説明

ポリアミド系多層フィルム

【課題】屈曲による耐ピンホール性及び繰り返し接触による耐ピンホール性の両方を兼ね備え、多層フィルムにおける層間強度の強いポリアミド系多層フィルムを提供する。
【解決手段】MXD6ナイロンの含有量が、ナイロン6の含有量100重量部に対して0.3〜10重量部である、ナイロン6及びMXD6ナイロンを含むポリアミド層(A)、耐屈曲剤の含有量が、ナイロン6の含有量100重量部に対して0.3〜5重量部である、ナイロン6及び耐屈曲剤を含むポリアミド層(B)、並びにナイロン6及び耐屈曲剤の含有量が、MXD6ナイロンの含有量100重量部に対して、ナイロン6が5〜45重量部であり、耐屈曲剤が0.3〜10重量部である、ナイロン6、耐屈曲剤及びMXD6ナイロンを含むバリア層(C)を含むポリアミド系多層フィルムであって、A/B/C/B/Aの順で積層されたポリアミド系多層フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド系多層フィルムに関し、詳細には、バリア層においてもポリアミド系化合物を有するポリアミド系多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド層/バリア層/ポリアミド層からなる多層フィルムはガスバリア性、強靭性等を有するフィルムとして各方面で広く使用されている。このような多層フィルムは、市場に流通する食品等の包装フィルムとして好適に用いられている。例えば、特許文献1においては、芳香族ポリアミド重合体を用いて形成される層、脂肪族ポリアミド重合体を用いて形成される層、並びに芳香族ポリアミド重合体及び脂肪族ポリアミド重合体の混合物を用いて形成される層の少なくとも2種類の層を含む構造を有するポリアミド系多層フィルムが開示されている。特許文献1のポリアミド系多層フィルムは、優れた酸素バリア性、耐屈曲ピンホール性及び強靭性を兼ね備えている。
【0003】
また、特許文献2においては、ナイロン6、ナイロン6/6,6共重合体及び芳香族ポリアミドを含むポリアミド層(A)、ナイロン6、ナイロン6/6,6共重合体、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体及び芳香族ポリアミドを含むポリアミド層(B)、並びにエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物を含むバリア層(C)より構成される、A/B/C/B/A、又はB/A/C/A/Bの順で積層されたポリアミド系多層フィルムについて開示されている。該ポリアミド系多層フィルムは、前記層構成とすることにより、屈曲による耐ピンホール性及び繰り返し接触による耐ピンホール性の両方を兼ね備えたポリアミド系多層フィルムとすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−104689号公報
【特許文献2】特開2008−188776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、屈曲による耐ピンホール性及び繰り返し接触による耐ピンホール性の両方を兼ね備え、かつ、多層フィルムにおける層間強度の強いポリアミド系多層フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような問題を解決するために、鋭意検討した結果、ポリアミド系多層フィルムにおける各層を形成する樹脂組成物を、特定の成分及び特定の含有量に設定することにより、上記の課題を解決できることを見出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成されたものである。
【0007】
即ち、本発明は、以下のポリアミド系多層フィルムを提供する。
【0008】
項1.ポリメタキシリレンアジパミドの含有量が、ナイロン6の含有量100重量部に対して0.3〜10重量部である、ナイロン6及びポリメタキシリレンアジパミドを含む樹脂組成物から形成されるポリアミド層(A)、
耐屈曲剤の含有量が、ナイロン6の含有量100重量部に対して0.3〜5重量部である、ナイロン6及び耐屈曲剤を含む樹脂組成物から形成されるポリアミド層(B)、並びに
ナイロン6及び耐屈曲剤の含有量が、ポリメタキシリレンアジパミドの含有量100重量部に対して、ナイロン6が5〜45重量部であり、耐屈曲剤が0.3〜10重量部である、ナイロン6、耐屈曲剤及びポリメタキシリレンアジパミドを含む樹脂組成物から形成されるバリア層(C)を含むポリアミド系多層フィルムであって、
