説明

ポリアミドの製造方法

本発明は、次の工程:
A)ジカルボン酸及びジアミンからの水性モノマー混合物を準備する工程、その際、ジカルボン酸対ジアミンのモル比は、工程C)の出口でそのつど他の成分に対するジカルボン酸又はジアミンのモル不足量1〜10mol%が存在するように調節される、
B)工程A)からの水性混合物を連続的に運転する蒸発器反応器中へ移行する工程、前記蒸発器中で、ジアミン及びジカルボン酸を100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で反応させる、
C)ガス状成分を分離しつつ、工程B)からの混合物を分離器中へ移行する工程、前記分離器は100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で運転する、
D)前記モル不足量を補償するために適した量にあるジアミン又はジカルボン酸と一緒に工程C)からの混合物を管型反応器中へ移行する工程、前記反応器は100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で運転する、滞留時間は10秒〜30分間の範囲内にわたる、
E)脱ガス開口部を通じてガス状成分を除去しつつ、工程D)からの混合物を押出機中へ移行する工程、前記押出機は150〜400℃の範囲内の温度で運転する、滞留時間は10秒〜30分間の範囲内にわたる
を有するジカルボン酸及びジアミンを基礎とするポリアミドの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、ジカルボン酸及びジアミンを基礎とするポリアミドの製造方法に関し、特に部分芳香族性部分結晶性ポリアミドの製造方法に関する。
【0002】
特に高い粘度数を有するポリアミドの製造は、典型的に、高い反応温度の適用を必要とする。この温度は再度、副反応の高められた進行を生じる。高い粘度は加えて、反応器中の増大した被覆物形成を生じ、最悪の場合には反応器の閉塞を生じる。停止時間及び手間のかかる反応器清浄化が結果として生じる。
【0003】
WO−A−2008/155281からは、本発明の工程A)、B)、C)及びE)を既に含むポリアミドの製造方法が既に知られている。この方法は、アミンの場合の反応実施に関して脱ガス押出機中の後計量供給をなお改めるべきである。
【0004】
従って、本発明の基礎となる課題は、前述の欠点に対処することである。
【0005】
これに応じて、次の工程:
A)ジカルボン酸及びジアミンからの水性モノマー混合物を準備する工程、その際、ジカルボン酸対ジアミンのモル比は、工程C)の出口でそのつど他の成分に対するジカルボン酸又はジアミンのモル不足量1〜10mol%が存在するように調節される、
B)工程A)からの水性混合物を連続的に運転する蒸発器反応器中へ移行する工程、その際、ジアミン及びジカルボン酸は100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で反応させる、
C)ガス状成分を分離しつつ、工程B)からの混合物を分離器中へ移行する工程、前記分離器は100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で運転する、
D)前記モル不足量を補償するために適した量にあるジアミン又はジカルボン酸と一緒に工程C)からの混合物を管型反応器中へ移行する工程、前記反応器は100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で運転する、滞留時間は10秒〜30分間の範囲内にわたる、
E)脱ガス開口部を通じてガス状成分を除去しつつ、工程D)からの混合物を押出機中へ移行する工程、前記押出機は150〜400℃の範囲内の温度で運転する、滞留時間は10秒〜30分間の範囲内にわたる、
を有するジカルボン酸及びジアミンを基礎とするポリアミドの新規かつ改良された製造方法が見出された。
【0006】
