説明

ポリアミドと、機械特性が改良した生物起源の強化組成物

少なくとも一つのMXD単位を有する少なくとも一つのポリアミド(MXDはメタ-キシレンジアミンまたはメタ-キシレンジアミンとパラ-キシレンジアミンとの混合物を表す)と、生物起源の強化材とを組み合わせた組成物と、この組成物の射出成形または押出成形による優れた機械特性を有する物品、例えば自動車工業、建設分野、スポーツ用品、電気・電子分野の物品等のテクニカル用途に対応する物品の成形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、少なくとも部分的に生物起源(バイオベースの、biobased)あるか、生物起源ではなくてもよいポリアミド、少なくとも一つのMXD単位を含むポリアミドをベースにした組成物に関するものである。この組成物は生物起源または天然起源の強化材を含む。
本発明はさらに、優れた機械特性を有し、自動車工業、建設、スポーツ用品の分野や電気、電子分野等で要求される技術的仕様を満たす物品に上記組成物を変換する方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の熱可塑性マトリックスをベースにした原料の分野で、天然強化材と組み合わせて良好な剛性、良好な熱機的強度および良好な耐老化性を必要とする用途に充分な技術的特性を有するものは存在しない。しかも、天然強化材と組み合わせるのが要求されるマトリックスは、一般にこの種の熱敏感性(熱に敏感な、Thermosensitive)のある天然の強化材と両立可能な成形温度範囲を有しない。天然強化材の主要構成分、例えばリグニン、ヘミセルロースおよびペクチンは熱に対して特に敏感である。一方、例えばα−セルロースはそうではない。
【0003】
「天然強化材」という用語は例えば木粉、長短の食物繊維(亜麻、大麻、ケナフ、マニラ麻、その他)、連続繊維、これら繊維から得られるマット等を意味する。
【0004】
さらに、化石起源の出発原料の枯渇に起因する生物起源の出発原料から得られる原料の重要性が増加しており、それは同時に効果的な利用特性を保持している。さらに、生物起源または天然起源の強化材は一般に無機の強化材の濃度より低い濃度を有する原料であり、また、無機の強化材と比較して、成形装置を磨耗させることも少ない。さらに、天然強化材、例えばガラス繊維は安価で、その生産に必要なエネルギ消費量は少ない。
【0005】
他方、生物起源または天然起源の強化材はポリアミドのようなポリマーのマトリックスに対する接着性が一般に悪い。場合によってはマトリックスとの接着性を改良するためにカップリング剤、添加剤またはプラズマ、コロナ、レーザー、γ線またはUV照射、化学処理、機械処理、熱的処理等でその表面を処理する必要がある。
【0006】
本発明の対象を形成するポリアミドは、部分的に生物起源のものにすることができ、特に式A/MXD.Zに対応するものにすることができる。ここで、Zは二酸から得られる単位を表し、Aは(それが存在する場合には)アミノ酸からから得られる単位を表し、好ましくはラクタム、例えばラクタム−12またはジアミンXとジカルボン酸Yとの反応生成物X.Yからの11−アミノ酸を表すのが好ましい。このX.Y単位は生物起源のもので且つ例えば単位10.10、10.12または6.10に対応するのが好ましい。MXD単位はメタ−キシレンジアミンまたは混合物のメタ−キシレンジアミン(MXD)とパラ−キシレンジアミン(PXD)との混合物で、この混合物ではメタ−キシレンジアミンが主成分であるのが好ましい。
【0007】
生物起源または天然起源の強化材の使用にはこれらの組成物を短い滞留時間(約2分間)でも温和な(一緒には215℃以下の)溶融状態でこれら組成物中で測定した温度で変形(成形)することを含む。すなわち、ポリアミドベースの熱可塑性のマトリックスは、劣化無しに繊維に良好な湿潤度を与えるために、熱に敏感な天然の強化材を取り込むことができる(両立する)変形温度範囲を有しなければならない。これはポリアミドベースのマトリックスのモノマーを適宜選択することで得られるが、特許文献1(米国特許第US 2004/0122133号明細書)に記載のようにステアリン酸またはリチウム塩のような化合物を添加する必要がある。
【0008】
本発明は生物起源または天然起源の強化材だけに限定されるものではない。最終特性、特に、機械特性を調整するために天然の強化材に加えて繊維、無機繊維(ガラス、炭素等)または充填剤(タルク、モンモリロナイト等)を使用することもできる。
【0009】
本発明組成物は、添加剤、カップリング剤(例えばポリマーでもよい)、衝撃緩衝剤、加工助剤、UV−および/または熱−安定剤、難燃剤、例えばMg(OH)2、A1(OH)3およびホスフィン酸エステルを含むことができる。
本発明組成物のマトリックスは良好な剛性を示し、コンディショニング後に典型的には少なくとも2GPaの引張りモジュラスを示す。
【0010】
特許文献2(欧州特許第EP 0272503号公報)にはポリ(m−キシレンセバカアミド)半結晶ポリアミドと組み合わせたMXD.10タイプのマトリックスが記載されている。このマトリックスはガラス繊維を含むことができる。MXD10より20〜30℃融点が高い第2のポリマーとの組合物は天然繊維と組合わせることはできない。天然繊維が劣化する恐れがある。さらに、使用される繊維は生物起源または天然のものではない。
【0011】
特許文献3(国際特許第WO 2007/137378号公報)にはポリアミド(特にPA6)と天然繊維(例えばクラウア(curaua)繊維)とをベースにした組成物が記載されている。この特許では生物起源のものは天然繊維だけで、マトリックスは化石起源の物質である。この特許は熱に敏感な天然繊維をPA6に組み込む際の困難性に関する記載はない。PA6−クラウア(curaua)繊維混合物(重量比80/20)の縦弾性係数の報告値(5100MPa)がポリアミドのコンディショニングの前に得られたのか、後に得られたのかは記載がない。
【0012】
