説明

ポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】ラインエッジラフネス、及び露光ラチチュードに優れたポジ型感光性組成物、及びこれを用いたパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】(A)ラクトン構造を有する繰り返し単位と、ファンデルワールス体積が306×10−30以下である繰り返し特定構成単位を有する、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂、及び(B)活性光線又は放射線の照射により、酸解離指数pKaが−5.0以上のベンゼンスルホン酸を発生する化合物を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物、並びに該ポジ型感光性組成物を用いたパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物に関するものである。さらに詳しくは波長220nm以下の紫外線や電子線などを露光光源とする場合に好適なポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学増幅レジスト組成物は、遠紫外光等の活性光線又は放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性光線又は放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
【0003】
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、且つ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
【0004】
一方、更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
【0005】
このため、脂環炭化水素構造を有する樹脂を含有するArFエキシマレーザー用レジストが開発されてきている。化学増幅型レジスト組成物の主要構成成分である酸分解性樹脂としては、例えばアダマンタン骨格のような多環式の脂環構造を有するア(メタ)クリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(例えば、特許文献1を参照)やシクロヘキサン骨格やシクロペンタン骨格のような単環式の脂環構造を有するア(メタ)クリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(例えば、特許文献2及び3を参照)が一般的である。
【0006】
また、上記脂環炭化水素構造を有する樹脂にラクトン構造を有する繰り返し単位を含有させることで性能が向上することが見出されている。例えば、特許文献4及び5にはメバロニックラクトン構造やγラクトン構造を有する繰り返し単位を含有する樹脂を用いたレジスト組成物が記載され、また、特許文献6から8には脂環ラクトン構造を有する繰り返し単位を含有する樹脂を用いたレジスト組成物が記載されている。
【0007】
しかしながら、レジストとしての総合性能の観点から、使用される樹脂、光酸発生剤、添加剤、溶剤等の適切な組み合わせを見い出すことが極めて困難であるのが実情であり、更に線幅100nm以下のような微細なパターンを形成する際には、露光ラチチュードとラインパターンのラインエッジラフネス性能の改良が求められていた。
【特許文献1】特許第2881969号公報
【特許文献2】国際公開第2005/016982号パンフレット
【特許文献3】特開2005−97533号公報
【特許文献4】特開平9−73173号公報
【特許文献5】米国特許第6388101号明細書
【特許文献6】特開2000−159758号公報
【特許文献7】特開2001−109154号公報
【特許文献8】米国特許出願公開第2001/26901号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ラインエッジラフネス、及び露光ラチチュードに優れたポジ型感光性組成物、及びこれを用いたパターン形成方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記構成のポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
(1) (A)ラクトン構造を有する繰り返し単位と、酸の作用によりカルボン酸を生成する一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂、及び
(B)活性光線又は放射線の照射により、酸解離指数pKaが−5.0以上のベンゼンスルホン酸を発生する化合物を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物。
【化1】

【0010】
一般式(I)中、
は、アルキル基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。RとRは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
Raは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
一般式(I)で表される構造のファンデルワールス体積は306×10−30以下である。
【0011】
(2) 樹脂(A)が、さらに一般式(II)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする(1)に記載のポジ型感光性組成物。
【化2】

【0012】
一般式(II)中、
は水酸基を有する脂環構造を表す。
Raは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
【0013】
(3) 樹脂(A)が、さらに一般式(III)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする(1)又は(2)に記載のポジ型感光性組成物。
【化3】

【0014】
一般式(III)中、
は少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基を有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
【0015】
(4) (1)から(3)のいずれか1項に記載のポジ型感光性組成物を用いて感光性膜を形成し、該感光性膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポジ型感光性組成物によれば、ラインエッジラフネス、及び露光ラチチュードに優れたパターンを形成することができる。また、新たな発見として、本発明のポジ型感光性組成物は、レジスト膜形成時のディフェクトが非常に少ないことが分かった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0018】
〔1〕酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(A成分)
本発明のポジ型感光性組成物に含有される樹脂(A)は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する、一般式(I)で表される繰り返し構成単位を有する。
【化4】

【0019】
一般式(I)中、
は、アルキル基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。RとRは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
Raは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
一般式(I)で表される構造のファンデルワールス体積は306×10−30以下である。
【0020】
一般式(I)について更に詳細に説明する。
はアルキル基を表す。アルキル基は、置換基を有していても良い。好ましいアルキル基としては直鎖でも分鎖していても良く、炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基が挙げられる。
、Rは、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0021】
、Rとしてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜10の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−オクタデシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐アルキル基を挙げることができる。
【0022】
、Rとしてのシクロアルキル基は、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基であり、多環でもよく、環内に酸素原子を有していてもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチルなどを挙げることができる。
とRは同一でも異なっていても良く、互いに結合していて環構造を形成していてもよく、より好ましくは、下記に示す、互いに結合した環構造である。
【化5】

【0023】
式中、R及びRaは、一般式(I)におけるR及びRaと同義であり、nは、1〜5の整数であり、好ましくは、nは3または4である。上記式により示される構造のファンデルワールス体積は306×10−30以下である。
【0024】
〜Rの各基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜10)などが挙げられる。
【0025】
酸分解性基を有する一般式(I)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)中の全繰り返し単位に対し、20〜50mol%が好ましく、より好ましくは25〜45mol%である。
【0026】
一般式(I)で表される構造のファンデルワールス体積は、当業界で公知の手段により測定することができる。例えば、Cacheシステム(富士通社製、Computer Aided Chemistry Ver. 5.5)を用いて測定することができる。具体的には、(1)置換基骨格を作図、(2)PM-3 geometryで最適化、(3)Project Leaderにデータ登録、(4)Property of isosurface ⇒ Volume ⇒ standard procedureで測定パラメータを定義し、計測、という作業工程をもって、各置換基体積を求めることができる。上限値として好ましいファンデルワールス体積は306×10−30以下であり、より好ましくは300×10−30以下、さらに好ましくは280×10−30以下である。また、下限値として好ましくは、245×10−30以上である。最も好ましくは270×10−30以下かつ245×10−30以上である。
【0027】
好ましい一般式(I)で表される繰り返し単位の具体例(1)〜(23)を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。(1)〜(23)のファンデルワールス体積(以下、「体積」ともいう。)は表1の通りである。
【化6】

