ポリアクリル酸ヒドラジド及び樹脂用架橋又は硬化剤
【課題】 従来技術に記載のない特定の狭い範囲の平均分子量を有するポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤、及び特定の平均分子量を有する新規なポリアクリル酸ヒドラジドを提供する。
【解決手段】 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド、及びこれを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
【解決手段】 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド、及びこれを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアクリル酸ヒドラジド、樹脂用架橋又は硬化剤、その樹脂組成物及びその架橋又は硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する関心が高まり、建築、塗料分野においても、接着剤や塗料からの大気中への揮発性有機化合物の拡散を防止し、環境負荷低減への努力がなされている。そのような状況下にあって、塗料分野においては、有機溶媒を含有しない水系塗料が注目されている。しかしながら、一般に水系塗料は、乾燥時間が長く、得られた塗膜の耐水性に難点があったため、その適用範囲は必然的に制限されていた。
水系塗料の耐水性を向上させる方法としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂と数平均重合度が30以上のポリアクリル酸ヒドラジドとからなる耐水性樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
ポリアクリル酸ヒドラジドは例えばポリアクリル酸アミド、又はポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステルとヒドラジンとを反応させることによって製造することができるポリマーで、例えば原料として式(1)のモノマー単位を有するポリアクリル酸アミドを用いたときは、式(2)で表されるポリマーである。ここでm+n=100モル%で、mの値をヒドラジド化率(モル%)と定義する。
【0004】
【化1】
【0005】
【化2】
【0006】
なお、本発明でいうポリアクリル酸ヒドラジドは、アミド部又はエステル部が全部又は一部加水分解されたカルボン酸であるもの、また安定性を向上させるために該カルボン酸をアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩としたものも包含する。
このポリアクリル酸ヒドラジドは特許文献1のようにN−アミノポリアクリルアミドと称呼されたり、またアクリル酸ヒドラジド系共重合体とも呼ばれたりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1ではこのポリアクリル酸ヒドラジドがポリビニルアルコール系樹脂の架橋剤として使用されている。しかし特許文献1ではポリアクリル酸ヒドラジドの数平均重合度は30〜300,000であり、好ましくは50〜100,000と記載されている。これは前記ヒドラジド化率が100モル%として計算すると、モノマーユニットの平均分子量=86であるので、ポリマーの平均分子量(モノマーユニットの平均分子量×重合度)は2,580〜2,580万、好ましくは4,300〜860万という膨大な広さの範囲になる。
【0008】
また特許文献1の実施例で用いられているポリアクリル酸ヒドラジドは重合度100、ヒドラジド化率10.0モル%のもので、これは平均分子量にすると7,250のものとなる。またこれ以外には重合度40,000のポリアクリル酸ヒドラジドが用いられているが、このもののヒドラジド化率は記載されていない。しかしヒドラジド化率=10%とすると平均分子量は290万となり、ヒドラジド化率=100%とすると平均分子量は344万となる。
【0009】
以上のように特許文献1に記載されたポリアクリル酸ヒドラジドの平均分子量は2,580〜2,580万という極めて広範なものであり、また実施例でのポリアクリル酸ヒドラジドの平均分子量は7,250及び290万前後の両極端の2種類のみである。
本発明では上記特許文献1に記載されたポリアクリル酸ヒドラジドのうち、その平均分子量が2万〜3.2万という特定の範囲のポリアクリル酸ヒドラジドが、極めて優れた耐水性を有する樹脂塗膜用の架橋又は硬化剤として有用であることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
また本願の出願人は、これまでに多数のポリアクリル酸ヒドラジドに関連する特許出願を行っている(例えば特許文献2〜13参照)。
しかし特許文献2〜6には平均分子量1万〜1.3万のポリアクリル酸ヒドラジドが、特許文献7には平均分子量4.5万と20万、特許文献8〜11には平均分子量4.5万、30万〜31万及び50万、特許文献12〜13には平均分子量4万及び20万〜500万のポリアクリル酸ヒドラジドが記載されている。また特許文献14に、分子量1000〜50万のポリアクリル酸ヒドラジドが記載され、特許文献15に、分子量3〜4万のポリアクリルアミドとヒドラジンヒドラートの反応体が記載されているが、平均分子量が2万〜3.2万のポリアクリル酸ヒドラジドは記載されていない。
【0011】
本発明の課題は従来技術に記載のない特定の狭い範囲の平均分子量を有するポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤を提供することにある。
本発明の課題は上記従来技術に記載されていない特定の平均分子量を有する新規なポリアクリル酸ヒドラジドを提供することにある。
【特許文献1】特許第3357887号(請求項、実施例1〜2)
【特許文献2】特公昭60−23705号(参考例1〜4)
【特許文献3】特公昭60−45205号(請求項)
【特許文献4】特開昭54−20090号(参考例1〜5)
【特許文献5】特開昭54−21493号(参考例1〜4)
【特許文献6】特公昭60−28309号(参考例1〜3)
【特許文献7】特公昭63−34882号(参考例1〜3)
【特許文献8】特開昭55−3440号(参考例1〜4)
【特許文献9】特公昭62−21001号(参考例1〜3)
【特許文献10】特公昭62−4047号(請求項、実施例1〜3)
【特許文献11】特公昭61−39980号(参考例1〜3)
【特許文献12】特公平2−43765号(参考例1〜4)
【特許文献13】特公平3−58800号(第3頁左欄第26行)
【特許文献14】特開昭62−62851号(第3頁右上欄第6〜7行)
【特許文献15】特開昭58−96643号(製造例1)
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の発明に係る。
1. 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
