説明

ポジ型感熱画像形成性要素

アルカリ可溶性コポリマー、アルカリ可溶性コポリマーを含む平版印刷版前駆体として有用な画像形成性要素および画像形成性要素を利用する画像の形成方法が開示される。アルカリ可溶性コポリマーは、重合した形態で、以下を含んでなり:(a)N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドまたはそれらの混合物;(b)アクリルアミド、メタクリルアミドまたはそれらの混合物;(c)アクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはそれらの混合物;および
(d)以下の構造のモノマーからなる群から選択される1種または複数のモノマー:
CH2=C(R)−Z−X−NHC(O)NH−Y−R’、前式において、Xが、−[C(CH32]−または−[(CH2n]−であり、nが0〜12であり;Yがo−、m−またはp−の−[C64]−であり;Zが、−[C(O)O]−、−[C(O)NH]−またはo−、m−またはp−の−[C64]−であり;
Rが、水素またはC1〜C4アルキルであり;R’が、−OC(O)−OR”、−OC(O)−Arまたは−OSO2−Arであり;R”が、C1〜C12アルキル、C1〜C12アリールアルキル、C1〜C12アリール、C1〜C12アルケニルまたはトリメチルシリルであり;Arが、C65-n’n’であり、Arは、合計で6〜10の炭素原子を有し;各Tが、独立に、C1〜C4アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、メトキシおよびシアノからなる群から選択され;n’が0〜5の整数であり;前記コポリマーが、少なくとも約11より高いpHを有するアルカリ性溶液に可溶である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平版印刷に関する。詳細には、本発明は、アルカリ可溶性コポリマーを含む平版印刷版前駆体として有用な画像形成性要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来すなわち「湿式」平版印刷では、画像領域として知られるインク受理領域は、親水性表面上に生成される。表面が水により湿されインクが塗布されると、親水性領域は水を保ちインクをはじき、インク受理領域はインクを受け入れ水をはじく。インクは、画像を再生すべき材料の表面に移される。典型的には、インクはまず中間のブランケットに移され、次に、それが画像を再生すべき材料の表面にインクを移す。
【0003】
平版印刷版前駆体として有用な画像形成性要素は、典型的には、支持体(substrate)の親水性表面上に塗布された画像形成性層を含んでなる。画像形成性層は、1つまたは複数の放射感受性成分を含み、それらは好適なバインダーに分散していてよい。あるいは、放射感受性成分がバインダー物質でもよい。画像化の後、画像形成性層の画像化領域または非画像化領域が好適な現像液により除去され、下にある支持体の親水性表面が露出する。画像化領域が除去される場合、前駆体はポジ型である。反対に、非画像化領域が除去される場合、前駆体はネガ型である。どちらの場合でも、残る画像形成性層の領域(すなわち画像領域)はインク受理性であり、現像工程により露出される親水性表面の領域は、水および通常湿し水である水溶液を受理し、インクをはじく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
直接デジタル画像形成は、マスクを通しての画像形成の必要性を除き、印刷産業においてますます重要になりつつある。従来の高pH現像液で現像でき、ベーキング可能で、インク、湿し水、UV洗浄液などの洗浄液に使用される溶媒などの印刷化学物質(press chemistries)に対する耐性も有するポジ型の熱画像形成性要素が要求されている。ベーキング性は非常に望ましいが、その理由は、ベーキングが印刷連続運転時間を長くするからである。したがって、高pH現像液で現像でき、典型的には印刷室環境で遭遇される化学物質に耐性があり、連続運転時間を長くするためにベーキングできる熱画像形成性要素の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1態様において、本発明はアルカリ可溶性コポリマーである。コポリマーは、重合した形態で、以下を含んでなる:
(a)1重量%〜30重量%のN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドまたはそれらの混合物;
(b)約1重量%〜約30重量%のアクリルアミド、メタクリルアミドまたはそれらの混合物;
(c)約20重量%〜約75重量%のアクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはそれらの混合物;および
(d)合計で約20重量%〜約75重量%の以下の構造のモノマーからなる群から選択される1種または2種以上のモノマー:
CH2=C(R)−Z−X−NHC(O)NH−Y−R’
上式において、
Xは、−[C(CH32]−または−[(CH2n]−であり、nは0〜12であり;
Yはo−、m−またはp−の−[C64]−であり;
Zは、−[C(O)O]−、−[C(O)NH]−またはo−、m−またはp−の−[C64]−であり;
Rは、水素またはC1〜C4アルキルであり;
R’は、−OC(O)−OR”、−OC(O)−Arまたは−OSO2−Arであり;
R”は、C1〜C12アルキル、C1〜C12アリールアルキル、C1〜C12アリール、C1〜C12アルケニルまたはトリメチルシリルであり;
Arは、C65-n’n’であり、Arは、合計で6〜10の炭素原子を有し;
各Tは、独立に、C1〜C4アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、メトキシおよびシアノからなる群から選択され;
n’は0〜5の整数であり;
前記コポリマーは、少なくとも約11より高いpHを有するアルカリ性溶液に可溶である。
【0006】
他の態様において、本発明は、アルカリ可溶性コポリマーを含んでなる画像形成性要素である。前記画像形成性要素は、平版印刷版前駆体として有用であるが、単層画像形成性要素でも、多層画像形成性要素でもよい。さらに他の態様において、本発明は、画像形成性要素を画像化および現像して画像を形成する方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
文脈により別様に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲において、第1バインダー、第2バインダー、レゾール樹脂、界面活性剤、ノボラック樹脂、光熱変換物質、溶解阻害剤、アルカリ可溶性コポリマー、塗布溶媒の用語および類似の用語は、そのような物質の混合物も含む。他に記載のない限り、パーセンテージは全て重量パーセンテージである。熱画像化とは、サーマルヘッドなどの発熱体(hot body)または赤外線による画像化を意味する。
【0008】
コポリマーは、コポリマーを形成するのに概念的に使用できるモノマーの点から定義されてきたが、これは、コポリマーを、示されるモノマーの重合により形成されるものに限定しない。コポリマーは、前駆体ポリマーの修飾など、他の経路で形成できる。例えば、コポリマーは、前駆体ポリマーに、カーボネート(−OC(O)−OR”)基、エステル(−OC(O)−Ar)基および/またはスルホネートエステル(−O3SAr)基などの種々の側鎖構造ユニットの追加により形成できる。アルカリ可溶性コポリマーは、少なくとも約11より高いpHを有するアルカリ性溶液に可溶であり、典型的には少なくとも約12より高いpHを有するアルカリ性溶液に可溶であり、より典型的には約12〜約14のpHを有するアルカリ性溶液に可溶である。
【0009】
アルカリ可溶性コポリマーは、重合した形態で、約1重量%〜約30重量%の、好ましくは約3重量%〜約20重量%のN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドまたはそれらの混合物を含んでなる。N−フェニルマレイミドが好ましい。
【0010】
アルカリ可溶性コポリマーは、重合した形態で、約1重量%〜約30重量%の、好ましくは約5重量%〜約20重量%のアクリルアミド、メタクリルアミドまたはそれらの混合物を含んでなる。メタクリルアミドが好ましい。
【0011】
アルカリ可溶性コポリマーは、重合した形態で、約20重量%〜約75重量%の、好ましくは約35重量%〜約60重量%のアクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはそれらの混合物を含んでなる。アクリロニトリルが好ましい。
【0012】
アルカリ可溶性コポリマーは、重合した形態で、合計で約20重量%〜約75重量%の、好ましくは約30重量%〜約60重量%の以下の構造のモノマー:
CH2=C(R)−Z−X−NHC(O)NH−Y−R’
からなる群から選択される1種または2種以上のモノマーを含んでなる。
【0013】
Xは、−[C(CH32]−または−[(CH2n]−であり、nは0〜12である。Xが−[(CH2n]−でnが0である場合、Z基は−NHC(O)NH−Y−R’基に直接結合している。Xの好ましい基には、−[C(CH32]−および−[(CH22]−がある。
【0014】
Yはフェニレン(−[C64]−)である。フェニレン基は、オルトでも、メタでも、パラ置換でもよい。Yの好ましい基には、パラ置換フェニレン(p−[C64]−)がある。
【0015】
Zは、−[C(O)O]−、−[C(O)NH]−またはフェニレン(−[C64]−)であり、オルトでも、メタでも、パラ置換でもよい。Zの好ましい基には、−[C(O)O]−およびメタ置換フェニレン(m−[C64]−)がある。
【0016】
Rは、水素またはC1〜C4アルキルである。典型的なC1〜C4アルキルには、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルである。Rの好ましい基には、水素およびメチルがある。メチルがより好ましい。
【0017】
R’は、−OC(O)−OR”、−OC(O)−Arまたは−OSO2−Arである。
【0018】
R”は、C1〜C12アルキル、C1〜C12アリールまたは置換アリール、C1〜C12アリールアルキル、C1〜C12アリール、C1〜C12アルケニルまたはトリメチルシリルである。典型的なC1〜C12アルキル基には、例えば、メチル;エチル、n−プロピル;i−プロピル;n−ブチル;i−ブチル;sec−ブチル;t−ブチル;n−ペンチル;i−ペンチル;sec−ペンチル;1,1−ジメチルプロピル;2,2−ジメチルプロピル;n−ヘキシル;1,1−ジメチルブチル;n−ヘプチル;1,1−ジメチルペンチル;2−エチルペンチル;5−メチルヘキシル;n−オクチル;1,1−ジメチルヘキシル;2,2,4−トリメチルペンチル;1,1,3,3−テトラメチルブチル;2−エチルヘキシル;n−ノニル;1,1−ジメチルヘプチル;n−デシル;1,1−ジメチルオクチル;n−ウンデシル;1,1−ジメチルノニル;n−ドデシル;および1,1−ジメチルデシルがある。典型的なC1〜C12アリールまたは置換アリール基には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、p−メチルフェニル、m−メチルフェニル、o−メチルフェニル、p−メトキシフェニル、m−メトキシフェニル、o−メトキシフェニル、p−エトキシフェニル、p−エチルフェニル、p−i−プロピルフェニル、p−t−ブチルフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−シアノフェニル、m−シアノフェニル、p−フルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、p−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジエチルフェニル;および2,4,6−トリメチルフェニルがある。典型的なC1〜C12アラルキル基には、例えば、ベンジル;1−フェニルエチル;2−フェニルエチル;2−フェニルプロピル;1−フェニル−1−メチルエチル;1−フェニル−1−メチルエチル;3−フェニルプロピル;4−フェニルブチル;2−フェニル−1,1−ジメチルエチル;1−フェニル−1−メチルプロピル;6−フェニルヘキシル;および4−フェニル−1,1−ジメチルブチルがある。典型的なC1〜C12アルケニル基には、例えば、アリル(2−プロペニル)(CH2=CH−CH2−);1−メチルアリル(CH2=CH−C(CH3)H−);1,1−ジメチルアリル(CH2=CH−C(CH32−);1−メチル−3−ブテニル(CH2=CH−CH2−C(CH3)H−);1−メチル−2−ブテニル(CH3CH=CH−C(CH3)H−);1,1−ジメチル−3−ブテニル(CH2=CH−CH2−C(CH32−);および1,1−ジメチル−9−デセニル(CH2=CH−(CH27−C(CH32−)がある。R”の好ましい基には、t−ブチル;フェニル、1−フェニルエチル(CH3−CH(C65)−)、ベンジル、1−メチルアリルおよびトリメチルシリルがある。R”がt−ブチルである、t−ブチルカーボネート(t−BOC)基はより好ましいカーボネート基である。
【0019】
Arは、C65-n’n’であり、Arは、合計で6〜10の炭素原子を有する。合計で6〜10の炭素原子には、六員環芳香族系の炭素原子も、芳香族系に存在する置換基中の炭素原子、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフルオロメチル、シアノおよびメトキシ基中の炭素原子も含まれる。例えば、4−メチルフェニル(p−メチルフェニルまたはトシル)基は7の炭素原子を有する。各Tは、C1〜C4アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、メトキシおよびシアノからなる群から独立に選択される。C1〜C4アルキルには、例えば、メチル;エチル;n−プロピル;i−プロピル;n−ブチル;i−ブチル;sec−ブチル;およびt−ブチルがある。n’は0〜5の整数である。例えば、n’が0である場合、Arはフェニルである。n’が1でTがメチルである場合、Arは、p−メチルフェニル(トシル)、m−メチルフェニルまたはo−メチルフェニルのいずれかである。n’が5で各Tがフルオロである場合、Arはペンタフルオロフェニルである。例えば、典型的なAr基には、フェニル、p−メチルフェニル(トシル)、m−メチルフェニル、o−メチルフェニル、p−メトキシフェニル、m−メトキシフェニル、o−メトキシフェニル、p−エトキシフェニル、p−エチルフェニル、p−i−プロピルフェニル、p−t−ブチルフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル(ブロシル)(brosyl)、p−シアノフェニル、m−シアノフェニル、p−フルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、p−トリフルオロメチルフェニル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジメチルフェニル、3,5−ジエチルフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルおよび2,4,6−トリメチルフェニルがある。各Tは独立に選択されるので、2種以上の置換基が芳香族系に存在することもある。例えば、Arは、4−フルオロ−2,6−ジクロロフェニルでも、4−メチル−3,5−ジクロロフェニルでも、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェニルでも、4−メチル−3−シアノフェニルでもよい。好ましいAr基は、フェニルおよび4−メチルフェニル(トシル)である。
【0020】
アルカリ可溶性コポリマーは、重合した形態で、1種または2種以上の追加モノマーを含んでもよい。水性塩基中のコポリマーの溶解度特性を向上または制御するため、イオン化可能な基を含むモノマーが存在してもよい。例えば、コポリマーは、重合した形態で、約5重量%〜約30重量%の、好ましくは約10重量%〜約30重量%のアクリル酸、メタクリル酸またはそれらの混合物を含んでもよい。他の追加モノマーには、例えば、p−アミノ安息香酸のアクリルアミドまたはメタクリルアミド(CH2=C(R)−CONH−p−C64−CO2H)など、アミノ安息香酸のアクリルアミドまたはメタクリルアミドおよび無水コハク酸または無水フタル酸などの環状無水物と、2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたは2−ヒドロキシエチルアクリレートなど、ヒドロキシル基を含むアクリレートまたはメタクリレートとの反応から形成される半エステル(CH2=C(R)−CO2−CH2CH2−O2C−W−CO2H、Wは−[(CH22]−または−[o−C64]−である)がある。
【0021】
アルカリ可溶性コポリマーは種々の経路で調製できる。以下に調製手順のいくつかを列記する。他の手順も当業者には明らかであろう。
【0022】
コポリマーは、例えば、フリーラジカル重合により調製できる。フリーラジカル重合は当業者に公知であり、例えば、Macromolecules、第2巻、第二版、H.G.Elias著、Plenum、New York、1984の20章および21章に記載されている。有用なフリーラジカル開始剤は、ベンゾイルペルオキシドなどのペルオキシド、クミルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシドおよび2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)などのアゾ化合物である。ドデシルメルカプタンなどの連鎖移動剤が、コポリマーの分子量を制御するために使用できる。フリーラジカル重合に好適な溶媒には、反応物に不活性で、反応に悪影響を与えない液体、例えば、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトンおよびアセトンなどのケトン;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールおよびブタノールなどのアルコール;ジオキサンおよびテトラヒドロフランなどのエーテルおよびそれらの混合物がある。
【0023】
モノマーを所望の量で重合して、所望のアルカリ可溶性コポリマーを製造することができる。例えば、イソシアナトアルキルアクリレートまたはメタクリレート、例えばイソシアナトエチルメタクリレートなどのイソシアナト含有モノマーまたは、例えば、1−(1−イソシアナト−1−メチル)−エチル3−(1−メチル)−エテニルベンゼン(CH2=C(CH3)−m−C64−C(CH32−NCO)などのイソシアナト含有アルキル置換スチレンを適当な芳香族アミンと反応させて尿素を形成できる。カーボネート基を、尿素形成の前または後のいずれかにアミンに加えてもよい。カーボネート含有フリーラジカル重合性モノマーの形成およびこれらのモノマーのカーボネート基含有ポリマーへの変換は、例えば、Itoの米国特許第4,491,628号に記載されている。
【0024】
あるいは、アルカリ可溶性コポリマーを、前駆体ポリマーの修飾により形成してもよい。例えば、上記のものなどイソシアナト含有モノマーを共重合して、イソシアナト官能性を含む前駆体ポリマーを製造してよい。イソシアナト含有モノマーの重合およびイソシアナト基の反応による得られるポリマーへの官能性の導入は、例えば、Dueberの米国特許第4,565,759号の第8欄61行から第10欄52行に開示されている。次いで、前駆体ポリマーを、適当なカーボネート含有、エステル含有および/またはスルホネートエステル含有芳香族アミンまたは複数のアミンと反応させ、所望のポリマーを製造することができる。あるいは、尿素官能性およびカーボネート、エステルまたはサルフェートエステル官能性を、別々な工程で導入することもできる。例えば、イソシアナト含有前駆体ポリマーを、p−アミノフェノールなどの芳香族アミンと反応させ、フェノール性ヒドロキシル基を含む第2の前駆体ポリマーを製造できる。フェノール性ヒドロキシル基を、カーボネート、エステルおよび/またはスルホネートエステル基に変換できる。
別法としては、前駆体ポリマーを、フェノール性ヒドロキシル含有モノマーから調製できる。有用なフェノール性ヒドロキシル含有モノマーには、例えば、以下のものがある。
【0025】
【化1】

