説明

ポリアミド樹脂組成物の製造方法

【課題】成形用途(自動車部品、工業用途部品、電子部品、ギア等)や押出用途(チューブ、棒、フィラメント、フィルム、ブロー等)に好適に使用される靭性や表面外観に優れる微細な無機物を均一に分散させたポリアミド樹脂組成物とその製造方法の提供。
【解決手段】無機物および/または有機物の粉体とスラリー媒液からスラリーを形成し、次いでスラリー状態のまま粉体を粉砕し、さらに粉砕工程を経たスラリーとポリアミドを溶融混練することによるポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、粉砕工程を経た粉体の平均粒子径が1μm以下、かつ粉砕工程を経たスラリーの粘度が100cP以上5000cP以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な産業部品用の材料として好適な靱性や表面外観に優れる微細化した無機物が均一に分散したポリアミド樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリアミドの特性を改良あるいは向上させることを目的として、ポリアミドに各種無機物や有機物を配合することは広く行われている。例えばガラス繊維や炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維などの無機繊維状充填材、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、アルミナ、ベーマイト、アパタイトなどの無機粒子、あるいは雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母などの層状化合物などの各種無機物、あるいはメラミンシアヌレートやポリリン酸メラミンなどの有機系難燃剤をポリアミドに配合する方法が提案されまた用いられている。
【0003】
しかしながら、これらポリアミド中に分散している粉体はポリアミドとの親和性に乏しいため、表面外観や表面平滑性の低下や靭性の低下を引き起こす。
こうした問題を改良する方法のひとつとして、微細化した粉体を用いる方法が提案されている。この方法は粉体の比表面積を飛躍的に増大させることにより樹脂との親和性を向上させ、上記問題を解決しようというものである。しかしながら、例えば数十から数百ナノメーターサイズの粉体を従来の方法でポリアミド樹脂に配合したとしても、粉体の嵩比重が非常に高いために取り扱いに問題が生じたり、あるいは微細化粉体が凝集した組成物しか得られず目的の性能が達成できないというのが現状である。
また、重合原料に微細化した粉体を添加し、上記の問題を改良する方法も提案されているが(例えば、特許文献1、2参照。)、それでもなお、目的を満足する性能を示すには至っていない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−158431号公報
【特許文献2】特開2003−192890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、靭性や表面外観に優れる微細な粉体を均一に分散させたポリアミド樹脂組成物とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、スラリー状態で粉体をボールミルを用いて粉砕し、かつ得られるスラリーの粘度を特定範囲になるようにする。それに引き続き、該粉砕した粉体とポリアミドとを溶融混練する方法を用いることで微細な粉体をポリアミド樹脂中に均一に分散させることができることを見出し本発明に到った。
【0007】
すなわち本発明は、
1.無機物および/または有機物の粉体とスラリー媒液からスラリーを形成し、次いでスラリー状態のまま粉体を粉砕し、さらに粉砕工程を経たスラリーとポリアミドを溶融混練することによるポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、粉砕工程を経た粉体の平均粒子径が1μm以下、かつ粉砕工程を経たスラリーの粘度が100cP以上5000cP以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法、
2.溶融混練工程の最初に、粉砕工程を経たスラリーをフィードし、次いでポリアミドの少なくとも一部をフィードすることを特徴とする上記1に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
3.溶融混練工程の最初に、粉砕工程を経たスラリーとポリアミドの少なくとも一部をフィードすることを特徴とする上記1または2に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
4.該スラリーの媒液が、水であることを特徴とする上記1から3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
5.スラリー状態のまま含有粉体を粉砕する工程において、粉砕装置がボールミルであり、かつ用いるビーズの粒径が0.3mm以下であることを特徴とする上記1から4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
6.溶融混練工程で、少なくとも1つ以上の脱気口を有する装置を用いることを特徴とする上記1から5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
