説明

ポリアミン類の製造方法

本発明は、酵素の使用が関与するポリアミンの製造方法、特には水系環境で実施される方法、その方法によって製造されるポリアミン類、ならびに紙の製造、酵素の固定化または医薬組成物もしくは化粧品組成物の製造におけるそのポリアミン類の使用に関するものである。本発明は、補因子NAD(P)+の新規なイン・サイツ再生方法に関するものでもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素の使用が関与するポリアミンの製造方法、特には水系環境で実施される方法、その方法によって製造されるポリアミン類、ならびに紙の製造、酵素の固定化または医薬組成物もしくは化粧品組成物の製造におけるそのポリアミン類の使用に関するものである。本発明は、補因子NAD(P)+の新規なイン・サイツ(in situ)再生方法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
PEI(ポリエチレンイミン)などのポリアミン類は、非常に多様な用途を有するカチオン性ポリマーである。PEIおよびそれの誘導体は、樹脂および機械的パルプ抽出物によって引き起こされる製造上の問題を克服するために、例えばパルプおよび紙の製造で用いられる(Moench D, Stange A, Linhart F, Advanced Product Concepts for Concomitant Elimination and Increased Efficiency of Paper Manufacture, Wochenblatt fuer Papierfabrikation 1996, 124:889-892, 894-895)。さらに、そのポリマーは帯電性であることで、例えば酵素の固定化において有用となっている(Grunwald P, Freder R, Gunsser W, Application of polyethylene imine as carrier material for enzyme immobilization Naturwissenschaften 1981, 68:525-526);(de Lathouder KM, van Benthem DTJ, Wallin SA, Mateo C., Fernandez Lafuente R, Guisan JM, Kapteijn F, Moulijn JA, Polyethyleneimine (PEI) functionalized ceramic monoliths as enzyme carriers: Preparation and performance Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic 2008, 50:20-27)。
【0003】
最近、遺伝子導入において進歩が見られており、場合によりPEGと組み合わせたPEIがDNA/RNAの細胞透過を増加させることが明らかになった(Lungwitz U, Breunig M, Blunk T, Goepferich A, Polyethylenimine-based non-viral gene delivery systems European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 2005, 60:247-266);(Belenkov AI, Alakhov VY, Kabanov AV, Vinogradov SV, Panasci LC, Monia BP, Chow TY. Polyethyleneimine grafted with pluronic P85 enhances Ku86 antisense delivery and the ionizing radiation treatment efficacy in vivo. Gene Therapy 2004, 11:1665-1672.);(Jeong JH, Kim SW, Park TG. A new antisense oligonucleotide delivery system based on self-assembled ODN-PEG hybrid conjugate micelles. Journal of Controled Release. 2003, 93:183-191.)。ADN(アンチセンスオリゴヌクレオチド類)の考え方が導入され、2006年度にノーベル賞を受賞したことから、これは非常に有望な用途である。アンチコドン遺伝子の送達が良好に行われれば、HIV、癌、自己免疫応答などの多数の疾患が治癒されるものと考えられる。ポリアミン類のさらに別の治療的用途には、皮膚疾患および化学療法に関連する症状の緩和などがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Moench D, Stange A, Linhart F, Advanced Product Concepts for Concomitant Elimination and Increased Efficiency of Paper Manufacture, Wochenblatt fuer Papierfabrikation 1996, 124:889-892, 894-895.
【非特許文献2】Grunwald P, Freder R, Gunsser W, Application of polyethylene imine as carrier material for enzyme immobilization Naturwissenschaften 1981, 68:525-526.
【非特許文献3】de Lathouder KM, van Benthem DTJ, Wallin SA, Mateo C., Fernandez Lafuente R, Guisan JM, Kapteijn F, Moulijn JA, Polyethyleneimine (PEI) functionalized ceramic monoliths as enzyme carriers: Preparation and performance Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic 2008, 50:20-27.
【非特許文献4】Lungwitz U, Breunig M, Blunk T, Goepferich A, Polyethylenimine-based non-viral gene delivery systems European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 2005, 60:247-266.
【非特許文献5】Belenkov AI, Alakhov VY, Kabanov AV, Vinogradov SV, Panasci LC, Monia BP, Chow TY. Polyethyleneimine grafted with pluronic P85 enhances Ku86 antisense delivery and the ionizing radiation treatment efficacy in vivo. Gene Therapy 2004, 11:1665-1672.
【非特許文献6】Jeong JH, Kim SW, Park TG. A new antisense oligonucleotide delivery system based on self-assembled ODN-PEG hybrid conjugate micelles. Journal of Controled Release. 2003, 93:183-191.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在入手可能なPEIなどのポリアミン類およびデンドリマー類は有機溶媒中で合成される。エチレンイミンの従来の重合は開環に基づくものであることから、反復単位の長さは窒素原子間で炭素2個に制限される。
【0006】
従って本発明が解決すべき問題は、水系環境で実施することができ、C2の構成要素に限定されないポリアミン類の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題は、水系媒体で行うことができ、特許請求の範囲でさらに定義される特定の酵素の使用に基づく新規なポリアミン類の合成方法を提供することで解決された。
【0008】