2. 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
3. 平均分子量が20000〜30000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
4. 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
5. 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
6. 平均分子量が20000〜30000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
7. 分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、上記4〜6のいずれかに記載の架橋又は硬化剤とからなる樹脂組成物。
8. 分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる樹脂の少なくとも1種の樹脂が、上記4〜6のいずれかに記載の架橋又は硬化剤で架橋又は硬化してなる架橋又は硬化物。
【0013】
本発明者等は、特定の平均分子量と特定のヒドラジド化率を有するポリアクリル酸ヒドラジドを樹脂用の架橋又は硬化剤として用いることによって、例えば乾燥時間が短く、樹脂塗膜に格段に優れた耐水性を付与できることを見出した。更に、耐酸性及び耐アルカリ性に優れ、優れた樹脂塗膜を提供できることを見出した。
【発明の効果】
【0014】
本発明の架橋又は硬化剤は、樹脂の架橋又は硬化において、乾燥時間が短く、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性に優れた樹脂塗膜を付与することができる。特に、水系の樹脂に適用した場合に乾燥時間が短く、耐水性等の優れた効果が顕著に認められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の樹脂用架橋又は硬化剤は、平均分子量が20,000〜32,000で、ヒドラジド化率が65%(モル%、以下同様)以上であるポリアクリル酸ヒドラジドからなる。ヒドラジド化率は65%〜98%が好ましい。
本発明において平均分子量とは数平均分子量で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析で測定した。測定機器はLC10Aシステム(島津製作所製)、
カラム:TSK−GEL α−2500、TSK−GEL α−4000、TSK−GEL α−6000(東ソー株式会社製)、
スタンダード:ポリオキシエチレンオキシド(TSKstandardPEOキット、東ソー株式会社製)である。
【0016】
該ポリアクリル酸ヒドラジドは、公知の方法により製造することができ、例えばポリアクリル酸アミド、又はポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステルとヒドラジンとを反応させることによって製造することができる。反応は、例えばポリアクリル酸アミド1モルを水、又はメタノール水溶液でポリマー濃度20〜40重量%とし、ポリアクリル酸アミドに対してヒドラジンを1〜3モル添加して、通常50〜100℃で3〜20時間程度反応させることにより行うことができる。
【0017】
平均分子量が10000未満の場合、十分な耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を付与することができない。平均分子量が150000を越えると、耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性において十分満足のいく効果が得られないばかりか、ポリアクリル酸ヒドラジドの水溶解度が極めて低くなり、必然的に溶媒としての水を大量に使用しなくてはならないため乾燥に長時間を要する。
また、ヒドラジド化率が30%を下回る場合には、先に規定する平均分子量を満たしていても、十分な耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性は得られない。
更に十分な耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を付与するためには、ポリアクリル酸ヒドラジド1分子中に存在するヒドラジド基が85以上存在することが必要である。
例えば、平均分子量10000のポリアクリル酸ヒドラジド中、ヒドラジド基が85存在する場合、そのヒドラジド化率は約70%に相当する。
【0018】
本発明で使用する好ましいポリアクリル酸ヒドラジドは、平均分子量が20,000〜32,000で、ヒドラジド化率が65〜98%のものである。
本発明で使用する更に好ましいポリアクリル酸ヒドラジドは、平均分子量が20,000〜32,000で、ヒドラジド化率が70〜98%のものである。
本発明で使用する特に好ましいポリアクリル酸ヒドラジドは、平均分子量が20,000〜30,000で、ヒドラジド化率が70〜98%のものである。
また、本発明のポリアクリル酸ヒドラジドは文献未記載の新規物質であり、これらポリアクリル酸ヒドラジドは、優れた耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を付与することができる水系樹脂用架橋又は硬化剤として有用である。
【0019】
本発明で使用するポリアクリル酸ヒドラジドは、水溶解性にも優れ、高濃度水溶液として使用することができる。
本発明で使用する樹脂としては、特に制限されないが、ポリアクリル酸ヒドラジドのヒドラジド基と反応することのできるアルデヒド性又はケトン性のカルボニル基、エポキシ基、又はイソシアネート基等の反応部位を有するポリマーであれば特に制限されないが、例えば分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びエポキシ系樹脂等の樹脂が挙げられる。
ポリアクリル酸ヒドラジドの使用量としては、樹脂中に含まれる反応部位、例えばアルデヒド又はケトン性のカルボニル基、エポキシ基、イソシアネート基等の1当量に対して、ポリアクリル酸ヒドラジドのヒドラジド基が0.05〜2当量、好ましくは0.1〜1当量となる量とすればよい。
【0020】
分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂としては、分子内に1つ以上のアルデヒド性及び/又はケトン性のカルボニル基を有し、ラジカル重合性不飽和結合を有するアクリル系モノマーと、該アクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性不飽和モノマーとを共重合させたものが挙げられる。
【0021】
具体的には、アクリル系モノマーとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート等が挙げられ、アクリル系モノマーと共重合させるモノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリルアミド、N−アルキロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリルアミド、N−アルキロールメタクリルアミド、メタクリロニトリル、イタコン酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸、ハロゲン化ビニル等が挙げられる。
