説明

ポリアリレートの製造方法

【課題】
【解決手段】本発明は、ポリアリレートの製造方法に関する。より詳しくは、2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物との界面重合法によってポリアリレートを製造する方法であって、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒を一定比率で混合し、前記非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒をそれぞれ単独で用いる場合よりポリアリレートの生成量を増加させるポリアリレートの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリレートの製造方法に関する。より詳しくは、2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物との界面重合法によってポリアリレートを製造する方法であって、ポリアリレートの生成量を増加させるポリアリレートの製造方法に関する。
【0002】
本出願は2006年2月17日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2006−0015561号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
一般的にポリアリレートは芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸を縮合重合して、製造した芳香族リニアポリエステル樹脂をいう。このようなポリアリレート樹脂は用いる原料物質により色々な分子構造式を有し得るが、その中でも2価フェノール中のビスフェノールAと、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸またはイソフタル酸を縮合重合して製造される下記化学式1で示される反復単位を有するのが代表的である。
【0004】
【化2】

【0005】
前記化学式1のポリアリレート樹脂は諸物性が特殊なエンジニアリングプラスチック樹脂として、耐熱性が高く機械的強度に優れ、かつ透明であるため、電気電子製品のスイッチ類、ソケット類、電子レンジ部品、リレーケースおよび基板等に用いられる。また、機械分野では時計内・外装品、光学機械部品、ガス遮断器等の熱機器部品、またはハウジングや自動車分野のレンズ類、電装品ハウジング、計器板等の各種材料および包装材料として広範囲に用られている。
【0006】
ポリアリレートの製造方法には界面重合法、溶液重合法または溶融重合法があるが、このうちの界面重合法を用いる場合、副反応物の除去が容易で、発熱を抑制できる長所があるため、多く用いられている。ポリアリレートの製造のための界面重合法では重合反応速度を向上させるためにカチオン性相転移触媒を投入したりもする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物との界面重合法によってポリアリレートを製造する方法であって、カチオン性相転移触媒と非イオン性界面活性剤を一定比率で混合して用い、前記非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒をそれぞれ単独で用いる場合よりポリアリレートの生成量を増加させるポリアリレートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物との界面重合法によってポリアリレートを製造する方法であって、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒を反応器に添加するステップを含むことを特徴とするポリアリレートの製造方法を提供する。
【0009】
以下では、本発明について詳細に説明する。
【0010】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、前記非イオン性界面活性剤は前記カチオン性相転移触媒100重量部に対し1〜10,000重量部であるのが好ましい。
【0011】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、前記非イオン性界面活性剤と前記カチオン性相転移触媒を混合した量は、前記2価フェノール化合物100重量部に対し0.0001〜10重量部であるのが好ましい。非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒を混合した量が2価フェノール化合物100重量部に対し0.0001重量部未満の場合には重合反応速度がかなり遅くなり、10重量部を超過する場合には重合反応速度は速くなるが、相対的に相転移触媒が高価なので製造原価の側面から好ましくない。
【0012】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、前記非イオン性界面活性剤はHLB(Hydrophilic Liphophilic Balance)値が4〜20の非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
【0013】
前記HLBは界面活性剤の親油性基の比率と親水性基の比率を数値で表したもので、非イオン性界面活性剤のHLBは下記の通り計算することができる(参考文献:Surfactants and interfacial phenomena,MILTON J.ROSEN 1989.p328)。
【0014】
多価アルコールのエステルの非イオン性界面活性剤のHLBは、下記数学式1で計算することができる。
【0015】
[数学式1]
HLB=20{1−(S/A)}
前記数学式1において、Aは脂肪酸の中和価で、Sはエステルの鹸化価である。
【0016】
また、多価アルコールのエステルのエチレンオキシド付加物(Tween系)の非イオン性界面活性剤のHLBは下記数学式2で計算できる。
【0017】
[数学式2]
HLB=(E+P)/5
前記数学式2において、Eはエチレンオキシドの含量%で、Pは多価アルコールの含量%である。
