説明

ポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法

本発明は、従来各類の添加剤を使用した場合に比べて、向上した透水性及び排除率を有するポリアミド逆浸透複合膜の製造を可能にするポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液を提供することを課題とし、多官能性芳香族アミン単量体0.1〜20重量%、多官能性3級アルコールアミン0.1〜20重量%、強酸0.1〜20重量%、及び水40〜99.7重量%を含んでポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法に関するもので、より詳細には、アルコール基を有する2個以上の3級アミンからなる多官能性3級アルコールアミンを1次槽アミン水溶液に添加剤として用いることで、従来各種の添加剤を用いた場合に比べて、より向上した透水性と塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水は、空気とともに、人間をはじめとするあらゆる生物が生きていく上で欠かせない必要資源で、その量と質は、人間を含め、地球上の生命体に非常に大きな影響を及ぼす。科学と産業の発達に伴って水資源の活用範囲がより広くなり、その重要性が一層高まっている現実を勘案すると、良質の水資源確保は、地球生命体の維持という側面で極めて重要な要件とされる。現在、全世界的に水不足と汚染という二重苦に悩んでいるにもかかわらず、水使用量は引続き増加傾向にあり、現実的に使用可能な水資源の確保が一層困難な状況である。UNの調査によると、世界人口の約1/5に達する12億人が安全な飲用水(Safe Drinking Water)不足に陥っており、これより2倍も多い24億人が下水道施設のない状態で水を飲んでいるとされている。このような水資源管理の不備による非衛生的な水の飲用から、毎年、全世界で3百万人以上の人々が生命を失っている。
【0003】
一方、海水は、全世界水量の70%以上を占めると報告されている。しかし、海水には各種塩等を含め、不純物が多量含まれているため、海水をそのまま産業用水、農業用水、家庭用水などに使用することは不可能である。したがって、海水や塩水を人間の実生活において各種用途に利用するためには、海水や塩水から各種塩等の不純物を除去して淡水化する過程が必須とされるが、このような淡水化過程に逆浸透複合膜が核心部品として用いられる。
【0004】
一般の逆浸透複合膜構造は、多孔性支持体上に薄い活性層が形成されてなる。特に、ポリアミド活性層は、多官能性アミンと多官能性ハロゲン化アシルとの界面重合で形成される。このようなポリアミド複合膜の例が、Cadotteによる米国特許第4,277,344号(1981年)に記述されている。この特許では、少なくとも2つの1級アミン基を持つ多官能性芳香族アミンと、少なくとも3つのハロゲン化アシル基を持つ多官能性ハロゲン化アシルとの間の界面重合による芳香族ポリアミド活性層の形成を記述している。この特許に記述されている詳細な方法では、具体的に、ポリスルホン支持体を1,3―フェニレンジアミン(1,3―phenylene diamine)の水溶液に浸漬した後、支持体表面の過量のメタフェニレンジアミン(MPD)水溶液を除去し、TMC(Trimesoyl chloride)が溶けているフレオン溶液を塗布し、界面重合を行う。このとき、界面重合時間は10秒とする。そして、界面重合が完了した後、逆浸透複合膜を常温で乾燥する。このような方法で製造されたCadotteの逆浸透複合膜は、高い流量と塩排除率性能を呈したが、これに止まらず、以降、多様な方法で流量と塩排除率性能を向上させようとする多くの研究がなされてきた。
【0005】
その一例として、米国特許第4,872,984号(1989年)において、Tomaschkeは、多孔性支持体上に少なくとも2つの反応性アミン基を持つ多官能性芳香族アミン単量体、単量体アミンと強酸によって形成されるアミン塩化合物を含む水溶性溶液と、芳香族多官能性ハロゲン化アシル化合物が含まれている有機溶液とを界面で接触させ、界面重合によって逆浸透複合膜を製造した。このとき、水溶液に含まれるアミン塩化合物は単量体(monomeric)アミンで、3級アミン及び強酸によって形成される3級アミン塩または4級アミン塩で構成される。また、このときに使用されたアミンのうち、単量体3級アミン類には、トリアルキルアミン類であるトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N―アルキルシクロアリファチックアミン類として1―メチルピペリジン、N,N―ジアルキルアミン類としてN,N―ジメチルエチルアミン、N,N―ジエチルメチルアミン、N,N―ジアルキルエタノールアミン類としてN,N―ジメチルエタノールアミンなどが使用され、4級アミン類には、テトラアルキルアンモニウムビドロキシド類であるテトラメチルアンモニウムビドロキシド、テトラエチルアンモニウムビドロキシド、ベンジルトリアルキルアンモニウムビドロキシド類であるベンジルトリエチルアンモニウムビドロキシド、ベンジルトリプロピルビドロキシドまたはこれらの混合物などが使用された。上記のTomaschkeによる特許で提示した(1)単量体(monomeric)3級アミンと(2)4級アミン塩の化学的構造は、それぞれ下記の一般式1及び2に示す通りである。
【0006】
【化1】

(上記の一般式1及び2において、R1〜R4は、互いに同一または異なるものとして炭化水素を示し、HXは強酸を示し、ここで、Xは、ハロゲン化硝酸塩、リン酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化カルボン酸塩、及び酸化ハロ酸誘導体からなる物質を意味する。)
