説明

ポリアリーレンスルフィド成分を含む多成分繊維

外暴露面を有する多成分繊維は、ポリアリーレンスルフィドポリマー成分と、異なるポリマーから形成される少なくとも1つのさらなる成分とを含む。ポリアリーレンスルフィドポリマー成分は、繊維の全暴露面を形成し、繊維に良好な耐熱性と耐薬品性とを付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ポリアリーレンスルフィド成分を有する繊維;および、それを含む製品に関する。
【0002】
発明の背景
濾過プロセスは、濾過媒体を介して流体流を通すことによって、1つの相の化合物をもう1つの相の流体流から分離するために使用され、濾過媒体は、伴出されるかまたは懸濁された物質を捕捉する。流体流は、固体粒子を含有する液体流であるかまたは液体もしくは固体エアロゾルを含有するガス流のいずれかであってもよい。
【0003】
例えば、フィルターは、焼却炉、石炭燃焼ボイラー、金属溶融炉等から放出されるダストを収集するのに使用される。このようなフィルターは、一般的に、“バグフィルター(bag filters)”と称される。廃ガス温度が高いかもしれないので、これらおよび同様の装置から放出される高温ダストを収集するために使用されるバグフィルターは、耐熱性であることを必要とする。バグフィルターは、また、化学的な腐蝕環境中でも使用することができる。かくして、ダスト収集環境も、また、耐薬品性を示す材料製のフィルターバッグを必要としうる。一般的な濾過媒体の例としては、アラミド繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維およびグラスファイバーから形成される布帛が挙げられる。
【0004】
ポリフェニレンスルフィド(“PPS”)ポリマー類は、耐熱性および耐薬品性を示す。このように、PPSポリマー類は、種々の用途にて有用でありうる。例えば、PPSは、自動車、電気および電子装置、工業的/機械的製品、消費者製品等のための成形された部材の製造にて有用でありうる。
【0005】
PPSは、また、濾過媒体、難燃性物品および高性能複合材料用の繊維としての用途が提案されている。ポリマーの有益性にもかかわらず、しかし、PPSから繊維を製造するのに伴う困難が存在する。PPS繊維は、典型的には、機械的特性が乏しい。したがって、PPS繊維は、多くの用途について十分な引張強さを有しない。また、PPS繊維は、脆性であり、かくして、下流用途にて使用される布帛を製造するのが容易ではない。
【0006】
PPS繊維の機械的特性を改良する従来の試みは、成功することが限られていた。PPSは、もう1つのポリマーとブレンドされ、そのブレンドは、モノフィラメントを製造するために溶融紡糸される。ブレンドモノフィラメントは、しかし、PPSの引張強さの乏しさおよび脆性に付随する問題を必ずしも克服していない。さらに、ブレンドモノフィラメントは、1つの特性の小さな改良をもう1つの特性の不利益に対して示すかもしれない。モノフィラメントは、その比較的大きな径を有するゆえに、また、小さな径の繊維よりも濾過媒体にて、固有に有効性が劣るであろう。
【0007】
なおさらに、PPSブレンド繊維を製造する上での問題点は、配合しても、その他のポリマー類とのPPSの相溶性が限られていることである。最初に繊維を製造するために、典型的には、相溶化剤を必要とする。なお、これは、所望される繊維の特性と妥協して解決し、繊維製造にさらなる加工工程とコストとを追加する。もう1つのアプローチは、無機充填剤または強化繊維をPPSポリマーと混合させて、PPS材料から製造される製品に十分な強さを付与することである。しかし、このようなブレンドは、無機充填剤および/または強化繊維の存在ゆえに、繊維押出用に使用することができない。
【0008】
Ballard et al.に対するU.S.特許No.5,424,125は、ポリマーブレンド製のモノフィラメント、すなわち、ポリエチレンテレフタレート、高温ポリエステル樹脂およびポリフェニレンオキシド(PPO)から選択される少なくとも1つのその他のポリマーとPPSとのブレンドに係る。ブレンドのポリマー類は、繊維の断面全体に存在し、繊維の外面は、PPS以外にポリマー類を含む。これは、ひいては、過酷な使用高温および/または腐蝕環境にて生ずる繊維の有用性を制限しかねない。さらに、Ballard et al.の特許は、相溶化剤を必要としないことを示しているものの、その特許は、繊維の製造における相溶化剤の使用を記載している。また、Ballard et al.の特許は、PPSポリマー以外に大量のポリマー、特に、少なくとも50重量%以上を必要とする。
【0009】
日本国特許出願公開公報03104924は、良好な可染性を有するように、記載された繊維を接合させることに係る。繊維は、ポリフェニレンスルフィドポリマー層と保護層とを含む。保護層は、PPS以外のポリマーから形成され、繊維の外面に存在して、それに可染性を付与することが必要である。あるいは、繊維は、可染性でなくともよいであろう。生ずる繊維は、例えば、過酸化水素を使用して、酸化処理に賦され、PPSを酸化する。この公開公報は、繊維が酸化される必要があり、さもなくば、繊維が要求どおりに機能しないであろうことを示す。
【0010】