【0028】
【表1】

【0029】
さらに好ましくは、下記の繰り返し単位が挙げられる。
【化7】

【0030】
最も好ましい繰り返し単位としては、下記の繰り返し単位が挙げられる。
【化8】

【0031】
また、本発明のポジ型感光性組成物に含有される樹脂(A)は、ラクトン構造を有する繰り返し単位を含有する。
ラクトン構造を含有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を含有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)(LC1−4)(LC1−5)(LC1−6)(LC1−13)(LC1−14)であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
【化9】

【0032】
ラクトン構造部分は置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。ここで、酸分解性基は、例えば3級エステル基である。n2が2以上の時、複数存在するRb2は同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
【0033】
一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【化10】

【0034】
一般式(AI)中、Rb0は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
b0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子、メチル基が好ましい。
【0035】
bは、アルキレン基、単環または多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。好ましくは単結合、−Ab1−CO−で表される連結基である。
【0036】
Ab1は直鎖、分岐アルキレン基、単環または多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基である。
【0037】
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のうちのいずれかで示される基を表す。
ラクトン構造を有する繰り返し単位は通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
【0038】
ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%が好ましく、より好ましくは20〜50mol%、更に好ましくは30〜50mol%である。
【0039】
一般式(I)で表される繰り返し単位に対する、ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有率は、好ましくは0.3mol当量〜3mol当量、より好ましくは0.4mol当量〜2mol当量、更に好ましくは0.5mol当量〜1.5mol当量である。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【化11】

【0040】
【化12】

【0041】
【化13】

【0042】
さらに好ましいラクトン基を有する繰り返し単位としては下記の繰り返し単位が挙げられる。
【化14】

【0043】
最も好ましいラクトン基を有する繰り返し単位としては、多環基にシアノ基を有する繰り返し単位構造である。
本発明の樹脂(A)は、さらに、一般式(II)で表される繰り返し単位を含有していることが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。
【化15】

【0044】
一般式(II)中、
は極性基を有する脂環構造を表す。
Raは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
極性基を有する脂環構造を表すRにおける脂環構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。好ましい極性基で置換された脂環炭化水素構造(R)としては(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
【化16】

【0045】
一般式(VIIa)〜(VIIc)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基、シアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基、シアノ基を表す。好ましくはR2c〜R4cのうち1つまたは2つが水酸基で残りが水素原子である。(VIIa)において更に好ましくはR2c〜R4cのうち2つが水酸基で残りが水素原子である。
として一般式(VIIa)〜(VIId)で表される基を有する一般式(II)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
【化17】

【0046】
一般式(AIIa)〜(AIId)中、R1cは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキメチル基を表す。
一般式(II)で表される繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
一般式(AIIa)〜(AIIc)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【化18】

【0047】
式中、R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基、ヒドロキメチル基を表す。
【0048】
本発明の樹脂(A)は、更に下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を有してもよい。
【化19】

【0049】
一般式(VIII)に於いて、
2は、−O−又は−N(R41)−を表す。R41は、水素原子、水酸基、アルキル基又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。R41及びR42のアルキル基は、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)等で置換されていてもよい。
一般式(VIII)で表される繰り返し単位として、以下の具体例が挙げられるが、本発明は、これらに限定されない。
【化20】

【0050】
本発明の樹脂(A)は、更にアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。アルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子吸引性基で置換された脂肪族アルコール(好ましくは下記一般式(F1)で表される構造)が挙げられ、カルボキシル基、スルホンアミド基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。
【化21】

【0051】
一般式(F1)中、
50〜R55は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R50〜R55の内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R50〜R55の全てがフッ素原子であることが好ましい。
【0052】
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環または多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
【0053】
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有率は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対し、1〜20mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【化22】

【0054】
本発明の樹脂(A)は、更に極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない一般式(III)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。
【化23】

【0055】
一般式(III)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、極性基を有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
は、単環構造が好ましい。さらに好ましくは、炭素数7以下の単環構造である。具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【化24】

【0056】
本発明の樹脂(A)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的に必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
【0057】
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0058】
これにより、酸分解性樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
【0059】
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0060】
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
【0061】
樹脂(A)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
【0062】
本発明の感光性組成物がArF露光用であるとき、ArF光への透明性の点から樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。
【0063】
本発明に用いる樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種を、一括であるいは反応途中で反応容器に仕込み、これを必要に応じ反応溶媒、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルのような本発明の感光性組成物を溶解する溶媒に溶解させ均一とした後、窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で必要に応じ加熱、市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は通常10質量%以上であり、好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。反応温度は通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜130℃、さらに好ましくは50℃〜110℃である。
【0064】
上記具体例で表される繰り返し構造単位は、各々1種で使用してもよいし、複数を混合して用いてもよい。
また、本発明において、樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0065】
本発明に係る樹脂(A)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜50,000、より好ましくは5,000〜20,000、特に好ましくは7,000〜10,000である。即ち、重量平均分子量が耐熱性やドライエッチング耐性の点から1,000以上が好ましく、現像性、粘度、製膜性の点から200,000以下が好ましい。
【0066】
分散度(Mw/Mn)は通常1〜5であり、好ましくは1〜4、更に好ましくは1〜3の範囲のものが使用される。解像度、レジスト形状、パターン側壁、ラフネス性などの点から4以下が好ましい。
本発明のポジ型感光性組成物において、本発明の樹脂(A)の感光性組成物全体中の配合率は、組成物の全固形分中40〜99.9質量%が好ましく、より好ましくは50〜99.97質量%である。
【0067】
〔2〕活性光線又は放射線の照射により、酸解離指数pKaが−5.0以上のベンゼンスルホン酸を発生する化合物(B)((B)成分)
本発明の感光性組成物は、活性光線又は放射線の照射により、pKaが−5.0以上のベンゼンスルホン酸を発生する化合物(B)を含有する。
【0068】
本発明に於いて、酸解離指数pKaとは、水溶液中での酸解離指数pKaのことを表し、「酸解離指数」とは、酸解離定数の逆数の対数値で、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載のものであり、この値が低いほど酸強度が大きいことを示している。水溶液中での酸解離指数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測することができ、また、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数および公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示している。
【0069】
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994-2007 ACD/Labs)
発生するベンゼンスルホン酸のpKaの下限値として好ましくは−5.0以上、更に好ましくは−3.0以上、より好ましくは−2.5以上である。上限値としては、好ましくは、0以下である。発生するベンゼンスルホン酸は、好ましくは、以下の構造で表される化合物である。
【化25】