特に、図1および2に模式的に描かれた新規なポリアミン類の合成方法が提供される。補因子としてのNAD+/NADH(図1)または電子受容体としての分子状酸素を使用するアルコールオキシダーゼ(図2)を用いるウマ肝臓アルコールデヒドロゲナーゼ(HLADH)などのアルコールデヒドロゲナーゼの作用によって、アミノアルコール、例えば3-アミノ-1-プロパノールを水系環境で酸化してアミノアルデヒドとする。そうして形成されるアミノアルデヒドは中等度に酸性のpHでイミン類へと自然に反応することで、ポリイミン類を形成する。次に、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる還元によって、前記ポリイミンをポリアミンに変換する。そのポリマーにおける反復単位は、窒素間に2以上の炭素原子を有することができ、官能基を有することができ、キラル化合物であることができ、それは基質としての原料のアミノアルコールを酵素が受容する能力によって制限される。多くのアルコールデヒドロゲナーゼ類およびアルコールオキシダーゼ類が天然では認められており、いずれも基質特異性および/または活性が異なっている。
【0009】
基質の完全な変換を支援するには、補因子再生方法を利用することが有利である。現在までのところ、NAD+の再生には問題があり、ある方法では酵素であるNADH-オキシダーゼを利用するが、それはかなり高価な基質である(Riebel BR, Gibbs PR, Wellborn WB, Bommarius AS, Cofactor Regeneration of both NAD+ from NADH and NADP+ from NADPH:NADH Oxidase from Lactobacillus sanfranciscensis Advanced Synthesis & Catalysis 2003, 345:707-712)。
【0010】
本発明により、酢酸ビニルの自然加水分解に基づいて、新規かつ簡単な方法が提供され、その方法は酵素的重合反応と組み合わせることができる。
【0011】
アルコールオキシダーゼを用いる場合、酸化酵素、特にはカタラーゼの触媒活性と反応を組み合わせることで、生成した過酸化水素は急速に水および酸素に変換され、それによって反応平衡はさらにアルデヒド側に移動することから、基質の完全変換が支援される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】アルコールデヒドロゲナーゼが触媒するポリアミン合成の模式的表示である(pHをpH4.5まで下げることで、ポリイミン形成を可能とする。その後、シアノ水素化ホウ素化合物によってポリイミンを還元する。補因子の再循環は、アルカリ性pHでの、あるいはエステラーゼを用いる酢酸ビニルの自然加水分解後に形成されるイン・サイツで形成されたアセトアルデヒドを利用するものである。)
【図2】アルコールオキシダーゼが触媒するポリアミン合成の模式的表示である(pHをpH4.5まで下げることで、ポリイミン形成を可能とする。その後、シアノ水素化ホウ素化合物によってポリイミンを還元する。酵素は酸素を利用し、生成した過酸化水素をカタラーゼがイン・サイツでさらに酸化する。)
【図3】サイズ排除クロマトグラムである(上から、2-フェニルグリシノールからのポリマー、基準(PEI1800)(うまくいかなかった(恐らく過量のため))、3-アミノプロパノールからのポリマー、D-アラニノールからのポリマー、L-アラニノールからのポリマー。各ポリマーは、約1000Daの分子量を有する(分子量標準は図示していない))。
【図4】2-フェニルグリシノールから形成されたオリゴマーのMALDI-TOFスペクトラムである。
【図5】PEI1800のMALDI-TOFスペクトラムである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特定の実施形態
1.第1の実施形態において、本発明は、特に水系反応媒体中で行われる一般式(4)のポリアミン:
【化1】

【0014】
[式中、
nは少なくとも1の整数であり;
残基Xは互いに独立に、N、OおよびSから選択される1以上の同一もしくは異なるヘテロ原子を有していても良い直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和ヒドロカルビレン残基を表し;
残基Rは互いに独立に、水素原子またはN、OおよびSから選択される1以上の同一もしくは異なるヘテロ原子を有していても良い直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和ヒドロカルビル残基を表し;
末端H2N-およびHO-CH2-基が縮合して、分子内アミノ連結を形成していても良い。]の製造方法であって、
a)キラルもしくは非キラルであることができ、光学的に純粋な形態もしくは異性体の混合物として用いることができる下記一般式(1)のアミノアルコールを酵素的に酸化して、下記式(2)の相当するアミノアルデヒドとする段階
【化2】

【0015】
[式中、XおよびRは上記で定義の通りである。];
b)前記式(2)のアミノアルデヒドを重合させて下記のポリイミン(3)とする段階
【化3】

【0016】
[式中、X、Rおよびnは上記で定義の通りである。]、
c)好ましくは化学的に、前記式(3)のポリイミンを還元して式(4)の相当するポリアミンとする段階
を有する方法を提供する。
【0017】
2.段階a)の前記アミノアルコールがX=-CH2-CH2-である式(1)の化合物である実施形態1による方法。
【0018】
3.段階a)の酵素がデヒドロゲナーゼ類およびオキシダーゼ類、特にアルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.1、アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)1.1.1.2、アリル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.54、アルコールデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+]E.C.1.1.1.71、アリール-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.90、アリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)E.C.1.1.1.91、3-ヒドロキシベンジル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.97、ペリリル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.144、長鎖アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.192、コニフェリル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.194、シンナミル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.195、シクロヘキサノールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.245、4-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホネートデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.257、3-メチルブタナールレダクターゼE.C.1.1.1.265、S-(ヒドロキシメチル)グルタチオンデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.284、アルコールデヒドロゲナーゼ(受容体)E.C.1.1.99.8、ポリビニル-アルコールデヒドロゲナーゼ(受容体)E.C.1.1.99.23、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(グルタチオン)E.C.1.2.1.1およびアルコールオキシダーゼ、E.C.1.1.3.13、アリール-アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.7、2級アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.18、長鎖アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.20、ポリビニル-アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.30、バニリル-アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.38から選択される実施形態1または2に記載の方法。