他の例として、1996年にHiroseは、逆浸透複合膜を製造するにおいて、アミン水溶液にアルコールを10〜50重量%添加することで膜の流量を改善できるという米国特許第5,576,057号を提示した。このときに使用したアルコールとしては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブチルアルコール、1―ペンタノール、2―ペンタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2―エチルブタノール、2―エチルヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ネオペンチルグリコール、t―ブタノール、ベンジルアルコール、4―メチル―2―ペンタノール、3―メチル―2―ブタノール、ペンチルアルコール、アーリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロールまたはこれらの混合物などが好ましいとした。しかしながら、1次溶液にアルコールを添加して逆浸透複合膜を製造するにおいて、1次溶液と2次溶液の溶解度差は7〜15(cal/cm3)1/2でなければならず、15(cal/cm3)1/2を越えると、両溶液の表面で界面重合法によって活性層は形成されるが、透水性が減少するという問題点につながる。このような方法で製造されたポリアミド逆浸透複合膜の性能は、29〜42[LMH]の透過量と99.4〜99.5%の除去率を表し、アルコールを添加しない場合(25[LMH]の透過量と99.6%の除去率)と比較して、透水性が向上した結果を見せたが、既存のポリアミド逆浸透複合膜性能と比較して、微量のアルコール添加時にその効果が微小であり、過量のアルコール添加時にはアミン水溶液とハロゲン化アシル有機溶液との溶解度差の減少によって界面での重合反応がなされず、相対的に製造されたポリアミド逆浸透複合膜の塩排除率が減少するという欠点があった。
【0007】
さらに他の例として、米国特許第4,950,404号においてChauは、アミン水溶液に極性非プロトン性溶媒を添加し、多官能性ハロゲン化アシルを含む有機溶液と接触させ、支持体表面で界面重合法によって逆浸透複合膜を製造する方法を提示した。このときに使用した極性非プロトン性溶媒としては、N―メチルピロリドン、2―ピロリドン、N,N―ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ピリジン、ルチジン、ピコリン、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルホレン、ヘキサメチルホスホアミド、トリエチルホスファート、N,N―ジメチルアセトアミド、N,N―ジメチルプロピオンアミドが好ましいとした。
【0008】
また、Chauは、米国特許第4,983,291号で、製造された逆浸透複合膜をアスクロビン酸(ascorbic acid)、塩酸、クエン酸(citric acid)、スルファミン酸(sulfamic acid)、酒石酸(tartaric acid)、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid)、p―トルエンスルホン酸(p―toluenesulfonic acid)、塩酸L―リシン(L―lysine hydrochloride)、グリシン(glycine)などの酸が含まれている溶液と接触させ、後処理工程段階を経た後、一定温度(常温〜170℃)で一定時間(1分〜120分)の間乾燥する製造方法を提示した。しかしながら、製造されたポリアミド逆浸透複合膜に高透水性を持たせるために非プロトン性溶媒を添加する場合、非プロトン性溶媒の組成比が増加することから、相対的に逆浸透複合膜の塩排除率が減少する結果を見せたし、製造された逆浸透複合膜を酸の含まれている溶液と接触させた後で、100℃で乾燥段階を経た逆浸透複合膜の場合、酸を微量添加したとき、膜の性能効果が微小であったし、酸を過量添加したときは、膜の透水性は増加したが、相対的に塩排除率が減少する結果を示した。また、酸の含まれた溶液と接触させた後、170℃の高温乾燥段階を経た逆浸透複合膜の透水性が減少する結果を見せた。
【0009】
さらに他の例として、米国特許第6,245,234号(2001年)においてJa―Young Kooは、多孔性支持体上に少なくとも2つの反応性アミン基を持つ芳香族多官能アミン単量体、強酸と多官能性3級アミン、極性溶媒が溶かれている水溶液と、多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニル、または多官能性イソシアネートを含む有機溶媒とを界面で接触させ、界面重合によって逆浸透複合膜を製造した。このとき、水溶液に含まれる多官能性3級アミンとして、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,6―ヘキサンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,4―ブタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―2―ブテン―1,4―ジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,3―ブタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,3―プロパンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,8―オクタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,7―ヘプタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラメチル―1,5―ペンタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラエチル―1,4―ブタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラエチル―1,3―ブタンジアミン、N,N,N’,N’―テトラエチル―1,3―プロパンジアミン、1,4―ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’―テトラエチルエチレンジアミンが好ましく、このとき、3級アミンと強酸のモル比は1:0〜1:1の範囲とすることを提示した。