【0070】
一般式(G1)中、
y1〜Ry5は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、フッ化アルキル基又は、アルコキシ基を表す。但し、Ry1〜Ry5の内、少なくとも3つは、フッ素原子又は、フッ化アルキル基であることが好ましい。
pKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸を発生する化合物としては、pKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸のスルホニウム塩化合物又はヨードニウム塩化合物、及びエステル化合物が好ましく、更に好ましくは下記一般式(PAG1)〜(PAG5)のいずれかで表される化合物である。
【0071】
一般式(PAG1)又は(PAG2)で表される化合物は、Xb-がpKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸のアニオンである化合物であり、一般式(PAG3)〜(PAG5)で表される化合物は、X1bがpKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸の−SO3Hの水素原子がとれて1価の基として結合した化合物である。
【化26】

【0072】
まず、一般式(PAG1)について説明する。
上記一般式(PAG1)において、R201b、R202b及びR203bは、各々独立に、有機基を表す。
b-は、pKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸の−SO3Hの水素原子がとれたスルホン酸アニオンを表す。
201b、R202b及びR203bとしての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201b〜R203bのうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合又はカルボニル基を含んでいてもよい。
【0073】
201b〜R203bの内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
【0074】
201b、R202b及びR203bとしての有機基の具体例としては、後述する化合物(PAG1a)、(PAG1b)、及び(PAG1c)における対応する基を挙げることができる。
尚、一般式(PAG1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(PAG1)で表される化合物のR201b〜R203bの少なくともひとつが、一般式(PAG1)で表されるもうひとつの化合物のR201b〜R203bの少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0075】
更に好ましい(PAG1)成分として、以下に説明する化合物(PAG1a)、(PAG1b)、及び(PAG1c)を挙げることができる。
化合物(PAG1a)は、上記一般式(PAG1)のR201b〜R203bの少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201b〜R203bの全てがアリール基でもよいし、R201b〜R203bの一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。好ましくはR201b〜R203bの全てがアリール基である。
【0076】
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、また、これらの化合物におけるアルキル基がシクロアルキル基である化合物を挙げることができる。好ましくは、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物である。さらに好ましくは、トリアリールスルホニウム化合物である。
【0077】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としては炭化水素で構成されたアリール基及び窒素原子、硫黄原子、酸素原子などのヘテロ原子を含有するヘテロアリール基が挙げられる。炭化水素で構成されたアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。ヘテロアリール基としてはピロール基、インドール基、カルバゾール基、チオフェン基などが挙げられ、好ましくはインドール基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。最も好ましくは、フェニル基である。
【0078】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基又は炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0079】
201b〜R203bのアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有してもよい置換基としては、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基などを挙げることができる。また、各基におけるアリール環、シクロ環などの環状構造については、置換基として更にアルキル基(例えば炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0080】
好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201b〜R203bのうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、アリール基については、さらに置換基としてアルキル基(例えば炭素数1〜15)を挙げることができる。また、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。最も好ましくは、無置換である。
【0081】
次に、化合物(PAG1b)について説明する。
化合物(PAG1b)は、一般式(PAG1)におけるR201b〜R203bが、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
【0082】
201b〜R203bとしての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
【0083】
201b〜R203bは、各々独立に、好ましくはアルキル基(置換アルキル基として特にアルコキシカルボニルメチル基)、シクロアルキル基、鎖中に2重結合を有していてもよい直鎖、分岐、環状オキソアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0084】
201b〜R203bとしてのアルキル基は、直鎖、分岐のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基)である。
【0085】
201b〜R203bとしてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
【0086】
201b〜R203bとしての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、二重結合を有していてもよい。好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0087】
201b〜R203bの置換アルキル基としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
【0088】
201b〜R203bとしての各基は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基等によって置換されていてもよい。
【0089】
次に、化合物(PAG1c)について説明する。
化合物(PAG1c)とは、以下の一般式(PAG1c)で表される化合物であり、アリールアシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【化27】

【0090】
一般式(PAG1c)に於いて、
213は、アリール基を表し、好ましくはフェニル基又はナフチル基である。R213のアリール基が有してもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、水酸基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基が挙げられる。
214及びR215は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0091】
201及びY202は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はビニル基を表す。
-は、pKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸の−SO3Hの水素原子がとれたスルホン酸アニオンを表す。
【0092】
213とR214は、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、R214とR215は、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、Y201とY202は、それぞれ結合して環構造を形成しても良い。これらの環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R213とR214とがそれぞれ結合して形成する基、R214とR215とがそれぞれ結合して形成する基、Y201とY202とがそれぞれ結合して形成する基しては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
【0093】
214及びR215としてのアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基)が好ましい。
214及びR215としてのシクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基)が好ましい。
【0094】
201及びY202としてのアルキル基は、置換基を有していてもよく、アルキレン鎖中にオキソ基を有していてもよく、炭素数1〜20の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基)が好ましい。
【0095】
置換基を有するアルキル基としては、特に、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基を挙げることができ、オキソ基を有するアルキル基としては、2−オキソアルキル基を挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、アルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができ
る。
【0096】
アルコキシカルボニルアルキル基におけるアルコキシカルボニル基については、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。
201及びY202としてのシクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基)が好ましく、上記アルキル基と同様に、置換基を有していてもよく、アルキレン鎖中にオキソ基を有していてもよい。
【0097】
201及びY202としてのアリール基はフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
【0098】
214、R215、Y201及びY202としての各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜20)、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。また、各基におけるアリール環、シクロ環などの環状構造については、置換基として更にアルキル基(例えば炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0099】
201及びY202は、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは4から16、更に好ましくは4から12のアルキル基又はシクロアルキル基である。
また、R214又は215の少なくとも1つはアルキル基又はシクロアルキル基であることが好ましく、更に好ましくはR214、R215の両方がアルキル基又はシクロアルキル基である。
【0100】
次に、一般式(PAG2)について説明する。
【0101】
一般式(PAG2)中、
204b及びR205bは、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0102】
b-は、pKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸の−SO3Hの水素原子がとれたスルホン酸アニオンを表す。
204b及びR205bのアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
【0103】
204b及びR205bとしてのアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
【0104】
次に、一般式(PAG3)〜(PAG5)について説明する。
一般式(PAG3)中、
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
1bは、pKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸の−SO3Hの水素原子がとれて1価の基となったものを表す。
【0105】
一般式(PAG4)中、
208bは、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
209bは、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表し、好ましくはハロゲン置換アルキル基もしくはシクロアルキル基、又はシアノ基である。
【0106】
209bとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、アルキレン鎖中にオキソ基を有するオキソアルキル基又はオキソシクロアルキル基であってもよい。
1bは、pKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸の−SO3Hの水素原子がとれて1価の基となったものを表す。
【0107】
一般式(PAG5)中、R210b及びR211bは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、ニトロ基又はアルコキシカルボニル基を表し、好ましくはハロゲン置換アルキル基もしくはシクロアルキル基、ニトロ基又はシアノ基である。
212bは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
【0108】
1bは、pKaが−5.0以上のフッ素原子又はフッ化アルキル基を含むベンゼンスルホン酸の−SO3Hの水素原子がとれて1価の基となったものを表す。
上記一般式(PAG3)〜(PAG5)における各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。また、各基におけるアリール環、シクロ環などの環状構造については、置換基として更にアルキル基(例えば炭素数1〜15)を挙げることができる。
【0109】
好ましくは、一般式(PAG1)で表される化合物であり、更に好ましくは一般式(PAG1a)〜(PAG1c)で表される化合物である。特に好ましくは、一般式(PAG1a)で表される化合物ある。
好ましい化合物(B)の具体例を以下に挙げる。
【化28】