【0022】
ウレタン系樹脂としては、ポリイソシアネート、ポリオール及びヒドロキシアクリレート又はヒドロキシメタクリレートの反応によって得られる化合物が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、芳香族イソシアネートを水素添加して得られるジイソシアネート(例えば水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネート等のジ−及びトリ−イソシアネート、当該ジ−及びトリ−イソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。
【0023】
ポリオールとしては、例えば脂肪酸、脂環式及び芳香族のポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
脂肪族及び脂環式ポリオール並びにポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブチリオン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えばカプロラクトン変性ジオール等が挙げられる。芳香族のポリオールとしては、例えばエトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールS等が挙げられる。
【0024】
またヒドロキシアクリレート又はヒドロキシメタクリレートとしては、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸グリセロール、ジアクリル酸グリセロール、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸グリセロール、ジメタクリル酸グリセロール、トリメタクリル酸ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0025】
エポキシ系樹脂としては、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等を例示できる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水素添加ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、DPPノボラック型、3官能型、トリス・ヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等を例示できる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、ヘキサヒドロフタル酸エステル型、フタル酸エステル型等を例示できる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントイン型、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン型、アミノフェノール型、アニリン型、トルイジン型等を挙げることができる。
【0026】
本発明の架橋又は硬化剤は、これらの樹脂の中でも水系の樹脂に適用した場合に耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性等の優れた効果が顕著に認められる。
これら樹脂と本発明のポリアクリル酸ヒドラジドの樹脂用架橋又は硬化剤とを混合して樹脂組成物が得られる。該組成物は固体、水溶液、水系エマルジョンのいずれの形態であってもよいが、使用時においては水溶液又は水系エマルジョンの形態である。
【0027】
水溶液とする場合には、樹脂と本発明のポリアクリル酸ヒドラジドとを水に投入してもよく、予め調製した夫々の水溶液を併せてもよく、また、樹脂の水溶液に本発明のポリアクリル酸ヒドラジドを投入して溶解させてもよい。
水系エマルジョンとする場合には界面活性剤等の乳化剤を用いて、樹脂のエマルジョンを調製し、それに本発明のポリアクリル酸ヒドラジド又はその水溶液を加えることで調製できる。
【0028】
本発明の組成物においては、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。かかる添加剤としては、例えば、顔料、粘度調整剤、レべリング剤、消泡剤、カップリング剤、可塑剤、希釈剤、難燃剤等が挙げられる。また、必要に応じて従来から使用されている充填材や補強剤等を添加してもよい。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、例えば、金属、木材、合成樹脂、セメント、セラミックス、無機又は有機繊維による編物若しくは織物(ガラスクロス等)、紙等の被覆、粘着・接着、補修及びこれらを基材とした成形体の製造等に適用でき、特に土木建築用の塗料、接着剤、両面テープ等の粘着剤、自動車の車体及び部品の塗料に適している。これら被処理物に、噴霧、塗布、浸漬した後、乾燥させることによって、架橋又は硬化物を得ることができる。
乾燥は、0℃以上、好ましくは5〜90℃程度で行なえばよく、乾燥後、常温で一週間程度の養生期間をおくのが好ましいが、乾燥を20〜25℃程度の常温下で約4時間以上行なうことで十分な架橋又は硬化物を得ることができる。
【0030】
橋梁、プラント、ビルや家屋等の外壁、船舶や車両の外装材等のように屋外において塗装が行なわれる場合、塗装直後の降雨は塗膜形成に影響を与えるため、特に水性塗膜の使用にはかなりの制限があった。建築業界において塗装後24時間以内における降雨に対して塗膜が安定である性能を耐降雨性と表現し、塗料の選択において重要なファクターとなっている。本発明の樹脂組成物は短時間で架橋又は硬化物を得ることができるため優れた耐降雨性を有しており、屋外の作業を必要とする場面での使用にも適用できる。得られた架橋又は硬化物は耐水性、耐アルカリ性及び耐酸性に非常に優れたものとなっている。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、何らこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
平均分子量約22,000のポリアクリル酸アミド10gと水17mlとを混合して、水溶液とし、100%ヒドラジン一水和物14.08gを加えて、70〜75℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(硬化剤1)を得た。
平均分子量:23,000
ヒドラジド化率:70%
1分子中のヒドラジド基数:197
【0033】
実施例2
平均分子量約22,000のポリアクリル酸アミド10gと水17mlとを混合して、水溶液とし、100%ヒドラジン一水和物21.12gを加えて、80〜85℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(硬化剤2)を得た。