その他の公開された日本国出願も、また、PPS繊維の製造を考察している。概して、繊維は、最終製品に所望される特性を付与するように、その外面にPPS以外の少なくとも1つのポリマーを含む。なお、繊維表面上のPPS以外のポリマーの存在は、PPSによってそれに付与される特性との妥協によって解決する。また、概して、繊維は、繊維に組み込まれるさらなる材料、例えば、導電性材料;接着促進剤、例えば、鞘および芯成分の間の結束層等の存在を必要とする。なお、これは、繊維製造の複雑性およびコストを増加させうる。
【0011】
JP3040813は、PPS鞘成分と合わさったポリアミド芯成分を含む繊維を記載している。上記したように、しかし、PPSは、その他のポリマー類と限られた相溶性しかを示さない。相溶性のこの欠如は、ポリアミド類でさらに悪化され、これは、概して、その他のタイプのポリマー類に十分に接着されない。
【0012】
種々の接着促進技術を使用して、ポリアミドのPPSとの接着および/または相溶性を改良する試みが存在している。例えば、JP4343712は、ポリアミドのPPSとのブレンドから形成される成分を含む繊維を記載している。JP432713は、PPSが無水マレイン酸を含む改質されたPPS鞘を有する繊維を記載している。JP2099614もまた参照すると、ポリエステル/PPSブレンド芯成分とPPS鞘成分とを含む繊維を記載している。なおこのような技術は、繊維製造のコストおよび複雑性を増加させ、さらに、繊維の特性、特に、その表面上に暴露されたPPS以外のポリマーを含むように改質された繊維とさらに妥協して解決することができる。
【0013】
JP6123013およびJP5230715は、異方性、例えば、液晶ポリマー成分とPPS成分とを含む複合繊維を提案している。液晶ポリマー類は、しかし、高価でかつ溶融紡糸することが困難であり、それによって、また、このような繊維のコストおよび複雑性を増加させる。
【0014】
Pellegrin et alに対するU.S.特許No.5,702,658は、二成分繊維製造のための回転法に係る。回転法は、グラスファイバーの製造にて使用されると同様に、種々の物理的特性、例えば、種々の粘度でポリマー類を使用する繊維の製造にて有用であると記載されている。回転法は、慣用的な繊維押出法の機械的繊細化とは対照的に、繊維を繊細化するために遠心力を使用する。種々の粘度を有するポリマー類について、遠心力は、低粘度ポリマーを高粘度ポリマーの周りに包んで、2つの間の界面を湾曲させる。
【0015】
発明の簡単な概要
本発明は、望ましいが相いれない特性を単一の繊維製品にて有する多成分繊維を提供する。また、本発明は、低いコストでのこのような繊維の製造を可能とする。
【0016】
繊維は、ポリアリーレンスルフィドポリマー成分から全体を形成される暴露された外面を有する。ポリアリーレンスルフィドポリマー成分は、1つ以上のポリアリーレンスルフィドポリマー類を含んでもよい。ポリアリーレンスルフィドポリマーの例は、ポリフェニレンスルフィド(PPS)である。ポリアリーレンスルフィドポリマー成分は、繊維に耐熱性と耐薬品性とを付与することができる。
【0017】
本発明の繊維は、また、ポリアリーレンスルフィド成分の少なくとも一部と直接接触する少なくとも1つのその他の高分子成分を含む。さらなるポリマー成分は、1つ以上の繊維形成等方性半結晶ポリエステルまたはポリオレフィンポリマー類から形成される。等方性半結晶ポリエステル類の例としては、芳香族ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET);脂肪族ポリエステル類、例えば、ポリ乳酸;および、それらの混合物が挙げられる。ポリオレフィン類の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレンおよびポリブテンならびにそれらのコポリマー類およびターポリマー類が挙げられる。
【0018】
ポリアリーレンスルフィド高分子成分に接触する高分子成分は、ポリアリーレンスルフィドポリマーを含まない。これは、製造コストおよび複雑性を低下させる。なお驚くべきことに、ポリアリーレンスルフィド成分に接触する成分中にポリアリーレンスルフィドポリマーが存在しないにもかかわらず、本発明の繊維は、下流加工について十分な一体性を示す。これは、PPSとその他のポリマー類、例えば、さらなる接着剤、例えば、(ポリマーにグラフトされるかそれと混和される)接着剤、結束層、ポリマーブレンド等間の接着を改良するための従来の努力に照らして驚きである。ほとんどまたは全く相溶性を有しないポリマー成分についてさえ、繊維の構造は、無傷のままである。
【0019】
本発明の繊維は、繊維の使用の間無傷のままのそれぞれの高分子成分とのそれらの多成分形にて使用するように工夫されている。かくして、高分子成分は、繊維が遭遇するように設定された全ての媒体にて実質的に不溶性であるポリマー類から選択される。これは、少なくとも1つの高分子成分が溶解して少なくとももう1つの高分子成分をより小さなデニールフィラメントの形で残すように設計された多成分繊維構造とは対照的である。
【0020】
概して、ポリアリーレンスルフィドポリマーおよびさらなるポリマー(類)は、固有に、電気的に非導電性である。本発明の目的に対し、ポリマー類は、それらを電気的に導電性とするために処理されない。
【0021】