【0110】
【化29】

【0111】
【化30】

【0112】
【化31】

【0113】
【化32】

【0114】
【化33】

【0115】
【化34】

【0116】
【化35】

【0117】
【化36】

【0118】
ファンデルワールス体積が306×10−30以下である、一般式(I)で表される構造を有する樹脂(A)と化合物(B)を組み合わせることにより、さらに、ラインエッジラフネス、ELが向上する。
化合物(B)の感光性組成物(固形分)中の含有率は、0.1〜15質量%とすることが好ましく、0.5〜10質量%とすることがより好ましく、1〜7質量%とすることがさらに好ましい。
化合物(B)は従来の一般的なスルホニウム型光酸発生剤の合成方法、たとえば特開2002−268223号公報に記載の方法にて合成することができる。
【0119】
〔3〕他の活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(併用光酸発生剤)
本発明においては、化合物(B)以外に、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物を更に併用してもよい。
併用しうる他の酸発生剤の添加量は、モル比(化合物(B)/その他の酸発生剤)で、通常100/0〜20/80、好ましくは100/0〜40/60、更に好ましくは100/0〜50/50である。
【0120】
そのような酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0121】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号公報、特開昭55−164824号公報、特開昭62−69263号公報、特開昭63−146038号公報、特開昭63−163452号公報、特開昭62−153853号公報、特開昭63−146029号公報等に記載の化合物を用いることができる。
【0122】
さらに米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【化37】

【0123】
まず、一般式(ZI)について説明する。
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
-は、pKaが−5.0未満の非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF4-、PF6-、SbF6-などが挙げられ、好ましくは炭素原子を有する有機アニオンである。
好ましい有機アニオンとしては下記一般式に示す有機アニオンが挙げられる。
【化38】

【0124】
上記有機アニオンに於いて、
Rc1は、有機基を表す。
Rc1における有機基としては、炭素数1−30のものが上げられ、好ましくは置換していてもよいアルキル基、アリール基、又はこれらの複数が、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−、−SO2N(Rd1)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rd1は、水素原子又はアルキル基を表す。
Rc3、Rc4、Rc5は、各々独立に、有機基を表す。
【0125】
Rc3、Rc4、Rc5の有機基としては、好ましくはRb1における好ましい有機基と同じものを挙げることができ、最も好ましくは炭素数1−4のパーフロロアルキル基である。
Rc3とRc4が結合して環を形成していてもよい。Rc3とRc4が結合して形成される基としては、アルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2−4のパーフロロアルキレン基である。
【0126】
Rc1、Rc3〜Rc5の有機基として、最も好ましくは1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。
【0127】
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203の内の2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
【0128】
201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
【0129】
尚、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0130】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
【0131】
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
【0132】
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
【0133】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0134】
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基は、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0135】
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、最も好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0136】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
【0137】
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、最も好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0138】
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等を挙げることができる。アルキル基は、アルコキシカルボニルメチル基が特に好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基等を挙げることができる。
【0139】
201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を
挙げることができる。
【0140】
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
【0141】
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、アルコキシカルボニル基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0142】
次に、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【化39】

【0143】
一般式(ZI−3)中、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
【0144】
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
【0145】
c-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基等を挙げることができる。
【0146】
1c〜R7cとしてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
【0147】
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
【0148】
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖、分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1cからR5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0149】
x及びRyとしてのアルキル基、シクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基と同様のものを挙げることができる。Rx及びRyとしてのアルキル基は、アルコキシカルボニルメチル基が特に好ましい。
2−オキソアルキル基は、R1c〜R5cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
【0150】
上記アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基である。
次に、一般式(ZII)及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
【0151】
204〜R207のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等を挙げることができる。
204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは炭素数3〜10のシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基等を挙げることができる。
【0152】
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(I)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【化40】

【0153】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
【0154】
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。
併用してもよい活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物としては、好ましくは、互いに炭素数の異なる、フッ素置換されたアルカンスルホン酸を発生する化合物である。
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【化41】

【0155】
【化42】

【0156】
【化43】

【0157】
〔4〕アルカリ可溶性基、親水基、酸分解性基から選ばれるすくなくとも1つを有する、分子量3000以下の溶解制御化合物
本発明のポジ型感光性組成物には、アルカリ可溶性基、親水基、酸分解性基から選ばれる少なくとも1つを有する、分子量3000以下の溶解制御化合物(以下、「溶解制御化合物」ともいう)を加えてもよい。
【0158】
溶解制御化合物としては、カルボキシル基、スルホニルイミド基、α位がフロロアルキル基で置換された水酸基などのようなアルカリ可溶性基を有する化合物、水酸基やラクトン基、シアノ基、アミド基、ピロリドン基、スルホンアミド基、などの親水性基を有する化合物、または酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基または親水性基を放出する基を含有する化合物が好ましい。酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基または親水性基を放出する基としてはカルボキシル基あるいは水酸基を酸分解性基で保護した基が好ましい。溶解制御化合物としては220nm以下の透過性を低下させないため、芳香環を含有しない化合物を用いるか、芳香環を有する化合物を組成物の固形分に対し20質量%以下の添加量で用いることが好ましい。
【0159】
好ましい溶解制御化合物としてはアダマンタン(ジ)カルボン酸、ノルボルナンカルボン酸、コール酸などの脂環炭化水素構造を有するカルボン酸化合物、またはそのカルボン酸を酸分解性基で保護した化合物、糖類などのポリオール、またはその水酸基を酸分解性基で保護した化合物が挙げられる。
【0160】
本発明における溶解制御化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
溶解制御化合物の添加量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対し、好ましくは3〜40質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。
以下に溶解制御化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【化44】