PA6メーカのテクニカル文書には、PA6の縦弾性係数は乾燥状態(すなわち射出サイクルの出口)とコンディショニング状態(すなわち23℃、50%関係湿度で15日間放置)とで大きく変化するということを示している。このテクニカル文書によると、乾燥状態のPA6の縦弾性係数は3000〜3400MPであるが、コンディショニング後には単に900〜1200MPaということが記載されている。従って、PA6ベースの組成物の機械特性、性能を評価するためには、天然強化材の使用状態下で、予備コンディショニングしたサンプルをテストすることが重要である。
【0013】
特許文献4(米国特許第US 6 270 883号明細書)にはPA6と木材セルロース誘導体繊維(必要に応じてカップリング剤を含むことができる)とをベースにした機械特性、性能が改良した組成物が記載されている。ここでもマトリックス(PA6)は化石起源の物質である。このPA6-木材セルロース誘導体繊維組成物(重量比70/30)は、2重量%のカップリング剤の存在下で、5350〜5700MPaの引張りモジュラスを有し、PA6マトリックスがない場合の引張りモジュラスは5100〜5200MPaで、カップリング剤の引張りモジュラスは2750MPaである。しかし、これらの性能レベルは乾燥状態で測定されている。さらに、これらの結果となる木材セルロース誘導体繊維はより熱安定度の高いα−セルロースを少なくとも95重量%含む。従って、熱に敏感な成分、例えばリグニンまたはヘミセルロースの量は5重量%以下である。
【0014】
特許文献5(米国特許公開第US 2004/122133号明細書)にはPA6と生物起源または天然起源の繊維とをベースにした組成物と、この組成物を得るための方法とが記載されている。この方法はPA6マトリックス中に塩化リチウム(LiC1)塩を予め加えて融点を大幅に下げることに特徴があり、融点はLiC1の重量(それぞれ3.0重量%および3.5重量%)に従って223℃から199℃または194℃まで下がる。従って、ポリマーがより低い温度で変形できるので、溶融状態のPA6/LiClマトリックス中に劣化の危険なしに熱に敏感な天然繊維を導入することができる。しかし、選択した塩が親水性であるため、この方法では湿気を取り込むPA6の傾向を再び促進されルという欠点がある。この特許の組成物はポリアミド・マトリックスの融点が下げらることを要求しない。
【0015】
特許文献6(日本特許公開JP 2005-060556号公報)および特許文献7(米国特許公開第US 2006/0202391号明細書)には、PLA(生物起源のポリ乳酸)とケナフ繊維とを組み合わせることが記載されている。PLAは脂肪族ポリエステルであるので、現在のところ水の存在下で変形させるのが難しい。さらに、PLAはポリアミドより水に対して敏感であり、完全に経年劣化挙動することを意味する。
【0016】
特許文献8(国際特許第WO 2008/050568号公報)には、PAllと天然繊維、例えば亜麻、大麻、竹または絹とをベースにした組成物が記載されている。この組成物は生物起源ではあるが、PAllが存在するため充分な機械特性、特に縦弾性係数に関する機械特性を有するしていない。
【0017】
特許文献9(欧州特許第EP 0 711 324号公報)には、天然繊維で補強した生体分解性を有するポリマー組成物が記載されている。生体分解性ポリマーは澱粉で、機械特性が制限され、水に対する感受性が高いためその使用には制限がある。
【0018】
特許文献10(欧州特許第EP 0 960 162号公報)の実施例9には、PAllと25容積%の亜麻繊維とを含む組成物の製造方法が記載されている。これはPAll濃度(1.03)と亜麻繊維濃度(1.50)から繊維重量33%に対応する。この組成物の特徴は縦弾性係数が4050MPa(ドイツ工業標準規格53455)手ある点にある。PA6とは逆に、PAllの縦弾性係数はコンディショニングに敏感でない点に留意する必要がある。この特許に記載の組成物は生物起源ではあるが、縦弾性係数に関する機械特性の点で充分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第US 2004/0122133号明細書
【特許文献2】欧州特許第EP 0272503号公報
【特許文献3】国際特許第WO 2007/137378号公報
【特許文献4】米国特許第US 6 270 883号明細書
【特許文献5】米国特許公開第US 2004/122133号明細書
【特許文献6】日本特許公開JP 2005-060556号公報
【特許文献7】米国特許公開第US 2006/0202391号明細書
【特許文献8】国際特許第WO 2008/050568号公報
【特許文献9】欧州特許第EP 0 711 324号公報
【特許文献10】欧州特許第EP 0 960 162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明者は、少なくとも一つのMXD単位を含む、部分的に生物起源である少なくとも一種のポリアミドと、生物起源または天然起源の強化材とを組み合わせることで優れた使用特性を有する原料を得ることができる、ということを見出した。さらに、MXD単位を含む本発明のポリアミドは熱に敏感な天然繊維を取込むのを可能にする変形温度範囲を有する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、少なくとも一つのMXD単位を有する少なくとも一つのポリアミド(MXDはメタ-キシレンジアミン(MXD)またはメタ-キシレンジアミン(MXD)とパラ-キシレンジアミン(PXD)との混合物を表す)と、生物起源の強化材とを組み合わせた組成物にある。
「生物起源」という用語はASTM規格 D6852が定義する意味、好ましくはASTM規格 D6866が定義する意味を有する。ASTM規格 D6852は組成物中の天然起源の物質の比率を表し、ASTM規格 D6866は再生可能な有機炭素、すなわちバイオマスに由来する有機炭素の測定方法および条件を規定する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明組成物の強化材は生物起源とよばれ、バイオマスに由来し、ASTM規格 D6866に従って決定される有機炭素から成る。この場合、本発明組成物自体が部分的に生物起源のものとみなすことができ、これは非生物起源の組成物、例えば化石原料に由来する組成物をベースにものと比較して有利である。