平均分子量:23,000
ヒドラジド化率:85%
1分子中のヒドラジド基数:233
【0034】
実施例3
平均分子量約26,000のポリアクリル酸アミド10gと水17mlとを混合して、水溶液とし、100%ヒドラジン一水和物14.08gを加えて、70〜75℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(硬化剤3)を得た。
平均分子量:31,000
ヒドラジド化率:65%
1分子中のヒドラジド基数:250
【0035】
実施例4
平均分子量約26,000のポリアクリル酸アミド10gと水17mlとを混合して、水溶液とし、100%ヒドラジン一水和物21.12gを加えて、80〜85℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(硬化剤4)を得た。
平均分子量:32,000
ヒドラジド化率:85%
1分子中のヒドラジド基数:324
【0036】
比較例1
特公昭60−23705号参考例3に記載の方法に準じて、ポリアクリル酸ヒドラジド(比較硬化剤1)を得た。
平均分子量:10,000
ヒドラジド化率:49%
1分子中のヒドラジド基数:63
【0037】
比較例2
平均分子量約74,000のポリアクリル酸アミド10g、水17ml、メタノール17mlとを混合して、水、メタノール混合溶液とし、100%ヒドラジン一水和物7.04gを加えて、50〜58℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(比較硬化剤2)を得た。
平均分子量:85,000
ヒドラジド化率:13%
1分子中のヒドラジド基数:151
【0038】
比較例3
ポリアクリル酸ヒドラジド市販品(Lタイプ、大塚化学株式会社製)を比較硬化剤3として用いた。
平均分子量:6,000
ヒドラジド化率:60%
1分子中のヒドラジド基数:45
【0039】
比較例4
アジピン酸ジヒドラジドを比較硬化剤4として用いた。
<樹脂組成物の調製>
評価用エマルジョンはモノマー組成が、BA/MMA/MAA/DAAM=52.9:43.3:1.5:2.3(重量%)で開始剤に過硫酸アンモニウム塩0.2(重量%)を用い、乳化重合して得られた固形分45%のエマルジョンを用いた。ここでBA:アクリル酸ブチル、MMA:メタクリル酸メチル、MAA:メタクリル酸、DAAM:ダイアセトンアクリルアミドである。
上記硬化剤1を評価用エマルジョンにエマルジョン中のDAAMのケトン基と当量添加し、溶解させて樹脂組成物1を調製した。
同様に、硬化例2〜4及び比較硬化剤1〜4を用いて処理し、樹脂組成物2〜4、及び比較樹脂組成物1〜4を夫々調製した。
【0040】
試験例1(耐水性試験1)
硝子板(150×70×1mm)に樹脂組成物1を塗布(膜厚:5MILS)し、80℃で10分間、その後22〜24℃、湿度18〜22%で15時間乾燥させて、透明塗膜を得た。この塗膜を23〜25℃の水中(脱イオン水)に浸しておき、7日後の塗膜状態を目視観察し、白化状態を評価した。同様に樹脂組成物2〜4及び比較樹脂組成物1〜4を用いて塗膜を調製し、試験した。結果を表1に示す。
評価は、全く異常が認められないものを10点、極度の白化が生じたものを1点とし、白化の程度によって10段階で示した。
【0041】
【表1】
* 比較樹脂組成物2及び4の塗膜には「はがれ」が生じていた。
樹脂組成物1〜4の塗膜については20日後まで試験を継続したところ、全く異常が認められなかった。
【0042】
試験例2(耐水性試験2)
硝子板(150×70×1mm)に樹脂組成物2を塗布(膜厚:5MILS)し、所定の温度と時間で乾燥し、直ちにパスツールピペットを用いて直径約1cmの水滴を置いた。水滴が蒸発しないように時計皿で覆い、1日後、3日後、5日後、7日後の塗膜状態を目視観察し、白化状態を評価した。評価は試験例1と同じとした。
同様に比較樹脂組成物4を用いて塗膜を調製し、試験した。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
※ 塗膜に「膨れ」が生じていた。
【0044】
試験例3(耐酸性試験)
硝子板(150×70×1mm)に樹脂組成物2を塗布(膜厚:5MILS)し、所定の温度と時間で乾燥し、直ちにパスツールピペットを用いて直径約1cmの3規定塩酸の水滴を置いた。水滴が蒸発しないように時計皿で覆い、1日後、3日後、5日後、7日後の塗膜状態を目視観察し、白化状態を評価した。評価は試験例1と同じとした。同様に比較樹脂組成物4を用いて塗膜を調製し、試験した。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
※ 塗膜に「膨れ」が生じていた。
【0046】
試験例4(耐アルカリ性試験)
3規定塩酸に代えて3規定水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は、試験例3と同じとした。結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
※ 塗膜に「膨れ」が生じていた。
【技術分野】
【0001】
本発明はポリアクリル酸ヒドラジド、樹脂用架橋又は硬化剤、その樹脂組成物及びその架橋又は硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する関心が高まり、建築、塗料分野においても、接着剤や塗料からの大気中への揮発性有機化合物の拡散を防止し、環境負荷低減への努力がなされている。そのような状況下にあって、塗料分野においては、有機溶媒を含有しない水系塗料が注目されている。しかしながら、一般に水系塗料は、乾燥時間が長く、得られた塗膜の耐水性に難点があったため、その適用範囲は必然的に制限されていた。
水系塗料の耐水性を向上させる方法としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂と数平均重合度が30以上のポリアクリル酸ヒドラジドとからなる耐水性樹脂組成物が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
ポリアクリル酸ヒドラジドは例えばポリアクリル酸アミド、又はポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステルとヒドラジンとを反応させることによって製造することができるポリマーで、例えば原料として式(1)のモノマー単位を有するポリアクリル酸アミドを用いたときは、式(2)で表されるポリマーである。ここでm+n=100モル%で、mの値をヒドラジド化率(モル%)と定義する。
【0004】
【化1】
【0005】
【化2】
【0006】
なお、本発明でいうポリアクリル酸ヒドラジドは、アミド部又はエステル部が全部又は一部加水分解されたカルボン酸であるもの、また安定性を向上させるために該カルボン酸をアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩としたものも包含する。
このポリアクリル酸ヒドラジドは特許文献1のようにN−アミノポリアクリルアミドと称呼されたり、またアクリル酸ヒドラジド系共重合体とも呼ばれたりする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1ではこのポリアクリル酸ヒドラジドがポリビニルアルコール系樹脂の架橋剤として使用されている。しかし特許文献1ではポリアクリル酸ヒドラジドの数平均重合度は30〜300,000であり、好ましくは50〜100,000と記載されている。これは前記ヒドラジド化率が100モル%として計算すると、モノマーユニットの平均分子量=86であるので、ポリマーの平均分子量(モノマーユニットの平均分子量×重合度)は2,580〜2,580万、好ましくは4,300〜860万という膨大な広さの範囲になる。
【0008】
また特許文献1の実施例で用いられているポリアクリル酸ヒドラジドは重合度100、ヒドラジド化率10.0モル%のもので、これは平均分子量にすると7,250のものとなる。またこれ以外には重合度40,000のポリアクリル酸ヒドラジドが用いられているが、このもののヒドラジド化率は記載されていない。しかしヒドラジド化率=10%とすると平均分子量は290万となり、ヒドラジド化率=100%とすると平均分子量は344万となる。
【0009】
以上のように特許文献1に記載されたポリアクリル酸ヒドラジドの平均分子量は2,580〜2,580万という極めて広範なものであり、また実施例でのポリアクリル酸ヒドラジドの平均分子量は7,250及び290万前後の両極端の2種類のみである。
本発明では上記特許文献1に記載されたポリアクリル酸ヒドラジドのうち、その平均分子量が2万〜3.2万という特定の範囲のポリアクリル酸ヒドラジドが、極めて優れた耐水性を有する樹脂塗膜用の架橋又は硬化剤として有用であることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
また本願の出願人は、これまでに多数のポリアクリル酸ヒドラジドに関連する特許出願を行っている(例えば特許文献2〜13参照)。
しかし特許文献2〜6には平均分子量1万〜1.3万のポリアクリル酸ヒドラジドが、特許文献7には平均分子量4.5万と20万、特許文献8〜11には平均分子量4.5万、30万〜31万及び50万、特許文献12〜13には平均分子量4万及び20万〜500万のポリアクリル酸ヒドラジドが記載されている。また特許文献14に、分子量1000〜50万のポリアクリル酸ヒドラジドが記載され、特許文献15に、分子量3〜4万のポリアクリルアミドとヒドラジンヒドラートの反応体が記載されているが、平均分子量が2万〜3.2万のポリアクリル酸ヒドラジドは記載されていない。
【0011】
本発明の課題は従来技術に記載のない特定の狭い範囲の平均分子量を有するポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤を提供することにある。
本発明の課題は上記従来技術に記載されていない特定の平均分子量を有する新規なポリアクリル酸ヒドラジドを提供することにある。
【特許文献1】特許第3357887号(請求項、実施例1〜2)
【特許文献2】特公昭60−23705号(参考例1〜4)
【特許文献3】特公昭60−45205号(請求項)
【特許文献4】特開昭54−20090号(参考例1〜5)
【特許文献5】特開昭54−21493号(参考例1〜4)
【特許文献6】特公昭60−28309号(参考例1〜3)
【特許文献7】特公昭63−34882号(参考例1〜3)
【特許文献8】特開昭55−3440号(参考例1〜4)
【特許文献9】特公昭62−21001号(参考例1〜3)
【特許文献10】特公昭62−4047号(請求項、実施例1〜3)
【特許文献11】特公昭61−39980号(参考例1〜3)
【特許文献12】特公平2−43765号(参考例1〜4)
【特許文献13】特公平3−58800号(第3頁左欄第26行)
【特許文献14】特開昭62−62851号(第3頁右上欄第6〜7行)
【特許文献15】特開昭58−96643号(製造例1)
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の発明に係る。
1. 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
2. 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
3. 平均分子量が20000〜30000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
4. 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
5. 平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
6. 平均分子量が20000〜30000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
7. 分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、上記4〜6のいずれかに記載の架橋又は硬化剤とからなる樹脂組成物。
8. 分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる樹脂の少なくとも1種の樹脂が、上記4〜6のいずれかに記載の架橋又は硬化剤で架橋又は硬化してなる架橋又は硬化物。
【0013】
本発明者等は、特定の平均分子量と特定のヒドラジド化率を有するポリアクリル酸ヒドラジドを樹脂用の架橋又は硬化剤として用いることによって、例えば乾燥時間が短く、樹脂塗膜に格段に優れた耐水性を付与できることを見出した。更に、耐酸性及び耐アルカリ性に優れ、優れた樹脂塗膜を提供できることを見出した。
【発明の効果】
【0014】
本発明の架橋又は硬化剤は、樹脂の架橋又は硬化において、乾燥時間が短く、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性に優れた樹脂塗膜を付与することができる。特に、水系の樹脂に適用した場合に乾燥時間が短く、耐水性等の優れた効果が顕著に認められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の樹脂用架橋又は硬化剤は、平均分子量が20,000〜32,000で、ヒドラジド化率が65%(モル%、以下同様)以上であるポリアクリル酸ヒドラジドからなる。ヒドラジド化率は65%〜98%が好ましい。
本発明において平均分子量とは数平均分子量で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析で測定した。測定機器はLC10Aシステム(島津製作所製)、
カラム:TSK−GEL α−2500、TSK−GEL α−4000、TSK−GEL α−6000(東ソー株式会社製)、
スタンダード:ポリオキシエチレンオキシド(TSKstandardPEOキット、東ソー株式会社製)である。
【0016】