【0161】
〔5〕塩基性化合物
本発明の感光性組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減あるいは、露光によって発生した酸の膜中拡散性を制御するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物としては含窒素塩基性化合物、オニウム塩化合物を挙げることができる。好ましい含窒素塩基性化合物構造として、下記式(A)〜(E)で示される部分構造を有する化合物を挙げることができる。
【化45】

【0162】
一般式(A)に於いて、
250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、R250とR251は互いに結合して環を形成してもよい。これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
【0163】
一般式(E)に於いて、
253、R254、R255及びR256は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。
【0164】
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
【0165】
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等が挙げられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンなどがあげられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドなどがあげられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等があげられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン、N−フェニルジエタノールアミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
【0166】
好ましい塩基性化合物として、更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物を挙げることができる。
【0167】
アミン化合物は、1級、2級、3級のアミン化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアミン化合物が好ましい。アミン化合物は、3級アミン化合物であることがより好ましい。アミン化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
【0168】
また、アミン化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CH2CH2O−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン基である。
【0169】
アンモニウム塩化合物は、1級、2級、3級、4級のアンモニウム塩化合物を使用することができ、少なくとも1つのアルキル基が窒素原子に結合しているアンモニウム塩化合物が好ましい。アンモニウム塩化合物は、少なくとも1つのアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)が窒素原子に結合していれば、アルキル基の他に、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)又はアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が窒素原子に結合していてもよい。
【0170】
アンモニウム塩化合物は、アルキル鎖中に、酸素原子を有し、オキシアルキレン基が形成されていることが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CH2CH2O−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン基である。
【0171】
アンモニウム塩化合物のアニオンとしては、ハロゲン原子、スルホネート、ボレート、フォスフェート等が挙げられるが、中でもハロゲン原子、スルホネートが好ましい。ハロゲン原子としてはクロライド、ブロマイド、アイオダイドが特に好ましく、スルホネートとしては、炭素数1〜20の有機スルホネートが特に好ましい。有機スルホネートとしては、炭素数1〜20のアルキルスルホネート、アリールスルホネートが挙げられる。アルキルスルホネートのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては例えばフッ素、塩素、臭素、アルコキシ基、アシル基、アリール基等が挙げられる。アルキルスルホネートとして、具体的にはメタンスルホネート、エタンスルホネート、ブタンスルホネート、ヘキサンスルホネート、オクタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。アリールスルホネートのアリール基としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が挙げられる。ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環は置換基を有していてもよく、置換基としては炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。直鎖若しくは分岐アルキル基、シクロアルキル基として、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられる。他の置換基としては炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、アシル基、アシルオキシ基等が挙げられる。
【0172】
フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物とは、アミン化合物又はアンモニウム塩化合物のアルキル基の窒素原子と反対側の末端にフェノキシ基を有するものである。フェノキシ基は、置換基を有していてもよい。フェノキシ基の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。置換基の置換位は、2〜6位のいずれであってもよい。置換基の数は、1〜5の範囲で何れであってもよい。
【0173】
フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基の数は、分子内に1つ以上、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン基の中でもオキシエチレン基(−CH2CH2O−)もしくはオキシプロピレン基(−CH(CH3)CH2O−もしくは−CH2CH2CH2O−)が好ましく、さらに好ましくはオキシエチレン基である。
【0174】
フェノキシ基を有するアミン化合物は、フェノキシ基を有する1または2級アミンとハロアルキルエーテルを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得ることができる。または、1または2級アミンと末端にフェノキシ基を有するハロアルキルエーテルを加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラアルキルアンモニウム等の強塩基の水溶液を添加した後、酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶剤で抽出することにより得ることができる。
【0175】
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。
【0176】
塩基性化合物の使用量は、感光性組成物の固形分を基準として、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。十分な添加効果を得る上で0.001質量%以上が好ましく、感度や非露光部の現像性の点で10質量%以下が好ましい。
【0177】
〔6〕フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明の感光性組成物は、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を含有してもよい。本発明の感光性組成物がフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
【0178】
これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
【0179】
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新
秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファッ
クF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0180】
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
【0181】
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
【0182】
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オ
キシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有
するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(
オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を
有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
【0183】
フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、感光性組成物の全固形分中に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
【0184】
〔7〕有機溶剤
本発明の感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
【0185】
有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
【0186】
本発明においては、下記a群に含まれる少なくとも1種と、b群及びc群から選ばれる少なくとも1種を混合した混合溶剤(以降、「特定混合溶剤」ともいう)が好ましい。
【0187】
a群:プロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート
鎖状ケトン
b群:乳酸アルキル
プロピレングリコールモノアルキルエーテル
環状ケトン
c群:γ−ブチロラクトン
カーボネート
この特定混合溶剤によりレジスト液保存時のパーティクルや現像欠陥発生を軽減、及びパターン倒れを改良することができる。
【0188】
a群のプロピレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等を、鎖状ケトンとしては、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等を挙げることができる。
【0189】
b群の乳酸アルキルとしては乳酸メチル、乳酸エチル等を、プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。
【0190】
b群の環状ケトンとしては、例えば、シクロペンタノン、3−メチル−2−シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、イソホロン等を挙げることができる。
【0191】
c群のカーボネートとしてはエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートを挙げることができる。
【0192】
a群とb群の混合比(質量比)は、好ましくは30/70〜95/5、より好ましくは35/65〜90/10、更に好ましくは40/60〜80/20である。a群とc群の混合比(質量比)は、好ましくは85/15〜99.9/0.1、より好ましくは90/10〜99.5/0.5、更に好ましくは95/5〜99/1である。c群の溶媒の添加量は全溶媒中の0.1〜15質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、更に好ましくは1〜5質量%である。
【0193】
上記特定混合溶剤とともに、a〜c群に属さない他の溶剤を併用してもよいが、他の溶剤の量は、特定混合溶剤に対して50質量%以下が好ましく、更に40質量%以下がより好ましい。
【0194】
また、水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量比)は、好ましくは1/99〜99/1、より好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
これらの溶剤を用いて、全固形分濃度として、通常3〜25質量%、好ましくは3〜22質量%、より好ましくは3〜20質量%の感光性組成物を調製する。
【0195】
〔8〕その他の添加剤
本発明の感光性組成物には、必要に応じてさらに染料、可塑剤、上記以外の界面活性剤、光増感剤、及び現像液に対する溶解性を促進させる化合物等を含有させることができる。
本発明で使用できる現像液に対する溶解促進性化合物は、フェノール性OH基を2個以上、又はカルボキシ基を1個以上有する分子量1,000以下の低分子化合物である。カルボキシ基を有する場合は脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。
【0196】
これら溶解促進性化合物の好ましい添加量は、樹脂の全量に対して2〜50質量%であり、さらに好ましくは5〜30質量%である。現像残渣抑制、現像時パターン変形防止の点で50質量%以下が好ましい。
このような分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号公報、特開平2−28531号公報、米国特許第4916210号明細書、欧州特許第219294号明細書等に記載の方法を参考にして、当業者において容易に合成することができる。
【0197】
カルボキシル基を有する脂環族、又は脂肪族化合物の具体例としてはコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸などのステロイド構造を有するカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0198】
本発明においては、上記フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の他の界面活性剤を加えることもできる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪族エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル類等のノニオン系界面活性剤を挙げることができる。
【0199】
これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また、いくつかの組み合わせで添加することもできる。
【0200】
活性光線又は放射線の照射時にレジスト膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体としては空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが好ましくは純水である。
【0201】
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつレジスト膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
【0202】
また、さらに屈折率が向上できるという点で屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液でもよく有機溶剤でもよい。
【0203】
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウェハ上のレジスト膜を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加しても良い。その添加剤としては水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできるといった利点が得られる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、レジスト膜上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
【0204】
水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理をしていることが望ましい。
【0205】
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を高めるような添加剤を水に加えたり、水の代わりに重水(D2O)を用いてもよい。
【0206】
本発明のポジ型感光性組成物からなるレジスト膜を、液浸媒体を介して露光する場合には、必要に応じてさらに疎水性樹脂(HR)を添加することができる。これにより、レジスト膜表層に疎水性樹脂(HR)が偏在化し、液浸媒体が水の場合、レジスト膜とした際の水に対するレジスト膜表面の後退接触角を向上させ、液浸水追随性を向上させることができる。疎水性樹脂(HR)としては、表面の後退接触角が添加することにより向上する樹脂であれば何でもよいが、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する樹脂であることが好ましい。レジスト膜の後退接触角は60°〜90°が好ましく、更に好ましくは70°以上である。添加量は、レジスト膜の後退接触角が前記範囲になるよう適宜調整して使用できるが、ポジ型感光性組成物の全固形分を基準として、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。疎水性樹脂(HR)は前述のように界面に遍在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
【0207】
後退接触角とは、液滴-基板界面での接触線が後退する際に測定される接触角であり、動的な状態での液滴の移動しやすさをシミュレートする際に有用であることが一般に知られている。簡易的には、針先端から吐出した液滴を基板上に着滴させた後、その液滴を再び針へと吸い込んだときの、液滴の界面が後退するときの接触角として定義でき、一般に拡張収縮法と呼ばれる接触角の測定方法を用いて測定することができる。
【0208】
液浸露光工程に於いては、露光ヘッドが高速でウェハ上をスキャンし露光パターンを形成していく動きに追随して、液浸液がウェハ上を動く必要があるので、動的な状態に於けるレジスト膜に対する液浸液の接触角が重要になり、液滴が残存することなく、露光ヘッドの高速なスキャンに追随する性能がレジストには求められる。
【0209】
疎水性樹脂(HR)に於けるフッ素原子又は珪素原子は、樹脂の主鎖中に有していても、側鎖に置換していてもよい。
疎水性樹脂(HR)は、フッ素原子を有する部分構造として、フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基を有する樹脂であることが好ましい。
【0210】
フッ素原子を有するアルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜4)は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐アルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
【0211】
フッ素原子を有するシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環または多環のシクロアルキル基であり、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などのアリール基の少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたものが挙げられ、さらに他の置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有するアルキル基、フッ素原子を有するシクロアルキル基、または、フッ素原子を有するアリール基として、好ましくは、下記一般式(F2)〜(F4)で表される基を挙げることができるが、本発明は、これに限定されるものではない。
【化46】