【0023】
本発明はさらに、上記組成物から複合材料(コンポジット材料)を製造する方法と、本発明組成物から物品を製造する方法と、本発明組成物および本発明物品の使用とにも関するものである。
【0024】
天然繊維を含む生物起源のポリアミドを含む組成物は特許文献11(国際特許第WO00/59989号公報)で公知であることは認められている。
【特許文献11】国際特許第WO00/59989号公報
【0025】
しかし、この従来技術を読んだとしても、MXDをベースにしたPAを選択し、それを生物起源の強化材と組み合わせることで、優れた機械特性を有し、天然繊維の劣化を制限する温度で変形材料が得られることは当業者に自明なことではない。上記特許では本発明の対象であるMXDではなく、脂肪族ジアミンが好ましいとされている。
【0026】
本明細書で「〜」は両端の限界値を含む表現である。
「MXD」という用語はメタキシリレン−ジアミンまたはメタキシレンジアミン(MXD)とパラキシレンジアミン(PXD)との混合物を意味する。混合物ではMXDジアミンが主成分であるのが好ましい。このMXDおよび/またはPXDジアミンは共に化石起源の資源から製造される。
「生物起源」という用語は上記ASTM規格 D68652、より好ましくはASTM規格 D6866での意味を表す。
「コンディショニング」という用語は23℃、50%相対湿度に材料を15日間放置することを意味する。
「強化材」という用語は、ポリマーのマトリックスと組み合わせた時に引張りモジュラス(縦弾性係数)を増加させる、短繊維、長繊維、織布または不織布の連続繊維、織布または不織布のマット、その他の粉砕物質、粉末を意味する。
【0027】
本発明組成物は、少なくとも一種のポリアミドを含み、この少なくとも一種のポリアミドはMXD単位を有する。
【0028】
本発明の第1変形例では、ポリアミドは式MXD.Zに対応するホモポリアミドである。MXD単位は上記定義のもの、Z単位は脂肪族、脂環式または芳香族のC4〜036ジカルボン酸である。
【0029】
本発明の第2変形例では、ポリアミドは式A/MXD.Zに対応するコポリアミドである。ここで、
MXD単位は上記定義のもの、
Z単位は脂肪族、脂環式または芳香族のC4〜C36ジカルボン酸であり、
A単位はラクタム、α、ω−アミノカルボン酸および脂肪族、脂環式または芳香族のC4〜C36ジカルボン酸と脂肪族、脂環式、芳香脂肪族または芳香族のC4〜036ジアミンとの反応生成物の中から選択される。
【0030】
式A/MXD.ZのコポリアミドのMXD.Z単位の重量比率は50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であるのが好ましい。
換言すれば、式A/MXD.ZのコポリアミドのMXD.Z単位のモル比率は25%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上であるのが好ましい。
【0031】
本発明の第1または第2変形例でのZ単位は少なくとも6個、好ましくは7個、より好ましくは10個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸であるのが好ましい。
【0032】
従って、Zは式H000−(CH2)y−COOHの脂肪族二酸にすることができる。ここで、(y+2)=4、6、7、8、9、10、12、14、16、18)。
【0033】
Aおよび/またはZは生物起源の単位に対応するのが好ましい。
Aが存在する場合には、それはラクタム・モノマー(特にカプロラクタムまたはラウリルラクタム)、α、ω-アミノカルボンな酸(例えば6-アミノヘキサン酸、10-アミノデカン酸、11- アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸)またはジカルボン酸とジアミンと反応生成物から得ることができる。
【0034】
特に、下記を挙げることができる:
(1)飽和または不飽和の、好ましくは直鎖の脂肪族ジアミン、例えばブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、オクタデカンジアミン、オクタデセンジアミン、アイコサンジアミン、ドコサジアミンおよび脂肪酸から得られるジアミン、
(2)芳香族またはアリール脂肪族ジアミン、例えばMXDおよびPXD(パラキシレンジアミン)、
(3)脂環式ジアミン、例えば、イソホロンジアミン、ピペラジン、1,3-ビスアミノ−メチルシクロヘキサンまたはビス(メチルアミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、
(4)飽和または不飽和の、好ましくは直鎖の脂肪族二酸、例えば琥珀酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンdioicな酸、ドデカン二酸、ブラシック(brassylic)二酸、テトラ−セバシン酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、アイコサン二酸、ドコサン二酸および36個の炭素を含む脂肪酸二量体の中から選択されるもの、
(5)芳香族または芳香脂肪族二酸、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタリンジカルボン酸(NDCA)またはフランジカルボン酸、
(6)脂環式二酸、例えば1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA)。
【0035】
ポリアミドが式A/MXD.Zに対応する場合、A単位は少なくとも6個、好ましくは少なくとも10個の炭素原子を有するラクタムまたはα、ω-アミノカルボン酸であるのが好ましい。