ポリアミド層(A)、ポリアミド層(B)、及びバリア層(C)が、A/B/C/B/Aの順で積層されたポリアミド系多層フィルム。
【0009】
項2.ポリアミド層(A)を形成する樹脂組成物が、さらに、ナイロン6及びポリメタキシリレンアジパミド以外のナイロンを含有し、
ナイロン6及びポリメタキシリレンアジパミド以外のナイロンの含有量が、ナイロン6の含有量100重量部に対して、0.3〜10重量部含有する請求項1に記載のポリアミド系多層フィルム。
【0010】
項3.ナイロン6及びポリメタキシリレンアジパミド以外のナイロンが、アモルファスナイロン、又はナイロン6/6,6共重合体である項2に記載のポリアミド系多層フィルム。
【0011】
項4.耐屈曲剤が、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体である項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
【0012】
以下、各層A〜Cにおける各成分について、詳細に説明する。
【0013】
・ポリアミド層(A)
ポリアミド層(A)は、繰り返し接触による耐ピンホール性及び延伸安定性を付与するために設けられる層であり、ポリメタキシリレンアジパミド(以下、MXD6ナイロンともいう)及びナイロン6を含む樹脂組成物から形成される。ここで、「ナイロン6」とは、ポリカプロラクタムを表す。
【0014】
MXD6ナイロンの含有量は、ナイロン6の含有量100重量部に対して、0.3重量部以上であり、0.5重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。MXD6ナイロンの含有量が0.3重量部未満であると、延伸性が悪化し、フィルムの形成性に影響をもたらす傾向にある。また、MXD6ナイロンの含有量は、ナイロン6の含有量100重量部に対して、10重量部以下であり、8重量部以下が好ましく、6重量部以下がより好ましい。MXD6ナイロンの含有量が10重量部を超えると、ポリアミド層(A)自体の凝集力が低下し、ラミネート部分を剥離した際にポリアミド層を凝集破壊し層間に伝播する。そのため、商品のシール部に力が加わった場合に袋が破袋し易くなる傾向がある。
【0015】
なお、ポリアミド層(A)を形成する樹脂組成物において、形成するフィルムの延伸性を向上させるために、さらに、ナイロン6及びMXD6ナイロン以外のナイロンを含有してもよい。ナイロン6及びMXD6ナイロン以外のナイロンとしては、アモルファスナイロン、ナイロン6/6,6共重合体、ナイロン6,6(以下、NY66ともいう)、ナイロン12(以下、NY12ともいう)等が挙げられるが、これらの中で、アモルファスナイロン、ナイロン6/6,6共重合体が、押出適正や延伸性への影響力の観点からより好ましい。ここで、「ナイロン6,6」とは、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との縮合反応によって得られるポリアミドを意味し、「ナイロン12」とは、ラウリルラクタムを開環重合して得られるポリアミドを意味する。また、「ナイロン6/6,6共重合体」とは、ポリカプロラクタム(ナイロン6)と、ナイロン6,6との共重合体を表す。
【0016】
なお、アモルファスナイロンとしては、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる非晶性芳香族ポリアミド等が挙げられる。
【0017】
ナイロン6及びMXD6ナイロン以外のナイロンの含有量は、延伸性において優れているという観点から、ナイロン6の含有量100重量部に対して、0.3重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましく、3重量部以上がさらに好ましい。また、ナイロン6及びMXD6ナイロン以外のナイロンの含有量は、ナイロン6の含有量100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、8重量部以下がより好ましく、6重量部以下がさらに好ましい。
【0018】
・ポリアミド層(B)
ポリアミド層(B)は、ポリアミド層(A)、バリア層(C)との層間強度の向上、耐屈曲性のために設けられる層であり、耐屈曲剤及びナイロン6を含む樹脂組成物から形成される。
【0019】
