレングリコール、などが挙げられる。一つの実施態様では、このようなポリマーは、1,000未満の分子量を持つ。
【0040】
例示の実施態様では、ベンザミジル、ベンジル、またはフェニル基を含む放射性担体の外に、他の芳香族、例えば、ナフチルおよびベンゾキサゾリル基等を含む放射性担体が、本発明の範囲内にあるものと考慮される。
【0041】
リンカーの適切な選択によって、結合体が肝臓から胆汁にまたは尿中に排泄される前に、リガンドが患者の興味の部位、例えば、癌細胞、または活性化単球または活性化マクロファージ、に結合できるようにすることによって、該結合体の排泄速度を制限してもよい。リンカーは、結合体の代謝的消費を促進してもよいし、または、例えば、毛内皮系、特に肝臓による取り込みを遅らせることによって、結合体の代謝的消費を遅らせてもよい。リンカーはまた、結合体の、標的ではない器官、細胞、流体、またはタンパクとの結合を回避することを助けるものであってもよい。例えば、仮に結合体が血清タンパクと結合するものであるとすると、PETスキャンは、求める癌細胞あるいは活性化単球または活性化マクロファージの特異的部位ではなく、患者の血管全体の走査像を与えることになるであろう。さらに、リンカーは、結合体の好ましいルートからの排泄、例えば、尿排泄を、該結合体の投与後に相当量の流体を飲むよう患者に奨励することなどによって、促進または加速してもよい。
【0042】
リガンドが葉酸または他の任意の葉酸塩受容体結合性分子である実施態様では、葉酸塩またはその類縁体/誘導体は、従来技術で既知の、無水トリフルオロ酢酸を用い、プテリオールアジド中間体を介して葉酸のγ-エステルを調製する過程によって、リンカーに結合することが可能である。この過程により、葉酸塩のグルタミン酸基のγ-カルボキシ基を介してのみリンカーに結合する葉酸塩の合成が実現される。それとは別に、葉酸類縁体は、従来技術で既知の過程により、グルタミン酸基のα-カルボキシ成分、またはαおよびγカルボン酸実体の両方を介して、結合することもできる。
【0043】
本発明の方法に従って使用するのに有効な結合体の量は、例えば、結合体の分子量、その投与ルート、およびその組織分布を含む、多くのパラメータに依存する。本発明によれば、結合体の「有効量」は、癌細胞および活性化単球または活性化マクロファージに結合するのに十分であって、癌、または活性化単球または活性化マクロファージの関与する病態の診断/監視において有用とされる量である。癌、または活性化単球または活性化マクロファージの関与する病態について判断される患者に対して投与される結合体の有効量は、約1 pg/kgから約10 mg/kg、1 ng/kgから約10 mg/kg、約10 μg/kgから約1 mg/kg、あるいは、約100 μg/kgから約500 μg/kg、の範囲に渡ってもよい。
【0044】
結合体は、体外的PET画像装置による検出の前に、1回以上の投与量(例えば、約1から約3回の投与量)として投与される。投与の回数は、種々の要因の中で特に、結合体の分子量、その投与ルート、およびその組織分布に依存する。癌、または活性化単球または活性化マクロファージの関与する病態の診断/監視のために使用される場合は、体外的検出過程は通常、結合体の投与後約1分から約6時間で行われるが、体外的検出過程は、結合体の、癌細胞、または活性化単球または活性化マクロファージに対する結合が検出可能であり、未結合の結合体の実質的割合が体内から除去されるのに十分な時間が許されている限り、結合体の投与後任意の時間に実行されてよい。
【0045】
本発明の方法に従って投与される結合体は、患者に対し非経口的に、例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、または腹腔内に、製薬学的に受容可能な担体と組み合わせて投与されることが好ましい。それとは別に、結合体は、患者に対し、他の医学的に有用な過程によって、例えば、経口的に服用可能な処方として、投与されてもよい。本発明によれば、癌、または活性化単球または活性化マクロファージが関与する病態を疑われる患者であって、本発明の方法による評価で利益を得ると考えられる患者である限り、症状があろうとあるまいと、評価をしてよい。
【0046】
本発明に従って使用される、式L-Xで表される結合体は、本発明の一つの態様では、有効量の結合体と、それに対する受容可能な担体とを含む、診断用組成物を処方するために使用される。非経口剤形の例としては、結合体の水溶液、例えば、等張生食液、5%グルコース、または他の既知の製薬学的に受容可能な液体担体、例えば、アルコール、グリコール、エステル、およびアミド、に溶解した溶液などが挙げられる。従来技術で既知の、任意の経口剤形も使用が可能である。
【0047】
本明細書に記載される方法において使用される結合体は、患者の腫瘍部位に、あるいは、活性化単球または活性化マクロファージの蓄積部位(例えば、プラークの腔内皮層に付着する活性化マクロファージ、またはプラークの脂質富裕コアの中に存在する活性化マクロファージ)に対して、結合体を標的化し、従って濃縮するように形成される。
