説明

ポリアリールエーテルメンブレン

アミド官能基を有するポリアリールエーテルを含むメンブレン。アミド官能基を有するポリアリールエーテルは構造I又は構造IIの少なくとも一方で表される単位を含む。式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基又は置換C〜C30アリール基であり、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、kは約0〜約10であり、a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、m及びnは各々独立に0又は1である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に親水性メンブレン(膜)、特に親水性ポリアリールエーテルメンブレンに関する。
【背景技術】
【0002】
水性媒体用の液体濾過メンブレンは、中空糸又は平膜の形状とすることができ、多孔質、親水性及び製造及び使用中にメンブレンを支える機械的特性をもたなければならず、また高温処理中のメンブレンの劣化を防ぐのに適した熱的特性をもたなければならない。さらに、これらのメンブレンは、メンブレンの汚損(ファウリング)を最小限に抑えるために、非特異的タンパク結合性を有していなければならない。メンブレンの汚損は、流束の低下による効率低下、クリーニング及びメンテナンス費用の上昇、メンブレン寿命の短縮につながるので、主要な関心事である。
【0003】
代表的なメンブレン材料は疎水性であり、メンブレンをより親水性にするために添加剤を必要とする。ポリスルホンは、液体濾過メンブレンに必要な機械的及び熱的特性を有するが、親水性が不十分である。ポリスルホンの親水性を向上するために、ポリスルホンをポリビニルピロリドン(PVP)などの親水性ポリマーと配合している。しかし、PVPは水溶性であり、多孔質ポリマーマトリックスからゆっくり浸出され、製品の変動を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/073537号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、優れた熱的及び機械的特性と向上した防汚性を有する親水性多孔質メンブレンは、使用寿命が長いので望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、メンブレン(膜)は、下記の構造I又は構造IIの少なくとも一方で表される単位を含むアミド官能基を有するポリアリールエーテルを含む。
【0007】
【化1】

【0008】
式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、
、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、
Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、
kは約0〜約10であり、
a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、
m及びnは各々独立に0又は1である。
【0009】
アミド官能基を有するポリアリールエーテルを含むメンブレンの種々の実施形態は、親水性であり、良好な機械的及び熱的特性を有し、また向上した防汚性を有する。アミド官能基を有するポリアリールエーテルは親水性であるが、水溶性ではなく、メンブレンから浸出されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ポリアミドスルホンメンブレンの走査型電子顕微鏡写真(単位長さ620nm)である。
【図2】相反転ポリアミドスルホンメンブレンの走査型電子顕微鏡写真(単位長さ20μm)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
単数形で記載したものは、文脈から別途明らかでない限り、複数も含む。同じ特性に関するすべての範囲の上下限点は各々独立に組合せ可能で、また表記した上下限点を含む。すべての文献は本発明の先行技術として援用する。
【0012】
本明細書に記載する数値は、低い値から高い値まで1単位ずつの増分で増加するすべての値を含む。但し、任意の低い値と任意の高い値とは2単位以上離れている。例えば、ある成分の量、又は温度、圧力、時間などのプロセス変数の値が、例えば1〜90であると記載する場合、15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などの値が本明細書に明確に列挙されていると考える。1未満の値については、1単位が適宜0.0001、0.001、0.01もしくは0.1であるとみなす。これらは意図していることの例にすぎず、最小値と最大値の間の数値のすべての可能な組合せが同様に本明細書に明確に記載されているとみなすべきである。
【0013】
数量に用いられる「約」という修飾語は、標記の数値を含み、文脈毎に決まる意味をもつ(例えば、特定の数量の測定に付随する誤差範囲を含む)。
【0014】
「任意の」又は「所望に応じて」は、その後に記載された事象や状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、関連する説明は事象が起こる又は物質が存在する場合と事象が起こらない又は物質が存在しない場合両方を包含する。
【0015】
一実施形態では、メンブレン(膜)は、下記の構造I又は構造IIの少なくとも一方で表される単位を含むアミド官能基を有するポリアリールエーテルを含む。
【0016】
【化2】

【0017】
式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、
、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、
Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、
kは約0〜約10であり、
a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、
m及びnは各々独立に0又は1である。
【0018】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。一実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0019】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0020】
一実施形態では、kは約0〜約5である。別の実施形態では、kは約1〜約3である。
【0021】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0022】
一実施形態では、a、b、c、d、e及び/又はfは0である。別の実施形態では、a、b、c、d、e及びfは0である。
【0023】
一実施形態では、R、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0024】
一実施形態では、前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルは下記の構造IIIの単位を含む。
【0025】
【化3】