7.無機物としてアパタイト形成成分、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウムおよびフッ化カルシウムのいずれか1種以上を用いることを特徴とする上記1から6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
8.有機物としてメラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミンおよびリン酸エステルのいずれか1種以上を用いることを特徴とする上記1から7のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、
9.上記1から8のいずれかに記載の方法で製造されるポリアミド樹脂組成物、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、強度・剛性および靭性、外観に優れるポリアミド樹脂組成物およびその製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアミドは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体であれば特に限定されない。本発明の課題を達成するための好ましいポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6I、ポリアミド6T及びこれらのうち少なくとも2種類の異なるポリアミド成分を含むポリアミド共重合体あるいはこれらの混合物などである。
本発明の無機物の粉体は、ポリアミドを強化する目的で用いられる周知の無機物、あるいは該無機物の形成成分となるものであれば特に限定されない。例えば、ガラス繊維や炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、アパタイト等である。
【0010】
前記無機物の形成成分は、ポリアミド重合の工程が完了までに無機物を形成しうる形成成分等である。無機物は単独で用いても複数の無機物を合わせて用いても構わない。中でも好ましい無機物は、タルク、カオリン、マイカ、ウォラストナイト、フッ化カルシウム、炭酸カルシウムである。また、ポリアミドの重合の工程が完了までに無機物を形成しうる好ましい形成成分は、アパタイト形成成分である。該アパタイト形成成分は、リン酸一水素カルシウムのようなリン酸系カルシウム化合物及び/または炭酸カルシウムのような非リン酸系カルシウム化合物である。
前記リン酸系カルシウム化合物とは例えば、リン酸一水素カルシウム(CaHPO)、リン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)、二リン酸二水素カルシウム(CaH)、リン酸二水素カルシウム一水和物(Ca(HPO・HO)、二リン酸カルシウム(α−およびβ−Ca)、リン酸三カルシウム(α−およびβ−Ca(PO)、リン酸四カルシウム(Ca(POO)、リン酸八カルシウム五水和物(Ca(PO・5HO)、亜リン酸カルシウム一水和物(CaHPO・HO)、次亜リン酸カルシウム(Ca(HPO)である。
【0011】
この中でも、経済性に優れる点から、本発明ではリン酸一水素カルシウム(CaHPO)およびリン酸一水素カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)が特に好ましく用いられる。これらの形成成分は1種で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記非リン酸系カルシウム化合物としては、リン酸系以外でカルシウム元素と化合物を形成するものであれば特に限定されるものではなく、水酸化カルシウム、塩化カルシウム、フッ化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、炭化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどの無機カルシウム化合物や、カルシウム元素とモノカルボン酸との化合物(酢酸カルシウム、安息香酸カルシウム、ステアリン酸カルシウムなど)、カルシウム元素とジカルボン酸との化合物(しゅう酸カルシウム、酒石酸カルシウムなど)、カルシウム元素とトリカルボン酸との化合物(クエン酸カルシウムなど)などを挙げることができる。
【0012】
本発明の目的をより効果的に発現する無機物は、アパタイト、アパタイト形成成分、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムであり、これらが好ましく用いられる。
本発明の有機物の粉体はポリアミドを強化する目的あるいは難燃性を付与するなどの特性向上を目的としたものであれば限定されない。例えばメラミンシアヌレート、リン酸メラミン系難燃剤、トリアジン系難燃剤、リン酸エステル化合物を挙げることができる。リン酸メラミン系難燃剤のうち、リン酸部位としては例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸、三リン酸、四リン酸、ポリリン酸などを挙げることができる。
【0013】
本発明の粉体の粉砕はスラリー状態で行う。該スラリーは粉体とスラリー媒液とを混合したものである。スラリー媒液は親水性溶液、疎水性溶液の何れでもよいし、その一部がポリアミド形成成分であってもかまわない。該スラリーは、単独の溶液であっても良いし、複数の溶液の混合液で用いても良い。ポリアミドとの混練のし易さから親水性の媒液を用いることが好ましく、水であることがより好ましい。
