説明

ポリアミド短繊維およびその製造方法

【課題】 高い強度を有するポリアミド短繊維を安定的に生産でき、研磨材への使用に適したポリアミド短繊維を提供する。
【解決手段】 ポリヘキサメチレンアジパミドを主成分とするポリアミドからなる短繊維の表面に、下記の油剤成分(a)と油剤成分(b)とが共に付着し、かつ、その油剤付着量が繊維重量に対して0.1〜0.8重量%であることを特徴とするポリアミド短繊維。
油剤成分(a):炭素数12のアルキル基を有するアルキル燐酸エステル塩と炭素数16のアルキル基を有するアルキル燐酸エステル塩(それらの含有重量比率は30:70〜70:30である)、油剤成分(b):ジメチルシリコーンとポリエーテル変性シリコーン

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い強度を有するポリアミド短繊維を安定的に製造でき、繊維製造工程から高次加工まで一貫して良好な工程通過性を持つ研磨材用のポリアミド短繊維に関するものである。更に詳しくは、研磨材として用いたときに、優れた研磨性と耐久性を有するポリアミド短繊維ならびにそれを用いた研磨材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド繊維は従来から汎用合成繊維として広く知られており、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維が代表的である。このポリアミド繊維は、絹や木綿に近いソフトな触感及び風合い、適度な吸湿性による独特のぬめり感を有しており、糸強度が高いことからアウターなどの衣料や、芯地用途、耐摩耗性の良さからカバンや車両用のシート、カーペットなどの用途にも従来から広く用いられている。また、ポリアミド繊維は産業資材用途としては好適な素材であり、強度を必要とする自動車のタイヤコードやシートベルトなどに多く用いられている。また、優れた耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性などの特長から抄紙用フェルトや不織布研磨材などの用途にも広く展開されている。不織布研磨材としては、家庭における食器洗い用や、工業用のバフ磨きパッドなど種々の用途に用いられている。
【0003】
例えば、ポリアミド短繊維からなる不織布研磨材は、ナイロン6短繊維やナイロン66短繊維からなる不織布に熱硬化性樹脂を付与し、砥粒を接着して製造されているものが知られている(特許文献1、2参照)。
【0004】
かかる不織布研磨材の使用時において、原料となるポリアミド短繊維の強度が低いと、耐久性が悪く、繰り返し使用時にちぎれやすくなり、さらには繊維屑が発生しやすくなるという問題があるため高強度の短繊維が求められている。その他の産業用資材用途においても高強度化された短繊維が要求されるケースが多々ある。
【0005】
かかる高強度のポリアミド繊維を得る方法として、長繊維では2000m/分以上の速度にて紡糸する高速製糸法が一般に知られている(特許文献3参照)。
【0006】
また、短繊維においては延伸倍率を高める方法や多段延伸法を用いた定長熱処理(特許文献4参照)を行う方法が提案されている。しかし、延伸倍率を高めることや定長熱処理を施すことは繊維自体に無理が生じるため製糸工程通過性が悪く、これを補うため油剤を付与する必要がある。ただし、油剤は研磨材製造工程にて樹脂含浸性を阻害する働きがあり、繊維製造工程から高次加工まで一貫して良好な工程通過性を得るためには、これにかかる油剤特性が重要である。
【0007】
紡績用工程通過性の安定化を図るための油剤(特許文献5参照)については提案されているものの、ポリアミド繊維を高強度化した研磨材用不織布に関し、製糸工程から高次加工まで一貫して良好な工程通過性を得るための油剤の提案はなく、具体的に見出されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3245170号公報
【特許文献2】特表平10−505008号公報
【特許文献3】特公平3−23643号公報
【特許文献4】特開2005−240241号公報