【0026】
式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、kは約0〜約10である。
【0027】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。一実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0028】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0029】
一実施形態では、kは約0〜約5の範囲にある。別の実施形態では、kは約1〜約3の範囲にある。
【0030】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルは親水性であるが、水溶性ではない。該ポリアリールエーテルは、ガラス転移温度の高い耐溶剤性ポリマーである。一実施形態では、ポリマーのガラス転移温度Tgが約120℃〜約280℃の範囲にある。別の実施形態では、ポリマーが約140℃〜約250℃の範囲にある。他の実施形態では、Tgが約140℃〜約225℃の範囲、特に約175℃〜約225℃の範囲にある。
【0031】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルは、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)により特定することができる。種々の平均分子量Mn及びMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等の技術により測定され、当業者に周知である。一実施形態では、ポリマーのMnが約10000g/モル〜約1000000g/モルの範囲にある。別の実施形態では、Mnが約15000g/モル〜約200000g/モルの範囲にある。他の実施形態では、Mnが約20000g/モル〜約100000g/モルの範囲にある。他の実施形態では、Mnが約40000g/モル〜約80000g/モルの範囲にある。一実施形態では、ポリマーのMwが約10000g/モル〜約5000000g/モルの範囲にある。別の実施形態では、Mwが約15000g/モル〜約1000000g/モルの範囲にある。他の実施形態では、Mwが約20000g/モル〜約500000g/モルの範囲にある。他の実施形態では、Mnが約40000g/モル〜約400000g/モルの範囲にある。
【0032】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルは、アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物をジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンと塩基の存在下で反応させることにより製造できる。
【0033】
アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物は、1つ以上の水素をアミド基含有官能基で置換したジヒドロキシ芳香族化合物である。ジヒドロキシ芳香族化合物の例には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、4,4’−(フェニルホスフィニル)ジフェノール、5−シアノ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−シアノ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−シアノ−1,4−ジヒドロキシベンゼン、2−メトキシヒドロキノン、2,2’−ジメチルビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチルビフェノール、3,3’,5,5’−テトラブロモ−2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、3,3−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2−カルバモイルヒドロキノン、2,3−ジカルバモイルヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ちビスフェノールA)、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、2−ジフェニルホスフィニルヒドロキノン、ビス(2,6−ジメチルフェノール)、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ビフェノール、4,4’−ビス(2,3,5−トリメチル)ビフェノール、4,4’−ビス(2,3,5,6−テトラメチル)ビフェノール、4,4’−ビス(3−ブロモ−2,6−ジメチル)ビフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール)(即ちテトラブロモビスフェノールA)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)(即ちテトラメチルビスフェノールA)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリル−6−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−フェニルフェノール)、4,4’−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(即ちビスフェノールM)、4,4’−(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(即ちビスフェノールP)、4,4’−スルホニルビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノール(即ちビスフェノールAF)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール(即ちビスフェノールAP)、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、3,3−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジクロロエチレン(即ちビスフェノールC)、ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’−(シクロヘキシリデン)ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルエーテル、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、N−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミド、4,4’−(シクロドデシリデン)ジフェノール、4,4’−(ビシクロ[2.2.1]へプチリデン)ジフェノール、4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジフェノール、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−オール、1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1,3,3,4,6−ペンタメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−オール、3,3,3’,3’−テトラメチル−2,2’,3,3’−テトラヒドロ−1,1’−スピロビ[インデン]−5,6’−ジオール(即ちスピロビインダン)、ジヒドロキシベンゾフェノン(即ちビスフェノールK)、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ジシクロペンタジエニルビス(2,6−ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビス(2−メチルフェノール)及びジシクロペンタジエニルビスフェノールがあるが、これらに限らない。
【0034】
一実施形態では、前記アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物は下記の構造IV又はVを有する。
【0035】
【化4】

【0036】
式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、kは約0〜約10であり、Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、Ar及びArは各々独立にC〜C30アリール基、C〜C30芳香族−脂肪族基又は置換C〜C30アリール基を示す。
【0037】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。一実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0038】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0039】
一実施形態では、kは約0〜約5の範囲にある。別の実施形態では、kは約1〜約3の範囲にある。
【0040】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0041】
一実施形態では、Ar及び/又はArはフェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、Ar及び/又はArは置換C〜C30アリール基とすることができる。別の実施形態では、Ar及び/又はArは、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基、ニトロ基及びこれらの組合せからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。
【0042】
一実施形態では、前記アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物は、ジフェノールモルホリンアミド、即ち2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパンアミドである。
【0043】
前記アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物は、任意の慣用方法、例えば米国特許第3251806号(ここに先行技術として援用する)に記載された方法により製造できる。一実施形態では、ジヒドロキシ芳香族化合物は、出発ジフェノール型酸化合物のアンモニウム塩を二級アミンとともに加熱することにより製造する。
【0044】
一実施形態では、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンは下記式VIで表される。
【0045】
【化5】