【0019】
4.前記酵素がウマ肝臓アルコールデヒドロゲナーゼ(HLADH)であって配列番号1のポリペプチド配列を有するか、配列番号2のポリペプチド配列を有するアルコールオキシダーゼであるか、配列番号1もしくは2の配列に対して少なくとも60%の配列同一性を有するそれら酵素の突然変異体もしくは変異体である実施形態3の方法。
【0020】
5.段階a)において、アルコールデヒドロゲナーゼを用いる場合に、酸化の補因子としてNAD+を使用するか、アルコールオキシダーゼを用いる場合はその反応を好気的に行う実施形態3または4に記載の方法。
【0021】
6.アルデヒドもしくはケトンの還元によって同一のデヒドロゲナーゼ酵素により相当するアルコールとすることで前記NAD+補因子を酵素的に再生する実施形態5に記載の方法。
【0022】
7.前記アルデヒドまたはケトンを活性化エステルの加水分解によって形成する実施形態5の方法。
【0023】
8.化学的還元段階c)をNaBH3CNまたはPd/H2の存在下に行う、前出の実施形態のいずれか一つに記載の方法。
【0024】
9.分子量範囲Mn=100から7,000,000、200から1,000,000、250から500,000、300から100,000、350から50,000、400から10,000または450から5,000のポリアミンが得られる前出の実施形態のいずれか一つに記載の方法。特定のMn範囲は500から4,000または500から3,000または500から2,000である。
【0025】
10.段階b)を好ましくはポリイミン形成を可能とするpH、特に3.5から6または4から5の範囲のpHを有する水系媒体中で行う前出の実施形態のいずれか一つに記載の方法。
【0026】
11.段階a)を6から10の範囲の、例えば7から9または7.5から8のpHを有する水系媒体で行う前出の実施形態のいずれか一つに記載の方法。
【0027】
12.前記酵素を溶解、分散もしくは固定化された形態で用いる前出の実施形態のいずれか一つに記載の方法。
【0028】
13.前出の実施形態のいずれか一つに記載の方法によって得られるポリアミン。
【0029】
14.ポリアミンの製造における実施形態3および4のうちのいずれか一つで定義の酵素の使用。
【0030】
15.紙の製造、酵素の固定化、または医薬組成物もしくは化粧品組成物の製造における実施形態1から12のうちのいずれか一つの方法によって得られるポリアミンの使用。
【0031】
16.前記医薬組成物がDNAおよび/またはRNAの細胞透過を改善するための組成物;皮膚疾患治療用の軟膏;化学療法の副作用を治療するための組成物;薬剤送達組成物、特に局所徐放剤から選択される実施形態15の使用。
【0032】
17.前記酵素の第1の基質S1のデヒドロゲナーゼ触媒酸化反応による第1の酸化生成物P1形成時に生成するNAD(P)+の再生方法であって、前記デヒドロゲナーゼ触媒酸化反応を第2の同時に進行するS1およびP1とは異なる前記酵素の第2の基質S2のデヒドロゲナーゼ触媒還元反応によるP1およびS1とは異なる第2の還元生成物P2の形成と組み合わせることでNAD(P)+の再生を行う段階を含み、前記基質S2を前駆体分子PrS2からイン・サイツで製造し、前駆体分子PrS2が自然にまたは前記デヒドロゲナーゼとは異なる第2の酵素の作用を介して分解する再生方法。
【0033】
18.前記デヒドロゲナーゼがアルコールデヒドロゲナーゼ(ADase)である実施形態17の方法。
【0034】
19.前記PrS2分子が、化学的もしくは酵素的加水分解時に分解して第2の基質S2としての相当するカルボン酸およびアセトアルデヒドとなるカルボン酸のビニルエステルである実施形態17または18の方法。
【0035】
20.前記第1の基質S1が前記ADaseによって酸化可能なアルコールである実施形態17から19のうちのいずれか一つの方法。
【0036】
21.前記アルコールが上記で同定された式(1)のアミノアルコールである実施形態20の方法。
【0037】
22.前記再生反応を水系媒体中で行う実施形態18から21のうちの一つの方法。
【0038】
本発明のさらなる実施形態
1.定義
別段の断りがない限り、下記の定義が適用される。
【0039】
上記式(1)から(4)の化合物において、下記の通りである。
【0040】
パラメータnは、少なくとも1、例えば1から10,000、1から5,000、2から1,000、3から800、4から600、5から500、10から200、15から100、20から80または30から60、特には2から100、3から50、4から30、5から20の整数である。
【0041】
残基Xは同一であるか異なっており、鎖にN、OおよびSから選択される1以上、例えば1、2または3個のヘテロ原子を有していても良い直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和の置換されていても良いヒドロカルビレン残基を表し;特定の残基Xは、1個もしくは2個のヘテロ原子、特には1個のOもしくはS原子を有していても良い直鎖のC1-C10またはC1-C5、例えばC1、C2、C3、C4またはC5ヒドロカルビレン残基または分岐のC3-C10またはC3-C6、例えばC3、C4、C5もしくはC6ヒドロカルビレン残基であることで、エーテル基もしくはチオエーテル基を形成している。
【0042】
残基Rは同一であるか異なっており、N、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を有していても良い直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和の置換されていても良いヒドロカルビル残基、例えば直鎖のC1-C10またはC1-C5、例えばC1、C2、C3、C4またはC5のヒドロカルビル残基または分岐のC3-C10またはC3-C6、例えばC3、C4、C5またはC6のヒドロカルビル残基である。
【0043】
XおよびRの適宜の置換基は、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ,およびハロゲン、例えばF、Cl、Brから選択される。
【0044】
直鎖のC1-C10ヒドロカルビル残基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルなどがある。分岐C3-C10ヒドロカルビル残基は例えば、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、2,2-ジメチルプロピル、イソヘキシル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、イソヘプチル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2,3-トリメチルブチル、イソオクチル、3-メチルヘプチル、4-メチルヘプチル、2,2-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2,3-トリメチルペンチル、2,2,4-トリメチルペンチル、2,2,5-トリメチルペンチルおよびイソノニルである。
【0045】
直鎖C1-C10ヒドロカルビレン残基には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレンおよびデシレンなどがある。分岐C3-C10ヒドロカルビレン残基は例えば、イソプロピレン、イソブチレン、イソペンチレン、2,2-ジメチルプロピレン、イソヘキシレン、3-メチルペンチレン、2,2-ジメチルブチレン、2,3-ジメチルブチレン、イソヘプチレン、3-メチルヘキシレン、2,2-ジメチルペンチレン、2,3-ジメチルペンチレン、2,4-ジメチルペンチレン、2,2,3-トリメチルブチレン、イソオクチル、3-メチルヘプチレン、4-メチルヘプチレン、2,2-ジメチルヘキシレン、2,4-ジメチルヘキシレン、2,5-ジメチルヘキシレン、2,2,3-トリメチルペンチレン、2,2,4-トリメチルペンチレン、2,2,5-トリメチルペンチレンおよびイソノニレンである。
【0046】
別段の断りがない限り、本発明に従って使用される「アミノアルカノール」または「アミノアルデヒド」または「ポリアミン」または「ポリイミン」という表現は、非帯電もしくはアンモニウム塩などの帯電型または帯電および非帯電型の混合物でのそのような化合物を指す。アンモニウム塩は、従来の対イオン、例えば水酸化物もしくはハロゲン化物アニオン、例えばF-、Cl-、Br-によって形成することができる。