【0212】
一般式(F2)〜(F4)中、
57〜R68は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R57〜R61、R62〜R64およびR65〜R68の内、それぞれ少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。R57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。R62、R63及びR68は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)が好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることがさらに好ましい。R62とR63は、互いに連結して環を形成してもよい。
【0213】
一般式(F2)で表される基の具体例としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル基等が挙げられる。
一般式(F3)で表される基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3-テトラフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロヘキシル基などが挙げられる。ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基が好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
【0214】
一般式(F4)で表される基の具体例としては、例えば、−C(CF32OH、−C(C252OH、−C(CF3)(CH3)OH、−CH(CF3)OH等が挙げられ、−C(CF32OHが好ましい。
【0215】
以下、フッ素原子を有する繰り返し単位の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。
2は、−F又は−CF3を表す。
【化47】

【0216】
疎水性樹脂(HR)は、珪素原子を有する部分構造として、アルキルシリル構造(好ましくはトリアルキルシリル基)、または環状シロキサン構造を有する樹脂であることが好ましい。
アルキルシリル構造、または環状シロキサン構造としては、具体的には、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)で表される基などが挙げられる。
【化48】

【0217】
一般式(CS−1)〜(CS−3)に於いて、
12〜R26は、各々独立に、直鎖もしくは分岐アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)またはシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)を表す。
3〜L5は、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、フェニル基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、またはウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。
【0218】
以下、珪素原子を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、X1は、水素原子、−CH3、−F又は−CF3を表す。
【化49】

【0219】
更に、疎水性樹脂(HR)は、下記(x)〜(z)の群から選ばれる基を少なくとも1つを有していてもよい。
【0220】
(x)アルカリ可溶性基、
(y)アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基、
(z)酸の作用により分解する基。
【0221】
(x)アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基を有する基等が挙げられる。
【0222】
好ましいアルカリ可溶性基としては、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホンイミド基、ビス(カルボニル)メチレン基が挙げられる。
【0223】
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましい。
【0224】
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位の含有率は、疎水性樹脂(HR)中の全繰り返し単位に対し、1〜50mol%が好ましく、より好ましくは3〜35mol%、更に好ましくは5〜20mol%である。
アルカリ可溶性基(x)を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【化50】