【0026】
フェノール性ヒドロキシル含有モノマーまたは複数のモノマーを他の望ましいモノマーと共重合して、フェノール性ヒドロキシル基を含む前駆体ポリマーを製造する。このシーケンスは、例えば、Patelの米国特許第6,352,811号、合成例2、4および5に説明されている。次いで、フェノール性ヒドロキシル基をカーボネート基、エステル基および/またはスルホネートエステル基に変換する。フェノール性ヒドロキシル基を、当業者に公知の手順によりカーボネート基に変換できる。例えば、炭酸カリウムと18−クラウン−6の存在下で、フェノール性ヒドロキシル基を含むコポリマーをジ−t−ブチルジカーボネートと反応させてt−ブチルカーボネート(t−BOC)基を導入できる。フェノール性ヒドロキシル基を、例えば、酸塩化物または酸塩化物の混合物などの酸ハライドとの反応により、エステル基またはエステル基の混合物を形成し、かつ/または塩化スルホニルまたは塩化スルホニルの混合物などのスルホニルハライドとの反応により、スルホネートエステル基またはスルホネートエステル基の混合物を形成し、エステル(−OC(O)−Ar)基および/またはスルホネートエステル(−O3SAr)基に変換できる。典型的な酸ハライドは、例えば、ベンゾイルクロライド、o−アニソイルクロライド、m−アニソイルクロライド、p−アニソイルクロライド、o−トルオイルクロライド、m−トルオイルクロライド、p−トルオイルクロライド、2−ブロモベンゾイルクロライド、3−ブロモベンゾイルクロライド、4−ブロモベンゾイルクロライド、2−クロロベンゾイルクロライド、3−クロロベンゾイルクロライド、4−クロロベンゾイルクロライド、p−イソプロピルベンゾイルクロライド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライドおよびp−(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライドである。好ましい酸クロライドは、ベンゾイルクロライドおよびp−トルオイルクロライドである。典型的なスルホニルハライドは、例えば、ベンゼンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライド、4−クロロフェニルスルホニルクロライド、4−ブロモフェニルスルホニルクロライド、4−フルオロベンゼンスルホニルクロライドおよび4−メトキシベンゼンスルホニルクロライドである。好ましいスルホニルクロライドは、ベンゼンスルホニルクロライドおよびp−トルエンスルホニルクロライドである。
【0027】
アルカリ可溶性コポリマーは、ポジ型画像形成性要素に使用できる。画像形成性要素は、支持体の表面上に、画像形成組成物を含んでなる画像形成性層または最上層(top layer)を含んでなる。画像形成性要素の従来の構成要素である他の層も存在してよい。例えば、支持体上に画像形成性層があってよく、基層(underlayer)などの他の層が、画像形成性層と支持体の間に存在してよい。画像形成性要素は光熱変換物質を含んでよいが、これは、画像形成性層中でも、基層中でも、基層が存在する場合画像形成性層と基層の間の別な吸収剤層中でも、基層が存在しない場合画像形成性層と支持体の間にでも存在してもよい。しかし、画像形成性要素は、典型的には、熱活性化型酸発生剤(thermally activated acid generator)を含まない。
【0028】
支持体は基材(support)を含んでなるが、これは平版印刷版として有用な画像形成性要素の調製に従来使用されるどのような材料でもよい。基材は強く、安定で、柔軟性のあることが好ましい。基材は、色記録がフルカラー画像で見当が合うように使用の条件下で寸法変化に耐えなければならない。典型的には、基材は、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリマーフィルム、セラミックス、金属または固い紙あるいはこれらの材料の積層を含む、どのような自立性材料でもよい。金属基材には、アルミニウム、亜鉛、チタンおよびこれらの合金がある。
【0029】
典型的には、ポリマーフィルムは、表面特性を変えて表面の親水性を増加させ、その次の層への接着性を向上させ、紙基材の平坦性を向上させるなどのために下塗り(sub−coating)を表面の片方または両方に含む。この層または複数の層の性質は、支持体およびその次の層の組成に依存する。下塗り層(subbing layer)物質の例は、アルコキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよびエポキシ官能化ポリマーなどの接着促進物質ならびに写真フィルムのポリエステルベースに使用されている従来の下塗り物質である。
【0030】
アルミニウム基材の表面を、物理的砂目立て、電気化学的砂目立て、化学的砂目立ておよび陽極酸化などの当業界に公知の技術により処理してよい。支持体は、印刷による摩耗に耐えるに十分なほど厚くなければならないが、印刷機中のシリンダー周囲に巻き付くに十分なほど薄くなければならず、典型的には約100μm〜約600μmである。典型的には、支持体は、アルミニウム基材とその上の層または複数の層との間に中間層(interlayer)を含んでなる。中間層は、例えば、シリケート、デキストリン、ヘキサフルオロシリケート、ホスフェート/フルオライド、ポリビニルホスホン酸(PVPA)、ビニルホスホン酸コポリマーまたは水溶性ジアゾ樹脂によりアルミニウム基材を処理して形成できる。
【0031】
基材の裏面(すなわち基層および画像形成性層の反対面)に、帯電防止剤および/またはスリップ層またはマット層を塗布し、画像形成性要素の取扱いおよび「感触」を向上させることができる。
【0032】
赤外線により画像形成される画像形成性要素は、典型的には、光熱変換物質として知られる赤外吸収剤を含んでなる。光熱変換物質は、放射を吸収しそれを熱に変換する。光熱変換物質は発熱体による画像形成に必要ではないが、光熱変換物質を含む画像形成性要素も、サーマルヘッドまたはサーマルヘッドのアレイなどの発熱体により画像形成できる。
【0033】
光熱変換物質は、輻射線を吸収しそれを熱に変換できるどのような物質でもよい。好適な物質には、染料および顔料がある。好適な顔料には、例えば、カーボンブラック、Heliogen Green、Nigrosine Base、酸化鉄(III)、酸化マグネシウム、プルシアンブルーおよびパリスブルーがある。低コストおよび広範囲のピーク発光波長を有する画像化装置に使用できるような広い吸収バンドのため、特に有用な顔料はカーボンブラックである。顔料粒子の大きさは、顔料を含む層の厚さより大きくてはいけない。好ましくは、粒子の大きさは層の厚さの半分以下であろう。
【0034】
不溶性物質による現像液の沈殿を防ぐため、現像液に可溶な光熱変換物質が好ましい。光熱変換物質は、適当な吸収スペクトルおよび溶解度を有する染料でもよい。染料、特に750nm〜1200nmの範囲に高い吸光係数を有する染料が好ましい。好適な染料の例には、以下の種類の染料がある:メチン、ポリメチン、アリールメチン、シアニン、ヘミシアニン、ストレプトシアニン、スクアリリウム、ピリリウム、オキソノール、ナフトキノン、アントラキノン、ポルフィリン、アゾ、クロコニウム、トリアリールアミン、チアゾリウム、インドリウム、オキサゾリウム、インドシアニン、インドトリカルボシアニン、オキサトリカルボシアニン、フタロシアニン、チオシアニン、チアトリカルボシアニン、メロシアニン、クリプトシアニン、ナフタロシアニン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、カルコゲノピリロアリーリデン(chalcogenopyryloarylidene)およびビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン(bis(chalcogenopyrylo)polymethine)、オキシインドリジン、ピラゾリンアゾおよびオキサジン種。吸収染料は、多くの出版物、例えば、Nagasaka、EP0,823,327;DeBoer、米国特許第4,973,572号;Jandrue、米国特許第5,244,771号;Patel、米国特許第5,208,135号;およびChapman、米国特許第5,401,618号に開示されている。有用な吸収染料の他の例には以下のものがある:ADS−830AおよびADS−1064(カナダ国、モントリオール、American Dye Source)、EC2117(ドイツ国、ヴォルフェン、FEW)、Cyasorb IR99およびCyasorb IR 165(Glendale Protective Technology)、Epolite IV−62BおよびEpolite III−178(Epoline)、SpectraIR 830AおよびSpectraIR 840A(Spectra Colors)ならびに以下に構造を示すIR Dye AおよびIR Dye B。
【0035】
【化2】