【特許文献5】特開2007−204870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み高い強度を有するポリアミド短繊維を安定的に生産でき、研磨材への使用に適したポリアミド短繊維を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。
【0011】
すなわち、ポリヘキサメチレンアジパミドを主成分とするポリアミドからなる短繊維の表面に、下記の油剤成分(a)と油剤成分(b)とが共に付着し、かつ、その油剤付着量が繊維重量に対して0.1〜0.8重量%であるポリアミド短繊維である。
油剤成分(a):炭素数12のアルキル基を有するアルキル燐酸エステル塩と炭素数16のアルキル基を有するアルキル燐酸エステル塩(それらの含有重量比率は30:70〜70:30である)
油剤成分(b):ジメチルシリコーンとポリエーテル変性シリコーン
また、ポリヘキサメチレンアジパミドを主成分とするポリマを溶融紡糸し、冷却して未延伸糸とした後に、集束させたトウに油剤を付与して延伸し、捲縮付与し、切断することによりポリアミド短繊維を製造する方法において、延伸工程で付与する油剤として、上記の油剤成分(a)と油剤成分(b)とを共に含む油剤液を用い、その油剤付着量が繊維重量に対して0.1〜0.8重量%である短繊維を製造するポリアミド短繊維の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製糸工程通過性が良好で、かつ不織布加工性も優れ、研磨材としての使用に適したポリアミド短繊維を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、繊維製造工程から高次加工まで一貫して良好な工程通過性を持つ研磨材用のポリアミド短繊維に関し、鋭意検討したところ特定の油剤成分を付与することで、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0014】
本発明のポリアミド短繊維には、ポリマ中に含まれる無機粒子が50ppm以下であるポリヘキサメチレンアジパミドを主成分とするポリマを用いる。無機粒子の含有量が50ppmを超えると、紡糸時にそれが核材となって球晶の発生を促進し、紡糸及び延伸工程での操業性を不安定化させ、また、繊維強度を低下させるため、研磨材用の繊維として満足する特性のものが得られなくなる。
【0015】
本発明のポリアミド短繊維は、前記した油剤成分(a)と油剤成分(b)とが共に付着していることが必要である。かかる油剤成分が付着した繊維は、繊維製造及び不織布加工における工程通過性に優れるとともに、研磨材として加工したときに必要とされる性能である樹脂含浸性にも優れたものとなる。
【0016】
(a)成分であるアルキル燐酸エステル塩としては、アルキル燐酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等が挙げられる。アルキル燐酸エステル塩は、脂肪族アルコールに五酸化リンや塩化ホスホリン等のリン酸化剤を付加反応させて得たアルキル燐酸エステルを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカリで中和することにより得られる。
【0017】
本発明で用いるアルキル燐酸エステル塩におけるアルキル基は、炭素数12のアルキル基、炭素数16のアルキル基であり、炭素数12のアルキル基をもつアルキル燐酸エステル塩と、炭素数16のアルキル基をもつアルキル燐酸エステル塩とを併用する。アルキル基の炭素数が12未満であると十分な帯電防止性能は得られるが、繊維間の摩擦が大きくなることから、カーディング工程での開繊性が著しく悪くなり、均一な不織布を得ることが難しくなる。一方、炭素数が16を超えると、繊維間及び繊維と金属間の摩擦が小さくなることから、工程通過性は良くなるが、疎水性に近づくため帯電防止性が十分でなくなる。
【0018】