【0225】
(y)アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基としては、例えば、ラクトン構造を有する基、酸無水物、酸イミド基などが挙げられ、好ましくはラクトン基である。
【0226】
アルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルによる繰り返し単位のように、樹脂の主鎖にアルカリ現像液の作用により分解し、アルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)が結合している繰り返し単位、あるいはアルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましい。
【0227】
アルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の含有率は、疎水性樹脂(HR)中の全繰り返し単位に対し、1〜40mol%が好ましく、より好ましくは3〜30mol%、更に好ましくは5〜15mol%である。
【0228】
アルカリ現像液中での溶解度が増大する基(y)を有する繰り返し単位の具体例としては、(A)成分の樹脂で挙げたラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものを挙げることができる。
疎水性樹脂(HR)に於ける、酸の作用により分解する基(z)を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位が好ましい。
【化51】

【0229】
一般式(AI)に於いて、
Xa1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
【0230】
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH23−基がより好ましい。
【0231】
Rx1〜Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx1〜Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
【0232】
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1がメチル基またはエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアル
キル基を形成している様態が好ましい。
【0233】
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、疎水性樹脂(HR)の全繰り返し単位に対し、20〜50mol%が好ましく、より好ましくは25〜45mol%である。
好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【化52】

【0234】
【化53】

【0235】
【化54】

【0236】
【化55】

【0237】
疎水性樹脂(HR)は、更に、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
【化56】

【0238】
一般式(IV)に於いて、
4は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基を有する基を表す。
6は、単結合又は2価の連結基を表す。
【0239】
一般式(IV)に於ける、R4のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐状アルキル基が好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましい。
アルケニル基は、炭素数3〜20のアルケニル基が好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数3〜20のシクロアルケニル基が好ましい。
6の2価の連結基は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基が好ましい。
【0240】
疎水性樹脂(HR)がフッ素原子を有する場合、フッ素原子の含有率は、疎水性樹脂(HR)の分子量に対し、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含む繰り返し単位が、疎水性樹脂(HR)中10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
【0241】
疎水性樹脂(HR)が珪素原子を有する場合、珪素原子の含有率は、疎水性樹脂(HR)の分子量に対し、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、珪素原子を含む繰り返し単位は、疎水性樹脂(HR)中10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。
【0242】
疎水性樹脂(HR)の標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000で、より好ましくは1,000〜50,000、更により好ましくは2,000〜15,000である。
【0243】
疎水性樹脂(HR)は、(A)成分の樹脂同様、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、残留単量体やオリゴマー成分が0〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0〜5質量%、0〜1質量%が更により好ましい。それにより、液中異物や感度等の経時変化のないレジストが得られる。また、解像度、レジスト形状、レジストパターンの側壁、ラフネスなどの点から、分子量分布(Mw/Mn、分散度ともいう)は、1〜5の範囲が好ましく、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1〜2の範囲である。
【0244】
疎水性樹脂(HR)は、各種市販品を利用することもできるし、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明のポジ型感光性組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
【0245】
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは30〜50質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
【0246】
反応終了後、室温まで放冷し、精製する。精製は、水洗や適切な溶媒を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過等の溶液状態での精製方法や、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法やろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法等の通常の方法を適用できる。たとえば、上記樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒(貧溶媒)を、該反応溶液の10倍以下の体積量、好ましくは10〜5倍の体積量で、接触させることにより樹脂を固体として析出させる。
【0247】
ポリマー溶液からの沈殿又は再沈殿操作の際に用いる溶媒(沈殿又は再沈殿溶媒)としては、該ポリマーの貧溶媒であればよく、ポリマーの種類に応じて、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ニトロ化合物、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アルコール、カルボン酸、水、これらの溶媒を含む混合溶媒等の中から適宜選択して使用できる。これらの中でも、沈殿又は再沈殿溶媒として、少なくともアルコール(特に、メタノールなど)または水を含む溶媒が好ましい。
【0248】
沈殿又は再沈殿溶媒の使用量は、効率や収率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、ポリマー溶液100質量部に対して、100〜10000質量部、好ましくは200〜2000質量部、さらに好ましくは300〜1000質量部である。
【0249】
沈殿又は再沈殿する際の温度としては、効率や操作性を考慮して適宜選択できるが、通常0〜50℃程度、好ましくは室温付近(例えば20〜35℃程度)である。沈殿又は再沈殿操作は、攪拌槽などの慣用の混合容器を用い、バッチ式、連続式等の公知の方法により行うことができる。
【0250】
沈殿又は再沈殿したポリマーは、通常、濾過、遠心分離等の慣用の固液分離に付し、乾燥して使用に供される。濾過は、耐溶剤性の濾材を用い、好ましくは加圧下で行われる。乾燥は、常圧又は減圧下(好ましくは減圧下)、30〜100℃程度、好ましくは30〜50℃程度の温度で行われる。
【0251】
尚、一度、樹脂を析出させて、分離した後に、再び溶媒に溶解させ、該樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒と接触させてもよい。即ち、上記ラジカル重合反応終了後、該ポリマーが難溶あるいは不溶の溶媒を接触させ、樹脂を析出させ(工程a)、樹脂を溶液から分離し(工程b)、改めて溶媒に溶解させ樹脂溶液Aを調製(工程c)、その後、該樹脂溶液Aに、該樹脂が難溶あるいは不溶の溶媒を、樹脂溶液Aの10倍未満の体積量(好ましくは5倍以下の体積量)で、接触させることにより樹脂固体を析出させ(工程d)、析出した樹脂を分離する(工程e)ことを含む方法でもよい。
【0252】
以下に疎水性樹脂(HR)の具体例を示す。また、下記表2に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、分散度を示す。
【化57】