【0010】
なお、米国特許第6,368,507号(2002年)においてJa―Young Kooは、逆浸透複合膜の製造において、多官能性アミン、極性溶媒、3級アミン塩と3級アミンを含む塩化合物を含むアミン水溶液と、多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニルまたは多官能性イソシアネートを含む有機溶液との反応によって逆浸透複合膜を製造する方法を提示した。このとき、多官能性アミンと強酸のモル比は、1:1〜多官能性3級アミンのアミン基の数nより少ない1:nの範囲で製造することを提示した。上記のJa―Young Kooによる特許で提示した多官能性3級アミンは、下記の一般式3に示す通りである。
【0011】
【化2】

このとき、多官能性3級アミンは、アルカン主鎖の炭素数が2〜10個からなり、アルカン主鎖の側鎖は、少なくとも2個以上の3級アミンで構成される。
【0012】
また、米国特許第5,755,964号(1998年 )でMickolsは、製造された逆浸透複合膜の透水量増加のために、1〜2個の炭素数からなるアルキル基が1〜3個であるアンモニアに置換されたアミンまたはアルキル基が、ヒドロキシ、フェニル、アミノ基に置換されたアミン水溶液またはその混合物に接触させ、逆浸透複合膜の透過量を10%向上させる方法を提示した。このときに使用したアミンとしては、トリメチルアミン、エタノールアミン、アンモニア、トリエタノールアミン、ジメチルアミン、N,N―ジメチルエタノールアミン、メチルアミン、エチレンジアミンが好ましいとした。
【0013】
以上説明した従来のポリアミド逆浸透複合膜の透水性向上方法を要約すると、大きく2種類に分類される。その一つは、1次槽に、アミン塩やアルコールなどの添加剤を添加する方法で、具体的には、アミン水溶液に、単量体3級アミンと強酸または単量体4級アミン塩を添加する方法、主鎖の炭素数が2〜10個であるアルカンに2個以上の3級アミン側鎖で構成される多官能性3級アミンと強酸によって形成される多官能性3級アミン塩と極性溶媒をアミン水溶液に添加する方法、または、アミン水溶液に極性非プロトン性溶媒、アルコールなどを添加する方法である。もう一つは、製造された逆浸透複合膜を後処理する方法で、製造されたポリアミド逆浸透複合膜表面を、3級アミン基を構成するアルキル基がヒドロキシ、フェニル及びアミノ基に置換されたアミン水溶液に接触させる方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記紹介した2種類の方法のいずれによっても透水性及び塩排除率の両方を希望の水準に向上させることができなかった。
【0015】
本発明は上記の問題点を解決するためのもので、その目的は、アルコール基を有する3級アミンが2個以上で構成されている多官能性3級アルコールアミンを、1次槽アミン水溶液に添加剤として使用することで、従来各類の添加剤を使用した場合に比べて、向上した透水性及び排除率を有するポリアミド逆浸透複合膜の製造を可能にするポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液を提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、前記アミン水溶液を用いたポリアミド逆浸透複合膜の製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の更に他の目的は、上記の方法によって製造されたポリアミド逆浸透複合膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明は、多官能性芳香族アミン単量体0.1〜20重量%、多官能性3級アルコールアミン0.1〜20重量%、強酸0.1〜20重量%、及び水40〜99.7重量%を含むポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液を提供する。
【0019】
また、本発明は、(A)(a)多官能性芳香族アミン単量体0.1〜20重量%、多官能性3級アルコールアミン0.1〜20重量%、強酸0.1〜20重量%、及び水40〜99.7重量%を含むアミン水溶液と、(b)アミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシル単量体0.01〜10重量%を含むアミン反応性化合物の有機溶液と、を多孔性支持体の表面に接触させ、界面重合によって活性層を形成する段階と;(B)多官能性3級アルコールアミン0.1〜100重量%を含む水溶液に、前記界面重合によって形成された逆浸透複合膜の活性層を接触させる後処理段階と;(C)前記後処理された逆浸透複合膜を乾燥させる段階と;を含むポリアミド逆浸透複合膜の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、ポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法を提供し、特に、塩排除率と透水性がさらに向上したポリアミド逆浸透複合膜の製造及びその製造方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の発明者らは、公知のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法において、添加剤として従来使用されていない多官能性3級アルコールアミンと強酸を同時に1次槽に添加剤として添加すると、3級アミン塩を添加した場合またはアルコールなどの多様な種類の添加剤を使用してポリアミド逆浸透複合膜を製造した場合に比べて、相対的に塩排除率と透水量が増加するという事実を発見し、本発明を完成するに至った。