【0036】
要素中に存在する光熱変換物質の量は、画像形成波長において一般的に少なくとも0.05の光学濃度を、好ましくは、約0.5から少なくとも約2から3の光学濃度を与えるに十分である。当業者に公知であるように、特定の波長で特定の光学濃度をうみだすに必要な化合物の量は、ベールの法則を利用して決定できる。
【0037】
赤外線による画像形成の間のアブレーションを防ぐため、要素が多層画像形成性要素である場合、画像形成性層は好ましくは実質的に光熱変換物質を含まない。すなわち、画像形成性層中の光熱変換物質は、たとえあるとしても、画像形成輻射線の約10%未満を、好ましくは画像形成輻射線の約3%未満を吸収し、画像形成性層により吸収される画像形成輻射線の量は、あるとしても、画像形成性層のアブレーションを起こすのに十分でない。
【0038】
本発明の画像形成性要素、特にカーボネート含有アルカリ可溶性コポリマーを含んでなる画像形成性要素は、熱活性化型酸発生剤を必要としない。カーボネート含有ポリマーおよび熱活性化型酸発生剤を含んでなる画像形成組成物および層は、例えば、Photoreactive Polymers:The Science and Technology of Resists、A.Reiser著、Wiley、New York、1989、279−283ページに記載されている。これらの系において、画像化の時に、酸発生剤は酸を発生し、それがポリマーからのカーボネート官能性の除去を触媒し、アルカリ現像液への画像形成性層の溶解速度を変える。
【0039】
熱活性化型酸発生剤は、熱により開始される分解によりブレンステッド酸を形成する化合物である。非イオン酸発生剤には、例えば、ハロアルキル置換s−トリアジンがあり、例えば、Smithの米国特許第3,779,778号に記載されている。ハロアルキル置換s−トリアジンは、Xがブロモまたは好ましくはクロロである1から3のCX3基により置換されているs−トリアジンである。例としては、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジンおよび2−[4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル]−4,6−ビス−トリクロロメチル−s−トリアジンがある。イオン性酸発生剤にはオニウム塩があり、例えば、オニウムカチオンがヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、オキシスルホキソニウム、オキシスルホニウム、スルホキソニウム、アンモニウムまたはジアゾニウムであり、アニオンがクロライド、ブロマイドまたは非求核性アニオン、例えば、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフラート、テトラキス(ペンタフルオロ−フェニル)ボレート、ペンタフルオロエチルスルホネート、p−メチル−ベンジルスルホネート、エチルスルホネート、トリフルオロメチルアセテートおよびペンタフルオロエチルアセテートであるオニウム塩がある。典型的なオニウム塩には、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ジクミルヨードニウムクロライド、4,4’−ジクミルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メトキシ−α−ピコリニウム−p−トルエンスルホネート、4−メトキシベンゼン−ジアゾニウムテトラフルオロボレート、4,4’−ビス−ドデシルフェニルヨードニウム−ヘキサフルオロホスフェート、2−シアノエチル−トリフェニルホスホニウムクロライド、ビス−[4−ジフェニルスルホニオフェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、ビス−4−ドデシルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、2−メトキシ−4−アミノフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェノキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネートおよびアニリノフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネートがある。
【0040】
しかし、本発明の画像形成性要素、特にカーボネート含有アルカリ可溶性コポリマーを含んでなる画像形成性要素において、画像化には熱活性化型酸発生剤を必要としない。したがって、本発明の画像形成性要素、特にカーボネート含有アルカリ可溶性コポリマーを含んでなる画像形成性要素は、上記に記載したような熱活性化型酸発生剤を含まない。
【0041】
単層要素は、支持体上に、最上層または画像形成性層として知られる、画像形成組成物の層を含んでなる。画像形成性層は、熱暴露の後現像液に可溶性または分散性になる。熱画像形成単層要素は、例えば、Westの米国特許第6,090,532号;Parsonsの米国特許第6,280,899号;McCulloughの米国特許公開番号2002/0136961;および国際公開番号WO99/21715に開示されている。画像形成組成物は、バインダーとして知られるインク受理性ポリマー性物質、溶解阻害剤、光熱変換物質および上述のアルカリ可溶性コポリマーまたは上述のアルカリ可溶性コポリマーの混合物を含んでなる。あるいは、または追加的には、ポリマー性物質は極性基を含んでよく、バインダーと溶解阻害剤の両方として作用する。単層画像形成性要素の画像形成性層の従来成分である他の物質も存在してよい。
【0042】
画像形成性層中のバインダーを第1バインダーと称する。好ましくは、単層画像形成性要素中のバインダーは、光安定性であり、水に不溶性であり、現像液に可溶性であり、皮膜形成性のフェノール樹脂である。フェノール樹脂は、ポリマー骨格または側基に、多数のフェノール性ヒドロキシル基を有する。有用なフェノール樹脂には、フェノール性ヒドロキシル基を有するポリビニル化合物、例えばポリヒドロキシスチレンおよびヒドロキシスチレンの繰り返し単位を含むコポリマーならびに置換ヒドロキシスチレンの繰り返し単位を含むポリマーおよびコポリマーがある。ノボラック樹脂、レゾール樹脂およびポリヒドロキシスチレンが好ましいフェノール樹脂である。ノボラック樹脂がより好ましい。
【0043】
ノボラック樹脂は市販されており、当業者に公知である。それらは、典型的には、フェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノールと、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどのアルデヒドまたはアセトンなどのケトンとの酸触媒存在下での縮合反応により調製される。典型的なノボラック樹脂には、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾ−ル−ホルムアルデヒド樹脂、p−t−ブチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂およびピロガロール−アセトン樹脂がある。特に有用なノボラック樹脂は、従来の条件を利用して、m−クレゾール、m−クレゾールとp−クレゾールの混合物またはフェノールをホルムアルデヒドと反応させて調製される。
【0044】
画像形成性層は、好ましくは、第1バインダーの溶解度抑制成分として機能する溶解阻害剤を含んでなる。溶解阻害剤は、電子密度の高い原子、好ましくは電気陰性第1列元素、特に炭素、窒素および酸素から選択される原子を含んでなる極性官能基を有する。現像液に可溶性である溶解阻害剤が好ましい。
【0045】
溶解阻害剤に有用な極性基には、例えば、ジアゾ基;ジアゾニウム基;ケト基;スルホン酸エステル基;リン酸エステル基;トリアリールメタン基;オニウム基、例えば、スルホニウム、ヨードニウムおよびホスホニウム;窒素原子が複素環に取り入れられている基;および正の電荷を持つ原子、特に正の電荷を持つ窒素原子、典型的には四級窒素原子を含む基、すなわちアンモニウム基がある。溶解阻害剤として有用な正の電荷を持つ(すなわち四級)窒素原子を含む化合物には、例えば、テトラアルキルアンモニウム化合物および四級複素環化合物、例えば、キノリニウム化合物、ベンゾチアゾリウム化合物、ピリジニウム化合物およびイミダゾリウム化合物がある。エーテル、アミン、アゾ、ニトロ、フェロセニウム、スルホキシド、スルホンおよびジスルホンなど他の極性基を含む化合物も溶解阻害剤として有用である。溶解阻害剤は、o−ジアゾナフトキノン部を含んでなるモノマー性および/またはポリマー性化合物でもよい。
【0046】
溶解阻害剤の好ましい群は、トリアリールメタン染料、例えばエチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、Victoria blue B、Victoria blue R、Victoria blue BO、BASONYL(登録商標)Violet 610およびD11(フランス国、ロンジュモー、PCAS)である。これらの化合物は対比染料としても作用でき、現像済み画像形成性要素中の画像化領域から非画像化領域を区別する。
【0047】
あるいは、または追加的に、第1バインダーは、第1バインダー中に存在するヒドロキシ基との水素結合の受容部位として作用する極性基を含んでもよく、そのようにして第1バインダーと溶解阻害剤の両方として作用する。誘導体化のレベルは、ポリマー性物質が溶解阻害剤として作用するほど高くなければならないが、熱画像化の後に第1バインダーが現像液に可溶でないほど高くてはいけない。要求される誘導体化の程度は、第1バインダーの性質およびポリマー性物質に導入された極性基を含む部分の性質に依存するであろうが、典型的には約0.5モル%〜約5モル%、好ましくは約1モル%〜約3モル%のヒドロキシル基が誘導体化されるであろう。ジアゾナフトキノン部を含む化合物によるフェノール樹脂の誘導体化は公知であり、例えば、Westの米国特許第5,705,308号および第5,705,322号に記載されている。