本発明の方法は、固相重縮合前にポリアミドの粘度の減少を可能にし、かつ高温で滞留時間の減少を可能にし、これによって、副反応、例えばトリアミン形成の発生がより少なくなり、ひいては生成物の品質が改善される。本発明により、まずジカルボン酸又はジアミンが不足量で存在し、そして、後縮合のための押出機中への導入の際に初めてこの不足量が補償される方法様式が、特に高い粘度数を有する部分芳香族性部分結晶性ポリアミドの製造を可能にすることが見出された。この方法は、好ましくは、全ての高分子量ポリアミドの製造のためであるが、しかし特に、工程A)におけるモノマー混合物が、テレフタル酸60〜88質量%及びイソフタル酸12〜40質量%からのジカルボン酸混合物とヘキサメチレンジアミンからなり、その際、20質量%までのジカルボン酸混合物は他のジカルボン酸により置き換えられていてもよく、かつ、前記ヘキサメチレンジアミンは20質量%までが他のC2〜C30−ジアミンにより置き換えられていてよい場合に利点を有する。
【0007】
本発明の方法は、蒸発反応器−分離器−管型反応器、押出機の順番を有し、その際、反応器蒸発器中にはジカルボン酸及びジアミンからの水性モノマー混合物が導通される。この場合に、ジカルボン酸対ジアミンのモル比は、後続の分離器段階の出口でジカルボン酸又はジアミンのモル不足量1〜10mol%がそのつど他の成分に対して存在するように調節される。このことは例えば、既に水性モノマー混合物の準備の際にジカルボン酸又はジアミンのモル不足量が予定されていることによって達成されることができる。しかし、蒸発器反応器後に、ジカルボン酸又はジアミンの一部が蒸発によってこの反応器混合物から除去される限り、蒸発反応器中で等モル量のジカルボン酸及びジアミンでもって開始することもでき、というのも、分離器後に不足量のジカルボン酸又はジアミンが存在するからである。工程A)におけるモノマー比は、工程C)の出口で1〜10mol%のモル不足量のジカルボン酸又はジアミンがそのつどの他の成分に対して存在するように選択される。例えば、100mol%のジカルボン酸では相応して90〜99mol%のジアミンが工程C)の終わりに存在してよい。水性モノマー混合物中で具体的に調節すべき化学量論量は、モノマーの種類に依存し、かつ、工程C)における分離器から得られる混合物の単純な分析によって決定されることができる。このために、例えば工程C)の終わりに得られるポリアミド又はポリアミド−オリゴマーはこのカルボキシル末端基及びアミノ末端基に関して分析されることができる。
【0008】
前述の好ましいモノマー混合物の使用では、典型的にはヘキサメチレンジアミンが蒸発器反応器後に一部ガス状で搬出される。そうして、例えば等モル量のヘキサメチレンジアミン及びジカルボン酸を用いて開始することが可能であり、これによって、分離器の終わりには不足量のヘキサメチレンジアミンが(プレ)ポリマー中に存在する。しかし、工程A)においてテレフタル酸及びイソホロン酸に対してモル過剰量のヘキサメチレンジアミンを用いて開始することも可能であり、この結果、工程C)の終わりには不足量のテレフタル酸/イソフタル酸が存在する。この場合には、テレフタル酸/イソフタル酸は工程D)で管型反応器中に計量供給される。
【0009】
典型的には工程A)において出発モノマーの塩水溶液が使用され、というのも、ジアミン及びジカルボン酸が塩を形成するからである。
【0010】
モノマー混合物は、好ましくは50mol%のジカルボン酸混合物及び50mol%のジアミン又はジアミン混合物からなる。ジカルボン酸混合物は60〜88質量%テレフタル酸及び12〜40質量%イソフタル酸からなる。好ましくは64〜80質量%、特に64〜76質量%のテレフタル酸が存在し、かつ、好ましくは20〜36質量%、特に24〜36質量%のイソフタル酸に相応する。更に、ジカルボン酸混合物の20質量%までが他のジカルボン酸によって置き換えられていてもよい。好ましくはこれは0〜10質量%、特に0〜5質量%である。ジカルボン酸混合物の一部が他のジカルボン酸により置き換えられている場合に、この他の成分の下限は好ましくは0.5質量%、特に1質量%である。他の適したジカルボン酸は例えばアジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸(Acelainsaeure)及びセバシン酸並びに7−スルホイソフタル酸である。
【0011】
ジアミン成分としてヘキサメチレンジアミンが使用され、これは20質量%までが他のC2〜C30−ジアミンによって置き換えられていてよい。好ましくは0〜10質量%、特に0〜5質量%のヘキサメチレンジアミンが他のC2〜C30−ジアミンによって置き換えられている。他のC2〜C30−ジアミンが存在する場合、その最小量は好ましくは0.5質量%、特に少なくとも1質量%である。適した更なるジアミンは例えばテトラメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン及びドデカメチレンジアミン並びにm−キシリレンジアミン、ビス−(4−アミノフェニル)メタン、ビス−(4−アミノフェニル)プロパン−2,2及びビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン又はその混合物である。