【0047】
「中間生成物」は、必ずしも分析的に直接検出可能な濃度ではなく、化学的もしくは生化学的プロセス時に一時的もしくは連続的に形成される生成物と理解される。前記「中間生成物」は、前記プロセスから除去もしくは単離され、第2の化学反応もしくは生化学反応によって直接さらに変換される。
【0048】
本明細書で使用される場合、「実質的に純粋な」タンパク質または酵素は、所望の精製されたタンパク質が本質的にポリアクリルアミド-ドデシル硫酸ナトリウムゲル電気泳動(SDS-PAGE)後の単一バンドによって明らかな、共雑細胞成分を含まないことを意味する。「実質的に純粋な」という用語はさらに、当業者が使用する1以上の純度もしくは均質性の特徴によって均質である分子を説明するものである。例えば、実質的に純粋なタンパク質または酵素は、分子量、クロマトグラフィーの移動、アミノ酸組成、アミノ酸配列、ブロックされたもしくはブロックされていないN-末端、HPLC溶離プロファイル、生理活性および他のそのようなパラメータなどのパラメータにおける標準実験偏差内の一定および再現可能な特徴を示す。しかしながらその用語は、前記タンパク質または酵素と他の化合物の人工的もしくは合成混合物を排除するものではない。さらに、その用語は、前記組換え宿主から単離されても良いタンパク質または酵素を含む融合タンパク質を除外するものではない。
【0049】
「縮合した」または「縮合」は、化学結合の分子間または特に分子内形成と低分子の化学的副生成物、特には水の同時形成を指す。
【0050】
「酵素」反応は、粗形態、すなわち精製されていないかほぼ精製された形態で、あるいは前記酵素を発現し、細胞外の空間に前記酵素を入れても良い完全な微生物体の存在下に、少なくとも一つの酵素の触媒作用下に行われる反応を指す。
【0051】
「水系反応媒体」は液体媒体であり、液体の構成成分は実質的に水と少なくとも一つの少なくとも部分的にまたは特には完全に水と混合され得る有機液体との混合物、(低分子量アルカノール、例えばメタノールもしくはエタノール、またはエーテル類、例えばTHF、またはDMSO、ジオキサン、アセトニトリルなどの他のものなど)からなる。特に、有機構成成分の割合は、混合物の全体積基準で80体積%以下、特には50、40、30、20、10または5体積%以下であることができる。特に、有機構成成分の量および種類は、本発明による反応が悪影響を受けない、特に阻害されないものである。
【0052】
水系反応媒体は、さらに別の構成成分、例えば緩衝剤成分も含むことで、本発明に従って行われる反応をさらに促進することができる。
【0053】
補因子の「再生」は、別の形であれば前記活性補因子を消費すると考えられる特定の酵素反応を行うのに必要な活性型の補因子の部分的もしくは完全な再構成を指す。前記再生は、前記酵素反応と同時に行うことができる。すなわち前記酵素反応と組み合わせることができるか、段階的に行うことができる。
【0054】
エステルの「加水分解」は、酵素、例えばエステラーゼ酵素によって、または好適なpH値とすることで、例えばpH7より高い塩基性pH範囲の値にpH値を調節することで触媒することができる。
【0055】
2.本発明に従って使用されるタンパク質
本発明は、具体的に言及されたタンパク質に限られず、それの機能的均等物にも拡大される。
【0056】
具体的に開示された酵素の「機能的均等物」または「類縁体」または「機能的突然変異」は、本発明の範囲内で、所望の生理的な機能もしくは活性、例えば酵素活性をさらに有するそれの各種ポリペプチドである。
【0057】
例えば、「機能的均等物」は、酵素活性に関して用いられる試験において、本明細書で定義される少なくとも1から10%、または少なくとも20%、または少なくとも50%、または少なくとも75%、または少なくとも90%以上もしくは以下の酵素活性を示す酵素を意味する。
【0058】
本発明による「機能的均等物」は、特に上述のアミノ酸配列のうちの少なくとも一つの配列位置で、具体的に言及されたものとは異なるアミノ酸を有するが、上記の生理活性のうちの一つを有する突然変異体をも意味する。従って「機能的均等物」は、1以上のアミノ酸付加、置換、欠失および/または反転によって得ることができる突然変異体を含み、記載の変化はいずれの配列位置でも起こり得るものであるが、ただしそれによって、本発明による特性のプロファイルを有する突然変異体を生じる。機能的均等物は特に、反応性パターンが突然変異体と未変化のポリペプチドとの間で性質的に同時に起こる場合、すなわち、例えば同じ基質が異なる速度で変換される場合にも提供される。好適なアミノ酸置換の例を下記の表に示してある。
【表1】

【0059】
上記の意味において「機能的均等物」は、記載のポリペプチドの「前駆体」、ならびにポリペプチドの「機能的誘導体」および「塩」でもある。
【0060】
「前駆体」は、その場合、所望の生理活性を持ったもしくは持たないポリペプチドの天然もしくは合成の前駆体である。
【0061】
「塩」という表現は、カルボキシル基の塩ならびに本発明によるタンパク質分子のアミノ基の酸付加の塩を意味する。カルボキシル基の塩は、公知の方法で製造することができ、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄および亜鉛の塩などの無機塩ならびに有機塩基、例えばトリエタノールアミン、アルギニン、リジン、ピペリジンなどのアミンとの塩などがある。酸付加の塩、例えば塩酸もしくは硫酸などの無機酸との塩、ならびに酢酸およびシュウ酸などの有機酸との塩も本発明によって網羅される。
【0062】
本発明によるポリペプチドの「機能的誘導体」は、公知の技術を用いて機能的アミノ酸側基で、またはそれのN末端もしくはC末端で製造することもできる。そのような誘導体には、例えばカルボン酸基の脂肪族エステル、アンモニアまたは1級もしくは2級のアミンとの反応によって得ることができるカルボン酸基のアミド;アシル基との反応によって製造される遊離アミノ基のN-アシル誘導体;またはアシル基との反応によって製造される遊離ヒドロキシ基のO-アシル誘導体などがある。
【0063】
「機能的均等物」は天然には、他の生命ならびに天然の変異体から得ることができるポリペプチドなどがある。例えば、相同配列領域の区画を配列比較によって確定することができ、等価な酵素を本発明の具体的なパラメータに基づいて決定することができる。
【0064】
「機能的均等物」には、例えば所望の生理機能を示す本発明によるポリペプチドの断片、好ましくは個々の領域または配列モチーフなどもある。
【0065】
「機能的均等物」はさらに、上記のポリペプチド配列のうちの一つを有する融合タンパク質またはそれから誘導される機能的均等物および機能的N末端もしくはC末端会合における少なくとも一つのさらに別の機能的に異なる非相同配列である(すなわち、融合タンパク質部分の実質的な相互機能障害を持たない)。これらの非相同配列の例としては、例えばシグナルペプチド、ヒスチジンアンカーまたは酵素があるが、これらに限定されるものではない。
【0066】
本発明に従ってさらに含まれる「機能的均等物」は、具体的に開示されたタンパク質の相同体である。これらは、上記の同一性パーセント値を有する。その値は、具体的に開示されたアミノ酸配列との同一性を指し、Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad, Sci. (USA) 85(8), 1988, 2444-2448のアルゴリズムに従って計算することができる。同一性%値は、BLASTアラインメント、アルゴリズムブラストp(blastp)(タンパク質-タンパク質BLAST)から、または下記で提供されるクラスタル(Clustal)設定を適用することで計算することもできる。
【0067】
例えば、同一性は、下記の設定としたクラスタル法を用いるインフォーマックス(Informax)社(USA)のベクター(Vector)NTI7.1プログラム一式によって計算することができる(Higgins DG, Sharp PM. Fast and sensitive multiple sequence alignments on a microcomputer. Comput Appl. Biosci. 1989 Apr; 5(2):151-1)。
【0068】
多重整列パラメータ
ギャップ開始ペナルティ:10
ギャップ伸長ペナルティ:10
ギャップ分離ペナルティ範囲:8
ギャップ分離ペナルティ:オフ