【0048】
極性基を含んでなり溶解阻害剤として機能するバインダーの1つの群は、フェノール性ヒドロキシル基の1部がスルホン酸(スルホネート)エステルに変換されている誘導体化フェノールポリマー性物質、好ましくはフェニルスルホネートまたはp−トルエンスルホネートである。誘導体化は、3級アミンなどの塩基の存在下で、ポリマー性物質を、例えばp−トルエンスルホニルクロライドなどのスルホニルクロライドおよび/または上述の他のスルホニルクロライドと反応させて実施できる。有用な物質は、ヒドロキシル基の約1モル%から3モル%、好ましくは約1.5モル%〜約2.5モル%がフェニルスルホネートまたはp−トルエンスルホネート(トシル)基に変換されているノボラック樹脂である。
【0049】
単層画像形成性要素の画像形成組成物および画像形成性層は、画像形成組成物の従来成分である染料および界面活性剤などの他の成分を含んでもよい。界面活性剤は、例えば、塗布助剤(coating aid)として存在してよい。染料は、画像化および/または現像済み要素の目視検査を助けるために存在してよい。印刷染料(printout dye)は、処理の間、非画像化領域から画像化領域を識別する。対比染料は、現像済み画像形成性要素中の画像化領域から非画像化領域を識別する。好ましくは、染料は画像化放射を吸収しない。上述のようなトリアリールメタン染料は、対比染料としても機能する。
【0050】
単層画像形成性要素において、画像形成性層は、典型的には、層の乾燥重量に対して、約40重量%〜約90重量%の、好ましくは約55重量%〜約75重量%の第1バインダーまたは第1バインダーの混合物を;層の乾燥重量に対して、約0.5重量%〜約30重量%の、好ましくは約1重量%〜15重量%の溶解阻害剤または溶解阻害剤の混合物を;画像形成性層の乾燥重量に対して、0.5重量%〜約20重量%の、好ましくは約1重量%〜10重量%の光熱変換物質を;画像形成性層の乾燥重量に対して、約3重量%〜約30重量%の、好ましくは約5重量%〜20重量%のアルカリ可溶性コポリマーまたはアルカリ可溶性コポリマーの混合物を含んでなる。
【0051】
多層要素は、基層の上に最上層または画像形成性層を含んでなる。吸収剤層および/またはバリア層などの他の層も存在してよい。基層が存在する場合、アルカリ可溶性コポリマーまたはアルカリ可溶性コポリマーの混合物は基層中にある。
【0052】
多層ポジ型アルカリ現像性熱画像形成性要素に従来使用されているどのような画像形成性層も多層画像形成性要素に使用してよい。これらの要素は、例えば、Shimazuの米国特許第6,294,311号、米国特許第6,352,812号および米国特許第6,593,055号;Patelの米国特許第6,352,811号;Hauckの米国特許第6,358,669号;Savariar−Hauckの米国特許第6,528,228号;およびKitsonの米国特許第6,858,359号に開示されている。
【0053】
多層画像形成性要素の画像形成性層は基層の上にある。それは、熱暴露の後、現像液に可溶性または分散性になる。画像形成性層は、典型的には上述の単層画像形成性要素の画像形成性層に似ているが、アルカリ可溶性コポリマーまたはアルカリ可溶性コポリマーの混合物が典型的に存在していない点が異なる。それは、典型的には、バインダーとして知られるインク受理性ポリマー性物質および溶解阻害剤を含んでなる。あるいは、または追加的に、ポリマー性物質は極性基を含んでなり、バインダーと溶解阻害剤の両方として作用する。
多層画像形成性要素の画像形成性層用の溶解阻害剤は上記に記載されている。画像形成性層は、多層画像形成性要素の画像形成性層の従来の成分である他の成分を含んでよい。これらには、例えば、上述のような界面活性剤および染料がある。
【0054】
多層画像形成性要素の画像形成性層用のバインダーは、上述の第1バインダーなどの、光安定性、水に不溶性で、現像液に可溶性で、皮膜形成性フェノール樹脂である。場合によっては、アセトン、テトラヒドロフランおよび1−メトキシプロパン−2−オールなどの通常の塗布溶媒への溶解度を維持する最高の重量平均分子量を持つノボラック樹脂を画像形成性層に含むのが望ましいこともある。約10,000から少なくとも約25,000の重量平均分子量を有する、例えば、m−クレゾールのみのノボラック樹脂(すなわち、少なくとも約97モル%のm−クレゾールを含むもの)および10モル%までのp−クレゾールを有するm−クレゾール/p−クレゾールノボラック樹脂を含む、ノボラック樹脂を含んでなる画像形成性層を使用してよい。重量平均分子量が約8,000〜約25,000である少なくとも10モル%のp−クレゾールを含む、m−クレゾール/p−クレゾールノボラック樹脂を含んでなる画像形成性層を使用してもよい。場合によっては、溶媒縮合により調製されるノボラック樹脂も望ましいことがある。これらの樹脂を含んでなる画像形成性層は、Kitsonの米国特許第6,858,359号に開示されている。
【0055】
基層は、支持体の親水性表面と画像形成性層との間にある。画像化の後、それは画像化領域において現像液により画像形成性層とともに除去され、下にある支持体の親水性表面を現す。第2バインダーとも称される基層中のポリマー性物質は、現像液の沈殿を防ぐため現像液に可溶性であることが好ましい。さらに、基層の溶解なしに画像形成性層が基層の上に塗布できるように、画像形成性層の塗布に使用される溶媒に不溶性であることが好ましい。
【0056】
第2バインダーとして有用なポリマー性物質には、酸および/またはフェノール官能性を含むものおよびこれらの物質の混合物がある。特に有用なポリマー性物質は、N−置換マレイミド、特にN−フェニルマレイミド;ポリビニルアセタール;メタクリルアミド類、特にメタクリルアミド;およびアクリルおよび/またはメタクリル酸、特にメタクリル酸を含むコポリマーである。より好ましくは、2つの官能基がポリマー性物質に存在し、最も好ましくは、3つ全ての官能基がポリマー性物質に存在する。このタイプの好ましいポリマー性物質は、N−フェニルマレイミド、メタクリルアミドおよびメタクリル酸のコポリマーであり、より好ましくは、重合した形態で、約25〜約75モル%、好ましくは約35〜約60モル%のN−フェニルマレイミド;約10〜約50モル%、好ましくは約15〜約40モル%のメタクリルアミド;および約5〜約30モル%、好ましくは約10〜約30モル%のメタクリル酸を含むものである。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの他の親水性モノマーを、メタクリルアミドの1部または全てに代えて使用できる。アクリル酸などの他のアルカリ可溶性モノマーを、メタクリル酸の1部または全てに代えて使用できる。
【0057】
これらのポリマー性物質はアルカリ現像液に可溶である。さらに、それらは、基層の塗布溶媒として使用できるメチルラクテート/メタノール/ジオキソラン(15:42.5:42.5重量%)に可溶性である。しかし、それらは、基層の溶解なしに基層の上に画像形成性層を塗布する溶媒として使用できるアセトンなどの溶媒には溶解度が低い。
【0058】
基層は、活性化メチロールおよび/または活性化アルキル化メチロール基を有する樹脂または複数の樹脂も含んでもよい。そのような樹脂には、例えば、レゾール樹脂およびそれらのアルキル化類似体;メチロールメラミン樹脂およびそれらのアルキル化類似体、例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂;メチロールグリコールウリル樹脂およびアルキル化類似体、例えばグリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂;チオウレア−ホルムアルデヒド樹脂;グアナミン−ホルムアルデヒド樹脂;およびベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂がある。市販のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびグリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂には、例えば、CYMEL(登録商標)樹脂(Dyno Cyanamid)およびNIKALAC樹脂(Sanwa Chemical)がある。
【0059】
活性化メチロールおよび/または活性化アルキル化メチロール基を有する樹脂および複数の樹脂は、好ましくはレゾール樹脂またはレゾール樹脂の混合物である。レゾール樹脂は当業者に公知である。それらは、過剰のフェノールを利用して塩基性条件下でフェノールをアルデヒドと反応させて調製される。市販のレゾール樹脂には、例えば、GP649D99レゾール(Georgia Pacific)およびBKS−5928レゾール樹脂(Union Carbide)がある。
【0060】
基層は、典型的には、基層の乾燥重量に対して、約50重量%〜約75重量%の、好ましくは約55重量%〜70重量%の第2バインダーまたは第2バインダーの混合物を;存在する場合、基層の乾燥重量に対して、約5重量%〜約20重量%の、好ましくは約7重量%〜15重量%の活性化メチロールおよび/または活性化アルキル化メチロール基を有する樹脂または樹脂の混合物を;基層の乾燥重量に対して、約5重量%〜約25重量%の、好ましくは約10重量%〜20重量%の光熱変換物質を;基層の乾燥重量に対して、約3重量%〜約30重量%の、好ましくは約5重量%〜20重量%のアルカリ可溶性コポリマーまたはアルカリ可溶性コポリマーの混合物を含んでなる。
【0061】
多層画像形成性要素の基層は、典型的には、光熱変換物質を含んでなる。あるいは、光熱物質は、画像形成性層にあっても、別な吸収剤層にあってもよい。
【0062】