【0018】
また、エチレンオキシド付加物からなる非イオン性界面活性剤の場合には下記数学式3で計算できる。
【0019】
[数学式3]
HLB=E/5
前記数学式3において、Eはエチレンオキシドの含量%である。
【0020】
前記非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビトール(sorbitol)の無水物、エトキシ化脂肪酸アルコール(ethoxylated fatty alcohol)、エトキシ化脂肪酸(ethoxylated fatty acid)、エトキシ化アルキルフェノール(ethoxylated alkyl phenol)、エトキシ化脂肪酸アルカノールアミド(ethoxylated fatty acid alkanolamide)、脂肪酸アミンオキシド(fatty amine oxide)、脂肪酸アミドアミンオキシド(fatty amido amine oxide)、グリセリル脂肪酸エステル(glyceryl fatty acid ester)、ソルビタン(sorbitan)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、エトキシ化ソルビタンエステル(ethoxylated sorbitan ester)、アルキルポリグリコシド(alkyl polyglycoside)、エチレンまたはプロピレンオキシドブロック共重合体(ethylene/propylene oxide copolymer)、エトキシ化−プロポキシ化脂肪酸アルコール(ethoxylated−propoxylated fatty alcohol)等が例として挙げられるが、これにのみ限定されるものではない。
【0021】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、前記カチオン性相転移触媒としては、3級アミン、4級アンモニウム塩、4級アルソニウム塩、4級リン酸塩、3級スルホニウム塩を用いることができる。具体的には、3級アミンにはトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンとジメチルシクロヘキシルアミン等が用いられ、4級アンモニウム塩にはテトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジメチルベンジルフェニルアンモニウムクロライドとジメチルベンジルステアリルアンモニウムクロライド等を用いることができ、4級アルソニウム塩にはメチルトリフェニルアルソニウムアイオダイド、ベンジルトリフェニルアルソニウムアイオダイド、ベンジルトリフェニルアルソニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルアルソニウムクロライドとテトラフェニルアルソニウムクロライド等が用いられ、4級リン酸塩にはテトラブチルリン酸アイオダイド、メチルトリフェニルリン酸クロライド、メチルトリフェニルリン酸アイオダイド、ヒドロキシエチルトリフェニルリン酸クロライド、ベンジルトリフェニルリン酸クロライドとp−キシレン−α,α’−ビス(トリフェニルリン酸クロライド)等を用いることができ、3級スルホニウム塩にはジメチル−2−ヒドロキシフェニルスルホニウムクロライド、ジメチル−3,5−ジヒドロキシフェニルスルホニウムクロライド、トリベンジルスルホニウムハイドロジェンサルフェ―ト(tribenzyl sulfornium hydrogen sulfate)、ヘキサメチレン−1,6−ビス(ジメチル−スルホニウムブロマイド)とp−キシレン−α,α’−ビス(ジヒドロキシエチルスルホニウムブロマイド)等が用いられるが、これにのみ限定されるものではない。
【0022】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、前記2価フェノール化合物はその種類に関係ないが、下記化学式2で示される2価フェノール化合物1種以上が用いられるのが好ましい。
【0023】
【化3】

【0024】
前記化学式2において、
R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立的に水素、C1〜C12アルキル、アリールまたはハロゲンであり、
WはC1〜C30のアルキリデン基、C2〜C30のアルキレン基、C3〜C30のシクロアルキリデン基、C3〜C30のシクロアルキレン基、フェニルで置換されたC2〜C30のアルキレン 基、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基または一重結合を表す。
【0025】
前記化学式2で表される2価フェノール化合物の好ましい例としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、4,4−ジヒドロキシフェニル−1,1−m−ジイソプロピルベンゼン、4,4−ジヒドロキシフェニル−9,9−フルオレン(4,4−dihydroxyphenyl−9,9−fluorene)等のビス(4−ヒドロキシアリール)アルカンや、1,1−ビス(4,4−ジヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4,4−ジヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチルシクロヘキサン、4−{1−[3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキシル]−1−メチルエチル}フェノール、4,4−[1−メチル−4−(1−メチルエチル)−1,3−シクロヘキサンジイル]ビスフェノール、2,2,2,2−テトラヒドロ−3,3,3,3−テトラメチル−1,1−スピロビス−[1H]−インデン]−6,6−ジオール等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル;4,4−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド;4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド;4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン;4,4−ジヒドロキシジフェニル−3,3−イサチン等のジヒドロキシジアリールイサチン;レソシン、3−メチルレソシン、3−エチルレソシン、3−ブチルレソシン、3−t−ブチルレソシン、3−フェニルレソシン、3−クミルレソシン等のジヒドロキシベンゼン;4,4’−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニルを挙げることができ、これらのうちの2種以上を混合して用いても構わない。