ポリマー成分は、ポリアリーレンスルフィドポリマー成分が繊維の全暴露外面を形成するように互いに関して配置される。ポリアリーレンスルフィドポリマー(類)以外のポリマー類は、繊維の外面にまたは外面に沿って存在しない。その結果、ポリアリーレンスルフィドポリマー(類)によって繊維に付与される耐熱性および耐薬品性は、妥協によって解決されない。また、繊維は、ポリアリーレンスルフィドポリマーの合計体積の減少にもかかわらず、耐熱性および耐薬品性にて最小であるかまたは減少を全く示さない。なお、ポリアリーレンスルフィド以外のポリマー類が繊維の外面上に存在しなくてさえ、このようなポリマー類は、それに有益な特性を付与することができる。
【0022】
例えば、さらなる高分子成分は、耐熱性および耐薬品性を最小とするかまたは全く失うことなく、良好な機械的特性、例えば、引張強さを繊維に付与することができる。本発明のいずれかの解釈によって結びつけるつもりはないが、さらなるポリマー成分は、さらなるポリマーがブレンドにて示されるように繊維の断面全体にわたって不連続ではないので、耐荷成分として作用することができると考えられる。さらなる成分が不連続ではないので、さらなるポリマー成分は、繊維の強さに寄与することが可能である。
【0023】
さらなる高分子成分は、耐熱性および耐薬品性を最小とするかまたは全く失うことなく、繊維の可撓性を改良することもできる。その結果、耐熱性および耐薬品性繊維は、種々の用途について下流製品を形成するように調節することができる。
【0024】
耐熱性および耐薬品性繊維は、低いコストで製造することができる。ポリアリーレンスルフィドポリマー類は、多くの慣用的な繊維形成ポリマー類、例えば、PETと比較して、比較的高価なポリマー類である。本発明の繊維にて、ポリアリーレンスルフィドポリマーの量は、減少させ、所望される繊維特性を最小とするかまたは全く含まないより安価なポリマーで置換することができ、それによって、繊維の全体としてのコストを低下させる。また、接着促進剤、例えば、グラフトされたポリマー類、ポリマーブレンド、結束層等を必要としないので、コストを低下させることができる。
【0025】
本発明の繊維構造の例は、鞘芯繊維であり、鞘が内部芯成分の周りを連続的に覆っている。本発明のこの態様にて、鞘は、繊維の全外面を形成し、ポリアリーレンスルフィドポリマーを含む。芯成分は、さらなるポリマーから形成され、これは、繊維表面に暴露されず、これは、いずれの介在層、例えば、結束層も有せず、鞘成分に直接接触する。
【0026】
本発明の繊維のもう1つの例は、“海島”繊維構造である。この繊維構造は、繊維の全暴露外面を形成する“海”成分と、その内に分布するが、繊維の外面上には分布しない複数の“島”成分を含む。海は、ポリアリーレンスルフィドポリマーから形成され、島は、さらなるポリマーから形成される。
【0027】
本発明の多成分繊維は、慣用的な多成分テキスタイル繊維プロセスと装置とを使用して製造される。概して、このようなプロセスは、少なくとも2つの異なるポリマー、この場合、ポリアリーレンスルフィドと少なくとも1つのさらなるポリマー、例えば、PETを別個に押出し、ポリマーをポリマー分布システムに供給する工程を含む。ポリマーは、分布システム内の別個の路に従い、紡糸口金穴で合わされる。紡糸口金を出た後、流体繊維ストランドは、機械的に繊細化される。生ずる多成分繊維またはフィラメントは、2つ以上の高分子成分を含む。
【0028】
本発明者らは、不相溶性のポリマー類についてさえ、繊維が下流加工について十分な一体性を維持することを見出した。かくして、さらなる結合剤、例えば、接着剤または結束層は、成分を互いに接着させるために必要としない。ほとんどまたは全く相溶性を有しないポリマー成分についてさえ、繊維の構造は、無傷のままである。
【0029】
本発明は、また、本明細書に記載する繊維を含む製品をも含む。本発明の繊維は、例えば、濾過媒体にて、特に、過酷な使用条件、例えば、高温および/または化学的に腐食性の環境についての濾過媒体にて有用である。本発明の繊維は、高温ダスト、例えば、焼却炉、石炭燃焼ボイラー、金属溶融炉等によって発生される高温ダストを収集するためのバグフィルターの製造にて特に有用である。
【0030】
かくして、本発明を一般的な用語で説明したが、さて、添付の図面を参照して説明しよう。図面は、必ずしも縮尺通りではない。
発明の詳細な説明
さて、添付の図面を参照しつつ、以降、本発明をさらに詳細に説明しよう。図面にて、本発明の全部の実施態様ではないが、幾つかの実施態様を示す。事実、これらの発明は、多くの異なる形で実施することができ、ここに記載する実施態様に限定されると解釈するべきではなく;むしろ、これらの実施態様は、この開示が法的に適用可能な要件を満たすように提供される。同一の符合は、全体を通して同一の機素を称す。
【0031】
本明細書で使用する場合、“多成分繊維”という用語は、その領域が分散され、ランダムまたは組織化されていない傾向を有するブレンドとは対照的に、繊維中の別個の組織化された領域に存在する2つ以上のポリマーから製造されるステープルファイバおよび連続フィラメントを含む。2つ以上の組織化された高分子成分は、多成分繊維の断面を横切る実質的に一定に位置する異なる域に配置され、多成分繊維の長さに沿って連続的に伸びる。
【0032】
例示する目的のみについて、本発明は、概して、二成分を含む二成分繊維に関して説明する。しかし、本発明の範囲は、2つ以上の組織化された成分を有する繊維を含むことを意味することを理解する必要がある。
【0033】