【0036】
A単位はカプロラクタム(ラクタム12)、11-アミノウンデカン酸および12-アミノドデカン酸から選択するのが好ましい。
A単位がジアミンとジカルボン酸との縮合生成物である場合のジアミンは芳香族ジアミン、好ましくはメタ−キシレンジアミンまたはメタ−キシレンジアミンとパラ−キシレンジアミンとの混合物であるのが好ましい。
【0037】
AおよびZは下記のように選択するのが好ましい:
(1)Aおよび/またはZが部分的または全体的に生物起源の物質である、
(2)(コ)ポリアミドの融点が215℃以下(ISO規格11357-3(1999)に従ってDSCで20℃/分ランプで測定)
(3)(コ)ポリアミドの縦弾性係数が2000MPa以上(ISO規格527 1BAに従って条件付きサンプルで測定)。
【0038】
下記のポリアミドが好ましい:Zがセバシン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸またはテトラデカン二酸であるMXD.Z。特に、Zはセバシン酸であるのが好ましい。このセバシン酸は一般にひまし油から得られ、この蓖麻子油は同じ名前の植物から得られる。
【0039】
下記のコポリアミドが好ましい:
(1)A/MXD.Z A存在を有する11- アミノウンデカン酸または10- アミノデカン酸、アジピン酸、セバシン酸またはドデカンジオン酸であるZ。
好ましくは、Zが、アジピン酸である。そして、11- アミノウンデカン酸。
11- アミノウンデカン酸は、共通に蓖麻子油から得られる。そして、それは、同じ学名の植物から得られる、
(2)A/MXD.Z、カプロラクタムまたはラクタム12であるAを有する、アジピン酸、セバシン酸またはドデカンジオン酸であるZ。
好ましくは、Zは、アジピン酸である、
(3)A/MXD.Z ジカルボン酸の凝結の生成物であるAを有するそして、ジアミン、アジピン酸であるZ、セバシン酸またはドデカンジオン酸。
好ましくは、Aのジカルボン酸は、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、イソフタル酸およびテレフタル酸から選択されている。
好ましくは、ジアミンはヘキサメチレンジアミンから選択される、デカンジアミン、ドデカンジアミンおよびMXD。デカンジアミンはセバシン酸のアミノ化と、その水素化で得られる。セバシン酸自体はひまし油から得られる。
【0040】
必要な場合には、MXD-ベースのポリアミドと他のポリアミドまたはコポリアミドとを混合することも問題ない。従って、本発明組成物では少なくとも一種の第2のポリアミドを含むことができ、第2のポリアミドはホモポリアミドまたはコポリアミドにすることができる。
【0041】
他のポリアミドまたはコポリアミドの配合量は(組成物中に存在する全てのポリアミドに対して)50%以下、好ましくは25%以下、さらに好ましくは15%以下である。
【0042】
本発明組成物中の第1および/または第2のポリアミドの全てまたは一部は生物起源のもの、すなわち、ASTM規格 D6866に従って決定される有機炭素から成るバイオマスに由来するものにすることができる。従って、本発明組成物の生物起源特性が全体としてさらに補強される。
【0043】
本発明組成物の生物起源の強化材は植物繊維または粉末、動物繊維、生物起源のポリマー、生物起源の炭素繊維、カーボンナノチューブから選択される少なくとも一つの要素を含むことができる。「生物起源」という用語は常にASTM規格 D6852の意味、より好ましくはASTM規格 D6866の意味を有すると理解される。
【0044】
本発明には二種以上の同じまたは異なる種類の混合物の強化材も含まれることは当然である。
【0045】
本発明の生物起源の強化材は下記にすることができる:
(1)種子(綿、カポック)の毛から得られる繊維または粉末から成る植物の繊維または粉末、植物の茎(亜麻、大麻、ケナフ、ジュート、ラミー、その他)から抽出される靱皮繊維または粉末、外皮(マニラ大麻、一般に木材)からの繊維または粉末、果実(ココナッツ、その他)等、
(2)毛から得られる動物繊維、例えば動物の毛および分泌物(例えば絹)、
(3)生物起源の出発原料から得られる炭素繊維またはカーボンナノチューブ、
(4)生物起源の原料から得られるポリマー繊維、
(5)樹皮、外皮またはパイプからの粉砕物(ハシバミ、クルミ、その他)、動物(カニ、その他)からのシェル、穀(米、その他)等。
【0046】
本発明では植物繊維、特に亜麻、大麻、サイザル、ケナフ、マニラ麻またはジュート繊維が好ましい。これらの要素から成る生物起源の強化材は、その種類に関係なく、組成物の総重量の5%〜50%、好ましくは15%〜40重量%であるのが好ましい。
【0047】
本発明の一つの特定実施例では、生物起源の強化材が生物起源のナノチューブから成る。この強化材は本発明組成物の総重量の2%〜20重量%にすることができる。
【0048】
本発明の一つの有利な実施例では、生物起源の強化材は長繊維、短繊維、小麦粉、織布の連続繊維、不織布の連続繊維、織布または不織布のマットの粉砕物である。
【0049】
本発明はさらに、織布または不織布の連続した生物起源の繊維、これらを使用して得られる生物起源の組織(織布または不織布のマット)にも関するものである。
【0050】
必要に応じて、生物起源の強化材に加えて、非生物起源の強化材、例えば炭素繊維またはカーボンナノチューブ、ガラス繊維、その他の化石原料起源の物質、さらには他に充填剤(例えばタルク、チョーク、マイカ、カオリンまたはモンモリロナイト)を加えても問題はない。
【0051】
本発明組成物は、ASTM規格 D6852の意味、より好ましくはASTM規格 D6866の意味での生物起源の少なくとも一つの第2強化材を含むことができる。第2の強化材は炭素繊維、カーボンナノチューブまたはガラス繊維にすることができる。
【0052】
全ての強化材の重量比率、すなわち生物起源の強化材と必要に応じて用いる非生物起源の強化材との重量比率は組成物の総重量の5%〜80%、好ましくは10%〜70%、さらに好ましくは15%〜50%、さらに好ましくは15%〜40%である。