【0012】
付加的なジアミンとして好ましくはビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンが使用され、これは名称DicycanでBASF SEから入手される。
【0013】
好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸及びヘキサメチレンジアミンの他に他のジカルボン酸又はジアミンは使用されない。
【0014】
工程B)においては、工程A)からの水性混合物を連続的に運転する蒸発器反応器中へ移行させ、その中で、ジアミン及びジカルボン酸は100〜370℃、好ましくは200〜340℃の範囲内の温度及び1〜50bar、好ましくは5〜30barの範囲内の圧力で反応させる。蒸発器反応器はこの場合に、任意の適した様式で形成されていてよい。例えばこれは管束型反応器であってよく、例えばEP−A−0 129 195に記載されている。好ましくは、上方から下方に貫流する垂直式管型反応器である。
【0015】
工程B)における滞留時間は好ましくは0.2〜10分間、特に好ましくは1〜5分間である。
【0016】
蒸発器反応器には、分離器が接続してよく、この分離器は温度100〜370℃、好ましくは200〜340℃で運転される。この分離器中の圧力は好ましくは1〜50bar、特に好ましくは5〜30barである。工程C)中の滞留時間は好ましくは1〜45分間、特に好ましくは2〜15分間である。分離器中ではガス状成分、特に水及び揮発性モノマーが分離される。例えば、前記した好ましいモノマー混合物の使用の場合には、約1〜10質量%の当初使用されたジアミン、ヘキサメチレンジアミンが水蒸気と一緒に分離される。このガス状混合物は、それから蒸留又は精留に供せられてよく、その際、水蒸気は頂部を介して取り出され、ジアミン/水−混合物が底部中で得られる。この混合物は工程A)又はB)に又はこの両工程に返送されてよい。一般に、工程C)において水蒸気及び揮発性ジカルボン酸又はジアミンを分離し、これを引き続いて蒸留により分離し、その際、ジカルボン酸又はジアミンが濃縮した水性縮合物を工程A)及びB)の1つ又は両方に返送する。
【0017】
当該方法に返送される、蒸発を用いて搬出したジアミンの含分によって、同様に不足量のジアミンが調節されることができる。
【0018】
工程C)の分離器には、工程D)において管型反応器が接続し、この中では工程C)からの混合物がモル不足量の補償に適した量にあるジアミン又はジカルボン酸と一緒に導通される。管型反応器は150〜400℃、好ましくは200〜370℃の範囲内の温度で運転され、かつ、10秒〜30分間、好ましくは2秒〜10分間の範囲内の滞留時間に調節される。
【0019】
工程D)の管型反応器には、工程E)において押出機が接続し、この中では工程D)からの混合物が導通される。押出機は150〜400℃、好ましくは200〜370℃の範囲内の温度で運転され、かつ、10秒〜30分間、好ましくは2秒〜10分間の範囲内の滞留時間に調節される。押出機中では同様にガス状成分が脱ガス開口部を通じて除去される。
【0020】
脱ガスステップを有する適した押出機は、当業者に知られている。この場合に、本発明により好ましくは二軸スクリュー押出機が使用でき、これは同方向又は反転二軸スクリュー押出機であってよい。押出機の説明についてはEP−A−0129195及びDE−A−19514145を参照できる。
【0021】
工程C)後に不足量のジアミン又はジカルボン酸が存在するかどうかに応じて、工程D)においてジアミン又はジカルボン酸を計量供給する。モル不足量の補償に適した量は、単純な試験によって算出でき、その際、押出機後に得られるポリアミド中のカルボキシル末端基含有量及びアミノ末端基含有量が測定されることができる。最初に不足量のジアミンを用いて作業する限り、工程D)においては好ましくは、アミノ末端基含有量が少なくとも20mmol/kgだけ高められるようにジアミンが計量供給される。工程D)の終わりにアミノ末端基含有量は好ましくは30〜250mmol/kg、特に好ましくは50〜100mmol/kg、又は40〜220mmol/kgである。本発明の方法の他の工程における添加もまた可能である。