(b)成分であるシリコーン成分としては、無変性シリコーンと変性シリコーンを併用する。無変性シリコーンとしては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられるが、中でもジメチルシリコーンが好ましい。変性シリコーンとしては、上記無変性シリコーンのアルコール変性、ポリエーテル変性、カルボキシ変性、エポキシ変性、アルキル変性、フッ素変性、アミノ変性、フェノール変性等が挙げられるが、ポリエーテル変性シリコーンが好ましい。本発明のポリアミド繊維は研磨材加工時に樹脂を塗布することから樹脂含浸性を阻害しない親水性を有するポリエーテル変性シリコーンが好ましい。無変性シリコーンのみでは、摩擦低減効果には優れるが、帯電防止性が著しく劣り、一方、ポリエーテル変性シリコーンは帯電防止性には優れるが摩擦低減効果においてはジメチルシリコーンに比べ劣るため、併用することが好ましい。
【0019】
本発明で使用する油剤は、(a)成分と(b)成分を必須成分とし、同時に使用することが必要であるが、これは、繊維製造工程から高次加工まで一貫して良好な工程通過性を得るためである。
【0020】
(a)成分であるアルキル燐酸エステル塩は、炭素数12のアルキル基のものと炭素数16のアルキル基のものとの含有重量比率が30:70〜70:30であり、なかでも40:60〜60:40であることが好ましく、特に50:50であることが好ましい。炭素数12の含有比率が少な過ぎる場合には帯電防止効果が十分でなく、逆に多過ぎる場合には平滑性が十分でなくなる。
【0021】
(b)成分であるシリコーンは、ジメチルシリコーンとポリエーテル変性シリコーンの含有重量比率が15:85〜50:50であることが好ましく、特に30:70であることが好ましい。ジメチルシリコーンが少な過ぎる場合には帯電防止効果が十分でなく、更に繊維表面の離型効果が高くなるため、研磨材加工時の樹脂含浸性が十分でなくなる。
【0022】
また、繊維に付着した油剤成分は、実質的に(a)成分及び(b)成分のみからなることでもよいし、また、その他成分が、本発明の効果を阻害しない範囲内で併用されてもよい。繊維に付着した油剤成分全体に対する(a)成分の含有比率は、70〜97重量%であることが好ましい。また、繊維に付着した油剤成分全体に対する(b)成分の含有比率は、油剤成分全体の3〜10重量%の範囲であることが好ましい。3重量%未満であると、十分な平滑性が得られないため好ましくない。また、10重量%越えると、帯電防止効果が低くなると共に、繊維表面の離型効果が高くなるため、研磨材加工時の樹脂含浸性が十分でなくなる。
【0023】
本発明において、繊維に付着した油剤成分におけるその他成分としては、例えば、ベタイン型油剤があげられ、このベタイン型油剤を油剤成分全体の10〜20重量%の範囲で併用することにより帯電防止性をさらに向上させることができる。このベタイン型油剤とは一般的な油剤に用いられるベタイン型の両性イオン系界面活性剤成分であればよい。例えば、アルキルジメチルベタイン、アミドベタイン、アルキルジヒドロキシアルキルベタインを使用することができる。
【0024】
かかるポリアミド短繊維に対する前記油剤成分の総付着量、すなわち(a)成分付着量及び(b)成分付着量の和は、それが低すぎると不織布加工時に工程での擦過や静電気の発生により、繊維製造工程における通過性が悪化するため好ましくなく、また油分が高すぎると製糸工程での油剤粘度の増加や油剤脱落が多くなり、そのためローラー類への巻き付きが発生しやすくなり操業性が悪化するばかりか、研磨材として加工したときの樹脂含浸性が悪化するため好ましくない。好ましい範囲は繊維重量に対して、0.1重量%以上0.8重量%以下の範囲内であり、より好ましくは0.2重量%以上0.7重量%以下の範囲内である。
【0025】
本発明のポリアミド短繊維を研磨材として用いる際には、かかるポリアミド短繊維の原綿から不織布を製造するので、かかる原綿の捲縮数は7山/25mm以上18山/25mm以下であることが好ましい。捲縮数が7山/25mm未満であると、短繊維同士の絡合性が弱くなり不織布を形成するのが困難となる。また、18山/25mmを超えると原綿の開繊性が悪くなるので、短繊維製造工程中の切断工程時の排出性や、高次加工時のカード通過性が悪くなるので好ましくなく、また不織布の目付を均一にすることが困難となる。捲縮数は、9山/25mm以上14山/25mm以下であることがより好ましい。また、捲縮率は10%以上25%以下であることが好ましい。捲縮率が10%未満であると不織布の弾性特性が悪化し、最終製品である研磨材の性能が悪くなる。一方、捲縮率が25%を超えると、原綿の開繊性が悪くなり製造上好ましくない。