【0053】
(生物起源の強化材)/(非生物起源の強化材)の質量比は0.3以上、好ましくは1以上、特に3以上である。の他の非生物起源の強化材は本発明組成物の総重量の30%以下、特に20%以下であるのが好ましい。
【0054】
本発明組成物の強化材、特に繊維を、適当な処理によってマトリックスに対する強化材の接着成を改良するために変成するのが必要な時もある。すなわち、ポリアミドとの接着成を改良するために、生物起源の強化材、必要な場合にはさらに非生物起源の第2の強化材を下記の中から選択される前記処理で処理することができる:
(1)化学的処理、
(2)ポリマーカップリング剤を用いた強化材の予備塗装、
(3)プラズマ処理、
(4)機械熱機械的処理、
(5)レーザー処理、
(6)γ線またはUV照射。
【0055】
従って、アミノ−シラン誘導体のような化学処理、ポリマーカップリング剤による繊維の予備塗装、プラズマ、レーザー、γ線またはUV-照射処理、その他の化学物質または機械的処理を使用した強化材、特に繊維の形をした強化材のマトリックスへの接着性を改良するための処理が考えられる。場合によっては塩基(水酸化ナトリウム)処理と、それに続く表面化合物を除去するための水洗を行うこともできる。
【0056】
本発明組成物は、一種以上の添加剤、例えばカップリング剤(ポリマーでもよい)、衝撃改良剤、加工助剤、紫外線安定剤、熱安定剤、特にMg(OH)2、Al(OH)3およびホスフィン酸エステルのような難燃剤を含むことができる。ここで使用するカップリング剤はポリアミドと強化材の接着を改良することを目的にしたものである。これらの添加剤は組成物の総重量の一般に50重量%以下、好ましくは30重量%以下にする。
【0057】
カップリング剤、衝撃改良剤、加工助剤、紫外線安定剤および熱安定剤の含有量は組成物の総重量の特に20重量%以下、好ましくは10重量%以下にする。
【0058】
最後に、本発明組成物は充填剤、例えばタルク、モンモリロナイト、チョーク、マイカおよびカオリンを組成物の総重量の30重量%以下、ましくは特に20重量%以下含むことができる。
【0059】
ポリアミドと生物起源の強化材とをベースにした本発明組成物は条件付きサンプル(23℃、50%相対湿度で15日間放置)でISO規格527 1BAに従って条件付けられた状態下で測定した引張りモジュラス(縦弾性係数)が3500MPa以上、好ましくは5000MPa以上であることで特徴付けられる。
【0060】
短繊維の形をした一種(または複数の)生物起源の強化材を含む本発明組成物は、下記工程から成る複合材料(コンポジット材料)の製造で使用できる:
(A)クロスヘッド押出機を用いて180〜240℃の温度で生物起源の強化材をポリアミド中に含浸させ、
(B)ロッドを押出し、
(C)ロッドを造粒する。
【0061】
本発明の物品は下記方法で得られる:
(1)短繊維の形をした生物起源の強化材の場合には、短繊維のペレットを215℃で射出成形(または射出圧縮成形)する。ペレットは本発明組成物を180〜240℃、特に200℃〜240℃、例えば215℃で押出機または共混練機で作り、得られたロッドをペレットに切断して得られる。
(2)連続した長繊維の形をした生物起源の強化材の場合には、連続した長繊維のペレットを215℃で射出成形(または射出圧縮成形する。ペレットは本発明組成物を例えばクロスヘッド・押出機で180〜240℃、特に200〜240℃、例えば215℃で溶融したポリアミドで連続繊維の束を含浸させ、得られたロッドを切断してペレットを得る。ロービングの形をした長繊維も射出成形中に直接に入れることができる。
【0062】
(3)織布または不織布のマットの形をした生物起源の強化材の場合には、
生物起源の強化材とポリアミドのフィルムとを交互に積層するか、織布または不織布のマットとポリアミドのフィルムとを交互に配置した多層物を巻き取り、180〜240℃、特に200〜240℃で熱間プレスする。
【0063】
(4)線維の束または繊維(織布または不織布)のマットの形をした生物起源の強化材の場合には、180〜240℃、特に200〜240℃、例えば215℃の溶融したポリアミド浴中で繊維を含浸(コーティング)(線維の束の場合、クロスヘッド押出機で)するか、流動床で含浸(すなわち、ポリアミド粉末を静電粉体塗装)し、オーブン中で180〜240℃、持に200〜240℃、例えば215℃で加熱するか、粉末コーティングした後、180〜240℃、特に200〜240℃、例えば215℃で融解塗装し、フィラメントワインディング(マンドレル上に繊維の束をワインディング)で予備含浸した材料から複合材料を製造するか、例えば中空物品を製造するか、プレスし、予備含浸した繊維マットからシートを熱成形してケーシングを製造する。
【0064】
(5)最後に、線維の束の形をした生物起源の強化材の場合には、プルトロージョン(pultrusion)でプロフィルの複合材料を製造する(線維束を引抜加工し、溶融した状態のポリアミド中で連続含浸するか、流動床と、プロフィル断面を固定するための200〜240℃、特に180〜240℃、例えば215℃の加熱具とを通す。
特にことわらない限り、上記の温度範囲は溶融状態の組成物で測定した値である。
【0065】
本発明組成物から得られる物品は下記の製造で使用できる:
(1)自動車の任意セクター、シリンダーヘッドカバー、吸気マニホルド、ラジエータハウジング、
(2)建設セクターのための。
(3)電気・電子セクター、ハウジング、ケーシングまたはキャビネット
(4)スポーツ用品セクター、例えばシューズの要素
【実施例】
【0066】
実施例1、2
未強化のMXD.10
メタ−キシレンジアミンとセバシン酸とから合成されたポリアミドMXD.10のISO527 1BAダンベル型試験片(275℃、2.16kgでのメルトフローインデックス(MFI)=20g/10分)を、60トンの射出成形機を210℃で射出成形で成形し、金型中に30℃または120℃で維持して作った。ポリアミドMXD.10のペレットはオーブン中で60℃で12時間、減圧下に予備乾燥した。融点はISO規格11357に従ってDSCで測定した。