【0022】
本発明のポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成に使用された1次槽アミン水溶液は、多官能性芳香族アミン単量体0.1〜20重量%、多官能性3級アルコールアミン0.1〜20重量%、強酸0.1〜20重量%、及び水40〜99.7重量%を必須成分として含む。
【0023】
前記1次槽に使用されたアミン水溶液のうち多官能性芳香族アミン単量体としては、1,4―フェニレンジアミン(1,4―phenylenediamine)、1,3―フェニレンジアミン(1,3―phenylenediamine)、2,5―ジアミノトルエン(2,5―diaminotoluene)、ジフェニルジアミン(diphenyl diamine)、4―メトキシフェニレンジアミン(4―methoxy―m―phenylenediamine)、またはこれらの混合物などが好まく、その含量は、1次槽アミン水溶液中の0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜5重量%がさらに好ましい。一般的に、多官能性芳香族アミン単量体を含むアミン水溶液は、pH7〜13の範囲内に調節して使用し、このとき、pHは、塩基性酸収容体を含有することで調整することができる。その例として、水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、アルカリ金属のリン酸塩、トリアルキルアミンなどが使用される。
【0024】
また、前記1次槽アミン水溶液に添加剤として使用された多官能性3級アルコールアミンの例としては、N,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxyl propyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxylethyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N”,N'''―ペンタキス(2―ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン(N,N,N’,N”,N’’’―pentakis(2―hydroxypropyl)diethylenetriamine)、2,2',2”,2'''―エチレンジニトリロテトラエタノール(2,2’,2”,2’’’―ethylenedinitrilotetraethanol)、またはそれらの混合物などが好ましく、その含量は、1次槽アミン水溶液中の0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜5重量%がさらに好ましい。本発明で提示する多官能性3級アルコールアミンの化学構造は、次のような特徴を有する。下記の一般式4及び5のように、本発明の多官能性3級アルコールアミンは、炭化水素からなるアルカン主鎖に2個以上の3級アミンで構成され、このとき、3級アミンの炭化水素側鎖に1個以上のアルコール基を含むか、または、一般式5のように、3級アミンの炭化水素側鎖に1個以上の3級アミンで構成され、3級アミンの炭化水素側鎖または置換された3級アミンの炭化水素側鎖に1個以上のアルコール基を含む特徴を有する。下記の一般式4及び5において、多官能性3級アルコールアミンを構成する炭化水素側鎖に置換されたRはアルコール基を表す。したがって、本発明では、添加剤としてアルコールを添加した効果を正しく発揮すると同時に、円滑な界面重合によって最終製造されたポリアミド逆浸透複合膜の塩排除率を高めるために、多官能性3級アルコールアミン構造においてアルコール基が側鎖に位置することが好ましい。
【0025】
【化3】

上記のような構造の多官能性3級アルコールアミンを1次槽アミン水溶液に添加することで、強酸と一緒に多官能性3級アルコールアミン塩を形成することはもちろんで、多官能性3級アルコールアミンを構成しているアルコール基の影響によって、ポリアミド逆浸透複合膜の透水性及び塩排除率を顕著に向上させる結果を期待することができる。
【0026】
また、1次槽アミン水溶液を構成する強酸は、1次槽に添加するときに多官能性3級アルコールアミンと塩を形成するが、好ましい例としては、メタンスルホン酸(methanesulfonic acid)、トルエンスルホン酸(toluenesulfonic acid)、カンファースルホン酸(camphorsulfonic acid)、エタンスルホン酸(ethanesulfonic acid)、ベンゼンスルホン酸(benzenesulfonc acid)などがある。前記強酸の含量は、アミン水溶液中の0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜5重量%がさらに好ましい。1次槽に添加剤として使用される多官能性3級アルコールアミンと強酸によって形成される3級アルコールアミン塩は、多官能性3級アルコールアミンを構成する3級アミン基の数nによって決定される。このとき、多官能性3級アルコールアミンと強酸の組成比は、1:1〜1:nのモル比で添加することが好ましい。
【0027】
また、前記1次槽アミン水溶液と界面重合する2次槽有機溶液を構成するアミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシルは、トリメソイルクロリド(trimesoyl chloride)、テレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride)、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride)、またはそれらの混合物などが好ましく、その含量は、2次槽有機溶液中の0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜2.0重量%がさらに好ましい。有機溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、炭素数8〜12のアルカン、フレオン類のハロゲン置換炭化水素またはそれらの混合有機溶媒が好ましく、特に、市販品としてはアイソパーC(Isopar C、Exxon社)が好ましい。