【0048】
本発明のいくつかの態様は、癌細胞、または活性化単球または活性化マクロファージの検出に有利である。一つの実施態様では、放射性担体は、ポジトロン放射体である放射性同位元素を含む。ポジトロン放射体は、線源原子から3次元的に放射をするが、この放射は、正確に反対方向の二つの部分において進行する。崩壊する同位元素から発せられた、電子の反粒子であるポジトロンは、付近の物質内の電子に接触すると消滅し、その消滅に由来するエネルギーをガンマ線として放出する。これらのガンマ線フォトンは、モーメントを保存するために正反対の方向に移動する。ポジトロンは、検出のために利用可能な放射線を二つ放射するため、患者の体内において結合体の蓄積された場所は、患者の診断に合理的な時間枠内において、より簡単に、従ってより正確に検出される。ポジトロン消滅の信号対雑音比は、一方向性であるガンマ線に比べて著明に向上している。さらに、同期放射線を復帰投射することによって、放射源の位置が特定される。
【0049】
PETは、現在、癌検出のための診断ツールとして医学センターで使用されている。癌診断では、患者に、ポジトロン放射体で標識したグルコース(例えば、18Fで標識されたフルオロデオキシグルコース)が投与される。グルコースは、急速に増殖する癌細胞中に濃縮される。癌の存在は、PET画像剤の濃縮によって検出される。さらに、体内における癌の位置は、PETスキャナーによる同期ガンマ放射線の復帰投射によって決定される。従って、本発明の方法は、癌細胞を検出するために、18Fで標識されたフルオロデオキシグルコースと組み合わせて使用されてもよい。本発明の方法はまた、従来技術で既に開発済みで既知の、他の任意の癌診断法、例えば、他の開発済みの診断剤を用い、X線断層法(CT)、磁気共鳴画像法(MRI)、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)、超音波、および単一フォトン放射断層法(SPECT)を利用する方法、等と組み合わせて用いてもよい。
【0050】
他の実施態様では、本発明の方法は、アテローム硬化プラークの検出/分析/剥離のために、単独で、または、従来技術で既知の任意の他の方法(単数または複数)と組み合わせて使用できる。例えば、本発明は、活性プラークが血管の狭窄をもたらす症例では、アテローム硬化プラークを剥離する方法と組み合わせて使用されてもよい。そのような場合、本発明の結合体は、活性を持つアテローム硬化プラークを不活性プラークと対比して特定するために使用されるばかりでなく、剥離処置を助けるために、アテローム硬化組織と正常組織とを区別するためにも使用される。このように、本発明は、アテローム硬化プラークの生理学的および形態学的状態の両方を分析するためにも使用することができる。例えば、血管形成術は、プラーク沈着によって狭められた血管の非外科的拡張を含むが、このプラーク沈着を剥離するために、または部分的に除去するために、例えば、カテーテル型装置の光ファイバーから向けられたレーザーエネルギーを用いることができる。レーザーエネルギーを用いてプラークを剥離するためのカテーテル型装置は、米国特許第4,817,601号、第4,850,351号、および第4,950,266号に記載される。なお、これらの特許文献を引用することにより本明細書に含める。
【0051】
本発明は、有用なポジトロン放射同位元素を利用する。好適な放射性担体は、フッ素同位元素18Fを用いて調製してもよい。他の有用なポジトロン放射同位元素も使用が可能である。好適な同位元素を選択する際に考慮すべき因子としては、そのポジトロン放射同位元素が、患者に投与する前に、製薬学的に受容可能な担体と共に診断用組成物を調製することを可能とするのに十分な長い半減期を持つかどうか、および、体外的な検出、例えば、PETスキャンを可能とする活性をもたらすのに十分な残存する半減期を持つかどうか、などが挙げられる。さらに、好適な同位元素は、患者の不要な放射線に対する暴露を制限するのに十分な、短い半減期を持たなければならない。ある例示の実施態様では、110分の半減期を持つ18Fは、診断用組成物の調製に適した十分な時間を与えるばかりでなく、受容可能な崩壊速度も与える。
【0052】
一つの例示の実施態様では、リンカーが使用されようとされまいと、放射性同位元素は、化学的化合物に、次に、リガンドに結合されるのに十分なだけの、化学的活性を持たなければならない。毒性を持つ放射性同位元素は避けなければならない。適切な半減期を持つ、ポジトロン崩壊性同位元素としては、34Cl、半減期32分; 45Ti、半減期3.09時間; 51Mn、半減期45分; 61Cu、半減期3.41時間; 63Zn、半減期38.4分; 68Ga、半減期68.3分; 11C、半減期20分; 15O、半減期2分; 13N、半減期10分;および18F、半減期110分;などが挙げられる。