吸収剤層が存在する場合、画像形成性層と支持体の間にある。基層も存在する場合、吸収剤層は、画像形成性層と基層の間にある。吸収剤層は、好ましくは基本的に光熱変換物質からなり、任意に界面活性剤を含む。基層および/または画像形成性層よりも別な吸収剤層に存在する場合、より少ない光熱変換物質を使用することが可能なこともある。吸収剤層が存在する場合、画像形成性層は光熱変換物質を実質的に含まないことが好ましく、すなわち、画像形成性層は、画像化に使用される放射、典型的には800nm〜1200nmの範囲の放射を吸収しない。吸収剤層は、画像化放射の少なくとも90%、好ましくは少なくとも99%を吸収するのが十分な厚さを有することが好ましい。典型的には、吸収剤層は、約0.02g/m2〜約2g/m2の、好ましくは約0.05g/m2〜約1.5g/m2の塗布量を有する。吸収剤層を構成する要素は、Shimazuの米国特許第6,593,055号に開示されている。
【0063】
画像形成性要素の製造および貯蔵の間に基層から画像形成性層へ光熱変換物質が移動するのを最小限にするため、要素は、基層と画像形成性層の間にバリア層を含んでもよい。バリア層は、現像液に可溶なポリマー性物質を含んでなる。このポリマー性物質が基層中のポリマー性物質と異なる場合、基層中のポリマー性物質が不溶性である少なくとも1種の有機溶媒に可溶性であることが好ましい。バリア層に好ましいポリマー性物質はポリビニルアルコールである。バリア層中のポリマー性物質が基層中のポリマー性物質と異なる場合、バリア層は、基層の厚さの約5分の1未満の厚さ、好ましくは基層の厚さの10分の1未満の厚さでなくてはならない。
【0064】
単層画像形成性要素は、コーティングまたはラミネーションなどの従来技術を利用して、画像形成性層を支持体に塗布することにより調製できる。典型的には、成分は、適切な塗布溶媒に溶解され、得られた混合物が、スピンコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティングまたはローラーコーティングなどの従来の方法により支持体の親水性表面に塗布される。
【0065】
多層画像形成性要素は、連続的に、支持体の親水性表面上へ基層を塗布し;基層上へ吸収剤層または存在する場合バリア層を塗布し;次いで従来の技術を利用して画像形成性層を塗布して調製できる。典型的には、成分は、適切な塗布溶媒に分散または溶解され、得られた混合物が、スピンコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、ダイコーティングまたはローラーコーティングなどの従来の方法により塗布される。基層は、例えば、メチルエチルケトン、1−メトキシプロパン−2−オール、ブチロラクトンと水の混合物;ジエチルケトン、水、メチルラクテートとブチロラクトンの混合物;およびジエチルケトン、水とメチルラクテートの混合物から塗布できる。
【0066】
バリア層も吸収剤層も存在しない場合、画像形成性層は基層上に塗布される。基層が溶解し画像形成性層と混合するのを防ぐため、画像形成性層は、基層層が基本的に不溶性である溶媒から塗布しなくてはならない。したがって、画像形成性層用の塗布溶媒は、画像形成性層が形成できるほど十分に画像形成性層の成分が可溶性であるが、その下にあるどの層も基本的に不溶性である溶媒でなくてはならない。典型的には、下にある層の塗布に使用される溶媒は、画像形成性層の塗布に使用される溶媒よりも極性が高い。画像形成性層は、例えば、ジエチルケトンから、またはジエチルケトンと1−メトキシ−2−プロピルアセテートの混合物からも塗布できる。中間の乾燥工程、すなわち、基層が存在する場合、その上に画像形成性層を塗布する前に基層を乾燥して塗布溶媒を除去する工程を利用して、複数の層の混合を防ぐこともできる。
【0067】
あるいは、基層、画像形成性層または両方の層を、層の成分の溶融混合物から従来の押出コーティング法により塗布してもよい。典型的には、そのような溶融混合物は揮発性有機溶媒を全く含まない。
【0068】
画像形成性要素により吸収される波長領域の変調近赤外または赤外線を発するレーザーまたはレーザーのアレイにより、要素に熱画像形成することができる。赤外線、特に約800nm〜約1200nmの範囲の赤外線が画像形成に通常使用される。画像化は、約830nm、約1056nmまたは約1064nmで発光するレーザーにより都合よく実施される。市販の好適な画像形成装置には、Creo(登録商標)Trendsetter(カナダ国、ブリティッシュコロンビア州、バーナビー、Creo)、Screen PlateRite 4300型、8600型および8800型(アメリカ合衆国、イリノイ州、シカゴ、ローリングメドウズ、Screen)およびGerber Crescent 42T(Gerber)などのイメージセッターがある。
【0069】
あるいは、サーマル印刷ヘッドを含む従来の装置などの発熱体を用いて、画像形成性要素に熱画像形成してもよい。好適な装置は少なくとも1つのサーマルヘッドを含むが、感熱式ファックス機および昇華型プリンター、GS618−400サーマルプロッター(アメリカ合衆国、テキサス州、ヒューストン、Oyo Instruments)またはVP−3500型サーマルプリンター(アメリカ合衆国、ニュージャージー州、Marwah、Seikosha America)に使用されるTDK LV5416型などのサーマルヘッドアレイを通常含むであろう。
【0070】
画像化により画像化された要素が生じるが、これは画像形成された領域と相補的な非画像形成領域の潜像を含んでなる。画像化された要素を現像して印刷版または印刷フォーム(printing form)を形成すると、画像形成された領域を除去し下にある支持体の親水性表面を露出することにより、潜像が画像に変換される。
【0071】
好適な現像液は、画像形成性要素に存在する成分の溶解度特性に依存する。現像液は、相補的な非画像形成領域に実質的に影響を与えずに、画像形成性要素の画像形成された領域に浸透し除去できるどのような液体または溶液でもよい。どのような理論または説明にも拘束されないが、画像識別は速度論的効果に基づくと考えられている。画像形成性層の画像形成された領域は、非画像形成領域よりも速く現像液中に除去される。現像が実施されるのは、画像形成性層の画像形成された領域および要素の他の層または複数の層の下にある領域を除去するには十分長い時間であるが、画像形成性層の非画像形成領域を除去するには十分長くない時間である。したがって、画像形成性層は、画像化の前は、現像液により「除去されない」または現像液に「不溶性である」と称され、画像化領域は現像液に「可溶性である」または現像液により「除去可能である」と称されるが、その理由は、画像形成された領域が非画像形成領域より速く現像液中に除去、すなわち溶解および/または分散するからである。典型的には、基層は現像液に溶解し、画像形成性層は現像液に溶解および/または分散する。
【0072】
高pH現像液を使用できる。高pH現像液は、典型的には、少なくとも約11の、より典型的には少なくとも約12の、さらにより典型的には約12〜約14のpHを有する。高pH現像液は、典型的には、少なくとも1種のアルカリ金属シリケート、例えばリチウムシリケート、ナトリウムシリケートおよび/またはカリウムシリケートを含んでなり、典型的には有機溶媒を実質的に含まない。アルカリ度は、ヒドロキシドまたはアルカリ金属シリケートまたは混合物を用いることにより与えることができる。好ましいヒドロキシドは、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび、特に水酸化カリウムである。アルカリ金属シリケートは、少なくとも0.3のSiO2対M2O重量比(Mはアルカリ金属である)を有し、好ましくはこの比は約0.3〜1.2であり、より好ましくは0.6〜1.1、最も好ましくは0.7〜1.0である。現像液中のアルカリ金属シリケートの量は、組成物100gあたり少なくとも20gの、好ましくは20〜80gのSiO2であり、最も好ましくは40〜65gである。高pH現像液は、浸漬プロセッサ(immersion processor)中で使用できる。典型的な高pH現像液には、PC9000、PC3000、Goldstar(商標)、Greenstar(商標)、ThermalPro(商標)、PROTHERM(登録商標)、MX1813およびMX1710、水性アルカリ現像液があり、全てKodak Polychrome Graphics LLCから市販されている。他の有用な現像液は、200部のGoldstar(商標)現像液、4部のポリエチレングリコール(PEG)1449、1部のナトリウムメタシリケートペンタハイドレートおよび0.5部のTRITON(登録商標)H−22界面活性剤(リン酸エステル界面活性剤)を含む。
【0073】
現像の後、得られる印刷版を水ですすぎ、乾燥する。乾燥は、赤外線ラジエータまたは熱風により簡便に実施できる。乾燥の後、印刷版を、1種または2種以上の水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸、ポリメタクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルメチルエーテル、ゼラチンならびにデキストリン、プルラン、セルロース、アラビアゴムおよびアルギン酸などの多糖類を含んでなるゴム化溶液(gumming solution)で処理してよい。好ましい物質はアラビアゴムである。
【0074】
現像済みでゴム化された版をベークして、版の印刷連続運転時間を長くする。ベーキングは、例えば、約220℃〜約260℃で約5分間から約15分間または約110℃〜約130℃の温度で約25から約35分間実施できる。
【0075】
本発明の利点は、以下の実施例を参照して認めることができるが、実施例は本発明を説明するが限定はしない。
【実施例】
【0076】
他に断りのない限り、示される百分率は塗布溶液中の全固形分に対する重量百分率である。
【0077】
【表1】