【0026】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、前記芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物ではテレフタル酸、イソフタル酸、ジベンゾ酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4−カルボキシフェニル)オキシド、ビス(4−カルボキシフェニル)スルフィド、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、またはこれらの芳香族基にC1〜C2のアルキルまたはハロゲン基が置換された芳香族ジカルボン酸の単独またはこれらの混合物を挙げられるが、これらにのみ限定されるものではない。
【0027】
前記芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物は、テレフタル酸ハライド10〜90モル%とイソフタル酸ハライド90〜10モル%の混合物であるものが好ましい。
【0028】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、前記2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸ハロゲン化物の界面重合時、重合体の分子量を調節するための分子量調節剤、反応停止剤、アルカリ、有機溶媒等が用いられる。
【0029】
前記分子量調節剤としては、1価のヒドロキシ化合物、例えば、フェノール、o−、m−、p−クレゾール、o−、m−、p−エチルフェノール、o−、m−、p−プロピルフェノール、およびo−、m−、p−tert−ブチルフェノールのような1価のフェノール化合物;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、およびフェネチルアルコールからなる群から選択される1価のアルコール化合物;1価の(芳香族)カルボン酸ハライド、例えば、ベンジルクロライド、メタンスルホニルクロライド、クロロギ酸フェニル;酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酸、p−tert−ブチル安息香酸およびp−メトキシフェニル酢酸等を挙げることができるが、これにのみ限定されるものではない。
【0030】
前記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物を挙げることができ、アルカリは2価フェノールおよび分子量調節剤に含まれるフェノール性水酸基モル数の1.01〜2倍で用いるのが好ましい。その使用量が1.01倍未満の場合には2価フェノール化合物を完全に溶かすことができず、その使用量が2倍を超過する場合には相分離性が悪くなったり、重合生成物を精製した後でもアルカリ化合物が重合体に残留するようになり、透明性に優れているポリアリレートを得ることができない。また、重合過程中に起きる芳香族ジカルボン酸ハライドの加水分解を考慮すると、本方法でアルカリはフェノール性水酸基モル数の1.01〜2倍が好ましい。
【0031】
前記有機溶媒としては水と混ざらず、かつポリアリレートを溶解できる溶媒が好ましく、例えば、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等を単独または混合して用いることができる。
【0032】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、前記2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物の界面重合時、重合温度は酸クロライドの加水分解が抑制されるという点から0〜40℃、好ましくは0〜30℃が有利である。
【0033】
前記2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物の重合反応終了後、攪拌を停止し、蒸留水で繰り返し洗浄して副反応物を除去した後、メタノール、エタノールまたはアセトン等の逆溶媒を用いて相分離した後、乾燥して固体状のポリアリレートを得ることができる。
【0034】
一般的に非イオン性界面活性剤の状態はペースト(paste)であり、カチオン性相転移触媒は固体であるため、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒の混合物をよく溶解できる溶媒で溶解して重合反応時に投入することができる。
【0035】
本発明に係るポリアリレートの製造方法において、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒を反応器に添加する時期は、単量体の2価フェノール、または芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物の投入方法により異なる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物との界面重合法によってポリアリレートを製造するにおいて、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒をそれぞれ単独で用いる場合より、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒を混合して用いることによって非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒の総投入重量部当たり生成される高分子の重量が増加する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