【0026】
また、かくして得られるポリアミド短繊維を研磨材用として用いるためには高い強度が必要であり、単繊維繊度が10dtex以上30dtex以下、かつ、6.3cN/dtex以上の乾強度を有することが好ましい。単繊維繊度が10dtex未満であれば、不織布としたときの弾性が不十分となり、家庭用あるいは工業用の研磨材として用いるには好ましくない。また、単繊維繊度が30dtexを超えると、ごわごわした堅い感触となる上、繊維間の接着点が少なくなるため不織布としたときの強度が低下するので、家庭用あるいは工業用の研磨材として用いるには好ましくない。より好ましくは、ポリアミド繊維の単繊維繊度を15dtex以上27dtex以下とする。そして、かかるポリアミド繊維の乾強度が6.3cN/dtex以上であることが好ましく、6.7cN/dtex以上であることがより好ましい。乾強度が6.3cN/dtex未満であると、研磨材に用いる不織布とした場合、製品の耐久性が悪くなり、実用性に劣るものとなる。なお、ここでいう繊度及び乾強度は、JIS1015(化学繊維ステープル試験法)に基づいて求められるものである。
【0027】
かかるポリアミド短繊維の繊維長は、20〜90mmの範囲であることが好ましい。かかる繊維長が20mm未満であると繊維間の絡合性が低下し、不織布加工時に繊維が脱落し加工性が悪化するだけでなく、最終製品の強度も得られなくなるため好ましくない。また、90mmを超えるとカード通過時にシリンダ巻き付きが生じやすくなる上、不織布の風合いも悪くなり、好ましくない。
【0028】
本発明の製造法より得られる短繊維は、通常の方法を用いて不織布とし、それを研磨材とすることができる。スプレー法、浸せき法またはそれらの併用等により、樹脂エマルジョン、水溶性樹脂などの熱硬化性樹脂をポリアミド繊維の表面に付着させて乾熱加熱により不織布研磨材とすることができる。この際、熱硬化性樹脂に研磨砥粒を混合したものも好適に用いられる。かかる熱硬化性樹脂は特に限定されるものではないが、フェノール系樹脂やスチレン− ブタジエン共重合体、メラミン樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂などが好適に用いられる。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
無機粒子を含有しない98%硫酸相対粘度3.6のポリヘキサメチレンポリアミドのチップをエクストルーダー型溶融紡糸機に供給して290℃で溶融し、紡糸孔100個の口金にて紡出した。600m/分の紡糸速度で未延伸糸の形態で引き取り缶と呼ばれる円柱型の容器に収納した。
【0030】
油剤の(a)成分としては、炭素数12のアルキル基をもつアルキル燐酸エステル塩としてラウリルアルコール燐酸エステルカリウム塩と、炭素数16のアルキル基をもつアルキル燐酸エステル塩としてセチルアルコール燐酸エステルカリウム塩とを比率50:50で含むものを用いた。また、(b)成分としては、ジメチルシリコーンとポリエーテル変性シリコーンとを比率30:70で含むものを用いた。この(a)成分と(b)成分とが、それぞれ、油剤成分全体の80重量%、4重量%であり、これら油剤成分の特性を阻害しないベタイン型両性イオン系界面活性剤を16重量%となるように調合した油剤成分組成物を、0.8wt%の濃度となるように水で希釈して油剤液を調製し、この油剤液を延伸工程内の油剤浴に用いた。
【0031】
得られた未延伸トウを油剤浴中を浸漬通過させるディップ方式にて上記油剤を付与した後に、延伸速度90m/分において、スチームを付与して加温しながら4.2倍の倍率で2段延伸(1段目倍率:3.15倍、2段目倍率:1.33倍)した。
【0032】
延伸の後に表面を230℃に加熱した熱ドラム7本を用いて定長熱処理を行い、この延伸トウを押込式のクリンパーを通過させて捲縮付与し、前記油剤液を追加給油した後に38mmの長さに切断することで、単繊維繊度16.6dtexで乾強度6.7cN/dtexの原綿を得た。得られた原綿に付着した全ての油剤成分の付着量を測定したところ0.5重量%であり、(a)成分及び(b)成分の付着量は、0.4重量%であった。
【0033】