【0022】
加えて、押出には固相−後縮合及び顆粒化工程が続いてよい。
【0023】
工程E)に応じて得られるポリアミドは、好ましくは粘度数を20〜200、特に好ましくは40〜80の範囲に有し、とりわけ前記した好ましいモノマー混合物の使用の場合である。ヘキサメチレンジアミンの使用では、工程D)において他のジアミンも計量供給されてよく、例えばジシアン(Dicycan)である。加えて、当該方法の種々の箇所で更なる添加剤を添加することが本発明により可能であり、これは例えばオキサゾリン、超分枝ポリマーであってアミノ基又はカルボキシル基を有するもの及び他の添加剤である。この添加剤は、例えば蒸発器反応器に接続する搬出ポンプの前又は後に、コールドフィード又はホットフィードとして分離器中で供給されることができる。
【0024】
好ましい、本発明により得られるポリアミドは、ガラス転移温度を110〜150℃の範囲内に、そして融点を280〜320℃の範囲内に有する。これは好ましくは、20%超の結晶化度を有し、従って透明でない。
【0025】
本発明により製造可能なポリアミドは、例えば、車両適用又は自動車適用のために、例えば車室の内室被覆材のために、ダッシュボードのために、カバーのために、例えばバルブハウジングのカバーのために、ブローモーター及びファンモーターの固定ソケットのために、制御のためのベースプレートのために、排ガス返送コンポーネントのために、エアーサプライモジュールのために、例えばターボユニット又はターボディーゼルユニット、例えばチャージエアー熱交換器のハウジング(Intercooler)のためのもの、ガソリン及びディーゼルエンジンのスロットルハウジングの敷設のために、ガソリン及びオイル導通システム又はこれらと接触できるシステムのために(これらは連結部(コネクター)、フィッティング、フィルターハウジング及びインジェクションフレームの形にある)、冷却システム中の液体のためのインテーク及びアウトテーク領域のために、ブレーキ液のための容器及び連結部品のために、車両エレクトリック又は車両エレクトロニクスのために、これは例えばエレクトロニクス制御のための連結部(コネクター)及びプラグの形にあり、エレクトロ−、エレクトリック−及びエレクトロニクス適用のために、例えばプラグ、コレクター支持具(電動機における)、ブレードホイール(電気掃除機における)、スイッチエレメント及び継電器並びにエレクトロ−及びエレクトロニクスコンポーネント、特に帯状はんだ技術で実装されるもののために、飲料水領域、加熱領域、衛生及び浴場領域のために、例えば管、シール、バルブ、取付部品及び容器のために、家庭領域のために、例えば家庭用品、例えばコーヒーマシン及びエスプレッソマシン、白物家電、例えば食器洗浄機及び洗濯機並びに乾燥機又はキッチンシャワーのために、医薬技術的適用のために、例えばシリンジ、カニューレ、袋、手袋又は押出ガン(デンタル材料用)、金属代替物としての適用のために、例えば射出成形、例えば取付部品又はクランプリングのために適している。
【0026】
実施例
ジアミン(ヘキサメチレンジアミン、HMD)及びジカルボン酸からの高温抵抗性ポリアミドの連続的製造のための設備は次の機能群からなる:
バッチ調整
計量供給及び加熱
前縮合
分離器中の後縮合
管型反応器中の後縮合
HMD精留
脱ガス及び顆粒化。
【0027】
方法の説明:
ジアミン、ジカルボン酸、調節剤及び水から撹拌槽中のバッチ調整において反応溶液を製造し、受け器中に移す。この受け器から供給ポンプを用いて加熱機を介して垂直式蒸発器反応器の頂部に反応溶液を計量供給する。充填物で充填し、かつDiphyl加熱した装置中で、加圧及び加熱下で水脱離(重縮合)下でこのモノマーを反応させて、低分子量予備生成物にする。予備生成物、蒸気状溶液−及び反応水並びに未反応ジアミン及び二酸の一部からの発生した混合物を、接続する分離器中に導通する。ここで、ポリマー溶融物から蒸気状含分が分離される。排出される排気流を精留塔に導通し、冷水を散水する。これによって、蒸発したモノマー及び飛沫同伴されたポリマー粒子から水蒸気が分離される。水溶液の形で底部に発生するジアミンは、ポンプ循環され、この間に凝固したポリマー粒子のフィルターを介した分離後に蒸発器反応器前の反応溶液へとポンプ返送される。この分離器からのポリマー溶融物を管型反応器へ導通させ、アミン添加する。制御バルブを介して管型反応器から押出機へこの溶融物を計量供給し、残留する水を脱ガスする。ストランドで排出したポリマーを水で冷却し、顆粒化する。