耐屈曲剤の含有量は、ナイロン6の含有量100重量部に対して、0.3重量部以上であり、0.5重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。耐屈曲剤の含有量が0.3重量部未満であると、フィルムの耐屈曲性が低下する傾向がある。また、耐屈曲剤の含有量は、ナイロン6の含有量100重量部に対して、5重量部以下であり、4重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましい。耐屈曲剤の含有量が5重量部を超えると、得られるフィルムの耐摩耗性が低下し、かつ透明性が低下するする傾向がある。
【0020】
耐屈曲剤として使用される変性エチレン−酢酸ビニル共重合体とは、(1)−OCOCHを部分的にけん化した樹脂、(2)−OCOCHを部分的に−OCOCHCHに置換した樹脂、(3)無水マレイン酸等の酸無水物を部分的にグラフト重合した樹脂をあげることができる。好ましくは、−OCOCHを部分的にけん化した樹脂であり、酢酸ビニル含量20〜70重量%のエチレン―酢酸ビニル共重合体を鹸化度50〜95モル%になるように部分鹸化されていることが好ましい。
【0021】
・バリア層(C)
バリア層(C)は、多層フィルムにおいて、外部からの酸素等のガスに対するバリア性を向上させるために設けられる層であり、ナイロン6、MXD6ナイロン、及び耐屈曲剤を含む樹脂組成物から形成される。
【0022】
ナイロン6の含有量は、MXD6ナイロンの含有量100重量部に対して、5重量部以上であり、7重量部以上が好ましく、9重量部以上がより好ましい。ナイロン6の含有量が5重量部未満であると、バリア層(C)とポリアミド層(B)との層間強度が低下する傾向がある。
また、ナイロン6の含有量は、MXD6ナイロンの含有量100重量部に対して、45重量部以下であり、40重量部以下が好ましく、35重量部以下がより好ましい。ナイロン6の含有量が45重量部を超えると、ガスバリア性が低下する傾向がある。
【0023】
耐屈曲剤の含有量は、耐屈曲性の向上及び層間強度の向上の観点から、MXD6ナイロンの含有量100重量部に対して、0.3重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましく、2重量部以上がさらに好ましい。また、耐屈曲剤の含有量は、フィルムの耐摩耗性の向上及び透明性の向上において優れるという観点から、MXD6ナイロンの含有量100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、8重量部以下がより好ましく、6重量部以下がさらに好ましい。
【0024】
耐屈曲剤としては、前記ポリアミド層(B)を形成する際に用いられる樹脂組成物に含有する耐屈曲剤として例示したものを用いることができる。
【0025】
なお、本発明の多層フィルムの各層中には、本発明の目的を阻害しない範囲で、異種のポリマーを混合しても良いし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤などの有機添加剤が通常添加される程度添加されても良い。
【0026】
・ポリアミド系多層フィルム
本発明のポリアミド系多層フィルムは、前記ポリアミド層(A)、ポリアミド層(B)、及びバリア層(C)が、A/B/C/B/Aの順で積層された構造を有する。
【0027】
即ち、バリア層(C)の両面を、2層のポリアミド層(B)と2層のポリアミド層(A)でそれぞれ挟持し、少なくとも5層の積層構造を有している。そのため、硬さと柔軟性を兼ね備え、屈曲や繰り返し接触に対する優れた耐ピンホール性を有している。
【0028】
本発明のポリアミド系多層フィルム全体の厚みは、10〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。ポリアミド層(A)及びポリアミド層(B)の合計厚みは、3〜49μmが好ましく、6〜29μmがより好ましい。そのうちポリアミド層(A)の合計の厚みは、1〜47μmが好ましく、2〜27μmがより好ましい。また、ポリアミド層(B)の合計の厚みは、1〜47μmが好ましく、2〜27μmがより好ましい。バリア層(C)の厚みは、1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましい。
【0029】
なお、本発明の多層フィルムの外層には、必要に応じてシーラント層、接着樹脂層などを設けても良い。
【0030】
・ポリアミド系多層フィルムの製造方法