具体的な一実施例として、反応器に2価フェノールをアルカリに溶解させて芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物を投入する場合には、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒混合物は2価フェノールをアルカリに溶解させた反応器に共に投じるのが好ましい。万一、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒混合物を芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物溶液に投じる場合には前記芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物溶液が反応器に完全に投入される前までは反応が相対的に遅くなる。
【0038】
また、具体的な一実施例として、反応器に芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物を有機溶媒に溶解させて2価フェノールをアルカリに溶解させた溶液を投入する場合には、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒混合物は、芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物を有機溶媒に溶解させた反応器に共に投入するのが好ましい。万一、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒混合物を、2価フェノールをアルカリに溶解させた溶液に投入する場合には前記2価フェノール溶液が反応器に完全に投入される前までは反応が相対的に遅くなる。
【0039】
以下、実施例を通して、本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲が下記実施例によって限定されるものではない。
【0040】
<実施例>
<実施例1>
攪拌器が取り付けられた反応器に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)44.96g、蒸留水393.8g、NaOH16.41gを入れて攪拌しながら前記単量体を溶かした。以後、反応器の内部温度が20℃に維持されると、‘EMULGEN120(登録商標)/BTEAC’の重量比が10/1になるようにEMULGEN120(登録商標)(ポリオキシエチレン ラウリルエーテル、HLB:15.3)0.0409gとBTEAC(Benzyltriethylammonium chloride)0.0041gを混合して、メチレンクロライド32.5gに溶解させた後、反応器に添加して攪拌した。これとは別にイソフタル酸とテレフタル酸が同一モル数で混合された40.04gの芳香族ジカルボン酸混合物をメチレンクロライド505.98gに溶かした。この溶液をアルカリ水溶液が溶けている反応器に攪拌しながら添加した。1時間重合した後で酢酸を付加して反応を終えた後、1倍体積のメチレンクロライドと2倍体積の蒸留水を用いて数回繰り返し洗浄した後、洗浄された溶液をメタノールに入れて重合体を相分離させた後、高分子をろ過後、真空オーブン120℃で12時間乾燥した。
【0041】
<実施例2〜4>
‘EMULGEN120(登録商標)/BTEAC’の重量比を下記表1に記載されている重量比で変化させながら、反応に投入される界面活性剤の総投入量は0.1g/100gBPAで一定に維持し、実施例1と同一の方法で実験した。
【0042】
【表1】

【0043】
A:非イオン性界面活性剤
B:カチオン性相転移触媒
C:2価フェノール化合物
<比較例1>
攪拌器が取り付けられた反応器に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)42.3g、蒸留水395.6g、NaOH16.5gを入れて攪拌しながら前記単量体を溶かした。以後、反応器の内部温度が20℃に維持されると、BTEAC(Benzyltriethylammonium chloride)0.254gをメチレンクロライド32.5gに溶解させた後、反応器に添加して攪拌した。この時、BPA100gを基準に投入されるBTEACの重量比は0.6g/100gBPAであった。これとは別にイソフタル酸とテレフタル酸が同一モル数で混合された37.68gの芳香族ジカルボン酸混合物をメチレンクロライド508gに溶かした。この溶液をアルカリ水溶液が溶けている反応器に攪拌しながら添加した。1時間重合した後に酢酸を付加して反応を終えた後、1倍体積のメチレンクロライドと2倍体積の蒸留水を用いて繰り返し洗浄した後、洗浄された溶液をメタノールに入れて重合体を相分離させた後、高分子をろ過後、真空オーブン120℃で12時間乾燥した。
【0044】
<比較例2>
攪拌器が取り付けられた反応器に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)44.96g、蒸留水393.8g、NaOH16.41gを入れて攪拌しながら前記単量体を溶かした。以後、反応器の内部温度が20℃に維持されると、EMULGEN(登録商標)120 0.157gをメチレンクロライド32.5gに溶解させた後、反応器に添加して攪拌した。この時、BPA100gを基準に投入されるEMULGEN(登録商標)120の重量比は0.35g/100gBPAであった。これとは別にイソフタル酸とテレフタル酸が同一モル数で混合された40.04gの芳香族ジカルボン酸混合物をメチレンクロライド506.98gに溶かした。この溶液をアルカリ水溶液が溶けている反応器に攪拌しながら添加した。1時間重合した後に酢酸を付加して反応を終えた後、1倍体積のメチレンクロライドと2倍体積の蒸留水を用いて繰り返し洗浄した後、洗浄された溶液をメタノールに入れて重合体を相分離させた後、高分子をろ過後、真空オーブン120℃で12時間乾燥した。