該ポリアクリル酸ヒドラジドは、公知の方法により製造することができ、例えばポリアクリル酸アミド、又はポリアクリル酸メチル等のポリアクリル酸エステルとヒドラジンとを反応させることによって製造することができる。反応は、例えばポリアクリル酸アミド1モルを水、又はメタノール水溶液でポリマー濃度20〜40重量%とし、ポリアクリル酸アミドに対してヒドラジンを1〜3モル添加して、通常50〜100℃で3〜20時間程度反応させることにより行うことができる。
【0017】
平均分子量が10000未満の場合、十分な耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を付与することができない。平均分子量が150000を越えると、耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性において十分満足のいく効果が得られないばかりか、ポリアクリル酸ヒドラジドの水溶解度が極めて低くなり、必然的に溶媒としての水を大量に使用しなくてはならないため乾燥に長時間を要する。
また、ヒドラジド化率が30%を下回る場合には、先に規定する平均分子量を満たしていても、十分な耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性は得られない。
更に十分な耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を付与するためには、ポリアクリル酸ヒドラジド1分子中に存在するヒドラジド基が85以上存在することが必要である。
例えば、平均分子量10000のポリアクリル酸ヒドラジド中、ヒドラジド基が85存在する場合、そのヒドラジド化率は約70%に相当する。
【0018】
本発明で使用する好ましいポリアクリル酸ヒドラジドは、平均分子量が20,000〜32,000で、ヒドラジド化率が65〜98%のものである。
本発明で使用する更に好ましいポリアクリル酸ヒドラジドは、平均分子量が20,000〜32,000で、ヒドラジド化率が70〜98%のものである。
本発明で使用する特に好ましいポリアクリル酸ヒドラジドは、平均分子量が20,000〜30,000で、ヒドラジド化率が70〜98%のものである。
また、本発明のポリアクリル酸ヒドラジドは文献未記載の新規物質であり、これらポリアクリル酸ヒドラジドは、優れた耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を付与することができる水系樹脂用架橋又は硬化剤として有用である。
【0019】
本発明で使用するポリアクリル酸ヒドラジドは、水溶解性にも優れ、高濃度水溶液として使用することができる。
本発明で使用する樹脂としては、特に制限されないが、ポリアクリル酸ヒドラジドのヒドラジド基と反応することのできるアルデヒド性又はケトン性のカルボニル基、エポキシ基、又はイソシアネート基等の反応部位を有するポリマーであれば特に制限されないが、例えば分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、及びエポキシ系樹脂等の樹脂が挙げられる。
ポリアクリル酸ヒドラジドの使用量としては、樹脂中に含まれる反応部位、例えばアルデヒド又はケトン性のカルボニル基、エポキシ基、イソシアネート基等の1当量に対して、ポリアクリル酸ヒドラジドのヒドラジド基が0.05〜2当量、好ましくは0.1〜1当量となる量とすればよい。
【0020】
分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂としては、分子内に1つ以上のアルデヒド性及び/又はケトン性のカルボニル基を有し、ラジカル重合性不飽和結合を有するアクリル系モノマーと、該アクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性不飽和モノマーとを共重合させたものが挙げられる。
【0021】
具体的には、アクリル系モノマーとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ジアセトンアクリレート、ジアセトンメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート等が挙げられ、アクリル系モノマーと共重合させるモノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリルアミド、N−アルキロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリルアミド、N−アルキロールメタクリルアミド、メタクリロニトリル、イタコン酸、マレイン酸、2−メチレングルタル酸、ハロゲン化ビニル等が挙げられる。
【0022】
ウレタン系樹脂としては、ポリイソシアネート、ポリオール及びヒドロキシアクリレート又はヒドロキシメタクリレートの反応によって得られる化合物が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、芳香族イソシアネートを水素添加して得られるジイソシアネート(例えば水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等)、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジメチレントリフェニルトリイソシアネート等のジ−及びトリ−イソシアネート、当該ジ−及びトリ−イソシアネートを多量化させて得られるポリイソシアネート等が挙げられる。
【0023】
ポリオールとしては、例えば脂肪酸、脂環式及び芳香族のポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
脂肪族及び脂環式ポリオール並びにポリエーテルポリオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジメチロールヘプタン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブチリオン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えばカプロラクトン変性ジオール等が挙げられる。芳香族のポリオールとしては、例えばエトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールS等が挙げられる。
【0024】
またヒドロキシアクリレート又はヒドロキシメタクリレートとしては、例えばアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸グリセロール、ジアクリル酸グリセロール、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸グリセロール、ジメタクリル酸グリセロール、トリメタクリル酸ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0025】