【0078】
【表2】

【0079】
実施例1
この実施例は、RAR−62のt−BOC誘導体(t−BOC RAR−62)の調製を説明する。RAR−62(29.95g)、ジオキソラン(135.8g)およびDMF(40g)をフラスコ中で溶解させた。次に、ジ−t−ブチルジカーボネート(10.00g)、炭酸カリウム(6.50g)および18−クラウン−6(2.0g)を30分かけて加えた。混合物を2時間室温で攪拌した。生成物(37.5g、収率98.2%)を水に沈殿させて単離し、50℃で2日間乾燥した。
IR:3376cm-1(s)NH、1810と1758cm-1(s)t−BOCのC=O、1670cm-1(s)N−CO−N、1119と1069cm-1(s)C=O伸縮、845cm-1(s)−O−C(O)−O−、576cm-1(m)CN。1H NMR(DMSO−d6中):δ1.40(9H、m)。δ8.20にはピークが見られなかった。比較すると、RAR−62には、δ8.20(1H、s)にピークが見られる。
【0080】
実施例2
この実施例は、EUV−5のt−BOC誘導体(t−BOC EUV−5)の合成を説明する。EUV−5(29.95g)、ジオキソラン(135.8g)およびDMF(40g)をフラスコ中で溶解させた。次に、ジ−t−ブチルジカーボネート(10.00g)、炭酸カリウム(6.50g)および18−クラウン−6(2.0g)を30分かけて加えた。混合物を2時間室温で攪拌した。生成物(37.4g、収率97.9%)を水に沈殿させて単離し、50℃で2日間乾燥した。IR:3373cm-1(s)NH、1812と1760cm-1(s)t−BOCのC=O、1670cm-1(s)N−CO−N、1119と1070cm-1(s)C=O伸縮、845cm-1(s)−O−C(O)−O−、576cm-1(m)CN。1H NMR(DMSO−d6中):δ1.40(9H、m)。δ8.20にはピークが見られなかった。比較すると、EUV−5には、δ8.20(1H、s)にピークが見られる。
【0081】
実施例3および4ならびに比較例1および3
この実施例は単層画像形成性要素を説明する。塗布溶液は、表1に示す物質を2−ブタノン/1−メトキシ−プロパン−2−オール/ブチロラクトン/水(65/15/10/10)に溶解させて調製した。各塗布溶液を、線巻バー(wire wound bar)により支持体A上に塗布した。支持体上の画像形成性層からなる得られた画像形成性要素を、Mathis Labdryer LTEオーブン(スイス国、Werner Mathis)中で、100℃で90秒乾燥した。各画像形成性層の乾燥重量は1.5g/m2であった。
【0082】
【表3】