図1は、本発明にて有用な繊維の形状の例の横断面図である。図1は、内側芯ポリマー領域12と周りの鞘ポリマー領域14とを有する二成分繊維10を示す。鞘成分14は、ポリアリーレンスルフィドポリマーから形成される。芯成分12は、繊維製造について当分野公知のいずれかのタイプのポリマー類から形成されるが、そのポリマーは、鞘14のポリアリーレンスルフィドポリマーとは異なる。本発明にて、鞘14は、連続であり、例えば、芯12を完全に取り巻き、繊維10の全外面を形成する。芯12は、図1に示したように、同心であってもよい。あるいは、芯は、以降に詳細に記載するように、偏心であってもよい。
【0034】
ポリアリーレンスルフィドポリマーが繊維の全暴露外面を形成する限り、当分野公知のようなその他の組織化された繊維の形状もまた使用することができる。1つの例として、もう1つの適した多成分繊維構造は、“海島”配置を含む。図2は、このような海島繊維20の断面図を示す。概して、海島繊維は、複数の“島”ポリマー成分24を取り巻く“海”ポリマー成分22を含む。島成分は、例えば、図2に示すように、海成分22のマトリックス内に実質的に均一に配置させることができる。あるいは、島成分は、海マトリックス内にランダムに分布させることができる。
【0035】
海成分22は、繊維の全外暴露面を形成し、ポリアリーレンスルフィドポリマーから形成される。芯鞘二成分繊維10の芯成分12でのように、島成分24は、繊維製造についての当分野公知のいずれかのタイプのポリマーから形成することができるが、それは、海ポリマー成分とは異なる。海島繊維は、場合によっては、また、芯26を含み、これは、示すように、同心、または、以降に記載するように、偏心であってもよい。存在する時、芯26は、いずれかの適した繊維形成ポリマーから形成される。
【0036】
本発明の繊維は、また、その中心部分から外側に伸びる3つ以上のアームまたはローブを有するマルチローバル繊維を含む。図3は、本発明のマルチローバル繊維30の例の断面図である。繊維30は、中心の芯32と、それから外側に伸びるアームまたはローブ34とを含む。アームまたはローブ34は、ポリアリーレンスルフィドポリマーから形成され、中心芯32は、さらなるポリマーから形成され、これは、ポリアリーレンスルフィドポリマーとは異なる。中心に位置する芯として、図3に例示するが、芯は、偏心であってもよい。
【0037】
繊維の全暴露外面がポリアリーレンスルフィドポリマーから形成される限り、これらまたはその他の多成分繊維構造のいずれかを使用することができる。Kaneko et al.に対するU.S.特許No.5,108,820;Strack et al.に対するU.S.特許No.5,336,552;Pike et al.に対するU.S.特許No.5,382,400;Hogel et al.に対するU.S.特許No.5,277,976;および、Largman et al.に対するU.S.特許Nos.5,57368および5,069,970を参照する。
【0038】
繊維の断面は、合成繊維の製造に典型的に使用される装置が通常は実質的に円形断面を有する繊維を製造するので、好ましくは、円形である。円形断面を有する二成分繊維にて、第1および第2の成分の形状は、同心かまたは中心がないかもしれないので、中心のない形状は、場合によっては、“改質された側-側”または“偏心”多成分繊維として公知である。
【0039】
有益なことに、本発明の鞘/芯繊維は、同心繊維であり、このように、概して、非自己クリンピングまたは非潜在クリンプ可能な繊維であるだろう。同心形状は、実質的に均一な厚さを有する鞘成分を特徴とし、芯成分は、例えば、図1に示すように、繊維のほぼ中心に置かれる。これは、偏心形状と対照的であり、偏心形状にては、鞘成分の厚さは、変化し、芯成分は、したがって、繊維の中心に置かれない。同心鞘/芯繊維は、鞘/芯二成分繊維の径に基づき、芯成分の中心が約0〜約20パーセント、好ましくは、約0〜約10パーセント以下だけ鞘成分の中心から偏たっている繊維と定義することができる。
【0040】
本発明の海島およびマルチローバルな繊維は、また、繊維構造、例えば、それぞれ、図2および3に示した芯26および32内の実質的に中心に位置する同心芯成分を含むのがよい。あるいは、さらなる高分子成分は、取り巻くポリアリーレンスルフィドポリマー成分の厚さが繊維の断面を横切って変化するように偏心するように位置させることができる。
【0041】
さらなる高分子成分のいずれかは、実質的に円形の断面、例えば、図1、2および3に、それぞれ、示したように、成分12、24および32を有することができる。あるいは、本発明の繊維のさらなる高分子成分のいずれかは、非円形断面を有するのがよい。
【0042】
ポリアリーレンスルフィド類は、アリーレンスルフィド単位を含む直鎖、分岐または架橋ポリマー類を含む。ポリアリーレンスルフィドポリマー類およびそれらの合成は、当分野公知であり、このようなポリマー類は、商業的に入手可能である。
【0043】
本発明にて有用なポリアリーレンスルフィド類の例としては、式:
-[(Ar1)n-X]m-[(Ar2)i-Y]j-[(Ar3)k-Z]l-[(Ar4)o-W]p-