このMXD.10のダンベル型試験片の他に、PA6およびPA11の試験片も23℃、50%相対湿度下で15日間、コンディショニングした。
引張り特性はISO規格527 1BAに記載のプロトコルで得た。[表1]は、210℃で射出成形したMXD.10と、60℃で射出成形したポリアミド−6(PA6、BASF社から市販のウルタミド(Ultramid、登録商標)82022と、240℃で射出成形したポリアミド-11(PAll、Arkemal社から市販のリルサン(Rilsan、登録商標)BMNO TLDとの引張りモジュラスを比較したものである。
【0067】
【表1】

【0068】
PA MXD.10では引張りモジュラスが2%〜6%だけ減少するが、PA6では引張りモジュラスが66%減るので、PA MXD.10コンディショニングに対してPA6よりはるかに敏感でない(水の吸収が少ない)という点に注意することが重要である。この利点は未処理のナチュラルな強化材(一般に化合物の水吸収が増加する)を導入した場合に特に重要である。
【0069】
さらに、PA MXD.10は210℃で射出成形可能手あるが、ポリアミド-6は240℃で射出成形するのが好ましく、ポリアミド-11は260℃で射出成形するのが好ましい。
この比較から、コンディショニングしたサンプルで測定した特性、特に機械特性を考慮することが必要であることが理解できる。
【0070】
実施例3、4と、比較例C〜F
強化材を15重量%含むポリアミド
85重量%のポリアミドと15重量%の強化材とから成る各種組成物を下記化合物から製造した:
使用したポリアミド:
(1)ポリアミドMXD.10(Mp=193℃)は実施例1、2と同じもの
(2)ポリアミド6(PA6、Mp=220℃)はBASF社から市販のウルタミド(Ultramid、登録商標、B36)に対応
(3)ポリアミド11(PA11、187℃)はArkema France社から市販のリルサン(Rilsan、登録商標)BMNOグレードに対応。
【0071】
融点Mpは上記ISO規格11357に従ったDSCで測定。
非生物起源の強化材はマトリックスとのカップリングするためにサイジングしたガラス繊維である。このガラス繊維を[表2]では「GF」で示す。
【0072】
テストした生物起源の強化材は下記の通りである:
(1)セルロースミクロフィブリル([表2]では「セルロース」で示す)はRettenmaier社からアルボセル(Arbocel)の商標で市販。実施例ではセルロースが99重量%以上のグレードのBWW40を選択した。
(2)亜麻繊維([表2]では「亜麻」で示す)はDehondt社からリンテックス(Lintex)の商標で市販。この実施例ではグレードM10Fを選択した。
【0073】
混合前に、これらの生物起源の強化材はオーブン中で100℃〜110℃で12時間、減圧下に予備乾燥した。同様に、PA MXD.10、PA6およびPAllのペレットもオーブン中で60℃および80℃で12時間、減圧下に予備乾燥した。
[表2]に詳細を示したポリアミドと生物起源の強化材との混合物をDSM社のExplore共回転二軸ミクロ押出機(microextruder)を用いて製造した。この押出機は2本の共回転スクリューを備えた熱管理された混合チャンバーを有する。材料は往復動ピストンで導入される。混合チャンバーは再循環チャネルを有し、閉ることができるダイを備え、それによって所定の原料を再循環できる。ダイを開き、熱管理されたチャンバー(ヒートガン)に原料は集める。このヒートガンは上記ミクロ押出機に接続され、射出成形機で一般に用いられるように、圧力および成形時間を変えたサイクルでISO527 1BAダンベル型試験片が作られる。金型の温度管理され、金型の温度を変化させることができる。
【0074】
以下に記載の実施例では混合物は下記温度で製造した:
(1)PA MXD.10またはPAllと生物起源の強化材とから成る混合物の場合、溶融物で測定した温度が190℃〜220℃、
(2)PA6と生物起源の強化材とから成る混合物の場合、溶融物で測定した温度が230℃。
【0075】
生物起源の強化材およびポリアミドは往復動ストンを用いて温度管理された混合チャンバーに導入する。混合物はスクリュー回転数を100回転/分にセットして製造した。再循環時間は90秒を選択した。射出中、ヒートガンも混合温度と同じ温度に温度調節し、金型は40℃および80℃にした。サイクルの最大圧力は16バールである。金型中での滞留時間は6〜20秒にした。
【0076】
本発明の実施例3、4および比較例EおよびFの各組成物から得たダンベル型試験片を23℃で50%相対湿度で、15日間コンディショニングした。コンディショニング後に各ダンベル型試験片の機械特性、特に、引張りモジュラス値をISO規格527 1BAに記載のプロトコルで評価した。引張りモジュラス(縦弾性係数)値(MPa)、標準偏差値および密度を[表2]に示す。
[表2]には下記の引張りモジュラス値 (ISO規格527 1BAに従ったもの)および密度値が記載してある:
(1)比較例Cの場合、ウルトラミド(Ultramid、登録商標)B3EG3グレード(PA6+ガラス繊維)(BASF社の技術シートによる)、
(2)比較例Dの場合、Arkema France社製造のPAllとガラス繊維との混合物(技術シートによる)
【0077】
【表2】

【0078】
実施例3、4の引張りモジュラスは低密度でPA6とガラス繊維とから作られたコンディショニングしたダンベル型試験片(比較例C)の値に少なくとも等しいか、さらにはそれを越えるような値に達することが分かる。
さらに、実施例4(MXD.10+亜麻)の引張りモジュラス値は、比較例E(PAll+亜麻)の値よりはるかに大きく、比較例D(PAll+ガラス繊維)の値よりも大きい。
最後に、実施例4(MXD.10+亜麻)の引張りモジュラス値は比較例F(PA6+亜麻)の値よりはるかに大きい。
【0079】
実施例5と、比較例G〜K
30重量%の強化材を含むポリアミド