本発明のポリアミド系多層フィルムは、例えば各層の樹脂組成物を上記したA/B/C/B/Aの順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出せしめフラット状の多層フィルムとして得ることができる。
【0031】
得られたフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸(同時二軸延伸、逐次二軸延伸)しても良いが、二軸延伸を行うことが、フィルムの強度を付与することにおいて優れているという点で、好ましい。
【0032】
延伸倍率は、例えば逐次二軸延伸である場合、縦延伸(MD)が2.5〜4.5倍であることが好ましく、横延伸(TD)が2.5〜5.0倍であることが好ましい。
【0033】
また、延伸温度は、例えば逐次二軸延伸である場合、MDが50〜90℃であることが好ましく、TDが80〜150℃であることが好ましい。
【0034】
例えば、逐次二軸延伸の場合、前記延伸温度のロール延伸機により前記延伸倍率で縦延伸し、80〜150℃の雰囲気のテンター延伸機により前記延伸倍率で横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより180〜220℃雰囲気中で熱処理して得ることができる。
【0035】
前記一軸延伸または二軸延伸(同時二軸延伸、逐次二軸延伸)により得られるポリアミド系多層フィルムは、必要ならばその両表面又は片表面にコロナ放電処理を施すこともできる。
【0036】
本発明の多層フィルムの「屈曲による耐ピンホール性」については、後述の実施例に記載のゲルボフレックステスターを用いて評価することができる。
【0037】
本発明の多層フィルムの「繰り返し接触による耐ピンホール性」については、後述の実施例に記載の方法により評価することができる。具体的には、錐状のアルミ製治具に多層フィルムを装着し、錐状の頂点を多層フィルムを介してボール紙に接触させる。次に、治具に63gの荷重を載せて湿度65%の条件下、2700mm/分の速度で、移動距離45mmの範囲で摺動させて、摺動回数50回単位でピンホールが開いたかどうかを確認する(例えば、図1)。ピンホールの発生は、フィルムに治具の頂点が当たっていたところに浸透液を滴下して判定する。
【0038】
本発明のポリアミド系多層フィルムは、屈曲による耐ピンホール性及び繰り返し接触による耐ピンホール性の両方を兼ね備え、かつ、多層フィルムにおける層間強度において優れるため、例えば、重量物の包装、とりわけ食品の包装、低温で輸送される食品の包装等に好適である。
【発明の効果】
【0039】
本発明のポリアミド系多層フィルムは、屈曲による耐ピンホール性及び繰り返し接触による耐ピンホール性の両方を兼ね備える。また、多層フィルムにおける層間強度が強いため、多層フィルムによって製造される袋体に内容物を入れた状態において、商品の落下による破袋が生じ難い。そのため、重量物の包装、とりわけ食品の包装に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】繰り返し接触により発生するピンホールの評価に用いた測定装置の模式図を示す。
【図2】錐状のアルミ製治具の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0041】
以下に、本発明を、実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0042】
下記の実施例及び比較例で使用した原料樹脂を下記に示す。
【0043】
ナイロン6(NY6):1022FDX04(宇部興産株式会社製)
結晶性芳香族ポリアミド(MXD6):S−6011(三菱ガス化学(株)製)
非晶性芳香族ポリアミド(アモルファスNY):X−21(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
耐屈曲剤:変性エチレン―酢酸ビニル共重合体
【0044】
実施例1〜5及び比較例1〜5
表1に記載のポリアミド層(A)〜(C)となるように、表1に示す成分及び組成で配合して、各層を構成する樹脂組成物を、260℃に調整されたそれぞれの押出機に投入しA/B/C/B/Aの順序になるように、260℃のTダイスにより積層され、30℃の冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ15μmのフィルムを得た。各層の厚さは3/2/5/2/3(μm)であった。
【0045】
【表1】

【0046】
特性評価
実施例1〜5及び比較例1〜5に記載の5層フィルムについて、下記の特性を評価した。その結果を表2に示す。