[式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、同一または異なり、6〜18個の炭素原子を有するアリーレン単位であり;W、X、YおよびZは、同一または異なり、-SO2-、-S-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-;または、1〜6個の炭素原子を有するアルキレンまたはアルキリデン基から選択される2価の結合基であり;結合基の少なくとも1つは、-S-であり;n、m、i、j、k、l、oおよびpは、独立に、ゼロ、または、1、2、3または4であるが、ただし、それらの合計は、2以上である。]
で表される繰り返し単位を含有するポリアリーレンチオエーテル類が挙げられる。アリーレン単位Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、選択的に、置換または非置換であってもよい。有益なアリーレンシステムは、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセンおよびフェナンスレンである。ポリアリーレンスルフィドは、典型的には、少なくとも30mol%、特に少なくとも50mol%、さらに特に少なくとも70mol%のアリーレンスルフィド(-S-)単位を含む。好ましくは、ポリアリーレンスルフィドポリマーは、直接2つの芳香族環に結合した少なくとも85mol%のスルフィド結合を含む。有益なことに、ポリアリーレンスルフィドポリマーは、ポリフェニレンスルフィド(PPS)であり、その成分としてフェニレンスルフィド構造-(C6H4-S)n-(式中、nは、1以上の整数である)を含有すると、本明細書にて定義する。
【0044】
高分子成分の少なくとも1つのその他は、当分野公知のように、実質的に不溶性の繊維形成等方性半結晶ポリエステルまたはポリオレフィンポリマーを含む。本明細書で使用する場合、“等方性半結晶”という用語は、異方性である液晶ポリマー類ではないポリマー類をいう。等方性半結晶ポリエステル類の例としては、芳香族ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート;脂肪族ポリエステル類、例えば、ポリ乳酸;および、それらの混合物を含むが、これらに限定されるものではない。ポリオレフィン類の例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン)およびポリブテン、ならびに、それらのコポリマーおよびターポリマー類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
等方性半結晶ポリマー類を使用することができるものの、少なくとも1つのその他の高分子成分は、上記したように、ポリアリーレンスルフィドポリマーを含まない。これは、製造コストおよび複雑性を低下させることができる。なお、驚くべきことに、外側高分子成分のポリアリーレンスルフィドポリマーと同様または化学的に同様のポリマーが存在しないにもかかわらず、本発明の繊維は、下流加工について十分な一体性を示す。
【0046】
本発明の1つの実施態様にて、繊維形成ポリマーは、脂肪族ポリエステルポリマー、例えば、ポリ乳酸(PLA)であってもよい。本発明にて有用であるかもしれない脂肪族ポリエステル類の例としては、 (1) 脂肪族グリコール(例えば、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオールまたはデカンジオール)の組み合わせかまたはエチレングリコールのオリゴマー類(例えば、ジエチレングリコールまたはトリエチレングリコール)の脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、ヘキサンジカルボン酸またはデカンジカルボン酸);または、 (2) ポリ乳酸以外のヒドロキシカルボン酸の自己縮合物、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサンアジペートおよびそれらを含有するコポリマー類から形成される繊維形成ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。脂肪族ポリエステル類は、当分野公知であり、市販入手可能である。
【0047】
本発明のもう1つの有益な実施態様にて、本発明の繊維の繊維形成成分は、芳香族ポリエステルポリマーを含むことができる。熱可塑性芳香族ポリマー類としては、 (1) 2〜10個の炭素原子を有するアルキレングリコール類と芳香族二酸類とのポリエステル類; (2) ポリアルキレンナフタレート類であり、2,6-ナフタレンジカルボン酸とアルキレングリコール類とのポリエステル類、例えば、ポリエチレンナフタレート;および、 (3) 1,4-シクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸とから誘導されるポリエステル類、例えば、ポリシクロヘキサンテレフタレートが挙げられる。ポリアルキレンテレフタレート類、特に、ポリエチレンテレフタレート(またPET)およびポリブチレンテレフタレートが、種々の用途にて特に有用である。このようなポリエステル類は、当分野で周知であり、市販入手可能である。
【0048】
本発明の繊維のそれぞれの高分子成分の重量比は、変化させることができる。例えば、高分子成分の重量比は、約10:90〜90:10の範囲であってもよい。本発明の繊維の1つの長所は、有意に少ない量のポリアリーレンスルフィドポリマーを使用すると、繊維の所望される特性、例えば、耐薬品性および耐熱性に最小または逆の影響を及ぼすことである。これに関して、繊維形成ポリマーは、50重量%以上の高さの量、例えば、約60重量%までの量、なお、約70重量%までの量および以上存在することができ、なお、繊維は、ポリアリーレンスルフィドポリマーの合計体積における有意な低下にもかかわらず、有用な耐薬品性および耐熱性を示す。