【実施例】
【0053】
<<実施例1>>
===葉酸塩結合体の合成===
診断用組成物を調製するためには、適切な同位元素を用いた、生体適合性結合体L-Xが必要とされる。例えば、18Fの場合、好適なL-X結合体は、下記の合成プロトコールに従って調製されてもよい。本実施例に従って合成される結合体は、エチレンジアミンリンカーを有する。
【0054】
【化1】

EDA=エチレンジアミン
DMSO=ジメチルスルフォキシド
K2.2.2=Kryptofix, Aldrich、カタログ番号29,111-0
TSTU=N-ヒドロキシスクシニミド・テトラメチルウレア
【0055】
合成時、熟練した技術者は、p-フルオロ安息香酸を濃縮、精製するために適切な方法をとるであろう。フルオロ安息香酸を精製・濃縮するための、典型的ではあるが、決して唯一のものではない方法は、十分なHClを加えて該分子をプロトン化し、次に、逆相C18カラム、例えば、Waters Corp.(Milford、マサチューセッツ州)によって販売されるC18 SepPak Plusで分離することである。カラムは、HClで酸性化した水で洗浄し、水溶性夾雑物を全て除去してもよい。p-フルオロ安息香酸は、メタノールでカラムから溶出し、次いで、陽イオン性イオン交換カラム(例えば、Dowexカラム)でさらに夾雑物を除去し、メタノールの留去によって濃縮してもよい。
【0056】
p-フルオロ安息香酸のN-ヒドロキシスクシニミドエステルの濃縮・精製のための、典型的ではあるが、唯一のものではない方法は、水/アセトニトリル/および酸性pHを維持するための十分なトリフルオロ酢酸との混合液における、逆相高速液体クロマトグラフィーによる分離から始めてもよい。このエステルの、水で希釈した溶液を、C18 SepPakカラムで濃縮し、次いでジエチルエーテルで溶出してもよい。無水Mg2SO4のカラムを用いて残留水を除去してもよい。エーテルを蒸発させて乾燥した後、エステルをアセトニトリルに再び溶解してもよい。これらの方法を用いて、記載の方法に従った前述の化合物を製造した。
【0057】
<<実施例2>>
===葉酸塩結合体の合成===
p-フルオロベンズアルデヒドを調製するための既知の過程から始めて、後述するように好適な結合体を手早く調製してもよい。濃縮および精製の方法は、前述のやり方に従ってもよいし、あるいは、他の、従来技術に従って行われてもよい。
【0058】
【化2】

【0059】
この合成は、診断テストを可能とするように、18Fポジトロン放射体の相当の残存半減期が得られるよう十分手早く完了される。
【0060】
<<実施例3>>
===葉酸塩-SFBの合成===
【化3】

【0061】
<葉酸塩-ペプチド(樹脂-Lys-Asp-Asp-Asp-Glu-プテロイン酸)の合成>
Wan樹脂を、MTT(4-メチル-トリチル)およびF-moc保護基によってリシンに付着させた。F-moc保護基は、20%ピペリジン/DMF(ジメチルフォルムアミド)(10 ml/g)を用いて除去した。次に、樹脂はアルゴンで10分バブルし排出した。F-moc保護基の除去およびバブル工程は、さらに2回繰り返した。次に、樹脂をDMFで3回洗浄した。遊離アミノ基についてカイザー試験は陽性であった。
【0062】
次に、DMFに溶解した、Fmoc-AA(Fmoc-アミノ酸)、HBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロフォスフェート)、HOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、DIPEA(ジイソプロピルエチラミン)を加え、30分バブルした。次に、DMFによる洗浄(3回)を行い、上記3工程を繰り返した。カイザー試験は陰性であり、遊離アミンが無いことを示した。
【0063】
次いで、次のアミノ酸を加え、上述の工程を繰り返し、樹脂をDCM(ジクロロメタン)で15分洗浄し、1%TFA(トリフルオロ酢酸)/DCM中でバブルし、MTTを除去した。次に、樹脂を再びジクロロメタンで15分洗浄し、1% TFA/DCM中でバブルした。これらの工程を、全ての黄色が消えるまで繰り返した。次に、樹脂をDCMで3回洗浄し、DMFで再び膨潤させた。
【0064】
DMFに溶解したプテロイン酸(CF3)に、HOBt、HBTU、およびDIPEAを加えた。この組成物は褐色に転じたが、一晩バブルし、その後DMFで3回洗浄した。カイザー試験は陰性であった。F-moc基を20%ピペリジン/DMF(10 ml/g)で除去し、樹脂を10分バブルし排出した。このF-moc除去およびバブリング工程をさらに2回繰り返した。次に、樹脂をDMFで3回、DCMで3回、MeOHで3回洗浄した。樹脂を、高度の真空下で4時間乾燥した。
【0065】