【0253】
【化58】

【0254】
【化59】

【0255】
【化60】

【0256】
【表2】

【0257】
[パターン形成方法]
本発明のポジ型感光性組成物は、解像力向上の観点から、膜厚30〜250nmで使用されることが好ましく、より好ましくは、膜厚30〜200nmで使用されることが好ましい。ポジ型感光性組成物中の固形分濃度を適切な範囲に設定して適度な粘度をもたせ、塗布性、製膜性を向上させることにより、このような膜厚とすることができる。
【0258】
ポジ型感光性組成物中の全固形分濃度は、一般的には1〜10質量%、より好ましくは1〜8.0質量%である。
【0259】
本発明のポジ型感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターのポアサイズは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、更に好ましくは0.03μm以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。
【0260】
例えば、ポジ型感光性組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により塗布、乾燥し、レジスト膜を形成する。
【0261】
当該レジスト膜に、所定のマスクを通して活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行い、現像、リンスする。これにより良好なパターンを得ることができる。
【0262】
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線等を挙げることができるが、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは1〜200nmの波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等であり、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(13nm)、電子ビームが好ましい。
【0263】
レジスト膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
【0264】
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。ポジ型感光性組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0265】
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
【0266】
また、現像処理または、リンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
【実施例】
【0267】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
(1)樹脂(A1)の合成
化合物M−1を19.78g、M−2を5.05g、M−3を14.58g、M−4を3.36g仕込み、シクロヘキサノン157.54gに溶解し、固形分濃度15質量%の溶液を調製した。この溶液に重合開始剤(和光純薬製V−601)を2.993g加え、これを窒素雰囲気下、6時間かけて、80℃に加熱したシクロヘキサノン溶液84.83gに滴下した。滴下終了後、反応液を2時間攪拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、ヘキサン/酢酸エチル=7/3(質量比)の混合溶媒2017gに晶析、析出した白色粉体を濾取し、目的物である樹脂(A1)を回収した。
【化61】

【0268】
GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は9790、分散度は1.95であった。
【0269】
以下、合成例(1)と同様の方法で本発明の各樹脂を合成した。また、比較のための樹脂(A18)も同様の方法で合成した。
【0270】
これら合成した樹脂の構造を以下に示す。また、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量Mw、及び分子量分散度Pd、並びに一般式(I)で表される酸分解性基のファンデルワールス体積を表3に示す。
【化62】

【0271】
【化63】

【0272】
【化64】

【0273】
【表3】

【0274】
〔実施例1〜22及び比較例1〜3〕
<感光性組成物調製>
下記表4に示す各成分をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールメチルエーテルの6/4混合溶剤に溶解させ固形分濃度8質量%の溶液を調製し、これを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過してポジ型レジスト溶液を調製した。調製したポジ型レジスト溶液を下記の方法で評価し、結果を表4に示した。
【0275】
<レジスト評価>
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、78nmの反射防止膜を形成した。その上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、130℃で、60秒間ベークを行い、120nmのレジスト膜を形成した。得られたウエハーArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75)を用い、75nm1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。その後130℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥してレジストパターンを得た。
【0276】
〔ラインエッジラフネス〕
ラインエッジラフネス(LER)の測定は測長走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して120nmの孤立パターンを観察し、ラインパターンの長手方向のエッジが5μmの範囲についてエッジのあるべき基準線からの距離を測長SEM((株)日立製作所S−8840)により50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σを算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
【0277】
〔露光ラチチュード〕
線幅0.13μmのラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、露光量を変化させた際にパターンサイズが0.13μm±10%を許容する露光量幅を求め、この値を最適露光量で割って百分率表示した。値が大きいほど露光量変化による性能変化が小さく、露光ラチチュード(EL)が良好である。
〔ディフェクト評価〕
ポジ型感光性組成物溶液をスピンナーを用いてヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコンウェーハ上に直接塗布し、ホットプレート上で、105℃で90秒間プレベーク(PAB)し、乾燥することにより、膜厚220nmのレジスト膜を形成した。
【0278】
ついで、ArF露光装置NSR−S306(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,σ=0.30)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(バイナリー)を介して選択的に照射した。
【0279】
そして、110℃で90秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間パドル現像し、1000回転で1秒間、次に500回転で15秒間の条件(ディフェクトがより発生しやすいような強制条件)でリンス液を滴下して、乾燥してレジストパターンを形成した。
【0280】
また、パターンは、ホールの直径が300nmのデンスホールパターン(直径300nmのホールパターンを、300nm間隔で配置したパターン)を形成した。
次に、KLAテンコール社製の表面欠陥観察装置 KLA2351(製品名)を用いて測定し、ウェーハ内の欠陥数を測定した。
同様の評価をもう一度行い、ウェーハ2枚の欠陥数の平均値を求めた。結果は表4に併記した。
表4における略号は次の通りである。
【化65】

【0281】
N−1: N,N−ジブチルアニリン
N−2: N,N−ジプロピルアニリン
N−3: N,N−ジヒドロキシエチルアニリン
N−4: 2,4,5−トリフェニルイミダゾール
N−5: 2,6−ジイソプロピルアニリン
N−6: ヒドロキシアンチピリン
N−7: トリスメトキシメトキシエチルアミン
【化66】

【0282】
N−9:トリエタノールアミン。
【0283】
W−1: メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2: メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)
(フッ素及びシリコン系)
W−3: ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)
(シリコン系)
W−4: トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
W−5: KH−20(旭化成(株)製)
上記各評価の結果を表4に示す。
【表4】

【0284】
表4に示される結果より本発明の感光性組成物は、ラインパターンのラインエッジラフネス、EL、ディフェクトが良好であることは明らかである。
実施例23
実施例1に於いて、更に下記ポリマーを0.10g加え、シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、98nmの反射防止膜を形成した。その上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、130℃で、60秒間ベークを行い、120nmのレジスト膜を形成した。得られたウエハーをArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1250i、NA0.85)を用い、65nm1:1ラインアンドスペースパターンの6%ハーフトーンマスクを通して露光した。液浸液としては超純水を使用した。その後130℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥してレジストパターンを得たところ、LERは4.9nm、EL18.0%であり、本発明の製造方法で合成した高分子化合物がArFエキシマレーザー液浸露光によるパターン形成にも好適に用いることができることを確認することができた。
【化67】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ラクトン構造を有する繰り返し単位と、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する一般式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂、及び
(B)活性光線又は放射線の照射により、酸解離指数pKaが−5.0以上のベンゼンスルホン酸を発生する化合物を含有することを特徴とするポジ型感光性組成物。
【化1】

一般式(I)中、
は、アルキル基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。RとRは互いに結合して環構造を形成していてもよい。
Raは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
一般式(I)で表される構造のファンデルワールス体積は306×10−30以下である。
【請求項2】
樹脂(A)が、さらに一般式(II)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
【化2】

一般式(II)中、
は極性基を有する脂環構造を表す。
Raは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
【請求項3】
樹脂(A)が、さらに一般式(III)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポジ型感光性組成物。
【化3】

一般式(III)中、
は少なくとも一つの環状構造を有し、極性基を有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のポジ型感光性組成物を用いて感光性膜を形成し、該感光性膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2009−244399(P2009−244399A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88544(P2008−88544)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】