アラインメントディレーの同一性%:40
残基特異的ギャップ:オフ
親水性残基ギャップ:オフ
トランジション秤量:0。
【0069】
ペアワイズアラインメントパラメータ
FASTアルゴリズム:オン
k-タプルサイズ:1
ギャップペナルティ:3
ウィンドウサイズ:5
ベストダイアゴナル数:5。
【0070】
あるいは、同一性は、Chenna, Ramu, Sugawara, Hideaki, Koike, Tadashi, Lopez, Rodrigo, Gibson, Toby J, Higgins, Desmond G, Thompson, Julie D. Multiple sequence alignment with the Clustal series of programs. (2003) Nucleic Acids Res 31 (13): 3497-500、ウェブページ:http://www.ebi.ac.uk/Tools/clustalw/index.html#および下記の設定に従って求めることができる。
【0071】
DNAギャップ開始ペナルティ:15.0
DNAギャップ伸長ペナルティ:6.66
DNAマトリクス:同一性
タンパク質ギャップ開始ペナルティ:10.0
タンパク質ギャップ伸長ペナルティ:0.2
タンパク質マトリクス:Gonnet
タンパク質/DNA ENDGAP:-1
タンパク質/DNA GAPDIST:4。
【0072】
本発明による相同ポリペプチドの同一性パーセントは特には、本明細書に具体的に記載されているアミノ酸配列の一つの全長と比較したアミノ酸残基の同一性パーセントを意味する。
【0073】
可能なタンパク質グリコシル化の場合、本発明による「機能的均等物」は、脱グリコシル化型もしくはグリコシル化型ならびにグリコシル化パターンを変えることで得ることができる修飾型における上記で示した種類のタンパク質を含む。
【0074】
本発明によるタンパク質またはポリペプチドのそのような機能的均等物または相同体は、突然変異誘発、例えばタンパク質の点変異、伸長または短縮によって製造することができる。
【0075】
本発明によるタンパク質のそのような機能的均等物または相同体は、突然変異体のコンビナトリアルデータベースのスクリーニング、例えば突然変異体を短縮することで確認することができる。例えば、タンパク質変異体の多様なデータベースは、核酸レベルのコンビナトリアル変異により、例えば合成オリゴヌクレオチドの混合物の酵素的連結によって得ることができる。縮重オリゴヌクレオチド配列から可能な相同体のデータベースを取得するために用いることができる非常に多くの方法がある。縮重遺伝子配列の化学合成を自動DNA合成装置で行うことができ、次に合成遺伝子を好適な発現ベクターで連結することができる。縮重ゲノムの使用によって、可能なタンパク質配列の所望の組み合わせをコードする全ての配列を混合物中に供給することが可能となる。縮重オリゴヌクレオチドの合成方法は、当業者に公知である(例えば、Narang, S.A. (1983) Tetrahedron 39:3; Itakura et al. (1984) Annu. Rev. Biochem. 53:323; Itakura et al. , (1984) Science 198:1056; Ike et al. (1983) Nucleic Acids Res. 11:477)。
【0076】
先行技術において、点変異または短縮によって得られたコンビナトリアルデータベースの遺伝子産物のスクリーニング、ならびに特定の性質を有する遺伝子産物についてのcDNAライブラリーのスクリーニングについては、いくつかの技術が知られている。これらの技術は、本発明による相同体のコンビナトリアル変異によって得られた遺伝子バンクの迅速スクリーニングに適応させることができる。高スループット解析に基づく大きい遺伝子バンクのスクリーニングに最も高頻度で用いられる技術は、複製可能な発現ベクターでの遺伝子バンクのクローニング、得られたベクターデータベースによる好適な細胞の形質転換および産生物が検出される遺伝子をコードするベクターの単離を所望の活性の検出が促進する条件でのコンビナトリアル遺伝子の発現を含むものである。データベースにおける機能的突然変異体の頻度を高める技術である機能的アンサンブル変異誘発(REM)を、スクリーニング試験と併用して、相同体を確認することができる(Arkin and Yourvan (1992) PNAS 89:7811-7815; Delgrave et al. (1993) Protein Engineering 6(3):327-331)。
【0077】
3.本発明の方法のさらなる実施形態
3.1.概要
本発明の方法は、バッチ式、半バッチ式または連続式で行うことができる。
【0078】
本発明の方法の際に存在することができる酵素または複数の酵素は、その酵素または複数の酵素を産生する生存細胞、採取細胞、死亡細胞、透過性細胞、粗細胞抽出物、部分精製抽出物中に、または実質的(約90から99.5重量%)もしくは完全(約99.5から99.9重量%、または100重量%)(それぞれ、酵素取得物の総乾燥重量当たり)純粋形態で存在することができる。
【0079】
その酵素は、遊離状態で用いても良く、固定化しても良い。固定化酵素は、好適な不活性担体に固定される。好適な担体は、例えばEP-A-1149849、EP-A-1069183およびDE-OS100193773ならびにそれら文献で引用されている別の文書に記載されている。好適な担体は例えば、クレー類(カオリナイト、パーライトなど)、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、セルロース粉末、陰イオン交換体、合成ポリマー(ポリスチレンなど)、アクリル樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン類およびポリオレフィン類(ポリエチレン類およびポリプロピレン類など)である。担体は通常、粒子状で、優先的には多孔質形態で用いられる。粒径は通常、5mm以下または2mm以下の範囲である。酵素または細胞は、グルタルアルデヒドと架橋することもできる。好適な固定化技術は、例えばJ. Lalonde and A. Margolin "Immobilization of Enzymes", K. Drauz and H. Waldmann, Enzyme Catalysis in Organic Synthesis 2002, Vol.III, 991-1032, Wiley-VCH, Weinheimに記載されている。
【0080】
本発明による方法は、当業者には公知の一般的なリアクターで、例えば実験室規模(数ミリリットルから数十リットルの反応体積)から工業規模(数リットルから数千立方メートルの反応体積)までの異なる規模範囲で行うことができる。
【0081】
酵素を固定化型で用いる場合、リアクターを用いることができる。リアクターによって通常は、少なくとも一つの酵素の量、少なくとも一つの基質の量、pH、温度および反応媒体の循環の制御が可能となる。少なくとも一つの酵素が生存細胞に存在する場合、方法は発酵になろう。この場合、生体触媒生産がバイオリアクター(発酵槽)で行われ、その場合に生存細胞に好適な生存条件に必要なパラメータ(例えば、栄養素を含む培地、温度、曝気、酸素その他のガスの存在もしくは非存在、抗生物質など)を制御することができる。当業者であれば化学リアクターまたはバイオリアクターについて熟知しており、例えば実験室規模から工業的規模への化学的もしくはバイオテクノロジー的方法の規模拡大または工程パラメータの至適化のための手順については熟知しており、それについても文献で広範囲に記載されている(バイオテクノロジー法については、例えばCrueger und Crueger, Biotechnologie-Lehrbuch der angewandten Mikrobiologie, 2. Aufl., R. Oldenbourg Verlag, Muenchen, Wien, 1984;またはBiotechnology, Volume 3, 2nd Edition, Rehm et al. Eds., (1993)、特にChapterIIを参照する。)。
【0082】
少なくとも一つの本発明の酵素を含む細胞は、超音波または高周波パルス、フレンチプレスなどの物理的もしくは機械的手段、または培地に存在する低張媒体、溶解酵素および界面活性剤などの化学的手段、またはそのような方法の組み合わせによって透過化処理することができる。界面活性剤の例には、ジギトニン、n-ドデシルマルトシド、オクチルグリコシド、Triton(登録商標)X-100、Tween(登録商標)20、デオキシコール酸塩、CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)、Nonidet(登録商標)P40(エチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル))などがある。