エポキシ系樹脂としては、例えばグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等を例示できる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水素添加ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、DPPノボラック型、3官能型、トリス・ヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等を例示できる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂としては、ヘキサヒドロフタル酸エステル型、フタル酸エステル型等を例示できる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、ヒダントイン型、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン型、アミノフェノール型、アニリン型、トルイジン型等を挙げることができる。
【0026】
本発明の架橋又は硬化剤は、これらの樹脂の中でも水系の樹脂に適用した場合に耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性等の優れた効果が顕著に認められる。
これら樹脂と本発明のポリアクリル酸ヒドラジドの樹脂用架橋又は硬化剤とを混合して樹脂組成物が得られる。該組成物は固体、水溶液、水系エマルジョンのいずれの形態であってもよいが、使用時においては水溶液又は水系エマルジョンの形態である。
【0027】
水溶液とする場合には、樹脂と本発明のポリアクリル酸ヒドラジドとを水に投入してもよく、予め調製した夫々の水溶液を併せてもよく、また、樹脂の水溶液に本発明のポリアクリル酸ヒドラジドを投入して溶解させてもよい。
水系エマルジョンとする場合には界面活性剤等の乳化剤を用いて、樹脂のエマルジョンを調製し、それに本発明のポリアクリル酸ヒドラジド又はその水溶液を加えることで調製できる。
【0028】
本発明の組成物においては、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。かかる添加剤としては、例えば、顔料、粘度調整剤、レべリング剤、消泡剤、カップリング剤、可塑剤、希釈剤、難燃剤等が挙げられる。また、必要に応じて従来から使用されている充填材や補強剤等を添加してもよい。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、例えば、金属、木材、合成樹脂、セメント、セラミックス、無機又は有機繊維による編物若しくは織物(ガラスクロス等)、紙等の被覆、粘着・接着、補修及びこれらを基材とした成形体の製造等に適用でき、特に土木建築用の塗料、接着剤、両面テープ等の粘着剤、自動車の車体及び部品の塗料に適している。これら被処理物に、噴霧、塗布、浸漬した後、乾燥させることによって、架橋又は硬化物を得ることができる。
乾燥は、0℃以上、好ましくは5〜90℃程度で行なえばよく、乾燥後、常温で一週間程度の養生期間をおくのが好ましいが、乾燥を20〜25℃程度の常温下で約4時間以上行なうことで十分な架橋又は硬化物を得ることができる。
【0030】
橋梁、プラント、ビルや家屋等の外壁、船舶や車両の外装材等のように屋外において塗装が行なわれる場合、塗装直後の降雨は塗膜形成に影響を与えるため、特に水性塗膜の使用にはかなりの制限があった。建築業界において塗装後24時間以内における降雨に対して塗膜が安定である性能を耐降雨性と表現し、塗料の選択において重要なファクターとなっている。本発明の樹脂組成物は短時間で架橋又は硬化物を得ることができるため優れた耐降雨性を有しており、屋外の作業を必要とする場面での使用にも適用できる。得られた架橋又は硬化物は耐水性、耐アルカリ性及び耐酸性に非常に優れたものとなっている。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、何らこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
平均分子量約22,000のポリアクリル酸アミド10gと水17mlとを混合して、水溶液とし、100%ヒドラジン一水和物14.08gを加えて、70〜75℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(硬化剤1)を得た。
平均分子量:23,000
ヒドラジド化率:70%
1分子中のヒドラジド基数:197
【0033】
実施例2
平均分子量約22,000のポリアクリル酸アミド10gと水17mlとを混合して、水溶液とし、100%ヒドラジン一水和物21.12gを加えて、80〜85℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(硬化剤2)を得た。
平均分子量:23,000
ヒドラジド化率:85%
1分子中のヒドラジド基数:233
【0034】
実施例3
平均分子量約26,000のポリアクリル酸アミド10gと水17mlとを混合して、水溶液とし、100%ヒドラジン一水和物14.08gを加えて、70〜75℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(硬化剤3)を得た。
平均分子量:31,000
ヒドラジド化率:65%
1分子中のヒドラジド基数:250
【0035】
実施例4
平均分子量約26,000のポリアクリル酸アミド10gと水17mlとを混合して、水溶液とし、100%ヒドラジン一水和物21.12gを加えて、80〜85℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(硬化剤4)を得た。
平均分子量:32,000
ヒドラジド化率:85%
1分子中のヒドラジド基数:324
【0036】
比較例1
特公昭60−23705号参考例3に記載の方法に準じて、ポリアクリル酸ヒドラジド(比較硬化剤1)を得た。
平均分子量:10,000
ヒドラジド化率:49%
1分子中のヒドラジド基数:63
【0037】
比較例2
平均分子量約74,000のポリアクリル酸アミド10g、水17ml、メタノール17mlとを混合して、水、メタノール混合溶液とし、100%ヒドラジン一水和物7.04gを加えて、50〜58℃で15時間撹拌した。混合液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過してとり、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジド(比較硬化剤2)を得た。
平均分子量:85,000
ヒドラジド化率:13%
1分子中のヒドラジド基数:151
【0038】
比較例3
ポリアクリル酸ヒドラジド市販品(Lタイプ、大塚化学株式会社製)を比較硬化剤3として用いた。
平均分子量:6,000
ヒドラジド化率:60%
1分子中のヒドラジド基数:45
【0039】
比較例4
アジピン酸ジヒドラジドを比較硬化剤4として用いた。
<樹脂組成物の調製>