【0028】
上記で説明した本発明のポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液を使用して、本発明の透水性及び塩排除率に優れたポリアミド逆浸透複合膜を形成する方法は、公知のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法において、1次槽アミン水溶液として多官能性芳香族アミン単量体0.1〜20重量%、多官能性3級アルコールアミン0.1〜20重量%、強酸0.1〜20重量%、及び水40〜99.7重量%を含むアミン水溶液を使用し、多孔性支持体の表面でアミン反応性化合物の有機溶液と接触させて活性層を形成することを特徴とする(活性層形成段階)。
【0029】
また、このアミン水溶液と一緒に界面重合されてポリアミド逆浸透複合膜の活性層を形成する2次槽有機溶液は、アミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシル単量体0.05〜2.0重量%を含むことが好ましい。
【0030】
前記1次槽アミン水溶液中の前記多官能性芳香族アミン単量体は、1,4―フェニレンジアミン(1,4―phenylenediamine)、1,3―フェニレンジアミン(1,3―phenylenediamine)、2,5―ジアミノトルエン(2,5―diaminotoluene)、ジフェニルジアミン(diphenyl diamine)、4―メトキシフェニレンジアミン(4―methoxy―m―phenylenediamine)またはこれらの混合物などが好ましく、その含量は、1次槽アミン水溶液中の0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜5重量%がさらに好ましい。
【0031】
また、前記1次槽アミン水溶液に添加剤として使用された多官能性3級アルコールアミンの例としては、N,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxyl propyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxylethyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N”,N'''―ペンタキス(2―ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン(N,N,N’,N”,N'''―pentakis(2―hydroxypropyl)diethylenetriamine)、2,2',2”,2'''―エチレンジニトリロテトラエタノール(2,2’,2”,2'''―ethylenedinitrilotetraethanol)、またはこれらの混合物などが好ましく、その含量は、1次槽アミン水溶液中の0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜5重量%がさらに好ましい。1次槽アミン水溶液中の多官能性3級アルコールアミンの含量が0.1重量%未満であると、ポリアミド逆浸透複合膜の透水性が向上せず、その反対に、20重量%を超えると、逆浸透複合膜の塩排除率が減少するので好ましくない。
【0032】
また、1次槽アミン水溶液を構成する強酸は、1次槽に添加するときに多官能性3級アルコールアミンと塩を形成するが、好ましい例としては、メタンスルホン酸(methanesulfonic acid)、トルエンスルホン酸(toluenesulfonic acid)、カンファースルホン酸(camphorsulfonic acid)、エタンスルホン酸(ethanesulfonic acid)、ベンゼンスルホン酸(benzenesulfonc acid)などがある。
【0033】
また、前記1次槽アミン水溶液と界面重合する2次槽有機溶液を形成するアミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシルは、トリメソイルクロリド(trimesoyl chloride)、テレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride)、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride)、またはそれらの混合物などが好ましく、その含量は、2次槽有機溶液中の0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜2.0重量%がさらに好ましい。
【0034】
以上説明した本発明のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法において、活性層を形成した後で後処理段階を追加的に実施することで、逆浸透複合膜の塩排除率と透水量を一層増加させることができる。
【0035】
後処理段階は、活性層を形成した後、1次槽に添加剤として使用された多官能性3級アルコールアミン0.1〜100重量%を含む水溶液に、前記界面重合で形成された逆浸透複合膜の活性層を接触させる方法で進行される(後処理段階)。多官能性3級アルコールアミンの含量が100重量%である場合は、多官能性3級アルコールアミンのみで後処理段階を実施する場合と見られる。後処理段階に使用される多官能性3級アルコールアミン水溶液中の多官能性3級アルコールアミンの含量は、1〜50重量%がさらに好ましい。1次槽アミン水溶液に添加剤として使用された多官能性3級アルコールアミンで後処理を実施することで、既存のポリアミド逆浸透複合膜の透過性能と比較して、多官能性3級アルコールアミン水溶液の接触段階を含むポリアミド逆浸透複合膜の透過性能が著しく増加する効果を期待することができる。