【0083】
画像形成性要素をあい紙で覆い、クラフト紙に包み、55℃のファン付きオーブン中に3日間おいた。得られた熱処理済み画像形成性要素を、画像化エネルギー密度100、150および200mJ/cm2でCREO(登録商標)Trendsetter 3244(カナダ国、ブリティッシュコロンビア州、バーナビー、CREO Inc.)を利用して内部テストパターン(プロット0)により画像形成した。画像形成された画像形成性要素は、Goldstar(商標)現像液を含むMercury Mark Vプロセッサ(浸漬プロセッサ、アメリカ合衆国、コネチカット州、ノーウォーク、Kodak Polychrome Graphics)中で、23.5℃で処理速度500および1500mm/分で現像した。画像形成性要素を、クリーンアウト(clean out)(画像形成された領域が現像液中に完全に溶解する第1の画像化暴露)および最高分解能(画像形成性要素が最良の画像を与える画像形成エネルギー)について評価した。
【0084】
追加の画像形成性要素を、200mJ/cm2で、50%チェッカーボードパターンにより画像化し、上記のとおりMercuryプロセッサ中で750mm/分の処理速度で処理した。50%画像領域および非暴露領域(100%ベタ画像)の一部分を、Astro Mark III湿し水/2−プロパノール/水(6/10/84)に8時間および24時間浸した。画像をコットンパッドで優しくこすって遊離したくずを除き、水ですすぎ、乾燥した後、それらをD196デンシトメーターで読んだ(スイス国、レーゲンスドルフ、Gretag MabcBeth)。結果を表2に示す。
【0085】
【表4】

【0086】
【表5】

【0087】
【表6】

【0088】
実施例5および6ならびに比較例3および4
この実施例は多層画像形成性要素を説明する。
基層:塗布溶液は、表3に示す物質を、2−ブタノン/1−メトキシ−プロパン−2−オール/ブチロラクトン/水(65/15/10/10)に溶解させて調製した。各塗布溶液を、線巻バーにより支持体A上に塗布した。支持体上の基層からなる得られた要素を135℃で35秒乾燥した。基層の乾燥重量は1.3g/m2であった。
【0089】
【表7】

【0090】
画像形成性層:ジエチルケトン/1−メトキシプロピルアセテート(92:8、w:w)中に、99.35重量部の実施例7で形成した官能化ノボラック樹脂、0.3重量部のエチルバイオレットおよび0.35重量部のBYK−307を含む塗布溶液を、線巻バーを利用して各基層上に塗布した。得られた画像形成性要素のそれぞれを135℃で35秒乾燥した。画像形成性層の乾燥塗布量は、0.9g/m2であった。
【0091】
得られた画像形成性要素を以下の試験で評価した。
【0092】
クリーンアウトおよび最高分解能:画像形成性要素を、CREO(登録商標)3230Trendsetterで、83、86、93、99、107、116、127および140mJ/cm2および9ワットのレーザーパワーで、内部テストパターン(プロット0)により830nmの放射で画像化した。次いで、画像化された画像形成性要素を、Goldstar(商標)現像液により、Mercury Mark Vプロセッサ(処理速度750mm/分、現像液温度23.5℃)中で機械処理した。画像形成性要素を、クリーンアウト(画像化領域が現像液中に完全に溶解する第1の画像化暴露)および最高分解能(画像形成性要素が最良の画像を与える画像化エネルギー)について評価した。
【0093】
基層のみへの現像液滴下テスト:Goldstar(商標)現像液の大きい液滴を、22℃の各要素の基層上に置き、層を溶解するのに要する時間を記した。
【0094】
完全な画像形成性要素上への現像液滴下テスト:Goldstar(商標)現像液の大きい液滴を、22℃の各画像形成性要素上に置き、層を溶解するのに要する時間を記した。
【0095】
完全な画像形成性要素上への溶媒耐性滴下テスト:ジアセトンアルコール/水(80:20、v:v)または1−ブトキシエタノール/水(80:20、v:v)の大きい液滴を、22℃の各画像形成性要素の画像形成性層上に置いた。層を溶解するのに要する時間を記し、1分後に除去された物質の量を評価した。
【0096】
ベーキングテストに続くデリーションゲル(deletion gel):画像形成性要素を、Mathis LTE Labdryerオーブン(スイス国、Werner Mathis、ファン速度1000rpm)中で210℃および230℃で8分間ベーキングした。次いで、フッ化水素酸を含むKodak Polychrome Graphicsのポジティブデリーションゲルを、ベーキングした画像形成性層に12分間塗布し、この時間の後残存する画像形成性層の量を評価した(1=画像形成性層が除去されない、5=50%の画像形成性層が除去された)。
【0097】
結果を表4に示す。
【0098】
【表8】

【0099】
【表9】

【0100】
実施例7
この実施例は、p−トルエンスルホニルクロライドにより官能化されているノボラック樹脂の調製を説明する。N−13(24g、199.75ミリモル)を攪拌しながらアセトン(66g)に加え、得られた混合物を氷/水浴中で10℃に冷却した。p−トルエンスルホニルクロライド(20.02ミリモル)を10℃で1分かけて加えた。トリエチルアミン(19.63ミリモル)を10℃で2分かけて加えた。反応混合物を、15℃未満で10分間攪拌した。酢酸(8.33ミリモル)を10℃で10秒かけて加え、反応混合物を15分間攪拌した。水/氷(160g)および酢酸(1.2g、20.02ミリモル)を15℃で数分かけて加え、反応混合物を15℃未満で5分間攪拌した。
【0101】
反応フラスコの底に形成したべとつく固体から、上澄みをデカンテーションした。アセトン(354g)を加え、透明な溶液を得られるまで反応混合物を攪拌した。水/氷(160g)および酢酸(1.2g、20.02ミリモル)を数分かけて加え、反応混合物を15℃未満で5分間攪拌した。上澄みを、べたつく固体からデカンテーションした。追加のアセトン(354g)を加え、透明な溶液を得られるまで反応混合物を攪拌した。氷(460g)、水(460g)および酢酸(0.5g)の混合物にアセトン溶液の25%を加えた。得られた混合物を20分間攪拌し、沈殿を沈ませ、上澄みをデカンテーションした。このプロセスを、アセトン溶液の残りで繰り返した。湿り気のあるポリマー画分を合わせ、水(460g)で2回洗浄し、乾燥した。収率は88%であった。
【0102】
実施例8
この実施例は、41.5モル%のN−フェニルマレイミド、21モル%のメタクリル酸および37.5%のメタクリルアミドを含むコポリマーである、コポリマー1の調製を説明する。N−フェニルマレイミド(23.59g)、メタクリル酸(5.93g)、メタクリルアミド(10.48g)およびジオキソラン/エタノール(50:50(v:v);126.01g)を、還流冷却器、窒素の供給、温度計、攪拌器および加熱マントルを備えた1Lの反応釜に入れた。反応混合物に1時間、窒素をバブリングした。窒素下で反応を60℃に加熱し、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(10gのジオキソラン/エタノール中0.054g)を加えた。
【0103】
反応混合物を、窒素下で、60℃で約20時間攪拌した。反応混合物を、ゆっくりと水(約1L)に加え、生じた沈殿を濾過した。沈殿を、約5滴の濃塩酸を含む約1Lの80:20エタノール/水で洗浄し、再び濾過し、約1Lの80:20エタノール/水で洗浄し、再び濾過し、50℃で2日間乾燥した。収率は80%であった。
【0104】
実施例9
この実施例は本発明のコポリマーの調製を説明する。
モノマー調製
【0105】
【化3】

【0106】
50.23gのm−TMIを、加熱マントル、温度制御器、機械的攪拌器、冷却器および窒素の入口を備えた500mlの4つ口フラスコに入れた。反応混合物を、窒素雰囲気下で30℃に加熱した。次いで、234.2gのジメチルアセトアミドと27.82gのp−アミノフェノールの混合物を30℃で加えた。2時間後、温度をゆっくりと40℃に上げた。反応の進行は、2275cm-1のNCO吸収の消失によりモニターした。
CBS011の調製
【0107】
【化4】

【0108】
N−フェニルマレイミド(2.00g);アクリロニトリル(18.00g)、メタクリルアミド(4.00g)、前工程で調製したモノマー(16.00g)およびジオキソラン/エタノール(50:50(v:v);126.01g)の混合物を、リービッヒ冷却器、窒素の供給、温度計、攪拌器および加熱マントルを備えた1Lの反応釜中で、1時間窒素下で加熱した。ジオキソラン/エタノール(10g)中のAIBN(0.054g)を反応混合物に加え、60℃での窒素下での攪拌を、約20時間継続した。得られた反応混合物を、攪拌しながら、5滴の塩酸を含む水(1000ml)に加えた。生じた沈殿を濾過し、洗浄し(1000mlエタノール/水(80:20))、再び濾過した。50℃で2日間乾燥すると、CBS011がつくられた。
【0109】
t−BOCポリマーの調製
ジオキソラン(135.8g)とDMF(40g)の混合物中で、CBS011(29.95g)を溶解した。ジ−t−ブチルジカーボネート(10.00g)、炭酸カリウム(6.50g)および18−クラウン−6(2.0g)を0.5時間かけて加え、得られた混合物を室温で2時間攪拌した。生成物(37.0g、収率97.1%)(t−BOC CBS011)を水への沈殿により単離し、50℃で2日間乾燥した。1H NMR(DMSO−d6中):δ1.50(9H、m)。CBS011のδ8.10(1H、s)に比較し、δ8.10にピークがない。
【0110】
実施例10
塗布溶液が、表5に示す成分を含んでいた点を除き、実施例3および4の手順を繰り返した。画像形成性層の乾燥重量は1.5g/m2であった。
【0111】
【表10】