【0028】
バッチ調整
このバッチの全成分(約2500kg)を撹拌槽中で95℃で溶解させる。60分間の溶解時間後に試料をpH測定のために取り出す。pH値をHMD又はテレフタル酸/イソフタル酸混合物の添加により、このバッチの化学量論を調節するために、pH値6.5〜7.05に調節する。引き続き、この必要とされる調節剤量を添加する。
【0029】
バッチが記載の通り製造されている場合には、このバッチは往復ラインを介して受け槽に移行されることができる。
【0030】
計量供給及び加熱
前縮合
受け器からこのバッチ溶液を、95℃で温度処理したフィードポンプを介して蒸発器反応器へとポンプ輸送する。
【0031】
このDiphyl加熱した反応器中で、モノマーは水脱離下で、低分子量の、すなわち、短鎖のポリアミドへと反応する。同時に、ほぼ全溶液−及び反応水が蒸発する。
【0032】
蒸発器反応器は直径33.6mm及び長さ4000mmを有する10個の管からなる。この充填物は、中央ブリッジ部を有する5mmラシヒリングからなる。蒸発器反応器は、安全バルブで入口側で保護されている。
【0033】
後縮合
後接続する分離器を、プレポリマー及び水蒸気からの混合物の相分離に用い、これはこの装置中への流入管を介して貫流する。分離器は構築長さ1800mm及び内径300mmを有し、その際、最後の250mmは円錐形になっている。流入管は側方で偏心して配置されている。この下側に開口した管を用いて、この相混合物を内壁付近の分離器の半分へと導入する。
【0034】
プレポリマーを溶融流動状に維持するために、分離器をDiphylを用いて二重ジャケットを介して温度処理する。この排気はふたにある排気導通部を介してジアミン精留の塔の方向へとこの装置を離れる。
【0035】
このシステムは加圧(20bar)下にあるので、このポリアミド溶融物中には少量の水含分が溶解したままである。
【0036】
この水含分は分子量増成を制限し、かつ溶融点低下を生じる。
【0037】
ポリアミド溶融物は制御バルブを介して脱ガス押出機に供給される。
【0038】
ジアミン返送
排気を加熱していない精留塔中へと導入する。ここで排気は水と向流において洗浄される。この場合に、水溶性オリゴマーは洗浄水と一緒に塔から搬出される。塔中の圧力の制御を、蒸気加熱した制御バルブを介して塔の頂部で行う。頂部フードを介してこの塔に散水する。塔の下側に差圧を介したレベル測定が存在する。塔中でこの排気からの有機含分を散水(Beregnung)を用いて洗浄し流す。塔底部の循環(約1000l/h)から沈殿含分を蒸発器反応器前の生成物流中に返送する。この逆送量は約40l/hである。この塔の頂部流を導出する。この頂部流(約70kg/h)は全体的な水及び少ない割合のジアミン(0.3〜0.5%)を含有する。ジアミンは、反応から取り出されるので、損失として考慮しなくてはならない。
【0039】
脱ガス及び顆粒化
搬出バルブは押出機への一定の生成物流を制御する。押出機とはZDSK 57である。このスクリューの封止は、2kg/hの顆粒のコールドフィード計量供給を用いて後方へと行われる。押出機では、ポリマー溶融物中に含まれる水が前方脱ガス及び後方脱ガスにより除去される。ポリマー溶融物を、水中顆粒化技術を用いて顆粒化する。
【0040】
実施例1〜5
この量パラメーター及び方法パラメーターは以下表から取り出すことができる。
【0041】
水に、ヘキサメチレンジアミン溶液(水中69.47%、BASF)、メタキシレンジアミン(MXD)、テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)(Lonza)を装入容器中で93℃で混合した。
【0042】
塩溶液を蒸発器反応器中で生成物搬出温度及び圧力(表参照)でポンプ輸送した。生成物温度及び生成物圧力はこの表から認識できる。メタキシレンジアミン(MXD)を管型反応器中へ後計量供給した。
【0043】
ポリマー溶融物を320℃で押出し、顆粒化し、次に表から明らかであるように、温度処理した。
【0044】
この結果を次の表の中でまとめている:
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