【0083】
好適な酵素含有量は、限られた数の至適化実験を行うことで当業者が容易に決定することができる。
【0084】
3.2 pH値および緩衝剤
3.2.1 酸化段階a)
本発明の方法において、純粋な形態でのエナンチオマー的に純粋もしくはキラルな基質または一方の立体異性体富化を示す立体異性体混合物を用いることができる。
【0085】
一般式(1)による基質の一般式(2)によるアミノアルデヒドへの変換は通常、酵素(デヒドロゲナーゼまたはオキシダーゼ)または酵素系(酵素を再生させる補因子との組み合わせ)に至適な条件に応じて、約6.0から約10.0のpH、例えば約7から9.5のpHで行われる。pH至適値は、限られた数の一般的な実験を事前に行うことで容易に決定することができる。例えば、Pichia pastorisのアルコールオキシダーゼを用いる場合には、pHは6.5から7.5の範囲、さらには約7.0の範囲である。あるいは、Equus caballusからのアルコールデヒドロゲナーゼはよりアルカリ側のpHを必要とし、反応は約8.5から9.5の範囲、さらには約9.0の範囲で行うことができる。
【0086】
上記のpH値またはpH範囲に好適な緩衝剤を用いることができ、例えばMOPS、HEPES、PIPES、リン酸塩、ホウ酸塩およびTris緩衝剤である。7.5から9.0のpH範囲では、Tris緩衝剤を用いることができ、6.0から8.0のpH範囲ではリン酸塩またはMOPS緩衝剤を用いることができる。緩衝剤の濃度は、プロセス条件に応じて多様であることができ、1mMから200mM、例えば1mMから100mM、1mMから50mMの範囲であることができる。特に、緩衝液濃度は2mMから25mMまたは3mMから10mM、例えば5mMであることができる。
【0087】
3.2.2 ポリイミン形成段階b)
重合を誘発するには、好適な無機もしくは有機酸を加えることで、反応媒体のpHを低くする。例えば、H2SO4またはHClなどの無機酸を加えることができる。pHを低くして、アミノアルデヒドモノマーの重合を助ける範囲に到達させる。通常、前記pHは約3.5から5.5、特には4から5の範囲であることができる。酸は、段階a)から得られた反応混合物に加えることができるか、1以上の構成成分、例えば徐々にまたはEDTAまたは過酸化水素などの好適な失活剤を加えることで、または補因子再生に必要な未変換の反応物もしくは共反応物を除去することで起こる酵素非活性化から生じるタンパク質材料を除去した後に、段階a)の反応混合物を用いて行うこともできる。しかしながら通常、段階b)を行うのに前処理は必要ない。
【0088】
3.2.3 還元段階c)
還元は、段階b)の後にまたはそれと同時に行うことができる。水溶液中で前記ポリイミンを相当するポリアミンに還元する上で好適な還元剤、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素トリアセトキシナトリウム、H2/PdCを、イミン基の所望の程度の(好ましくは完全な)水素化を提供する上で十分な量で加える。例えば、還元剤は2から10倍モル過剰で加えることができる。
【0089】
3.2.4 NAD(P)+補因子再生
補因子再生に好適なpHおよび緩衝剤条件は、補因子再生をそのようなアミノアルデヒド形成段階a)に組み合わせた場合に、上記段階a)の条件と実質的に同一であることができる。酸化還元酵素および異なる基質を消費する他の補因子と組み合わせる場合、当業者であれば、具体的な工程条件を新たな系に対して調整することができ、それは限られた数の通常の実験によって行うことができることは明らかであろう。
【0090】
3.3.反応の温度および期間
本発明の方法段階は、使用される酵素が耐容性であるか、使用される所期の化学的もしくは酵素的変換反応を助ける温度で行うことができる。
【0091】
酵素的変換の温度は、酵素を有するか、抽出源として用いられる生物または微生物の至適成長温度と相関することができるが、当業者であれば容易に決定することができる。
【0092】
概して、前記方法段階は、20℃から70℃、特には40℃から50℃の温度で行うことができる。反応温度の例には、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃および約60℃がある。
【0093】
各段階は、基質と相当する生成物の間の平衡が達成されるまで進行させることができるが、それより早く停止させることができる。通常の反応時間は、約1分から25時間、特に約10分から6時間の範囲、または約1時間から4時間の範囲である。
【0094】
3.4 共溶媒
必要に応じて、基質の溶解度を高めるため、1以上の有機共溶媒を反応媒体に含めることができる。好適な共溶媒の例には、ブタン-2-オール、メチル-tert-ブチルエーテル(MTBE)およびジメチルスルホキシド(DMSO)がある。前記共溶媒については、水系媒体中の飽和以下の濃度を用いることができ、例えば約6%以下、約5%以下、約4%以下、約3%以下、約2%以下、または約1%以下である。
【0095】
3.5 他の反応物
本発明の反応(基質の変換、補因子再生)を行うのに必要なさらに別の反応物または共反応物を、必要に応じて、そして好適な量で反応系に加えても良い。
【0096】
例えば、補因子(NAD(P)+)を、非化学量論量で、例えば0.001から10、0.01から5または0.1から1mMの範囲で加えることができる。
【0097】
例えば、酢酸ビニルなどの補因子再生用の活性化エステルを、好適な量で、例えばアミノアルコールと比較して1から10倍または2から5倍モル過剰の範囲の量で加えることができる。
【0098】
例えば、過酸化水素を、好適な量で、例えば0.0001から10、0.001から10、0.01から5または0.1から1mMの範囲の量で加えることができる。
【0099】
3.6 ポリマー単離
本発明の方法はさらに、ポリマー回収の段階も含むことができる。「回収」という用語には、反応媒体からの化合物の抽出、採取、単離または精製が含まれる。化合物の回収は、従来の樹脂(例えば、陰イオンもしくは陽イオン交換樹脂、非イオン系吸着樹脂など)による処理、従来の吸着剤による処理(例えば、活性炭、ケイ酸、シリカゲル、セルロース、アルミナなど)、pHの変更、溶媒抽出(例えば、アルコール、酢酸エチル、ヘキサンなどの従来の溶媒による)、蒸留、透析、濾過、濃縮、結晶化、再結晶、凍結乾燥などならびにこれらの組み合わせなど(これらに限定されるものではない)の当業界で公知の従来の単離もしくは精製方法に従って行うことができる。
【0100】
例えば、前記ポリマーは、最初に残留微生物もしくはタンパク質を除去することで反応液から回収することができるか、実質的にそのような不純物が全く存在しない場合には、水系環境中でのポリマーの溶解度を低下させ、好適な有機溶媒、好ましくは実質的に水不溶性の溶媒で(適宜に繰り返し)抽出することで回収することができる。好適な溶媒は、例えばジクロロメタン、トルエン、塩化メチレン、酢酸ブチル、ジイソプロピルエーテル、ベンゼン、MTBEまたは酢酸エチルであるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
抽出は、NaOHなどの好適な塩基を加えることで混合物のpHを約pH12から14に上昇させ、例えば飽和食塩水などの塩水溶液を加えることでイオン強度を調節した後に行うことができる。
【0102】
下記の実施例は、本発明を説明することのみを目的とするものである。当業者には明白である多くの可能な変形形態も、本発明の範囲に含まれる。
【実施例】
【0103】
実験の部
実施例1:ウマ肝臓アルコールデヒドロゲナーゼ(HLADH)またはアルコールオキシダーゼ(AOX)による水系媒体中でのポリアミンの製造
前記の水系媒体中でのポリアミン合成の二つの異なる手法を図1および図2に模式的に描いている。
【0104】
HLADH手法では、酢酸ビニルを用いることで補因子再生を行う。酢酸ビニルはpH9.1で急速に加水分解して、酢酸とアセトアルデヒドに分解する。そのアルデヒドは、HLADHによって還元されてエタノールとなり得るもので、それによってNADHからNAD+が形成される。未反応のアセトアルデヒドは、酵素をEDTAまたはH2O2で失活させた後にN2を吹き込むことによって除去することができる。アルコールデヒドロゲナーゼHLADHについて、その反応を340nmでNADH生成によって分光光度的に追跡した。異なる濃度の各種アミノアルコールを用いて、ミカエリスメンテン速度定数を得た。