【0036】
本発明のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法において、多官能性3級アルコールアミン水溶液で後処理を実施するか、後処理を実施しない状態で乾燥段階をさらに実施することもできる(乾燥段階)。通常、乾燥段階は、常温で進行されるが、本発明で乾燥段階をさらに実施する場合、乾燥条件は85〜150℃で、10秒〜1時間とすることが好ましく、乾燥温度が85℃未満であると、1次槽アミン水溶液に添加した多官能性3級アルコールアミンの添加効果を得られないので、相対的にポリアミド逆浸透複合膜の透水性向上が表れない問題点があり、乾燥温度が150℃を超えると、ポリアミド逆浸透複合膜の収縮問題が発生し、膜の透水性が著しく減少する問題点がある。また、乾燥時間が10秒未満であると、ポリアミド逆浸透複合膜表面の多官能性3級アルコールアミン水溶液が充分に乾燥されず、膜性能の向上効果が微小に表れる問題点があり、乾燥時間が1時間を超えると、ポリアミド逆浸透複合膜の収縮問題が発生し、膜の透水性を減少させる問題点がある。
【0037】
以上説明したように、本発明のポリアミド逆浸透複合膜において、多官能性3級アルコールアミンは1次槽に添加剤として使用し、追加的に後処理にも使用可能であり、後処理後に高温で乾燥する乾燥段階をさらに実施することで、従来の多様な種類の添加剤より向上した透水性及び塩排除率を有するポリアミド逆浸透複合膜の製造を可能にする。
【0038】
以下、本発明の好適な実施例及び比較例を記載する。下記の実施例及び比較例は、本発明をより明確に表現するために記載されたものに過ぎなく、本発明の内容を限定するものではない。
【0039】
1.ポリアミド逆浸透複合膜の製造
(実施例1)
ポリスルホンを不織布上にコーティングした後、相転移方法によって製造された支持層を2.0重量%の1,3―フェニレンジアミン(1,3―phenylenediamine、MPD)、1.0重量%のN,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxylpropyl)ethylenediamine、TKHPEA)、1.6重量%のカンファースルホン酸(camphorsulfonic acid、CSA)が含まれた1次槽アミン水溶液に1分間浸漬した。ポリスルホン支持層の剰余溶液をゴムローラで除去した後、0.1重量%のトリメソイルクロリド (trimesoyl chloride、TMC)を含むアイソパーC(Isopar C、Exxon社)有機溶液に10秒間浸漬した後、95℃オーブンで5分間乾燥させ、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0040】
(実施例2乃至5)
1次槽アミン水溶液に含まれるTKHPEAの含量を0.1〜10重量%の範囲に調整して実施例1とその含量を異ならせた以外は、実施例1と同じ製造方法でポリアミド逆浸透複合膜を製造した。このとき、1次槽アミン水溶液に含まれる強酸CSAの場合、TKHPEAの含量によって1:1の組成比で添加した。実施例2〜5において、TKHPEAの含量は、下記の表1に整理した通りである。
【0041】
【表1】

(実施例6乃至15)
実施例1と同じ方法によって製造したポリアミド逆浸透複合膜を、下記の表2に整理した条件で乾燥させた。実施例6乃至15の乾燥条件は、下記の表2に整理した通りである。
【0042】
【表2】

(実施例16乃至17)
1次槽アミン水溶液に含まれるTKHPEAの代わりに下記の表3に示す多官能性3級アルコールアミンを使用する以外は、実施例3と同じ組成及び製造方法でポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0043】
【表3】

*表3で使用された略語
TKHEEA:N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxyethyl)ethylenediamine
PKHPDETA:N,N,N’,N”,N'''―pentakis(2―hydroxypropyl)diethylenetriamine
CSA:Comphorsuifonic acid
(実施例18)
実施例1の方法で製造されたポリアミド逆浸透複合膜をTKHPEA10重量%の水溶液に10分間浸漬した後、95℃オーブンで5分間乾燥する後処理段階を経てポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0044】
(比較例1)
ポリスルホン支持体を、2.0重量%のMPDを含むアミン水溶液に浸漬した後、支持体表面から過量のアミン水溶液を除去した後、0.1重量%のTMCが溶けているフレオン(FREON TF)有機溶液と表面で10秒間界面重合を進行させ、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0045】
(比較例2)
水/エタノールの組成比が80/20である混合溶液に2.0重量%のMPD、0.25重量%のラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulfate、SLS)、4.0重量%のCSA、2.0重量%のトリエチルアミン(triethylamine、TEA)を溶かして1次アミン水溶液を製造した。前記1次アミン水溶液に多孔性ポリスルホン支持体を浸漬し、過量のアミン水溶液を除去した後、0.1重量%のTMC、0.1重量%のイソフタル酸クロリド (isophthalic chloride、IPC)が溶けている有機溶液と接触して界面重合反応を進行した後、120℃で5分間処理して逆浸透複合膜を製造した。
【0046】
(比較例3)