【0046】
式中、Xはハロゲン又はニトロ基であり、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、m及びnは各々独立に0又は1であり、b、c、d及びeは各々独立に0、1、2、3又は4である。
【0047】
一実施形態では、Xはハロゲンである。別の実施形態では、Xは塩素、臭素又はフッ素とすることができる。
【0048】
一実施形態では、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0049】
一実施形態では、b、c、d及び/又はeは0である。別の実施形態では、b、c、d及びeは0である。
【0050】
ジハロ芳香族スルホンの例には、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4,4’−ビス[(4−クロロフェニル)スルホニル]−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス[(4−フルオロフェニル)スルホニル]−1,1’−ビフェニルがあるが、これらに限らない。官能化ポリスルホンは市販品を簡単に入手できる。
【0051】
アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物とジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンとを塩基の存在下で反応させ、ジヒドロキシ芳香族化合物を対応するアルカリ金属塩に転化する。一実施形態では、塩基はアルカリ金属化合物の塩基性塩である。塩基性塩の例には、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム及び炭酸セシウム、アルカリ金属重炭酸塩、例えば炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム及び炭酸水素セシウムがあるが、これらに限らない。これらの化合物の組合せを用いて反応を行うこともできる。
【0052】
一実施形態では、塩基はジヒドロキシ芳香族化合物のヒドロキシル基を脱プロトン化するのに有効な量存在する。別の実施形態では、塩基はヒドロキシル官能基のモル当量に対して少なくとも等モル量存在する。別の実施形態では、塩基はヒドロキシル官能基のモル当量に対して過剰なモル量存在する。
【0053】
一実施形態では、反応は約100℃〜約300℃の範囲の温度で行う。別の実施形態では、温度は約120℃〜約200℃の範囲である。別の実施形態では、反応温度は約150℃〜約200℃の範囲である。
【0054】
反応は、ジヒドロキシ化合物とジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンとを反応させるのに十分な時間行う。一実施形態では、反応を約1時間〜約72時間の期間行う。別の実施形態では、反応時間は約1時間〜約10時間の範囲である。反応は通常の圧力又は加圧条件下で行うことができる。
【0055】
ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンは、反応混合物中に存在するアミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物に対してほぼ等モル量使用することができる。用語「ほぼ等モル量」は、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物のモル比が、約0.85〜約1.2モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのジヒドロキシ芳香族化合物であることを意味する。別の実施形態では、この比が約0.9〜約1.1モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのアミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物であり、特に約0.98〜約1.02モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのアミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物である。
【0056】
メンブレン(膜)は中空糸、平膜(シート)又はナノ繊維マットの形状とすることができる。メンブレンは対称形状にも非対称形状にも製造することができる。
【0057】
メンブレンは当業界で既知の方法により製造することができる。いくつかのメンブレン(膜)製造方法が当業界で知られており、例えば、溶解したポリマーから十分な量の溶剤を蒸発させることにより溶解ポリマーを沈殿させてメンブレン構造を形成するドライ相分離膜形成方法、溶解したポリマーを非溶剤浴に浸漬することにより溶解ポリマーを沈殿させてメンブレン構造を形成するウェット相分離膜形成方法、ドライ相分離膜形成方法とウェット相分離膜形成方法とを組み合わせたドライ−ウェット相分離膜形成方法、溶解したポリマーの冷却を制御することにより溶解ポリマーを沈殿又は凝固させてメンブレン構造を形成する熱誘起相分離膜形成方法などがあるが、これらに限らない。メンブレンを形成した後、メンブレン調整プロセス又は前処理プロセスを分離用途でのメンブレンの使用に先立って行うことができる。代表的なプロセスには、応力を除去する熱アニールや、使用時にメンブレンが接触する原液流れに類似した溶液中での予備平衡化が挙げられる。
【0058】
一実施形態では、メンブレンを相反転により製造することができる。相反転法には、(1)蒸気誘起相分離(VIPS=vapor-induced phase separation)−ドライキャスティング又はエアーキャスティングとも言う−、(2)液体誘起相分離(LIPS)−大抵は浸漬キャスティング又はウェットキャスティングと言う−、(3)熱誘起相分離(TIPS)−しばしば溶融キャスティングと言う−がある。相反転法は表皮層が一体に形成された非対称なメンブレンを製造することができる。或いはまた、アミド官能基を有する多孔質ポリアリールエーテルは、支持体表面に薄膜メンブレンを理想的にキャスティングするか界面重合する際の支持体として用いることができる。
【0059】
相反転法においては、アミド官能基を有するポリアリールエーテルを溶剤、例えば反溶剤又は極性非プロトン性溶剤(前述)に溶解することができる。一実施形態では、極性非プロトン性溶剤はN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド又は1−メチル−2−ピロリジノンとすることができる。一実施形態では、反溶剤化合物は水、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールもしくはジエチレングリコール、又はケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトンもしくはイソブチルケトンとすることができる。極性非プロトン性溶剤も反溶剤も、他の溶剤、反溶剤又は追加のポリマー、例えば親水性ポリマー(具体的にはポリビニルピロリジノン又はポリエチレングリコール)と組み合わせて2元又は3元系として使用でき、かかる系は相反転メンブレンの形態・性状に影響を与える。メンブレンの形態・性状は、アミド官能基を有するポリアリールエーテルの種類、量及び分子量により決定することができる。
【0060】
メンブレンを架橋して追加の支持体を形成することができる。メンブレンを架橋させるには、中空糸メンブレンをモジュールに導入し、モジュールに100〜1000ppmの二亜硫酸ナトリウムと50〜500ppmの炭酸ナトリウムを溶解した水溶液を満たし、γ線を照射する。γ線の照射量は、所望の架橋度を考慮して適当に設定する。一実施形態では、γ線の照射量は約10kGy〜約100kGyの範囲である。
【0061】
メンブレンは、孔径より大きい寸法の溶質がメンブレンを通過できないように、特定の孔径をもつように設計することができる。孔径はメンブレンの活性層にある気孔(ポア)の半径を指す。一実施形態では、孔径は約0.5nm〜約100nmの範囲にある。別の実施形態では、孔径は約4nm〜約50nmの範囲にある。別の実施形態では、孔径は約4nm〜約25nmの範囲にある。別の実施形態では、孔径は約4nm〜約15nmの範囲にある。別の実施形態では、孔径は約5.5nm〜約9.5nmの範囲にある。
【0062】
一実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテルはホモポリマーでもコポリマーでもよい。一実施形態では、メンブレンを構成するアミド官能基を有するポリアリールエーテルが構造Iで表される単位を含むホモポリマーである。別の実施形態では、メンブレンを構成するアミド官能基を有するポリアリールエーテルが構造IIで表される単位を含むホモポリマーである。
【0063】
別の実施形態では、メンブレンはアミド官能基を有するコポリマーを含む。コポリマーは、ランダム、ブロック、グラフトコポリマーいずれでもよい。一実施形態では、コポリマーは分岐又は超分岐(ハイパーブランチ)とすることができる。一実施形態では、メンブレンは、
(A)構造I及び構造IIの少なくとも一方で表される単位と
【0064】
【化6】