70重量%のポリアミドと30重量%の強化材とから成る各種組成物を下記材料から調製した。
使用したポリアミドは以下の通り:
(1)ポリアミドMXD.10(Mp=193℃)は実施例1〜4と同じもの。
(2)ポリアミド6(PA6、Mp=220℃)はBASF社から市販のウルタミド(Ultramid、登録商標、B36)に対応。
(3)ポリアミド11(PA11、187℃)はArkema France社から市販のリルサン(Rilsan、登録商標)BMNOグレードに対応。
融点Mpは上記ISO規格11357に従ったDSCで測定。
非生物起源の強化材は、比較例C、Dに記載のものと同じサイジングしたガラス繊維である。このガラス繊維を[表3]では「GF」で示す。
【0080】
亜麻繊維([表3]では「亜麻」で示す)は実施例4および比較例E、Fで使用したものと同じもの。
実施例3、4および比較例E、Fに記載の組成物およびダンベル型試験片の製造プロトコルは上記と同じであるが、ミクロ押出機に導入する前に30重量%の生物起源の強化材を乾燥混合し、ポリアミドおよび強化材のペレットは上記と同じ条件下に乾燥した。
本発明実施例5、6と比較例K〜Hの各組成物と、得られるダンベル型試験片は23℃で50%相対湿度で15日間コンディショニングした。
【0081】
コンディショニング後に各ダンベル型試験片の機械特性、特に、引張りモジュラス値をISO規格527 1BAに記載のプロトコルで評価した。引張りモジュラス(縦弾性係数)値(MPa)、標準偏差値および密度を[表3]に示す。
[表3]には下記の引張りモジュラス値 (ISO規格527 1BAに従ったもの)(比較例Gを除く)および密度値が記載してある:
(1)比較例Gの場合には欧州特許第EP 0 960 162号公報の実施例9に記載のもの(ドイツ工業標準規格53455に従って測定した引張りモジュラスを記載)
(2)比較例Iの場合には、Arkema France社から市販のリルサン(Rilsan、登録商標)BZM30 0 TLグレード(PA11+ガラス繊維)
(3)比較例Jの場合には、BASF社からのウルタミド(Ultramid、登録商標) B3EG3で市販のグレード(PA6+ガラス繊維)(技術シートによる)。
【0082】
【表3】

【0083】
実施例5の引張りモジュラス値は低密度でPA6およびモジュラスに関して満足であることが知られているガラス繊維(比較例J)から作られたコンディショニングしたダンベル型試験片の値に匹敵するような値に達することが分かる。
生物起源の繊維は、必要に応じて機械特性、特に引張りモジュラスおよび密度に応じて選択できることは当然である。
生物起源の強化材が同様な種類および量の場合、本発明組成物はPA11またはPA6をベースにした原料よりも優れた機械特性を有する原料を得ることができる。特に実施例5と比較例H(PA11の場合)および実施例5と比較例K(PA6の場合)を比較できる。
PA11をベースにした組成物の場合でも、生物起源の亜麻繊維を同じ量のガラス繊維に代えることで上記の観察結果は有効である(実施例5と比較例Iを参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのMXD単位を有する少なくとも一つのポリアミド(MXDはメタ-キシレンジアミンまたはメタ-キシレンジアミンとパラ-キシレンジアミンとの混合物を表す)と、ASTM規格 D6852が定義する意味、好ましくはASTM規格 D6866が定義する意味での生物起源の強化材とを組み合わせた組成物。
【請求項2】
ポリアミドが式MXD.Zに対応する(ここで、Z単位は脂肪族、脂環式または芳香族のC4〜C36ジカルボン酸)請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリアミドが式A/MXD.Zに対応するコポリアミドである(ここで、Z単位は脂肪族、脂環式または芳香族のC4〜C36ジカルボン酸、A単位はラクタム、α、ω−アミノカルボン酸および脂肪族、脂環式または芳香族のC4〜C36ジカルボン酸と脂肪族、脂環式、アリール脂肪族または芳香族のC4〜C36ジアミンとの反応生成物の中から選択される)請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Z単位が少なくとも6個、好ましくは7〜10の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸である請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
A単位が少なくとも6個、好ましくは少なくとも10個の炭素原子を有するラクタムまたはα、ω−アミノカルボン酸である請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
A単位がカプロラクタム、ラクタム12、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸の中から選択される畝に記載の組成物。
【請求項7】
A単位がジアミンとジカルボン酸との縮合生成物であり、ジアミンが芳香族ジアミン、好ましくはメタ−キシレンジアミンまたはメタ−キシレンジアミンとパラ−キシレンジアミンとの混合物である請求項3または4に記載の組成物。
【請求項8】
式A/MXD.ZのコポリアミドのMXD.Z単位のモル比が25%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上である請求項3〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
生物起源の強化材が植物繊維、動物繊維、生物起源のポリマー、生物起源の炭素繊維、生物起源のカーボンナノチューブの中をから選択される少なくとも一つの要素を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
植物繊維が亜麻、大麻、サイザル、ケナフ、マニラ麻およびジュートの中から選択される請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