多孔性支持体を、3.0重量%のMPD、3.0重量%のN―メチルピロリドン(N―methylpyrrolidone、NMP)、100ppmのNa2CO3を含むアミン水溶液に浸漬した後、0.1重量%のTMCが溶けているナフサ溶液と接触させ、界面重合によってポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0047】
(比較例4)
多孔性支持体を、3.5重量%のMPDを含むアミン水溶液に浸漬した後、過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.14重量%のTMCが溶けているナフサ溶液と接触させ、界面重合によってポリアミド逆浸透複合膜を製造した後、1.0重量%のクエン酸(citric acid)溶液に15分間浸漬した後、100℃オーブンで15分間乾燥してポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0048】
(比較例5)
微細多孔性ポリスルホン支持体を、2.0重量%のMPD、2.0重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonoum hydroxide、TMAH)、0.1重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(sodium dodecyl benzyl sulfonate、SDBS)を含む1次槽アミン水溶液に2分間浸漬した後、過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.05重量%のTMC、0.075%のIPCが溶けているアイソパー(Exxon社)溶液と接触させた後、95℃オーブンで6分間乾燥させてポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0049】
(比較例6)
多孔性ポリスルホン支持体を、1.6重量%のMPD、0.6重量%のN,N,N’,N'―テトラメチル―1,6―ヘキサンジアミン(N,N,N’,N'―tetramethyl―1,6―hexanediamine、TMHD)、0.06重量%のトルエンスルホン酸(toluenesulfonic acid、TSA)を含むアミン水溶液に40秒間浸漬した後、過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.1重量%のTMCが溶けているアイソパーC(Isopar C、Exxon社)有機溶液と支持体表面で界面重合させ、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0050】
(比較例7)
多孔性ポリスルホン支持体を、2.0重量%のMPD、2.3重量%のCSA、1.1重量%のTEA、2.0重量%のジメチルスルホキシド(dimethyl suloxide、DMSO)を含むアミン水溶液に40秒間浸漬した後、過量のアミン水溶液を除去した。その後、0.1重量%のTMCが溶けているアイソパーC(Exxon社)有機溶液と表面で界面重合を進行した後、95℃で3分30秒間乾燥させてポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0051】
(比較例8)
製造されたFT―30(FilmTec社)逆浸透複合膜を100重量%のトリエタノールアミン(triethanolamine、TEA)溶液に60℃条件で1時間の間浸漬して処理する後処理段階を実施し、ポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0052】
2.ポリアミド逆浸透複合膜の透水量と塩排除率の測定
上記の実施例1〜18及び比較例1〜8で製造したポリアミド逆浸透複合膜の透水量と塩排除率を、2,000ppmのNACL水溶液を用いて225psiの圧力下で測定し、その結果を下記の表4に示した。
【0053】
【表4】

上記の実施例及び比較例による表4に示すように、本発明のポリアミド逆浸透複合膜はいずれも、透水量が70L/m2hrを上回り、塩排排除率も90%をはるかに上回った。したがって、本発明のポリアミド逆浸透複合膜は、高い透水量と塩排除率を同時に要求する膜適用条件に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能性芳香族アミン単量体0.1〜20重量%、多官能性3級アルコールアミン0.1〜20重量%、強酸0.1〜20重量%、及び水40〜99.7重量%を含むことを特徴とする、ポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液。
【請求項2】
前記多官能性芳香族アミン単量体は、1,4―フェニレンジアミン(1,4―phenylenediamine)、1,3―フェニレンジアミン(1,3―phenylenediamine)、2,5―ジアミノトルエン(2,5―diaminotoluene)、ジフェニルジアミン(diphenyl diamine)、4―メトキシフェニレンジアミン(4―methoxy―m―phenylenediamine)からなる群より選ばれたことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液。
【請求項3】
前記多官能性3級アルコールアミンは、下記一般式4または5で表されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液。
【化1】

(上記の一般式4及び5において、Rはアルコール基を表す。)
【請求項4】