【0065】
(式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、kは約0〜約10であり、Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、m及びnは各々独立に0又は1である。)、
(B)芳香族エーテル化合物に由来する単位と
を含む、アミド官能基を有するポリアリールエーテルコポリマーを含む。
【0066】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0067】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0068】
一実施形態では、kは約0〜約5である。別の実施形態では、kは約1〜約3である。
【0069】
一実施形態では、a、b、c、d、e及び/又はfは0である。別の実施形態では、a、b、c、d、e及びfは0である。
【0070】
一実施形態では、R、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0071】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0072】
前記芳香族エーテルは、アミド官能基を有するポリアリールエーテルと共重合するのに適当であればどのような芳香族エーテルでもよい。一実施形態では、芳香族エーテルは下記式IX又はXで表される単位を含む。
【0073】
【化7】

【0074】
式中、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、Y及びR’は各々独立に水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、m及びnは各々独立に0又は1である。
【0075】
一実施形態では、a、b、c、d、e及び/又はfは0である。別の実施形態では、a、b、c、d、e及びfは0である。
【0076】
一実施形態では、R、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0077】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0078】
一実施形態では、R’はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0079】
芳香族エーテルは、ジヒドロキシ芳香族化合物をジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンと塩基の存在下で反応させることにより製造でき、また現場でアミド官能基を有するポリアリールエーテルの反応で製造する。
【0080】
ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン及び塩基は前述の通りである。ジヒドロキシ芳香族化合物の例には、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、4,4’−(フェニルホスフィニル)ジフェノール、5−シアノ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、4−シアノ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2−シアノ−1,4−ジヒドロキシベンゼン、2−メトキシヒドロキノン、2,2’−ジメチルビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサメチルビフェノール、3,3’,5,5’−テトラブロモ−2,2’,6,6’−テトラメチルビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、3,3−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチルフェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2−カルバモイルヒドロキノン、2,3−ジカルバモイルヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ちビスフェノールA)、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,4’−ジヒドロキシフェニルスルホキシド、2−ジフェニルホスフィニルヒドロキノン、ビス(2,6−ジメチルフェノール)、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、4,4’−ビス(3,5−ジメチル)ビフェノール、4,4’−ビス(2,3,5−トリメチル)ビフェノール、4,4’−ビス(2,3,5,6−テトラメチル)ビフェノール、4,4’−ビス(3−ブロモ−2,6−ジメチル)ビフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール)(即ちテトラブロモビスフェノールA)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)(即ちテトラメチルビスフェノールA)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−アリル−6−メチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2−フェニルフェノール)、4,4’−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(即ちビスフェノールM)、4,4’−(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(即ちビスフェノールP)、4,4’−スルホニルビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノール(即ちビスフェノールAF)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール(即ちビスフェノールAP)、4,4’−(1−フェニルエチリデン)ビス(2,6−ジメチルフェノール)、3,3−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジクロロエチレン(即ちビスフェノールC)、ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’−(シクロヘキシリデン)ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルエーテル、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、N−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミド、4,4’−(シクロドデシリデン)ジフェノール、4,4’−(ビシクロ[2.2.1]へプチリデン)ジフェノール、4,4’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジフェノール、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソベンゾフラン−1(3H)−オン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−オール、1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1,3,3,4,6−ペンタメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−オール、3,3,3’,3’−テトラメチル−2,2’,3,3’−テトラヒドロ−1,1’−スピロビ[インデン]−5,6’−ジオール(即ちスピロビインダン)、ジヒドロキシベンゾフェノン(即ちビスフェノールK)、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ジシクロペンタジエニルビス(2,6−ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビス(2−メチルフェノール)及びジシクロペンタジエニルビスフェノールがあるが、これらに限らない。
【0081】
一実施形態では、コポリマーは芳香族エーテル単位を約10モル%〜約90モル%含有することができる。別の実施形態では、芳香族エーテル単位の含有量は約20モル%〜約80モル%である。別の実施形態では、芳香族エーテル単位の含有量は約40モル%〜約60モル%である。一実施形態では、コポリマーはアミド官能基を有するポリアリールエーテル単位を約10モル%〜約90モル%含有することができる。別の実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテル単位の含有量は約20モル%〜約80モル%である。別の実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテル単位の含有量は約40モル%〜約60モル%である。
【0082】
アミド官能基を有するポリアリールエーテルコポリマーは、高いガラス転移温度Tg、一実施形態は約120℃〜約280℃の範囲、別の実施形態では約140℃〜約250℃の範囲のガラス転移温度を有する。別の実施形態ではTgが約140℃〜約225℃の範囲、別の実施形態ではTgが約175℃〜約225℃の範囲にある。
【0083】
アミド官能基を有するポリアリールエーテルコポリマーは、約10000g/モル〜約1000000g/モルの範囲の分子量Mnを有する。別の実施形態では、Mnは約15000g/モル〜約200000g/モルの範囲にある。別の実施形態では、Mnは約20000g/モル〜約100000g/モルの範囲にある。別の実施形態では、Mnは約40000g/モル〜約80000g/モルの範囲にある。
【0084】
一実施形態では、ポリマーのMwは約10000g/モル〜約5000000g/モルの範囲とすることができる。別の実施形態では、Mwは約15000g/モル〜約1000000g/モルの範囲にある。別の実施形態では、Mwは約20000g/モル〜約500000g/モルの範囲にある。別の実施形態では、Mnは約40000g/モル〜約400000g/モルの範囲にある。
【0085】
一実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテルコポリマーは、ジヒドロキシ芳香族化合物、アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物及びジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンを塩基の存在下で反応させることにより製造される。ジヒドロキシ芳香族化合物、アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン及び塩基は上述した通りである。
【0086】
一実施形態では、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンは、反応混合物中に存在するジヒドロキシ芳香族化合物(ジヒドロキシ芳香族化合物とアミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物両方を含む)の総量に対してほぼ等モル量使用することができる。用語「ほぼ等モル量」は、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:全ジヒドロキシ芳香族化合物のモル比が、全ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約0.85〜約1.2モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンであることを意味する。別の実施形態では、この比が全ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約0.9〜約1.1モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンであり、特に全ジヒドロキシ芳香族化合物1モル当たり約0.98〜約1.02モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンである。
【0087】
塩基の量はジヒドロキシ芳香族化合物及びアミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物のヒドロキシル基を脱プロトン化するのに必要な量である。一実施形態では、塩基はヒドロキシル官能基のモル当量に対して少なくとも等モル量存在する。別の実施形態では、塩基はヒドロキシル官能基のモル当量に対して過剰な量存在する。
【0088】
一実施形態では、反応は約100℃〜約300℃の範囲の温度で行う。別の実施形態では、温度は約120℃〜約200℃の範囲である。別の実施形態では、反応温度は約150℃〜約200℃の範囲である。
【0089】
反応は、ジヒドロキシ化合物とジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンとを反応させるのに十分な時間行う。一実施形態では、反応を約1時間〜約72時間の期間行う。別の実施形態では、反応時間は約1時間〜約10時間の範囲である。反応は通常の圧力又は加圧条件下で行うことができる。
【0090】
一実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテルはブロックコポリマーである。一実施形態では、メンブレンは、
(A)構造I及び構造IIの少なくとも一方で表される単位と
【0091】
【化8】