TFAを、95:2.5:2.5のTFA:TIS(トリイソプロピルシラン):H2Oを含む溶液で切断した。この溶液を、ビーズに加え、2-3時間バブルし、清潔なフラスコに空けた。次に、ビーズを同じ溶液で洗浄し、ビーズが透明となるまで排液した。溶液を回転蒸発させて溶媒レベルを2-3 mlに下げた。円錐形遠心管に50 mlの氷冷エーテルを満たした。このエーテル瓶にペプチド混合物を加え、ペプチドを全て沈殿させた。混合液を遠心し、エーテルで2-3回洗浄し、真空乾燥して、痕跡的エーテルを除去した。次に、ペプチドを1% NH4OHに溶解し、混合用攪拌棒を用いて30-40分攪拌してTFA保護基を除去した。次に、ペプチドを凍結乾燥し、HPLCで精製し、凍結乾燥した。
【0066】
<非放射性SFB(スクシニミジル-フルオロベンゾエート)の合成>
非放射性SFBの合成は、Eur. J. Med. Mol. Imaging, vol. 31:469-474(2004)に記載されるプロトコルに従って行った。フルオロ安息香酸から始め、油浴を90℃に設定した。45%ヒドラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶液を調製した。別の瓶に、10.0 mgの4-フルオロ安息香酸を加えた(溶液1)。別の瓶に、40 μlの45% TMAHを加えた(溶液2)。次に、0.2 mlの水と1.0 mlのアセトニトリルを加え、溶液2を溶液1に加えた(溶液3)。この溶液を、回転蒸発器によって蒸発乾燥させた。別の瓶で、14 mg のTSTUを1.2 mlのアセトニトリルに加えた(溶液4)。溶液4を溶液3に加えた。この混合液を、油浴にて2分90℃に加熱した。放射性18Fは、従来技術でよく知られる過程によってサイクロトンで合成され、実施例1に示されるように、p-(18F)フルオロ安息香酸を調製するのに用いられる。次にp-(18F)フルオロ安息香酸は、前述のように、18F-SFBに変換される。
【0067】
<葉酸塩-SFBの合成>
PBSに溶解した葉酸塩-ペプチドを、SFB(アセトニトリルに溶解)と混合し、葉酸塩-ペプチド(PBSに溶解)のpHを調整し、結合体をHPLCで調べた。
【0068】
<<実施例4>>
===未精製葉酸塩-SFBのHPLC===
未精製-SFBを、Clinical Science, vol.103:pp.4S-8S(2002)に記載される条件と同じ条件を用い、ただし、下記の修正を加えて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。すなわち、逆相HPLCはC18カラムを用いて実施し、条件は、水対ACNに溶解した0.1%TFAが、77:23において10分、60:40において10分、50:50において10分、40:60において10分で、1.0 ml/分の流速を用いた。結果を図1に示す。
【0069】
<<実施例5>>
===未精製および精製葉酸塩-SFBの質量分析===
未精製および精製葉酸塩-SFBを、従来技術で既知の方法を用いてESI-質量分析によって分析した。結果を図2と3に示す。
【0070】
<<実施例6>>
===競合的結合アッセイ===
葉酸塩-SFBが葉酸塩受容体に結合するかどうかを定めるために、競合的結合アッセイを行った。KB細胞を、組織培養液に懸濁させた等容量の細胞を用いて、6-ウェルプレートに撒いた。図4に示すように、細胞を、単独で(最初のバー)、100 nM 3H-葉酸塩と共に(第2バー)、100 nM葉酸塩-SFBの存在下における100 nM 3H-葉酸塩と共に(第3バー)、または、10 μM葉酸塩-SFBの存在下における100 nM 3H-葉酸塩と共に(第4バー)、インキュベートした。結果は、葉酸塩-SFBは、葉酸塩受容体の結合を求めて 3H-葉酸塩と競合することを示し、これは、葉酸塩-SFB受容体が、葉酸塩受容体に特異的に結合することを意味する。
【0071】
<<実施例7>>
===葉酸塩-FBAの合成===
【化4】

【0072】
<<実施例8>>
===葉酸塩-FBAのHPLC===
葉酸塩-FBAを、Clinical Science, vol.103:pp.4S-8S(2002)に記載される条件と同じ条件を用い、ただし、下記の修正を加えて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析した。すなわち、逆相HPLCはC18カラムを用いて実施し、条件は、水対ACNに溶解した0.1%TFAが、77:23において10分、60:40において10分、50:50において10分、40:60において10分で、1.0 ml/分の流速を用いた。結果は、図5に示され、葉酸塩-ペプチド、葉酸塩-FBA、およびFBA単独のカラム上の分離が示された。
【0073】
<<実施例9>>
===精製葉酸塩-FBAの質量分析===
葉酸塩-FBAおよび、葉酸塩-FBAのナトリウム付加物を、従来技術で既知の過程を用いESI-質量分析によって分析した。結果を図6に示す。
【0074】