【0045】
<実験結果測定方法>
1)生成高分子分子量(Mw)
生成される高分子の分子量測定はポリスチレン基準物質を用い、溶媒はTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。
【0046】
2)生成高分子重量
実施例(1〜4)では非イオン性界面活性剤およびカチオン性相転移触媒の混合物の重さ対比沈殿および乾燥して得た高分子の重さを測定し、比較例(1〜2)ではそれぞれ用いられる非イオン性界面活性剤またはカチオン性相転移触媒の重さ対比沈殿および乾燥して得た高分子の重さを測定した。
【0047】
【表2】

【0048】
A:非イオン性界面活性剤
B:カチオン性相転移触媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物との界面重合法によって、ポリアリレートを製造する方法であって、非イオン性界面活性剤とカチオン性相転移触媒を反応器に添加するステップを含むことを特徴とするポリアリレートの製造方法。
【請求項2】
前記非イオン性界面活性剤は前記カチオン性相転移触媒100重量部に対し1〜10,000重量部で添加されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項3】
前記非イオン性界面活性剤と前記カチオン性相転移触媒を混合した総重量は前記2価フェノール化合物100重量部に対し0.0001〜10重量部であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤はHLB(Hydrophilic Liphophilic Balance)値が4〜20であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項5】
前記非イオン性界面活性剤はポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビトールの無水物、エトキシ化脂肪酸アルコール、エトキシ化脂肪酸、エトキシ化アルキルフェノール、エトキシ化脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アミンオキシド、脂肪酸アミドアミンオキシド、グリセリル脂肪酸エステル、ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、エトキシ化ソルビタンエステル、アルキルポリグリコシド、エチレンとプロピレンオキシドブロック共重合体およびエトキシ化−プロポキシ化脂肪酸アルコールからなる群の中から少なくとも1種以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項6】
前記カチオン性相転移触媒は3級アミン、4級アンモニウム塩、4級アルソニウム塩、4級リン酸塩および3級スルホニウム塩からなる群の中から少なくとも1種以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項7】
前記3級アミンはトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンまたはジメチルシクロヘキシルアミンであることを特徴とする、請求項6に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項8】
前記4級アンモニウム塩は、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイド、トリメチルセチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジメチルベンジルフェニルアンモニウムクロライドおよびジメチルベンジルステアリルアンモニウムクロライドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項9】
前記4級アルソニウム塩は、メチルトリフェニルアルソニウムアイオダイド、ベンジルトリフェニルアルソニウムアイオダイド、ベンジルトリフェニルアルソニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルアルソニウムクロライドおよびテトラフェニルアルソニウムクロライドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項10】
前記4級リン酸塩は、テトラブチルリン酸アイオダイド、メチルトリフェニルリン酸クロライド、メチルトリフェニルリン酸アイオダイド、ヒドロキシエチルトリフェニルリン酸クロライド、ベンジルトリフェニルリン酸クロライドおよびp−キシレン−α,α’−ビス(トリフェニルリン酸クロライド)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項11】
前記3級スルホニウム塩は、ジメチル−2−ヒドロキシフェニルスルホニウムクロライド、ジメチル−3,5−ジヒドロキシフェニルスルホニウムクロライド、トリベンジルスルホニウムハイドロジェンサルフェ―ト(tribenzyl sulfornium hydrogen sulfate) 、ヘキサメチレン−1,6−ビス(ジメチル−スルホニウムブロマイド)およびp−キシレン−α,α’−ビス(ジヒドロキシエチルスルホニウムブロマイド)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項12】
前記2価フェノール化合物は下記化学式2で示される化合物からなる群の中から少なくとも1種以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法:
【化1】

前記化学式2において、
R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立的に水素、C1〜C12アルキル、アリールまたはハロゲンであり、
WはC1〜C30のアルキリデン基、C2〜C30のアルキレン基、C3〜C30のシクロアルキリデン基、C3〜C30のシクロアルキレン基、フェニルで置換されたC2〜C30のアルキレン基、酸素、硫黄、スルホキシド基、スルホン基または一重結合を表す。