【0092】
(式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、kは約0〜約10であり、a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、m及びnは各々独立に0又は1である。)、
(B)ポリマーに由来する単位と
を含むポリアリールエーテルブロックコポリマーを含む。
【0093】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、フラニル、チエニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0094】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0095】
一実施形態では、kは約0〜約5である。別の実施形態では、kは約1〜約3である。
【0096】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0097】
一実施形態では、a、b、c、d、e及び/又はfは0である。別の実施形態では、a、b、c、d、e及びfは0である。
【0098】
一実施形態では、R、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0099】
一実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテルブロックコポリマーは、
(A)構造IIIで表される単位と
【0100】
【化9】

【0101】
(式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、kは約0〜約10である。)、
(B)ポリマーに由来する単位とを含む。
【0102】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0103】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0104】
一実施形態では、kは約0〜約5である。別の実施形態では、kは約1〜約3である。
【0105】
一実施形態では、ブロックコポリマーはアミド官能基を有するポリアリールエーテル単位を約1重量%〜約99重量%含有することができる。別の実施形態では、ブロックコポリマーはアミド官能基を有するポリアリールエーテル単位を約50重量%〜約90重量%含有することができる。別の実施形態では、ブロックコポリマーはポリマー単位を約1重量%〜約99重量%含有することができる。別の実施形態では、ポリマー単位の含有量は約10重量%〜約50重量%である。
【0106】
ポリマーは、アミド官能基を有するポリアリールエーテルと重合するのに適当であればどのようなポリマーでもよい。一実施形態では、ポリマーは下記式IX又はXで表される単位を含む。
【0107】
【化10】