<<実施例10>>
===葉酸結合体の合成===
【化5】

【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、未精製の葉酸塩-スクシニミジル-フルオロベンゾエート(葉酸塩-SFB)のHPLCクロマトグラムを示す。
【図2】図2は、未精製葉酸塩-SFBの質量分析を示す。
【図3】図3は、精製葉酸塩-SFBの質量分析を示す。
【図4】図4は、競合的結合アッセイの結果を示す。該アッセイにおいて、KB細胞に結合した放射能を、KB細胞単独(最初のバー)、3H-葉酸塩とインキュベートしたKB細胞(第2バー)、100 nM葉酸塩-SFBの存在下に3H-葉酸塩とインキュベートしたKB細胞(第3バー)、または、10 μM葉酸塩-SFBの存在下に3H-葉酸塩とインキュベートしたKB細胞(第4バー)、について測定した。
【図5】図5は、葉酸塩-フルオロベンズアルデヒド(葉酸塩-FBA)のHPLCクロマトグラムを示す。
【図6】図6は、葉酸塩-FBAの質量分析を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンが到達可能な結合部位を有する活性化単球または活性化マクロファージによって仲介される病態を、診断/監視するための方法であって、
a. 該病態について判断される患者に対し、一般式
L-X
(式中、Lはビタミンあるいはその類縁体またはそれらの誘導体を含み、基Xは放射性同位元素を含む放射性担体を含む)
で表される結合体の有効量を投与する工程;
b. このビタミン結合体を、十分な時間をかけて活性化単球または活性化マクロファージに結合させる工程;および、
c. ポジトロン放射断層法を用いて該病態を体外的に診断/監視する工程
を含む方法。
【請求項2】
前記ビタミンが、葉酸塩、ビオチン、ビタミンB12、リボフラビン、およびチアミン、あるいはそのビタミン受容体結合性類縁体またはそれらの誘導体から成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射性同位元素が、34Cl, 45Ti, 51Mn, 61Cu, 63Zn, 68Ga, 11C, 13N, 15O, および18Fから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記放射性同位元素が18Fであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記放射性同位元素が、約30分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記放射性同位元素が、約70分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放射性同位元素が、約80分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記放射性同位元素が、約90分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記放射性同位元素が、約100分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記結合体が、該結合体の水溶性を強化するリンカーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記結合体が、毛内皮系による該結合体の取り込みを遅らせるリンカーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記リンカーが、肝臓による前記結合体の取り込みを遅らせることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
癌細胞がビタミン受容体を特異的に発現する、選択的に発現する、または過剰発現する癌を、診断/監視するための方法であって、
a. 該癌について判断される患者に対し、一般式
L-X
(式中、Lはビタミンあるいはその類縁体または誘導体を含み、基Xは、約80分から約8時間の半減期を有する放射性同位元素を含む放射性担体を含む)
で表される結合体の有効量を投与する工程;
b. 該ビタミン結合体を、十分な時間をかけて該癌細胞に結合させる工程;および、
c. ポジトロン放射断層法を用いて該癌を体外的に診断/監視する工程
を含む方法。
【請求項14】