【0047】
[延伸性]
24時間の製膜において延伸破断の発生した回数を数え、以下のように評価した。
破断発生回数:0〜1回・・・○、2回・・・△、3回以上・・・×
【0048】
[耐摩耗性]
形が錐状のアルミ製の治具に、テープ等を用いてフィルムを装着し、錐状の治具の頂点を、フィルムを介してボール紙(コクヨCampus 板目 美膿判用 430g/m)に接触させた。頂点のRは摺動方向R=0.1〜1.0mm、摺動方向と直角の方向R=0.1〜1.0mmとした。次に、治具に63gの荷重を乗せた。湿度65%の条件下で、治具を2700mm/分の速度で、かつ移動距離45mmの範囲でボール紙に対して平行に摺動させ、摺動回数50回単位で測定し、ピンホールが開いた時点での回数を測定した。例えば、250回で開いて200回で開かない場合は250回とした。
【0049】
ピンホールの発生は、フィルムに治具の頂点が当たっていたところに浸透液を滴下して、白色紙の上で浸透するか否かにより判定した。
250回以上・・・○、200回・・・△、150回以下・・・×
なお、図1に測定装置の模式図を示す。また、図2に錐状のアルミ製治具の一例を示す。
【0050】
[耐屈曲性]
理化学工業(株)製のゲルボフレックステスターを用いて測定した。折り径150mm、長さ300mmの筒状に製袋したフィルムをゲルボフレックステスターに装着し、3.5インチ移動する間に440度の捻りを与え、その後2.5インチの直進水平運動を行い、その後元に戻る工程を5℃の条件下で1000回繰り返した後、それぞれ浸透液を用いてピンホールの数を調べた。なお、ピンホール数の測定はサンプルの中央部における300cmの箇所で行った。3枚のサンプルについてピンホールの数を測定し、その平均値を示す。
0〜5個・・・○、6〜9個・・・△、10個以上・・・×
【0051】
[ラミ強度]
実際の製品を想定し、フィルムとシーラントフィルムとしてCPPフィルム(未延伸フィルム)の50μmとのドライラミネート品を作成し、ラミネート部分を10mm幅で剥離し、以下のように評価した。
ラミネート部で剥離・・・○、ラミネート部からフィルム層間に伝播・・・×
【0052】
[酸素透過度]
酸素透過度は、測定条件(20℃×65%RH)において、JIS K 7126−2に従い測定した。なお、測定装置はOX−TRAN MODEL2/21(MOCON社製)を用いた。
○:90ml/m2・d・MPa未満
×:90ml/m2・d・MPa以上
【0053】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメタキシリレンアジパミドの含有量が、ナイロン6の含有量100重量部に対して0.3〜10重量部である、ナイロン6及びポリメタキシリレンアジパミドを含む樹脂組成物から形成されるポリアミド層(A)、
耐屈曲剤の含有量が、ナイロン6の含有量100重量部に対して0.3〜5重量部である、ナイロン6及び耐屈曲剤を含む樹脂組成物から形成されるポリアミド層(B)、並びに
ナイロン6及び耐屈曲剤の含有量が、ポリメタキシリレンアジパミドの含有量100重量部に対して、ナイロン6が5〜45重量部であり、耐屈曲剤が0.3〜10重量部である、ナイロン6、耐屈曲剤及びポリメタキシリレンアジパミドを含む樹脂組成物から形成されるバリア層(C)を含むポリアミド系多層フィルムであって、
ポリアミド層(A)、ポリアミド層(B)、及びバリア層(C)が、A/B/C/B/Aの順で積層されたポリアミド系多層フィルム。
【請求項2】
ポリアミド層(A)を形成する樹脂組成物が、さらに、ナイロン6及びポリメタキシリレンアジパミド以外のナイロンを含有し、
ナイロン6及びポリメタキシリレンアジパミド以外のナイロンの含有量が、ナイロン6の含有量100重量部に対して、0.3〜10重量部含有する請求項1に記載のポリアミド系多層フィルム。
【請求項3】
ナイロン6及びポリメタキシリレンアジパミド以外のナイロンが、アモルファスナイロン、又はナイロン6/6,6共重合体である請求項2に記載のポリアミド系多層フィルム。
【請求項4】
耐屈曲剤が、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−183737(P2011−183737A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53284(P2010−53284)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】