【0108】
式中、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、Y及びR’は各々独立に水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、m及びnは各々独立に0又は1である。
【0109】
一実施形態では、a、b、c、d、e及び/又はfは0である。別の実施形態では、a、b、c、d、e及びfは0である。
【0110】
一実施形態では、R、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0111】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0112】
一実施形態では、R’はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0113】
一実施形態では、ポリマーは、ジヒドロキシ芳香族化合物をジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンと塩基の存在下で反応させることにより製造する。ジヒドロキシ芳香族化合物、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン及び塩基は上述した通りである。
【0114】
塩基の量は、ジヒドロキシ芳香族化合物のヒドロキシル基を脱プロトン化するのに必要な量である。一実施形態では、塩基はヒドロキシル官能基のモル当量に対して少なくとも等モル量存在する。別の実施形態では、塩基はヒドロキシル官能基のモル当量に対して過剰な量存在する。
【0115】
ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンは、ジヒドロキシ芳香族化合物に対してほぼ等モル量使用することができる。用語「ほぼ等モル量」は、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:ジヒドロキシ芳香族化合物のモル比が、約0.85〜約1.2モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのジヒドロキシ芳香族化合物であることを意味する。別の実施形態では、この比が約0.9〜約1.1モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのアミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物であり、特に約0.98〜約1.02モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのアミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物である。
【0116】
一実施形態では、ポリマーを製造する反応は約100℃〜約300℃の範囲の温度で行う。別の実施形態では、温度は約120℃〜約200℃の範囲である。別の実施形態では、反応温度は約150℃〜約200℃の範囲である。
【0117】
ポリマーを製造する反応は、ジヒドロキシ芳香族化合物とジハロ芳香族又はジニトロ芳香族化合物とを反応させるのに十分な時間行う。一実施形態では、反応を約1時間〜約72時間の期間行う。別の実施形態では、反応時間は約1時間〜約10時間の範囲である。反応は通常の圧力又は加圧条件下で行うことができる。アミド官能基を有するポリアリールエーテルブロックコポリマーは親水性であるが、水溶性ではない。
【0118】
前記ブロックコポリマーは直鎖、分岐、超分岐いずれでもよい。ブロックコポリマーは、耐溶剤性であり、高いガラス転移温度を有する。一実施形態では、ポリマーのガラス転移温度Tgは約120℃〜約280℃の範囲にある。別の実施形態ではポリマーが約140℃〜約250℃の範囲にある。別の実施形態ではTgが約140℃〜約225℃の範囲、特に約175℃〜約225℃の範囲にある。
【0119】
ポリアリールエーテルアミド・ブロックコポリマーは、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)により特定することができる。種々の平均分子量Mn及びMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等の技術により測定され、当業者に周知である。一実施形態では、ポリマーのMnが約10000g/モル〜約1000000g/モルの範囲にある。別の実施形態では、Mnが約15000g/モル〜約200000g/モルの範囲にある。他の実施形態では、Mnが約20000g/モル〜約100000g/モルの範囲にある。他の実施形態では、Mnが約40000g/モル〜約80000g/モルの範囲にある。
【0120】
一実施形態では、ポリマーのMwが約10000g/モル〜約5000000g/モルの範囲にある。別の実施形態では、Mwが約15000g/モル〜約1000000g/モルの範囲にある。他の実施形態では、Mwが約20000g/モル〜約500000g/モルの範囲にある。他の実施形態では、Mnが約40000g/モル〜約400000g/モルの範囲にある。
【0121】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテル・ブロックコポリマーを製造するには、アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物をジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンと塩基の存在下で反応させてアミド官能基を有するポリアリールエーテルを形成し、このアミド官能基を有するポリアリールエーテルをポリマーと共重合してブロックコポリマーを形成することができる。
【0122】
アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン、塩基及びポリマーは上述した通りである。一実施形態では、塩基はジヒドロキシ芳香族化合物のヒドロキシル基を脱プロトン化するのに有効な量存在する。別の実施形態では、塩基はヒドロキシル官能基のモル当量に対して少なくとも等モル量存在する。別の実施形態では、塩基はヒドロキシル官能基のモル当量に対して過剰な量存在する。ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンは、反応混合物中に存在するジヒドロキシ芳香族化合物に対してほぼ等モル量使用することができる。用語「ほぼ等モル量」は、ジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物のモル比が、約0.85〜約1.2モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのジヒドロキシ芳香族化合物であることを意味する。別の実施形態では、この比が約0.9〜約1.1モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのジヒドロキシ芳香族化合物であり、特に約0.98〜約1.02モルのジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホン:約1.0モルのジヒドロキシ芳香族化合物である。
【0123】
一実施形態では、アミド官能基を有するジヒドロキシ芳香族化合物とジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンとの反応を約100℃〜約300℃の範囲の温度で行う。別の実施形態では、温度は約120℃〜約200℃の範囲である。別の実施形態では、反応温度は約150℃〜約200℃の範囲である。
【0124】
反応は、ジヒドロキシ化合物とジハロ芳香族スルホン又はジニトロ芳香族スルホンとを反応させるのに十分な時間行う。一実施形態では、反応を約1時間〜約72時間の期間行う。別の実施形態では、反応時間は約1時間〜約10時間の範囲である。反応は通常の圧力又は加圧条件下で行うことができる。
【0125】
ポリマーを反応混合物に添加し、アミド官能基を有するポリアリールエーテルと重合する。一実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテルとポリマーとの反応を約100℃〜約300℃の範囲の温度で行う。別の実施形態では、温度は約120℃〜約200℃の範囲である。別の実施形態では、反応温度は約150℃〜約200℃の範囲である。
【0126】
反応は、アミド官能基を有するポリアリールエーテルとポリマーとを反応させるのに十分な時間行う。一実施形態では、反応を約1時間〜約72時間の期間行う。別の実施形態では、反応時間は約1時間〜約10時間の範囲である。反応は通常の圧力又は加圧条件下で行うことができる。
【0127】
一実施形態では、メンブレンは、アミド官能基を有するポリアリールエーテルと少なくとも1種の樹脂とを含むブレンドを含む。樹脂の選択によりブレンドに様々な特性、例えばより良好な耐熱性、生体適合性などを与えることができる。一実施形態では、メンブレンは、アミド官能基を有するポリアリールエーテルと1種又は2種以上の樹脂とを含むブレンドを含み、ここでアミド官能基を有するポリアリールエーテルは、構造I及び構造IIの少なくとも一方で表される単位を含む。
【0128】
【化11】