評価用エマルジョンはモノマー組成が、BA/MMA/MAA/DAAM=52.9:43.3:1.5:2.3(重量%)で開始剤に過硫酸アンモニウム塩0.2(重量%)を用い、乳化重合して得られた固形分45%のエマルジョンを用いた。ここでBA:アクリル酸ブチル、MMA:メタクリル酸メチル、MAA:メタクリル酸、DAAM:ダイアセトンアクリルアミドである。
上記硬化剤1を評価用エマルジョンにエマルジョン中のDAAMのケトン基と当量添加し、溶解させて樹脂組成物1を調製した。
同様に、硬化例2〜4及び比較硬化剤1〜4を用いて処理し、樹脂組成物2〜4、及び比較樹脂組成物1〜4を夫々調製した。
【0040】
試験例1(耐水性試験1)
硝子板(150×70×1mm)に樹脂組成物1を塗布(膜厚:5MILS)し、80℃で10分間、その後22〜24℃、湿度18〜22%で15時間乾燥させて、透明塗膜を得た。この塗膜を23〜25℃の水中(脱イオン水)に浸しておき、7日後の塗膜状態を目視観察し、白化状態を評価した。同様に樹脂組成物2〜4及び比較樹脂組成物1〜4を用いて塗膜を調製し、試験した。結果を表1に示す。
評価は、全く異常が認められないものを10点、極度の白化が生じたものを1点とし、白化の程度によって10段階で示した。
【0041】
【表1】
* 比較樹脂組成物2及び4の塗膜には「はがれ」が生じていた。
樹脂組成物1〜4の塗膜については20日後まで試験を継続したところ、全く異常が認められなかった。
【0042】
試験例2(耐水性試験2)
硝子板(150×70×1mm)に樹脂組成物2を塗布(膜厚:5MILS)し、所定の温度と時間で乾燥し、直ちにパスツールピペットを用いて直径約1cmの水滴を置いた。水滴が蒸発しないように時計皿で覆い、1日後、3日後、5日後、7日後の塗膜状態を目視観察し、白化状態を評価した。評価は試験例1と同じとした。
同様に比較樹脂組成物4を用いて塗膜を調製し、試験した。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
※ 塗膜に「膨れ」が生じていた。
【0044】
試験例3(耐酸性試験)
硝子板(150×70×1mm)に樹脂組成物2を塗布(膜厚:5MILS)し、所定の温度と時間で乾燥し、直ちにパスツールピペットを用いて直径約1cmの3規定塩酸の水滴を置いた。水滴が蒸発しないように時計皿で覆い、1日後、3日後、5日後、7日後の塗膜状態を目視観察し、白化状態を評価した。評価は試験例1と同じとした。同様に比較樹脂組成物4を用いて塗膜を調製し、試験した。結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
※ 塗膜に「膨れ」が生じていた。
【0046】
試験例4(耐アルカリ性試験)
3規定塩酸に代えて3規定水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は、試験例3と同じとした。結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
※ 塗膜に「膨れ」が生じていた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
【請求項2】
平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
【請求項3】
平均分子量が20000〜30000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
【請求項4】
平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
【請求項5】
平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
【請求項6】
平均分子量が20000〜30000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
【請求項7】
分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、請求項4〜6のいずれかに記載の架橋又は硬化剤とからなる樹脂組成物。
【請求項8】
分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる樹脂の少なくとも1種の樹脂が、請求項4〜6のいずれかに記載の架橋又は硬化剤で架橋又は硬化してなる架橋又は硬化物。
【請求項1】
平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
【請求項2】
平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
【請求項3】
平均分子量が20000〜30000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジド。
【請求項4】
平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が65%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
【請求項5】
平均分子量が20000〜32000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
【請求項6】
平均分子量が20000〜30000で、ヒドラジド化率が70%以上であるポリアクリル酸ヒドラジドを有効成分とする樹脂用の架橋又は硬化剤。
【請求項7】
分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂と、請求項4〜6のいずれかに記載の架橋又は硬化剤とからなる樹脂組成物。
【請求項8】
分子内に1個以上のカルボニル基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂から選ばれる樹脂の少なくとも1種の樹脂が、請求項4〜6のいずれかに記載の架橋又は硬化剤で架橋又は硬化してなる架橋又は硬化物。
【公開番号】特開2007−46062(P2007−46062A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286677(P2006−286677)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【分割の表示】特願2004−328390(P2004−328390)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(302060306)大塚化学株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【分割の表示】特願2004−328390(P2004−328390)の分割
【原出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(302060306)大塚化学株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
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