【0105】
AOX手法では、補因子再生は必要ない。その反応はさらに、過酸化水素のカタラーゼ触媒分解によって推進される。AOX反応は、420nmでペルオキシダーゼおよび2,2′-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS)の添加による過酸化水素の形成を追跡することで分光光度的に定量することができる。
【0106】
a)材料
本実験に使用される化学物質は純度>98%の等級のものであり、シグマアルドリッチ(SigmaAldrich)から購入した。
【0107】
使用されるAOX(Pichia pastoris)は、アルカリ性pHではアミノアルコールに対して活性を持たないことから、合成はpH7.0で行った。酵素は、シグマアルドリッチから市販のものを得た。
【0108】
アルコールデヒドロゲナーゼ(Equus caballus)は、中性pHで活性を示さず、アルカリ性pHで良好な反応速度を有していた。この反応はpH9.1で行った。酵素は、シグマアルドリッチから市販のものを得た。
【0109】
b)ポリアミン合成
b1)AOXによるポリアミン合成
3-アミノプロパノール、D-アラニノール、L-アラニノールまたは2-フェニルグリシノールから選択されるアミノアルコールを100mM MOPS-緩衝液に溶かして、体積1mLから300mLの濃度5mMから3Mとし、HClによってpHを7.0に設定した。AOXおよびカタラーゼを加え、溶液を25℃で48時間インキュベートした。AOXの量は24時間以内に変換を完了するのに必要な量に調節し、少なくとも10倍酵素単位過剰のカタラーゼとした。酢酸を加えることでpHを4.5に下げ、3当量のNaCNBH3を加えた。
【0110】
b2)HLADHによるポリアミン合成
アミノアルコールを1mL:300mLで水に溶かして、2倍モル過剰の酢酸ビニルとともに5mMから3Mの濃度とし、NaOH/HClでpHを9.1に設定した。基質自体がこのpHで緩衝能力を有する。ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)およびNAD+(0.5mM)を加え、溶液を25℃で48時間インキュベートした。酵素量を調節して、24時間以内に変換を完了させた。
【0111】
その後、30%H2O2を酵素に対して100当量の過酸化物濃度となるまで加え、反応液を4時間インキュベートした。混合物に浸漬した注射器によってN2を4時間吹き込むことで、アセトアルデヒドを除去した。HClを加えることでpHを4.5まで低下させ、3当量のNaCNBH3を加えた。
【0112】
c)生成物の抽出
反応混合物を1当量の飽和食塩水と混合し、NaOHを加えることでpHを14に設定した。その後、ジクロロメタンとともに繰り返し振盪することで、水溶液からポリマー/オリゴマーを分離した。その後、ジクロロメタン相について凍結乾燥を行って粘稠物を得たが、それはオリゴ/ポリアミンである。
【0113】
d)特性決定
取得物(製造されたポリマー/オリゴマー)をジメチルスルホキシドに溶かし、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行った。
【0114】
別法として、1μLから200μLの範囲の各種量の取得物(製造されたポリマー/オリゴマー)を3%トリフルオロ酢酸および10g/Lの2,5-ジヒドロキシ安息香酸を含むアセトニトリル/水(1:1)溶液0.5mLに溶かし、イオン質量を飛行時間(TOF)によって測定するマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)による質量分析を行った。
【0115】
e)結果と考察
ポリアミン化合物の分子量は、アミノアルデヒドの形成程度によって決まる。HLADHを用いる反応の場合、過剰量の酢酸ビニルを加えて基質を完全に変換させ、生成したアセトアルデヒドを混合物へのN2吹き込みによって除去した。AOXを用いる場合は、環境空気からの酸素の溶存およびカタラーゼの作用によって完全な変換が確保される。
【0116】
イミンを形成するには、酢酸および/またはHClを加えることでpHを4.5に下げる。アルコールデヒドロゲナーゼを用いる場合は、活性化エステルの加水分解から生成した酢酸がこのpHで緩衝剤として機能することから、この場合はHClを用いることができる。
【0117】
AOXが触媒する各種アミノアルコール類の変換の結果を表1にまとめてあり、その表には速度定数も示してある。
【表2】

【0118】
反応は、ペルオキシダーゼおよびABTSを加えることによる過酸化水素の形成を介して420nmで分光光度的に追跡した。
【0119】
E値=特異性定数の割り算によって定義される基質としての一方のエナンチオマーの他方と比較した比例優先度。特異性定数はkcat/KMと定義される。
【0120】
2-アミノ-1-フェニルエタノール(2-フェニルグリシノール)の場合、基質がABTS添加時に沈殿することから、アッセイを用いることはできなかった。ABTSをピロガロールまたはプルパルドで置き換えた他の実験を用いて、アルデヒドの形成を測定したが、確定的なものではなかった。しかしながら、その実験では、酵素がその反応を触媒していることおよびアルデヒドの出現が明らかになった。これらの実験における割合の再現性は満足なものではなかったことから、速度論データは抽出できなかった。
【0121】
HLADHによって触媒される各種アミノアルコールの変換についての結果を表2にまとめてあり、その表には速度定数も示してある。
【表3】

【0122】
HLADHが触媒する反応は、NADHの形成により340nmで分光光度的に追跡した。
【0123】
ジクロロメタンによる抽出(水溶液を1当量の飽和食塩水と混合し、pHを14に設定した)後、および溶媒留去後に、取得物について、DMSO中への溶解後にサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を行うことができた。図3にはそのクロマトグラムを示してある。
【0124】
多分散は、1.04から1.07の間で変動すると推算された(ソフトウェアMilleniumによって実施)。
【0125】
抽出物について、質量分析を行うこともできた。取得物を、3%TFAおよび10g/Lの2,5-ジヒドロキシ安息香酸を含む水/アセトニトリル(1:1)に各種濃度で溶かした。2-フェニルグリシノールから形成されるポリマーのスペクトラムを図4に示してある。
【0126】
フェニル基を持たないサブユニットの存在が推定され、原料中の汚染物に由来すると推定される。汚染物としてアラニノールが存在し、2-フェニルグリシノールより良好な基質である場合、残りの分子がアルデヒドに変換される前にそれが組み込まれるものと考えられる。そのようなサブユニットは質量差57.06に相当するものであり、フェニル基を有するサブユニットは質量差119.07に相当するものである。これらの質量差を用いて、図4のスペクトラム中のピークの質量における差を説明することができる。
【0127】
市販のPEI1800についてもMALDI-TOFで調べ、スペクトラムを図5に示してある。図5において、数系統のポリマーが存在して、かなり不明瞭なスペクトラムが生じている。ピーク間の質量差は、予想通り約43である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(4)のポリアミン:
【化1】

[式中、
nは少なくとも1の整数であり;
残基Xは互いに独立に、N、OおよびSから選択される1以上の同一もしくは異なるヘテロ原子を有していても良い直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和ヒドロカルビレン残基を表し;
残基Rは互いに独立に、水素原子またはN、OおよびSから選択される1以上の同一もしくは異なるヘテロ原子を有していても良い直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和ヒドロカルビル残基を表し;
末端H2N-およびHO-CH2-基が縮合して、分子内アミノ連結を形成していても良い。]の製造方法であって、
a)キラルもしくは非キラルであることができ、光学的に純粋な形態もしくは異性体の混合物として用いることができる下記一般式(1)のアミノアルコールを酵素的に酸化して、下記式(2)の相当するアミノアルデヒドとする段階
【化2】

[式中、XおよびRは上記で定義の通りである。];