【0129】
式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、kは約0〜約10であり、a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、m及びnは各々独立に0又は1である。
【0130】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、フラニル、チエニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0131】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0132】
一実施形態では、kは約0〜約5である。別の実施形態では、kは約1〜約3である。
【0133】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0134】
一実施形態では、a、b、c、d、e及び/又はfは0である。別の実施形態では、a、b、c、d、e及びfは0である。
【0135】
一実施形態では、R、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0136】
一実施形態では、ブレンド中のアミド官能基を有するポリアリールエーテルは、前述した通りのホモポリマーである。別の実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテルは前述した通りのコポリマーである。別の実施形態では、アミド官能基を有するポリアリールエーテルは前述した通りのブロックコポリマーである。
【0137】
前記樹脂は親水性でも疎水性でもよい。アミド官能基を有するポリアリールエーテルとブレンドできる樹脂の例には、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルウレタン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミド、ポリエーテルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリオキサゾリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリコールモノエステル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー、水溶性セルロース誘導体、ポリソルベート、ポリエチレン−ポリプロピレンオキシドコポリマー又はポリエチレンイミンがある。
【0138】
一実施形態では、ブレンドは、その重量に基づいて約20〜約99重量%のアミド官能基を有するポリアリールエーテルと約1〜約80重量%の樹脂とを含有する。別の実施形態では、ブレンドは、その重量に基づいて約50〜約97.5重量%のアミド官能基を有するポリアリールエーテルと約2.5〜約50重量%の樹脂とを含有する。別の実施形態では、ブレンドは、その重量に基づいて約75〜約95重量%のアミド官能基を有するポリアリールエーテルと約5〜約25重量%の樹脂とを含有する。
【0139】
一実施形態では、前記樹脂はPVPである。PVPは水に易溶解性のポリマーであり、また一般にPVPはメンブレン(膜)、例えば中空糸膜から水又は血液で易溶離性である。PVPは架橋により不溶化できる。含有されるPVPを完全に不溶化すると、中空糸膜からの溶離は完全に停止されるが、膜表面を親水性にする効果も低減する。一実施形態では、PVPの一部だけを架橋により不溶化し、水溶性PVPの量が中空糸膜に含まれるPVPの総量の5〜50%となるようにする。この範囲内であれば、中空糸膜からの溶離が阻止され、膜表面を親水性にする効果も十分に維持される。
【0140】
PVPを架橋する方法は既知である。米国特許第6432309号及び同第5543465号(本発明の先行技術として援用する)に、PVPの架橋方法が開示されている。架橋方法の例には、PVPに熱を加えたり、放射線、例えばX線、α線、β線、γ線、紫外線、可視光、赤外線、電子線を照射する方法があり、また化学的方法によってもよく、例えばPVPを架橋剤、例えばペルオクソ二硫酸カリウムもしくはペルオクソ二硫酸アンモニウムで、pH約4〜約9の範囲の水性媒体中、約20℃〜約80℃の温度で約5分〜約60分の時間処理するなどがあるが、これらに限らない。
【0141】
PVPは、当業界で知られた標準的な付加重合法を用いて、N−ビニルピロリドンを重合することにより得られる。重合方法としては、所望に応じて溶媒の存在下で、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの開始剤を用いるフリーラジカル重合がある。またPVPは市販品を、例えばISP社から登録商標名PLASDONE、BASF社から登録商標名KOLLIDONにて入手できる。中空糸膜にPVPを用いることは、米国特許第6103117号、同第6432309号、同第6432309号及び同第5543465号(本発明の先行技術として援用する)に記載されている。
【0142】
メンブレンは、水性媒体の濾過、例えば血液透析、水分離、生物製剤分離、ウィルス濾過、化学分離などに使用できる。メンブレン又はメンブレン状構造は、ガス分離にも、また組織工学(ティッシュエンジニアリング)や細胞培養用のスカホールド(scaffold)としても使用できる。一実施形態では、これらの材料から作成したアーキテクチャが、骨髄の構造を模倣し、また幹細胞の特定の血液細胞への増殖と分化を促進することができる。
【0143】
一実施形態では、メンブレンは血液透析膜又は血液濾過膜である。血液透析膜及び血液濾過膜は、尿素、クレアチニン、尿酸、電解質、水などの低分子量溶質の通過を許容するが、それより高分子量のタンパク質や血液細胞成分の通過を阻止する多孔質膜である。
【0144】
一実施形態では、血液透析膜は、構造I及び構造IIの少なくとも一方で表される単位を含むアミド官能基を有するポリアリールエーテルを含む。
【0145】
【化12】

【0146】
式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、kは約0〜約10であり、a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、m及びnは各々独立に0又は1である。
【0147】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0148】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0149】
一実施形態では、kは約0〜約5である。別の実施形態では、kは約1〜約3である。
【0150】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0151】
一実施形態では、a、b、c、d、e及び/又はfは0である。別の実施形態では、a、b、c、d、e及びfは0である。
【0152】
一実施形態では、R、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0153】
別の実施形態では、メンブレンは水分離膜であり、塩水や海水の脱塩、水軟化、電子及び製薬工業用の超純粋水の製造、そして食品及び飲料、電気メッキ及び金属仕上げ、繊維及びクリーニング、石油及び石油化学、パルプ及び水工業向けの工業的廃水精製に用いることができる。
【0154】
一実施形態では、水精製膜は、構造I及び構造IIの少なくとも一方で表される単位を含むアミド官能基を有するポリアリールエーテルを含む。
【0155】
【化13】