【0049】
例えば、繊維は、繊維形成ポリマーを50重量%以上の高さの量含む繊維についてさえ、100%ポリアリーレンスルフィドポリマーで製造した同繊維の耐薬品性に匹敵する耐薬品性を示すことができる。本発明の繊維によって示される耐熱性は、ポリアリーレンスルフィドの量が所定の繊維構造で変化するにつれて変化させることができる。繊維の構造は、かくして、所定の最終用途に必要とされる耐熱性を付与するために必要とされる多少のポリアリーレンスルフィドポリマーを含むように調節することができる。
【0050】
ポリマー類は、場合によっては、その所望される特性に悪影響を及ぼさないその他の成分を含む。さらなる成分として使用することのできる材料の例としては、抗微生物剤、顔料、抗酸化剤、安定剤、界面活性剤、ワックス、流動促進剤、固体溶剤、粒状物;および、第1および第2の成分の加工性を高めるために添加されるその他の材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらおよびその他の添加剤は、慣用的な量使用することができる。
【0051】
多成分繊維を製造するための方法は、周知であり、ここで、詳細に説明する必要はない。概して、本発明の多成分繊維は、慣用的な多成分テキスタイル繊維紡糸プロセスおよび装置を使用し、当分野で公知の機械的引張技術を利用して製造される。ポリアリーレンスルフィドポリマー類の溶融押出および繊維形成のための加工条件は、当分野で周知であり、本発明にて使用することができる。繊維のさらなるポリマー成分に有用なその他の繊維形成ポリマー類の溶融押出および繊維形成のための加工条件は、また、当分野で公知であり、本発明にて使用することができる。
【0052】
本発明の多成分繊維を形成するためには、少なくとも2つのポリマー、すなわち、ポリアリーレンスルフィドポリマーおよび少なくとも1つのさらなる繊維形成ポリマーを別個に溶融押出し、ポリマー分布システムに供給し、ポリマー類を紡糸口金板に導入させる。ポリマーは、別個の路に従い、繊維紡糸口金に至り、紡糸口金穴で合わされる。紡糸口金は、押出物が所望される形状となるような配置である。
【0053】
ダイを通して押出した後、生ずる薄い流体ストランドまたはフィラメントは、それらが周りの流体媒体にて冷却することによって凝固される前は溶融された状態のままであり、これは、ストランドを介して空気吹付けにより冷却されるかまたは液体、例えば、水の浴に浸漬される。一度凝固したら、フィラメントは、ゴデットまたはもう1つの巻き取り表面上で巻き取られる。連続フィラメントプロセスにて、ストランドは、巻き取りゴデットの速度に比例して薄い流体流を引落とすゴデット上に巻き取られる。ジェットプロセスにて、ストランドは、ジェット、例えば、エアガンにて収集され、巻取表面、例えば、ローラまたは移動ベルト上に吹き込まれて、スパンボンドウエブを形成する。メルトブローンプロセスにて、空気が紡糸口金の表面に押出され、これは、薄い流体流が冷却空気路にて巻取り表面上に析出するように、薄い流体流を同時に引落とし冷却する役割を果たし、それによって、繊維ウエブを形成する。
【0054】
使用される溶融紡糸処理法のタイプにかかわらず、薄い流体流は、溶融状態で、すなわち、凝固により、良好な靭性を与えるためにポリマー分子を延伸する前に、溶融引落とす。当分野で公知の典型的な溶融引落とし比(melt draw down ratio)を使用するのがよい。連続フィラメントまたはステープルプロセスを使用する場合、慣用的な引落とし装置、例えば、差速度で作動する逐次ゴデットにより固体状態でストランドを引きとることが望ましいかもしれない。
【0055】
固体状態での圧伸成形に続き、連続フィラメントは、クリンプするかまたはテキスチャライズし(texturized)、望ましい繊維長さに切断するのがよく、それによって、ステープルファイバを製造する。ステープルファイバの長さは、概して、約25〜約50ミリメートルの範囲内であるが、繊維は、所望に応じて長くとも短くともよい。
【0056】
本発明の繊維は、ステープルファイバ、連続フィラメントまたはメルトブローン繊維であってもよい。概して、本発明に従い形成されるステープル多フィラメントおよびスパンポンド繊維は、繊度約0.5〜約100デニールを有するのがよい。メルトブローンフィラメントは、繊度約0.001〜約10.0デニールを有するのがよい。繊維は、また、モノフィラメントであってもよく、これは、約20〜約10,000デニールの範囲の繊度を有するのがよい。
【0057】
本発明の繊維は、限定するつもりはないが、不織構造を含め、多種多様な製品、例えば、限定するつもりはないが、カードされたウエブ、湿式堆積ウエブ(wet laid web)、乾式堆積ウエブ(dry laid web)、スパンボンドウエブ、メルトブローンウエブ等の製造にて有用である。本発明の繊維は、また、その他のテキスタイル構造、例えば、限定するつもりはないが、織布および編布等を製造するのにも使用することができる。本発明の繊維以外の繊維は、当分野公知の種々の合成および/または天然繊維を含め、それから製造される物品内に存在してもよい。合成繊維の例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル系、レーヨン、酢酸セルロース、熱可塑性多成分繊維(例えば、慣用的な鞘/芯繊維、例えば、ポリエチレン鞘/ポリエステル芯繊維)等およびそれらの混合物が挙げられる。天然繊維の例としては、ウール、綿、木材パルプ繊維等およびそれらの混合物が挙げられる。