生物起源の強化材が粉砕材料、小麦粉、短繊維、長繊維、織成された連続繊維、不織布の連続繊維、織成繊維または不織布のマットの形をしている請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも一つの生物起源ではない第2の強化材をさらに含み、この第2の強化材が炭素繊維、カーボンナノチューブまたはガラス繊維でもよい請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
(非生物起源の第2の強化材)に対する(生物起源の強化材)の質量比率が0.3以上、好ましくは1以上、特に3以上である請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
生物起源の強化材の(第2の非生物起源の強化材が存在する場合にはさらにそれを加えた)重量比率が、組成物の総重量の5%〜80%、好ましくは10%〜70%、さらに好ましくは15%〜50%、より好ましくは15%および40%である請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも一種の第2のリアミドをさらに含む請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
第2のポリアミドの重量比率がポリアミドの全体の50%以下、好ましくは25%以下、特に15%以下である請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
衝撃吸収剤、加工助剤、UV−安定剤、熱安定剤、難燃剤の中から選択される少なくとも一種の添加剤を組成物の総重量の50%以下、好ましくは20%以下の比率で含む請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
充填剤、例えばタルク、モンモリロナイト、チョーク、マイカおよびカオリンを組成物の総重量の30%以下、特に好ましくは20%以下の比率でさらに含む請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
生物起源の強化材(第2の非生物起源の強化材が存在する場合には第2の非生物起源の強化材も)が、ポリアミドに対する接着を改良するための処理を行ったものであり、この処理が下記の中から選択される請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物:
化学処理、
ポリマーのカップリング剤による強化材の予備塗布、
プラズマ処理、
機械熱機械的処理、
レーザー処理、
γ線またはUV照射。
【請求項20】
下記の工程(A)〜(C)を有する請求項11〜19のいずれか一項に記載の短繊維の形をした生物起源の強化材を含む複合材料の製造方法:
(A)クロスヘッド押出機を用いて180〜240℃の温度で生物起源の強化材をポリアミド中に含浸させ、
(B)ロッドを押出し、
(C)ロッドを造粒する。
【請求項21】
下記の工程(A)〜(C)を有する請求項11〜19のいずれか一項に記載の長い連続繊維の形をした生物起源の強化材を含む複合材料の製造方法:
(A)クロスヘッド押出機を用いて180〜240℃の温度で生物起源の強化材をポリアミド中に含浸させ、
(B)ロッドを押出し、
(C)ロッドを造粒する。
【請求項22】
下記の工程(A)と(B)を有する請求項11〜19のいずれか一項に記載の織布または不織布の形をした生物起源の強化材を含む複合材料の製造方法:
(A)生物起源の強化材とポリアミドのフィルムとを交互に積層するか、生物起源の強化材とポリアミドのフィルムとを交互に配置した多層物を巻き取り、
(B)180〜240℃で熱間プレスする。
【請求項23】
下記の工程(A)〜(C)を有する請求項11〜19のいずれか一項に記載の連続繊維の形をした生物起源の強化材を含む複合材料の製造方法:
(A)ポリアミドの流動床中で静電的な方法で生物起源の強化材を含浸し、オーブン中で200〜240℃でポリアミドを加熱して溶融させ、
(B)フィラメントワインディングをし、
(C)オーブン中で180〜240℃に加熱する。
【請求項24】
下記の工程(A)と(B)を有する請求項11〜19のいずれか一項に記載の織布または不織布の形をした生物起源の強化材を含む複合材料の製造方法:
(A)生物起源の強化材を予備含浸し、
(B)180〜240℃で熱間プレスしてシートにする。
【請求項25】
下記の工程(A)と(B)を有する請求項11〜19のいずれか一項に記載の連続繊維の形をした生物起源の強化材を含む複合材料の製造方法:
(A)生物起源の強化材を引抜加工し、ポリアミドの溶融状態または粉末流動床中でポリアミドを連続的に含浸し、
(B)180〜240℃で加熱した工具を通過させて所定断面のプロフィルの形にする。
【請求項26】
物品、特にリサイクル可能な物品を製造するための、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項27】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物から得られる、特に、射出成形、押出成形、熱加工、カレンダー加工、フィラメントワインディングまたは上記組成物のプルトルージョン(pultrusion)で得られる物品。
【請求項28】
請求項27に記載の物品の、自動車分野、建設分野、電気・電子分野またはスポーツ用品分野での使用。

【公表番号】特表2012−509381(P2012−509381A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536934(P2011−536934)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052260
【国際公開番号】WO2010/058140
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】