【0156】
式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、kは約0〜約10であり、a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、m及びnは各々独立に0又は1である。
【0157】
一実施形態では、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。別の実施形態では、RとRは共有結合して環状基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロアルキル基を形成する。別の実施形態では、RとRはシクロヘキシル基を形成する。
【0158】
別の実施形態では、R及び/又はRは置換C〜C30アリール基とすることができる。一実施形態では、R及び/又はRは、C〜C20アルキル、C〜C30アリール、ハロゲン、ニトリル、アミド、ヒドロキシル、アリールオキシ、アルコキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、カルボニル、スルホニル、カルボキシレート、カルボン酸エステル、スルホン、ホスホネート、スルホキシド、カルバメート、アミン、ホスフィニル、ニトロ、アシルヒドラジド、ヒドラジド、イミド、イミン、アミデート、アミジン、オキシム、ペルオキシド、ジアゾ、アジド、エーテル、エステル、ラクタム、ラクトン、尿素、ウレタン、ホスホンアミド、スルホンアミド、アルコール、アルデヒド及びケトンからなる群から選択される1又は2以上の基で置換されたC〜C30アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はビフェニル基である。一実施形態では、ハロゲンはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。
【0159】
一実施形態では、kは約0〜約5である。別の実施形態では、kは約1〜約3である。
【0160】
一実施形態では、Yはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【0161】
一実施形態では、a、b、c、d、e及び/又はfは0である。別の実施形態では、a、b、c、d、e及びfは0である。
【0162】
一実施形態では、R、R、R、R及び/又はRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、4−メチルペンタ−1−イル、フェニル、ナフチル又はビフェニルとすることができる。
【実施例】
【0163】
当業者が本発明を容易に実施できるように、以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
実施例1
ディーンスターク冷却器、滴下漏斗及び機械的スターラを取り付けた三つ口フラスコに、ジフェノールモルホリンアミド(2.843g、8.0mmol)を加えた。フラスコに、KCO(1.66g、12mmol)、10mlのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)及び8mlのトルエンを添加した。溶液を155℃に加熱して、共沸蒸留により水とトルエンを除去した。2.5時間後、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン(2.034g、8.0mmol)を加えた。3時間後、溶液が極めて粘稠になった。冷却中、25mlのDMAcを混合物に加えた。溶液を水中で沈殿させ、水及びメタノールで洗った。ポリマーを乾燥して4.4gのポリスルホンアミドを得た(Mw=84,280、PDI=4.8、Tg=186℃)。
実施例2
相反転によりポリアミドスルホンのメンブレンを2つ製造した。実施例1のポリアミドスルホンの15重量%NMP溶液を作成し、10ミルのドクターブレードを用いてガラス基板上にキャスティングした。ガラス基板を室温の水(反溶剤)に浸漬して、多孔質ポリマーフィルムを形成した。得られた白色不透明メンブレンを水に2日間ソーキングして、残留溶剤を除去し、減圧乾燥した。実施例1のポリアミドスルホンの20重量%NMP溶液を作成した以外は同じ条件下で別のメンブレンを製造した。
【0164】
図1及び図2はこれらのポリアミドスルホンメンブレンのSEM画像である。図1は、ポリアミドスルホンの15重量%NMP溶液から製造したメンブレンが上表面にミクロン寸法の気孔(ポア)をもつことを示す。図2は、ポリアミドスルホンの20重量%NMP溶液から製造した相反転メンブレンの断面を示す。
【0165】
以上、代表的な実施形態を具体的な説明の目的で記載したが、このような説明は本発明の範囲を限定すると考えるべきではない。したがって、本発明の要旨から逸脱することなく、種々の変更、改変、代替が当業者に想起できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造I又は構造IIの少なくとも一方で表される単位を含むアミド官能基を有するポリアリールエーテルを含むメンブレン。
【化1】

式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、
、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、
kは約0〜約10であり、
Yは水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、
a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、
m及びnは各々独立に0又は1である。
【請求項2】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルが下記の構造IIIの単位を含む、請求項1記載のメンブレン。
【化2】

式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、
kは約0〜約10である。
【請求項3】
ガラス転移温度が約120℃〜約280℃である、請求項1記載のメンブレン。
【請求項4】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルがホモポリマーである、請求項1記載のメンブレン。
【請求項5】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルがコポリマーである、請求項1記載のメンブレン。
【請求項6】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルが更に芳香族エーテルの単位を含む、請求項5記載のメンブレン。
【請求項7】
前記芳香族エーテルが下記式IX又はXで表される単位を含む、請求項6記載のメンブレン。
【化3】

式中、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、
Y及びR’は各々独立に水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、
a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、
m及びnは各々独立に0又は1である。
【請求項8】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルがブロックコポリマーである、請求項1記載のメンブレン。
【請求項9】
前記ブロックコポリマーが更に(B)ポリマーから誘導された単位を含む、請求項8記載のメンブレン。
【請求項10】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルが(A)下記の構造IIIの単位を含む、請求項9記載のメンブレン。
【化4】

式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、
kは約0〜約10である。
【請求項11】
ガラス転移温度が約120℃〜約280℃である、請求項8記載のポリアリールエーテル。
【請求項12】
前記ポリマーが下記式IX又はXで表される単位を含む、請求項8記載のポリアリールエーテル。
【化5】

式中、R、R、R、R、R及びRは各々独立にニトロ基、C〜C12アルキル基、C〜C30アリール基又はこれらの組合せであり、
Y及びR’は各々独立に水素、C〜C20アルキル基又はC〜C30アリール基であり、
a、b、c、d、e及びfは各々独立に0、1、2、3又は4であり、
m及びnは各々独立に0又は1である。
【請求項13】
前記ブロックコポリマーが、その重量に基づいて(A)約1重量%〜約99重量%のアミド官能基を有するポリアリールエーテル単位と(B)約1重量%〜約99重量%の前記ポリマーを含む、請求項8記載のメンブレン。
【請求項14】
更に樹脂を含む、請求項1記載のメンブレン。
【請求項15】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルが下記の構造IIIの単位を含む、請求項14記載のメンブレン。
【化6】

式中、R及びRは別々の基であるか或いは共有結合して環状基を形成するものであって、R及びRは各々独立に水素、C〜C20アルキル基、C〜C30アリール基及び置換C〜C30アリール基からなる群から選択され、
kは約0〜約10である。
【請求項16】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルがホモポリマーである、請求項14記載のメンブレン。
【請求項17】
前記アミド官能基を有するポリアリールエーテルがコポリマーである、請求項14記載のメンブレン。
【請求項18】
前記メンブレンが血液透析膜である、請求項1記載のメンブレン。
【請求項19】
前記メンブレンが水精製膜である、請求項1記載のメンブレン。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−530644(P2011−530644A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523020(P2011−523020)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/050228
【国際公開番号】WO2010/019331
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】