【0058】
本発明の1つの特に有益な態様にて、繊維は、濾過媒体を製造するために使用される。この実施態様にて、本発明の繊維は、良好な耐熱性と耐薬品性とを示す。繊維は、また、良好な可撓性と引張強さとを示すことができ、腐蝕および/または高温環境にて使用される製品を製造するために手際よく処理することができる。例えば、本発明の繊維は、焼却炉、石炭燃焼ボイラー、金属溶融炉等によって発生する高温ダストを収集するための濾過媒体、例えば、バグフィルター(またはバグハウスフィルター)として使用するための製品を製造するために容易に加工することができる。本発明の繊維のもう1つの使用は、熱油変圧器用の絶縁体の製造である。
【0059】
本発明をさらに実施例によって示すが、以下の実施例は、何等、本発明を限定するものではない。
実施例1:100%PPS繊維
Ticonaからの結晶化されたFortron 0309 PPSを2つの乾燥ホッパーに装填し、280°Fで8時間乾燥させた。乾燥されたポリマーをホッパーから2つの押出機に供給し、導入口280℃〜導出口305℃の温度で運転した。ポリマーを2つのギヤーポンプに押出し、ギヤーポンプは、各繊維の鞘に1つの押出機からポリマーを各繊維の芯にその他の押出機からポリマーを押出する鞘/芯配置を有する繊維を製造するように設計された二成分紡糸パックに2つのポリマー流を供給した。繊維は、空気流中12.5℃で凝固させ、992メートル/分で運転する一対のゴデットによって機械的に繊細化し、1000メートル/分でボビン上に巻き取った。これらの繊維は、さらに、総延伸比2.65:1で、165°Fの水浴を通して未加熱のロール上に機械的に引取った。これらの繊維は、バグハウスフィルターにての使用に適していると判断されたが、しかし、コストは、抑制された。
【0060】
実施例2:40%PPS/60%PET鞘/芯繊維
Ticonaからの結晶化されたFortron 0309 PPSとNanYa Plasticsからの0.55i.v.PETを別個に2つの乾燥ホッパーに装填し、280°Fで8時間乾燥させた。乾燥されたポリマーを別個にホッパーから2つの押出機に供給し、導入口280℃〜導出口295℃の温度で運転した。ポリマーを2つのギヤーポンプに押出し、ギヤーポンプは、各繊維の鞘にPPSを各繊維の芯にPETを押出するように鞘/芯配置を有する繊維を製造するように設計された二成分紡糸パックに2つのポリマー流を供給した。繊維は、空気流中15℃で凝固させ、842メートル/分で運転する一対のゴデットによって機械的に繊細化し、865メートル/分でボビン上に巻き取った。これらの繊維は、さらに、総延伸比2.72:1で、165°Fの水浴を通して未加熱のロール上に機械的に引取った。これらの繊維は、バグハウスフィルターにての使用に適していると判断され、PET成分のコストがPPSのコストと比較して低いので、繊維は、商業的に受け入れられた。
【0061】
本明細書に記載した本発明の多くの変形例およびその他の実施態様は、当業者であれば、これら発明が前述の記載および添付の図面にて示された教示の利点を有することが理解されよう。したがって、本発明は、開示した具体的な実施態様に限定されるものではなく、変形例およびその他の実施態様も特許請求の範囲の請求項内に含まれることを意図することを理解するべきである。具体的な用語を本明細書にて使用するが、これらは、一般的かつ説明的意味においてのみ使用し、本発明を何等限定する目的はない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明の例としての多成分繊維、すなわち、二成分繊維の横断面図である。
【図2】図2は、本発明のもう1つの例としての多成分繊維、すなわち、海島繊維の断面図である。
【図3】図3は、本発明のもう1つの例としての多成分繊維、すなわち、マルチローバル繊維の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
暴露外面を有する多成分繊維であって、
ポリアリーレンスルフィドポリマーを含み、前記ポリアリーレンスルフィドポリマーが多成分繊維の全暴露表面を形成する少なくとも1つの第1の成分;および、
ポリアリーレンスルフィドポリマーを含まず、前記第1の成分の少なくとも一部に接触し、等方性半結晶ポリエステル類およびポリオレフィン類からなる群より選択される実質的に不溶性のポリマーを含む少なくとも第2の成分;
を含む繊維。
【請求項2】
前記繊維が、溶融状態で機械的に引きとられる、請求項1に記載の繊維。
【請求項3】
前記ポリアリーレンスルフィドポリマーが、スルフィド結合の少なくとも85mol%が2つの芳香族環に直接結合されているポリマーを含む、請求項1に記載の繊維。
【請求項4】
前記ポリアリーレンスルフィドポリマーがポリフェニレンスルフィド(PPS)である、請求項3に記載の繊維。
【請求項5】