本発明の粉体を粉砕した後のスラリーの粘度は、100cP以上5000cP以下であり、好ましくは3000cPであり、より好ましくは2000cPである。スラリー粘度の測定は、23℃の条件下、B型粘度計60rpmで測定した値である。スラリー粘度が5000cPを超えると流動性に乏しく取り扱い性が劣ったり、得られるポリアミド樹脂組成物の機械物性が本発明の目的まで向上しない等の問題が発生しやすい。また、溶融混練機へフィードする水の量が多量となると、スラリーのフィードや水回収のために複雑な機構が必要となったり、ポリアミドの加水分解が促進されたりするため、スラリー粘度が100cP以上である。
【0014】
本発明のスラリー状態で粉砕した粉体の平均粒子径は1μm以下であり、好ましくは0.8μm以下である。平均粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)で1万〜5万倍の明視野像を撮影し、その中から最も見やすい画像を選択した上、少なくとも50個の粒子を任意に選択してその一次粒子径を測定し数平均粒子径として求める。
【0015】
本発明のスラリー状態で粉体を粉砕する装置は、微細ビーズを用いたボールミル、サンドグライダー、高速強せん断分散機、コロイドミル、超音波分散機、ホモジナイザー等を例示することができる。本発明において好ましく用いられる装置としては、特開平6−79192号公報、特開平8−332402号公報に記載された装置である(株)奈良機械製作所のMICROSや、特許第第2788010号公報、特開平10−5561号公報、特許第2527297号公報に記載された装置である吉田機械興業(株)のNanomizerや、WO96/39251号公報、特開2002−143707号公報に記載された装置であるコトブキ技研工業(株)のAPEX MILL、SUPER APEX MILL、ULTRA APEX MILLを挙げることができる。これらの装置は、単独で用いても良いし複数の機器を使用してもかまわない。
【0016】
本発明のスラリー状態で粉体を粉砕する装置はボールミルであることが好ましく、特に
粉砕に用いるビーズの粒径が0.3mm以下であることが好ましく、0.1mm以下であることがより好ましい。粒径が小さいビーズを用いるほど粉砕した粉体の粒子径も小さくなる傾向にあるからである。また、径の異なる複数のビーズで段階的に粉砕を行う方法も有効である。
本発明の溶融混練を行う装置としては、一般に実用されている混練機が適用できる。例えば、一軸または多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーなどを用いれば良い。中でも、減圧装置、およびサイドフィーダー設備を装備した二軸押出機が最も好ましい。溶融混練の方法としては、スラリーを最初に押出機にフィードし、途中からポリアミドをフィードする方法やスラリーとポリアミドとを同時に最初からフィードして混練する方法を用いることができる。溶融混練の条件は、特に制限されるものではないが混練の温度は、JISK7121に準じた示差走査熱量(DSC)測定で求まるポリアミドの融点より1〜100℃程度高い温度が好ましい。混練機での剪断速度は100(SEC−1)以上程度であることが好ましく、混練時の平均滞留時間は、1〜15分程度が好ましい。
【0017】
本発明のポリアミド樹脂組成物には本発明の目的を損なわない範囲で周知の無機物、熱安定剤、滑剤、離型剤、可塑剤、衝撃性改良剤、結晶核剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などを添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は射出成形、押出し成形、フィルム成形、プレス成形、ガスアシスト射出成形、溶着成形、吹込成形、中空成形、多層成形、発泡成形などの通常のプラスチック成形方法では良好に成型加工ができる。また、本発明のポリアミド樹脂組成物はマスターバッチとして使用してもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は多くの成形用途(自動車部品、工業用途部品、電子部品、ギア等)や押出用途(チューブ、棒、フィラメント、フィルム、ブロー等)、住宅機材(部品)等において有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
本発明の骨子は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例において記載した評価は、以下の方法により実施した。
1.粉砕した粉体の特性
(1−1)粉砕した粉体の平均粒子径
粉砕した粉体のスラリーを必要に応じて溶剤で希釈し、電子顕微鏡用の銅メッシュ上に落とし風乾する。該メッシュ上の粉体を、日本電子(株)製の電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM)、JSM−6700Fで1万〜5万倍の明視野像を撮影した。その中から最適な画像を用いて50個の粒子を任意に選択してその一次粒子径を測定し数平均粒子径を求めた。
(1−2)粉砕した粉体を含有するスラリーの粘度
23℃の条件下、(株)東京計器製B型粘度計60rpmで測定した。
【0019】
2.ポリアミド樹脂組成物の特性
(2−1)分子量(RV)
溶媒として90%ギ酸を用いて、3gサンプル/30mlギ酸の濃度で、25℃の温度条件下で行った。
(2−2)粉体の含有量(質量部/100重量部ポリアミド樹脂組成物)