A)ジカルボン酸及びジアミンからの水性モノマー混合物を準備する工程、その際、ジカルボン酸対ジアミンのモル比は、工程C)の出口でジカルボン酸又はジアミンのモル不足量1〜10mol%がそのつど他の成分に対して存在するように調節される、
B)工程A)からの水性混合物を連続的に運転する蒸発器反応器中へ移行する工程、前記蒸発器中で、ジアミン及びジカルボン酸を100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で反応させる、
C)ガス状成分を分離しつつ、工程B)からの混合物を分離器中へ移行する工程、前記分離器は100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で運転する、
D)前記モル不足量を補償するために適した量にあるジアミン又はジカルボン酸と一緒に工程C)からの混合物を管型反応器中へ移行する工程、前記反応器は100〜370℃の範囲内の温度及び1〜50barの範囲内の圧力で運転する、滞留時間は10秒〜30分間の範囲内にわたる、
E)脱ガス開口部を通じてガス状成分を除去しつつ、工程D)からの混合物を押出機中へ移行する工程、前記押出機は150〜400℃の範囲内の温度で運転する、滞留時間は10秒〜30分間の範囲内にわたる、
を有するジカルボン酸及びジアミンを基礎とするポリアミドの製造方法。
【請求項2】
顆粒化工程及び固相−後縮合が押出に続くことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程C)において水蒸気及び揮発性ジカルボン酸又はジアミンを分離し、これを引き続き蒸留により分離し、その際、ジカルボン酸又はジアミンが濃縮した水性縮合物を工程A)及びB)の1つ又は両方に返送することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
蒸発器反応器が、上方から下方へと貫流する垂直式管型反応器であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
工程A)におけるモノマー混合物が、テレフタル酸60〜88質量%及びイソフタル酸12〜40質量%からのジカルボン酸混合物とヘキサメチレンジアミンからなり、その際、20質量%までのジカルボン酸混合物は他のジカルボン酸により置き換えられていてもよく、かつ、前記ヘキサメチレンジアミンは20質量%までが他のC2〜C30−ジアミンにより置き換えられていてよいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
モノマー混合物中で等モル量のジカルボン酸及びジアミンが存在し、工程C)における分離において、工程A)において使用されるヘキサメチレンジアミンの0.5〜15質量%をガス状で分離し、かつ、工程D)において、工程E)の終わりに得られるポリアミド中にアミノ末端基の含有量が40〜220mmol/kgであるようにヘキサメチレンジアミンを添加することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
工程D)において、アミノ末端基含有量が少なくとも20mmol/kgだけ高められるようにジアミンを計量供給することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
繊維、充填剤、着色剤、助剤又はその混合物をコンパウンド化のために直接的に押出機中に供給することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
管型反応器が完全に又は部分的に固定ミキサーを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
車両、例えば自動車における、家庭領域、エレクトリック領域、エレクトロニクス領域、飲料水領域、加熱領域、衛生又は浴場領域、医薬技術領域における、又は金属代替物としての請求項1に記載のポリアミドの使用。

【公表番号】特表2013−513005(P2013−513005A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542460(P2012−542460)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068788
【国際公開番号】WO2011/069892
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】