この原綿を開繊しウエブとした後、絡合させ不織布とし、樹脂を含浸させ砥粒を接着し家庭用研磨材とした。
【0034】
また、この原綿を得た繊維製造及び不織布加工における工程通過性は良好であり、研磨材としたときの樹脂含浸性も良好であった。
【0035】
(比較例1)
延伸工程にて付与する油剤の(b)成分(シリコーン)を、ジメチルシリコーンとアルコール変性シリコーンとを比率30:70で含む成分に変えた以外は実施例1と同様の方法で原綿を製造した。
【0036】
この原綿を得る繊維製造工程及び不織布加工における工程通過性は良好であったが、研磨材としたときの樹脂含浸性が悪く、研磨材としての機能を満たす製品を得ることができなかった。
【0037】
(比較例2)
延伸工程にて付与する油剤の(a)成分(アルキル燐酸エステル塩)における、炭素数12のアルキル基のものと炭素数16のアルキル基のものとの比率を20:80に変えた以外は実施例1と同様の方法で原綿を製造した。
【0038】
この原綿を得る繊維製造工程での工程通過性は良好であったが、不織布加工時のカーディング工程で巻き付きが多発し、不織布を安定的に得ることが困難であった。得られた少量の不織布を研磨材としたが樹脂含浸性も悪かった。
【0039】
(比較例3)
延伸工程にて付与する油剤の(a)成分(アルキル燐酸エステル塩)における、炭素数12のアルキル基のものと炭素数16のアルキル基のものとの比率を80:20に変えた以外は実施例1と同様の方法で原綿を製造した。
【0040】
この原綿を得る繊維製造工程の中でも延伸工程においてローラー巻き付きが増加した。また、不織布加工においては繊維の開繊性が悪く、均一な不織布を得ることが困難であった。得られた不織布に樹脂を含浸させ研磨材としたところ、樹脂含浸性は良好であったが、研磨材として使用したとき耐摩耗性が不足していた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のポリアミド短繊維は、樹脂含浸研磨材用に用いられる不織布の素材繊維として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヘキサメチレンアジパミドを主成分とするポリアミドからなる短繊維の表面に、下記の油剤成分(a)と油剤成分(b)とが共に付着し、かつ、その油剤付着量が繊維重量に対して0.1〜0.8重量%であることを特徴とするポリアミド短繊維。
油剤成分(a):炭素数12のアルキル基を有するアルキル燐酸エステル塩と炭素数16のアルキル基を有するアルキル燐酸エステル塩(それらの含有重量比率は30:70〜70:30である)
油剤成分(b):ジメチルシリコーンとポリエーテル変性シリコーン
【請求項2】
該ポリアミド繊維の単繊維繊度が10dtex以上30dtex以下であり、かつ、乾強度が6.3cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド短繊維。
【請求項3】
研磨材用不織布に用いられるポリアミド短繊維であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアミド短繊維。
【請求項4】
ポリヘキサメチレンアジパミドを主成分とするポリマを溶融紡糸し、冷却して未延伸糸とした後に、集束させたトウに油剤を付与して延伸し、捲縮付与し、切断することによりポリアミド短繊維を製造する方法において、延伸工程で付与する油剤として、以下の油剤成分(a)と油剤成分(b)とを共に含む油剤液を用い、その油剤付着量が繊維重量に対して0.1〜0.8重量%である短繊維を製造することを特徴とするポリアミド短繊維の製造方法。
油剤成分(a):炭素数12のアルキル基を有するアルキル燐酸エステル塩と炭素数16のアルキル基を有するアルキル燐酸エステル塩(それらの含有重量比率は30:70〜70:30である)
油剤成分(b):ジメチルシリコーンとポリエーテル変性シリコーン

【公開番号】特開2012−77389(P2012−77389A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221113(P2010−221113)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】