粉体含有樹脂を100±20℃で8時間乾燥し冷却した。白金皿に、乾燥したポリアミド樹脂組成物を1gとり、650±20℃の電気炉で灰化し、冷却後、その質量を秤り粉体含有量を定量した。
(2−3)粉体の分散性
Reichert−Nissei製クライオミクロトームで成形品を切削し、約50nmの超薄切片を作成した。日立製作所(株)製の透過型電子顕微鏡(TEM)、HF−2000を用いて、1万〜10万倍の明視野像を撮影し、50個の粒子を任意に選択してその粒子径を測定し、数平均粒子径を求めた。
【0020】
3.ポリアミド樹脂組成物の機械物性
射出成形機(日精樹脂(株)PS−40E)を用いてシリンダー温度290℃、金型温度80℃の条件で物性評価用の成形品を作成した。
(3−1)引張り強度(MPa)および引張り伸度(%)
ASTM D638に準じて行った。
(3−2)外観
成形品の外観を目視にて評価した。
〇:外観が非常に優れる。
△:外観に若干劣る。
×:外観が劣る。
【0021】
[実施例1]
無機物として平均粒子径4.5μmのマイカ((株)レプコ製白雲母、M−XF)を25g用いた。該無機物と蒸留水475gとを混合して粉砕前のスラリーとした。該スラリーをコトブキ技研工業(株)製の0.1mmビーズをセットしたSUPER APEX MILLに投入し粉砕を行った。該粉砕無機物を含有したスラリーの粘度をB型粘度計60rpmで測定した値は210cPであった。
次いで、該スラリーの全量を二軸混練押出機にフィードし、脱気口を経由してスラリーを濃縮した後、押出機の途中からポリアミド66(旭化成ケミカルズ(株)製レオナ1300)を5kgフィードし、290℃で溶融混練してポリアミド樹脂組成物ペレット(1)を得た。評価結果を表1に示す。
【0022】
[実施例2]
実施例1において粉砕後のスラリーとポリアミド66とを同時に二軸混練押出機にフィードした以外は実施例1と同様におこないポリアミド樹脂組成物ペレット(2)を得た。評価結果を表1に示す。
【0023】
[比較例1]
実施例1においてマイカのスラリーを粉砕しなかった以外は実施例1と同様に行い、ポリアミド樹脂組成物ペレット(3)を得た。評価結果を表1に示す。
【0024】
[比較例2]
ポリアミド66のみを押出機にフィードし、溶融混練した以外は実施例1と同様に行い、ポリアミド樹脂組成物(5)を得た。評価結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、靭性や表面外観に優れる微細な無機物および/または有機物の粉体を均一に分散させたポリアミド樹脂組成物とその製造方法であって、本組成物の組成物は成形用途(自動車部品、工業用途部品、電子部品、ギア等)や押出用途(チューブ、棒、フィラメント、フィルム、ブロー等)、住宅機材(部品)等などの各種産業用部品の材料としての応用が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物および/または有機物の粉体とスラリー媒液からスラリーを形成し、次いでスラリー状態のまま粉体を粉砕し、さらに粉砕工程を経たスラリーとポリアミドを溶融混練することによるポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、粉砕工程を経た粉体の平均粒子径が1μm以下、かつ粉砕工程を経たスラリーの粘度が100cP以上5000cP以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
溶融混練工程の最初に、粉砕工程を経たスラリーをフィードし、次いでポリアミドの少なくとも一部をフィードすることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
溶融混練工程の最初に、粉砕工程を経たスラリーとポリアミドの少なくとも一部をフィードすることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
該スラリーの媒液が、水であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項5】
スラリー状態のまま含有粉体を粉砕する工程において、粉砕装置がボールミルであり、かつ用いるビーズの粒径が0.3mm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項6】
溶融混練工程で、少なくとも1つ以上の脱気口を有する装置を用いることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項7】
無機物としてアパタイト形成成分、タルク、マイカ、ウォラストナイト、カオリン、炭酸カルシウムおよびフッ化カルシウムのいずれか1種以上を用いることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項8】
有機物としてメラミンシアヌレート、ポリリン酸メラミンおよびリン酸エステルのいずれか1種以上を用いることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の方法で製造されるポリアミド樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−22187(P2006−22187A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200793(P2004−200793)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】