【0112】
得られた画像形成性要素は、実施例3と同様に55℃で3日間貯蔵した。得られた熱処理済み画像形成性要素を、画像形成エネルギー密度100、200および300mJ/cm2でCREO(登録商標)Trendsetter 3244(カナダ国、ブリティッシュコロンビア州、バーナビー、CREO Inc.)を利用して内部テストパターン(プロット0)により画像化し、現像し、実施例3と同様にクリーンアウトおよび最高分解能に関して評価した。
【0113】
追加の画像形成性要素を、200mJ/m2で50%チェッカーボードパターンにより画像化し、処理速度750mm/分で上述のとおり処理した。Astro/2−プロパノール/水中に浸した後のドットサイズを実施例3のとおり測定した。結果を表6に示す。
【0114】
【表11】

【0115】
【表12】

【0116】
実施例11
この実施例は、RAR−62のp−トルエンスルホネート誘導体(トシルRAR−62)の調製を説明する。RAR−62(29.95g)を、ジオキソラン(135.8g)およびDMF(40g)に溶解した。得られた混合物を、氷浴中で10℃未満に冷却し、10℃未満に保ったまま、p−トルエンスルホニルクロライド(8.66g)を10分かけて加え、次いでトリエチルアミン(4.95g)を15分かけて加えた。混合物を、15℃未満の温度で15分間攪拌した。酢酸(2.77g)を10秒かけて加え、混合物をさらに15分間攪拌した。
【0117】
酸性化した(酢酸、2.77g)氷/水混合物(300g)を、数分かけて混合物に加え、反応混合物を5分間攪拌した。べたつくねばねばした塊が形成される。内容物が沈んだ後、上澄みをデカンテーションした。べたつく塊を、ジオキソラン/水(80:20)に溶解させ、第2の酸性化氷/水混合物に注いだ。生じた白色沈殿(トシルRAR−62)を濾別して乾燥した。収量は34.95g(73.7%)であった。IR:3379cm-1(s)NH、1670cm-1(s)N−CO−N、1367cm-1(s)−SO2−O−、1308cm-1(s)−SO2−、1197および1173cm-1(s)−SO2−O−、1093cm-1(vs)−SO2−、563cm-1(s)−SO2−。1H NMR(DMSO−d6中):δ6.80(4H、s)。δ8.20にピークは見られなかった。比較すると、RAR−62はδ8.20(1H、s)にピークがある。
【0118】
実施例12
この実施例は、EUV−5のp−トルエンスルホネート誘導体(トシルEUV−5)の合成を説明する。RAR−62の代わりにEUV−5(29.95g)を用い、以下の量の他の物質を使用した点を除き、実施例11の手順を繰り返した:p−トルエンスルホニルクロライド(6.71g)、トリエチルアミン(3.56g)および酢酸(2.15g)。収量は33.50gで70.7%であった。IR:3376cm-1(s)NH、1672cm-1(s)N−CO−N、1369cm-1(s)−SO2−O−、1309cm-1(s)−SO2−、1197および1173cm-1(s)−SO2−O−、1093cm-1(vs)−SO2−、564cm-1(s)−SO2−。1H NMR(DMSO−d6中):δ6.80(4H、s)。δ8.20にピークは見られなかった。比較すると、EUV−5はδ8.20(1H、s)にピークがある。
【0119】
実施例13および14ならびに比較例5および6
基層:塗布溶液は、表7に示す物質を、2−ブタノン/1−メトキシ−プロパン−2−オール/ブチロラクトン/水(65/15/10/10)に溶解させて調製した。各塗布溶液を、線巻バーにより支持体A上に塗布した。支持体上の基層からなる得られた要素を135℃で35秒乾燥した。基層の乾燥塗布量は1.3g/m2であった。
【0120】
【表13】

【0121】
画像形成性層:官能化ノボラック樹脂TN−13を使用した点を除き、実施例5と同様に画像形成性層を形成した。画像形成性層の乾燥塗布量は0.9g/m2であった。得られた画像形成性要素は、実施例5と同様に評価した。結果を表8に示す。
【0122】
【表14】

【0123】
【表15】

【0124】
実施例15および16ならびに比較例7および8
この実施例は、単層画像形成性要素を説明する。表9に示した物質を用いて実施例3と同様に画像形成性要素を調製した。各画像形成性層の乾燥重量は1.5g/m2であった。
【0125】
【表16】

【0126】
画像形成性要素を実施例3と同様に評価した。結果を表10に示す。
【0127】
【表17】

【0128】
【表18】

【0129】
【表19】

【0130】
本発明を説明したので、ここで以下のものおよびその等価物を特許請求する。
【産業上の利用可能性】
【0131】
平版印刷版前駆体がいったん画像形成され現像され平版印刷版を形成すると、湿し水を、次いで平版印刷インクをその表面上の画像に塗布すれば印刷が実行できる。湿し水は、非画像形成領域、すなわち画像形成および現像工程により露出した親水性支持体の表面に受け取られ、インクは画像形成された領域、すなわち現像工程により除去されなかった領域に受け取られる。ついで、インクは好適な受理材料(布、紙、金属、ガラスまたはプラスティックなど)に直接またはオフセット印刷ブランケットにより間接的に転写され、画像の所望の印刷をその上に提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合した形態で、以下を含んでなるコポリマーであって:
(a)約1重量%〜約30重量%のN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミドまたはそれらの混合物;
(b)約1重量%〜約30重量%のアクリルアミド、メタクリルアミドまたはそれらの混合物;
(c)約20重量%〜約75重量%のアクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはそれらの混合物;および
(d)合計で約20重量%〜約75重量%の以下の構造のモノマーからなる群から選択される1種または2種以上のモノマー:
CH2=C(R)−Z−X−NHC(O)NH−Y−R’
上式において、
Xは、−[C(CH32]−または−[(CH2n]−であり、nが0〜12であり;
Yはo−、m−またはp−の−[C64]−であり;
Zは、−[C(O)O]−、−[C(O)NH]−またはo−、m−またはp−の−[C64]−であり;
Rは、水素またはC1〜C4アルキルであり;
R’は、−OC(O)−OR”、−OC(O)−Arまたは−OSO2−Arであり;
R”は、C1〜C12アルキル、C1〜C12アリールアルキル、C1〜C12アリール、C1〜C12アルケニルまたはトリメチルシリルであり;
Arは、C65-n’n’であり、Arは、合計で6〜10の炭素原子を有し;
各Tは、独立に、C1〜C4アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、トリフルオロメチル、メトキシおよびシアノからなる群から選択され;
n’は0〜5の整数であり;
少なくとも約11より高いpHを有するアルカリ性溶液に可溶であるコポリマー。
【請求項2】
前記コポリマーが、重合した形態で、約3重量%〜約20重量%のN−フェニルマレイミド;約5重量%〜約2重量%のメタクリルアミド;約35重量%〜約60重量%のアクリロニトリル;および合計で約30重量%〜約60重量%の1種または2種以上の(d)群のモノマーを含んでなり、そして当該コポリマーが少なくとも約12より高いpHを有するアルカリ溶液に可溶性である、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
Rが水素またはメチルであり;Xが−[C(CH32]−または−[(CH22]−であり;Yがp−[C64]−である、請求項1または2に記載のコポリマー。
【請求項4】
Zが−[C(O)O]−またはm−[C64]−である、請求項1から3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項5】
R’が、−OC(O)−OR”である、請求項1から4のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項6】
R’が、−OC(O)−Arまたは−OSO2−Arである、請求項1から4のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項7】
基材上に画像形成性層を含んでなる画像形成性要素であって、前記画像形成性要素が、光熱変換物質および請求項1から6のいずれかに記載のコポリマーを含んでなる画像形成性要素。
【請求項8】
前記画像形成性要素が単層の画像形成性要素であり、前記画像形成性層が、前記コポリマーと、前記光熱変換物質と、(1)ノボラック樹脂および溶解阻害剤、(2)極性基を含んでなるノボラック樹脂;または(3)それらの混合物のいずれかを含んでなる、請求項7に記載の画像形成性要素。
【請求項9】
前記要素が、順に、画像形成性層、基層および支持体を含んでなる多層要素であって、
前記画像形成性層が、(1)ノボラック樹脂および溶解阻害剤、(2)極性基を含んでなるノボラック;または(3)それらの混合物を含んでなり、
前記基層が、前記コポリマー、前記光熱変換物質およびバインダーを含んでなる、請求項7に記載の画像形成性要素。
【請求項10】
以下の工程を含む、画像を形成する方法:
請求項7から9のいずれかに記載の画像形成性要素に熱画像形成し、画像形成性層中に画像形成領域および非画像形成領域を含む画像形成された画像形成性要素を形成する工程;
画像形成された画像形成性要素を現像液で現像する工程;
画像形成された領域を除去し、画像を含む印刷版を形成する工程;および
前記印刷版をベーキングする工程。

【公表番号】特表2007−533794(P2007−533794A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507352(P2007−507352)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/010139
【国際公開番号】WO2005/100419
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】