【請求項13】
前記2価フェノール化合物は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、4,4−ジヒドロキシフェニル−1,1−m−ジイソプロピルベンゼン、4,4−ジヒドロキシフェニル−9,9−フルオレン、1,1−ビス(4,4−ジヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4,4−ジヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−メチル−1−(4−ヒドロキシフェニル)−4−(ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチルシクロヘキサン、4−{1−[3−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキシル]−1−メチルエチル}フェノール、4,4−[1−メチル−4−(1−メチルエチル)−1,3−シクロヘキサンジイル]ビスフェノール、2,2,2,2−テトラヒドロ−3,3,3,3−テトラメチル−1,1−スピロビス−[1H]−インデン]−6,6−ジオール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルフェニルエーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルフィド、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルジフェニルスルホン、4,4−ジヒドロキシジフェニル−3,3−イサチン、レソシン、3−メチルレソシン、3−エチルレソシン、3−ブチルレソシン、3−t−ブチルレソシン、3−フェニルレソシン、3−クミルレソシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルおよび3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項14】
前記芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物は、テレフタル酸、イソフタル酸、ジベンゾ酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、1,2−ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、ビス(4−カルボキシフェニル)オキシド、ビス(4−カルボキシフェニル)スルフィド、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホンおよびこれらの芳香族基にC1−C2アルキルまたはハロゲン基が置換された芳香族ジカルボン酸からなる群の中から少なくとも1以上選択されることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項15】
前記2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸またはそのハロゲン化物の界面重合時、分子量調節剤、反応停止剤、アルカリ、および有機溶媒のうちの少なくとも1種以上が用いられることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項16】
前記分子量調節剤は、フェノール、o−、m−、p−クレゾール、o−、m−、p−エチルフェノール、o−、m−、p−プロピルフェノール、およびo−、m−、p−tert−ブチルフェノールのような1価のフェノール化合物;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、およびフェネチルアルコールからなる群から選択される1価のアルコール化合物;ベンジルクロライド、メタンスルホニルクロライド、クロロギ酸フェニル;酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酸、p−tert−ブチル安息香酸およびp−メトキシフェニル酢酸からなる群から選択される 少なくとも1つであることを特徴とする、請求項15に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項17】
前記アルカリはアルカリ金属の水酸化物であることを特徴とする、請求項15に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項18】
前記アルカリは2価フェノールおよび分子量調節剤に含まれるフェノール性水酸基モル数の1.01〜2倍で用いることを特徴とする、請求項15に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項19】
前記有機溶媒は、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、または1,1,2,2−テトラクロロエタンおよびこれらの混合からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載のポリアリレートの製造方法。
【請求項20】
前記2価フェノール化合物と芳香族ジカルボン酸ハロゲン化物の界面重合時、重合温度は0〜40℃であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレートの製造方法。

【公表番号】特表2009−526893(P2009−526893A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555162(P2008−555162)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000839
【国際公開番号】WO2007/094638
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】