b)前記式(2)のアミノアルデヒドを重合させて下記のポリイミン(3)とする段階
【化3】

[式中、X、Rおよびnは上記で定義の通りである。]、
c)前記式(3)のポリイミンを還元して式(4)の相当するポリアミンとする段階
を有する方法。
【請求項2】
段階a)の前記アミノアルコールがX=-CH2-CH2-である式(1)の化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階a)の酵素がデヒドロゲナーゼ類およびオキシダーゼ類、特にアルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.1、アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)1.1.1.2、アリル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.54、アルコールデヒドロゲナーゼ[NAD(P)+]E.C.1.1.1.71、アリール-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.90、アリール-アルコールデヒドロゲナーゼ(NADP+)E.C.1.1.1.91、3-ヒドロキシベンジル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.97、ペリリル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.144、長鎖アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.192、コニフェリル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.194、シンナミル-アルコールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.195、シクロヘキサノールデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.245、4-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホネートデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.257、3-メチルブタナールレダクターゼE.C.1.1.1.265、S-(ヒドロキシメチル)グルタチオンデヒドロゲナーゼE.C.1.1.1.284、アルコールデヒドロゲナーゼ(受容体)E.C.1.1.99.8、ポリビニル-アルコールデヒドロゲナーゼ(受容体)E.C.1.1.99.23、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ(グルタチオン)E.C.1.2.1.1およびアルコールオキシダーゼ、E.C.1.1.3.13、アリール-アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.7、2級アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.18、長鎖アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.20、ポリビニル-アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.30、バニリル-アルコールオキシダーゼE.C.1.1.3.38から選択される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記酵素がウマ肝臓アルコールデヒドロゲナーゼ(HLADH)であって配列番号1のポリペプチド配列を有するか、配列番号2のポリペプチド配列を有するアルコールオキシダーゼであるか、配列番号1もしくは2の配列に対して少なくとも60%の配列同一性を有するそれら酵素の突然変異体もしくは変異体である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
段階a)において、アルコールデヒドロゲナーゼを用いる場合に、酸化の補因子としてNAD+を使用するか、アルコールオキシダーゼを用いる場合はその反応を好気的に行う請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
アルデヒドもしくはケトンの還元によって同一のデヒドロゲナーゼ酵素により相当するアルコールとすることで前記NAD+補因子を酵素的に再生する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アルデヒドまたはケトンを活性化エステルの加水分解によって形成する請求項5に記載の方法。
【請求項8】
化学的還元段階c)をNaBH3CNまたはPd/H2の存在下に行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
分子量範囲Mn=100から7,000,000のポリアミンが得られる請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
段階b)を、ポリイミン形成を可能とするpH、好ましくは3.5から6の範囲のpHを有する水系媒体中で行う請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
段階a)を、6から10の範囲のpHを有する水系媒体で行う請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記酵素を溶解、分散もしくは固定化された形態で用いる請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法によって得られるポリアミン。
【請求項14】
ポリアミンの製造における請求項3および4のうちのいずれか1項で定義の酵素の使用。
【請求項15】
紙の製造、酵素の固定化、または医薬組成物もしくは化粧品組成物の製造における請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載の方法によって得られるポリアミンの使用。
【請求項16】
前記医薬組成物がDNAおよび/またはRNAの細胞透過を改善するための組成物;皮膚疾患治療用の軟膏;化学療法の副作用を治療するための組成物;薬剤送達組成物から選択される請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記酵素の第1の基質S1のデヒドロゲナーゼ触媒酸化反応による第1の酸化生成物P1形成時に生成するNAD(P)+の再生方法であって、前記デヒドロゲナーゼ触媒酸化反応を第2の同時に進行するS1およびP1とは異なる前記酵素の第2の基質S2のデヒドロゲナーゼ触媒還元反応によるP1およびS1とは異なる第2の還元生成物P2の形成と組み合わせることでNAD(P)+の再生を行う段階を含み、前記基質S2を前駆体分子PrS2から製造する再生方法。
【請求項18】
前記デヒドロゲナーゼがアルコールデヒドロゲナーゼ(ADase)である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記PrS2分子が、加水分解時に分解して第2の基質S2としての相当するカルボン酸およびアセトアルデヒドとなるカルボン酸のビニルエステルである請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の基質S1が前記ADaseによって酸化可能なアルコールである請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記アルコールが上記で同定された式(1)のアミノアルコールである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記再生反応を水系媒体中で行う請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−509166(P2013−509166A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535843(P2012−535843)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066449
【国際公開番号】WO2011/051433
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】