多官能性3級アルコールアミンは、N,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N’,N'―tetrakis(2―hydroxylpropyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxylethyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N”,N'''―ペンタキス(2―ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン(N,N,N’,N”,N'''―pentakis(2―hydroxypropyl)diethylenetriamine)、及び2,2',2”,2'''―エチレンジニトリロテトラエタノール(2,2’,2”,2'''―ethylenedinitrilotetraethanol)からなる群より選ばれたことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜の活性層形成用アミン水溶液。
【請求項5】
アミン水溶液とアミン反応性化合物とを界面重合してポリアミド逆浸透複合膜を製造する方法において、
(a)多官能性芳香族アミン単量体0.1〜20重量%、多官能性3級アルコールアミン0.1〜20重量%、強酸0.1〜20重量%、及び水40〜99.7重量%を含むアミン水溶液と、
(b)アミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシル単量体0.01〜10重量%を含むアミン反応性化合物の有機溶液と、を多孔性支持体表面に接触させ、前記界面重合によって活性層を形成することを特徴とする、ポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項6】
前記活性層の形成後、多官能性3級アルコールアミン0.1〜100重量%を含む水溶液に、前記界面重合によって形成された逆浸透複合膜の活性層を接触させる後処理段階をさらに実施することを特徴とする、請求項5に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項7】
前記後処理段階後に逆浸透複合膜を乾燥させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項5または6に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項8】
前記逆浸透複合膜の乾燥条件を、85〜150℃で10秒〜1時間とすることを特徴とする、請求項7に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項9】
前記多官能性芳香族アミン単量体は、1,4―フェニレンジアミン(1,4―phenylenediamine)、1,3―フェニレンジアミン(1,3―phenylenediamine)、2,5―ジアミノトルエン(2,5―diaminotoluene)、ジフェニルジアミン(diphenyl diamine)、4―メトキシフェニレンジアミン(4―methoxy―m―phenylenediamine)からなる群より選ばれたことを特徴とする、請求項5に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項10】
前記多官能性3級アルコールアミンは、N,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxyl propyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N’―テトラキス(2―ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’―tetrakis(2―hydroxylethyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N”,N'''―ペンタキス(2―ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン(N,N,N’,N”,N'''―pentakis(2―hydroxypropyl)diethylenetriamine)、及び2,2',2”,2'''―エチレンジニトリロテトラエタノール(2,2’,2”,2’’’―ethylenedinitrilotetraethanol)からなる群より選ばれたことを特徴とする、請求項5に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項11】
前記アミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシルは、トリメソイルクロリド(trimesoyl chloride)、テレフタロイルクロリド(terephthaloyl chloride)、イソフタロイルクロリド(isophthaloyl chloride)からなる群より選ばれたことを特徴とする、請求項5に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項12】
アミン水溶液中、多官能性3級アルコールアミンに含まれている3級アミンの数(n)による多官能性3級アルコールアミンと強酸の反応モル比が1:1または1:nであることを特徴とする、請求項5に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項13】
請求項5による方法で製造されたポリアミド逆浸透複合膜。

【公表番号】特表2009−501630(P2009−501630A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522685(P2008−522685)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【国際出願番号】PCT/KR2005/002789
【国際公開番号】WO2007/013710
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(508018819)ウンジンコウェー コーポレーション,リミテッド., (1)
【Fターム(参考)】