前記ビタミンが、葉酸塩、ビオチン、ビタミンB12、リボフラビン、およびチアミン、あるいはそのビタミン受容体結合性類縁体またはそれらの誘導体から成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記放射性担体中の放射性同位元素が、45Ti, 61Cu, および18Fから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記放射性同位元素が18Fであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記結合体が、該結合体の水溶性を強化するリンカーを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記結合体が、毛内皮系による該結合体の取り込みを遅らせるリンカーを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記リンカーが、肝臓による前記結合体の取り込みを遅らせることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
血管に付随する、活性を持つアテローム硬化性プラークを診断/監視するための方法であって、前記プラークは、ビタミンが到達可能な結合部位を有する活性化マクロファージを含み、
a. アテローム硬化症について判断される患者に対し、一般式
L-X
(式中、Lはビタミンあるいはその類縁体またはそれらの誘導体を含み、基Xは、ポジトロン放射によって崩壊することが可能な放射性同位元素を含む放射性担体を含む)
で表される結合体の有効量を投与する工程;
b. 該ビタミン結合体を、十分な時間をかけて活性プラークに付随した活性化マクロファージに結合させる工程;および、
c. ポジトロン放射断層法を用いて該活性プラークを体外的に診断/監視する工程
を含む方法。
【請求項21】
前記ビタミンが、葉酸塩、あるいはその類縁体またはそれらの誘導体であることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ビタミンが、葉酸塩、ビオチン、ビタミンB12、リボフラビン、およびチアミン、あるいはその受容体結合性類縁体またはそれらの誘導体から成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記放射性同位元素が、34Cl, 45Ti, 51Mn, 61Cu, 63Zn, 68Ga, 11C, 13N, 15O, および18Fから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記放射性同位元素が、18Fを含むことを特徴とする、請求項23の方法。
【請求項25】
前記放射性同位元素が、約30分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記放射性同位元素が、約70分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記放射性同位元素が、約80分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記放射性同位元素が、約90分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記放射性同位元素が、約100分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記結合体が、該結合体の水溶性を強化するリンカーを含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記結合体が、毛内皮系による該結合体の取り込みを遅らせるリンカーを含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記リンカーが、肝臓による前記結合体の取り込みを遅らせることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
ビタミン、あるいはその類縁体またはそれらの誘導体、および、ポジトロン放射同位元素を含む組成物であって、該同位元素は反対方向に移動する一対の消滅フォトンを放出し、該消滅フォトンは電子によるポジトロン消滅の結果生じたものであり、かつ、該同位元素は約80分から約8時間の半減期を有することを特徴とする、組成物。
【請求項34】
前記放射性同位元素が、18F, 45Ti, および 61Cuから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記放射性同位元素が非毒性であることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
前記放射性同位元素が化学的に反応性を持つことを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
前記ビタミンが、葉酸塩、あるいはその葉酸塩受容体結合性類縁体またはそれらの誘導体であることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項38】
前記放射性同位元素が非毒性であることを特徴とする、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記放射性同位元素が18Fであることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項40】