前記等方性半結晶ポリエステルが、芳香族ポリエステル類、脂肪族ポリエステル類およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の繊維。
【請求項6】
前記芳香族ポリエステルが、ポリアルキレンテレフタレート類;ポリアルキレンナフタレート類;および、シクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸とから誘導されるポリエステル類;ならびに、それらの混合物からなる群より選択される、請求項5に記載の繊維。
【請求項7】
前記芳香族ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリシクロヘキサンテレフタレートからなる群より選択される、請求項6に記載の繊維。
【請求項8】
前記芳香族ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートである、請求項7に記載の繊維。
【請求項9】
前記等方性半結晶ポリエステルが、脂肪族ポリエステルである、請求項5に記載の繊維。
【請求項10】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸である、請求項9に記載の繊維。
【請求項11】
前記等方性半結晶ポリオレフィンが、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンおよびポリブテンならびにそれらのコポリマーおよびターポリマーならびに混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の繊維。
【請求項12】
前記繊維が、鞘成分と芯成分とを含む二成分繊維であり、前記鞘成分が、前記繊維の全暴露外面を形成し、前記ポリアリーレンスルフィドポリマーを含む、請求項1に記載の繊維。
【請求項13】
前記鞘/芯繊維が、同心鞘/芯繊維である、請求項12に記載の繊維。
【請求項14】
前記繊維が、海成分とその海成分内に分布する複数の島成分とを含み、前記海成分が、前記繊維の全暴露外面を形成し、前記ポリアリーレンスルフィドポリマーを含む海島繊維である、請求項1に記載の繊維。
【請求項15】
前記繊維が、円形断面を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項16】
前記繊維が、マルチローバル形状を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項17】
前記繊維が、ステープルファイバー、連続フィラメント、メルトブローン繊維およびスパンボンド繊維からなる群より選択される、請求項1に記載の繊維。
【請求項18】
繊維形成成分が、繊維の合計重量の50重量%より大を占める、請求項1に記載の繊維。
【請求項19】
繊維形成成分が、繊維の合計重量の約60重量%より大を占める、請求項18に記載の繊維。
【請求項20】
繊維形成成分が、繊維の合計重量の約70重量%より大を占める、請求項19に記載の繊維。
【請求項21】
前記繊維が、
ポリフェニレンスルフィド鞘成分であり、前記ポリフェニレンスルフィドが前記二成分繊維の全暴露外面を形成する成分;および、
ポリフェニレンスルフィドを含まず前記ポリフェニレンスルフィド鞘成分に接触するポリエチレンテレフタレート芯成分;
を含む鞘/芯二成分繊維を機械的に引きとる、請求項1に記載の繊維。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の複数の多成分繊維を含む物品。
【請求項23】
物品がバグフィルターである、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
耐熱性かつ耐薬品性の多成分繊維を製造するための方法であって、該方法が、
少なくとも1つのポリアリーレンスルフィドポリマーと等方性半結晶ポリエステル類およびポリオレフィン類からなる群より選択されるポリアリーレンスルフィドポリマーを含まない少なくとも1つの実質的に不溶性のポリマーとを別個に溶融押出し;
別個のポリマー流路に沿うポリマー分布システムを介して前記別個に押出されたポリマー類を導き;
前記別個のポリマー流路を合わせて、外面を有する多成分繊維と;多成分繊維の全暴露表面を形成するポリアリーレンスルフィドポリマーを含む少なくとも第1の成分と;前記第1の成分の少なくとも一部に接触する実質的に不溶性のポリマーを含む少なくとも第2の成分とを形成し;
前記多成分繊維を流体状態で機械的に繊細化する;
各工程を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−513270(P2007−513270A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542810(P2006−542810)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/040602
【国際公開番号】WO2005/056895
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(500100822)ティコナ・エルエルシー (19)
【出願人】(506190751)ファイバー・イノヴェイション・テクノロジー・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】