前記放射性同位元素が18Fであることを特徴とする、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記ビタミンが、リンカーを介して前記放射性同位元素に結合されることを特徴とする、請求項33に記載の組成物。
【請求項42】
前記葉酸塩が、リンカーを介して前記放射性同位元素に結合されることを特徴とする、請求項37に記載の組成物。
【請求項43】

L-X
(式中、Lは、ビタミン、あるいはその類縁体またはそれらの誘導体を含み、かつ、
Xは、ポジトロンを放出することによって約80分から約8時間の半減期をもって崩壊する放射性同位元素を含む放射性担体を含み、該放射性同位元素は反対方向に移動する一対の消滅フォトンを放出し、かつ、該消滅フォトンは電子によるポジトロン消滅の結果生ずる)
で表される化合物。
【請求項44】
前記ビタミンが、葉酸塩、ビオチン、ビタミンB12、リボフラビン、およびチアミン、あるいはその受容体結合性類縁体またはそれらの誘導体から成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
前記ビタミンが、葉酸塩、あるいはその類縁体またはそれらの誘導体であることを特徴とする、請求項43に記載の化合物。
【請求項46】
前記放射性同位元素が、18F, 45Ti, および 61Cuから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項43に記載の化合物。
【請求項47】
前記ビタミンが、リンカーを介して前記放射性担体に結合されることを特徴とする、請求項43に記載の化合物。
【請求項48】
前記リンカーが、ジアミン類、デキストラン類、セルロースエーテル類、ペプチド類、および、ポリエチレングリコールから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
前記放射性担体が、パラ-置換放射性同位元素を含むことを特徴とする、請求項43に記載の化合物。
【請求項50】
一般式
L-X
(式中、Lはビタミンあるいはその類縁体またはそれらの誘導体を含み、基Xは、ポジトロンを放出することによって崩壊する放射性同位元素を含む放射性担体を含み、該放射性同位元素は反対方向に移動する一対の消滅フォトンを放出し、該消滅フォトンは電子によるポジトロン消滅の結果生じ、該放射性同位元素は約80分から約8時間の半減期を持つ)
で表される結合体を調製するための方法であって、
a. 反応形の放射性担体と反応することが可能な反応形のビタミン、あるいはその類縁体またはそれらの誘導体を準備する工程;
b. 該反応形のビタミンと反応することが可能な反応形の放射性担体を準備する工程;および、
c. 該反応形のビタミンを、該反応形の放射性担体と接触させる工程
を含む方法。
【請求項51】
前記反応形のビタミンが、リンカーを含むことを特徴とする、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記リンカーが、ジアミン類、デキストラン、セルロースエーテル類、ペプチド類、および、ポリエチレングリコールから成るグループから選ばれることを特徴とする、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記放射性担体の活性形が、活性エステルを含むことを特徴とする、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記放射性担体の活性形が、アルデヒドを含むことを特徴とする、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記放射性担体の活性形が、18Fを含むことを特徴とする、請求項50に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−525485(P2008−525485A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548498(P2007−548498)
【出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/046708
【国際公開番号】WO2006/071754
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(598063203)パーデュー・リサーチ・ファウンデーション (59)
【氏名又は名称原語表記】PURDUE RESEARCH FOUNDATION
【出願人】(504389588)エンドサイト,インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】